有価証券報告書-第104期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/08/06 15:55
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【項目】
153項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、政府・日銀による経済政策や金融緩和等により個人消費、雇用情勢が底堅く推移し、景気は全体として緩やかな回復基調にあるものの、米国の保護主義的な通商政策に基づく貿易摩擦、アジアにおける地政学リスクの高まり、また第4四半期以降のコロナウイルスによる世界規模の感染症等を背景に、依然として先行き不透明な状況が続いております。 当社グループの主要なお取引先である自動車業界につきましては、国内では前年と比較して自然災害の影響等による減産や消費税増税の影響による販売不振があったことに加え、海外では北米、欧州、中国などで減産が継続する状況となりました。
このような需要環境のもと当社グループといたしましては、お取引先からのニーズを確実に捕捉し、日本・北米や新興国を中心とした拡販活動を継続的に推進いたしました。この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比較して400百万円減少し、101,755百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比較して1,359百万円減少し、10,295百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比較して959百万円増加し、91,460百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における売上高は62,480百万円(前期比8.5%減)、営業利益は6,753百万円(前期比27.5%減)、経常利益は7,396百万円(前期比28.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,231百万円(前期比29.5%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(自動車関連等)
米国をはじめ新興国市場等にグローバル拡販を積極的に推進いたしましたが、主に国内・欧米・中国の減産影響を受け、売上高は58,140百万円と前期比△5,761百万円(△9.0%)の減収となりました。一方利益面においては、収益改善活動をグループ一丸となって推進いたしましたが、主に材料費や労務費の高騰等による経費負担が増加したことにより、営業利益は7,448百万円と前期比△2,440百万円(△24.7%)の減益となりました。
(医療機器)
拡販及び新商品の上市を積極的に推進いたしましたが、消費税増税に伴う保険償還価格の見直しや海外OEM先での在庫調整等により、売上高は4,339百万円と前期比△56百万円(△1.3%)の減収となりました。一方利益面においては、製品在庫の減少や製造固定費の増加等により、営業利益は224百万円と前期比△131百万円(△37.0%)の減益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益7,068百万円及び減価償却費3,918百万円等の収入要因があり、有形固定資産の取得による支出3,897百万円及び法人税等の支払額2,330百万円等の支出要因がありましたが、前連結会計年度末と比較して1,399百万円(前期末比5.1%減)減少し、当連結会計年度末には26,246百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は8,583百万円(前期比21.4%減)となりました。前連結会計年度と比較して減少した主な要因は、税金等調整前当期純利益の減少等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は6,192百万円(前期比16.0%減)となりました。前連結会計年度と比較して減少した主な要因は、有形固定資産の取得による支出の減少等によるものであります。
なお、営業活動により得られたキャッシュ・フローと投資活動により使用したキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは2,391百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は3,673百万円(前期比91.6%増)となりました。前連結会計年度と比較して増加した主な要因は、自己株式の取得による支出の増加等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)

セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比
自動車関連等58,11490.5%
医療機器4,32396.0%
合計62,43790.9%

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当社グループは受注より出荷までの期間が極めて短いため、原則として一部の確定受注や過去の販売実績等を参考とした見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)

セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比
自動車関連等58,14091.0%
医療機器4,33998.7%
合計62,48091.5%

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.売上高の10%を超える主な相手先が存在しないため、「最近2連結会計年度の10%を越える主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合」の記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、期末時点での状況を基礎に連結貸借対照表及び連結損益計算書に影響を与えるような項目・事象について見積りを行ないますが、これらの見積りについては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる基準を設定して継続的に実施しております。なお、当連結会計年度末におきましては、国内外における新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響について、翌連結会計年度の上期にわたって影響が続き、下期以降徐々に正常化するとの前提に基づいて、足元の実績をもとに当初の事業計画値に反映し会計上の見積もりとしております。しかし実際の結果は、見積りには不確実性が伴うため、これらの見積りとは異なる場合があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは原則として、事業用資産については管理会計上の区分を基にグルーピングを実施し、遊休資産については個別資産ごとにグルーピングを行って、減損兆候の判定に基づき、必要に応じて帳簿価額を回収可能価額まで減損しております。なお、当連結会計年度におきましては、連結子会社でありますパイオラックス インディア プライベート リミテッドの事業用資産について、インド市場における予想しえない市場環境変化に伴う得意先における生産の大幅な変動による収益性の悪化により、減損損失を計上しております。翌連結会計年度の下期以降徐々に正常化するとの前提に基づいておりますが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を背景として、さらにインドおよびそれ以外の資産グループにおきましても、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
(投資有価証券の減損処理)
当社グループは、保有する有価証券について、時価のあるものについては、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合に時価まで減損処理を行い、30%以上50%未満下落した株式等の減損にあっては、個別銘柄毎にその回復可能性を総合的に検討し実施しております。将来、株式の市況又は投資先の業績が悪化した場合には、さらなる評価損の計上が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。なお、当該課税所得を見積るにあたって、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は含まれておりますが、予想しえない感染の拡大または予想以上に影響が継続された場合には、前提とした条件や見積りに変更が生じ、これが減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は57,968百万円となり、前連結会計年度末と比較して323百万円増加しました。前連結会計年度末と比較して増加した主な要因は、現金及び預金、有価証券の増加等によるものであります。固定資産は43,787百万円となり、前連結会計年度末と比較して723百万円減少いたしました。前連結会計年度末と比較して減少した主な要因は、建設仮勘定及び投資有価証券の減少等によるものであります。
この結果、総資産は101,755百万円となり、前連結会計年度末と比較して400百万円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は7,879百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,010百万円減少いたしました。前連結会計年度末と比較して減少した主な要因は、未払法人税等の減少等によるものであります。固定負債は2,415百万円となり、前連結会計年度末と比較して349百万円減少いたしました。前連結会計年度末と比較して減少した主な要因は、固定負債のその他の減少等によるものであります。
この結果、負債合計は10,295百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,359百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は91,460百万円となり、前連結会計年度末と比較して959百万円増加となりました。前連結会計年度末と比較して増加した主な要因は、利益剰余金の増加等によるものであります。
この結果、自己資本比率は88.6%(前連結会計年度末は87.3%)となりました。
経営成績
当連結会計年度における売上高は62,480百万円(前年同期は68,298百万円、8.5%減)であり、セグメント別では自動車関連等事業は、米国をはじめ新興国市場等にグローバル拡販を積極的に推進いたしましたが、売上高は58,140百万円(前年同期は63,902百万円、9.0%減)となり、医療機器事業は、拡販及び新商品の上市を積極的に推進いたしましたが、売上高は4,339百万円(前年同期は4,396百万円、1.3%減)となりました。
一方利益面におきましては、収益改善活動をグループ一丸となって推進いたしましたが、主に材料費や労務費の高騰等による経費負担が増加したことにより、連結営業利益は6,753百万円(前年同期は9,312百万円、27.5%減)で、セグメント別では自動車関連等事業は、7,448百万円(前年同期は9,888百万円、24.7%減)となり、医療機器事業は、224百万円(前年同期は356百万円、37.0%減)となりました。
また、経常利益は7,396百万円(前年同期は10,321百万円、28.3%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は5,231百万円(前年同期は7,421百万円、29.5%減)となりました。
2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループの資金につきましては、単体及びグループ全体でも月商売上高の6ヶ月程度の現金同等物を有しており、主として換金が容易であるため充分な流動性をもって事業活動を行っておりますが、当連結会計年度より流行しております新型コロナウイルスの感染拡大による影響が継続した場合には、更なる現金預金残高の減少が想定されることから、当連結会計年度よりコミットメントラインを15億円と、昨年に比較して5億円を増額し、また固定費の圧縮等に努め、挽回策を講じていく所存であります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、自動車産業動向、資材費動向、人件費動向等があります。自動車産業動向については、当社グループの主たるセグメントであり化石燃料からEV・自動運転等へ急激に変化しております。各メーカーの動向、各国の状況に合わせた提案を行い着実に収益を確保・増加させて行きます。
資材費動向については、金属材料・樹脂材料共に価格上昇への対応、安定供給を受けるべく資材取引先との関係を強化すると共に更なるコスト削減を行なって行きます。
人件費動向については、当社グループ全体的に人件費の高騰・人材確保が難しくなってきており、設備の自動化・業務の効率化により人件費を抑え、少ない人員で生産性を高める取り組みを行ってまいります。
また、当連結会計年度では、インド子会社において減損損失が発生いたしました。現在のコロナウイルス影響を加味すると来期も業績回復までは難しい舵取りとなりますが、今まで以上にお得意先様からのニーズを確実に捕捉し、合理化等一層推進いたしながら、黒字化に向け策を講じてまいります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、今後自動車部品事業のお得意先様からの受注減少が想定されますが、それを補うべく、第2の柱である医療セグメントの子会社を通じて拡販及び新商品の上市を積極的に実施し、製造固定費の圧縮にも努めてまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための費用等の販管費が主な内容であります。
投資活動については、新規対応・自動化及び生産性向上等を目的とした設備投資と金型投資及び国内リニューアル投資が主な内容となります。
財務政策
当社グループは現在、運転資金・設備資金とも内部資金で充当しております。
また、不足が生じた場合に備えて、15億円のコミットメントラインを設定しております。
d.経営上の目標の達成・進捗状況
2019年度は、連結売上高624億円、連結営業利益67億円となり、2019年度目標としておりました連結売上高660億円、連結営業利益80億円は、主に国内・欧米・中国の自動車生産の減少影響を受け未達となりました。
2020年度以降の業績予想につきましては、新型コロナウイルス感染症が世界規模で拡大している影響により、現段階では合理的に業績予想の算出が困難であることから、未定としております。