四半期報告書-第116期第3四半期(平成27年10月1日-平成27年12月31日)
有報資料
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日(2015年12月31日)現在において当社及び連結子会社(以下、当社グループ)が判断したものであります。
以下の文中において、当第3四半期連結累計期間を当第3四半期(累計)、当第3四半期連結会計期間を当第3四半期、前年同四半期連結累計期間及び前年同四半期連結会計期間を前年同期、前連結会計年度を前年度と記載しております。また、文中に記載しております為替影響は、米国ドル、ユーロ、英国ポンドを対象に前年同期の対円平均レートを当第3四半期(累計)の外貨建取引高に適用して試算しております。
(1)経営成績の分析(当第3四半期(累計))
①損益の状況
売上収益は3兆4,082億円と、前年同期比1.3%の増収になりました。国内はほぼ前年同期並みです。システムインテグレーションが増収になりましたが、ネットワークプロダクトやパソコンが減収になりました。海外は3.8%の増収です。ネットワークプロダクトやパソコンが減収になりましたが、為替影響があり増収になりました。上半期を中心に米国ドルに対し円安が進行したことなどにより、前年同期比で約650億円の売上収益の増加影響がありました。海外売上比率は42.0%と、前年同期比1.0ポイント上昇しました。
営業利益は16億円と、前年同期比638億円の減益となりました。ネットワークプロダクトやパソコンの減収影響があったほか、米国ドルに対するユーロ安の進行により欧州拠点で米国ドル建の部材調達コストが上昇した影響がありました。また、ビジネスモデル変革費用219億円(欧州のプロダクト開発拠点の閉鎖関連などEMEIAビジネスの体質強化費用176億円、国内ネットワーク事業の従業員の再配置等に係る費用42億円)の計上がありました。
金融収益と金融費用を合わせた金融損益は9億円と、前年同期比116億円の減益となりました。前年同期には急速な円安進行に伴う為替差益の計上があったことなどによります。
持分法による投資利益は143億円と、前年同期比88億円の増益となりました。システムLSIの設計・開発事業を関連会社(株式会社ソシオネクスト、2015年3月事業開始、議決権比率:当社40%、パナソニック株式会社20%、株式会社日本政策投資銀行40%)へ移管した影響があったほか、中国の深圳証券取引所に上場している関連会社の公募増資に伴い持分変動利益を計上したことによります。
この結果、税引前四半期利益は168億円と、前年同期比665億円の減益となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益は106億円の損失と、前年同期比623億円の悪化となりました。
②セグメント情報
a テクノロジーソリューション
売上収益は2兆3,186億円と、前年同期比1.0%の増収になりました。国内は1.1%の増収です。サービスは、システムインテグレーションが金融分野や公共分野で顧客の投資拡大により増収となりました。また、インフラサービスも堅調に推移しました。一方、システムプラットフォームは、携帯電話基地局などのネットワークプロダクトが、顧客投資抑制の継続により減収となりました。海外は1.0%の増収です。サービスは、前年同期に比べ円安が進行した影響もあり増収になりました。一方、システムプラットフォームは、北米向けの光伝送システムが通信キャリアの当社関連セグメントに関する投資抑制の影響を受けました。
営業利益は672億円と、前年同期比280億円の減益となりました。国内サービスの増収効果はあるものの、ビジネスモデル変革費用202億円(欧州のプロダクト開発拠点の閉鎖関連などEMEIAビジネスの体質強化費用159億円、国内ネットワーク事業の従業員の再配置等に係る費用42億円)を計上したほか、ネットワークプロダクトの減収影響により減益となりました。
b ユビキタスソリューション
売上収益は7,643億円と、前年同期比2.4%の減収になりました。国内は5.4%の減収です。パソコンがOSの製品サポート終了に伴う買い替え需要が前年度の第1四半期で一巡した影響などにより減収となりました。海外は3.4%の増収です。パソコンは欧州拠点の販売台数が減少しましたが、モバイルウェアが欧州、米国向けなどで増収となったほか、為替の影響もありました。
営業利益は133億円の損失と、前年同期比217億円の悪化となりました。パソコンが減収影響や、米国ドルに対しユーロ安、円安が進行したことにより欧州及び国内拠点で米国ドル建の部材調達コストが上昇した影響を受けたほか、ビジネスモデル変革費用16億円の計上もありました。
c デバイスソリューション
売上収益は4,637億円と、前年同期比6.8%の増収になりました。LSI、電子部品ともに為替の影響がありました。
営業利益は243億円と、前年同期比2億円の減益になりました。米国ドルに対し円安が進行したことにより米国ドル建の売上が増加した影響がありましたが、システムLSI事業を関連会社に移管した影響がありました。
d その他及び消去又は全社
営業利益は766億円の損失と、前年同期比137億円の悪化となりました。IoTの活用基盤としての次世代クラウドや、未来医療などの分野で戦略投資を拡充していることによります。
(注)IoT(Internet of Things):パソコンやサーバなどに留まらず、様々な物がインターネットに接続さ
れ、情報交換する仕組み。
(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資産、負債及び資本の状況
当第3四半期末の資産合計は3兆2,175億円と、前年度末から535億円減少しました。棚卸資産は今後の売上に対応するため、サービスビジネスを中心に増加しましたが、売上債権は前年度末に集中した売上に係る売掛金を回収したことにより減少しました。
負債合計は2兆3,137億円と、前年度末から229億円減少しました。仕入債務は前年度末に集中した売上に対応する支払いにより減少しました。有利子負債は6,884億円と、運転資金の一部を短期借入金で調達したことにより、前年度末から1,099億円増加しました。
資本合計は9,037億円と、前年度末から306億円減少しました。四半期損失の計上や配当金の支払いにより利益剰余金が減少しました。なお、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は23.5%と前年度末から0.7ポイント減少しました。
②キャッシュ・フローの状況
当第3四半期(累計)の営業活動によるキャッシュ・フローは330億円のプラスと、前年同期から713億円の収入減となりました。税引前四半期利益が悪化したほか、前年同期に国内子会社からの配当金に係る源泉所得税の還付が約260億円ありました。
投資活動によるキャッシュ・フローはデータセンター設備などへの投資により1,166億円のマイナスとなりました。前年同期からは258億円の支出減となりました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは836億円のマイナスと、前年同期からは454億円の収入減となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、運転資金の一部を短期借入金で調達したことにより、849億円のプラスとなりました。前年同期からは88億円の収入増となりました。
この結果、現金及び現金同等物の四半期末残高は3,644億円と、前年度末からは24億円増加しました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
①対処すべき課題
当第3四半期(累計)における当社グループが対処すべき課題については、以下のとおりです。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、常に変革に挑戦し続け、快適で安心できるネットワーク社会づくりに貢献し、豊かで夢のある未来を世界中の人々に提供することを企業理念としております。そのためには、健全な利益と成長を実現し、企業価値を持続的に向上させることが重要と考えております。
情報機器やネットワークの高度化を背景に、社会や経済の至るところでICTの活用が進み、従来の業界の枠組みを超えた新たなビジネスが生まれるなど、市場構造の変革が起こりつつあります。消費者の行動が変化し、またグローバルな競争が加速する中で、企業において新しいテクノロジーをビジネスの変革や競争優位の確保に活かす動きが高まっています。また、防災、エネルギー、環境、医療など、社会の抱える様々な課題を解決し豊かな社会の実現に貢献することが、ICTの新たな役割として期待されています。
このような環境下において、当社グループは、テクノロジーとサービスをベースとした、グローバルに統合された企業になることを目指しております。自らの改革を進め、お客様のビジネスを支えるとともに、豊かな社会の実現に向け、ICTを通じて貢献してまいります。これに向けて、ビジネスおよび社会におけるイノベーションを通じてICTの活用領域を拡大するとともに、グローバルでのビジネス拡大を進めてまいります。
ビジネス分野については、企業の既存ICT資産の有効活用を可能にするサービスをご提供するとともに、新しいテクノロジーを活かしたビジネスのイノベーション創出に取り組んでまいります。同時に、人に優しい豊かな社会「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」の実現につながる、社会イノベーションの創出を目指してまいります。
グローバルでのビジネス拡大に向けては、世界を5つの地域に区分したリージョンと、事業部門とのマトリックス体制をさらに進化させます。グローバルな連携に加え、日本とアジア各国の営業体制の統合やグローバルデリバリー体制拡充によるオフショアの徹底活用で成長を加速いたします。
これらの実現に向けて、次世代技術の研究開発にも引き続き注力してまいります。
以上のような課題を不断の努力を積み重ねることにより解決し、快適で安心できるネットワーク社会づくりに貢献できるグローバルな企業として、お客様や社会から信頼されるよう一層の自己革新を図ってまいります。
②財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、企業価値を向上させることが結果として防衛にもつながるという基本的な考え方のもと、企業価値の向上に注力しているところであり、現時点で特別な防衛策は導入しておりません。
当社に対して買収提案があった場合は、取締役会は当社の支配権の所在を決定するのは株主であるとの認識のもと、適切な対応を行います。
(4)研究開発活動
当社グループの事業は、「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」および「デバイスソリューション」の各セグメントにより構成されており、それぞれの分野ごとに研究開発活動を行っております。「テクノロジーソリューション」では、次世代のサービス、サーバ、ネットワークなどに関する研究開発を行っており、近年は、特にビッグデータの利活用に関する研究開発に注力しております。「ユビキタスソリューション」では、パソコン、携帯電話、オーディオ・ナビゲーション機器などのユビキタス社会に不可欠な製品・技術に関する研究開発を行っております。「デバイスソリューション」では、LSI、電子部品(半導体パッケージや電池)などの各種デバイス製品・技術に関する研究開発を行っております。
当社グループでは、ICTがどのようにビジネスと社会のイノベーションに貢献するかについての当社グループの考え方を「Fujitsu Technology and Service Vision」としてまとめています。その中で、セグメントの区分を超えてヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ(*1)の実現に向けた「ヒューマン・エンパワーメント」「クリエイティブ・インテリジェンス」「コネクテッド・インフラストラクチャー」の3つのアプローチを提唱しています。当社グループでは、これらの3つのアプローチに加え、それらを支えるコア技術となる「共通な基盤」の発展に向けて研究開発を推進しています。
(*1)人々が可能性を最大限に発揮してイノベーションを生み出し、安心安全に暮らし、そして情報が新たな価値を生み出し、社会が持続的に成長していく世界。
なお、上記の各アクションアイテム等に関する当第3四半期における主な研究開発活動の成果は、以下のとおりです。また、当第3四半期(累計)における当社グループの研究開発費の総額は1,336億円です。
①ヒューマン・エンパワーメント
・漢方医師の触診をデータ化できるグローブ型触感センサーを開発
漢方で病変や体調を知るための触診は、医師の経験と主観に依存することが多く、他の医師が診断内容を客観的に把握することは困難でした。今回、北里大学東洋医学総合研究所と共同で、漢方医の触診時の触感をデータ化する圧力センサーを開発しました。指先に装着する圧力センサーは、ポリマー材料を使って薄膜化(薄さ100~300μm)し、柔軟性があり診察時の手触り感を損ねません。また、グローブ先端の指先部に反射マーカーを取り付け、近赤外線カメラで医師の動きを約0.2ミリメートルの精度で検知できます。漢方医の触診内容を大量にデータ化し、客観的に把握することで、医師の触診を支援します。
②クリエイティブ・インテリジェンス
・当社が培ったAI技術を「Human Centric AI Zinrai」として体系化
富士通が30年以上にわたり培ってきたAI(人工知能)に関する知見や技術を「Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」(以下、「Zinrai」)として体系化して対外発表し、各種商品・サービスへの実装を開始いたしました。「Zinrai」は、当社グループが取り組んできた「知覚・認識」や、「知識化」、「判断・支援」、そしてそれらを高度化し成長させる「学習」などのAIに関する研究開発の結果である技術やノウハウを結集し、体系化したものです。
また、AIを活用した業務変革やイノベーションの創出を専任のコンサルタントが強力に支援するAI活用コンサルティングサービスも提供いたします。
今後は「Zinrai」を様々な業種アプリケーションやミドルウェアなどの商品・サービスに実装していく予定です。
・金融向けデータ分析プラットフォームを開発
金融業界ではフィンテックが注目されており、オープンデータを用いた金融データ分析が積極的に行われています。しかし、最新のデータに基づいて分析するためには、さまざまな場所で公開されているデータを集めて、コード体系や名称などの違いを整理するための作業コストが課題でした。今回、金融データを対象に、必要なデータを自動的に入手・保持・管理し、新鮮さを保証したデータ分析基盤を開発しました。本技術により、データを管理するコストが軽減され、データ分析に専念できます。
・手のひら静脈などの生体情報を安全に暗号鍵にする技術を開発
生活の中で増え続けるインターネット利用では、多くのIDやパスワードなどの秘密情報を管理しなければなりません。今回、秘密情報を暗号化する「鍵」として自分の生体情報を安全に利用できる技術を開発しました。乱数を用いて変換した生体情報を使い、誤り訂正技術により秘密情報の暗号化と復号化を行います。乱数で生体情報を保護するため、生体情報漏えいの危険を低減できます。今まではパソコンなどの端末内での利用に限られていた生体情報を、クラウドサービスなどのオープンなネットワーク上で安全に利用できます。
③コネクテッド・インフラストラクチャー
・大量データの高速解析を実現するソフトウェア制御型SSDを開発
ビッグデータを活用し、あらたな価値を生み出すため、コンピュータで高速に解析処理する技術へのニーズが高まっています。今回、個々のフラッシュメモリに対して、サーバ上のソフトウェアが直接読み書きできるSSDを開発しました。インメモリデータベースからの読み込みを多数のフラッシュメモリに振り分けて並列動作させることで、一般的なSSDと比べて約3倍の処理性能を実現しています。本技術をサーバに搭載することで高速なビッグデータ処理を実現します。
④共通な基盤
・AIを活用し生産ラインの画像検査プログラムを短時間で自動生成する技術を開発
電子機器などの生産ラインでの部品実装や外観の不良を、カメラ画像から自動判定する画像検査プログラムの自動生成技術を開発しました。富士通のAI技術「Zinrai」を活用し、画像から部品や欠陥の特徴を機械学習させることで、様々な検査工程の画像処理プログラムを、人手で開発する場合の約5分の1の時間で自動生成できます。ものづくりソリューションとして実用化し、生産ラインの早期立ち上げはもとより、量産中の仕様変更への迅速な対応を可能にし、製造品質の安定化に寄与します。
・スマートフォンの急速充電を実現する世界最小・最高効率のACアダプターを開発
スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器が普及し、持ち運びしやすく素早い充電が求められています。今回、窒化ガリウムHEMTの活用により、モバイル機器の充電を従来の3分の1の時間で急速充電できる、小型のACアダプターを開発しました。高速に動作する窒化ガリウムHEMTのスイッチのタイミングを正確に制御する回路を導入し、損失電流の発生を抑えました。12ワット出力のACアダプターでは世界最小の本体容積(15.6cc)で世界最高電力効率87%を達成しています。
以下の文中において、当第3四半期連結累計期間を当第3四半期(累計)、当第3四半期連結会計期間を当第3四半期、前年同四半期連結累計期間及び前年同四半期連結会計期間を前年同期、前連結会計年度を前年度と記載しております。また、文中に記載しております為替影響は、米国ドル、ユーロ、英国ポンドを対象に前年同期の対円平均レートを当第3四半期(累計)の外貨建取引高に適用して試算しております。
(1)経営成績の分析(当第3四半期(累計))
①損益の状況
売上収益は3兆4,082億円と、前年同期比1.3%の増収になりました。国内はほぼ前年同期並みです。システムインテグレーションが増収になりましたが、ネットワークプロダクトやパソコンが減収になりました。海外は3.8%の増収です。ネットワークプロダクトやパソコンが減収になりましたが、為替影響があり増収になりました。上半期を中心に米国ドルに対し円安が進行したことなどにより、前年同期比で約650億円の売上収益の増加影響がありました。海外売上比率は42.0%と、前年同期比1.0ポイント上昇しました。
営業利益は16億円と、前年同期比638億円の減益となりました。ネットワークプロダクトやパソコンの減収影響があったほか、米国ドルに対するユーロ安の進行により欧州拠点で米国ドル建の部材調達コストが上昇した影響がありました。また、ビジネスモデル変革費用219億円(欧州のプロダクト開発拠点の閉鎖関連などEMEIAビジネスの体質強化費用176億円、国内ネットワーク事業の従業員の再配置等に係る費用42億円)の計上がありました。
金融収益と金融費用を合わせた金融損益は9億円と、前年同期比116億円の減益となりました。前年同期には急速な円安進行に伴う為替差益の計上があったことなどによります。
持分法による投資利益は143億円と、前年同期比88億円の増益となりました。システムLSIの設計・開発事業を関連会社(株式会社ソシオネクスト、2015年3月事業開始、議決権比率:当社40%、パナソニック株式会社20%、株式会社日本政策投資銀行40%)へ移管した影響があったほか、中国の深圳証券取引所に上場している関連会社の公募増資に伴い持分変動利益を計上したことによります。
この結果、税引前四半期利益は168億円と、前年同期比665億円の減益となりました。
親会社の所有者に帰属する四半期利益は106億円の損失と、前年同期比623億円の悪化となりました。
②セグメント情報
a テクノロジーソリューション
売上収益は2兆3,186億円と、前年同期比1.0%の増収になりました。国内は1.1%の増収です。サービスは、システムインテグレーションが金融分野や公共分野で顧客の投資拡大により増収となりました。また、インフラサービスも堅調に推移しました。一方、システムプラットフォームは、携帯電話基地局などのネットワークプロダクトが、顧客投資抑制の継続により減収となりました。海外は1.0%の増収です。サービスは、前年同期に比べ円安が進行した影響もあり増収になりました。一方、システムプラットフォームは、北米向けの光伝送システムが通信キャリアの当社関連セグメントに関する投資抑制の影響を受けました。
営業利益は672億円と、前年同期比280億円の減益となりました。国内サービスの増収効果はあるものの、ビジネスモデル変革費用202億円(欧州のプロダクト開発拠点の閉鎖関連などEMEIAビジネスの体質強化費用159億円、国内ネットワーク事業の従業員の再配置等に係る費用42億円)を計上したほか、ネットワークプロダクトの減収影響により減益となりました。
b ユビキタスソリューション
売上収益は7,643億円と、前年同期比2.4%の減収になりました。国内は5.4%の減収です。パソコンがOSの製品サポート終了に伴う買い替え需要が前年度の第1四半期で一巡した影響などにより減収となりました。海外は3.4%の増収です。パソコンは欧州拠点の販売台数が減少しましたが、モバイルウェアが欧州、米国向けなどで増収となったほか、為替の影響もありました。
営業利益は133億円の損失と、前年同期比217億円の悪化となりました。パソコンが減収影響や、米国ドルに対しユーロ安、円安が進行したことにより欧州及び国内拠点で米国ドル建の部材調達コストが上昇した影響を受けたほか、ビジネスモデル変革費用16億円の計上もありました。
c デバイスソリューション
売上収益は4,637億円と、前年同期比6.8%の増収になりました。LSI、電子部品ともに為替の影響がありました。
営業利益は243億円と、前年同期比2億円の減益になりました。米国ドルに対し円安が進行したことにより米国ドル建の売上が増加した影響がありましたが、システムLSI事業を関連会社に移管した影響がありました。
d その他及び消去又は全社
営業利益は766億円の損失と、前年同期比137億円の悪化となりました。IoTの活用基盤としての次世代クラウドや、未来医療などの分野で戦略投資を拡充していることによります。
(注)IoT(Internet of Things):パソコンやサーバなどに留まらず、様々な物がインターネットに接続さ
れ、情報交換する仕組み。
(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資産、負債及び資本の状況
当第3四半期末の資産合計は3兆2,175億円と、前年度末から535億円減少しました。棚卸資産は今後の売上に対応するため、サービスビジネスを中心に増加しましたが、売上債権は前年度末に集中した売上に係る売掛金を回収したことにより減少しました。
負債合計は2兆3,137億円と、前年度末から229億円減少しました。仕入債務は前年度末に集中した売上に対応する支払いにより減少しました。有利子負債は6,884億円と、運転資金の一部を短期借入金で調達したことにより、前年度末から1,099億円増加しました。
資本合計は9,037億円と、前年度末から306億円減少しました。四半期損失の計上や配当金の支払いにより利益剰余金が減少しました。なお、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は23.5%と前年度末から0.7ポイント減少しました。
②キャッシュ・フローの状況
当第3四半期(累計)の営業活動によるキャッシュ・フローは330億円のプラスと、前年同期から713億円の収入減となりました。税引前四半期利益が悪化したほか、前年同期に国内子会社からの配当金に係る源泉所得税の還付が約260億円ありました。
投資活動によるキャッシュ・フローはデータセンター設備などへの投資により1,166億円のマイナスとなりました。前年同期からは258億円の支出減となりました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは836億円のマイナスと、前年同期からは454億円の収入減となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、運転資金の一部を短期借入金で調達したことにより、849億円のプラスとなりました。前年同期からは88億円の収入増となりました。
この結果、現金及び現金同等物の四半期末残高は3,644億円と、前年度末からは24億円増加しました。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
①対処すべき課題
当第3四半期(累計)における当社グループが対処すべき課題については、以下のとおりです。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、常に変革に挑戦し続け、快適で安心できるネットワーク社会づくりに貢献し、豊かで夢のある未来を世界中の人々に提供することを企業理念としております。そのためには、健全な利益と成長を実現し、企業価値を持続的に向上させることが重要と考えております。
情報機器やネットワークの高度化を背景に、社会や経済の至るところでICTの活用が進み、従来の業界の枠組みを超えた新たなビジネスが生まれるなど、市場構造の変革が起こりつつあります。消費者の行動が変化し、またグローバルな競争が加速する中で、企業において新しいテクノロジーをビジネスの変革や競争優位の確保に活かす動きが高まっています。また、防災、エネルギー、環境、医療など、社会の抱える様々な課題を解決し豊かな社会の実現に貢献することが、ICTの新たな役割として期待されています。
このような環境下において、当社グループは、テクノロジーとサービスをベースとした、グローバルに統合された企業になることを目指しております。自らの改革を進め、お客様のビジネスを支えるとともに、豊かな社会の実現に向け、ICTを通じて貢献してまいります。これに向けて、ビジネスおよび社会におけるイノベーションを通じてICTの活用領域を拡大するとともに、グローバルでのビジネス拡大を進めてまいります。
ビジネス分野については、企業の既存ICT資産の有効活用を可能にするサービスをご提供するとともに、新しいテクノロジーを活かしたビジネスのイノベーション創出に取り組んでまいります。同時に、人に優しい豊かな社会「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」の実現につながる、社会イノベーションの創出を目指してまいります。
グローバルでのビジネス拡大に向けては、世界を5つの地域に区分したリージョンと、事業部門とのマトリックス体制をさらに進化させます。グローバルな連携に加え、日本とアジア各国の営業体制の統合やグローバルデリバリー体制拡充によるオフショアの徹底活用で成長を加速いたします。
これらの実現に向けて、次世代技術の研究開発にも引き続き注力してまいります。
以上のような課題を不断の努力を積み重ねることにより解決し、快適で安心できるネットワーク社会づくりに貢献できるグローバルな企業として、お客様や社会から信頼されるよう一層の自己革新を図ってまいります。
②財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、企業価値を向上させることが結果として防衛にもつながるという基本的な考え方のもと、企業価値の向上に注力しているところであり、現時点で特別な防衛策は導入しておりません。
当社に対して買収提案があった場合は、取締役会は当社の支配権の所在を決定するのは株主であるとの認識のもと、適切な対応を行います。
(4)研究開発活動
当社グループの事業は、「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」および「デバイスソリューション」の各セグメントにより構成されており、それぞれの分野ごとに研究開発活動を行っております。「テクノロジーソリューション」では、次世代のサービス、サーバ、ネットワークなどに関する研究開発を行っており、近年は、特にビッグデータの利活用に関する研究開発に注力しております。「ユビキタスソリューション」では、パソコン、携帯電話、オーディオ・ナビゲーション機器などのユビキタス社会に不可欠な製品・技術に関する研究開発を行っております。「デバイスソリューション」では、LSI、電子部品(半導体パッケージや電池)などの各種デバイス製品・技術に関する研究開発を行っております。
当社グループでは、ICTがどのようにビジネスと社会のイノベーションに貢献するかについての当社グループの考え方を「Fujitsu Technology and Service Vision」としてまとめています。その中で、セグメントの区分を超えてヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ(*1)の実現に向けた「ヒューマン・エンパワーメント」「クリエイティブ・インテリジェンス」「コネクテッド・インフラストラクチャー」の3つのアプローチを提唱しています。当社グループでは、これらの3つのアプローチに加え、それらを支えるコア技術となる「共通な基盤」の発展に向けて研究開発を推進しています。
(*1)人々が可能性を最大限に発揮してイノベーションを生み出し、安心安全に暮らし、そして情報が新たな価値を生み出し、社会が持続的に成長していく世界。
| Fujitsu Technology and Service Visionにおけるイノベーション創出のための3つのアプローチ ①ヒューマン・エンパワーメント 人をエンパワーして、イノベーションを実現します。具体的には、お客様のイノベーションを富士通のエンジニアが実現する「インテグレーションによる価値創造」、モバイルで人をエンパワーする「モビリティとエンパワーメント」という2つのコンセプトに基づいてテクノロジーとサービスを提供します。 ②クリエイティブ・インテリジェンス 多様な情報分析を通じて新たな知識を創造するとともに、高まるリスクに対してセキュリティを確保します。具体的には、膨大で多様な情報(ビッグデータ)から新たな価値を見いだす「情報からの新たな価値」、ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティの基礎となる情報の信頼性を確保する「セキュリティと事業継続」という2つのコンセプトに基づいてテクノロジーとサービスを提供します。 ③コネクテッド・インフラストラクチャー 今後のIoT(*2)時代に、モノや社会インフラを含めてつなげ、柔軟かつ機動的に変化に対応できるICT環境を提供していきます。具体的には、クラウドであらゆるものをつなげる「オンデマンド・エブリシング」、自律・自動化されたコンピューティング環境を築く「統合されたコンピューティング」、データセンター、広域ネットワーク、デバイスを環境変化に対応して最適化する「ネットワーク・ワイドな最適化」という3つのコンセプトに基づいてテクノロジーとサービスを提供します。 (*2)Internet of Things。パソコンやサーバなどに留まらず、様々な物がインターネットに接続され、情報交換する仕組み。 |
なお、上記の各アクションアイテム等に関する当第3四半期における主な研究開発活動の成果は、以下のとおりです。また、当第3四半期(累計)における当社グループの研究開発費の総額は1,336億円です。
①ヒューマン・エンパワーメント
・漢方医師の触診をデータ化できるグローブ型触感センサーを開発
漢方で病変や体調を知るための触診は、医師の経験と主観に依存することが多く、他の医師が診断内容を客観的に把握することは困難でした。今回、北里大学東洋医学総合研究所と共同で、漢方医の触診時の触感をデータ化する圧力センサーを開発しました。指先に装着する圧力センサーは、ポリマー材料を使って薄膜化(薄さ100~300μm)し、柔軟性があり診察時の手触り感を損ねません。また、グローブ先端の指先部に反射マーカーを取り付け、近赤外線カメラで医師の動きを約0.2ミリメートルの精度で検知できます。漢方医の触診内容を大量にデータ化し、客観的に把握することで、医師の触診を支援します。
②クリエイティブ・インテリジェンス
・当社が培ったAI技術を「Human Centric AI Zinrai」として体系化
富士通が30年以上にわたり培ってきたAI(人工知能)に関する知見や技術を「Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」(以下、「Zinrai」)として体系化して対外発表し、各種商品・サービスへの実装を開始いたしました。「Zinrai」は、当社グループが取り組んできた「知覚・認識」や、「知識化」、「判断・支援」、そしてそれらを高度化し成長させる「学習」などのAIに関する研究開発の結果である技術やノウハウを結集し、体系化したものです。
また、AIを活用した業務変革やイノベーションの創出を専任のコンサルタントが強力に支援するAI活用コンサルティングサービスも提供いたします。
今後は「Zinrai」を様々な業種アプリケーションやミドルウェアなどの商品・サービスに実装していく予定です。
・金融向けデータ分析プラットフォームを開発
金融業界ではフィンテックが注目されており、オープンデータを用いた金融データ分析が積極的に行われています。しかし、最新のデータに基づいて分析するためには、さまざまな場所で公開されているデータを集めて、コード体系や名称などの違いを整理するための作業コストが課題でした。今回、金融データを対象に、必要なデータを自動的に入手・保持・管理し、新鮮さを保証したデータ分析基盤を開発しました。本技術により、データを管理するコストが軽減され、データ分析に専念できます。
・手のひら静脈などの生体情報を安全に暗号鍵にする技術を開発
生活の中で増え続けるインターネット利用では、多くのIDやパスワードなどの秘密情報を管理しなければなりません。今回、秘密情報を暗号化する「鍵」として自分の生体情報を安全に利用できる技術を開発しました。乱数を用いて変換した生体情報を使い、誤り訂正技術により秘密情報の暗号化と復号化を行います。乱数で生体情報を保護するため、生体情報漏えいの危険を低減できます。今まではパソコンなどの端末内での利用に限られていた生体情報を、クラウドサービスなどのオープンなネットワーク上で安全に利用できます。
③コネクテッド・インフラストラクチャー
・大量データの高速解析を実現するソフトウェア制御型SSDを開発
ビッグデータを活用し、あらたな価値を生み出すため、コンピュータで高速に解析処理する技術へのニーズが高まっています。今回、個々のフラッシュメモリに対して、サーバ上のソフトウェアが直接読み書きできるSSDを開発しました。インメモリデータベースからの読み込みを多数のフラッシュメモリに振り分けて並列動作させることで、一般的なSSDと比べて約3倍の処理性能を実現しています。本技術をサーバに搭載することで高速なビッグデータ処理を実現します。
④共通な基盤
・AIを活用し生産ラインの画像検査プログラムを短時間で自動生成する技術を開発
電子機器などの生産ラインでの部品実装や外観の不良を、カメラ画像から自動判定する画像検査プログラムの自動生成技術を開発しました。富士通のAI技術「Zinrai」を活用し、画像から部品や欠陥の特徴を機械学習させることで、様々な検査工程の画像処理プログラムを、人手で開発する場合の約5分の1の時間で自動生成できます。ものづくりソリューションとして実用化し、生産ラインの早期立ち上げはもとより、量産中の仕様変更への迅速な対応を可能にし、製造品質の安定化に寄与します。
・スマートフォンの急速充電を実現する世界最小・最高効率のACアダプターを開発
スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器が普及し、持ち運びしやすく素早い充電が求められています。今回、窒化ガリウムHEMTの活用により、モバイル機器の充電を従来の3分の1の時間で急速充電できる、小型のACアダプターを開発しました。高速に動作する窒化ガリウムHEMTのスイッチのタイミングを正確に制御する回路を導入し、損失電流の発生を抑えました。12ワット出力のACアダプターでは世界最小の本体容積(15.6cc)で世界最高電力効率87%を達成しています。