有価証券報告書-第81期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

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2020/03/26 15:42
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2019年1月1日から2019年12月31日まで)におけるわが国経済は、雇用環境・個人所得などに改善が見られ、緩やかな回復基調が続いております。しかし、海外の政治・経済の不安定な動向により、景気の先行きは不透明な状況が継続しております。
当社を取り巻く環境装置機械業界においては、公共分野では、上下水道関連設備の更新・改修・機能強化、災害対策などの需要が引き続き活発であります。また、民間分野では、首都圏を中心とした都市再開発需要に底堅いものがあります。
このような事業環境の下、当社グループは、企業価値の向上を目指し、以下の戦略に取り組んでおります。
(環境関連)
環境関連セグメントを企業成長の核とすべく、自社製品の拡販とラインナップの充実を進めるために、a.既存製品のブラッシュアップ
b.アフターサービスの充実
c.新製品の投入
(水処理関連)
販売エリアの拡大と売上総利益率の向上を図るために、a.選択受注、積算技術の向上、原価意識の徹底
b.実績の少ないエリアへの進出
c.防災需要の取り込み強化
(風水力冷熱機器等関連)
引き続き活発な建築設備需要を取り込むために、a.都市再開発需要へのアプローチ強化
b.多様化するニーズに対応した取扱製品の拡充
これらの活動の結果、当連結会計年度の受注高は28,220百万円(前年同期比2.6%増)、売上高は28,431百万円(前年同期比2.9%減)、営業利益は2,024百万円(前年同期比5.4%減)、経常利益は2,169百万円(前年同期比3.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,512百万円(前年同期比5.5%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(環境関連)
環境関連セグメントでは、受注高は5,328百万円(前年同期比5.3%減)、売上高は5,296百万円(前年同期比1.9%減)、セグメント利益は791百万円(前年同期比2.9%増)となりました。
(水処理関連)
水処理関連セグメントでは、受注高は12,072百万円(前年同期比1.6%増)、売上高は12,544百万円(前年同期比11.5%減)、セグメント利益は1,253百万円(前年同期比16.1%減)となりました。
(風水力冷熱機器等関連)
風水力冷熱機器等関連セグメントでは、受注高は10,818百万円(前年同期比8.3%増)、売上高は10,590百万円(前年同期比8.8%増)、セグメント利益は789百万円(前年同期比35.1%増)となりました。
財政状態の状況につきましては、次のとおりであります。
総資産は、前連結会計年度末に比べ1,481百万円増加し、28,065百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加237百万円、受取手形及び売掛金の減少319百万円、投資有価証券の増加1,927百万円、保険積立金の減少206百万円等であります。
負債は、前連結会計年度末に比べ943百万円減少し、13,120百万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金の減少1,056百万円、前受金の減少334百万円、繰延税金負債の増加560百万円等であります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ2,424百万円増加し、14,945百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益1,512万百円の計上、剰余金の配当428百万円の計上による減少、保有有価証券の時価上昇によるその他有価証券評価差額金の増加1,312百万円等であります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ937百万円減少し、5,227百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は717百万円(前年同期は2,946百万円の獲得)となりました。税金等調整前当期純利益の計上2,169百万円、仕入債務の減少1,056百万円、法人税等の支払額751百万円等により営業活動全体では717百万円の増加となったものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,225百万円(前年同期は86百万円の獲得)となりました。主な要因は、拘束性預金の増加1,175百万円、無形固定資産の取得による支出102百万円、投資有価証券の取得による支出37百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は428百万円(前年同期は628百万円の使用)となりました。支出の主な内訳は、配当金の支払額428百万円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
前年同期比(%)
環境関連(百万円)3,14886.4
水処理関連(百万円)8,81387.4
風水力冷熱機器等関連(百万円)3,374122.6
合計(百万円)15,33693.1

(注)金額は生産価格によっております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
前年同期比(%)
環境関連(百万円)37-
水処理関連(百万円)33787.9
風水力冷熱機器等関連(百万円)4,908101.1
合計(百万円)5,283100.8

(注)金額は仕入価格によっております。
c.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
1)受注実績
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
環境関連5,32894.83,028101.1
水処理関連12,072101.611,41596.0
風水力冷熱機器等関連10,818108.34,534105.3
合計28,220102.618,97898.9

(注)金額は販売価格によっております。
2)受注先別実績
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
官公庁(百万円)民間(百万円)計(百万円)前年同期比(%)
環境関連2,2683,0605,32894.7
水処理関連11,92314912,072101.6
風水力冷熱機器等関連1,6799,13810,818108.3
合計15,87112,34828,220102.6

(注)1.金額は販売価格によっております。
2.当社グループが建設業者を通じて受注した官公庁発注工事は、官公庁欄に計上しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
官公庁(百万円)民間(百万円)計(百万円)前年同期比(%)
環境関連3,0552,2415,29698.1
水処理関連12,20933412,54488.5
風水力冷熱機器等関連1,9668,62410,590108.8
合計17,23211,19928,43197.1

(注)1.総販売実績に対する販売割合が、10%以上の相手先はありません。
2.当社グループが建設業者を通じて受注した官公庁発注工事は、官公庁欄に計上しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の採用や、資産・負債及び収益・費用の計上及び開示に関する見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
イ.資産の部
流動資産は、受取手形及び売掛金の減少などにより、前連結会計年度末と比べ232百万円減少し、18,321百万円となりました。
固定資産は、投資有価証券の増加などにより、前連結会計年度と比べ1,713百万円増加し、9,744百万円となりました。
これらの結果、資産合計は、前連結会計年度末と比べ1,481百万円増加し、28,065百万円となりました。
ロ.負債の部
流動負債は、支払手形及び買掛金の減少などにより、前連結会計年度と比べ1,530百万円減少し、11,746百万円となりました。
固定負債は、繰延税金負債の組替などにより、前連結会計年度と比べ586百万円増加し、1,374百万円となりました。
これらの結果、負債合計は、前連結会計年度と比べ943百万円減少し、13,120百万円となりました。
ハ.純資産の部
純資産合計は、利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度と比べ2,424百万円増加し、14,945百万円となりました。
2)経営成績
イ.経営成績の概要
当連結会計年度における経営成績の概要は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載したとおりであります。
ロ.受注高について
半導体向け需要の減少や台風15、19号等の自然災害による公共案件の入札延期などの影響がありましたが、上下水道施設の更新案件の増加、都市再開発案件の増加等によって、受注高は前年同期比2.6%増の28,220百万円となりました。
セグメント別では、環境関連は前年同期比5.3%減、水処理関連は前年同期比1.6%増、風水力冷熱機器等関連は前年同期比8.3%増となりました。
ハ.売上高について
都市再開発案件は増加したものの、半導体向け需要の減少や台風15、19号等の自然災害による工事進捗の遅れ等によって、売上高は前年同期比2.9%減の28,431百万円となりました。
セグメント別では、環境関連は前年同期比1.9%減、水処理関連は前年同期比11.5%減、風水力冷熱機器等関連は前年同期比8.8%増となりました。
ニ.売上総利益について
選別受注、原価低減活動等によって売上総利益率が前年同期25.8%から26.8%へと1.0ポイント上昇したため、売上高は減少しましたが、売上総利益は前年同期比0.8%増の7,621百万円となりました。
ホ.販売費及び一般管理費について
人件費、研究開発費の増加に基幹システムの更新費用が加わり、販売費及び一般管理費は前年同期比3.3%増の5,596百万円となりました。
ヘ.営業利益について
販売費及び一般管理費の増加を売上総利益の増加が吸収できず、営業利益は前年同期比5.4%減の2,024百万円となりました。
ト.経常利益について
営業利益に、受取配当金、投資不動産賃貸料等による営業外収益210百万円、不動産賃貸費用等による営業外費用65百万円が加わり、経常利益は前年同期比3.8%減の2,169百万円となりました。
チ.親会社株主に帰属する当期純利益について
経常利益の減少によって、親会社株主に帰属する当期純利益も前年同期比5.5%減の1,512百万円となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
また、重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源等については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、2 事業等のリスク 及び 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①重要な会計方針及び見積り」に記載のとおりであります。
c.資本の財源及び資金の流動性
1)キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は、下記のとおりであります。
2015年12月期2016年12月期2017年12月期2018年12月期2019年12月期
自己資本比率(%)41.345.349.147.153.3
時価ベースの自己資本比率(%)42.138.553.044.852.3
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)0.9-0.80.41.5
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)120.2-192.1357.690.3

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
4.2016年12月期は、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオを記載しておりません。
2)資金の需要
更なる企業価値の向上を図るための設備投資、事業投資、債務の返済及び運転資金などの資金需要に備え、資金調達及び流動性の確保に努めています。
3)資金の調達
当社グループは、必要な資金は内部資金より充当し、不足が生じた場合は銀行借入により調達しております。
4)資金の流動性
当社グループは、複数の金融機関との当座貸越契約を設定しております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
1)目標とする経営指標
当社グループは、「環境関連」(メーカー事業)を核とした成長基盤の構築を図り、利益成長による企業価値を向上させるために、「目指す経営指標」として、以下の3つの経営指標を設定しております。
イ.「環境関連」(メーカー事業)の売上総利益構成比率50%以上
ロ.売上総利益率30%以上
ハ.営業利益率10%以上
当連結会計年度におきましては、「環境関連」(メーカー事業)の売上総利益率構成比率27.6%、売上総利益率26.8%、営業利益率7.1%となっております。
2)中長期的な会社の経営戦略
中長期経営目標である「目指す経営指標」達成への道標とするために、中長経営計画「EJ2023」を策定し、以下の戦略を展開していきます。
イ.新事業の創出、新製品開発の加速
これまでの研究開発活動の成果を基に、新事業の創出と新製品の市場投入の加速を図る。
ロ.水処理関連
・事業領域の拡大
顧客軸・製品軸の両面から、事業領域の拡大を図る。
ハ.安定的収益基盤の確立
外部環境に左右されない基盤造りとしてストックビジネスの強化と、既存事業の収益性向上を図る。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(環境関連)
環境関連製品の製造・販売を手掛ける当セグメントの受注高は、計測分野では半導体業界向け需要は減少したものの浄水場向け案件が増加し、また省エネブロワ分野でも公共向け案件が増加しております。しかし、脱臭分野で工事を含む大型案件が減少し、また水処理プラント分野でも公共向け水産施設案件が減少しております。その結果、セグメント全体の受注高は、前年同期比5.3%減の5,328百万円となりました。
売上高は、計測分野で半導体業界向け需要が減少し、脱臭分野で工事を含む大型案件が減少しております。しかし、水処理プラント分野では、前年同期に受注した大型水景施設が売上計上され、また、2018年12月期に参入したZEB化事業も売上高に寄与しております。その結果、売上高は前年同期比1.9%減の5,296百万円となりました。
セグメント利益は、売上高は減少したものの売上総利益率が向上し、前年同期比2.9%増の791百万円となりました。
(水処理関連)
上下水道向けの設計・施工を手掛ける当セグメントの受注高は、上下水道設備の更新案件等が増加したことによって、前年同期比1.6%増の12,072百万円となりました。しかし、売上高は、期首受注残高の減少に加え、台風15号、19号等による自然災害の発生によって工事進捗に遅れが生じたことによって前年同期比11.5%減の12,544百万円となりました。セグメント利益も売上高の減少に伴い前年同期比16.1%減の1,253百万円となりました。
(風水力冷熱機器等関連)
主にポンプ、冷凍機、空調機器などを商社として販売する当セグメントは、首都圏の再開発案件等を中心に需要は依然として底堅いものがあり、受注高は前年同期比8.3%増の10,818百万円、売上高は前年同期比8.8%増の10,590百万円となり、セグメント利益も売上高の増加に伴い前年同期比35.1%増の789百万円となりました。