有価証券報告書-第166期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/20 13:05
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182項目

対処すべき課題

(1)経営方針
当社グループは、2016年4月に、中長期経営ビジョン「KOBELCO VISION“G+”(ジープラス)」のもとに「素材」「機械」「電力」の3本柱の事業体確立を目指した中期経営計画をスタートしましたが、これまでの進捗状況を踏まえて見直しを実施し、2019年5月に「中期経営計画ローリング」(以下、「中期ローリング」といいます。)を公表いたしました。今後、その達成に向け、様々な戦略的な取組みを推し進めてまいります。また、変化の激しい時代、かつ多様な価値観が存在する中で、当社は「働き方変革活動」や「ダイバーシティの推進」などの取組みも継続して進めております。
2017年には、グループ企業理念を改定し、グループ全社員でこの価値観を意識・共有することによって、全社員が一つになって、より良い企業集団、すなわち「誇り」「自信」「愛着」「希望」溢れる企業集団を作り、当社グループが持続的に発展していくことを目指した活動「KOBELCOの約束 Next100プロジェクト」(次の100年に向けた活動)を開始いたしました。その活動の最中に発覚した品質不適切行為※において、お客様をはじめ多くの皆様に多大なるご迷惑をお掛けするとともに、社会に対する大きな影響を与えた反省を踏まえ、同活動の不足している部分を補強し、より強化しております。「KOBELCOの3つの約束」と「KOBELCOの6つの誓い」に基づき、株主様・投資家様、お客様、お取引先様、グループ社員、地域社会の皆様などあらゆるステークホルダーの皆様からの信頼回復に努めるとともに、社会や環境への貢献を通じた持続的な企業価値向上を目指してまいります。
※2017年10月に公表いたしました、当社グループにおける不適切行為(公的規格又は顧客仕様を満たさない製品等(不適合製品)につき、検査結果の改ざん又はねつ造等を行なうことにより、これらを満たすものとしてお客様に出荷又は提供する行為。以下、「品質不適切行為」といいます。)
KOBELCOの3つの約束
神戸製鋼グループの社会に対する約束事であり、グループで共有する価値観です。
1. 信頼される技術、製品、サービスを提供します
2. 社員一人ひとりを活かし、グループの和を尊びます
3. たゆまぬ変革により、新たな価値を創造します

KOBELCOの6つの誓い
私たち神戸製鋼グループに属する全社員は、
「KOBELCOの3つの約束」を果たすために、以下を宣誓します。
1. 高い倫理観とプロ意識の徹底
私たちは、法令、社内ルール、社会規範を遵守することはもちろんのこと、高い倫理観とプロとしての誇りを持って、公正で健全な企業活動を行います。
2. 優れた製品・サービスの提供による社会への貢献
私たちは、「品質憲章」に基づき、安全かつ安心で、優れた製品・サービスを提供し、お客様の満足と社会の発展に貢献します。
『品質憲章』
KOBELCOグループは、製品、サービスにおいて「信頼される品質」を提供するために法令、公的規格ならびにお客様と取り決めた仕様を遵守し、品質向上に向けてたゆまぬ努力を続けてまいります。
3. 働きやすい職場環境の実現
私たちは、安全で安心して働くことができる職場環境を実現します。また、一人ひとりの人格・個性・多様性を互いに尊重し、それぞれが最大限の能力を発揮して活き活きと働ける職場環境を実現します。
4. 地域社会との共生
私たちは、グループの基盤である地域社会に貢献するよう努めます。
5. 環境への貢献
私たちは、より豊かで住みやすい社会づくりを目指して、環境に配慮した生産活動を行い、技術・製品・サービスで環境に貢献するよう努めます。
6. ステークホルダーの尊重
私たちは、お客様、お取引先、社員、株主等を含む幅広いステークホルダーを仲間として尊重し、健全かつ良好な関係を築きます。

(2)経営環境及び対処すべき課題等
足下の当社グループを取り巻く事業環境は、国内においては雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費の持ち直しや企業の設備投資の堅調な増加を受け、緩やかな回復基調が続くことが想定されます。一方、海外では、保護主義的な通商政策の影響を受け、中国や欧州を中心に経済成長が鈍化するものと見込まれます。保護主義的な通商政策などが景気動向に与える影響は引き続き大きな懸念材料であり、注視する必要があります。
このような環境において、当社グループといたしましては、全てのステークホルダーの皆様からの信頼回復を第一優先としながら、中期ローリングで掲げたテーマをグループ一丸となって推進することで、盤石な事業体を確立し、当社グループが持続的に成長できるよう取り組んでまいります。
<品質不適切行為の再発防止策等について>当社グループにおける品質不適切行為につきましては、ステークホルダーの皆様には多大なるご迷惑をお掛けしておりますこと、改めてお詫び申しあげます。
対象となりました不適合製品の安全性の検証に関しましては、2019年3月29日に公表しておりますとおり、不適合製品を納入したことが判明している、のべ688社全てのお客様より、安全上の問題がない、あるいは、安全性に当面の問題はないとのご確認をいただいております。
また、当社グループは、現在、2018年3月6日付「当社グループにおける不適切行為に関する報告書」にて公表いたしました再発防止策を順次実行に移しております。
再発防止策の根幹となる意識改革の面では、グループ企業理念の浸透を図るべく、社長による対話活動を2018年4月より、国内・海外の事業所・拠点のライン長クラス、各事業所の係長・職長を対象に、2019年4月末までにのべ42事業所・拠点で、55回実施しているほか、各部門長、経営幹部による対話活動も実施しております。また、毎年10月を『KOBELCOの約束月間』と定め、上司・部下の垣根をなくした語り合う場を設け、コミュニケーションを活性化させる活動を実施しております。こうしたコミュニケーションを通じて、意識改革と現場の困りごとを放置しない企業風土の構築に取り組んでおります。
このほか、品質マネジメント体制の再構築と徹底、品質管理プロセスの強化、それに伴う設備投資などにも順次着手しております。
これら再発防止策の各項目、進捗状況の概要は次のとおりですが、詳細につきましては、当社ホームページ(http://www.kobelco.co.jp/progress/relapse-prevention/index.html)をご参照ください。
再発防止策進捗状況(2019年3月末時点)
1.ガバナンス面-品質ガバナンス体制の構築
1) グループ企業理念の浸透実施中
2) 取締役会のあり方完了
3) リスク管理体制の見直し実施中
4) 事業部門の組織再編詳細検討中
5) グループ会社の再編詳細検討中
6) 事業部門間の人事ローテーション実施実施中
7) 現場で生じる諸問題の掌握実施中
8) 品質憲章の制定完了
9) 品質保証体制の見直し完了
10) 事業管理指標の見直し実施中
2.マネジメント面-品質マネジメントの徹底
1) 品質マネジメントの対策概ね完了
2) 品質保証人材のローテーションと育成一部実施中
3) 品質に係る社内教育実施中
4) 本社による品質監査実施中
3.プロセス面-品質管理プロセスの強化
1) 試験・検査データの不適切な取扱い機会の排除及び出荷基準の一本化「品質ガイドライン」制定完了
品質監査で是正・整備状況の確認を実施中
2) 工程能力の把握と活用(素材系)
3) 新規受注時の承認プロセスの見直し
4) 製造プロセス変更時の承認プロセスの見直し
5) 設備投資における品質リスクアセスメントの推進

これらの再発防止策の進捗については、社外有識者のみで構成される外部品質監督委員会で、継続的にモニタリングいただき、改善に向けた諸提言をいただくこととしておりましたが、2019年3月29日に公表しておりますとおり、外部品質監督委員会より、当社における再発防止策は適切な方法及び内容で、特段の支障なく予定どおり進捗しているとの最終意見を頂戴しております。
当社は2019年4月に、品質マネジメントに関する専門家である社外有識者を過半数の構成員とした「品質マネジメント委員会」※を設置いたしましたが、上述の外部品質監督委員会の最終意見において、今後、「品質マネジメント委員会」の下、再発防止策の進捗管理及び当社グループにおける品質マネジメントの向上のための取組みが継続的に行なわれるものと評価できるため、外部品質監督委員会による再発防止策の進捗状況に対するモニタリングについては2019年3月末日をもって終了するとの判断がなされております。
当社といたしましては、新たに設置した「品質マネジメント委員会」の下、委員となる社外有識者の提言を取り入れながら、引き続き品質を第一とする姿勢で再発防止に努めてまいります。
※「品質マネジメント委員会」は、取締役会の諮問機関として当社が設置した社外有識者が過半数を占める委員会であります。2019年3月末に当社に最終意見書を提出し活動を終えた「外部品質監督委員会」から品質不適切行為に対する再発防止策の実効性のモニタリング活動を引き継ぐとともに、当社グループの品質マネジメント強化活動の継続的なモニタリングと提言を行なう機能を担う組織であります。
なお、品質不適切行為に関し、国内では、当社は2018年7月に不正競争防止法違反の疑いで起訴されたほか、海外では、当社グループが不適合製品を米国のお客様に対して販売した疑いがあるとして、2017年10月より、米国司法省の調査を受けております。
加えて、当社グループは、(1)カナダにおいて、当社グループが製造した自動車向け金属製品や、それらを使用して製造された自動車に関する、経済的損失の賠償等を求めるクラスアクション、(2)米国において、当社ADR証券に関する、米国証券法違反(コンプライアンス体制等の虚偽表示)に基づくクラスアクション、(3)米国において、当社の製造した金属製品を使用して製造された自動車に関する、転売価値の下落等の経済的損失の賠償等を求めるクラスアクション、の3つの民事訴訟を提起されました。
上述の民事訴訟のうち、(1)カナダでのクラスアクションについては、2019年6月に原告との間で、当社が和解金として総額1,950千カナダドル(約159百万円)を支払い、原告側が訴訟を取り下げることを主な内容とする和解の基本合意書を締結いたしました。今後、原告との間で正式な和解合意書を締結し、カナダ国ブリティッシュコロンビア州上位裁判所の承認を得るとともに、同裁判所の承認を条件に、同国オンタリオ州上位裁判所における訴訟の却下手続きをとる予定です。また、(2)米国での当社ADR証券に関するクラスアクションについては、当社が500千米ドルの和解金を支払うことで原告側が訴訟を取り下げることに合意し、2019年2月に訴訟が終結いたしました。
国内における不正競争防止法違反の疑いでの起訴につきましては、2019年3月に罰金1億円の有罪判決が確定いたしました。米国司法省の調査及び上述の民事訴訟の(3)米国での当社の製造した金属製品を使用して製造された自動車に関するクラスアクションについては、現在も継続中であり、当社グループといたしましては、これらの調査及び訴訟を厳粛に受け止め、早期解決に向け、鋭意取り組んでまいります。
<中期経営計画の見直しについて>当社グループは、2016年4月に「2016~2020年度グループ中期経営計画」を策定し、素材系事業・機械系事業・電力事業の3本柱による成長戦略を一層深化させ、盤石な事業体を確立させる中長期経営ビジョン「KOBELCO VISION “G+”(ジープラス)」への取組みをスタートいたしました。
2016年からこれまで、課題として掲げた鋼材事業における上工程の集約、中国での建設機械事業の再構築、電力事業における新規プロジェクトの推進などを順調に進めてまいりました。一方で、原材料価格やエネルギー価格の上昇といった市場環境の変化や、設備トラブルの発生、戦略投資案件の収益化の遅れ、品質不適切行為の発覚など当社グループにおける状況の変化もあり、中長期経営ビジョンを実現するためには、当社グループが取り組むべき新たな課題があると認識しております。
こうした状況を受け、当社グループは、中期経営計画期間の残りの2年間とさらに‘その先’に向けた重点課題と対策を「中期ローリング」としてまとめ、2019年5月に公表いたしました。中期ローリングで掲げた主要テーマは以下となります。
中期ローリングの主要テーマ
2019~2020年度の
重点テーマ
素材系を中心とした収益力強化
経営資源の効率化と経営基盤の強化
2021年度以降も継続する中長期テーマコーポレートガバナンスの継続的強化
(品質不適切行為に対する再発防止策への継続的取組み)
人材確保・育成に関する各種制度の拡充
IT戦略の強化
当社グループの特長を活かしたサステナビリティ経営の推進
(事業活動を通じた環境・社会への貢献と持続的成長の追求)

※「中長期経営ビジョン『KOBELCO VISION“G+”』」の内容の詳細は、当社ホームページ(http://www.kobelco.co.jp) プレスリリース欄 2016年4月5日付「2016~2020年度グループ中期経営計画について」を、「中期経営計画ローリング」の詳細は、2019年5月15日付「中期経営計画ローリング(2019~2020年度)について」をご覧ください。
ご参考)「2016~2020年度グループ中期経営計画」の基本方針と進捗状況
基 本 方 針取組内容と進捗
1)3本柱の事業成長戦略



輸送機軽量化への取組み・中国に自動車用冷延ハイテンの生産拠点となる合弁会社開業(日・米・欧・中での「薄板ハイテンのグローバル供給体制」構築完了)
・加古川製鉄所に自動車用超ハイテンの連続焼鈍設備等増設(工事中)
・米国のPRO-TEC Coating Company社に自動車用超ハイテン向け溶融亜鉛めっき設備増設(工事中)
・米国にアルミ押出材生産拠点設立、能力増強(日・米の2極供給体制構築)
・米国の自動車サスペンション用アルミ鍛造部品設備能力増強
・真岡製造所での自動車用アルミパネル材製造設備増強(工事中)
・米国Novelis社との合弁で韓国に日本・中国向けアルミ板母材生産拠点設立
鉄鋼事業の収益力強化・鋼材生産の上工程設備の加古川製鉄所への集約完了




エネルギー・インフラ分野への取組み・高砂製作所に世界最大級の非汎用圧縮機運転設備立上げ
・IP装置の世界大手メーカーQuintus Technologies社を買収、産業機械事業を拡大
建設機械事業の収益力強化・コベルコ建機(株)とコベルコクレーン(株)の経営統合
・米国に油圧ショベルの組立工場設立
・中国油圧ショベル事業の再構築完了
・グローバル市場への安定供給体制構築のため五日市工場設備増強(工事中)



安定収益化への取組み・既設の神戸発電所について、関西電力(株)と現行契約満了後の受給契約を締結
・真岡、神戸の2つの新規発電プロジェクトの建設工事着工
(真岡 2019年度運転開始予定、神戸 2022年度運転開始予定)
2)経営基盤の強化ⅰ)コーポレートガバナンスの強化・監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行
・取締役会評価制度開始
・役員研修制度の見直し、強化実施
・取締役会構成見直し、多様性の促進
・独立社外取締役構成比率1/3以上に設定、増員
・独立社外取締役の中から取締役会議長を選定
・「指名・報酬委員会」、「独立社外取締役会議」を設置
・「品質マネジメント委員会」設置
ⅱ)人材確保・育成・全社でのダイバーシティ研修実施などダイバーシティ推進
・19時以降残業原則禁止、会議効率化など「働き方変革活動」推進
・人事制度の見直し(在宅勤務制度の改正、複線型処遇制度、停年退職年齢の引上げなど)
ⅲ)技術開発力・ものづくり力の向上・自動車向け素材・異材接合技術など当社独自のソリューション提案の推進・加速のため「自動車ソリューションセンター」設立
・人工知能(AI)を活用した製品開発力とものづくり力の強化に向けた専任組織「AI推進プロジェクト部」の新設
3)財務戦略財務規律の維持とキャッシュ対策の実施・3年間で約1,100億円のキャッシュ対策実施
2020年度達成目標
◆ROA(経常損益/総資産):5%以上2016年度 △0.8% 2017年度 3.1% 2018年度 1.5%
◆D/Eレシオ(有利子負債/自己資本):1倍以下を堅持2016年度末 1.17倍 2017年度末 0.98倍 2018年度末 0.98倍

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
また、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(「会社支配に関する基本方針」)は次のとおりであります。
1.会社支配に関する基本方針
当社は、明治38年の創立から110年を超える歴史の中で、独自の事業領域を形成してまいりました。特に、当社の素材系事業や機械系事業は事業の裾野が非常に広く、これらの事業分野を構成する個別の事業の多様性を前提として初めて創出されるシナジーが存在いたします。また、これらの事業は、研究開発や生産現場で果敢な挑戦を続ける当社従業員をはじめ、当社との間で長年に亘り信頼関係を培ってきた輸送機やエネルギー・インフラ分野をはじめとする国内外の取引先並びにお客様等の多様なステークホルダーによって支えられております。さらに、当社は、素材系事業における代替困難な素材や部材、機械系事業における省エネルギーや環境に配慮した製品等、当社独自の多彩な製品群を幅広いお客様に供給するとともに、電力事業においても極めて重要な社会的インフラである電力の供給という公共性の高いサービスを提供しており、社会的にも大きな責任を担っているものと考えております。当社は、こうした各事業間における技術の交流・融合によるシナジー効果や、独自・高付加価値製品の提供とこれにより構築されたステークホルダーとの信頼関係、社会的インフラ提供の責務と社会の皆様からの信頼こそが当社の企業価値の源泉であると考えております。
当社は、上場会社として、株式の自由な取引の中で、上記のような源泉から生み出される当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する形であれば、支配権の異動を伴う当社株券等に対する大規模な買付行為であっても、当然是認されるべきであると考えておりますが、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、このような当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を向上させる上で必要不可欠な、当社の経営理念、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係等の当社の企業価値を生み出す源泉を十分に理解し、その結果として当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を確保し、向上させる者でなければならないと考えております。
したがって、当社は、当社株券等に対する大規模な買付行為を行ない又は行なおうとする者に対しては、関連する法令の許容する範囲内において、適切な対応をとることにより、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保に努めなければならないと考えております。
2.基本方針の実現に資する特別な取組み
(1)経営戦略の展開による企業価値向上への取組み
当社は、2016年4月に「2016~2020年度グループ中期経営計画」を策定し、素材系事業・機械系事業・電力事業の3本柱による事業成長戦略を一層深化させ、盤石な事業体を確立させる新たな中長期経営ビジョン「KOBELCO VISION“G+”(ジープラス)」への取組みをスタートさせ、その実現に取り組んでおります。
輸送機の軽量化やエネルギー・インフラ等の中長期的に伸張する成長分野に経営資源を集中し、当社グループ独自の付加価値をさらに高め、競争優位性を発揮していくことで、事業を拡大・発展させるとともに、社会への貢献を目指してまいります。
(2)コーポレートガバナンス強化による企業価値向上への取組み
当社は、継続的に企業価値を向上させるためには、コーポレートガバナンスの強化が必要であると考えております。
当社は、監査等委員会設置会社への移行、取締役会メンバーの見直し、独立社外取締役の全員を構成員とし、経営に関する客観的な意見の提供等を行なう場でもある独立社外取締役会議や、委員の過半数を社外取締役で構成する指名・報酬委員会の設置等の様々な取組みを通じて、コーポレートガバナンス体制の強化を図ってまいりました。
今後も、当社は、独立社外取締役会議において出された意見や、事業年度毎に各取締役に対して行なうアンケート及びその結果に対する監査等委員会の評価に基づいて実施する取締役会実効性評価の結果等を踏まえながら、さらなるコーポレートガバナンスの強化に向けて、継続的に検討を進めてまいります。
3.基本方針に照らして、不適切な者によって当社の財務及び事業の決定を支配されることを防止するための取組み
当社は、当社株券等の大規模な買付行為を行ない又は行なおうとする者に対しては、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保する観点から、関係する法令に従い、株主の皆様が大規模な買付行為の是非を適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示するとともに、株主の皆様の検討のために必要な時間と情報の確保に努めるものといたします。
また、仮に大規模な買付行為に対する速やかな対抗措置を講じなければ、当社の企業価値及び株主共同の利益が毀損されるおそれがあると合理的に判断されるときには、株主から経営を負託された当社取締役会の当然の責務として、関連する法令の許容する範囲内において、適宜、当該時点で最も適切と考えられる具体的な措置の内容を速やかに決定し、実行することにより、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保に努めてまいります。
なお、上記2.及び3.に記載の取組みは、上記1.に記載の方針に従い、当社の企業価値及び株主共同の利益に沿うものであり、当社の役員の地位の維持を目的とするものではありません。