有価証券報告書-第48期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/26 9:29
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、ユーロ圏諸国においては内需が堅調に推移したものの、英国のEU離脱問題が懸念材料となって輸出に伸び悩みが見られ、また、中国経済は個人消費の落ち込みや設備投資の停滞等によって成長率が鈍化する状況となりました。しかしながら、米国では良好な雇用環境や企業収益の改善などを背景に、着実な回復が続いたことにより、世界経済全体としては、総じて緩やかな回復が見られました。
わが国経済は、良好な企業収益や雇用環境を背景に緩やかな回復基調で推移いたしましたが、年度後半より米中貿易摩擦の影響等によって成長ペースが弱含みとなり、先行き不透明感が強まる状況となりました。
当社グループとしては「倍増計画」(2016年度から2020年度までの5ヵ年を期間とする中長期経営計画)の達成に向けて、毎年、様々な施策を講じており、その中でも2017年度は、FA装置等の受注拡大を図ることを目的に、新工場[立山事業所(富山県中新川郡立山町)]を新設し、また、関東を中心とした東日本のお客様へのサービス向上及び海外のお客様からのニーズにも迅速にお応えできる体制にすべく、アルファフレームシステムの出荷工場(アルファフレーム北関東)を埼玉県に開設いたしました。
さらに、当連結会計年度では、東海地区のお客様へのサービス向上及びさらなる受注拡大を図るため、FA装置等の製作のみならず、アルファフレームシステムの出荷業務も担う工場として、愛知県内に新たな工場(愛知事業所)建設を計画し、2019年9月の稼働開始に向けて建設工事を進めております。
このように当社グループは、業容拡大に向けて積極的な投資を始めとする様々な施策を講じており、生産設備の拡充と技術者の増員・増強に注力し、「倍増計画」の達成を見込んでおります。
このような状況のもと当社グループでは、FA装置(FA:Factory Automation/「自動化・省力化装置」をいう。)及びロボット関連機器等にも使用される当社主力製品『アルファフレームシステム』の売上高が、順調に推移いたしましたが、前連結会計年度まで極めて好調であった有機ELやLCDといったフラットパネルディスプレイ(以下、「FPD」という。)製造設備関連企業からの受注は、設備投資が一時的な調整局面を迎えたことにより、前年の水準を下回る状況となりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は、8,715百万円(前期比94.1%)、営業利益は、738百万円(前期比71.7%)、経常利益は746百万円(前期比72.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益は、492百万円(前期比70.8%)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
[アルファフレーム部門]
アルファフレーム部門におきましては、設計サポートサービス「カクチャTM」及び組立作業の省力化を可能とする「マーキングシステムTM」を活用し、アルミニウム合金製構造材の付加価値を高めることで、競合他社と差別化を図る提案営業を引き続き展開いたしました。
ロボットを含む一般のFA設備に対して継続的な投資がなされていることから、一般顧客向けの販売が好調に推移し、特に「カクチャTM」及び「マーキングシステムTM」を活用した案件は分野を問わず活用が出来ることから市場が広がっており、売上高は継続的に伸長いたしました。一方、前連結会計年度、好調であったFPD製造設備関連企業の設備投資は、一時的な調整が生じている状況により、これら企業からの案件減少が影響し、全体の売上高としては前年度を下回る状況となりました。
この結果、当部門の売上高は5,158百万円(前期比94.0%)となりました。
[装置部門]
装置部門におきましては、引き続き当社グループの技術力を活かした質の高いFA装置の提案活動を推進いたしました。
自動車部品製造企業向け設備として、洗浄装置及び検査装置を中心に継続的な受注確保に加え、部品の組立ラインの受注も確保し、FA装置関連の売上高が大幅に伸長いたしました。一方、FPD業界向けクリーンブースの受注は、アルファフレーム部門同様に好調であった前連結会計年度に対し当連結会計年度では同業界の設備投資に一時的な調整が生じている状況となりました。
この結果、当部門の売上高は2,188百万円(前期比98.9%)となりました。
[商事部門]
商事部門におきましては、工業用砥石、油脂類等の消耗品関係及び工具関係等の受注を、前連結会計年度と同水準で確保いたしました。
機械設備関係については、旺盛な需要が続く機械メーカーの納期の長期化等によって、売上計上時期が来期へずれ込むという影響、及び先々の計画はあるものの目先の計画の見合わせ等もあり、全体の売上高は好調であった前連結会計年度を下回る状況となりました。
この結果、当部門の売上高は1,368百万円(前期比87.8%)となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前年度末と比べ183百万円減少し、8,203百万円となり、負債合計は、前年度末と比べ382百万円減少し、3,371百万円となりました。正味運転資本(流動資産から流動負債を控除した金額)は2,831百万円であり、流動比率は212.2%であります。
なお、当連結会計年度末の純資産合計は、前年度末と比べ199百万円増加し、4,831百万円となりました。自己資本比率は58.9%となっております。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前年度末と比べ151百万円減少し、5,355百万円となりました。これは主に、現金及び預金が72百万円、受取手形及び売掛金が120百万円、それぞれ増加した一方で、仕掛品が391百万円減少したことなどによります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、前年度末と比べ31百万円減少し、2,847百万円となりました。これは主に、土地が324百万円、建設仮勘定が153百万円、それぞれ増加した一方で、投資有価証券が84百万円、保険積立金が347百万円、それぞれ減少したことなどによります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前年度末と比べ305百万円減少し、2,523百万円となりました。これは主に、未払金が133百万円増加した一方で、支払手形及び買掛金が476百万円、未払法人税等が79百万円、それぞれ減少したことなどによります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、前年度末と比べ76百万円減少し、847百万円となりました。これは主に、長期借入金が76百万円減少したことなどによります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前年度末と比べ199百万円増加し、4,831百万円となりました。これは主に、配当金の支払い228百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上492百万円があったことにより、利益剰余金が263百万円増加したことや、その他有価証券評価差額金の減少65百万円があったことなどによります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末と比べ72百万円増加し、617百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期間の556百万円のキャッシュ・インに対し、612百万円のキャッシュ・インとなりました。これは税金等調整前当期純利益の計上による資金の増加770百万円やたな卸資産の減少による資金の増加345百万円などの資金の増加があった一方で、売上債権の増加による資金の減少117百万円や仕入債務の減少による資金の減少504百万円及び法人税等の支払いによる資金の減少339百万円があったことなどが主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期間の693百万円のキャッシュ・アウトに対し、231百万円のキャッシュ・アウトとなりました。これは来期に稼働予定の愛知事業所の土地等の取得を含む有形固定資産の取得による支出が560百万円あった一方で、保険積立金の解約による収入が353百万円あったことなどが主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期間の371百万円のキャッシュ・インに対し、304百万円のキャッシュ・アウトとなりました。これは長期借入金の返済による支出が76百万円、配当金の支払いによる支出が228百万円あったことなどが主な要因であります。
当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造に係る材料費、労務費、外注費、諸経費や商事部門の商品仕入、ならびに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また投資を目的とした資金需要は、建物及び機械装置等の設備投資によるものであります。
当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメント名称生産高(千円)前期比(%)
アルファフレーム部門5,176,80194.0
装置部門2,188,16198.9
合計7,364,96295.4

(注)上記の金額は販売価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。
b. 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメント名称品目仕入高(千円)前期比(%)
商事部門工業用砥石136,92199.1
機械設備545,17970.2
工具・ツール・油脂類479,814107.2
合計1,161,91685.3

(注)上記の金額は仕入価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。
c. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメント名称受注高(千円)前期比(%)受注残高(千円)前期比(%)
アルファフレーム部門4,619,54883.91,107,96566.5
装置部門1,974,94987.5393,75164.9
商事部門1,412,79786.9256,479120.8
合計8,007,29585.31,758,19570.8

(注)上記の金額は販売価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。
d. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメント名称販売高(千円)前期比(%)
アルファフレーム部門5,158,41694.0
装置部門2,188,16198.9
商事部門1,368,61287.8
合計8,715,19094.1

(注)1. 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
キヤノン株式会社3,206,05734.62,703,35231.0
東レエンジニアリング株式会社1,243,30113.4974,28411.2

2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって見積りが必要な事項につきましては、過去の実績及び現在において入手可能な情報に基づき総合的に検討し、合理的な判断を行っておりますが、実際の業績は、今後、様々な要因によって見積りとは異なる結果となる可能性があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針については「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表][注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照ください。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
<売上高>当連結会計年度は、アルファフレーム部門においては、様々な業界にてロボットを含む一般のFA設備に対して継続的な投資がなされていることから、一般顧客向けの販売が好調に推移し、特に「カクチャTM」及び「マーキングシステムTM」を活用した案件は分野を問わず活用が出来ることから市場が広がっており、売上高は継続的に伸長いたしました。一方、前連結会計年度、好調であったFPD製造設備関連企業の設備投資は、一時的な調整が生じている状況により、これら企業からの案件減少が影響し、部門全体の売上高としては前年度を下回る状況となりました。
装置部門においては、自動車部品製造企業向け設備として、洗浄装置及び検査装置を中心に継続的な受注確保に加え、部品の組立ラインの受注も確保し、FA装置関連の売上高が大幅に伸長いたしました。一方、FPD業界向けクリーンブースの受注は、アルファフレーム部門同様に好調であった前連結会計年度に対し当連結会計年度では同業界の設備投資に一時的な調整が生じている状況となりました。
商事部門におきましては、工業用砥石、油脂類等の消耗品関係及び工具関係等の受注を、前連結会計年度と同水準で確保いたしました。機械設備関係については、旺盛な需要が続く機械メーカーの納期の長期化等によって、売上計上時期が来期へずれ込むという影響、及び先々の計画はあるものの目先の計画の見合わせ等もあり、部門全体の売上高は好調であった前連結会計年度を下回る状況となりました。
これらの結果、売上高は8,715百万円(前期比94.1%)、となりました。
なお、セグメント別売上高の詳細につきましては、「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
<売上総利益、販売費及び一般管理費>当連結会計年度は、受注減となったものの、「倍増計画」に向けた生産設備の拡充と技術者の増員・増強を進めたことから、売上総利益は1,987百万円(前期比87.9%)となりました。
また、販売費及び一般管理費につきましても、将来に向けた継続的かつ効果的な人的投資及び販促・広告活動を推進した結果、1,249百万円(前期比101.4%)と微増いたしました。
<営業損益、経常損益及び親会社株主に帰属する当期純損益>当連結会計年度は、売上高・売上総利益が減少となったものの、販売費及び一般管理費については微増となったことから、営業利益が738百万円(前期比71.7%)、経常利益が746百万円(前期比72.3%)、親会社株主に帰属する当期純利益が492百万円(前期比70.8%)と減益となりました。