有価証券報告書-第157期(2025/04/01-2026/03/31)
1.経営成績等の状況の概要
2025年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況は次のとおりです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 概要
2025年度の連結売上高は、4,132,751百万円(前年度比0.7%増加)となりました。利益については、営業利益は567,323百万円(前年度比13.7%減少)となりました。売上高営業利益率は前年度を2.3ポイント下回る13.7%となりました。税引前当期純利益は、537,258百万円(前年度比11.2%減少)、当社株主に帰属する当期純利益は376,391百万円(前年度比14.4%減少)となりました。
② 為替レート変動の影響
2025年度は前年度に比較し、為替レートが米ドル、豪ドル等に対して円高に推移しました。為替レートの変動により、建設機械・車両事業のセグメント利益は前年度比で約25億円減少したと試算されます。為替レート変動の影響は、各社の外貨建取引額に各為替レートの変動を乗じて算出した金額の合計として試算されています。為替レート変動に対応した販売価格変更の影響は考慮していません。
③ 売上高
売上高は前年度の4,104,395百万円と比較して0.7%増加の4,132,751百万円となりました。国内売上高は前年度の436,605百万円と比較して2.8%減少の424,583百万円、海外売上高は前年度の3,667,790百万円と比較して1.1%増加の3,708,168百万円となりました。
④ 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、米国関税の影響などにより、前年度比3.3%増加して2,872,897百万円となりました。売上高に対する比率は69.5%と前年度比で1.7ポイント増加しました。
販売費及び一般管理費は、前年度比4.5%増加して688,688百万円となりました。
なお、販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は、前年度比9.7%増加して121,177百万円となりました。
⑤ 長期性資産等の減損
長期性資産等の減損は、前年度の2,031百万円と比較して1,821百万円増加の3,852百万円となりました。2025年度の長期性資産等の減損は、主として有形固定資産の減損によるものです。
⑥ その他の営業収益(△費用)
その他の営業収益(△費用)は、前年度の4,371百万円の費用に対し9百万円の収益となりました。
⑦ 営業利益
営業利益は以上の結果、前年度の657,125百万円と比較して13.7%減少の567,323百万円となりました。
⑧ その他の収益(△費用)
受取利息及び配当金は、前年度の27,325百万円と比較して2,475百万円減少の24,850百万円となりました。支払利息は、前年度の57,594百万円と比較して4,260百万円減少の53,334百万円となりました。
⑨ 税引前当期純利益
税引前当期純利益は以上の結果、前年度の604,838百万円と比較して11.2%減少の537,258百万円となりました。
⑩ 法人税等
法人税等は、前年度の145,627百万円と比較して18百万円減少の145,609百万円となりました。税引前当期純利益に対する法人税等の比率(実効税率)は、前年度の24.1%から3.0ポイント増加し、2025年度は27.1%となりました。法定税率31.3%と実効税率27.1%との差異は、海外子会社の適用税率の差異等によるものです。
⑪ 持分法投資損益
持分法投資損益は、前年度の9,521百万円の利益と比較して518百万円増加の10,039百万円の利益となりました。
⑫ 当期純利益
当期純利益は以上の結果、前年度の468,732百万円と比較して67,044百万円減少の401,688百万円となりました。
⑬ 非支配持分に帰属する当期純利益
非支配持分に帰属する当期純利益は、コマツオーストラリア㈱やコマツカミンズチリ㈲等の当期純利益が減少したことから、非支配持分に帰属する部分が減少し、前年度の29,118百万円と比較して3,821百万円減少の25,297百万円となりました。
⑭ 当社株主に帰属する当期純利益
当社株主に帰属する当期純利益は以上の結果、前年度の439,614百万円と比較して14.4%減少の376,391百万円となりました。1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前年度の473.44円から413.90円となりました。潜在株式調整後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前年度の473.42円から413.90円となりました。
⑮ セグメント利益の状況
(セグメント利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。)
建設機械・車両事業のセグメント利益は、販売価格の改善に努めたものの、コストの増加や販売量減少などにより、前年度の598,874百万円と比較して107,756百万円減少の491,118百万円となりました。
リテールファイナンス事業のセグメント利益は、資金調達コストの低下や金融債権残高の拡大に伴う金利収入の増加などにより、前年度の29,422百万円と比較して7,166百万円増加の36,588百万円となりました。
産業機械他事業のセグメント利益は、自動車産業向けの大型プレスの販売増加や半導体産業向けエキシマレーザー関連事業でのメンテナンス売上げ増加などにより、前年度の27,391百万円と比較して10,546百万円増加の37,937百万円となりました。
これらに、全社及びセグメント間取引消去を差し引いたセグメント利益(連結)は、前年度の663,527百万円と比較して92,361百万円減少の571,166百万円となりました。
なお、セグメント利益(連結)は米国会計基準に則っていませんが、財務諸表利用者に有益な情報を提供するために表示しています。
(2) キャッシュ・フローの状況
2025年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権が増加したものの、当期純利益などにより、448,963百万円の収入(前年度比68,204百万円の収入減少)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の購入などにより、199,232百万円の支出(前年度比11,437百万円の支出減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いや自己株式取得などにより、208,536百万円の支出(前年度は321,424百万円の支出)となりました。
各キャッシュ・フローの合計に為替変動の影響を加えた結果、現金及び現金同等物の当年度末残高は前年度末に比べ54,132百万円増加し、439,701百万円となりました。
(3) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、事業の種類別セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため生産、受注及び販売の実績については、「2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」における各事業の種類別セグメント業績に関連付けて示しています。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、米国会計基準に準拠して作成しています。作成にあたって当社のマネジメントは、知り得る限りの情報に基づいて妥当であると考えられる見積りや判断を継続して実施しています。これらの見積りや判断は、連結財務諸表において、決算日の資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値及び偶発資産・債務の開示情報に影響を与えます。これらの見積りや判断は、当社グループの過去からの経験、既存の諸契約の内容、業界動向の分析、顧客からの情報、その他の外部からの情報に基づいているものですが、その性質上、内在する不確実性の度合いが影響するため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。当社の重要な会計方針は、連結財務諸表注記1に記載されています。
地政学リスクの高まりや各国の関税政策に起因する金融・経済の混乱等が当社グループの財政状態及び経営成績に与える影響については、現時点で入手可能な情報や予測に基づき、今後も一定程度当該影響が継続すると仮定しています。会計上の見積りの中でも比較的重要性のある信用損失見積額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断、長期性資産及び営業権の減損の判定については、当該仮定を含んだ最善の見積りを行っていますが、今後の実際の推移が当該仮定と乖離する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表等に重要な影響を及ぼすと考えています。
① 信用損失引当金
当社グループは、過去の損失発生実績や経済指標及び顧客の信用状況等の様々な要素を考慮して、信用損失が発生すると予想される金額を見積り、売上債権等に対して信用損失引当金を計上しています。特にリテールファイナンス事業に係る売上債権(以下、「リテールファイナンス債権」)は、回収が長期間に及ぶうえに、信用損失見積額の算定及び担保による回収可能見込額の算定には不確実性を伴います。当社グループは、過去の平均損失率に住宅着工件数等の関連する経済指標の変動予測を加味した予想信用損失率を用いて、リテールファイナンス債権に対する信用損失引当金を計上しています。また、顧客の財政状況の悪化や支払い遅れの長期化等により回収可能性に懸念があると判断されるリテールファイナンス債権に対しては、顧客ごとの信用状況や未回収債権の状況調査及び担保となる機械の市場価格調査を行い、入手可能な情報に基づいて信用損失引当金を個別に積み増しています。これまでに発生した損失実績は、当社グループが予測し、計上した引当金の範囲内であり、当社のマネジメントは、当社グループの見積りが妥当であると考えていますが、売上債権の種類の構成が変化したり、予見できない大きな経済環境の変動により顧客の財政状況に変化が生じるような場合、見積りを変更する必要が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
詳細は、連結財務諸表注記3に記載されています。
② 法人税等と繰延税金資産
当社は、連結財務諸表を作成するにあたり、各構成単位で納税地の税法に基づいて法人所得税・未払法人税の見積りを行っています。また、繰越欠損金や税務上と会計上の取扱いの違いにより生じる一時差異については、税効果計算を実施し、連結貸借対照表に繰延税金資産・負債を計上しています。
繰延税金資産の計上にあたっては、これらが将来の課税所得や有効な税務計画により実現されることの確実性を検証する必要があります。
当社のマネジメントは、取締役会で承認された経営計画や、期中での各社からの経営報告、将来の市場状況、実行性の高い税務戦略等に基づき、将来の課税所得を推定し繰延税金資産の回収可能性を判断しており、実現できないと考えられる部分については評価性引当金を計上しています。将来の課税所得あるいは課税時期に関する当社のマネジメントの判断が変わることにより、評価性引当金が変動する可能性があります。
また、当社グループは、税務ポジションの不確実性から生じる影響額については、税務上の技術的な解釈に基づき、税務ポジションが認められる可能性が50%超である場合、財務諸表で認識しています。その税務ポジションに関連するベネフィットは、税務当局との解決により、50%超の可能性で実現が期待される最大金額で測定されます。
当社のマネジメントは、計上した繰延税金資産(評価性引当金控除後)全額が実現可能であり、認識された不確実性のあるすべての主要な税務ポジションは瑕疵なく持続していると判断していますが、経営計画が実現できず、将来の課税所得の見積りが大幅に減少する場合や、関連する税務当局との法令解釈の相違等、これらの判断が結果として現実と異なる場合には、評価性引当金や認識すべき財務諸表への影響額を見直す必要があり、追加の税金費用が発生することで当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
詳細は、連結財務諸表注記16に記載されています。
③ 長期性資産及び営業権の評価
当社グループは長期性資産に関して、経営環境の変化により、将来その資産から生み出されるキャッシュ・フローが減少するなど、帳簿価額相当額を回収することができないと判断されるような事象や状況の変化が生じた場合には、減損に関する検討を実施しています。
当社グループが保有しかつ使用している資産の回収可能性は、帳簿価額とその資産から生じる割引前将来キャッシュ・フローとの比較で判定されます。この割引前将来キャッシュ・フローは、承認された経営計画に基づき算出されます。この経営計画は、外部調査機関や顧客からの情報をもとにした市場予測により売上量を推定し、それを前提に販売価格の変動、製造原価、販売費及び一般管理費の変動等マネジメントの最良の判断による推定を可能な限り織り込んで策定されます。もし、資産の帳簿価額が割引前将来キャッシュ・フローを上回り、回収可能性が認められずその資産が減損状態であると判定された場合、帳簿価額が公正価値を上回った額が減損額として測定され計上されます。公正価値は、主に市場において想定されるキャッシュ・フローの変動リスクを考慮した加重平均資本コストを割引率として使用する割引後将来キャッシュ・フローモデル、あるいは独立した鑑定評価で測定されます。処分予定の長期性資産については、帳簿価額と公正価値から処分のためのコストを差し引いた額とのいずれか低い方で評価されます。
当社グループは営業権については、少なくとも各年度に1回、又は減損の可能性を示す事象や、状況の変化が生じた時点で減損の検討を実施しています。
報告単位の公正価値の測定にあたっては、通常、割引後将来キャッシュ・フローモデルにより算定しています。将来見積キャッシュ・フローは、承認された経営計画に基づき算出されます。この経営計画は、外部調査機関や顧客からの情報をもとにした市場予測により売上量を推定し、それを前提に販売価格の変動、製造原価、販売費及び一般管理費の変動等マネジメントの最良の判断による推定を可能な限り織り込んで策定されます。報告単位の帳簿価額が公正価値を上回る場合、その報告単位に配分された営業権の帳簿価額を限度とし、当該差額を営業権の減損損失として認識します。
現状では、長期性資産及び営業権については、重要な追加の減損の発生はないと考えていますが、経営戦略の変更、市場の変化があった場合には、その資産から将来得られるキャッシュ・フローの予想や公正価値の算出に影響し、長期性資産及び営業権の回収可能性の評価判断が変更となり、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 金融商品の公正価値
主に外国為替予約や金利スワップ契約等のデリバティブ金融商品の公正価値は、市場で観察可能なインプットに基づいた業者からの情報をもとに評価しています。この公正価値の情報は、特定のある時点での適切な市場の情報と商品についての情報に基づいて推定されるものですが、これらの推定はその性格上、市場の不確実性を含んでいるため、実際の結果と異なってくる可能性があります。
市場性のある持分証券は、公正価値で評価されています。公正価値の変動は、当期純利益で認識しています。
市場性がなく、容易に算定可能な公正価値がない持分証券のうち、1株当たり純資産価値で評価している持分証券以外について、減損による評価下げ後の取得価額にて測定しています。また、同一発行体の同一又は類似する投資に関する秩序ある取引における観察可能な価格の変動を識別した場合は、当該持分証券を観察可能な取引が発生した日の公正価値で測定しています。
関連会社に対する投資の公正価値については、公正価値の下落があった場合、それが一時的かどうかについて、下落の期間や程度、被投資会社の財政状態及び業績予想等を考慮して判断しています。
現状では、投資有価証券あるいは関連会社に対する投資については、重要な追加の減損の発生はないと考えていますが、将来の経済環境の変化によっては投資先の企業の業績が悪化し、減損を認識する可能性があります。
詳細は、連結財務諸表注記20、21、22に記載されています。
⑤ 退職給付債務及び費用
当社グループの年金債務及び年金費用の額は、算出時に使用した仮定に影響されます。これらの仮定は連結財務諸表注記12に記載されており、割引率、長期期待収益率、平均報酬水準増加率等を含みます。当社グループは、仮定と実績が乖離した場合には、その差額を累積し従業員の平均残存勤務年数にわたって償却を実施する事で、将来の期間にわたり、費用として認識します。
割引率は、現在かつ年金受給が満期となる間に利用可能と予想される信用度の高い固定利付き債券の利率に基づいて算出されます。また、長期期待収益率は、投資対象の様々な資産カテゴリー別に将来収益に対する予測や過去の運用実績を考慮し決定されます。
当社グループは、これらの仮定は妥当なものであると考えていますが、重要な実績との乖離もしくは重要な仮定の変化があった場合、年金債務と将来の費用に影響を与える可能性があります。
当年度末の当社グループの年金制度において、割引率又は長期期待収益率が0.5%変動した場合、当年度末の年金債務及び翌年度の年金費用に及ぼす影響は、その他すべての仮定を一定とすると、それぞれ以下のとおりです。
⑥ 今後適用となる新会計基準
米国財務会計基準審議会は、2024年11月に会計基準アップデート2024-03「損益計算書における費用の細分化」を発行しました。同アップデートは、継続事業から生じる損益計算書上で表示される費用項目を棚卸資産の購入額、従業員報酬、減価償却費、無形資産の償却費、減耗費の5種類の費用に細分化して表形式で開示することを要求しています。現行の米国会計基準の規定により開示が要求されている特定の項目についても同表形式の開示に含めることを要求しています。細分化して開示されることが要求されないその他に分類される金額については、定性的な説明を行うことを要求しています。また、継続事業から生じた販売費の合計額及び連結会計年度においては企業による販売費の定義の開示を要求しています。同アップデートは、2026年12月16日以降に開始する連結会計年度及び2027年12月16日以降に開始する連結会計年度の期中会計期間に適用されます。当社グループは、現在、同アップデートが開示に与える影響について検討しています。なお、同アップデートの適用が、当社グループの財政状態及び経営成績に与える影響はありません。
(2) 2025年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
2025年度の連結売上高は4,132,751百万円(前年度比0.7%増加)となりました。建設機械・車両事業では、販売量が減少したものの、主に販売価格の改善により、売上高は2024年度を上回りました。産業機械他事業では、自動車産業向け大型プレスの販売増加と半導体産業向けエキシマレーザー関連事業でのメンテナンス売上げ増加などにより、売上高は2024年度を上回りました。利益については、建設機械・車両事業は販売価格の改善に努めたものの、コスト増加や販売量減少により減益となりました。一方で、リテールファイナンス事業及び産業機械他事業は増益となりました。この結果、営業利益は567,323百万円(前年度比13.7%減少)となりました。
当年度末は、米ドルなどに対して為替が前年度末に比べ円安になったことに加え、売上債権や棚卸資産などの増加により、総資産は前年度末に比べ650,418百万円増加の6,423,941百万円となりました。有利子負債残高は、前年度末に比べ190,434百万円増加の1,341,031百万円となりました。また、株主資本は前年度末に比べ337,369百万円増加の3,510,768百万円となりました。これらの結果、株主資本比率は前年度末に比べ0.3ポイント減少の54.7%となりました。
② 流動性及び資金の源泉
<資金使途の考え方>当社グループは、持続的な企業価値の増大を目指して、営業キャッシュ・フローの約半分を設備投資に振り向
け、成長の推進力としてきました。資金使途を従来からの方針に基づき、(1)設備投資(成長投資)、(2)株主還元、(3)バランスシート改善(将来のM&Aへの備え)という3つの資金使途にバランスよく配分します。
資金使途の基本的な考え方

<資金調達と流動性管理>当社グループは、将来の事業活動に必要な資金を確保し、適切な流動性を維持することを財務の基本方針としています。この方針に従い、当社グループは金融機関借入、社債等の発行、融資枠の設定等、様々な資金調達の源泉を確保しています。設備投資資金及び運転資金については、営業活動から得られたキャッシュ・フロー及び外部より調達した資金を充当しています。更に、当社グループの資金の効率性を高めるため、海外子会社を含めたグループ間のキャッシュマネジメントシステム(グローバルキャッシュマネジメントシステム、以下、「GCMS」)を特定の金融機関と構築しており、特定の金融機関に対する預入総額を上限にGCMS参加会社は借入を行っています。当GCMSにおいては、預入金及び借入金の残高を相殺できる条項が含まれており、当年度末現在の相殺金額は321,199百万円となっています。
短期資金需要に対しては、営業活動から得られたキャッシュ・フローを主として充当し、必要に応じ銀行借入及びコマーシャル・ペーパーの発行等でまかなっています。当社及び一部の連結子会社は、当年度末現在、金融機関との間に合計383,812百万円のコミットメントライン契約を締結して代替流動性を確保しており、その未使用枠は328,972百万円となっています。コマーシャル・ペーパーについては、当年度末現在、当社で240,000百万円、コマツファイナンスアメリカ㈱で1,000百万米ドルのプログラムを保有しており、未使用枠はそれぞれ140,000百万円、50百万米ドルとなっています。
当社は、中長期資金需要に機動的に対応するため、社債発行枠とユーロ・ミディアム・ターム・ノート(以下、「EMTN」)プログラムを保有しています。当社は2024年11月に2年間有効の100,000百万円の社債発行枠を登録しました。当年度末現在の未使用枠は100,000百万円となっています。なお、これ以外の過去に登録した社債発行枠に基づいて発行した分も含めた当社グループの社債の当年度末現在の残高は255,159百万円です。これには、2022年10月に当社100%子会社であるコマツファイナンスアメリカ㈱を通じて発行した日本企業としては初の外貨建てサステナビリティ・リンク・ボンド600百万米ドルも含まれます。また、当社、コマツファイナンスアメリカ㈱及び欧州コマツコーディネーションセンター㈱で合わせて2,200百万米ドルのEMTNプログラムを保有しており、このプログラムに基づいて、それぞれの発行体はディーラーとの間で合意されたすべての通貨の債券を発行できます。当年度末現在、当該EMTNプログラムにより発行された債券の残高は111,260百万円です。
当年度末現在、当社グループの短期債務残高は553,550百万円となり、前年度末に比べて177,224百万円増加しました。短期債務は主に銀行、保険会社等からの借入金等であり、運転資金等に使用されています。
当年度末現在、長期債務残高(1年以内期限到来分含む)は787,481百万円で、前年度末に比べて13,210百万円増加しました。長期債務は銀行、保険会社等からの借入金等421,062百万円、無担保社債255,159百万円、EMTN111,260百万円で構成されており、主に設備投資資金及び長期運転資金に使用されています。
当年度末現在の有利子負債残高は前年度末比190,434百万円増加の1,341,031百万円となり、現預金を差し引いたネット有利子負債残高は前年度末比136,302百万円増加の901,330百万円となりました。
当年度末現在、流動資産は3,688,198百万円となり、前年度末に対し、389,895百万円増加し、また流動負債は1,747,417百万円となり、前年度末に対し98,057百万円増加しました。その結果、流動比率は211.1%と前年度末に対し11.1ポイント増加となりました。
営業活動から得られるキャッシュ・フロー、様々な資金調達手段、流動比率の水準に基づき、当社グループは、流動性ニーズや将来の債務履行のための手段を十分に確保しているものと考えています。
なお、当年度末現在の現金及び現金同等物の残高は439,701百万円であり、そのうち374,459百万円は海外子会社が保有しています。
当社グループは、S&Pグローバル・レーティング、ムーディーズ・レーティングス及び格付投資情報センターから信用格付を取得しています。当年度末現在、当社グループの発行体格付けは、S&Pグローバル・レーティング:A(長期)、A-1(短期)、ムーディーズ・レーティングス:A2(長期)、Prime-1(短期)、格付投資情報センター:AA(長期)、a-1+(短期)となっています。
<設備投資>建設機械・車両事業では、主に生産性の向上や循環事業強化のための設備投資等を行いました。リテールファイナンス事業では、主に賃貸用資産に係る設備投資等を行いました。産業機械他事業では、主に生産性の向上のための設備投資等を行いました。これらの結果、2025年度の設備投資額は183,024百万円と前年度比1,142百万円の減少となりました。
<契約上の債務>当年度末現在の契約上の債務は次のとおりです。
(注)1.長期債務の公正価値の調整額はありません。
2.有利子負債に関する利息は、当年度末現在有効な利率に基づき計算されています。
3.年金及びその他の退職給付債務は、2027年度以降の拠出額は未確定であるため、2026年度に生じるものだけを記載しています。
なお、当年度末現在の設備発注残高は、約54,500百万円です。
③ セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
<建設機械・車両事業セグメント>建設機械・車両事業の売上高は3,806,040百万円(前年度比0.2%増加)となりました。
当期において、建設現場向け施工管理ソリューションのスマートコンストラクションⓇを着実に推進し、日米欧豪でのICT建機の販売割合を示す「ICT建機化率」は28.7%となりました。また、鉱山機械では、無人ダンプトラック運行システム(AHS)の累計導入台数が2026年3月末時点で1,016台に達しました。
2026年2月27日にSRC of Lexington社の建設・鉱山機械用コンポーネント・部品のリマニュファクチャリング事業を買収しました。また、2026年4月1日には林業機械メーカーであるMalwa Forest社の買収を完了しています。
建設機械・車両事業セグメントの地域別売上高(外部顧客向け売上高)
※1 日本及び中国を除きます。
※2 日本を除きます。
地域別の概況は以下のとおりです。
(米州)
北米では、2024年度に大口商談があった鉱山機械の販売が減少したものの、一般建機はエネルギーやインフラ向けなどで需要は堅調に推移し販売が増加したことなどにより、売上高は前年度比で2.0%増加しました。中南米では、銅需要が堅調に推移したことによりチリなどで鉱山機械の販売が増加したことから、売上高は前年度比で13.7%増加しました。
(欧州・アフリカ・中近東)
欧州では、景況感の改善に加え、ドイツやイギリスのインフラ投資計画などを背景に需要は概ね堅調に推移し、一般建機の販売が増加したことや円安の影響により、売上高は前年度比で10.8%増加しました。アフリカでは、鉱山機械の販売が増加したことや円安の影響により、売上高は前年度比で15.9%増加しました。中近東では、UAEでの大型インフラプロジェクトに関連する需要及び販売が堅調に推移したものの、中東情勢の影響により第4四半期には減少へ転じ、売上高は前年度比で1.7%減少しました。
(オセアニア・アジア・CIS)
オセアニアでは、鉱山機械の販売が増加したことにより、売上高は前年度比で2.3%増加しました。アジアでは、主にインドネシアにおいて石炭価格が低調に推移したことにより、鉱山機械の需要が低迷し、売上高は前年度比で32.9%減少しました。中国では、不動産市況の低迷に加え、鉱山機械の需要が減少したことから、売上高は前年度比で5.5%減少しました。CISでは、中央アジアにおいて鉱山機械の販売が減少した一方で、一般建機においてインフラ関連プロジェクト向けの販売が増加したことにより、売上高は前年度比で1.7%増加しました。
(日本)
日本では、人件費・資材価格高騰や労働力不足などを背景に一般ユーザー向け及びレンタル向け需要が引き続き低迷していることから、売上高は前年度比で4.6%減少しました。
当年度末のセグメント資産は、前年度末比435,692百万円増加の4,554,339百万円となりました。
なお、建設機械・車両事業セグメントの生産規模は、前年度比3.1%増加し、約3兆8,586億円(販売価格ベース、連結ベース)でした。
<リテールファイナンス事業セグメント>リテールファイナンス事業では、債権残高の拡大に伴う金利収入の増加により、売上高は126,137百万円(前年度比2.4%増加)となりました。
当年度末のセグメント資産は、前年度末比238,280百万円増加の1,617,867百万円となりました。
<産業機械他事業セグメント>産業機械他事業では、主に自動車産業向けの大型プレスの販売増加や半導体産業向けエキシマレーザー関連事業でのメンテナンス売上げ増加などにより、売上高は238,750百万円(前年度比6.8%増加)となりました。
当年度末のセグメント資産は、前年度末比4,307百万円減少の269,586百万円となりました。
なお、産業機械他事業セグメントの生産規模は、前年度比1.9%減少し、約2,133億円(販売価格ベース、連結ベース)でした。
④ 目標とする経営指標の達成状況等
2028年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画の経営目標に対し、2025年度の実績は以下のとおりとなり ました。
*1 ROE=当社株主に帰属する当期純利益/((期首株主資本+期末株主資本)/2)
*2 ROA=セグメント利益/((期首総資産+期末総資産)/2)
*3 ネット・デット・エクイティ・レシオ(ネット負債資本比率)=(有利子負債-現預金)/株主資本
2025年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況は次のとおりです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 概要
2025年度の連結売上高は、4,132,751百万円(前年度比0.7%増加)となりました。利益については、営業利益は567,323百万円(前年度比13.7%減少)となりました。売上高営業利益率は前年度を2.3ポイント下回る13.7%となりました。税引前当期純利益は、537,258百万円(前年度比11.2%減少)、当社株主に帰属する当期純利益は376,391百万円(前年度比14.4%減少)となりました。
| 2025年度 | 前年度比 | |||
| 売上高 | 4,132,751 | 百万円 | +0.7 | % |
| 建設機械・車両 | 3,806,040 | 百万円 | +0.2 | % |
| リテールファイナンス | 126,137 | 百万円 | +2.4 | % |
| 産業機械他 | 238,750 | 百万円 | +6.8 | % |
| 消去 | △38,176 | 百万円 | - | |
| セグメント利益 | 571,166 | 百万円 | △13.9 | % |
| 建設機械・車両 | 491,118 | 百万円 | △18.0 | % |
| リテールファイナンス | 36,588 | 百万円 | +24.4 | % |
| 産業機械他 | 37,937 | 百万円 | +38.5 | % |
| 消去又は全社 | 5,523 | 百万円 | - | |
| 営業利益 | 567,323 | 百万円 | △13.7 | % |
| 税引前当期純利益 | 537,258 | 百万円 | △11.2 | % |
| 当社株主に帰属する当期純利益 | 376,391 | 百万円 | △14.4 | % |
② 為替レート変動の影響
2025年度は前年度に比較し、為替レートが米ドル、豪ドル等に対して円高に推移しました。為替レートの変動により、建設機械・車両事業のセグメント利益は前年度比で約25億円減少したと試算されます。為替レート変動の影響は、各社の外貨建取引額に各為替レートの変動を乗じて算出した金額の合計として試算されています。為替レート変動に対応した販売価格変更の影響は考慮していません。
③ 売上高
売上高は前年度の4,104,395百万円と比較して0.7%増加の4,132,751百万円となりました。国内売上高は前年度の436,605百万円と比較して2.8%減少の424,583百万円、海外売上高は前年度の3,667,790百万円と比較して1.1%増加の3,708,168百万円となりました。
④ 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、米国関税の影響などにより、前年度比3.3%増加して2,872,897百万円となりました。売上高に対する比率は69.5%と前年度比で1.7ポイント増加しました。
販売費及び一般管理費は、前年度比4.5%増加して688,688百万円となりました。
なお、販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は、前年度比9.7%増加して121,177百万円となりました。
⑤ 長期性資産等の減損
長期性資産等の減損は、前年度の2,031百万円と比較して1,821百万円増加の3,852百万円となりました。2025年度の長期性資産等の減損は、主として有形固定資産の減損によるものです。
⑥ その他の営業収益(△費用)
その他の営業収益(△費用)は、前年度の4,371百万円の費用に対し9百万円の収益となりました。
⑦ 営業利益
営業利益は以上の結果、前年度の657,125百万円と比較して13.7%減少の567,323百万円となりました。
⑧ その他の収益(△費用)
受取利息及び配当金は、前年度の27,325百万円と比較して2,475百万円減少の24,850百万円となりました。支払利息は、前年度の57,594百万円と比較して4,260百万円減少の53,334百万円となりました。
⑨ 税引前当期純利益
税引前当期純利益は以上の結果、前年度の604,838百万円と比較して11.2%減少の537,258百万円となりました。
⑩ 法人税等
法人税等は、前年度の145,627百万円と比較して18百万円減少の145,609百万円となりました。税引前当期純利益に対する法人税等の比率(実効税率)は、前年度の24.1%から3.0ポイント増加し、2025年度は27.1%となりました。法定税率31.3%と実効税率27.1%との差異は、海外子会社の適用税率の差異等によるものです。
⑪ 持分法投資損益
持分法投資損益は、前年度の9,521百万円の利益と比較して518百万円増加の10,039百万円の利益となりました。
⑫ 当期純利益
当期純利益は以上の結果、前年度の468,732百万円と比較して67,044百万円減少の401,688百万円となりました。
⑬ 非支配持分に帰属する当期純利益
非支配持分に帰属する当期純利益は、コマツオーストラリア㈱やコマツカミンズチリ㈲等の当期純利益が減少したことから、非支配持分に帰属する部分が減少し、前年度の29,118百万円と比較して3,821百万円減少の25,297百万円となりました。
⑭ 当社株主に帰属する当期純利益
当社株主に帰属する当期純利益は以上の結果、前年度の439,614百万円と比較して14.4%減少の376,391百万円となりました。1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前年度の473.44円から413.90円となりました。潜在株式調整後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前年度の473.42円から413.90円となりました。
⑮ セグメント利益の状況
(セグメント利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。)
建設機械・車両事業のセグメント利益は、販売価格の改善に努めたものの、コストの増加や販売量減少などにより、前年度の598,874百万円と比較して107,756百万円減少の491,118百万円となりました。
リテールファイナンス事業のセグメント利益は、資金調達コストの低下や金融債権残高の拡大に伴う金利収入の増加などにより、前年度の29,422百万円と比較して7,166百万円増加の36,588百万円となりました。
産業機械他事業のセグメント利益は、自動車産業向けの大型プレスの販売増加や半導体産業向けエキシマレーザー関連事業でのメンテナンス売上げ増加などにより、前年度の27,391百万円と比較して10,546百万円増加の37,937百万円となりました。
これらに、全社及びセグメント間取引消去を差し引いたセグメント利益(連結)は、前年度の663,527百万円と比較して92,361百万円減少の571,166百万円となりました。
なお、セグメント利益(連結)は米国会計基準に則っていませんが、財務諸表利用者に有益な情報を提供するために表示しています。
(2) キャッシュ・フローの状況
2025年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権が増加したものの、当期純利益などにより、448,963百万円の収入(前年度比68,204百万円の収入減少)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の購入などにより、199,232百万円の支出(前年度比11,437百万円の支出減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いや自己株式取得などにより、208,536百万円の支出(前年度は321,424百万円の支出)となりました。
各キャッシュ・フローの合計に為替変動の影響を加えた結果、現金及び現金同等物の当年度末残高は前年度末に比べ54,132百万円増加し、439,701百万円となりました。
(3) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、事業の種類別セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため生産、受注及び販売の実績については、「2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」における各事業の種類別セグメント業績に関連付けて示しています。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、米国会計基準に準拠して作成しています。作成にあたって当社のマネジメントは、知り得る限りの情報に基づいて妥当であると考えられる見積りや判断を継続して実施しています。これらの見積りや判断は、連結財務諸表において、決算日の資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値及び偶発資産・債務の開示情報に影響を与えます。これらの見積りや判断は、当社グループの過去からの経験、既存の諸契約の内容、業界動向の分析、顧客からの情報、その他の外部からの情報に基づいているものですが、その性質上、内在する不確実性の度合いが影響するため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。当社の重要な会計方針は、連結財務諸表注記1に記載されています。
地政学リスクの高まりや各国の関税政策に起因する金融・経済の混乱等が当社グループの財政状態及び経営成績に与える影響については、現時点で入手可能な情報や予測に基づき、今後も一定程度当該影響が継続すると仮定しています。会計上の見積りの中でも比較的重要性のある信用損失見積額の算定、繰延税金資産の回収可能性の判断、長期性資産及び営業権の減損の判定については、当該仮定を含んだ最善の見積りを行っていますが、今後の実際の推移が当該仮定と乖離する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表等に重要な影響を及ぼすと考えています。
① 信用損失引当金
当社グループは、過去の損失発生実績や経済指標及び顧客の信用状況等の様々な要素を考慮して、信用損失が発生すると予想される金額を見積り、売上債権等に対して信用損失引当金を計上しています。特にリテールファイナンス事業に係る売上債権(以下、「リテールファイナンス債権」)は、回収が長期間に及ぶうえに、信用損失見積額の算定及び担保による回収可能見込額の算定には不確実性を伴います。当社グループは、過去の平均損失率に住宅着工件数等の関連する経済指標の変動予測を加味した予想信用損失率を用いて、リテールファイナンス債権に対する信用損失引当金を計上しています。また、顧客の財政状況の悪化や支払い遅れの長期化等により回収可能性に懸念があると判断されるリテールファイナンス債権に対しては、顧客ごとの信用状況や未回収債権の状況調査及び担保となる機械の市場価格調査を行い、入手可能な情報に基づいて信用損失引当金を個別に積み増しています。これまでに発生した損失実績は、当社グループが予測し、計上した引当金の範囲内であり、当社のマネジメントは、当社グループの見積りが妥当であると考えていますが、売上債権の種類の構成が変化したり、予見できない大きな経済環境の変動により顧客の財政状況に変化が生じるような場合、見積りを変更する必要が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
詳細は、連結財務諸表注記3に記載されています。
② 法人税等と繰延税金資産
当社は、連結財務諸表を作成するにあたり、各構成単位で納税地の税法に基づいて法人所得税・未払法人税の見積りを行っています。また、繰越欠損金や税務上と会計上の取扱いの違いにより生じる一時差異については、税効果計算を実施し、連結貸借対照表に繰延税金資産・負債を計上しています。
繰延税金資産の計上にあたっては、これらが将来の課税所得や有効な税務計画により実現されることの確実性を検証する必要があります。
当社のマネジメントは、取締役会で承認された経営計画や、期中での各社からの経営報告、将来の市場状況、実行性の高い税務戦略等に基づき、将来の課税所得を推定し繰延税金資産の回収可能性を判断しており、実現できないと考えられる部分については評価性引当金を計上しています。将来の課税所得あるいは課税時期に関する当社のマネジメントの判断が変わることにより、評価性引当金が変動する可能性があります。
また、当社グループは、税務ポジションの不確実性から生じる影響額については、税務上の技術的な解釈に基づき、税務ポジションが認められる可能性が50%超である場合、財務諸表で認識しています。その税務ポジションに関連するベネフィットは、税務当局との解決により、50%超の可能性で実現が期待される最大金額で測定されます。
当社のマネジメントは、計上した繰延税金資産(評価性引当金控除後)全額が実現可能であり、認識された不確実性のあるすべての主要な税務ポジションは瑕疵なく持続していると判断していますが、経営計画が実現できず、将来の課税所得の見積りが大幅に減少する場合や、関連する税務当局との法令解釈の相違等、これらの判断が結果として現実と異なる場合には、評価性引当金や認識すべき財務諸表への影響額を見直す必要があり、追加の税金費用が発生することで当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
詳細は、連結財務諸表注記16に記載されています。
③ 長期性資産及び営業権の評価
当社グループは長期性資産に関して、経営環境の変化により、将来その資産から生み出されるキャッシュ・フローが減少するなど、帳簿価額相当額を回収することができないと判断されるような事象や状況の変化が生じた場合には、減損に関する検討を実施しています。
当社グループが保有しかつ使用している資産の回収可能性は、帳簿価額とその資産から生じる割引前将来キャッシュ・フローとの比較で判定されます。この割引前将来キャッシュ・フローは、承認された経営計画に基づき算出されます。この経営計画は、外部調査機関や顧客からの情報をもとにした市場予測により売上量を推定し、それを前提に販売価格の変動、製造原価、販売費及び一般管理費の変動等マネジメントの最良の判断による推定を可能な限り織り込んで策定されます。もし、資産の帳簿価額が割引前将来キャッシュ・フローを上回り、回収可能性が認められずその資産が減損状態であると判定された場合、帳簿価額が公正価値を上回った額が減損額として測定され計上されます。公正価値は、主に市場において想定されるキャッシュ・フローの変動リスクを考慮した加重平均資本コストを割引率として使用する割引後将来キャッシュ・フローモデル、あるいは独立した鑑定評価で測定されます。処分予定の長期性資産については、帳簿価額と公正価値から処分のためのコストを差し引いた額とのいずれか低い方で評価されます。
当社グループは営業権については、少なくとも各年度に1回、又は減損の可能性を示す事象や、状況の変化が生じた時点で減損の検討を実施しています。
報告単位の公正価値の測定にあたっては、通常、割引後将来キャッシュ・フローモデルにより算定しています。将来見積キャッシュ・フローは、承認された経営計画に基づき算出されます。この経営計画は、外部調査機関や顧客からの情報をもとにした市場予測により売上量を推定し、それを前提に販売価格の変動、製造原価、販売費及び一般管理費の変動等マネジメントの最良の判断による推定を可能な限り織り込んで策定されます。報告単位の帳簿価額が公正価値を上回る場合、その報告単位に配分された営業権の帳簿価額を限度とし、当該差額を営業権の減損損失として認識します。
現状では、長期性資産及び営業権については、重要な追加の減損の発生はないと考えていますが、経営戦略の変更、市場の変化があった場合には、その資産から将来得られるキャッシュ・フローの予想や公正価値の算出に影響し、長期性資産及び営業権の回収可能性の評価判断が変更となり、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 金融商品の公正価値
主に外国為替予約や金利スワップ契約等のデリバティブ金融商品の公正価値は、市場で観察可能なインプットに基づいた業者からの情報をもとに評価しています。この公正価値の情報は、特定のある時点での適切な市場の情報と商品についての情報に基づいて推定されるものですが、これらの推定はその性格上、市場の不確実性を含んでいるため、実際の結果と異なってくる可能性があります。
市場性のある持分証券は、公正価値で評価されています。公正価値の変動は、当期純利益で認識しています。
市場性がなく、容易に算定可能な公正価値がない持分証券のうち、1株当たり純資産価値で評価している持分証券以外について、減損による評価下げ後の取得価額にて測定しています。また、同一発行体の同一又は類似する投資に関する秩序ある取引における観察可能な価格の変動を識別した場合は、当該持分証券を観察可能な取引が発生した日の公正価値で測定しています。
関連会社に対する投資の公正価値については、公正価値の下落があった場合、それが一時的かどうかについて、下落の期間や程度、被投資会社の財政状態及び業績予想等を考慮して判断しています。
現状では、投資有価証券あるいは関連会社に対する投資については、重要な追加の減損の発生はないと考えていますが、将来の経済環境の変化によっては投資先の企業の業績が悪化し、減損を認識する可能性があります。
詳細は、連結財務諸表注記20、21、22に記載されています。
⑤ 退職給付債務及び費用
当社グループの年金債務及び年金費用の額は、算出時に使用した仮定に影響されます。これらの仮定は連結財務諸表注記12に記載されており、割引率、長期期待収益率、平均報酬水準増加率等を含みます。当社グループは、仮定と実績が乖離した場合には、その差額を累積し従業員の平均残存勤務年数にわたって償却を実施する事で、将来の期間にわたり、費用として認識します。
割引率は、現在かつ年金受給が満期となる間に利用可能と予想される信用度の高い固定利付き債券の利率に基づいて算出されます。また、長期期待収益率は、投資対象の様々な資産カテゴリー別に将来収益に対する予測や過去の運用実績を考慮し決定されます。
当社グループは、これらの仮定は妥当なものであると考えていますが、重要な実績との乖離もしくは重要な仮定の変化があった場合、年金債務と将来の費用に影響を与える可能性があります。
当年度末の当社グループの年金制度において、割引率又は長期期待収益率が0.5%変動した場合、当年度末の年金債務及び翌年度の年金費用に及ぼす影響は、その他すべての仮定を一定とすると、それぞれ以下のとおりです。
| 仮定の変更 | 変動率 | 年金債務 | 年金費用 |
| 割引率 | 0.5%増 / 0.5%減 | 279億円減 / 303億円増 | 12億円減 / 16億円増 |
| 長期期待収益率 | 0.5%増 / 0.5%減 | - | 16億円減 / 16億円増 |
⑥ 今後適用となる新会計基準
米国財務会計基準審議会は、2024年11月に会計基準アップデート2024-03「損益計算書における費用の細分化」を発行しました。同アップデートは、継続事業から生じる損益計算書上で表示される費用項目を棚卸資産の購入額、従業員報酬、減価償却費、無形資産の償却費、減耗費の5種類の費用に細分化して表形式で開示することを要求しています。現行の米国会計基準の規定により開示が要求されている特定の項目についても同表形式の開示に含めることを要求しています。細分化して開示されることが要求されないその他に分類される金額については、定性的な説明を行うことを要求しています。また、継続事業から生じた販売費の合計額及び連結会計年度においては企業による販売費の定義の開示を要求しています。同アップデートは、2026年12月16日以降に開始する連結会計年度及び2027年12月16日以降に開始する連結会計年度の期中会計期間に適用されます。当社グループは、現在、同アップデートが開示に与える影響について検討しています。なお、同アップデートの適用が、当社グループの財政状態及び経営成績に与える影響はありません。
(2) 2025年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
2025年度の連結売上高は4,132,751百万円(前年度比0.7%増加)となりました。建設機械・車両事業では、販売量が減少したものの、主に販売価格の改善により、売上高は2024年度を上回りました。産業機械他事業では、自動車産業向け大型プレスの販売増加と半導体産業向けエキシマレーザー関連事業でのメンテナンス売上げ増加などにより、売上高は2024年度を上回りました。利益については、建設機械・車両事業は販売価格の改善に努めたものの、コスト増加や販売量減少により減益となりました。一方で、リテールファイナンス事業及び産業機械他事業は増益となりました。この結果、営業利益は567,323百万円(前年度比13.7%減少)となりました。
当年度末は、米ドルなどに対して為替が前年度末に比べ円安になったことに加え、売上債権や棚卸資産などの増加により、総資産は前年度末に比べ650,418百万円増加の6,423,941百万円となりました。有利子負債残高は、前年度末に比べ190,434百万円増加の1,341,031百万円となりました。また、株主資本は前年度末に比べ337,369百万円増加の3,510,768百万円となりました。これらの結果、株主資本比率は前年度末に比べ0.3ポイント減少の54.7%となりました。
② 流動性及び資金の源泉
<資金使途の考え方>当社グループは、持続的な企業価値の増大を目指して、営業キャッシュ・フローの約半分を設備投資に振り向
け、成長の推進力としてきました。資金使途を従来からの方針に基づき、(1)設備投資(成長投資)、(2)株主還元、(3)バランスシート改善(将来のM&Aへの備え)という3つの資金使途にバランスよく配分します。
資金使途の基本的な考え方

<資金調達と流動性管理>当社グループは、将来の事業活動に必要な資金を確保し、適切な流動性を維持することを財務の基本方針としています。この方針に従い、当社グループは金融機関借入、社債等の発行、融資枠の設定等、様々な資金調達の源泉を確保しています。設備投資資金及び運転資金については、営業活動から得られたキャッシュ・フロー及び外部より調達した資金を充当しています。更に、当社グループの資金の効率性を高めるため、海外子会社を含めたグループ間のキャッシュマネジメントシステム(グローバルキャッシュマネジメントシステム、以下、「GCMS」)を特定の金融機関と構築しており、特定の金融機関に対する預入総額を上限にGCMS参加会社は借入を行っています。当GCMSにおいては、預入金及び借入金の残高を相殺できる条項が含まれており、当年度末現在の相殺金額は321,199百万円となっています。
短期資金需要に対しては、営業活動から得られたキャッシュ・フローを主として充当し、必要に応じ銀行借入及びコマーシャル・ペーパーの発行等でまかなっています。当社及び一部の連結子会社は、当年度末現在、金融機関との間に合計383,812百万円のコミットメントライン契約を締結して代替流動性を確保しており、その未使用枠は328,972百万円となっています。コマーシャル・ペーパーについては、当年度末現在、当社で240,000百万円、コマツファイナンスアメリカ㈱で1,000百万米ドルのプログラムを保有しており、未使用枠はそれぞれ140,000百万円、50百万米ドルとなっています。
当社は、中長期資金需要に機動的に対応するため、社債発行枠とユーロ・ミディアム・ターム・ノート(以下、「EMTN」)プログラムを保有しています。当社は2024年11月に2年間有効の100,000百万円の社債発行枠を登録しました。当年度末現在の未使用枠は100,000百万円となっています。なお、これ以外の過去に登録した社債発行枠に基づいて発行した分も含めた当社グループの社債の当年度末現在の残高は255,159百万円です。これには、2022年10月に当社100%子会社であるコマツファイナンスアメリカ㈱を通じて発行した日本企業としては初の外貨建てサステナビリティ・リンク・ボンド600百万米ドルも含まれます。また、当社、コマツファイナンスアメリカ㈱及び欧州コマツコーディネーションセンター㈱で合わせて2,200百万米ドルのEMTNプログラムを保有しており、このプログラムに基づいて、それぞれの発行体はディーラーとの間で合意されたすべての通貨の債券を発行できます。当年度末現在、当該EMTNプログラムにより発行された債券の残高は111,260百万円です。
当年度末現在、当社グループの短期債務残高は553,550百万円となり、前年度末に比べて177,224百万円増加しました。短期債務は主に銀行、保険会社等からの借入金等であり、運転資金等に使用されています。
当年度末現在、長期債務残高(1年以内期限到来分含む)は787,481百万円で、前年度末に比べて13,210百万円増加しました。長期債務は銀行、保険会社等からの借入金等421,062百万円、無担保社債255,159百万円、EMTN111,260百万円で構成されており、主に設備投資資金及び長期運転資金に使用されています。
当年度末現在の有利子負債残高は前年度末比190,434百万円増加の1,341,031百万円となり、現預金を差し引いたネット有利子負債残高は前年度末比136,302百万円増加の901,330百万円となりました。
当年度末現在、流動資産は3,688,198百万円となり、前年度末に対し、389,895百万円増加し、また流動負債は1,747,417百万円となり、前年度末に対し98,057百万円増加しました。その結果、流動比率は211.1%と前年度末に対し11.1ポイント増加となりました。
営業活動から得られるキャッシュ・フロー、様々な資金調達手段、流動比率の水準に基づき、当社グループは、流動性ニーズや将来の債務履行のための手段を十分に確保しているものと考えています。
なお、当年度末現在の現金及び現金同等物の残高は439,701百万円であり、そのうち374,459百万円は海外子会社が保有しています。
当社グループは、S&Pグローバル・レーティング、ムーディーズ・レーティングス及び格付投資情報センターから信用格付を取得しています。当年度末現在、当社グループの発行体格付けは、S&Pグローバル・レーティング:A(長期)、A-1(短期)、ムーディーズ・レーティングス:A2(長期)、Prime-1(短期)、格付投資情報センター:AA(長期)、a-1+(短期)となっています。
<設備投資>建設機械・車両事業では、主に生産性の向上や循環事業強化のための設備投資等を行いました。リテールファイナンス事業では、主に賃貸用資産に係る設備投資等を行いました。産業機械他事業では、主に生産性の向上のための設備投資等を行いました。これらの結果、2025年度の設備投資額は183,024百万円と前年度比1,142百万円の減少となりました。
<契約上の債務>当年度末現在の契約上の債務は次のとおりです。
| 期間別支払見込額 | (百万円) | ||||
| 合計 | 1年以内 | 1-3年 | 3-5年 | 5年超 | |
| 短期債務 | 553,550 | 553,550 | - | - | - |
| 長期債務 | 787,481 | 136,050 | 420,336 | 219,492 | 11,603 |
| オペレーティングリース債務 | 92,810 | 23,550 | 24,946 | 11,625 | 32,689 |
| 有利子負債に関する利息 | 89,565 | 41,704 | 35,229 | 12,338 | 294 |
| 年金及びその他の退職給付債務 | 4,828 | 4,828 | - | - | - |
| 合計 | 1,528,234 | 759,682 | 480,511 | 243,455 | 44,586 |
(注)1.長期債務の公正価値の調整額はありません。
2.有利子負債に関する利息は、当年度末現在有効な利率に基づき計算されています。
3.年金及びその他の退職給付債務は、2027年度以降の拠出額は未確定であるため、2026年度に生じるものだけを記載しています。
なお、当年度末現在の設備発注残高は、約54,500百万円です。
③ セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
<建設機械・車両事業セグメント>建設機械・車両事業の売上高は3,806,040百万円(前年度比0.2%増加)となりました。
当期において、建設現場向け施工管理ソリューションのスマートコンストラクションⓇを着実に推進し、日米欧豪でのICT建機の販売割合を示す「ICT建機化率」は28.7%となりました。また、鉱山機械では、無人ダンプトラック運行システム(AHS)の累計導入台数が2026年3月末時点で1,016台に達しました。
2026年2月27日にSRC of Lexington社の建設・鉱山機械用コンポーネント・部品のリマニュファクチャリング事業を買収しました。また、2026年4月1日には林業機械メーカーであるMalwa Forest社の買収を完了しています。
建設機械・車両事業セグメントの地域別売上高(外部顧客向け売上高)
| (金額単位:百万円) | |||||
| 2024年度 | 2025年度 | 増 減 | |||
| 金 額 | 増減率 % | ||||
| 北米 | 1,026,364 | 1,047,181 | 20,817 | 2.0% | |
| 中南米 | 683,589 | 776,910 | 93,321 | 13.7% | |
| 米州 | 1,709,953 | 1,824,091 | 114,138 | 6.7% | |
| 欧州 | 310,395 | 343,769 | 33,374 | 10.8% | |
| アフリカ | 221,146 | 256,257 | 35,111 | 15.9% | |
| 中近東 | 114,640 | 112,672 | △1,968 | △1.7% | |
| 欧州・アフリカ・中近東 | 646,181 | 712,698 | 66,517 | 10.3% | |
| オセアニア | 460,794 | 471,567 | 10,773 | 2.3% | |
| アジア※1 | 499,242 | 334,935 | △164,307 | △32.9% | |
| 中国 | 80,171 | 75,746 | △4,425 | △5.5% | |
| CIS | 61,517 | 62,547 | 1,030 | 1.7% | |
| オセアニア・アジア※2・CIS | 1,101,724 | 944,795 | △156,929 | △14.2% | |
| 日本 | 329,628 | 314,516 | △15,112 | △4.6% | |
| 合計 | 3,787,486 | 3,796,100 | 8,614 | 0.2% | |
※1 日本及び中国を除きます。
※2 日本を除きます。
地域別の概況は以下のとおりです。
(米州)
北米では、2024年度に大口商談があった鉱山機械の販売が減少したものの、一般建機はエネルギーやインフラ向けなどで需要は堅調に推移し販売が増加したことなどにより、売上高は前年度比で2.0%増加しました。中南米では、銅需要が堅調に推移したことによりチリなどで鉱山機械の販売が増加したことから、売上高は前年度比で13.7%増加しました。
(欧州・アフリカ・中近東)
欧州では、景況感の改善に加え、ドイツやイギリスのインフラ投資計画などを背景に需要は概ね堅調に推移し、一般建機の販売が増加したことや円安の影響により、売上高は前年度比で10.8%増加しました。アフリカでは、鉱山機械の販売が増加したことや円安の影響により、売上高は前年度比で15.9%増加しました。中近東では、UAEでの大型インフラプロジェクトに関連する需要及び販売が堅調に推移したものの、中東情勢の影響により第4四半期には減少へ転じ、売上高は前年度比で1.7%減少しました。
(オセアニア・アジア・CIS)
オセアニアでは、鉱山機械の販売が増加したことにより、売上高は前年度比で2.3%増加しました。アジアでは、主にインドネシアにおいて石炭価格が低調に推移したことにより、鉱山機械の需要が低迷し、売上高は前年度比で32.9%減少しました。中国では、不動産市況の低迷に加え、鉱山機械の需要が減少したことから、売上高は前年度比で5.5%減少しました。CISでは、中央アジアにおいて鉱山機械の販売が減少した一方で、一般建機においてインフラ関連プロジェクト向けの販売が増加したことにより、売上高は前年度比で1.7%増加しました。
(日本)
日本では、人件費・資材価格高騰や労働力不足などを背景に一般ユーザー向け及びレンタル向け需要が引き続き低迷していることから、売上高は前年度比で4.6%減少しました。
当年度末のセグメント資産は、前年度末比435,692百万円増加の4,554,339百万円となりました。
なお、建設機械・車両事業セグメントの生産規模は、前年度比3.1%増加し、約3兆8,586億円(販売価格ベース、連結ベース)でした。
<リテールファイナンス事業セグメント>リテールファイナンス事業では、債権残高の拡大に伴う金利収入の増加により、売上高は126,137百万円(前年度比2.4%増加)となりました。
当年度末のセグメント資産は、前年度末比238,280百万円増加の1,617,867百万円となりました。
<産業機械他事業セグメント>産業機械他事業では、主に自動車産業向けの大型プレスの販売増加や半導体産業向けエキシマレーザー関連事業でのメンテナンス売上げ増加などにより、売上高は238,750百万円(前年度比6.8%増加)となりました。
当年度末のセグメント資産は、前年度末比4,307百万円減少の269,586百万円となりました。
なお、産業機械他事業セグメントの生産規模は、前年度比1.9%減少し、約2,133億円(販売価格ベース、連結ベース)でした。
④ 目標とする経営指標の達成状況等
2028年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画の経営目標に対し、2025年度の実績は以下のとおりとなり ました。
| 項目 | 経営指標 | 経営目標 | 2025年度 |
| 成長性 | ・売上高成長率 | ・業界水準を超える成長率 | +0.7% |
| 収益性 | ・営業利益率 | ・業界トップレベルの利益率 | 13.7% |
| ・フリー・キャッシュ・ フロー(FCF) | ・FCF 3年累計1兆円(M&A関連の支出を除く) | 2,632億円 | |
| 効率性 | ・ROE*1 | ・10%以上 | 11.3% |
| リテール ファイナンス 事業 | ・ROA*2 | ・1.5%-2.0% | 2.4% |
| ・ネット・デット・ エクイティ・レシオ*3 | ・6倍以下 | 4.45 | |
| 株主還元 | ・連結配当性向 | ・連結配当性向を40%以上とする ・財務の健全性、株主資本比率他を総合的に 勘案して自己株式の取得を適時に実施する。 | 45.9%(見込値) ・1,000億円の自己株式取得 |
| 社会課題解決 | ・社会課題解決KPI | ・社会課題解決KPI(30項目)の達成度を 総合評価(環境負荷軽減含む) | 目標に対し順調に進捗 |
| ・環境負荷低減 | ・CO2排出削減:2030年50%減(2010年比) ・再生可能エネルギー使用率:2030年50% | ・生産によるCO2削減率 48%減(見込値) ・製品稼働時のCO2削減率 23%減(見込値) ・再生可能エネルギー使用率 36%(見込値) |
*1 ROE=当社株主に帰属する当期純利益/((期首株主資本+期末株主資本)/2)
*2 ROA=セグメント利益/((期首総資産+期末総資産)/2)
*3 ネット・デット・エクイティ・レシオ(ネット負債資本比率)=(有利子負債-現預金)/株主資本