有価証券報告書-第84期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/24 13:54
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82項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)重要な会計方針および見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行っており、貸倒引当金、たな卸資産、有価証券、法人税等などに関する見積りおよび判断に対して継続的に評価を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの結果と異なる可能性があります。
(2)当事業年度の経営成績の分析
① 売上高
売上高は前年同期に比べ1億52百万円(1.3%)増加し、120億15百万円となりました。
臨床診断薬事業の売上高は51億67百万円(前年同期比1.8%増)となりました。
分野別では、微生物学的診断用薬においては、β-Dグルカン試薬群や結核菌群 rRNA検出試薬 TRCReady® MTB(※東ソー株式会社)等が好調に推移し、売上高は前年同期に比べ93百万円(5.6%)増加し17億62百万円となりました。検査用機器および器材関連においては、自動遺伝子検査装置 TRCReady®-80(※東ソー株式会社)が堅調に伸び始め、売上高は前年同期に比べ5百万円(1.6%)増加し3億15百万円となりました。
産業検査薬事業の売上高は29億35百万円(前年同期比3.3%増)となりました。
分野別では、微生物学的検査薬においては、菌数測定用乾式簡易培地コンパクトドライ®の着実な伸びと、当期より販売を開始した遺伝子検出装置 GVP-9600やノロウイルスG1&G2検出試薬キット等(※ともに株式会社島津製作所)が順調に推移し、売上高は前年同期に比べ95百万円(4.1%)増加し24億27百万円となりました。
医薬事業の売上高は、健康未来創造研究会の正規会員店及び新規会員店は堅調な売上推移となったものの、一般店においては前年同期比約14%の売上の減少、また既存店舗への販促・マーケティング支援活動が停滞し「コンクレバン」、「日水清心丸」、「シーアルパ30」、「日水補腎片」等の主要製品が約3%以上の前年実績割れとなり、29億83百万円(前年同期比2.0%減)となりました。
化粧品事業の売上高は、海洋由来成分原料の「オレンジラフィー油」を配合した高保湿クリームの基礎化粧品「メールエクラ モイストハンドクリーム」、「リスブラン エンリッチモイストクリーム」の売上が堅調に推移したことに加え、新製品である「リスブラン UVプロテクトジェル」の初回生産ロットが完売になるなど好調な滑り出しとなった結果、9億28百万円(前年同期比2.9%増)となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価率は原価低減に努めた結果、前年同期に比べ1.3ポイント改善しました。
販売費及び一般管理費は前年同期に比べ1億52百万円増加し、41億74百万円となりました。これは、人件費、研究開発費が増加した一方、広告宣伝費、販売促進費等が減少したことによります。
③ 営業利益
営業利益は前年同期に比べ81百万円(4.2%)増加し、19億93百万円となりました。
内訳は、臨床診断薬事業が10億65百万円(前年同期比3.6%減)、産業検査薬事業が8億58百万円(前年同期比1.5%増)、医薬事業が6億58百万円(前年同期比52.5%増)、化粧品事業が2億29百万円(前年同期比2.5%減)であります。
なお、それぞれの営業利益は、各事業に配賦できない支援に係る費用等8億18百万円が控除されておりません。
④ 営業外収益・営業外費用
営業外収益は前年同期に比べ5億8百万円減少し、14億13百万円となりました。これは主に投資有価証券売却益の減少によるものです。
営業外費用は前年同期に比べ4億5百万円増加し、4億8百万円となりました。これは主に投資有価証券売却損の発生によるものです。
⑤ 経常利益
経常利益は前年同期に比べ8億32百万円減少し、29億98百万円となりました。これは営業外収益の減少と営業外費用の増加によるものです。
⑥ 特別利益・特別損失
特別利益は固定資産売却益により、0百万円となりました。
特別損失は固定資産処分損と投資有価証券評価損の発生により、82百万円となりました。
⑦ 当期純利益
当期純利益は前年同期に比べ4億29百万円減少し、20億41百万円となりました。
(3)資本の財源および資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当事業年度末の現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ19億45百万円(40.4%)減少し28億69百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、13億49百万円の収入(前年同期は11億30百万円の収入)となりました。これは主に税引前当期純利益29億16百万円に対し、受取利息及び配当金2億8百万円、投資有価証券売却損益7億64百万円、法人税等の支払額10億81百万円があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、25億11百万円の支出(前年同期は13億30百万円の収入)となりました。これは主に関係会社預け金の減少による資金の増加5億円、有価証券の売却・償還による収入3億円、投資有価証券の売却・償還による収入129億62百万円に対し、投資有価証券の取得による支出159億76百万円、有形固定資産の取得による支出4億39百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、7億83百万円の支出(前年同期は8億52百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払によるものであります。
② 財政状態
(資産)
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ9億32百万円減少し338億20百万円となりました。主な増加は投資有価証券15億72百万円で、主な減少は関係会社預け金21億84百万円です。
(負債)
当事業年度末の負債は、前事業年度末に比べ8億27百万円減少し29億35百万円となりました。主な増加はリース債務(固定負債)1億23百万円で、主な減少は未払金3億69百万円、未払法人税等2億57百万円です。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ1億5百万円減少し308億84百万円となりました。
この結果、自己資本比率は91.3%となりました。
(4)今後の方針について
当社は、「私たちは人々の健康と幸せを実現する企業を目指します」の経営理念にもとづき、「長期的に持続的成長する企業」を目指し、時代の求める魅力ある個性的な製品を提供する企業として、お客様の求める製品・品質・サービスの向上を追求してまいります。
持続的成長を目指して迅速な意思決定と業務執行のスピードアップを図るため、組織を経営戦略部門と事業部門に分けるとともに、判断の迅速化、事業戦略の効率化、事業損益の明確化を目的として、執行役員会の新設と執行役員の増員をいたしました。執行役員に権限を委譲するとともに、業務執行の報告と部門間の調整および決裁の迅速化を図り、製販一体となる企業活動に向けた事業別営業利益の最大化を目指します。
臨床診断薬事業においては、「感染症管理や精度管理システムの水準向上に貢献すべく、基幹病院や検査センターで競合他社に勝る存在価値の向上を実現する」との戦略目標を掲げ、当社の強みを前面に押し出した戦略を実行し、最適な組織再編成を通じてお客様の問題解決に迅速に貢献する体制の構築を目指します。とりわけ個人に偏重しがちなセリングプロセスを重要視しチームワークを活性化させるとともに、リソースを効果的に組み合わせることで、顧客満足の最大化を推進してまいります。(セリングプロセス = 個々の直感・感性だけではない目標達成への包括的な営業活動プロセス)
なお、本事業においては、自動蛍光免疫測定装置「シスメックス・ビオメリュー株式会社 バイダスシリーズ」の販売を平成28年4月より開始いたしました。
産業試薬事業においては、「微生物検査や食品安全検査を実施する大手顧客企業の安全管理上の問題を解決する提案活動を通じて、顧客企業の競争力の向上に貢献する企業との評価を確立する」との戦略目標を掲げ、微生物検査のパイオニアとしてお客様の支持を獲得してまいります。DAC(国内大規模グループ企業:Domestic Affiliated Company)への戦略的活動を推進すべく、お客様にとっての存在価値の向上を図るともに、次世代を見据えた再生医療分野へ挑戦してまいります。
なお、本事業においては、国立大学法人東京医科歯科大学再生医療研究センターとのオープンイノベーションによる、マイコプラズマ遺伝子検出キット「Myco Finder」の販売を平成28年4月より開始いたしました。
医薬事業においては、急速な少子高齢化の進展や生活習慣病の増加などの疾病構造の変化、QOL(Quality Of Life)の意識向上に伴い、消費者の健康に対する関心が高まっています。医薬直販営業部では、直販営業部門の健康未来創造研究会への新規会員店を伸長させるとともに、主力基幹製品(コンクレバン、日水清心丸、シーアルパ100、シーアルパ30、シーエーアップ)に特化した販売施策と世代別服用に応じた対象顧客への啓蒙と拡大を図ってまいります。医薬ソリューション営業部では、長年培った天然原料を活かした医薬品や健康食品の開発や新規販売ルートの開拓に注力いたします。
化粧品事業においては、お取扱店とのコミュニケーションの強化に努め、海洋由来成分原料を活かした製品開発及びリニューアルを軸に、新規お取扱店の拡大と新規販売チャネルの拡大を目指します。主力ブランドの増強、海洋資源由来の天然素材を用いたスキンケア製品等の開発を推進し、敏感肌向け化粧品としてのブランド強化を目指してまいります。
研究部門においては、新製品及び既存製品における開発や改良を主とした「製品開発部」、再生医療分野における新規事業化への研究強化と将来性のある基盤技術獲得のためのオープンイノベーション推進を主とした「研究部」に改編いたしました。

事業企画推進室においては、将来性のある基盤技術獲得のためのオープンイノベーション推進と再生医療分野の新規事業化に向けた製品開発や販路の探索・獲得に取り組んでまいりましたが、将来的な事業や投資を担う「事業企画室」と既存事業の拡大を担う「事業推進室」に再編いたしました。国内では外部企業との連携や大学等との共同研究に関するアライアンスやコア事業強化に向けたM&A・事業提携先の調査等を、海外では成長基盤を拡げるべく事業の加速に向けたグローバル戦略を精緻に推進すべく、より専属的な組織体系化を図ることで製造業としての高い質を目指してまいります。
今後も、労働生産性の向上、企業価値の創出、リアルタイム性を追求した供給体制の観点に基づき、迅速な意思決定と経営合理化による的確な経営判断により時代の求める魅力ある個性的な製品を提供できる、「長期的に持続的成長をする企業」を目指して邁進してまいります。