有価証券報告書-第109期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/18 15:33
【資料】
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【項目】
158項目
文中の将来に関する事項は、当期末現在において当社グループが判断したものです。
(1)事業の概況
○ 当社グループは2016年度にスタートした中期経営計画「Plan EWAY」に基づき、「Medico Societal Innovator(薬とソリューションで社会を変える企業)」をめざし、戦略的パートナーシップによるニューロロジー領域とオンコロジー領域に集中したイノベーション創出の取り組みを進めています。
○ ニューロロジー領域では、Biogen Inc.(米国、以下 バイオジェン社)と共同開発している抗アミロイドβ抗体アデュカヌマブ(一般名)について、米国、欧州、日本等においてアルツハイマー病(AD)治療剤として新薬承認申請が行われました。また、承認後の速やかな患者様貢献を企図し、上市準備に係る投資を積極的に行っています。同じくバイオジェン社と共同開発を行っている抗アミロイドβプロトフィブリル抗体lecanemab(一般名、開発品コード「BAN2401」)については、早期ADを対象にフェーズⅢ試験(Clarity AD)が進行しており、2022年度第2四半期にトップライン結果を取得することをめざしています。さらに、プレクリニカル(無症状期)ADを対象としたフェーズⅢ試験(AHEAD 3-45)も開始しました。自社創製の新規不眠症治療剤「デエビゴ」(英名「Dayvigo」)について、日本、米国等で新発売しました。抗てんかん剤「フィコンパ」(英名「Fycompa」)については、発売国の拡大、新適応および剤形の追加が進展しています。
○ オンコロジー領域では、抗がん剤「レンビマ」について、中国において甲状腺がんに係る単剤療法の適応が承認されたほか、前期に米国等において承認されたMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(以下 米メルク社)の抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(一般名)との併用による子宮内膜がんにおける患者様貢献の拡大などにより、売上収益は1,339億円と前期から大きく成長しました。「レンビマ」とペムブロリズマブの併用療法については、14種類のがんで20を超える適応拡大に向けた試験が進行しています。
(2)経営成績の状況
○ 当期(2020年4月1日~2021年3月31日)の連結業績は、次のとおりです。
(単位:億円、%)
2019年度2020年度前期比
売上収益6,9566,45992.9
売上原価1,7571,61391.8
売上総利益5,1994,84693.2
販売費及び一般管理2,5632,814109.8
研究開発費1,4011,503107.3
営業利益1,25551841.2
税引前当期利益1,28152641.0
当期利益1,22542534.7
親会社の所有者に帰属する当期利益1,21842134.6
当期包括利益96271073.9
基本的1株当たり当期利益425円1銭146円95銭34.6

○ 売上収益は、「レンビマ」が引き続き伸長した一方、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や日本における薬価改定の影響のほか、米メルク社からの戦略的提携による特定のオプション権に対する一時金および販売マイルストンペイメントの減少(当期336億円、前期762億円)により、減収となりました。
○ グローバルブランドの売上収益は、「レンビマ」が1,339億円(前期比119.7%)、抗がん剤「ハラヴェン」が376億円(同93.5%)、「フィコンパ」が267億円(同105.8%)、「デエビゴ」が31億円となりました。
○ 販売費及び一般管理費は、COVID-19の影響による販促費用の減少があった一方、「レンビマ」の売上拡大に伴う米メルク社への折半利益の支払い増加や、「デエビゴ」の日本、米国等での上市、およびアデュカヌマブの承認を想定した上市準備に係る投資を積極的に行ったことなどにより大幅に増加しました。
○ 研究開発費は、COVID-19の影響による一部臨床試験の進行の遅れなどの減少要因がありましたが、lecanemabおよびアデュカヌマブ、ならびにペムブロリズマブとの併用療法を開発中の「レンビマ」などへの積極的な資源投入により大幅に増加しました。
○ 以上の結果、営業利益は減益となりました。当期利益についても、営業利益の減少に加え前期に一時的な要因により税金費用の減少が生じた反動で、減益となりました。
○ なお、COVID-19の感染拡大により、受診抑制に伴う売上収益へのマイナス影響が生じた一方、販売費及び一般管理費ならびに研究開発費の進行の遅れも生じたことから、営業利益および当期利益への影響は軽微でした。
[セグメントの状況]
(各セグメントの売上収益は外部顧客に対するものです)
当社グループは、セグメントを医薬品事業とその他事業に区分しており、医薬品事業を構成する日本、アメリカス(北米)、中国、EMEA(欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア)、アジア・ラテンアメリカ(韓国、台湾、香港、インド、アセアン、中南米等)、一般用医薬品等(日本)の6つの事業セグメントを報告セグメントとしています。
<日本医薬品事業>○ 売上収益は2,319億円(前期比93.8%)、セグメント利益は839億円(同89.0%)となりました。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、不眠症治療剤「ルネスタ」が139億円(前期比110.3%)、「フィコンパ」は51億円(同129.4%)と成長しました。ファイザー社と共同販促を展開している疼痛治療剤「リリカ」の共同販促収入はジェネリック品上市の影響により215億円(同75.2%)、アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」は93億円(同69.9%)となりました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が122億円(同92.9%)、「ハラヴェン」は85億円(同91.6%)となりました。ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」は520億円(同100.2%)となりました。
○ 2020年7月、「デエビゴ」を新発売しました。
○ 2020年7月、「フィコンパ」について、細粒剤を新発売しました。
○ 2020年11月、ヤヌスキナーゼ阻害剤「ジセレカ」を新発売しました。
<アメリカス医薬品事業>○ 売上収益は1,428億円(前期比111.6%)、セグメント利益は647億円(同107.9%)となりました。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で抗てんかん剤「Banzel」が189億円(前期比84.6%)、「Fycompa」は122億円(同94.0%)となりました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が810億円(同119.0%)と拡大し、「ハラヴェン」は126億円(同86.0%)となりました。なお、2020年11月に血小板減少症治療剤avatrombopag(一般名)の販売マイルストンペイメント受領権を譲渡しました。
○ 2020年6月、米国において、「Dayvigo」を新発売しました。
<中国医薬品事業>○ 売上収益は851億円(前期比110.5%)、セグメント利益は404億円(同123.3%)となりました。
○ 品目別売上収益については、「レンビマ」が185億円(前期比139.2%)と拡大しました。末梢性神経障害治療剤「メチコバール」は政府集中購買制度の対象となり販売価格が低下した影響で175億円(同86.9%)となりました。肝臓疾患用剤・アレルギー用薬「強力ネオミノファーゲンシー/グリチロン錠」は101億円(同97.9%)、「アリセプト」はジェネリック品のシェアが拡大し58億円(同59.2%)となりました。
○ 売上収益は552億円(前期比103.0%)、セグメント利益は257億円(同111.8%)となりました。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「Fycompa」は76億円(前期比106.8%)と成長しました。抗てんかん剤「Zebinix」は58億円(同89.8%)、抗てんかん剤「ゾネグラン」は39億円(同99.3%)となりました。オンコロジー領域では、「レンビマ/Kisplyx」が158億円(同124.6%)と拡大し、「ハラヴェン」は124億円(同89.6%)となりました。なお、2021年2月にBial-Portela & Ca, S.A.(ポルトガル)との「Zebinix」の欧州における販売ライセンスおよび共同販促契約が終了しました。
<アジア・ラテンアメリカ医薬品事業>○ 売上収益は459億円(前期比98.4%)、セグメント利益は186億円(同116.8%)となりました。
○ 品目別売上収益については、「レンビマ」が65億円(前期比135.2%)と成長しました。「アリセプト」は109億円(同100.3%)、「ヒュミラ」は85億円(同88.6%)となりました。
○ 2020年9月、ベトナムにおいて、「レンビマ」を新発売しました。
○ 2021年2月、韓国において、パーキンソン病治療剤「エクフィナ」を新発売しました。
<一般用医薬品等事業>○ 売上収益は252億円(前期比101.0%)、セグメント利益は51億円(同111.6%)となりました。
○ チョコラBB グループの売上収益は134億円(前期比86.7%)となりましたが、「イータック抗菌化スプレーα」などのイータックグループの売上収益が拡大しました。
○ 2020年5月、「新セルベール整胃プレミアム」を新発売しました。
○ 2020年8月、「ザーネメディカルスプレー」、「ザーネメディカルクリーム」を新発売しました。
(3)財政状態の状況
○ 資産合計は、1兆900億円(前期末より279億円増)となりました。製品安定供給のための備蓄強化に伴い棚卸資産が増加したことに加え、研究設備および製造設備の増強により有形固定資産が増加しました。
○ 負債合計は、前期末と同水準の3,621億円(前期末より26億円増)となりました。預り金(米メルク社からの研究開発償還金)の取崩しに伴い、その他の金融負債が減少した一方、アデュカヌマブの承認を想定した上市準備費用の増加などに伴い営業債務及びその他の債務が増加しました。
○ 資本合計は、7,279億円(前期末より253億円増)となりました。円安の進行に伴い、為替換算差額が増加しました。
○ 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は64.5%(前期末より0.7ポイント増)となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況
○ 営業活動によるキャッシュ・フローは、739億円の収入(前期より289億円の収入減)となりました。主に税引前当期利益の減少によるものです。
○ 投資活動によるキャッシュ・フローは、369億円の支出(前期より92億円の支出増)となりました。主に資本的支出等(374億円、前期より29億円の支出増)によるものです。
○ 財務活動によるキャッシュ・フローは、559億円の支出(前期より476億円の支出減)となりました。主に配当金の支払いによるものです。
○ 以上の結果、現金及び現金同等物の残高は2,487億円(前期末より55億円減)、営業活動によるキャッシュ・フローから資本的支出等を差し引いたフリー・キャッシュ・フローは364億円となりました。
(5)生産、受注および販売の実績
① 生産実績
(a) 生産実績
当期における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
日本医薬品事業151,84194.6
アメリカス医薬品事業(注3)225,52470.0
中国医薬品事業89,341111.5
EMEA医薬品事業(注3)65,12676.1
アジア・ラテンアメリカ医薬品事業37,93983.9
一般用医薬品等9,23792.4
報告セグメント計579,00782.3
その他事業2,73872.2
合計581,74582.2

(注1) 金額は販売見込価格により算出し、セグメント間の取引については相殺消去しています。
(注2) 上記金額には消費税等を含めていません。
(注3) 前期より生産実績が減少した理由は、主に前期において抗がん剤「レンビマ」の安定供給の確保に向けた増産を行ったためです。
(b) 商品仕入実績
当期における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
日本医薬品事業53,840108.8
アメリカス医薬品事業1468.2
中国医薬品事業2,22794.0
EMEA医薬品事業2,40167.8
アジア・ラテンアメリカ医薬品事業7,19783.5
一般用医薬品等7,093120.0
報告セグメント計72,773104.0
その他事業25972.3
合計73,032103.8

(注1) 金額は仕入価格により算出し、セグメント間の取引については相殺消去しています。
(注2) 上記金額には消費税等を含めていません。
② 受注実績
当社グループは販売計画に基づいた生産を行っているため、該当事項はありません。
③ 販売実績
当期における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
日本医薬品事業231,89993.8
アメリカス医薬品事業142,801111.6
中国医薬品事業85,080110.5
EMEA医薬品事業55,240103.0
アジア・ラテンアメリカ医薬品事業45,88998.4
一般用医薬品等25,150101.0
報告セグメント計586,060101.5
その他事業(注4)59,88150.6
合計645,94292.9

(注1) セグメント間の取引については相殺消去しています。
(注2) 上記金額には消費税等を含めていません。
(注3) 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
相手先当期前期
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
米メルク社33,5855.276,18111.0

(注4) 前期より販売実績が減少した理由は、主に米メルク社との抗がん剤「レンビマ」に関する戦略的提携のオプション権行使に伴う一時金および販売マイルストンペイメントが減少したことによるものです。
(6)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
連結財務諸表作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3. 重要な会計方針、 4. 重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)事業の概況、(2)経営成績の状況、 (3)財政状態の状況、(4)キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、資金調達手段について、「手元現金」、次に「負債による資金調達(デット)」、最後に「株式の新規発行による資金調達(エクイティ)」とするペッキング・オーダー理論にもとづく優先順位付けをしております。原則として、手元現金の活用および負債が優先であり、既存株主の価値を毀損する可能性があるエクイティによる資金調達は最終手段として考えています。
そのため、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)管理による運転資本のコントロール、投資有価証券を含む資産売却などによるバランスシート・マネジメントを継続的かつグローバルに推進することで資産効率を高め、最適資本構成にもとづく最適配当政策と積極的な成長投資の両立を可能としています。
2020年度において、株主還元については、健全なバランスシートを維持していることから、前年と同額の160円としました。成長投資については、将来の成長のための川島工園・筑波研究所の設備・施設への投資継続など積極的に実施しました。2021年度においても積極的な成長投資を継続する計画で、資本的支出は560億円を見込み、手元資金を充当する予定です。
資金の流動性については、現時点では概ね月商の3倍を適正な運転資金の水準と考えています。2020年度末における現金及び現金同等物残高は2,487億円であり、十分な流動性を確保しています。さらに、当座借越・コミットメントラインなどの流動性補完により、流動性を一層強化しています。また、手元資金の効率的な活用を企図して、日本国内・EMEA域内におけるキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)に加え、グローバル・キャッシュ・マネジメント・システム(GCMS)を導入しています。
2020年度末時点での実質的なキャッシュ残高である有利子負債控除後のネットキャッシュは1,892億円と、実質無借金を維持しています。引き続き、「ネットキャッシュの維持」を主要な財務規律として重視するとともに、Net DERを±0.3レベルにコントロールすることで財務の健全性を維持します。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中期経営計画「EWAY Current」(対象期間:2016年度~2020年度)において、2020年度における数値目標・ガイダンス(売上収益:8,000億円レベル、営業利益:1,020億円レベル、当期利益:740億円レベル、ROE:10%以上)を設定していました。2020年度は目標未達となったものの、対象期間である2016年度から2020年度を通じては、2018年度にはROEについて10.4%と前倒しで達成し、加えて2019年度には全ての利益指標について営業利益1,255億円、当期利益1,225億円、ROE18.6%と前倒しで達成しました。
また、財務指標(上記ROEに加えて、DOE:8%レベル、親会社所有者帰属持分比率:50~60%、Net DER:△0.3~0.3)に関しては、2020年度はそれぞれ6.6%、64.5%、△0.27となりました。

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