有価証券報告書-第105期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/23 11:09
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【項目】
139項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、年度初めからの新型コロナウイルス感染症の影響に伴う経済活動の自粛、停滞が1回目の緊急事態宣言解除後において徐々に緩和されてきたものの、個人消費は依然として低迷を続け、今年1月には2回目、4月には3回目の緊急事態宣言が発出される等、景気は極めて厳しい状況で推移しております。海外につきましても、中国の新型コロナウイルス感染者の抑制により少しずつ経済が回復してきているものの、米国や欧州など世界各地においては感染拡大が続いており、新型コロナウイルス変異株の爆発的な感染等により依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの主要なお取引先である自動車業界につきましては、中国など生産、販売が回復してきておりますが、米国、欧州などの主要な海外市場ではロックダウン等による生産減少、稼働停止が発生しており、国内におきましても、海外同様に生産、在庫調整が発生したこと等による生産減少を受け、国内生産台数は前年と比較して大幅な減少となりました。
このような需要環境のもと当社グループといたしましては、お取引先からのニーズを確実に捕捉し、日本・北米や新興国を中心とした拡販活動を継続的に推進いたしました。この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比較して4,295百万円増加し、106,051百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比較して2,009百万円増加し、12,305百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比較して2,285百万円増加し、93,746百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における売上高は50,152百万円(前期比19.7%減)、営業利益は4,018百万円(前期比40.5%減)、経常利益は5,446百万円(前期比26.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,962百万円(前期比24.3%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(自動車関連等)
米国をはじめ新興国市場等にグローバル拡販を積極的に推進いたしましたが、主に新型コロナウイルス感染症の拡大によるお取引先からの稼働停止、生産縮小等に伴う減産影響を受け、売上高は45,876百万円と前期比△12,263百万円(△21.1%)の減収となりました。一方利益面においては、収益改善活動をグループ一丸となって推進いたしましたが、主に減収による限界利益の減少等により、営業利益は4,541百万円と前期比△2,907百万円(△39.0%)の減益となりました。
(医療機器)
拡販及び新商品の上市を積極的に推進いたしましたが、新型コロナウイルス感染症に伴う営業活動の縮小等により、売上高は4,275百万円と前期比△64百万円(△1.5%)の減収となりました。一方利益面においては、より一層の合理化活動を推進したこと等により、営業利益は272百万円と前期比48百万円(21.6%)の増益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益5,446百万円及び減価償却費3,565百万円等の収入要因があり、有形固定資産の取得による支出2,529百万円及び法人税等の支払額1,024百万円等の支出要因がありましたが、前連結会計年度末と比較して4,914百万円(前期末比18.7%増)増加し、当連結会計年度末には31,161百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は7,343百万円(前期比14.5%減)となりました。前連結会計年度と比較して減少した主な要因は、税金等調整前当期純利益の減少等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2,580百万円(前期比58.3%減)となりました。前連結会計年度と比較して減少した主な要因は、有形固定資産の取得による支出の減少等によるものであります。
なお、営業活動により得られたキャッシュ・フローと投資活動により使用したキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは4,763百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は300百万円(前期は3,673百万円の支出)となりました。前連結会計年度と比較して増加した主な要因は、短期借入による収入の増加等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)

セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比
自動車関連等45,25277.9%
医療機器4,23698.0%
合計49,48979.3%

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当社グループは受注より出荷までの期間が極めて短いため、原則として一部の確定受注や過去の販売実績等を参考とした見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)

セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比
自動車関連等45,87978.9%
医療機器4,27298.5%
合計50,15280.3%

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.売上高の10%を超える主な相手先が存在しないため、「最近2連結会計年度の10%を超える主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合」の記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、期末時点での状況を基礎に連結貸借対照表及び連結損益計算書に影響を与えるような項目・事象について見積りを行ないますが、これらの見積りについては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる基準を設定して継続的に実施しております。なお、当連結会計年度末におきましては、国内外における新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響について、当連結会計年度の下期以降徐々に回復しているものの翌連結会計年度以降も一定の影響が継続するとの前提に基づいて、足元の実績をもとに当初の事業計画値に反映し会計上の見積もりとしております。しかし実際の結果は、見積りには不確実性が伴うため、これらの見積りとは異なる場合があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは原則として、事業用資産については管理会計上の区分を基にグルーピングを実施し、遊休資産については個別資産ごとにグルーピングを行って、減損兆候の判定に基づき、必要に応じて帳簿価額を回収可能価額まで減損しております。なお、詳細につきましては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載の通りであります。
(投資有価証券の減損処理)
当社グループは、保有する有価証券について、時価のあるものについては、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合に時価まで減損処理を行い、30%以上50%未満下落した株式等の減損にあっては、個別銘柄毎にその回復可能性を総合的に検討し実施しております。将来、株式の市況又は投資先の業績が悪化した場合には、さらなる評価損の計上が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。なお、詳細につきましては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載の通りであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は62,600百万円となり、前連結会計年度末と比較して4,632百万円増加しました。前連結会計年度末と比較して増加した主な要因は、有価証券の増加等によるものであります。固定資産は43,450百万円となり、前連結会計年度末と比較して336百万円減少いたしました。前連結会計年度末と比較して減少した主な要因は、減価償却による有形固定資産の減少及び関係会社株式の増加等によるものであります。
この結果、総資産は106,051百万円となり、前連結会計年度末と比較して4,295百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は9,864百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,984百万円増加いたしました。前連結会計年度末と比較して増加した主な要因は、短期借入金の増加等によるものであります。固定負債は2,441百万円となり、前連結会計年度末と比較して25百万円増加いたしました。前連結会計年度末と比較して増加した主な要因は、繰延税金負債の増加等によるものであります。
この結果、負債合計は12,305百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,009百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は93,746百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,285百万円増加となりました。前連結会計年度末と比較して増加した主な要因は、利益剰余金の増加等によるものであります。
この結果、自己資本比率は87.1%(前連結会計年度末は88.6%)となりました。
2)経営成績
当連結会計年度における売上高は50,152百万円(前年同期は62,480百万円、19.7%減)となりました。年度前半では新型コロナウイルス感染症によりロックダウンや稼働停止等の影響が強く出ておりましたが、年度後半からは徐々に緩和され、下期からは復調傾向となりました。セグメント別では自動車関連等事業は、米国をはじめ新興国市場等にグローバル拡販を積極的に推進いたしましたが、主に新型コロナウイルス感染症の拡大によるお取引先からの稼働停止、生産縮小等に伴う減産影響を受け、売上高は45,876百万円(前年同期は58,140百万円、21.1%減)となり、医療機器事業は、拡販及び新商品の上市を積極的に推進いたしましたが、新型コロナウイルス感染症に伴う営業活動の縮小等により、売上高は4,275百万円(前年同期は4,339百万円、1.5%減)となりました。
一方利益面におきましては、上期時点では連結営業赤字の結果となっておりましたが、下期からの売上復調による限界利益の増加、また当社グループ全体で24億円の総コスト削減を実施したことにより、下期では昨年比29.3%の増益となりました。然しながら年間では、主に減収による限界利益の減少等により、連結営業利益は4,018百万円(前年同期は6,753百万円、40.5%減)で、セグメント別では自動車関連等事業は4,541百万円(前年同期は7,448百万円、39.0%減)となり、医療機器事業は、売上減少を合理化でカバーしたこと等により272百万円(前年同期は224百万円、21.6%増)となりました。
また、経常利益は雇用調整助成金等の発生もありましたが、主に営業利益が減少したことにより5,446百万円(前年同期は7,396百万円、26.4%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は3,962百万円(前年同期は5,231百万円、24.3%減)となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループの資金につきましては、単体及びグループ全体でも月商売上高の6ヶ月以上の現金同等物を有しており、主として換金が容易であるため充分な流動性をもって事業活動を行っておりますが、当連結会計年度より流行しております新型コロナウイルスの感染拡大による影響が継続した場合には、コミットメントライン15億円の実行と併せ、固定費の圧縮等に努め、挽回策を講じていく所存であります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、自動車業界動向、資材費動向、人件費動向、物流費動向等があります。当社の主要なお取引先である自動車業界の動向については、CASE対応の加速、部品メーカー間の提携、IT企業の自動車業界への参入などが起こっており、100年に一度の大変革期と言われております。
当社グループのコア事業である自動車関連事業は、多角化推進、非日系自動車メーカー売上シェア向上、次世代商品の開発に対する取り組みを速やかに推進する必要があります。
当社グループといたしましては、コア技術である弾性技術の開発に注力し、メーカーの原点である「良い製品を安く造る」ことについては、DXやIoTを積極的に導入し、高い生産性を追求するほか、総コスト削減の徹底により収益基盤の強化にも取り組んでまいります。
資材費動向については、金属材料・樹脂材料共に価格上昇への対応や、世界的な樹脂材料の供給問題がある中でも安定供給を受けるべく資材取引先との関係を強化すると共に更なるコスト削減を行なってまいります。
人件費動向については、当社グループ全体的に人件費の高騰・人材確保が難しくなってきており、設備の自動化・業務の効率化により人件費を抑えると共に、IoTの活用とDXへのIT投資の促進を行うことにより少ない人員で生産性を高める取り組みを行ってまいります。
物流費動向については、物流費の高騰、コンテナの確保が難しくなっており、グループ全体で物流方法の改善の取り組みを行ってまいります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う主要客先の減産、EV化による当社既存製品の受注減が想定されますが、それを補うべく第2の柱である医療セグメントの子会社を通じて拡販及び新商品の上市を積極的に実施し、製造固定費の圧縮にも努めてまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための費用等の販管費が主な内容であります。
投資活動については、新規対応・自動化及び生産性向上等を目的とした設備投資と金型投資及び国内リニューアル投資が主な内容となります。
財務政策
当社グループは現在、運転資金・設備資金とも内部資金で充当しております。
また、不足が生じた場合に備えて、15億円のコミットメントラインを設定しております。
d.経営上の目標の達成・進捗状況
2020年度は、連結売上高501億円、連結営業利益40億円となり、2020年度目標としておりました連結売上高496億円、連結営業利益33億円と比較して、年度下期以降の自動車業界の回復や、より一層の合理化活動等の影響を受けて目標過達となりました。
2021年度につきましては、労務費等の高騰、半導体や原材料の供給問題、物流の混乱に加えアセアンなどの新興国市場では現地地場メーカーの台頭による競争激化により、状況は一層に厳しくなるものと思われます。このような環境下の中で業績予想といたしましては、新型コロナウイルス感染症により不透明な状況ではありますが、内外カーメーカーに対するグローバル拡販の推進を図る一方で、全社一丸となって合理化活動を推進することにより、連結売上高580億円、連結営業利益54億円を見込んでおります。
今後は電動化が進んでいきますと当社製品群の一部である燃料系部品等の売上が減少することが想定されますが、それを補うべくCASE対応製品等の新商品開発を進め、業容拡大に向けて努力する所存です。