有価証券報告書-第46期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
① 当期の経営成績
売上高は300億85百万円(前期比21.4%増)となり、9期連続の増収、過去最高を記録しました。
主力製品である遺伝子組換え天然型ヒト成長ホルモン製剤「グロウジェクト®」の売上は、2020年4月に薬価改定がありましたが、販売数量が増加したことにより前期を上回りました。
また、腎性貧血治療薬合計の売上高および契約金収入も前期を上回ったことにより、売上高合計は前期に比べて21.4%の増収となりました。
利益面におきましては、売上高増収に伴う売上総利益の増加(前期比31.9%増)の一方で、販売費及び一般管理費が前期比2.7%増にとどまったことにより、営業利益は82億69百万円(前期比154.9%増)、経常利益は84億88百万円(前期比157.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は68億92百万円(前期比157.4%増)となり、いずれも増益、過去最高を記録しました。
研究開発は順調に進捗していますが、効率的な研究開発を行った結果、研究開発費は10.6%減少し、53億60百万円(前期比6億37百万円減)となりました。
営業利益の増減要因は以下の通りです。
・主力製品の寄与による売上高の増加 5,303百万円
・売上原価の減少 88百万円
・売上高増加に伴う販売費・一般管理費の増加 △1,004百万円
・研究開発費の減少 637百万円
② 主要な売上
(注)1 持続型腎性貧血治療薬「ダルベポエチンアルファBS注JCR」を2019年11月より発売した影響で、短期型腎性貧血治療薬「エポエチンアルファBS注JCR」の売上が減少しましたが、腎性貧血治療薬合計の売上は前期を上回りました。
2 契約金収入は研究開発の進捗によるマイルストーンなどの契約に由来します。
3 当連結会計年度の医薬品売上高は23,667百万円であります。
③ 研究開発の状況
[ライソゾーム病治療薬]
・現在重点的に取り組んでいるライソゾーム病治療薬の開発では、独自の血液脳関門通過技術「J-Brain Cargo®」を適用した新薬の開発を行っております。
・血液脳関門通過型ハンター症候群治療薬パビナフスプ アルファ(開発番号:JR-141・「イズカーゴ®点滴静注用10mg」)については、2021年3月に日本で製造販売承認を取得いたしました。また、ブラジル連邦共和国では2020年12月にブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)に製造販売承認申請を行い、その他の地域では2018年10月に米国食品医薬局(FDA)、2019年2月に欧州医薬品庁(EMA)よりオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の指定を受けており、また、2021年2月、FDAにFast Track指定及び臨床第3相試験の開始が承認されております。当該試験は、グローバル臨床試験として、米国に続き、ブラジル・欧州においても試験開始に向けた準備を進めております。
・血液脳関門通過型ムコ多糖症Ⅰ型治療酵素製剤(開発番号:JR-171)については、グローバル臨床試験として、日本では2020年7月に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に臨床第1/2相試験の治験計画届が受理され、2020年10月に第1例目となる被験者の方に治験薬が投与されました。また、ANVISAおよびFDAにおいても治験開始が承認されております。
・その他のJ-Brain Cargo®を適用したライソゾーム病治療薬(ポンペ病治療薬(開発番号:JR-162)、サンフィリッポ症候群A型治療薬(開発番号:JR-441)、スライ症候群治療薬(開発番号:JR-443)、サンフィリッポ症候群B型治療薬(開発番号:JR-446)についても、研究開発を順次行うとともにグローバル展開を推進してまいります。
[再生医療等製品]
・2019年7月から新生児低酸素性虚血性脳症(開発番号:JR-031HIE)への「テムセル®HS注」の新たな適応拡大として臨床第1/2相試験を開始しております。
・2021年3月に表皮水疱症(開発番号・JR-031EB)への「テムセル®HS注」の適応拡大を目的とした開発の中止を決定いたしました。
・帝人株式会社との共同開発である他家(同種)歯髄由来幹細胞(DPC)を用いた急性期脳梗塞を適応症とする再生医療等製品(開発番号:JTR-161/JR-161)については、2019年2月より臨床第1/2相試験を開始しております。
[ヒト成長ホルモン製剤]
・2018年7月から「グロウジェクト®」の効能追加としてSHOX異常症に対する臨床第3相試験を開始しております。
・2021年3月から、遺伝子組換え持続型成長ホルモン製剤(開発番号:JR-142)の臨床第2相試験を開始しております。
④ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ153億32百万円増加して262億60百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況および主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、103億41百万円(前連結会計年度比54億13百万円の収入増)となりました。これは主に、たな卸資産の増加額46億99百万円があった一方で、税金等調整前当期純利益の計上額86億53百万円、減価償却費の計上18億92百万円および前受金の増加額24億93百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、32億90百万円(前連結会計年度比8億70百万円の支出減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出47億80百万円および特許権の取得による支出27億47百万円があった一方で、助成金の受取額38億92百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、83億4百万円(前連結会計年度比62億55百万円の収入増)となりました。これは主に、配当金の支払額10億83百万円があった一方で、短期借入金の純増額83億20百万円があったことによるものであります。
⑤ 生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は販売価格により表示しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当社グループは見込生産によっており、受注生産は行っておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 主な相手先別の販売実績およびそれぞれの総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
⑥ 経営成績への影響
新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、当連結会計年度につきましては影響を受けておりません。
また、本報告書作成時点においては、パイプラインの臨床試験の遅延等は発生しておらず、製品や原材料、製造用資材についても当面の生産に必要な在庫は確保しており、大きな影響はないと判断しております。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、たな卸資産、有価証券、特許権、貸倒引当金、退職給付に係る負債および繰延税金資産などについて、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」および「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」に記載のとおり、資産・負債および収益・費用の数値に影響を与える見積りおよび判断を行っております。従いまして、実際の結果は、見積りの不確実性により異なる場合があります。
新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、収束まではある程度の期間を要すると想定しておりますが、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおり、当社グループの業績への影響は軽微であると判断しております。従いまして、当連結会計年度における会計上の見積りへの影響はございません。また、本報告書提出日現在において、翌連結会計年度におきましても同様であると判断しております。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
・財政状態
当連結会計年度末における資産合計は737億84百万円(前連結会計年度末比260億8百万円増)、負債合計は352億27百万円(前連結会計年度末比200億31百万円増)、純資産合計は385億57百万円(前連結会計年度末比59億77百万円増)となりました。
流動資産は、現金及び預金およびたな卸資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ202億3百万円増加して485億45百万円となりました。固定資産につきましては、米国ArmaGen,Inc.を買収したことによる特許権の計上および新型コロナウイルスワクチン原液新工場建設用の土地の取得などにより、前連結会計年度末に比べ58億5百万円増加して252億38百万円となりました。
流動負債は短期借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ185億94百万円増加して290億28百万円となりました。固定負債は、社債および長期借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ14億37百万円増加して61億99百万円となりました。
純資産につきましては、配当金の支払があった一方で親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末に比べ59億77百万円増加して385億57百万円となりました。
これらの結果、当連結会計年度末における自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ15.3ポイント低下して51.3%となりました。
現時点では当社グループにおいて、新型コロナウイルス感染症の影響は受けておりませんが、今後の世界情勢の見通しが立たない中、当社グループがグローバルで持続的な成長を行うために、機動的かつ安定的に資金調達手段を確保する必要があり、各金融機関との間で、バックアップラインとして運転資金を確保する事を目的として、当連結会計年度に総額155億円のコミットメントライン契約を締結しております。
・経営成績
売上高は前連結会計年度に比べ53億3百万円(21.4%)増加して300億85百万円となりました。
主力製品であるヒト成長ホルモン製剤「グロウジェクト®」につきましては、営業体制変更による効率的なプロモーションに加え、電動式デバイスの特徴を活かしたアプリケーションの公開などによる同種製品との差別化戦略の強化により、前期比6億5百万円(4.8%)の増収となりました。また、2020年4月の薬価改定により販売単価は引き下げとなりましたが、数量ベースでは前期比9.8%増加したことにより、増収を確保することが出来ました。また、2022年3月期につきましても、2021年4月の薬価改定の影響を吸収して増収となることを見込んでおります。
腎性貧血治療薬につきましては、短期型腎性貧血治療薬「エポエチンアルファBS注JCR」の売上高は減少しましたが、持続型腎性貧血治療薬「ダルベポエチンアルファBS注JCR」の売上高は増加し、腎性貧血治療薬合計では70億87百万円(前期比15億77百万円・28.6%増)となっております。2022年3月期につきましても引き続き需要増が見込まれますが、2021年4月の薬価改定による販売単価の引き下げの影響を受けるため、減収を見込んでおります。
再生医療等製品「テムセル®HS注」の販売につきましては、予想を上回る需要に供給が追い付かず、2020年4月から8月までの間供給制限を実施した影響で、当連結会計年度の売上高は前期比6億85百万円(21.9%)の減収となりました。しかし、当連結会計年度において、需要に合わせた供給体制の増強を実施し、安定在庫を確保できるようになったため、2022年3月期につきましては増収を見込んでおります。
国産初のライソゾーム病治療薬であるファブリー病治療薬「アガルシダーゼベータBS点滴静注JCR」につきましては、販売開始以降、徐々に市場への浸透が進んでおり、当連結会計年度は前期比で増収となっており、2022年3月期につきましても引き続き増収を見込んでおります。
また、2020年12月より、アストラゼネカ株式会社から新型コロナウイルスワクチン(AZD1222)原液の国内製造を受託しており、当連結会計年度における売上高は4億4百万円となっております。2022年3月期につきましても受託製造を続けるため、増収を見込んでおります。
契約金収入に関しましては、ライセンス収入および製造能力を確保したことに対する対価などから、前期比43億55百万円(212.4%)の増収となりました。2022年3月期につきましても、さらに増収となる見込みです。
一方で、研究開発費につきましては、研究開発は順調に進捗しておりますが、効率的な研究開発をおこなった結果、53億60百万円と前期比6億37百万円(10.6%)の減少となっております。研究開発費は2020年に公表しました3ヵ年中期経営計画「変革」のガイダンスで対売上高比率20%を目安に投資を行うと示しており、当連結会計年度における対売上高比率は17.8%であります。2022年3月期につきましては、2021年5月に薬価収載された「イズカーゴ®点滴静注用10mg」に続く、J-Brain Cargo®を適用した一連のライソゾーム病治療薬について、将来の成長に向けて積極的にグローバルで開発を行う計画であり、103億円(当期比92.2%増・対売上高比21%)の研究開発費を見込んでおります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.当社グループの資本の財源および資金の流動性
・資金需要の主な内容
当社グループにおきましては、原材料等の仕入れ、研究開発費、人件費および販売費などの運転資金、ならびに生産および研究開発を目的とする設備投資に主たる資金需要が生じます。
なお、研究開発費につきましては、対売上高比率20%を目安に投資を行っております。
また、株主還元についても、経営上の重要な施策の一つとして位置づけております。剰余金の配当等につきましては、将来の利益の源泉となる新薬開発や経営体質強化のための内部留保を確保しつつ、業績およびキャッシュ・フローの状況を勘案しながら継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としており、ご期待に応える株主還元と財務の健全性のバランスを重視し、配当性向につきましては30%を目安としております。
・資金調達
これらの資金需要に対しましては、営業活動によるキャッシュ・フローからの充当を基本とし、不足する場合は金融機関からの借入金による調達を実施しております。
当連結会計年度末時点の現金及び現金同等物残高は262億60百万円となっており、事業遂行に必要な資金を十分確保しております。
なお、現時点では当社グループにおいて、新型コロナウイルス感染症の影響は受けておりませんが、今後の世界情勢の見通しが立たない中、当社グループがグローバルで持続的な成長を行うために、機動的かつ安定的に資金調達手段を確保する必要があり、各金融機関との間でバックアップラインとして運転資金を確保する事を目的として、当連結会計年度に総額155億円のコミットメントライン契約を締結しております。
① 当期の経営成績
売上高は300億85百万円(前期比21.4%増)となり、9期連続の増収、過去最高を記録しました。
主力製品である遺伝子組換え天然型ヒト成長ホルモン製剤「グロウジェクト®」の売上は、2020年4月に薬価改定がありましたが、販売数量が増加したことにより前期を上回りました。
また、腎性貧血治療薬合計の売上高および契約金収入も前期を上回ったことにより、売上高合計は前期に比べて21.4%の増収となりました。
利益面におきましては、売上高増収に伴う売上総利益の増加(前期比31.9%増)の一方で、販売費及び一般管理費が前期比2.7%増にとどまったことにより、営業利益は82億69百万円(前期比154.9%増)、経常利益は84億88百万円(前期比157.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は68億92百万円(前期比157.4%増)となり、いずれも増益、過去最高を記録しました。
研究開発は順調に進捗していますが、効率的な研究開発を行った結果、研究開発費は10.6%減少し、53億60百万円(前期比6億37百万円減)となりました。
| 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 増減 | |
| 金額(百万円) | 金額(百万円) | % | |
| 売上高 | 24,781 | 30,085 | 21.4 |
| 営業利益 | 3,244 | 8,269 | 154.9 |
| 経常利益 | 3,293 | 8,488 | 157.7 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2,678 | 6,892 | 157.4 |
営業利益の増減要因は以下の通りです。
・主力製品の寄与による売上高の増加 5,303百万円
・売上原価の減少 88百万円
・売上高増加に伴う販売費・一般管理費の増加 △1,004百万円
・研究開発費の減少 637百万円
② 主要な売上
| 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 増減 | |
| 金額(百万円) | 金額(百万円) | % | |
| ヒト成長ホルモン製剤 グロウジェクト® | 12,650 | 13,256 | 4.8 |
| 再生医療等製品 テムセル®HS注 | 3,126 | 2,441 | △21.9 |
| 腎性貧血治療薬 エポエチンアルファBS注「JCR」 ダルベポエチンアルファBS注「JCR」 | 5,509 4,097 1,412 | 7,087 3,278 3,809 | 28.6 △20.0 169.7 |
| ファブリー病治療薬 アガルシダーゼベータBS点滴静注「JCR」 | 317 | 470 | 48.2 |
| AZD1222原液 | - | 404 | - |
| 契約金収入 | 2,050 | 6,406 | 212.4 |
(注)1 持続型腎性貧血治療薬「ダルベポエチンアルファBS注JCR」を2019年11月より発売した影響で、短期型腎性貧血治療薬「エポエチンアルファBS注JCR」の売上が減少しましたが、腎性貧血治療薬合計の売上は前期を上回りました。
2 契約金収入は研究開発の進捗によるマイルストーンなどの契約に由来します。
3 当連結会計年度の医薬品売上高は23,667百万円であります。
③ 研究開発の状況
[ライソゾーム病治療薬]
・現在重点的に取り組んでいるライソゾーム病治療薬の開発では、独自の血液脳関門通過技術「J-Brain Cargo®」を適用した新薬の開発を行っております。
・血液脳関門通過型ハンター症候群治療薬パビナフスプ アルファ(開発番号:JR-141・「イズカーゴ®点滴静注用10mg」)については、2021年3月に日本で製造販売承認を取得いたしました。また、ブラジル連邦共和国では2020年12月にブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)に製造販売承認申請を行い、その他の地域では2018年10月に米国食品医薬局(FDA)、2019年2月に欧州医薬品庁(EMA)よりオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の指定を受けており、また、2021年2月、FDAにFast Track指定及び臨床第3相試験の開始が承認されております。当該試験は、グローバル臨床試験として、米国に続き、ブラジル・欧州においても試験開始に向けた準備を進めております。
・血液脳関門通過型ムコ多糖症Ⅰ型治療酵素製剤(開発番号:JR-171)については、グローバル臨床試験として、日本では2020年7月に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に臨床第1/2相試験の治験計画届が受理され、2020年10月に第1例目となる被験者の方に治験薬が投与されました。また、ANVISAおよびFDAにおいても治験開始が承認されております。
・その他のJ-Brain Cargo®を適用したライソゾーム病治療薬(ポンペ病治療薬(開発番号:JR-162)、サンフィリッポ症候群A型治療薬(開発番号:JR-441)、スライ症候群治療薬(開発番号:JR-443)、サンフィリッポ症候群B型治療薬(開発番号:JR-446)についても、研究開発を順次行うとともにグローバル展開を推進してまいります。
[再生医療等製品]
・2019年7月から新生児低酸素性虚血性脳症(開発番号:JR-031HIE)への「テムセル®HS注」の新たな適応拡大として臨床第1/2相試験を開始しております。
・2021年3月に表皮水疱症(開発番号・JR-031EB)への「テムセル®HS注」の適応拡大を目的とした開発の中止を決定いたしました。
・帝人株式会社との共同開発である他家(同種)歯髄由来幹細胞(DPC)を用いた急性期脳梗塞を適応症とする再生医療等製品(開発番号:JTR-161/JR-161)については、2019年2月より臨床第1/2相試験を開始しております。
[ヒト成長ホルモン製剤]
・2018年7月から「グロウジェクト®」の効能追加としてSHOX異常症に対する臨床第3相試験を開始しております。
・2021年3月から、遺伝子組換え持続型成長ホルモン製剤(開発番号:JR-142)の臨床第2相試験を開始しております。
④ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ153億32百万円増加して262億60百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況および主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、103億41百万円(前連結会計年度比54億13百万円の収入増)となりました。これは主に、たな卸資産の増加額46億99百万円があった一方で、税金等調整前当期純利益の計上額86億53百万円、減価償却費の計上18億92百万円および前受金の増加額24億93百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、32億90百万円(前連結会計年度比8億70百万円の支出減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出47億80百万円および特許権の取得による支出27億47百万円があった一方で、助成金の受取額38億92百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、83億4百万円(前連結会計年度比62億55百万円の収入増)となりました。これは主に、配当金の支払額10億83百万円があった一方で、短期借入金の純増額83億20百万円があったことによるものであります。
⑤ 生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | |
| 生産高(百万円) | 前年同期比(%) | |
| 医薬品事業 | 27,656 | 160.6 |
| 合計 | 27,656 | 160.6 |
(注)1 金額は販売価格により表示しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当社グループは見込生産によっており、受注生産は行っておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | |
| 販売高(百万円) | 前年同期比(%) | |
| 医薬品事業 | 30,085 | 121.4 |
| 合計 | 30,085 | 121.4 |
(注)1 主な相手先別の販売実績およびそれぞれの総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | ||
| 販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
| キッセイ薬品工業株式会社 | 6,009 | 24.3 | 7,087 | 23.6 |
| 株式会社メディセオ | 6,989 | 28.2 | 6,549 | 21.8 |
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
⑥ 経営成績への影響
新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、当連結会計年度につきましては影響を受けておりません。
また、本報告書作成時点においては、パイプラインの臨床試験の遅延等は発生しておらず、製品や原材料、製造用資材についても当面の生産に必要な在庫は確保しており、大きな影響はないと判断しております。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、たな卸資産、有価証券、特許権、貸倒引当金、退職給付に係る負債および繰延税金資産などについて、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」および「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」に記載のとおり、資産・負債および収益・費用の数値に影響を与える見積りおよび判断を行っております。従いまして、実際の結果は、見積りの不確実性により異なる場合があります。
新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、収束まではある程度の期間を要すると想定しておりますが、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおり、当社グループの業績への影響は軽微であると判断しております。従いまして、当連結会計年度における会計上の見積りへの影響はございません。また、本報告書提出日現在において、翌連結会計年度におきましても同様であると判断しております。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
・財政状態
当連結会計年度末における資産合計は737億84百万円(前連結会計年度末比260億8百万円増)、負債合計は352億27百万円(前連結会計年度末比200億31百万円増)、純資産合計は385億57百万円(前連結会計年度末比59億77百万円増)となりました。
流動資産は、現金及び預金およびたな卸資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ202億3百万円増加して485億45百万円となりました。固定資産につきましては、米国ArmaGen,Inc.を買収したことによる特許権の計上および新型コロナウイルスワクチン原液新工場建設用の土地の取得などにより、前連結会計年度末に比べ58億5百万円増加して252億38百万円となりました。
流動負債は短期借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ185億94百万円増加して290億28百万円となりました。固定負債は、社債および長期借入金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ14億37百万円増加して61億99百万円となりました。
純資産につきましては、配当金の支払があった一方で親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末に比べ59億77百万円増加して385億57百万円となりました。
これらの結果、当連結会計年度末における自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ15.3ポイント低下して51.3%となりました。
現時点では当社グループにおいて、新型コロナウイルス感染症の影響は受けておりませんが、今後の世界情勢の見通しが立たない中、当社グループがグローバルで持続的な成長を行うために、機動的かつ安定的に資金調達手段を確保する必要があり、各金融機関との間で、バックアップラインとして運転資金を確保する事を目的として、当連結会計年度に総額155億円のコミットメントライン契約を締結しております。
・経営成績
売上高は前連結会計年度に比べ53億3百万円(21.4%)増加して300億85百万円となりました。
主力製品であるヒト成長ホルモン製剤「グロウジェクト®」につきましては、営業体制変更による効率的なプロモーションに加え、電動式デバイスの特徴を活かしたアプリケーションの公開などによる同種製品との差別化戦略の強化により、前期比6億5百万円(4.8%)の増収となりました。また、2020年4月の薬価改定により販売単価は引き下げとなりましたが、数量ベースでは前期比9.8%増加したことにより、増収を確保することが出来ました。また、2022年3月期につきましても、2021年4月の薬価改定の影響を吸収して増収となることを見込んでおります。
腎性貧血治療薬につきましては、短期型腎性貧血治療薬「エポエチンアルファBS注JCR」の売上高は減少しましたが、持続型腎性貧血治療薬「ダルベポエチンアルファBS注JCR」の売上高は増加し、腎性貧血治療薬合計では70億87百万円(前期比15億77百万円・28.6%増)となっております。2022年3月期につきましても引き続き需要増が見込まれますが、2021年4月の薬価改定による販売単価の引き下げの影響を受けるため、減収を見込んでおります。
再生医療等製品「テムセル®HS注」の販売につきましては、予想を上回る需要に供給が追い付かず、2020年4月から8月までの間供給制限を実施した影響で、当連結会計年度の売上高は前期比6億85百万円(21.9%)の減収となりました。しかし、当連結会計年度において、需要に合わせた供給体制の増強を実施し、安定在庫を確保できるようになったため、2022年3月期につきましては増収を見込んでおります。
国産初のライソゾーム病治療薬であるファブリー病治療薬「アガルシダーゼベータBS点滴静注JCR」につきましては、販売開始以降、徐々に市場への浸透が進んでおり、当連結会計年度は前期比で増収となっており、2022年3月期につきましても引き続き増収を見込んでおります。
また、2020年12月より、アストラゼネカ株式会社から新型コロナウイルスワクチン(AZD1222)原液の国内製造を受託しており、当連結会計年度における売上高は4億4百万円となっております。2022年3月期につきましても受託製造を続けるため、増収を見込んでおります。
契約金収入に関しましては、ライセンス収入および製造能力を確保したことに対する対価などから、前期比43億55百万円(212.4%)の増収となりました。2022年3月期につきましても、さらに増収となる見込みです。
一方で、研究開発費につきましては、研究開発は順調に進捗しておりますが、効率的な研究開発をおこなった結果、53億60百万円と前期比6億37百万円(10.6%)の減少となっております。研究開発費は2020年に公表しました3ヵ年中期経営計画「変革」のガイダンスで対売上高比率20%を目安に投資を行うと示しており、当連結会計年度における対売上高比率は17.8%であります。2022年3月期につきましては、2021年5月に薬価収載された「イズカーゴ®点滴静注用10mg」に続く、J-Brain Cargo®を適用した一連のライソゾーム病治療薬について、将来の成長に向けて積極的にグローバルで開発を行う計画であり、103億円(当期比92.2%増・対売上高比21%)の研究開発費を見込んでおります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.当社グループの資本の財源および資金の流動性
・資金需要の主な内容
当社グループにおきましては、原材料等の仕入れ、研究開発費、人件費および販売費などの運転資金、ならびに生産および研究開発を目的とする設備投資に主たる資金需要が生じます。
なお、研究開発費につきましては、対売上高比率20%を目安に投資を行っております。
また、株主還元についても、経営上の重要な施策の一つとして位置づけております。剰余金の配当等につきましては、将来の利益の源泉となる新薬開発や経営体質強化のための内部留保を確保しつつ、業績およびキャッシュ・フローの状況を勘案しながら継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としており、ご期待に応える株主還元と財務の健全性のバランスを重視し、配当性向につきましては30%を目安としております。
・資金調達
これらの資金需要に対しましては、営業活動によるキャッシュ・フローからの充当を基本とし、不足する場合は金融機関からの借入金による調達を実施しております。
当連結会計年度末時点の現金及び現金同等物残高は262億60百万円となっており、事業遂行に必要な資金を十分確保しております。
なお、現時点では当社グループにおいて、新型コロナウイルス感染症の影響は受けておりませんが、今後の世界情勢の見通しが立たない中、当社グループがグローバルで持続的な成長を行うために、機動的かつ安定的に資金調達手段を確保する必要があり、各金融機関との間でバックアップラインとして運転資金を確保する事を目的として、当連結会計年度に総額155億円のコミットメントライン契約を締結しております。