有価証券報告書-第108期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)事業の概況
○ 当社グループは中期経営計画「EWAY 2025」(2016年度~2025年度)において、「Medico Societal Innovator(薬とソリューションで社会を変える企業)」を目指し、戦略的パートナーシップによる神経領域とがん領域に集中したイノベーション創出の取り組みを進めています。
○ 神経領域では、Biogen Inc.(米国、以下バイオジェン社)と共同で早期アルツハイマー病を対象に開発している抗アミロイドβ抗体アデュカヌマブ(一般名)について、米国ではBLA(生物製剤ライセンス)申請における各モジュールの申請を既に開始し、2020年度第2四半期の申請完了を予定しています。日本、欧州においては規制当局と申請に向けた協議を進めています。同じくバイオジェン社との共同開発品である抗アミロイドβプロトフィブリル抗体「BAN2401」は、フェーズⅢ試験(Clarity AD試験)が進行しており、2022年度第2四半期にトップライン結果を取得することをめざしています。当社グループが開発を進めていた自社創製の新規不眠症治療剤「デエビゴ」(英名「DAYVIGO」)は、日本および米国で承認を取得しました。抗てんかん剤「フィコンパ」(英名「Fycompa」)は、発売国の拡大、新適応および剤形の追加が進展しています。
○ がん領域では、抗がん剤「レンビマ」について、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(以下、米メルク社)の抗PD-1抗体「キイトルーダ」(一般名:ペムブロリズマブ)との併用療法による子宮内膜がんに係る適応を米国で新たに取得したほか、米メルク社との共同販促の進展により各国において患者様アクセスが順調に拡大し、売上収益は1,119億円となりました。
○ 以上の結果、当期の営業利益ならびに当期利益が過去最高を更新するとともに、中期経営計画「EWAY 2025」で2020年度の達成を目指していた営業利益、当期利益およびROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)を1年前倒しで達成しました。
(2)経営成績の状況
当期(2019年4月1日~2020年3月31日)の連結業績は、次のとおりとなりました。
○ 売上収益は、主に「レンビマ」が引き続き大幅に伸長したことにより、2019年4月にジェネリック医薬品事業子会社を譲渡したことなどによる減収要因を吸収し、増収となりました。なお、米メルク社からの戦略的提携による特定のオプション権に対する一時金およびマイルストンペイメントとして761億81百万円(前期は655億41百万円)を計上しました。
○ 主なグローバルブランドの売上収益は、「レンビマ」が1,118億94百万円(前期比78.9%増)、抗がん剤「ハラヴェン」が402億13百万円(同2.6%減)、「フィコンパ」が252億52百万円(同31.0%増)となりました。
○ 研究開発費は、次世代アルツハイマー病疾患修飾剤として開発中の「BAN2401」、および米メルク社の抗PD-1抗体「キイトルーダ」との併用療法を開発中の「レンビマ」を中心に、積極的な資源投入を行った一方、パートナーシップモデルによる費用抑制効果により減少しました。
○ 販売費及び一般管理費の増加は、主に「レンビマ」の売上拡大に伴う米メルク社への折半利益の支払い増加によるものです。
○ 以上の結果、営業利益は前期比45.7%増の大幅な増益となりました。加えて、米国法人税に対する会計上の引当金を戻入した影響、および当社グループ内の資金偏在解消のため米国の連結子会社から当社へ払込資本の払戻しを行った結果、税務上の譲渡損失等が当社にて発生した影響により、法人所得税が減少し、当期利益は同84.2%増のさらなる増益となりました。
[セグメントの状況]
(各セグメントの売上収益は外部顧客に対するものです)
当社グループは、セグメントを医薬品事業とその他事業に区分しており、医薬品事業を構成する日本、アメリカス(北米)、中国、EMEA(欧州、中東、アフリカ、オセアニア)、アジア・ラテンアメリカ(韓国、台湾、香港、インド、アセアン、中南米等)、一般用医薬品等(日本)の6つの事業セグメントを報告セグメントとしています。当連結会計年度において、より機動的な戦略遂行のため日本医薬品事業から一般用医薬品等事業を分離し、新たな報告セグメントとしています。なお、本資料のセグメント情報に関する対前期の数値は新たな報告セグメントに基づいて記載しています。
<日本医薬品事業>○ 売上収益は2,471億34百万円(前期比10.7%減)、セグメント利益は941億98百万円(同6.0%減)となりました。ジェネリック医薬品事業子会社の譲渡などの影響により減収となりました。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、ファイザー社と共同販促を展開している疼痛治療剤「リリカ」の共同販促収入が285億92百万円(前期比0.9%増)、不眠症治療剤「ルネスタ」が126億28百万円(同12.6%増)、「フィコンパ」は39億50百万円(同33.7%増)と成長しました。アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」は132億69百万円(同26.0%減)となりました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が131億7百万円(同31.7%増)と大幅な拡大を果たし、「ハラヴェン」は92億46百万円(同1.9%減)となりました。ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」は518億53百万円(同10.5%増)と成長しました。
○ 2019年11月、パーキンソン病治療剤「エクフィナ」を新発売しました。
<アメリカス医薬品事業>○ 売上収益は1,279億31百万円(前期比30.7%増)、セグメント利益は599億69百万円(同29.4%増)となりました。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、抗てんかん剤「Banzel」が223億52百万円(前期比27.9%増)、「Fycompa」が130億23百万円(同40.1%増)と大幅に拡大しました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が680億40百万円(同81.4%増)と大幅な拡大を果たしました。「ハラヴェン」は146億57百万円(同10.9%減)となりました。
<中国医薬品事業>○ 売上収益は770億4百万円(前期比16.1%増)、セグメント利益は327億67百万円(同34.2%増)となりました。
○ 品目別売上収益については、2018年11月に新発売した「レンビマ」(肝細胞がんに係る適応)が132億64百万円(前期は31億17百万円)と順調に拡大しました。末梢性神経障害治療剤「メチコバール」は201億18百万円(前期比0.8%増)、「アリセプト」は97億13百万円(同3.9%増)と成長しました。肝臓疾患用剤・アレルギー用薬「強力ネオミノファーゲンシー/グリチロン錠」は102億91百万円(同4.1%減)となりました。
○ 2019年12月、「ハラヴェン」および「Fycompa」を新発売しました。
○ 売上収益は536億51百万円(前期比7.7%増)、セグメント利益は229億90百万円(同16.4%増)となりました。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「Fycompa」が71億30百万円(前期比16.2%増)、抗てんかん剤「Zebinix」が64億95百万円(同12.7%増)と成長しました。抗てんかん剤「ゾネグラン」は38億84百万円(同5.1%減)となりました。オンコロジー領域では、「ハラヴェン」が138億10百万円(同9.0%増)と成長し、「レンビマ/Kisplyx」は126億85百万円(同59.0%増)と大幅に拡大しました。
<アジア・ラテンアメリカ医薬品事業>○ 売上収益は466億43百万円(前期比4.3%減)、セグメント利益は159億61百万円(同4.3%増)となりました。2019年8月、台湾において、「ヒュミラ」の開発および販売契約が終結した影響により減収となりました。
○ 品目別売上収益については、「レンビマ」が47億98百万円(前期比20.2%増)と大幅に成長した一方、「アリセプト」が108億21百万円(同8.4%減)、「ヒュミラ」が95億82百万円(同26.2%減)となりました。
○ 2019年9月、インドネシアにおいて、「Fycompa」を新発売しました。
<一般用医薬品等事業>○ 売上収益は249億4百万円(前期比2.4%増)、セグメント利益は45億48百万円(同0.3%増)となりました。
○ チョコラBBグループの売上収益は、154億78百万円(前期比0.9%増)となりました。
○ 2019年8月、「ザーネクリーム」(医薬部外品)を20年ぶりにリニューアルし、発売しました。
○ 2019年8月、「イータック抗菌化ウエットシート」(雑貨)を新発売しました。
(3)財政状態の状況
○ 資産合計は、1兆621億40百万円(前期末より93億80百万円減)となりました。売上収益の増加に伴い営業債権及びその他の債権が増加し、IFRS第16号「リース」の適用により有形固定資産も増加した一方で、長期借入金の返済などにより現金及び現金同等物が減少したほか、ジェネリック医薬品事業子会社の譲渡により売却目的で保有する資産が減少しました。
○ 負債合計は、3,595億10百万円(前期末より600億28百万円減)となりました。IFRS第16号「リース」の適用によりその他の金融負債が増加した一方で、長期借入金が減少したほか、ジェネリック医薬品事業子会社の譲渡により売却目的で保有する資産に直接関連する負債が減少しました。
○ 資本合計は、支払配当金を大幅に上回る当期利益を計上したことにより、7,026億30百万円(前期末より506億49百万円増)となりました。
○ 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は63.8%(前期末より5.2ポイント増)となり、財務の健全性はより一層高まりました。
(4)キャッシュ・フローの状況
○ 営業活動によるキャッシュ・フローは、1,027億82百万円の収入(前期より9億32百万円の収入減)となりました。税引前当期利益が増加した一方で、売上収益の増加に伴う売掛金の増加や預り金(米メルク社からの研究開発償還金)の取崩しなどにより運転資本が増加しました。
○ 投資活動によるキャッシュ・フローは、276億25百万円の支出(前期より197億7百万円の支出増)となりました。資本的支出等は無形資産の取得など積極的な投資により345億51百万円(前期より158億98百万円の支出増)となりました。
○ 財務活動によるキャッシュ・フローは、1,035億28百万円の支出(前期より243億47百万円の支出増)となりました。配当金の支払い458億49百万円のほか、長期借入金400億円を返済しました。
○ 以上の結果、現金及び現金同等物の残高は2,542億44百万円(前期末より376億80百万円減)、営業活動によるキャッシュ・フローから資本的支出等を差し引いたフリー・キャッシュ・フローは682億31百万円となり、年間配当額を大幅に上回るキャッシュを創出しました。
(5)生産、受注および販売の実績
① 生産実績
(a) 生産実績
当期における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注1) 金額は販売見込価格により算出し、セグメント間の取引については相殺消去しています。
(注2) 上記金額には消費税等を含めていません。
(注3) 前期より生産実績が増加した理由は、主に抗がん剤「レンビマ」の販売の増加に伴うものです。
(b) 商品仕入実績
当期における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注1) 金額は仕入価格により算出し、セグメント間の取引については相殺消去しています。
(注2) 上記金額には消費税等を含めていません。
(注3) 前期より商品仕入実績が減少した理由は、主にジェネリック医薬品事業子会社の譲渡によるものです。
② 受注実績
当社グループは販売計画に基づいた生産を行っているため、該当事項はありません。
③ 販売実績
当期における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注1) セグメント間の取引については相殺消去しています。
(注2) 上記金額には消費税等を含めていません。
(注3) 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
(注4) 前期より販売実績が増加した理由は、主に米メルク社との抗がん剤「レンビマ」に関する戦略的提携のオプション権行使に伴う一時金およびマイルストンによるものです。
(6)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
連結財務諸表作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3. 重要な会計方針、 4. 重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による翌期にわたる事業活動への影響として、売上収益に3%程度のマイナス要因を織り込んでいます。一方、販売管理費の低減等も見込まれるため、営業利益における影響は軽微と見込んでいます。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)事業の概況、(2)経営成績の状況、 (3)財政状態の状況、(4)キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、資金調達手段について、「手元現金」、次に「負債による資金調達(デット)」、最後に「株式の新規発行による資金調達(エクイティ)」とするペッキング・オーダー理論にもとづく優先順位付けをしております。原則として、手元現金の活用および負債が優先であり、既存株主の価値を毀損する可能性があるエクイティによる資金調達は最終手段として考えています。
そのため、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)管理による運転資本のコントロール、投資有価証券を含む資産売却などによるバランスシート・マネジメントを継続的かつグローバルに推進することで資産効率を高め、最適資本構成にもとづく最適配当政策と積極的な成長投資の両立を可能としています。
2019年度において、株主還元については、健全なバランスシートを維持していることから、10年ぶりの増配(150円から160円へ10円増配)を行いました。成長投資については、将来の成長のための川島工園・筑波研究所の設備・施設への投資をはじめ、レンボレキサントの販売権獲得など積極的に実施しました。2020年度においても積極的な成長投資を継続する計画で、資本的支出は560億円を見込み、手元資金を充当する予定です。
資金の流動性については、現時点では概ね月商の3倍を適正な運転資金の水準と考えています。2019年度末における現金及び現金同等物残高は2,542億円であり、十分な流動性を確保しています。さらに、当座借越・コミットメントラインなどの流動性補完により、流動性を一層強化しています。また、手元資金の効率的な活用を企図して、日本国内・EMEA域内におけるキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)に加え、グローバル・キャッシュ・マネジメント・システム(GCMS)を導入しています。
2019年度末時点での実質的なキャッシュ残高である有利子負債控除後のネットキャッシュは1,946億円と、実質無借金を維持しています。引き続き、「ネットキャッシュの維持」を主要な財務規律として重視するとともに、Net DERを±0.3レベルにコントロールすることで財務の健全性を維持します。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な株主価値創造に向けた取り組みのもと、中期経営計画「EWAY 2025」の中間点である2020年度における数値目標・ガイダンスを設定しています。利益目標(営業利益:1,020億円レベル、当期利益:740億円レベル、ROE:10%以上)に関しては、2019年度は主に抗がん剤「レンビマ」の成長により、それぞれ1,255億円、1,225億円、18.6%となり、すべて1年前倒しで達成しました。このうち、ROEに関しては、「EWAY 2025」の最終年度である2025年度における目標(15%レベル)をも上回りました。売上収益に関しては、当初目標(8,000億円レベル)には届いていないものの、「レンビマ」を中心に更なる拡大を見込み、2020年度は7,190億円(前期比3.4%増)をめざします。
財務指標(上記ROEに加えて、DOE:8%レベル、親会社所有者帰属持分比率:50~60%、Net DER:△0.3~0.3)に関しては、2019年度はそれぞれ7.0%、63.8%、△0.29となりました。財務の健全性を維持しながら利益目標を達成したことを示しています。
なお、「EWAY 2025」の後半期間「EWAY FUTURE」においては、パートナーシップモデルにより積極的な研究開発投資を続けてきた次世代認知症治療薬や、アンメット・メディカル・ニーズの高いがん腫を標的とした「レンビマ」と抗PD-1抗体「キイトルーダ」の併用療法での患者様貢献により、前半期間を上回る成長を見込んでいます。
(1)事業の概況
○ 当社グループは中期経営計画「EWAY 2025」(2016年度~2025年度)において、「Medico Societal Innovator(薬とソリューションで社会を変える企業)」を目指し、戦略的パートナーシップによる神経領域とがん領域に集中したイノベーション創出の取り組みを進めています。
○ 神経領域では、Biogen Inc.(米国、以下バイオジェン社)と共同で早期アルツハイマー病を対象に開発している抗アミロイドβ抗体アデュカヌマブ(一般名)について、米国ではBLA(生物製剤ライセンス)申請における各モジュールの申請を既に開始し、2020年度第2四半期の申請完了を予定しています。日本、欧州においては規制当局と申請に向けた協議を進めています。同じくバイオジェン社との共同開発品である抗アミロイドβプロトフィブリル抗体「BAN2401」は、フェーズⅢ試験(Clarity AD試験)が進行しており、2022年度第2四半期にトップライン結果を取得することをめざしています。当社グループが開発を進めていた自社創製の新規不眠症治療剤「デエビゴ」(英名「DAYVIGO」)は、日本および米国で承認を取得しました。抗てんかん剤「フィコンパ」(英名「Fycompa」)は、発売国の拡大、新適応および剤形の追加が進展しています。
○ がん領域では、抗がん剤「レンビマ」について、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(以下、米メルク社)の抗PD-1抗体「キイトルーダ」(一般名:ペムブロリズマブ)との併用療法による子宮内膜がんに係る適応を米国で新たに取得したほか、米メルク社との共同販促の進展により各国において患者様アクセスが順調に拡大し、売上収益は1,119億円となりました。
○ 以上の結果、当期の営業利益ならびに当期利益が過去最高を更新するとともに、中期経営計画「EWAY 2025」で2020年度の達成を目指していた営業利益、当期利益およびROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)を1年前倒しで達成しました。
(2)経営成績の状況
当期(2019年4月1日~2020年3月31日)の連結業績は、次のとおりとなりました。
| 売上収益 | 6,956億21百万円 | ( 前期比 | 8.2%増 ) | ||
| 営業利益 | 1,255億 2百万円 | ( 同 | 45.7%増 ) | ||
| 税引前当期利益 | 1,280億63百万円 | ( 同 | 43.2%増 ) | ||
| 当期利益 | 1,224億67百万円 | ( 同 | 84.2%増 ) | ||
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 1,217億67百万円 | ( 同 | 92.1%増 ) | ||
| 当期包括利益 | 961億90百万円 | ( 同 | 21.0%増 ) | ||
| 基本的1株当たり当期利益 | 425円 1銭 | ( 同 | 92.0%増 ) |
○ 売上収益は、主に「レンビマ」が引き続き大幅に伸長したことにより、2019年4月にジェネリック医薬品事業子会社を譲渡したことなどによる減収要因を吸収し、増収となりました。なお、米メルク社からの戦略的提携による特定のオプション権に対する一時金およびマイルストンペイメントとして761億81百万円(前期は655億41百万円)を計上しました。
○ 主なグローバルブランドの売上収益は、「レンビマ」が1,118億94百万円(前期比78.9%増)、抗がん剤「ハラヴェン」が402億13百万円(同2.6%減)、「フィコンパ」が252億52百万円(同31.0%増)となりました。
○ 研究開発費は、次世代アルツハイマー病疾患修飾剤として開発中の「BAN2401」、および米メルク社の抗PD-1抗体「キイトルーダ」との併用療法を開発中の「レンビマ」を中心に、積極的な資源投入を行った一方、パートナーシップモデルによる費用抑制効果により減少しました。
○ 販売費及び一般管理費の増加は、主に「レンビマ」の売上拡大に伴う米メルク社への折半利益の支払い増加によるものです。
○ 以上の結果、営業利益は前期比45.7%増の大幅な増益となりました。加えて、米国法人税に対する会計上の引当金を戻入した影響、および当社グループ内の資金偏在解消のため米国の連結子会社から当社へ払込資本の払戻しを行った結果、税務上の譲渡損失等が当社にて発生した影響により、法人所得税が減少し、当期利益は同84.2%増のさらなる増益となりました。
[セグメントの状況]
(各セグメントの売上収益は外部顧客に対するものです)
当社グループは、セグメントを医薬品事業とその他事業に区分しており、医薬品事業を構成する日本、アメリカス(北米)、中国、EMEA(欧州、中東、アフリカ、オセアニア)、アジア・ラテンアメリカ(韓国、台湾、香港、インド、アセアン、中南米等)、一般用医薬品等(日本)の6つの事業セグメントを報告セグメントとしています。当連結会計年度において、より機動的な戦略遂行のため日本医薬品事業から一般用医薬品等事業を分離し、新たな報告セグメントとしています。なお、本資料のセグメント情報に関する対前期の数値は新たな報告セグメントに基づいて記載しています。
<日本医薬品事業>○ 売上収益は2,471億34百万円(前期比10.7%減)、セグメント利益は941億98百万円(同6.0%減)となりました。ジェネリック医薬品事業子会社の譲渡などの影響により減収となりました。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、ファイザー社と共同販促を展開している疼痛治療剤「リリカ」の共同販促収入が285億92百万円(前期比0.9%増)、不眠症治療剤「ルネスタ」が126億28百万円(同12.6%増)、「フィコンパ」は39億50百万円(同33.7%増)と成長しました。アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」は132億69百万円(同26.0%減)となりました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が131億7百万円(同31.7%増)と大幅な拡大を果たし、「ハラヴェン」は92億46百万円(同1.9%減)となりました。ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」は518億53百万円(同10.5%増)と成長しました。
○ 2019年11月、パーキンソン病治療剤「エクフィナ」を新発売しました。
<アメリカス医薬品事業>○ 売上収益は1,279億31百万円(前期比30.7%増)、セグメント利益は599億69百万円(同29.4%増)となりました。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、抗てんかん剤「Banzel」が223億52百万円(前期比27.9%増)、「Fycompa」が130億23百万円(同40.1%増)と大幅に拡大しました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が680億40百万円(同81.4%増)と大幅な拡大を果たしました。「ハラヴェン」は146億57百万円(同10.9%減)となりました。
<中国医薬品事業>○ 売上収益は770億4百万円(前期比16.1%増)、セグメント利益は327億67百万円(同34.2%増)となりました。
○ 品目別売上収益については、2018年11月に新発売した「レンビマ」(肝細胞がんに係る適応)が132億64百万円(前期は31億17百万円)と順調に拡大しました。末梢性神経障害治療剤「メチコバール」は201億18百万円(前期比0.8%増)、「アリセプト」は97億13百万円(同3.9%増)と成長しました。肝臓疾患用剤・アレルギー用薬「強力ネオミノファーゲンシー/グリチロン錠」は102億91百万円(同4.1%減)となりました。
○ 2019年12月、「ハラヴェン」および「Fycompa」を新発売しました。
○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「Fycompa」が71億30百万円(前期比16.2%増)、抗てんかん剤「Zebinix」が64億95百万円(同12.7%増)と成長しました。抗てんかん剤「ゾネグラン」は38億84百万円(同5.1%減)となりました。オンコロジー領域では、「ハラヴェン」が138億10百万円(同9.0%増)と成長し、「レンビマ/Kisplyx」は126億85百万円(同59.0%増)と大幅に拡大しました。
<アジア・ラテンアメリカ医薬品事業>○ 売上収益は466億43百万円(前期比4.3%減)、セグメント利益は159億61百万円(同4.3%増)となりました。2019年8月、台湾において、「ヒュミラ」の開発および販売契約が終結した影響により減収となりました。
○ 品目別売上収益については、「レンビマ」が47億98百万円(前期比20.2%増)と大幅に成長した一方、「アリセプト」が108億21百万円(同8.4%減)、「ヒュミラ」が95億82百万円(同26.2%減)となりました。
○ 2019年9月、インドネシアにおいて、「Fycompa」を新発売しました。
<一般用医薬品等事業>○ 売上収益は249億4百万円(前期比2.4%増)、セグメント利益は45億48百万円(同0.3%増)となりました。
○ チョコラBBグループの売上収益は、154億78百万円(前期比0.9%増)となりました。
○ 2019年8月、「ザーネクリーム」(医薬部外品)を20年ぶりにリニューアルし、発売しました。
○ 2019年8月、「イータック抗菌化ウエットシート」(雑貨)を新発売しました。
(3)財政状態の状況
○ 資産合計は、1兆621億40百万円(前期末より93億80百万円減)となりました。売上収益の増加に伴い営業債権及びその他の債権が増加し、IFRS第16号「リース」の適用により有形固定資産も増加した一方で、長期借入金の返済などにより現金及び現金同等物が減少したほか、ジェネリック医薬品事業子会社の譲渡により売却目的で保有する資産が減少しました。
○ 負債合計は、3,595億10百万円(前期末より600億28百万円減)となりました。IFRS第16号「リース」の適用によりその他の金融負債が増加した一方で、長期借入金が減少したほか、ジェネリック医薬品事業子会社の譲渡により売却目的で保有する資産に直接関連する負債が減少しました。
○ 資本合計は、支払配当金を大幅に上回る当期利益を計上したことにより、7,026億30百万円(前期末より506億49百万円増)となりました。
○ 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は63.8%(前期末より5.2ポイント増)となり、財務の健全性はより一層高まりました。
(4)キャッシュ・フローの状況
○ 営業活動によるキャッシュ・フローは、1,027億82百万円の収入(前期より9億32百万円の収入減)となりました。税引前当期利益が増加した一方で、売上収益の増加に伴う売掛金の増加や預り金(米メルク社からの研究開発償還金)の取崩しなどにより運転資本が増加しました。
○ 投資活動によるキャッシュ・フローは、276億25百万円の支出(前期より197億7百万円の支出増)となりました。資本的支出等は無形資産の取得など積極的な投資により345億51百万円(前期より158億98百万円の支出増)となりました。
○ 財務活動によるキャッシュ・フローは、1,035億28百万円の支出(前期より243億47百万円の支出増)となりました。配当金の支払い458億49百万円のほか、長期借入金400億円を返済しました。
○ 以上の結果、現金及び現金同等物の残高は2,542億44百万円(前期末より376億80百万円減)、営業活動によるキャッシュ・フローから資本的支出等を差し引いたフリー・キャッシュ・フローは682億31百万円となり、年間配当額を大幅に上回るキャッシュを創出しました。
(5)生産、受注および販売の実績
① 生産実績
(a) 生産実績
当期における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 日本医薬品事業 | 160,518 | 112.4 |
| アメリカス医薬品事業(注3) | 322,185 | 199.1 |
| 中国医薬品事業(注3) | 80,147 | 378.1 |
| EMEA医薬品事業(注3) | 85,606 | 136.7 |
| アジア・ラテンアメリカ医薬品事業 | 45,234 | 113.4 |
| 一般用医薬品等 | 9,997 | 100.3 |
| 報告セグメント計 | 703,687 | 160.6 |
| その他事業 | 3,794 | 146.9 |
| 合計 | 707,482 | 160.5 |
(注1) 金額は販売見込価格により算出し、セグメント間の取引については相殺消去しています。
(注2) 上記金額には消費税等を含めていません。
(注3) 前期より生産実績が増加した理由は、主に抗がん剤「レンビマ」の販売の増加に伴うものです。
(b) 商品仕入実績
当期における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 日本医薬品事業(注3) | 49,504 | 72.2 |
| アメリカス医薬品事業 | 21 | 101.2 |
| 中国医薬品事業 | 2,370 | 175.5 |
| EMEA医薬品事業 | 3,540 | 129.2 |
| アジア・ラテンアメリカ医薬品事業 | 8,623 | 85.5 |
| 一般用医薬品等 | 5,910 | 104.5 |
| 報告セグメント計 | 69,968 | 79.2 |
| その他事業 | 358 | 86.1 |
| 合計 | 70,326 | 79.2 |
(注1) 金額は仕入価格により算出し、セグメント間の取引については相殺消去しています。
(注2) 上記金額には消費税等を含めていません。
(注3) 前期より商品仕入実績が減少した理由は、主にジェネリック医薬品事業子会社の譲渡によるものです。
② 受注実績
当社グループは販売計画に基づいた生産を行っているため、該当事項はありません。
③ 販売実績
当期における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 日本医薬品事業 | 247,134 | 89.3 |
| アメリカス医薬品事業 | 127,931 | 130.7 |
| 中国医薬品事業 | 77,004 | 116.1 |
| EMEA医薬品事業 | 53,651 | 107.7 |
| アジア・ラテンアメリカ医薬品事業 | 46,643 | 95.7 |
| 一般用医薬品等 | 24,904 | 102.4 |
| 報告セグメント計 | 577,267 | 102.4 |
| その他事業(注4) | 118,355 | 149.6 |
| 合計 | 695,621 | 108.2 |
(注1) セグメント間の取引については相殺消去しています。
(注2) 上記金額には消費税等を含めていません。
(注3) 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
| 相手先 | 当期 | 前期 | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| 米メルク社 | 76,181 | 11.0 | 65,541 | 10.2 |
| アルフレッサ ホールディングス㈱ | 59,304 | 8.5 | 65,944 | 10.3 |
(注4) 前期より販売実績が増加した理由は、主に米メルク社との抗がん剤「レンビマ」に関する戦略的提携のオプション権行使に伴う一時金およびマイルストンによるものです。
(6)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
連結財務諸表作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3. 重要な会計方針、 4. 重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による翌期にわたる事業活動への影響として、売上収益に3%程度のマイナス要因を織り込んでいます。一方、販売管理費の低減等も見込まれるため、営業利益における影響は軽微と見込んでいます。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)事業の概況、(2)経営成績の状況、 (3)財政状態の状況、(4)キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、資金調達手段について、「手元現金」、次に「負債による資金調達(デット)」、最後に「株式の新規発行による資金調達(エクイティ)」とするペッキング・オーダー理論にもとづく優先順位付けをしております。原則として、手元現金の活用および負債が優先であり、既存株主の価値を毀損する可能性があるエクイティによる資金調達は最終手段として考えています。
そのため、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)管理による運転資本のコントロール、投資有価証券を含む資産売却などによるバランスシート・マネジメントを継続的かつグローバルに推進することで資産効率を高め、最適資本構成にもとづく最適配当政策と積極的な成長投資の両立を可能としています。
2019年度において、株主還元については、健全なバランスシートを維持していることから、10年ぶりの増配(150円から160円へ10円増配)を行いました。成長投資については、将来の成長のための川島工園・筑波研究所の設備・施設への投資をはじめ、レンボレキサントの販売権獲得など積極的に実施しました。2020年度においても積極的な成長投資を継続する計画で、資本的支出は560億円を見込み、手元資金を充当する予定です。
資金の流動性については、現時点では概ね月商の3倍を適正な運転資金の水準と考えています。2019年度末における現金及び現金同等物残高は2,542億円であり、十分な流動性を確保しています。さらに、当座借越・コミットメントラインなどの流動性補完により、流動性を一層強化しています。また、手元資金の効率的な活用を企図して、日本国内・EMEA域内におけるキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)に加え、グローバル・キャッシュ・マネジメント・システム(GCMS)を導入しています。
2019年度末時点での実質的なキャッシュ残高である有利子負債控除後のネットキャッシュは1,946億円と、実質無借金を維持しています。引き続き、「ネットキャッシュの維持」を主要な財務規律として重視するとともに、Net DERを±0.3レベルにコントロールすることで財務の健全性を維持します。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な株主価値創造に向けた取り組みのもと、中期経営計画「EWAY 2025」の中間点である2020年度における数値目標・ガイダンスを設定しています。利益目標(営業利益:1,020億円レベル、当期利益:740億円レベル、ROE:10%以上)に関しては、2019年度は主に抗がん剤「レンビマ」の成長により、それぞれ1,255億円、1,225億円、18.6%となり、すべて1年前倒しで達成しました。このうち、ROEに関しては、「EWAY 2025」の最終年度である2025年度における目標(15%レベル)をも上回りました。売上収益に関しては、当初目標(8,000億円レベル)には届いていないものの、「レンビマ」を中心に更なる拡大を見込み、2020年度は7,190億円(前期比3.4%増)をめざします。
財務指標(上記ROEに加えて、DOE:8%レベル、親会社所有者帰属持分比率:50~60%、Net DER:△0.3~0.3)に関しては、2019年度はそれぞれ7.0%、63.8%、△0.29となりました。財務の健全性を維持しながら利益目標を達成したことを示しています。
なお、「EWAY 2025」の後半期間「EWAY FUTURE」においては、パートナーシップモデルにより積極的な研究開発投資を続けてきた次世代認知症治療薬や、アンメット・メディカル・ニーズの高いがん腫を標的とした「レンビマ」と抗PD-1抗体「キイトルーダ」の併用療法での患者様貢献により、前半期間を上回る成長を見込んでいます。