訂正有価証券報告書-第55期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
1.経営成績等の状況の概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)業績
当連結グループは、2017年度からの中期経営計画「CONNECT TOGETHER 2019」に掲げる経営施策を推進しています。お客様の事業課題である「安全性向上」「生産性向上」「ライフサイクルコスト(燃料費・維持費・修理費等を含む費用)低減」に繋がるICT・IoTを活用した解決策を「Solution Linkage」と位置付け、その開発・提供を推進しています。
また、従来からの部品サービス事業に加え、2016年度に連結子会社化したH-E Parts International LLC及びその子会社とBradken Pty Limited及びその子会社のマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業強化の取り組み、Acme Business Holdco, LLCへの出資を通じた北米レンタル事業への本格参入に続き、イギリスでもレンタル事業会社のSynergy Hire Limitedを2019年1月に設立するなど、新車販売以外での収益拡大を図るべくバリューチェーン(新車販売以外の事業である部品サービス、ソリューションビジネス、レンタル等の事業)の深化を推進中です。
部品サービス事業の中でも「ConSite(コンサイト)」では、建設機械業界初となる、センサによりオイルの状態を遠隔で検知しエンジンや油圧機器の故障予知を行う「ConSite OIL」等をメニューに加え、お客様のライフサイクルコストの低減に寄与しています。
ICT・IoTを活用した解決策の提供推進としては、提出会社として初めて海外市場におけるICT油圧ショベルの市場投入を決定し、日立建機(ヨーロッパ)N.V.のアムステルダム工場内にICT施工が体験できるICTデモサイトを開設する等、日本に加えて欧州地域でもICT施工の普及に努めています。
環境規制の厳しい欧州においては、EV建機市場の立ち上がりを見込み、建設機械の電動化及び応用開発製品の開発を行うためにドイツの代理店と設立した新会社EAC European Application Center GmbHにおいて、8tクラスと2tクラスの電動ショベルのコンセプト機を開発しました。
マイニング事業については、日立グループと力を合せて高度な車体安定化制御を実現したリジッドダンプトラックAC-3シリーズの拡販に努めると共に、鉱山運営の効率化に貢献するマイニング機械の運行管理システムの提供や自律運転技術(AHS)の開発に積極的に取り組んでおり、現在、オーストラリアのWhitehaven Coal Mining Limitedと協業を進めています。
グローバルな製品開発力と競争力の強化に向けては、国内主要開発・生産拠点の大幅な再編を行い、高効率で市場変動に強い生産体制を構築すると同時に将来の設備投資の適正化や固定費削減等を実現し、変化に強い高収益体質の確立に取り組んでいます。
また、茨城県内5工場での取り組みが評価され、平成30年度「省エネ大賞」(主催:一般財団法人省エネルギーセンター)省エネ事例部門の「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上収益は、上記のさまざまな取り組みを受け、特に北米、アジア・大洋州、欧州で新車販売及び部品サービスを中心とするバリューチェーンの双方で増加したことにより、前連結会計年度比108%の1兆337億3百万円となりました。営業利益は、売上原価率の低減を図り、部品サービスとマイニング事業の貢献により、前連結会計年度比107%の1,022億9千6百万円となり、税引前当期利益は前連結会計年度比107%の1,027億2百万円、親会社株主に帰属する当期利益は前連結会計年度比114%の685億4千2百万円と大幅に向上しました。
① 建設機械ビジネス
当連結会計年度における油圧ショベル需要は、日本、中近東、アフリカを除く各地域で前連結会計年度を上回りました。また、マイニング機械需要は鉱山会社の投資増加を受け、前連結会計年度を上回っています。
当連結会計年度の売上収益は、コンストラクションとマイニングの新車販売と、部品サービスを中心とするバリューチェーンの双方で伸びました。地域としては日本、オセアニア、北米、アジアで売上が伸び、ユーロ安や新興国通貨安による為替影響を受けたものの、前連結会計年度比108%の9,377億2千7百万円となりました。
② ソリューションビジネス
当事業は、2016年度に連結子会社化した、主としてマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業を行うBradken Pty Limited及びその子会社とサービスソリューションを提供するH-E Parts International LLC及びその子会社で構成されています。
当連結会計年度の売上収益は、米州や欧州、ロシアCIS等でマイニング機械向け売上が堅調に推移し、前連結会計年度比105%の968億4千7百万円となりました。
なお、上記、①②の売上収益については、セグメント間調整前の数値です。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は673億4千7百万円となり、当連結会計年度期首より145億8千2百万円減少しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動に関するキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動に関するキャッシュ・フローは、当期利益が741億8千6百万円、減価償却費及び償却費369億5千4百万円を計上した一方で、買掛金及び支払手形の減少185億8千3百万円、売掛金及び受取手形の増加191億1百万円、棚卸資産の増加764億9千7百万円、ファイナンス・リース債権の増加71億1千5百万円等がありました。
この結果、当連結会計年度は256億9千3百万円の支出となりました。
(投資活動に関するキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動に関するキャッシュ・フローは、主として、有形固定資産の取得262億3千1百万円、有価証券及びその他の金融資産(子会社及び持分法で会計処理されている投資を含む)の取得13億1千5百万円があったため303億3千9百万円の支出となりました。
(財務活動に関するキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動に関するキャッシュ・フローは、主として、短期借入金の増加673億8千6百万円、社債及び長期借入金の増加74億3千1百万円、配当金(非支配持分株主への配当金を含む)の支払244億9千5百万円等があったことにより439億2千8百万円の収入となりました。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。
(注)1.金額は、販売価格によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
② 受注実績
当連結グループの製品は、そのほとんどが見込生産のため受注実績の記載は省略しています。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
2.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
2.財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)重要な会計方針及び見積り
当連結グループは連結財務諸表の作成に際し、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、財政状態及び経営成績の金額に影響を与える見積りを行っていますが、特に以下の重要な会計方針が、提出会社の連結財務諸表の作成における重要な見積りに大きな影響を及ぼすと考えています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 棚卸資産
当連結グループは、棚卸資産は取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い方の金額で評価しており、実際の将来需要または市場状況が悪化した場合は、評価減が必要となる可能性があります。
② 有形固定資産及び無形資産
当連結グループは、有形固定資産及び無形資産について減損の兆候の有無の判定を行い、その帳簿価額が回収不可能であるような兆候がある場合、減損テストを実施しています。将来の営業活動から生ずる損益またはキャッシュ・フローの悪化等により回収可能価額が低下した場合には追加の減損損失の計上が必要になる可能性があります。
また、耐用年数を確定できない無形資産及びのれんについては、減損の兆候の有無にかかわらず、毎年、主に第4四半期において、その資産の属する資金生成単位ごとに回収可能価額を見積もり、減損テストを実施しています。のれんが発生している連結子会社の超過収益力が低下した場合には、追加の減損損失の計上が必要になる可能性があります。
③ 営業債権及びその他の金融資産
金融資産については、減損を示す客観的な証拠が金融資産の当初認識後に発生しており、その金融資産の見積将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合、当該金融資産について減損損失が発生する可能性があります。
また、営業債権にかかる減損損失については、事業を行う国あるいは地域の特有な商慣行を含む、事業環境に関連した潜在的なリスクを評価した上で、過去の経験等を考慮に入れ算定される貸倒実績率又は回収可能額の見積りに基づき減損損失を計上しており、将来の市況悪化や取引先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
④ 繰延税金資産
繰延税金資産は、未使用の税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。将来において業績及び課税所得が見積額より悪化した場合、繰延税金資産に対し追加の評価減の計上が必要となる可能性があります。
⑤ 退職給付に係る負債
当連結グループは、退職給付制度に基づく確定給付債務及び制度資産の測定に当たっては、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、昇給率、退職率及び死亡率などが含まれます。将来において、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、退職給付に係る負債、退職給付費用及び退職給付制度の再測定に影響を及ぼす可能性があります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度における当連結グループの業績については、1.経営成績等の状況の概要(1)業績に記載のとおりです。
変化に強い企業体質づくりと成長戦略の刈取りを促進すべく策定した2017年度から3か年の中期経営計画の達成・進捗状況は、以下のとおりです。
(注)2019年度目標の前提となる為替レートは、米ドル100円、ユーロ110円、人民元15円としています。
引き続き中期経営計画策定時の前提市況ならびに為替水準をベースにした場合においても各数値目標が達成できるよう取り組みます。
① 売上収益
当連結会計年度の連結売上収益は前連結会計年度比7.8%増加の1兆337億3百万円となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度比5.8%増加の7,355億7百万円となりました。売上原価の売上収益に対する比率は前連結会計年度より1.3ポイント減少し71.2%となりました。
また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度比6.5%増加の1,813億5千5百万円となりました。
③ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度より6.9%増加し1,022億9千6百万円となりました。営業利益の売上収益に対する比率は前連結会計年度から0.1ポイント減少し9.9%となりました。
④ 金融収益及び金融費用
金融収益及び金融費用は、前連結会計年度の44億8千万円の損失(純額)から当連結会計年度43億1千万円の損失(純額)と、利益が1億7千万円増加しました。これは主に、受取配当金が、前連結会計年度2億7千5百万円から当連結会計年度5億2千7百万円と、2億5千2百万円増加したことによるものです。
⑤ 税引前当期利益
税引前当期利益は、前連結会計年度より7.4%増加し1,027億2百万円となりました。
⑥ 法人所得税費用
当連結会計年度における法人所得税費用は、前連結会計年度より8.1%増加し、285億1千6百万円となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因
当連結グループに与える業績変動要因、並びに国内外の政治的・経済的変動及び需要変動による影響については 2[事業等のリスク]に記載のとおりです。
(4)財政状態の分析
[資産]
流動資産は、前連結会計年度末に比べて、12.7%、760億5千9百万円増加し、6,738億8千8百万円となりました。これは主として営業債権が186億3千5百万円、棚卸資産が692億2千1百万円増加したことによるものです。
非流動資産は、前連結会計年度末に比べて、3.9%、194億1百万円増加し、5,113億6千8百万円となりました。これは主として、有形固定資産が112億5千8百万円、無形資産が43億4千4百万円、持分法で会計処理されている投資が30億7千9百万円増加したことによるものです。
この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べて、8.8%、954億6千万円増加し、1兆1,852億5千6百万円となりました。
[負債]
流動負債は、前連結会計年度末に比べて、28.4%、1,042億1百万円増加し、4,706億2千3百万円となりました。これは主として社債及び借入金が1,157億4千9百万円増加したことによるものです。
非流動負債は、前連結会計年度末に比べて△21.2%、463億7千2百万円減少し1,719億7千2百万円となりました。これは主として社債及び借入金が416億6百万円減少したことによるものです。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて9.9%、578億2千9百万円増加し、6,425億9千5百万円となりました。
[資本]
資本合計は、前連結会計年度末に比べて、7.5%、376億3千1百万円増加し、5,426億6千1百万円となりました。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当連結グループの資本の財源及び資金の流動性については、1.経営成績等の状況の概要(2)キャッシュ・フローの状況に記載のとおりです。
② 資金需要及び財務政策
当連結グループは、当期の運転・設備投資及び投融資資金に充当し、かつ借入金の長短、直間のバランスの適正化を目的として、短期借入金673億8千6百万円、長期借入金361億9千7百万円の調達、長期借入金287億6千6百万円の返済を実施しました。
また、当連結グループは適時に資金繰り計画を作成・更新すると共に、手元流動性を極小化し資金効率を高める一方でコミットメント・ライン及び当座借越枠の確保により流動性リスクを回避する管理をしています。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに関する項目との差異は以下のとおりです。なお、提出会社は日本基準に基づく連結財務諸表を作成していないため、差異の金額は概算額で記載しています。
(のれん)
日本基準ではのれんを償却していましたが、IFRSでは償却を行っていません。この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」が15億円減少しています。
(従業員給付)
日本基準では、数理計算上の差異及び過去勤務費用のうち、当期の費用として認識しなかった部分をその他の包括利益累計額にて認識し、将来の一定期間にわたり純損益として認識しています。また、勤務費用、利息費用及び期待運用収益を純損益として認識しています。
一方、IFRSでは、確定給付型企業年金制度及び退職一時金制度から生じる再測定は、その他の包括利益にて認識しています。再測定は、確定給付制度債務に係る数理計算上の差異、制度資産に係る収益(制度資産に係る利息収益の金額を除く)により構成されています。過去勤務費用は直ちに純損益として認識しています。また、勤務費用は発生時に純損益として認識し、純利息費用は確定給付負債(資産)の純額に割引率を乗じた金額を純損益として認識しています。
この影響により、IFRSは日本基準に比べて、連結損益計算書の当連結会計年度の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」が15億円減少し、連結包括利益計算書の当連結会計年度の「確定給付制度の再測定」が11億円減少しています。
(法人所得税)
内部未実現利益の消去に伴う税効果について、日本基準では繰延税金資産を売却元の実効税率を用いて計算していましたが、IFRSでは売却先の実効税率を用いて計算しています。
この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、連結損益計算書の「持分法による投資損益」が2億円減少し、「法人所得税費用」が2億円増加しています。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)業績
当連結グループは、2017年度からの中期経営計画「CONNECT TOGETHER 2019」に掲げる経営施策を推進しています。お客様の事業課題である「安全性向上」「生産性向上」「ライフサイクルコスト(燃料費・維持費・修理費等を含む費用)低減」に繋がるICT・IoTを活用した解決策を「Solution Linkage」と位置付け、その開発・提供を推進しています。
また、従来からの部品サービス事業に加え、2016年度に連結子会社化したH-E Parts International LLC及びその子会社とBradken Pty Limited及びその子会社のマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業強化の取り組み、Acme Business Holdco, LLCへの出資を通じた北米レンタル事業への本格参入に続き、イギリスでもレンタル事業会社のSynergy Hire Limitedを2019年1月に設立するなど、新車販売以外での収益拡大を図るべくバリューチェーン(新車販売以外の事業である部品サービス、ソリューションビジネス、レンタル等の事業)の深化を推進中です。
部品サービス事業の中でも「ConSite(コンサイト)」では、建設機械業界初となる、センサによりオイルの状態を遠隔で検知しエンジンや油圧機器の故障予知を行う「ConSite OIL」等をメニューに加え、お客様のライフサイクルコストの低減に寄与しています。
ICT・IoTを活用した解決策の提供推進としては、提出会社として初めて海外市場におけるICT油圧ショベルの市場投入を決定し、日立建機(ヨーロッパ)N.V.のアムステルダム工場内にICT施工が体験できるICTデモサイトを開設する等、日本に加えて欧州地域でもICT施工の普及に努めています。
環境規制の厳しい欧州においては、EV建機市場の立ち上がりを見込み、建設機械の電動化及び応用開発製品の開発を行うためにドイツの代理店と設立した新会社EAC European Application Center GmbHにおいて、8tクラスと2tクラスの電動ショベルのコンセプト機を開発しました。
マイニング事業については、日立グループと力を合せて高度な車体安定化制御を実現したリジッドダンプトラックAC-3シリーズの拡販に努めると共に、鉱山運営の効率化に貢献するマイニング機械の運行管理システムの提供や自律運転技術(AHS)の開発に積極的に取り組んでおり、現在、オーストラリアのWhitehaven Coal Mining Limitedと協業を進めています。
グローバルな製品開発力と競争力の強化に向けては、国内主要開発・生産拠点の大幅な再編を行い、高効率で市場変動に強い生産体制を構築すると同時に将来の設備投資の適正化や固定費削減等を実現し、変化に強い高収益体質の確立に取り組んでいます。
また、茨城県内5工場での取り組みが評価され、平成30年度「省エネ大賞」(主催:一般財団法人省エネルギーセンター)省エネ事例部門の「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上収益は、上記のさまざまな取り組みを受け、特に北米、アジア・大洋州、欧州で新車販売及び部品サービスを中心とするバリューチェーンの双方で増加したことにより、前連結会計年度比108%の1兆337億3百万円となりました。営業利益は、売上原価率の低減を図り、部品サービスとマイニング事業の貢献により、前連結会計年度比107%の1,022億9千6百万円となり、税引前当期利益は前連結会計年度比107%の1,027億2百万円、親会社株主に帰属する当期利益は前連結会計年度比114%の685億4千2百万円と大幅に向上しました。
① 建設機械ビジネス
当連結会計年度における油圧ショベル需要は、日本、中近東、アフリカを除く各地域で前連結会計年度を上回りました。また、マイニング機械需要は鉱山会社の投資増加を受け、前連結会計年度を上回っています。
当連結会計年度の売上収益は、コンストラクションとマイニングの新車販売と、部品サービスを中心とするバリューチェーンの双方で伸びました。地域としては日本、オセアニア、北米、アジアで売上が伸び、ユーロ安や新興国通貨安による為替影響を受けたものの、前連結会計年度比108%の9,377億2千7百万円となりました。
② ソリューションビジネス
当事業は、2016年度に連結子会社化した、主としてマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業を行うBradken Pty Limited及びその子会社とサービスソリューションを提供するH-E Parts International LLC及びその子会社で構成されています。
当連結会計年度の売上収益は、米州や欧州、ロシアCIS等でマイニング機械向け売上が堅調に推移し、前連結会計年度比105%の968億4千7百万円となりました。
なお、上記、①②の売上収益については、セグメント間調整前の数値です。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は673億4千7百万円となり、当連結会計年度期首より145億8千2百万円減少しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動に関するキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動に関するキャッシュ・フローは、当期利益が741億8千6百万円、減価償却費及び償却費369億5千4百万円を計上した一方で、買掛金及び支払手形の減少185億8千3百万円、売掛金及び受取手形の増加191億1百万円、棚卸資産の増加764億9千7百万円、ファイナンス・リース債権の増加71億1千5百万円等がありました。
この結果、当連結会計年度は256億9千3百万円の支出となりました。
(投資活動に関するキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動に関するキャッシュ・フローは、主として、有形固定資産の取得262億3千1百万円、有価証券及びその他の金融資産(子会社及び持分法で会計処理されている投資を含む)の取得13億1千5百万円があったため303億3千9百万円の支出となりました。
(財務活動に関するキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動に関するキャッシュ・フローは、主として、短期借入金の増加673億8千6百万円、社債及び長期借入金の増加74億3千1百万円、配当金(非支配持分株主への配当金を含む)の支払244億9千5百万円等があったことにより439億2千8百万円の収入となりました。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりです。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前連結会計年度比(%) |
建設機械ビジネス | 1,001,452 | 112 |
ソリューションビジネス | 94,288 | 107 |
合計 | 1,095,741 | 111 |
(注)1.金額は、販売価格によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
② 受注実績
当連結グループの製品は、そのほとんどが見込生産のため受注実績の記載は省略しています。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前連結会計年度比(%) |
建設機械ビジネス | 937,727 | 108 |
ソリューションビジネス | 95,976 | 104 |
合計 | 1,033,703 | 108 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
2.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
2.財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)重要な会計方針及び見積り
当連結グループは連結財務諸表の作成に際し、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、財政状態及び経営成績の金額に影響を与える見積りを行っていますが、特に以下の重要な会計方針が、提出会社の連結財務諸表の作成における重要な見積りに大きな影響を及ぼすと考えています。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 棚卸資産
当連結グループは、棚卸資産は取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い方の金額で評価しており、実際の将来需要または市場状況が悪化した場合は、評価減が必要となる可能性があります。
② 有形固定資産及び無形資産
当連結グループは、有形固定資産及び無形資産について減損の兆候の有無の判定を行い、その帳簿価額が回収不可能であるような兆候がある場合、減損テストを実施しています。将来の営業活動から生ずる損益またはキャッシュ・フローの悪化等により回収可能価額が低下した場合には追加の減損損失の計上が必要になる可能性があります。
また、耐用年数を確定できない無形資産及びのれんについては、減損の兆候の有無にかかわらず、毎年、主に第4四半期において、その資産の属する資金生成単位ごとに回収可能価額を見積もり、減損テストを実施しています。のれんが発生している連結子会社の超過収益力が低下した場合には、追加の減損損失の計上が必要になる可能性があります。
③ 営業債権及びその他の金融資産
金融資産については、減損を示す客観的な証拠が金融資産の当初認識後に発生しており、その金融資産の見積将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合、当該金融資産について減損損失が発生する可能性があります。
また、営業債権にかかる減損損失については、事業を行う国あるいは地域の特有な商慣行を含む、事業環境に関連した潜在的なリスクを評価した上で、過去の経験等を考慮に入れ算定される貸倒実績率又は回収可能額の見積りに基づき減損損失を計上しており、将来の市況悪化や取引先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
④ 繰延税金資産
繰延税金資産は、未使用の税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。将来において業績及び課税所得が見積額より悪化した場合、繰延税金資産に対し追加の評価減の計上が必要となる可能性があります。
⑤ 退職給付に係る負債
当連結グループは、退職給付制度に基づく確定給付債務及び制度資産の測定に当たっては、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しています。これらの前提条件には、割引率、昇給率、退職率及び死亡率などが含まれます。将来において、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、退職給付に係る負債、退職給付費用及び退職給付制度の再測定に影響を及ぼす可能性があります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度における当連結グループの業績については、1.経営成績等の状況の概要(1)業績に記載のとおりです。
変化に強い企業体質づくりと成長戦略の刈取りを促進すべく策定した2017年度から3か年の中期経営計画の達成・進捗状況は、以下のとおりです。
指標 | 2019年度目標 | 当連結会計年度実績 | 前連結会計年度比 |
収益性 | 営業利益からその他の収益及びその他の費用を除いた利益率9%以上をめざす | 11.3% | 1.5%pt増 |
効率性 | ROE9%以上をめざす | 14.7% | 0.6%pt増 |
ネットD/Eレシオ | 0.4以下をめざす | 0.49 | 0.16増 |
株主還元 | 連結配当性向を30%程度、もしくはそれ以上をめざす | 31.0% | 0.9%pt増 |
(注)2019年度目標の前提となる為替レートは、米ドル100円、ユーロ110円、人民元15円としています。
引き続き中期経営計画策定時の前提市況ならびに為替水準をベースにした場合においても各数値目標が達成できるよう取り組みます。
① 売上収益
当連結会計年度の連結売上収益は前連結会計年度比7.8%増加の1兆337億3百万円となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度比5.8%増加の7,355億7百万円となりました。売上原価の売上収益に対する比率は前連結会計年度より1.3ポイント減少し71.2%となりました。
また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度比6.5%増加の1,813億5千5百万円となりました。
③ 営業利益
営業利益は、前連結会計年度より6.9%増加し1,022億9千6百万円となりました。営業利益の売上収益に対する比率は前連結会計年度から0.1ポイント減少し9.9%となりました。
④ 金融収益及び金融費用
金融収益及び金融費用は、前連結会計年度の44億8千万円の損失(純額)から当連結会計年度43億1千万円の損失(純額)と、利益が1億7千万円増加しました。これは主に、受取配当金が、前連結会計年度2億7千5百万円から当連結会計年度5億2千7百万円と、2億5千2百万円増加したことによるものです。
⑤ 税引前当期利益
税引前当期利益は、前連結会計年度より7.4%増加し1,027億2百万円となりました。
⑥ 法人所得税費用
当連結会計年度における法人所得税費用は、前連結会計年度より8.1%増加し、285億1千6百万円となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因
当連結グループに与える業績変動要因、並びに国内外の政治的・経済的変動及び需要変動による影響については 2[事業等のリスク]に記載のとおりです。
(4)財政状態の分析
[資産]
流動資産は、前連結会計年度末に比べて、12.7%、760億5千9百万円増加し、6,738億8千8百万円となりました。これは主として営業債権が186億3千5百万円、棚卸資産が692億2千1百万円増加したことによるものです。
非流動資産は、前連結会計年度末に比べて、3.9%、194億1百万円増加し、5,113億6千8百万円となりました。これは主として、有形固定資産が112億5千8百万円、無形資産が43億4千4百万円、持分法で会計処理されている投資が30億7千9百万円増加したことによるものです。
この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べて、8.8%、954億6千万円増加し、1兆1,852億5千6百万円となりました。
[負債]
流動負債は、前連結会計年度末に比べて、28.4%、1,042億1百万円増加し、4,706億2千3百万円となりました。これは主として社債及び借入金が1,157億4千9百万円増加したことによるものです。
非流動負債は、前連結会計年度末に比べて△21.2%、463億7千2百万円減少し1,719億7千2百万円となりました。これは主として社債及び借入金が416億6百万円減少したことによるものです。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて9.9%、578億2千9百万円増加し、6,425億9千5百万円となりました。
[資本]
資本合計は、前連結会計年度末に比べて、7.5%、376億3千1百万円増加し、5,426億6千1百万円となりました。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当連結グループの資本の財源及び資金の流動性については、1.経営成績等の状況の概要(2)キャッシュ・フローの状況に記載のとおりです。
② 資金需要及び財務政策
当連結グループは、当期の運転・設備投資及び投融資資金に充当し、かつ借入金の長短、直間のバランスの適正化を目的として、短期借入金673億8千6百万円、長期借入金361億9千7百万円の調達、長期借入金287億6千6百万円の返済を実施しました。
また、当連結グループは適時に資金繰り計画を作成・更新すると共に、手元流動性を極小化し資金効率を高める一方でコミットメント・ライン及び当座借越枠の確保により流動性リスクを回避する管理をしています。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに関する項目との差異は以下のとおりです。なお、提出会社は日本基準に基づく連結財務諸表を作成していないため、差異の金額は概算額で記載しています。
(のれん)
日本基準ではのれんを償却していましたが、IFRSでは償却を行っていません。この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」が15億円減少しています。
(従業員給付)
日本基準では、数理計算上の差異及び過去勤務費用のうち、当期の費用として認識しなかった部分をその他の包括利益累計額にて認識し、将来の一定期間にわたり純損益として認識しています。また、勤務費用、利息費用及び期待運用収益を純損益として認識しています。
一方、IFRSでは、確定給付型企業年金制度及び退職一時金制度から生じる再測定は、その他の包括利益にて認識しています。再測定は、確定給付制度債務に係る数理計算上の差異、制度資産に係る収益(制度資産に係る利息収益の金額を除く)により構成されています。過去勤務費用は直ちに純損益として認識しています。また、勤務費用は発生時に純損益として認識し、純利息費用は確定給付負債(資産)の純額に割引率を乗じた金額を純損益として認識しています。
この影響により、IFRSは日本基準に比べて、連結損益計算書の当連結会計年度の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」が15億円減少し、連結包括利益計算書の当連結会計年度の「確定給付制度の再測定」が11億円減少しています。
(法人所得税)
内部未実現利益の消去に伴う税効果について、日本基準では繰延税金資産を売却元の実効税率を用いて計算していましたが、IFRSでは売却先の実効税率を用いて計算しています。
この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、連結損益計算書の「持分法による投資損益」が2億円減少し、「法人所得税費用」が2億円増加しています。