有価証券報告書-第93期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による雇用環境の悪化や消費回復の鈍化等により、不安定な状況で推移しました。また、海外経済においても、世界各国で経済活動の再開の動きは見られましたが、依然として感染拡大の収束が見通せず、景気の先行きは極めて不透明な状況が続いております。
当社グループの主要市場であるエレクトロニクス市場におきましては、5G(第5世代移動通信システム)関連の実用化やテレワークの普及に伴うサーバー需要が堅調に推移しました。また、カーエレクトロニクス分野では、車載半導体不足が深刻化しており、自動車生産への影響が懸念されております。
このような状況の下、当社グループは、収益力の更なる向上を目指して、高付加価値製品の開発と提案並びに拡販活動に注力してまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は559億47百万円(前連結会計年度比7.1%増)、営業利益は94億90百万円(同25.9%増)、経常利益は99億20百万円(同26.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は71億28百万円(同33.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
表面処理用資材事業
主力のプリント基板用及びパッケージ基板用めっき薬品は、5G関連向けの需要増加やテレワーク、オンライン学習の急速な普及を背景としたパソコンやデータセンター向けの需要拡大により、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を上回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は431億31百万円(前連結会計年度比11.9%増)、セグメント利益は83億30百万円(同30.3%増)となりました。
表面処理用機械事業
航空機分野向けの機械設備の売上計上に加え、半導体ウェハー向けの高付加価値なめっき用機械の販売が増加し、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を上回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は78億25百万円(前連結会計年度比5.3%増)、セグメント利益は9億16百万円(同23.8%増)となりました。
めっき加工事業
タイやインドネシアにおける自動車産業の低迷が継続し、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を下回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は41億96百万円(前連結会計年度比24.5%減)、セグメント損失は2億22百万円(前連結会計年度はセグメント損失15百万円)となりました。
不動産賃貸事業
新大阪の賃貸用オフィスビルにおいて、オフィスビルの賃料が改定したことから、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を上回りました。
この結果、当連結会計年度の売上高は8億4百万円(前連結会計年度比4.6%増)、セグメント利益は4億54百万円(同10.7%増)となりました。
なお、上記のセグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高が含まれております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ30億3百万円増加し、261億49百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって獲得した資金は86億77百万円(前連結会計年度は43億2百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、法人税等の支払額30億84百万円、売上債権の増加額9億49百万円の資金の使用がありましたが、税金等調整前当期純利益99億26百万円、減価償却費20億66百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動において使用された資金は39億5百万円(前連結会計年度は91億9百万円の資金の使用)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入2億47百万円の資金の獲得がありましたが、投資有価証券の取得による支出15億59百万円、定期預金の預入による支出13億62百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動において使用された資金は17億82百万円(前連結会計年度は24億95百万円の資金の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額14億19百万円、自己株式の取得による支出2億円、リース債務の返済による支出1億24百万円があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 表面処理用資材事業 (千円) | 16,247,727 | 28.5 |
| 表面処理用機械事業 (千円) | 5,964,120 | 31.2 |
| めっき加工事業 (千円) | 3,338,225 | △21.7 |
| 不動産賃貸事業 (千円) | - | - |
| 報告セグメント計 (千円) | 25,550,073 | 19.1 |
| その他事業 (千円) | - | - |
| 合計 (千円) | 25,550,073 | 19.1 |
(注)1.金額は製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、表面処理用機械事業を除く製品について見込み生産を行っております。
| 区分 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
| 表面処理用機械事業 | 9,389,414 | 59.1 | 6,876,108 | 29.5 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 表面処理用資材事業 (千円) | 43,109,690 | 12.0 |
| 表面処理用機械事業 (千円) | 7,823,423 | 6.0 |
| めっき加工事業 (千円) | 4,196,433 | △24.5 |
| 不動産賃貸事業 (千円) | 804,988 | 4.6 |
| 報告セグメント計 (千円) | 55,934,536 | 7.1 |
| その他事業 (千円) | 12,822 | 1.6 |
| 合計 (千円) | 55,947,358 | 7.1 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ59億88百万円増加し、851億5百万円となりました。主な増加は、現金及び預金の増加40億68百万円、投資有価証券の増加20億74百万円、受取手形及び売掛金の増加9億5百万円であり、主な減少は、仕掛品の減少10億75百万円、建物及び構築物(純額)の減少5億40百万円、機械装置及び運搬具(純額)の減少2億66百万円であります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ4億2百万円増加し、156億31百万円となりました。主な増加は、繰延税金負債の増加2億14百万円であり、主な減少は、電子記録債務の減少2億55百万円、支払手形及び買掛金の減少2億7百万円であります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ55億85百万円増加し、694億73百万円となりました。主な増加は、利益剰余金の増加57億9百万円、その他有価証券評価差額金の増加3億89百万円であり、主な減少は、為替換算調整勘定の減少3億75百万円、自己株式の増加2億円であります。
b. 経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、表面処理用機械事業では、国内外の電子部品メーカーや自動車部品メーカーによる設備投資は堅調に推移しました。また、表面処理用資材事業では、カーエレクトロニクス関連で、半導体不足による自動車の生産台数が減少する影響を受けましたが、5G(第5世代移動通信システム)対応基地局向けによる、電子部品向けめっき薬品が好調に推移し、売上高、利益ともに前連結会計年度を上回りました。
当社グループの主要市場であるエレクトロニクス市場では、5Gの更なる普及やカーエレクトロニクス分野における先進運転支援システム(ADAS)をはじめとする車載部品の搭載数の増加による、電子部品需要が拡大傾向にあり、加えて最近の半導体不足に対する増産や設備投資が予想されております。当社グループは、その要求に応えるため、めっきに関する技術の継続的な創出を行い、市場が要求するタイミングに合う製品を顧客に提供できるように取り組んでおります。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
表面処理用資材事業
表面処理用資材事業は、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を上回りました。主な要因としましては、主力のプリント基板用及びパッケージ基板用めっき薬品の売上高が、5G関連向けの需要増加やテレワーク、オンライン学習の急速な普及を背景としたパソコンやデータセンター向けで好調に推移したことによります。
自動車に搭載されるセンサーやカメラモジュールは、自動運転の技術開発が進む中、増加傾向にあり、これら車載用電子部品の表面処理に対応するめっき薬品の開発、拡販に取り組んでおります。また、次世代の通信規格の導入により、スマートフォンなどに用いられるプリント基板及びパッケージ基板の更なる微細化、高性能化が進んでいることから、これらの最先端技術に対応するためのめっき薬品の開発、拡販にも取り組んでおります。
表面処理用機械事業
表面処理用機械事業は、電子部品メーカーや自動車部品メーカーによる設備投資への前向きな動きにより、機械の受注環境が回復し、また、半導体ウエハー向けの高付加価値なめっき用機械の販売が増加したため、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を上回りました。半導体への表面処理の需要が増えていることから、これらのめっき技術に対応した機械の設計や製造に取り組んでおります。また、競合他社との価格競争に対応するため、コスト削減を目的とした機械製造の最適化を進めております。
めっき加工事業
めっき加工事業は、タイやインドネシアにおける自動車産業の低迷が継続したことから、連結会計年度を下回り、セグメント損失を計上しました。原価率の改善を目的として、グループ内のめっき加工の生産拠点間で問題点の共有化を行い、品質向上のための施策や生産プロセスの改善に取り組んでおります。
また、めっき加工事業では、自動車産業からの需要の依存度が高く、新型コロナウィルス感染症の拡大による自動車メーカー各社の新車需要の低迷に伴い、当社グループのめっき加工の生産拠点では、生産調整を行っており、めっき加工事業の売上高や利益に減少が生じております。
新型コロナウィルス感染症の拡大による自動車産業への影響は、今後1年程度で概ね正常状態に戻り、当社グループのめっき加工事業の生産も徐々に回復するものと想定しております。本格的な生産増加に対応するため、めっき加工のための薬品の品質保持や生産設備のオーバーホールを行っております。
不動産賃貸事業
不動産賃貸事業は、新大阪の賃貸用オフィスビルにおいて、オフィスビルの賃料が改定したことから、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を上回りました。賃貸用オフィスビルでは、定期的なメンテナンスや修繕工事を行い、顧客に対して快適な入居環境を提供し、安定的な入居率の確保に努めております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
b. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品の製造に係る原材料の仕入、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、当社グループは、長期的に成長が期待できる分野において、製造設備や研究開発設備に積極的に投資を行ってまいります。これら運転資金及び設備資金につきましては、自己資金及び銀行借入により資金調達を行うことを方針としております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)、(追加情報)」に記載のとおりであります。
この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っておりますが、これらの見積り、予測は、不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。