有価証券報告書-第117期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)
有報資料
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2017年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
なお、文中において、当連結会計年度は当年度、前連結会計年度は前年度と、省略して記載しております。
(1)当社グループの課題及び取り組み
現在、世界中のあらゆる場面においてICT(Information and Communication Technology)のサービス化が急速に進んでおります。当社はICTのサービス化を「つながるサービス」と名付け、その拡大を今後の成長ドライバーとして位置付けております。当社は「つながるサービス」の拡大をより確かなものにし、ICT企業としてグローバルに競争力を発揮すべく、2015年10月に経営方針を策定しております。中期的な経営目標として(ⅰ)営業利益率10%以上、(ⅱ)フリー・キャッシュ・フロー1,500億円以上、(ⅲ)自己資本比率40%以上、(ⅳ)海外売上比率50%以上の達成を目指しております。
当社は当社グループの「形」と「質」を転換するため、「ビジネスモデル変革」を進めております。「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューション」の3つの事業セグメント(注1)にわたる従来の垂直統合型の事業展開を転換し、コア事業である「テクノロジーソリューション」に経営資源を集中いたします。あわせて、IoT(注2)が進化する市場で、デジタル・テクノロジーをベースとした「つながるサービス」へ投資を集中いたします。「ユビキタスソリューション」や「デバイスソリューション」については、強い独立事業体として市場競争力を向上させ、コア事業とのさらなるシナジーを追求いたします。さらに必要に応じて、有力企業との協業の推進等、あらゆる選択肢を視野に入れて強化を進めてまいります。
(注1)「テクノロジーソリューション」は、プロダクト・ソフトウェア・サービスが一体となった総合的なサービスを主として法人のお客様に最適な形で提供しております。情報通信システム構築などを行うソリューション/SI、アウトソーシングや保守サービスを中心とするインフラサービス、ICTの基盤となるサーバやストレージなどのシステムプロダクトと携帯電話基地局や光伝送システムなどの通信インフラを提供するネットワークプロダクトにより構成されております。
「ユビキタスソリューション」は、スマートフォン連携や省電力、高速起動などの機能強化を図ったパソコン、「arrows」、「STYLISTIC」ブランドで展開するスマートフォン・タブレット端末に加え従来のフィーチャーフォンを含む携帯電話のほか、オーディオ・ナビゲーション機器や移動通信機器、自動車用電子機器により構成されております。
「デバイスソリューション」は、最先端テクノロジーとして、携帯電話やデジタル家電、自動車、サーバなどに搭載されるLSIのほか、半導体パッケージ、電池をはじめとする電子部品により構成されております。
(注2)Internet of Thingsの略。パソコンやサーバなどに留まらず、様々な物がインターネットに接続され、情報交換する仕組み。
[形を変える変革の進捗(テクノロジーソリューションへの経営資源集中)]
2017年4月に、カーエレクトロニクス製造子会社である富士通テン株式会社(本社:兵庫県神戸市、以下、富士通テン)株式の一部を株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市、以下、デンソー)に譲渡する契約を締結しております。総合自動車部品メーカーであるデンソーが富士通テンをグループ会社とすることにより、両社の持つ車載ECUやミリ波レーダー、高度運転支援・自動運転技術及び電子基盤技術の開発などにおいて、協力関係を一層強化し一体となって企業価値を向上することを目的としております。当社は、ICTの重要性がますます高まる「つながるクルマ」や自動運転など次世代の自動車分野において、デンソー及び富士通テンとの連携をより一層強め、自動車ビジネスやモビリティIoTビジネスをさらに強化いたします。
パソコン事業を分社した富士通クライアントコンピューティング株式会社(本社:神奈川県川崎市)はLenovo Group Limited(本社:中国・香港、以下、レノボ)とグローバル市場に向けたパソコンの研究・開発・設計・製造に関する戦略的な提携について検討を進めております。当提携は当社のグローバル販売力、お客様サポート力、開発及び製造能力とレノボの卓越したオペレーション力を融合することによりダイナミックなグローバル市場で戦うための成功モデルを目指すものであります。
[質を変える変革の進捗(デジタル・テクノロジーをベースとした「つながるサービス」の拡大)]
当社は、今後成長が見込まれるデジタルビジネス及びグローバルビジネスの拡大に向けた体制を強化しております。2016年4月に、グループ内に分散していたIoTやAI、クラウド関連の技術・企画・開発・製造を統合したデジタルサービス部門を新設するとともに、当社グループが持つIP/サービス資産をグローバルに活用する体制を構築するため、インテグレーションサービス部門とグローバルデリバリー部門を統合再編したグローバルサービスインテグレーション部門を設立しております。2016年11月に、当社グループ各社に分散していた業種・業務ノウハウの連携を強め、テクノロジーの集約などそのナレッジとケイパビリティを強化するため、お客様の変革をリードする役割のSEリソースを集結しました。AI、IoTなどのデジタルテクノロジーを駆使する新たなビジネスを既存のデリバリー組織とは別にお客様に直接デリバリーする「デジタルフロント」を組織するなどグローバルサービスインテグレーション部門の体制を強化しております。
人材配置に関してもデジタルサービスへのシフトを進めており、オフショア/ニアショアのデジタルサービス・開発拠点であるグローバルデリバリーセンターを引き続き拡大するとともに、EMEIA(欧州・中近東・インド・アフリカ)においては、デジタルサービスのロールを増やし従来型のロールを減らす方向で変革を進めております。また、EMEIAにおいてはマネジメント体制を従来の国別・地域別から事業別組織に改編するなどデジタルサービスへの対応力を高めております。日本とアジアの営業体制を一体化した「One-Asia」体制や統合されたマネジメントの下でのEMEIAとAmericasの事業別体制は、着実にその効果が出始めております。
2016年7月に、クラウド事業及びISP(Internet Services Provider)事業を行う上場子会社であったニフティ株式会社(本社:東京都新宿区、以下、ニフティ)を完全子会社とし、2017年4月にはクラウドを中心とするエンタープライズ向け事業会社と、ISPを中心とするコンシューマ向け事業会社に再編しました。エンタープライズ向け事業は、当社との連携を強化することにより顧客基盤やノウハウを共有し、当社グループ一丸となって「つながるサービス」の中核となるクラウド事業を強化いたします。一方、コンシューマ事業は、ニフティが培ってきたノウハウや資産を有効活用しつつ企業価値をさらに高めるため、2017年4月に株式会社ノジマ(本社:神奈川県横浜市)に譲渡しております。
[連結営業利益]
当年度の営業利益は1,288億円(営業利益率2.9%)と、前年度からは6.8%の増益となりました。当年度は海外サービスビジネスのデジタル化へのシフトと効率化に向けた構造改革費用や、国内外の生産拠点再編費用など447億円のビジネスモデル変革費用を計上しております。前年度の415億円からは31億円増加しました。
次年度の2017年度は、ビジネスモデル変革の効果などにより営業利益1,850億円、営業利益率4.5%を計画しておりますが、さらなる利益率の向上を目指しております。当社は経営目標である営業利益率10%以上に向けて、専門力を高めた付加価値の高い「つながるサービス」をより一層強化するとともに、オフショア/ニアショアのデジタルサービス・開発拠点であるグローバルデリバリーセンター拡充によるローコストモデルを強化してまいります。
(2)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、国際会計基準(以下、IFRS)に準拠して作成しております。当社の連結財務諸表に適用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3. 重要な会計方針」をご参照ください。
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営陣は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用に影響を与える判断、見積り及び仮定を必要としておりますが、実際の結果と異なる場合があります。また、見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した連結会計期間及び影響を受ける将来の連結会計期間において認識されます。現在の状況と将来の展望に関する仮定は、当社グループにとって制御不能な市場の変化又は状況により変化する可能性があります。こうした仮定の変更は、それが起きた時点で反映しております。経営陣は、以下の会計方針の適用における仮定及び見積りが、連結財務諸表に重要な影響を与えると考えております。
① 有形固定資産
有形固定資産の減価償却費は、事業ごとの実態に応じた回収期間を反映した見積耐用年数に基づき、主として定額法で算定しております。将来、技術革新等による設備の陳腐化や用途変更が発生した場合には、現在の見積耐用年数を短縮させる必要性が生じ、連結会計期間あたりの償却負担が増加する可能性があります。また、事業環境の急激な変化に伴う生産設備の遊休化や稼働率低下のほか、事業再編などにより、保有資産から得られる将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合には、減損損失が発生する可能性があります。
② のれん
のれんは、年次で、また、減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを行っております。のれんが配分された資金生成単位(Cash Generating Unit。以下、CGU)の回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、減損損失を認識しております。回収可能価額は主に使用価値により算定しております。使用価値は、割引キャッシュ・フロー・モデルにより算定しており、事業計画を基礎とした将来キャッシュ・フローのほか、成長率、各CGUが属するグループ企業の加重平均資本コストを基礎とした割引率等の仮定を使用しております。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、事業環境の変化等により見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。
③ 無形資産
ソフトウェアの減価償却について、市場販売目的のソフトウェアについては、見込有効期間における見込販売数量に基づいて償却しております。自社利用ソフトウェアやその他の無形資産のうち耐用年数を確定できるものは、利用可能期間に基づく定額法により償却しております。事業環境の変化等により、販売数量が当初販売計画を下回る場合や利用可能期間の見直しの結果、耐用年数を短縮させる場合には、連結会計期間あたりの償却負担が増加する可能性があります。
④ 繰延税金資産
法人所得税の算定に際しては、当社グループが事業活動を行う各国の税法規定の解釈や税法の改正、将来課税所得の金額及び時期など、様々な要因について合理的な見積り及び判断が必要になります。繰延税金資産は、未使用の税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産は連結会計期間末に見直し、一部又は全部の繰延税金資産の便益を実現させるだけの十分な課税所得を稼得する可能性が高くない場合は、繰延税金資産の計上額を減額しております。課税所得が生じる時期及び金額は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があります。また、税制改正により実効税率が変更された場合には、繰延税金資産の残高が増減する可能性があります。
⑤ 確定給付型退職給付制度
当社グループは、確定給付型及び確定拠出型の退職給付制度を設けております。確定給付型の退職給付制度の積立状況(確定給付制度債務から制度資産の公正価値を控除した金額)の変動額については、再測定した時点で、税効果を調整した上でその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素から直ちに利益剰余金に振り替えております。運用収益の悪化により制度資産の公正価値が減少した場合や、制度債務算出にあたっての種々の前提条件(割引率、退職率、死亡率等)が変更され制度債務が増加した場合には、積立状況が悪化し、資本が減少する可能性があります。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
<要約連結損益計算書>(億円)
(ご参考)財務指標 (億円)
(注1)EMEIA:欧州・中近東・インド・アフリカ
(注2)ROE :親会社の所有者に帰属する当期利益÷{(期首の親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)
+期末の親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本))÷2}
(ご参考)期中平均レート
① 売上収益
当年度の売上収益は4兆5,096億円と、前年度比4.8%の減収となりました。米国ドル、ユーロ及び英国ポンドに対して円高が進行した影響を除くとほぼ前年度並みとなりました。国内はほぼ前年度並みです。サービスがシステムインテグレーション、インフラサービスともに堅調に推移したほか、法人向けパソコンやオーディオ・ナビゲーション機器が増収となりましたが、スマートフォン市場の買替サイクルの長期化影響により携帯電話の出荷台数が減少したほか、スマートフォン向けのLSIの所要が減少した影響がありました。海外は13.2%の減収となりました。為替影響を除くと3%の減収です。前年度の公共系大型商談の売上に対する反動減を埋めることができず欧州を中心にインフラサービスが減収となったほか、北米において新機種投入の切り替え時期であった光伝送システムが減収となりました。
当年度の米国ドル、ユーロ及び英国ポンドの平均為替レートはそれぞれ108円、119円、142円と、前年度に比べて米国ドルが12円、ユーロが14円、英国ポンドが39円の円高となりました。米国ドルとの為替レートの変動により約680億円、ユーロとの変動により約510億円、また英国ポンドとの変動で約850億円売上収益が前年度比で減少しております。この結果、当年度は為替レートの変動により前年度比で約2,000億円の売上収益の減少影響があり、海外売上比率は36.5%と、前年度比3.5ポイント減少しました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費、その他の損益並びに営業利益
当年度の売上原価は3兆2,926億円で、売上総利益は1兆2,170億円、売上総利益率は前年度から0.6ポイント上昇し、27.0%になりました。
販売費及び一般管理費は1兆515億円と、前年度比で356億円減少しました。円高による為替影響を除くと、ほぼ前年度並みです。販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費については1,739億円と、前年度比で59億円減少しました。スマートフォン市場の成長鈍化に伴い、ハイエンド機種の投入サイクルを年2回から冬モデルのみの1回に絞り込んだ影響やネットワークプロダクトの開発体制の効率化を進めた影響がありました。研究開発費の売上収益に対する比率は3.9%となりました。
その他の損益は366億円の損失と、前年度比で71億円改善しました。有形固定資産などの減損損失が減少したほか、有形固定資産の売却益などが増加しました。
この結果、営業利益は1,288億円と、前年度比で82億円の増益となりました。前年度に計上したビジネスモデル変革費用の反動による415億円の増益要因がある一方、当年度に計上したビジネスモデル変革費用447億円、上半期を中心に米国ドルに対し円高、ユーロ高が進行したことによる為替影響30億円の減益要因がありました。これらを除いた通常ベースでは144億円の増益となりました。スマートフォン向けLSIの所要が減少した影響はありましたが、パソコン、携帯電話及びオーディオ・ナビゲーション機器がコストダウン、費用効率化及び増収効果などにより増益となりました。なお、当年度に計上したビジネスモデル変革費用447億円の主な内訳は、海外サービスビジネスのデジタル化へのシフトと効率化に向けた費用が340億円、国内のデータセンター再編費用(最新鋭のデータセンターの高集積化を加速させるために、老朽化、低採算化したデータセンターの閉鎖を決定し、固定資産の減損損失や閉鎖に必要な費用を計上)が39億円、電子部品事業など国内外の生産拠点の再編費用が66億円であります。
営業利益率は2.9%と、前年度から0.4ポイント上昇しました。
当社グループの重要な経営課題の一つは海外ビジネスの収益性を高めることであります。前年度は、開発・製造・物流拠点の効率化などプロダクトオペレーションの強化とともに、サービスへのビジネスモデルシフトに向けたサービス提供機能の統合などを実施しておりますが、当年度は、従来型のITサービスの競争力強化と同時にデジタルサービス分野を立上げ成長させていくことを目的に、サービスビジネスのデジタルトランスフォーメーションを進めてまいりました。当年度に計上した海外サービスビジネスのデジタル化へのシフトと効率化に向けたビジネスモデル変革費用340億円には、英国、ドイツ、北欧、スペインを中心とした約3,200名の人員対策費用が含まれており、サービスデリバリ、営業、マーケティング機能において自動化促進などの効率化を進めるための費用も含まれております。今後、デジタルサービス分野に対応した体制構築を目的に、約1,200名の人員強化を実施するとともに、新分野に対する人材育成投資を行います。
当年度は、為替レートの変動により前年度比で約30億円営業利益が減少しました。国内拠点での円貨に対する米国ドル、ユーロ及び英国ポンドの影響は前年度比で約20億円と軽微でした。円高によりLSIや電子部品は米国ドル建の輸出売上が減少しましたが、パソコンや携帯電話などのプロダクト製品は米国ドル建部材の調達コストが下落し、ほぼ相殺されました。当年度の為替レートが1円変動した場合の営業利益への影響額は、米国ドルが約0.5億円、ユーロが約0.3億円、英国ポンドが約0.1億円となりました。また、一部の欧州拠点では、米国ドルに対しユーロ安が進行した場合、米国ドル建の部材調達コストが上昇し営業利益が悪化する影響がありましたが、当年度の営業利益の減少影響は前年度比で約10億円と軽微でした。当年度のユーロ/米国ドルの為替レートが0.01変動した場合の営業利益への影響額は約12億円となりました。当社グループは引き続き、コストダウンや販売価格への転嫁などに加えて、欧州の製造・物流拠点の効率化など、為替変動による損益影響を極力低減すべく努めてまいります。
③ 金融損益、持分法による投資利益及び税引前利益
金融収益と金融費用をあわせた金融損益は6億円の損失と、前年度比で65億円の改善となりました。前年度は期末の急速な米国ドルに対する円高進行に伴い為替差損59億円を計上しておりましたが、当年度の為替差損は12億円となりました。持分法による投資利益は69億円と、前年度比で115億円の減益となりました。前年度には中国の深圳証券取引所に上場している関連会社の公募増資に伴う持分変動利益があったほか、当年度において国内関連会社で発生する可能性のある損失に備え引当金を計上したことによります。
税引前利益は1,351億円と、営業利益の増加などにより前年度比で33億円の増益となりました。
④ 法人所得税費用、当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益
当期利益は953億円と、前年度比で48億円の増益となりました。当期利益のうち、親会社の所有者に帰属する当期利益は884億円、非支配持分に帰属する金額は68億円と、前年度比でそれぞれ17億円の増益、31億円の増加となりました。法人所得税費用は398億円と、前年度比で15億円減少しました。当社及び国内完全子会社は連結納税制度を適用しており、法人税(地方法人税を含む)に係る繰延税金資産については、連結納税主体を一体として回収可能性を判断したうえで繰延税金資産を計上しております。一方、単体納税制度である住民税及び事業税に係る繰延税金資産については、前年度まで当社個別については繰延税金資産を計上しておりませんでしたが、当年度は次年度の回収可能見積額については繰延税金資産を計上しております。2016年11月にデジタルビジネスへの対応力とグローバルなデリバリー能力の強化を目的として国内大手SE子会社3社を当社に吸収合併したことを踏まえ、将来の回収可能性を見直したことによります。
当社グループは、収益性や事業における投下資本の運用効率を経営上の重要な指針としております。親会社の所有者に帰属する当期利益を親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)で除して算定したROEは10.6%となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は前年度より増加しましたが、従業員の確定給付制度に係る積立不足が改善したことなどにより自己資本が増加したため、前年度比0.4ポイントの低下となりました。
⑤ 税引後その他の包括利益及び当期包括利益
税引後その他の包括利益は417億円となりました。株価上昇により年金資産運用が好転したことなどにより、確定給付制度の再測定額が399億円のプラスとなりました。また、株価上昇により売却可能金融資産が185億円のプラスとなりましたが、英国ポンドや米国ドルに対して円高が進行したことにより在外営業活動体の換算差額が155億円のマイナスとなりました。
当期利益と税引後その他の包括利益をあわせた当期包括利益は1,370億円となりました。当期包括利益のうち、親会社の所有者に帰属する当期包括利益は1,291億円、非支配持分に帰属する当期包括利益は78億円となりました。
⑥ セグメント情報
当社グループは、経営組織の形態、製品・サービスの特性及び販売市場の類似性に基づき、複数の事業セグメントを集約した上で、「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューション」の3つを報告セグメントとしております。また、報告セグメントに含まれない事業セグメントとして、次世代スーパーコンピュータ事業、次世代クラウド事業、当社グループ会社向け情報システム開発・ファシリティサービス事業及び当社グループ従業員向け福利厚生事業等を「その他」の区分に含めて表示しております。
当年度のセグメント別の売上収益(セグメント間の内部売上収益を含む)及び営業利益は以下のとおりであります。
(億円)
a テクノロジーソリューション
「テクノロジーソリューション」は、プロダクト・ソフトウェア・サービスが一体となった総合的なサービスをお客様に最適な形で提供しております。ITシステムのコンサルティング、構築などを行うソリューション/SI、アウトソーシング(情報システムの一括運用管理)などを中心とするインフラサービス、ICTの基盤となるサーバやストレージシステムなどのシステムプロダクトと携帯電話基地局や光伝送システムなどの通信インフラを提供するネットワークプロダクトにより構成されております。
売上収益は3兆1,266億円と、前年度比4.8%の減収となりました。国内は3.0%の増収となりました。システムインテグレーションは金融分野の大規模プロジェクトや公共分野のマイナンバー商談の開発ピークアウトなどによる減収要因がありましたが、製造業やサービス業に加えて、通信キャリア向けなど幅広い分野で伸長し増収となりました。システムインテグレーションの売上収益は、前年度に初めて1兆円を上回り、当年度は1兆241億円とさらに増収となりました。インフラサービスもアウトソーシングを中心に堅調に推移したほか、IAサーバや携帯電話基地局も増収となりました。
一方、海外は17.7%の減収となりました。円高が進行した影響を大きく受けたほか、インフラサービスが前年度の公共系大型商談の売上に対する反動減を埋めることができず欧州を中心に減収となり、北米においても新機種投入の切り替え時期であった光伝送システムが減収となりました。
営業利益は1,907億円と、前年度比で45億円の増益となりました。海外サービスの減収影響はあるものの、国内サービスの増収効果や、システムプロダクトで円高影響により米国ドル建の部材調達コストが低下したことなどにより増益となりました。当年度に計上したビジネスモデル変革費用は362億円と、ほぼ前年度並みとなりました。サービスビジネスのビジネスモデル変革費用は336億円と、前年度比で144億円増加し、システムプロダクトやネットワークプロダクトは26億円と、前年度比で140億円減少しました。前年度はプロダクトオペレーションの強化や海外ビジネス全体のサービス化に向けた構造改革費用を計上しましたが、当年度は海外サービスビジネスのデジタル化へのシフトや効率化に向けた構造改革費用や老朽化、低採算化した国内のデータセンター再編費用などを計上しております。
2016年7月に、当社北米子会社Fujitsu Network Communications Inc.(本社:米国テキサス州、以下、FNC)は全米でネットワークインフラの設計及び敷設を手掛けるリーディング企業TrueNet Communications, Inc.(本社:米国フロリダ州、以下、TrueNet)を買収しております。この買収により、FNCは、同社が得意とする通信キャリアのコアネットワークやデータセンターなどの局内ネットワーク構築と、TrueNetが得意とするブロードバンドやワイヤレスネットワークなどの屋外ネットワーク構築を組み合わせて、インフラの企画・設計から施工、運用・保守まで、あらゆるサービスをワンストップで提供することが可能となります。
b ユビキタスソリューション
「ユビキタスソリューション」は、当社グループが実現を目指す「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」(テクノロジーの力で実現される、より安全で、豊かな、持続可能な社会)において、人や組織の行動パターンから生み出される様々な情報や知識を収集・活用するユビキタス端末あるいはセンサーとして、パソコン/携帯電話のほか、オーディオ・ナビゲーション機器や移動通信機器、自動車用電子機器により構成されております。
売上収益は1兆257億円と、前年度比1.5%の減収となりました。国内は1.8%の増収となりました。法人向けパソコンやオーディオ・ナビゲーション機器が伸長しました。一方、携帯電話はスマートフォン市場の成長鈍化に伴い、ハイエンド機種の投入サイクルを年2回から冬モデルのみの1回に絞り込んだ影響により、出荷台数が減少しました。海外は7.6%の減収となりました。米国ドルならびにユーロに対して円高が進行した影響がありました。
営業利益は287億円と、前年度比で364億円の改善となりました。パソコン/携帯電話は大きく改善し黒字転換しました。パソコン/携帯電話での部材調達価格の引下げ効果、円高による米国ドル建の部材調達コストの低下や費用効率化があったほか、国内法人向けパソコン、オーディオ・ナビゲーション機器の増収効果がありました。当年度に計上したビジネスモデル変革費用は43億円と、前年度比で12億円減少しました。海外の生産拠点の再編費用を中心に計上しております。
c デバイスソリューション
「デバイスソリューション」は、最先端テクノロジーとして携帯電話やデジタル家電、自動車、サーバなどに搭載されるLSIのほか、半導体パッケージ、電池をはじめとする電子部品により構成されております。
売上収益は5,443億円と、前年度比9.9%の減収となりました。国内は14.6%の減収となりました。スマートフォン向けLSIの所要が低迷した影響がありました。海外は5.5%の減収となりました。電子部品、LSIともに円高進行により米国ドル建の輸出売上が減少しました。
営業利益は42億円と、前年度比で261億円の減益となりました。円高進行により米国ドル建の輸出売上が減少した影響で約200億円の減益要因があったほか、LSIの減収影響がありました。当年度に計上したビジネスモデル変革費用は40億円と、前年度比で40億円増加しました。電子部品事業に係る国内外の生産拠点の再編費用を計上しております。
d その他及び消去又は全社
「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、次世代スーパーコンピュータ事業、次世代クラウド事業、当社グループ会社向け情報システム開発・ファシリティサービス事業及び当社グループ従業員向け福利厚生事業等が含まれております。
また、事業セグメントとして識別されないものは、基礎的試験研究やIT戦略投資などの戦略費用及び親会社におけるグループ経営に係る共通費用であります。
営業利益は949億円の損失と、前年度比で65億円の悪化となりました。次世代クラウドや次世代スーパーコンピュータ、基礎的試験研究費用などの先行戦略投資やIT戦略投資に700億円超と、引き続き高水準の投資を継続しております。前年度からは、IoT(Internet of Things)の活用基盤としての次世代クラウド向けの戦略投資が拡大しております。
⑦ 所在地別の損益情報
当社グループは、成長市場である海外における売上収益の拡大と収益力向上を経営上の重要な課題の1つであると考えております。所在地別の損益情報は当社グループの事業管理において重要な項目であるとともに、株主、投資家の皆様に当社グループの損益概況をご理解頂くための有益な情報であると考えております。
(億円)
a 日本
売上収益は3兆3,587億円と、ほぼ前年度並みになりました。LSIはスマートフォン向けの所要低迷により大幅減収となりましたが、インフラサービスがアウトソーシングを中心に堅調に推移したほか、オーディオ・ナビゲーション機器が増収となりました。また、システムインテグレーションは金融分野の大規模プロジェクトや公共分野のマイナンバー商談の開発ピークアウトなどによる減収要因がありましたが、製造業やサービス業に加えて通信キャリア向けなど幅広い分野で伸長し増収となりました。営業利益は2,258億円と、前年度比で229億円の増益となりました。パソコン/携帯電話事業での部材調達価格の引下げ効果、円高による米国ドル建の部材調達コストの低下や費用効率化があったほか、インフラサービスやシステムインテグレーション、オーディオ・ナビゲーション機器の増収効果がありました。
b EMEIA(欧州・中近東・インド・アフリカ)
売上収益は7,915億円と、前年度比17.9%の減収となりました。英国ポンド及びユーロに対して円高が進行した影響を大きく受けました。パソコンなどプロダクト関連ビジネスが減収となったほか、インフラサービスも前年度の公共系大型商談の売上に対する反動減を埋めることができず減収となりました。営業利益は93億円の損失と、前年度比で78億円の悪化となりました。前年度に実施した開発拠点の閉鎖や製造・物流拠点の効率化などの固定費削減効果はあったものの、当年度も引き続きビジネスモデル変革費用を計上した影響や減収影響がありました。当年度のビジネスモデル変革費用は322億円と、前年度比で105億円増加しました。前年度はプロダクトオペレーションを強化するとともに、サービスへのビジネスモデルシフトに向けてEMEIA(欧州・中近東・インド・アフリカ)全体でサービス提供機能を統合しておりますが、当年度は従来型のITサービスの競争力強化と同時にデジタルサービス分野を立上げ成長させていくことを目的に、サービスビジネスのデジタルトランスフォーメーションを進めております。
c アメリカ
売上収益は3,828億円と、前年度比9.2%の減収となりました。米国ドルに対して円高が進行した影響を受けたほか、新機種投入の切り替え時期であった光伝送システムが減収となりました。営業利益は46億円と、前年度比で59億円の改善となりました。インフラサービスの利益率が改善したほか、前年度にはインフラサービス関連設備の減損損失などのビジネスモデル変革費用を計上していたことによります。インフラサービス事業においては、データセンターに顧客IT資産を引き受ける従来型のマネージドサービスから、当社が開発・提供する新しいクラウド基盤とコンサルティングサービスを一体運営したクラウドサービスの比重を高めるなどビジネスモデルの変革を進めており、変革効果が着実に現れております。
d アジア
売上収益は3,987億円と、前年度比14.5%の減収となりました。オーディオ・ナビゲーション機器が生産移管により減収となったほか、メカコンポーネントやLSIも減収となりました。営業利益は16億円と、前年度比で78億円の減益となりました。減収影響があったほか、電子部品事業やオーディオ・ナビゲーション事業において生産拠点再編に伴うビジネスモデル変革費用を計上しております。
e オセアニア
売上収益は 967億円と、前年度比6.8%の減収となりました。豪ドルに対して円高が進行した影響を受けており、為替影響を除いたベースでは前年度並みとなりました。営業利益は35億円と、前年度比で8億円の増益となりました。プロダクト関連ビジネスの売上が減少し、マネージド・インフラサービスの売上が増加した結果、利益率が改善しました。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資産、負債及び資本の状況
<要約連結財政状態計算書>(億円)
(注)有利子負債 :社債、借入金及びリース債務等
ネット有利子負債 :有利子負債-現金及び現金同等物
(ご参考)財務指標
(注)自己資本比率 :親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)÷資産合計
D/Eレシオ :有利子負債÷親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)
ネットD/Eレシオ :(有利子負債-現金及び現金同等物)÷親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)
(ご参考)確定給付型退職給付制度の状況 (億円)
当年度末の資産合計は3兆1,914億円と、前年度末から348億円減少しました。流動資産は1兆8,424億円と、前年度末から14億円減少しました。棚卸資産は2,931億円と、前年度末から56億円減少し、資産効率を示す月当たり回転数は1.15回と、携帯電話やパソコンを中心に前年度末から0.03ポイント改善しました。非流動資産は1兆3,490億円と、前年度末から333億円減少しました。株価上昇により年金資産運用が好転し確定給付型の退職給付制度の積立状況(未積立債務)が改善した結果などにより、繰延税金資産が302億円減少しました。また、その他投資が、株価上昇により政策保有株式の評価額が上昇したことなどにより前年度末から269億円増加した一方、有形固定資産及び無形資産は為替影響や稼働が低下した共有資産の売却を進めたことなどにより、それぞれ前年度末から198億円、103億円減少しました。
負債合計は2兆1,722億円と、前年度末から1,277億円減少しました。流動負債は1兆4,319億円と、前年度末から150億円減少しました。社債、借入金及びリース債務が前年度末から138億円減少しました。非流動負債は7,403億円と、前年度末から1,127億円減少しました。社債、借入金及びリース債務が前年度末から335億円減少したほか、確定給付型の退職給付制度に係る積立状況(未積立債務)が改善した結果、退職給付に係る負債が749億円減少しました。流動負債及び非流動負債の社債、借入金及びリース債務をあわせた有利子負債は4,867億円と、普通社債を一部償還したことなどにより前年度末から481億円減少しました。D/Eレシオは0.55倍と、前年度末より0.13ポイント減少し、ネットD/Eレシオは0.12倍と、前年度末より0.08ポイント減少しました。
資本合計は1兆192億円と、前年度末から929億円増加しました。利益剰余金は2,658億円と、前年度末から1,099億円増加しました。親会社の所有者に帰属する当期利益884億円の計上に加え、確定給付型の退職給付制度の積立状況改善による増加影響が380億円ありました。その他の資本の構成要素は716億円と前年度末から26億円増加しました。英国ポンドに対し円高が進行したことにより在外営業活動体の換算差額が減少した一方で、株価上昇により売却可能金融資産の利得が増加しました。また、自己株式は125億円のマイナスと、前年度末から118億円保有額が増加しました。当社と富士電機株式会社は相互に発行済株式(自己株式を除く)の10%超の株式を持ち合っていましたが、両社は資本効率や株主利益の観点から株式持合いを見直すことを決定しました。2017年2月に、富士電機株式会社が当社株式を売却したことにより、当社は既存株主への影響を軽減する観点から自己株式を118億円取得しております。これらの結果、親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)は8,812億円となりました。親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は27.6%と、前年度末から3.3ポイント上昇しました。
当社グループは、経営目標として自己資本比率40%を掲げております。当年度末は従業員の退職給付に係る積立不足額について税効果を調整した上で自己資本から3,118億円控除していることにより、自己資本が低い水準に留まっておりますが、ビジネスモデルの変革により収益性を高め自己資本を充実させることにより、財務の健全性を高めてまいります。
連結財政状態計算書に計上されないオフバランスの負債は、IAS第17号(リース)に規定される解約不能オペレーティング・リース取引に係る将来の最低リース料総額が1,030億円、IAS第16号(有形固定資産)及びIAS第38号(無形資産)に規定される資産の取得に関する契約上のコミットメントが150億円であります。
従業員の確定給付型退職給付制度の退職給付債務は2兆4,389億円と、前年度末から46億円増加し、年金資産は2兆1,509億円と、前年度末から763億円増加しました。この結果、確定給付型退職給付制度の積立状況(退職給付債務から年金資産を控除した金額)は2,880億円の不足と、前年度末から716億円改善しました。国内制度の積立状況は、株価上昇により年金資産運用が好転したほか、退職給付債務が割引率上昇に伴い減少したことなどにより、前年度末から716億円改善しました。海外制度の積立状況は前年度末並みとなりました。海外の主要な確定給付型制度である英国制度においては、退職給付債務とマッチングした年金資産運用を行うため債券を中心としたポートフォリオとし、退職給付債務に対し積立比率が低下するリスクをヘッジしております。なお、確定給付型の退職給付制度の積立状況は、再測定した時点で税効果を調整した上でその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素から直ちに利益剰余金に振り替えておりますが、当年度末の利益剰余金からの控除額は前年度末から380億円減少しました。
② キャッシュ・フローの状況
<要約連結キャッシュ・フロー計算書>(億円)
(ご参考)財務指標
(注)キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業活動によるキャッシュ・フロー÷支払利息
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2,503億円のプラスと、前年度からは27億円の収入減となりました。税引前利益は改善しましたが、前年度に実施したビジネスモデル変革に伴う人員対策費用の支払などがありました。
投資活動によるキャッシュ・フローは1,454億円のマイナスとなりました。データセンター関連設備を中心とした有形固定資産の取得やソフトウェアを中心とした無形資産の取得で1,984億円を支出しております。当社子会社ニフティ株式会社のISPを中心とするコンシューマ向け事業の売却収入250億円があったことなどにより、前年度からは188億円の支出減となりました。(譲渡対価入金日:2017年3月31日(金) 株式譲渡日:2017年4月1日(土))
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは1,048億円のプラスと、前年度からは160億円の収入増となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは988億円のマイナスとなりました。社債の償還が600億円あったほか、上場子会社ニフティ株式会社の完全子会社化を目的とした公開買付けに伴う支払が113億円、自己株式の取得に伴う支払が118億円ありました。前年度からは311億円の支出増となりました。
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は前年度末から31億円増加し、3,839億円となりました。
当社グループは、資金需要に応じた効率的な資金調達を確保するため、手許流動性を適切な水準に維持することを財務活動上の重要な指針としております。手許流動性は、現金及び現金同等物と、複数の金融機関との間で締結したコミットメントライン契約に基づく融資枠のうち未使用枠残高の合計額であります。当年度末の手許流動性は5,583億円で、現金及び現金同等物を3,839億円、コミットメントライン未使用枠を1,744億円保有しております。
当社は、グローバルに資本市場から資金調達するため、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(以下、ムーディーズ)、スタンダード&プアーズ(以下、S&P)及び株式会社格付投資情報センター(以下、R&I)から債券格付けを取得しております。当年度末現在における格付け(長期/短期)は前年度末から変更なく、ムーディーズ:A3(長期)、S&P:BBB+(長期)、R&I :A(長期)/a-1(短期)であります。
③ 設備投資(有形固定資産)
当年度の設備投資額は1,285億円(前年度比17.6%減)になりました。テクノロジーソリューションでは、国内外のデータセンターやクラウドサービス設備などを中心に626億円(前年度比22.4%減)を投資しております。前年度にはIoT(Internet of Things)やクラウドサービスを加速させる中核拠点である館林システムセンター(群馬県館林市)の新棟建設があったことなどにより、前年度からは181億円減少しました。ユビキタスソリューションでは、126億円(前年度比32.7%増)を投資しております。パソコン/携帯電話事業の製造及び設計開発設備のほか、オーディオ・ナビゲーション機器の製造設備に79億円を投資しております。デバイスソリューションでは、LSIの製造設備のほか、電子部品のうち半導体パッケージの製造設備などに438億円(前年度比21.1%減)を投資しております。また、上記セグメント以外では93億円の設備投資を行っております。
なお、文中において、当連結会計年度は当年度、前連結会計年度は前年度と、省略して記載しております。
(1)当社グループの課題及び取り組み
現在、世界中のあらゆる場面においてICT(Information and Communication Technology)のサービス化が急速に進んでおります。当社はICTのサービス化を「つながるサービス」と名付け、その拡大を今後の成長ドライバーとして位置付けております。当社は「つながるサービス」の拡大をより確かなものにし、ICT企業としてグローバルに競争力を発揮すべく、2015年10月に経営方針を策定しております。中期的な経営目標として(ⅰ)営業利益率10%以上、(ⅱ)フリー・キャッシュ・フロー1,500億円以上、(ⅲ)自己資本比率40%以上、(ⅳ)海外売上比率50%以上の達成を目指しております。
当社は当社グループの「形」と「質」を転換するため、「ビジネスモデル変革」を進めております。「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューション」の3つの事業セグメント(注1)にわたる従来の垂直統合型の事業展開を転換し、コア事業である「テクノロジーソリューション」に経営資源を集中いたします。あわせて、IoT(注2)が進化する市場で、デジタル・テクノロジーをベースとした「つながるサービス」へ投資を集中いたします。「ユビキタスソリューション」や「デバイスソリューション」については、強い独立事業体として市場競争力を向上させ、コア事業とのさらなるシナジーを追求いたします。さらに必要に応じて、有力企業との協業の推進等、あらゆる選択肢を視野に入れて強化を進めてまいります。
(注1)「テクノロジーソリューション」は、プロダクト・ソフトウェア・サービスが一体となった総合的なサービスを主として法人のお客様に最適な形で提供しております。情報通信システム構築などを行うソリューション/SI、アウトソーシングや保守サービスを中心とするインフラサービス、ICTの基盤となるサーバやストレージなどのシステムプロダクトと携帯電話基地局や光伝送システムなどの通信インフラを提供するネットワークプロダクトにより構成されております。
「ユビキタスソリューション」は、スマートフォン連携や省電力、高速起動などの機能強化を図ったパソコン、「arrows」、「STYLISTIC」ブランドで展開するスマートフォン・タブレット端末に加え従来のフィーチャーフォンを含む携帯電話のほか、オーディオ・ナビゲーション機器や移動通信機器、自動車用電子機器により構成されております。
「デバイスソリューション」は、最先端テクノロジーとして、携帯電話やデジタル家電、自動車、サーバなどに搭載されるLSIのほか、半導体パッケージ、電池をはじめとする電子部品により構成されております。
(注2)Internet of Thingsの略。パソコンやサーバなどに留まらず、様々な物がインターネットに接続され、情報交換する仕組み。
[形を変える変革の進捗(テクノロジーソリューションへの経営資源集中)]
2017年4月に、カーエレクトロニクス製造子会社である富士通テン株式会社(本社:兵庫県神戸市、以下、富士通テン)株式の一部を株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市、以下、デンソー)に譲渡する契約を締結しております。総合自動車部品メーカーであるデンソーが富士通テンをグループ会社とすることにより、両社の持つ車載ECUやミリ波レーダー、高度運転支援・自動運転技術及び電子基盤技術の開発などにおいて、協力関係を一層強化し一体となって企業価値を向上することを目的としております。当社は、ICTの重要性がますます高まる「つながるクルマ」や自動運転など次世代の自動車分野において、デンソー及び富士通テンとの連携をより一層強め、自動車ビジネスやモビリティIoTビジネスをさらに強化いたします。
パソコン事業を分社した富士通クライアントコンピューティング株式会社(本社:神奈川県川崎市)はLenovo Group Limited(本社:中国・香港、以下、レノボ)とグローバル市場に向けたパソコンの研究・開発・設計・製造に関する戦略的な提携について検討を進めております。当提携は当社のグローバル販売力、お客様サポート力、開発及び製造能力とレノボの卓越したオペレーション力を融合することによりダイナミックなグローバル市場で戦うための成功モデルを目指すものであります。
[質を変える変革の進捗(デジタル・テクノロジーをベースとした「つながるサービス」の拡大)]
当社は、今後成長が見込まれるデジタルビジネス及びグローバルビジネスの拡大に向けた体制を強化しております。2016年4月に、グループ内に分散していたIoTやAI、クラウド関連の技術・企画・開発・製造を統合したデジタルサービス部門を新設するとともに、当社グループが持つIP/サービス資産をグローバルに活用する体制を構築するため、インテグレーションサービス部門とグローバルデリバリー部門を統合再編したグローバルサービスインテグレーション部門を設立しております。2016年11月に、当社グループ各社に分散していた業種・業務ノウハウの連携を強め、テクノロジーの集約などそのナレッジとケイパビリティを強化するため、お客様の変革をリードする役割のSEリソースを集結しました。AI、IoTなどのデジタルテクノロジーを駆使する新たなビジネスを既存のデリバリー組織とは別にお客様に直接デリバリーする「デジタルフロント」を組織するなどグローバルサービスインテグレーション部門の体制を強化しております。
人材配置に関してもデジタルサービスへのシフトを進めており、オフショア/ニアショアのデジタルサービス・開発拠点であるグローバルデリバリーセンターを引き続き拡大するとともに、EMEIA(欧州・中近東・インド・アフリカ)においては、デジタルサービスのロールを増やし従来型のロールを減らす方向で変革を進めております。また、EMEIAにおいてはマネジメント体制を従来の国別・地域別から事業別組織に改編するなどデジタルサービスへの対応力を高めております。日本とアジアの営業体制を一体化した「One-Asia」体制や統合されたマネジメントの下でのEMEIAとAmericasの事業別体制は、着実にその効果が出始めております。
2016年7月に、クラウド事業及びISP(Internet Services Provider)事業を行う上場子会社であったニフティ株式会社(本社:東京都新宿区、以下、ニフティ)を完全子会社とし、2017年4月にはクラウドを中心とするエンタープライズ向け事業会社と、ISPを中心とするコンシューマ向け事業会社に再編しました。エンタープライズ向け事業は、当社との連携を強化することにより顧客基盤やノウハウを共有し、当社グループ一丸となって「つながるサービス」の中核となるクラウド事業を強化いたします。一方、コンシューマ事業は、ニフティが培ってきたノウハウや資産を有効活用しつつ企業価値をさらに高めるため、2017年4月に株式会社ノジマ(本社:神奈川県横浜市)に譲渡しております。
[連結営業利益]
当年度の営業利益は1,288億円(営業利益率2.9%)と、前年度からは6.8%の増益となりました。当年度は海外サービスビジネスのデジタル化へのシフトと効率化に向けた構造改革費用や、国内外の生産拠点再編費用など447億円のビジネスモデル変革費用を計上しております。前年度の415億円からは31億円増加しました。
次年度の2017年度は、ビジネスモデル変革の効果などにより営業利益1,850億円、営業利益率4.5%を計画しておりますが、さらなる利益率の向上を目指しております。当社は経営目標である営業利益率10%以上に向けて、専門力を高めた付加価値の高い「つながるサービス」をより一層強化するとともに、オフショア/ニアショアのデジタルサービス・開発拠点であるグローバルデリバリーセンター拡充によるローコストモデルを強化してまいります。
(2)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、国際会計基準(以下、IFRS)に準拠して作成しております。当社の連結財務諸表に適用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3. 重要な会計方針」をご参照ください。
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営陣は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用に影響を与える判断、見積り及び仮定を必要としておりますが、実際の結果と異なる場合があります。また、見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した連結会計期間及び影響を受ける将来の連結会計期間において認識されます。現在の状況と将来の展望に関する仮定は、当社グループにとって制御不能な市場の変化又は状況により変化する可能性があります。こうした仮定の変更は、それが起きた時点で反映しております。経営陣は、以下の会計方針の適用における仮定及び見積りが、連結財務諸表に重要な影響を与えると考えております。
① 有形固定資産
有形固定資産の減価償却費は、事業ごとの実態に応じた回収期間を反映した見積耐用年数に基づき、主として定額法で算定しております。将来、技術革新等による設備の陳腐化や用途変更が発生した場合には、現在の見積耐用年数を短縮させる必要性が生じ、連結会計期間あたりの償却負担が増加する可能性があります。また、事業環境の急激な変化に伴う生産設備の遊休化や稼働率低下のほか、事業再編などにより、保有資産から得られる将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合には、減損損失が発生する可能性があります。
② のれん
のれんは、年次で、また、減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを行っております。のれんが配分された資金生成単位(Cash Generating Unit。以下、CGU)の回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、減損損失を認識しております。回収可能価額は主に使用価値により算定しております。使用価値は、割引キャッシュ・フロー・モデルにより算定しており、事業計画を基礎とした将来キャッシュ・フローのほか、成長率、各CGUが属するグループ企業の加重平均資本コストを基礎とした割引率等の仮定を使用しております。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、事業環境の変化等により見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。
③ 無形資産
ソフトウェアの減価償却について、市場販売目的のソフトウェアについては、見込有効期間における見込販売数量に基づいて償却しております。自社利用ソフトウェアやその他の無形資産のうち耐用年数を確定できるものは、利用可能期間に基づく定額法により償却しております。事業環境の変化等により、販売数量が当初販売計画を下回る場合や利用可能期間の見直しの結果、耐用年数を短縮させる場合には、連結会計期間あたりの償却負担が増加する可能性があります。
④ 繰延税金資産
法人所得税の算定に際しては、当社グループが事業活動を行う各国の税法規定の解釈や税法の改正、将来課税所得の金額及び時期など、様々な要因について合理的な見積り及び判断が必要になります。繰延税金資産は、未使用の税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産は連結会計期間末に見直し、一部又は全部の繰延税金資産の便益を実現させるだけの十分な課税所得を稼得する可能性が高くない場合は、繰延税金資産の計上額を減額しております。課税所得が生じる時期及び金額は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があります。また、税制改正により実効税率が変更された場合には、繰延税金資産の残高が増減する可能性があります。
⑤ 確定給付型退職給付制度
当社グループは、確定給付型及び確定拠出型の退職給付制度を設けております。確定給付型の退職給付制度の積立状況(確定給付制度債務から制度資産の公正価値を控除した金額)の変動額については、再測定した時点で、税効果を調整した上でその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素から直ちに利益剰余金に振り替えております。運用収益の悪化により制度資産の公正価値が減少した場合や、制度債務算出にあたっての種々の前提条件(割引率、退職率、死亡率等)が変更され制度債務が増加した場合には、積立状況が悪化し、資本が減少する可能性があります。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
<要約連結損益計算書>(億円)
| 前年度 (自 2015年4月 1日 至 2016年3月31日) | 当年度 (自 2016年4月 1日 至 2017年3月31日) | 前年度比 | 増減率 (%) | ||
| 売上収益 | 47,392 | 45,096 | △2,296 | △4.8 | |
| 売上原価 | △34,878 | △32,926 | 1,951 | △5.6 | |
| 売上総利益 | 12,514 | 12,170 | △344 | △2.8 | |
| 販売費及び一般管理費 | △10,871 | △10,515 | 356 | △3.3 | |
| その他の損益 | △437 | △366 | 71 | - | |
| 営業利益 | 1,206 | 1,288 | 82 | 6.8 | |
| 金融損益 | △72 | △6 | 65 | - | |
| 持分法による投資利益 | 184 | 69 | △115 | △62.3 | |
| 税引前利益 | 1,318 | 1,351 | 33 | 2.5 | |
| 法人所得税費用 | △414 | △398 | 15 | △3.8 | |
| 当期利益 | 904 | 953 | 48 | 5.4 | |
| [当期利益の帰属] | |||||
| 親会社の所有者 | 867 | 884 | 17 | 2.0 | |
| 非支配持分 | 36 | 68 | 31 | 86.7 |
(ご参考)財務指標 (億円)
| 前年度 (自 2015年4月 1日 至 2016年3月31日) | 当年度 (自 2016年4月 1日 至 2017年3月31日) | 前年度比 | ||
| 海外売上比率 | 40.0% | 36.5% | △3.5% | |
| EMEIA(注1) | 9,520 | 7,781 | △1,739 | |
| アメリカ | 4,204 | 3,869 | △335 | |
| アジア | 4,210 | 3,851 | △359 | |
| オセアニア | 1,006 | 938 | △67 | |
| 顧客所在地別海外売上収益 | 18,942 | 16,440 | △2,501 | |
| 売上総利益率 | 26.4% | 27.0% | 0.6% | |
| 営業利益率 | 2.5% | 2.9% | 0.4% | |
| ROE(注2) | 11.0% | 10.6% | △0.4% |
(注1)EMEIA:欧州・中近東・インド・アフリカ
(注2)ROE :親会社の所有者に帰属する当期利益÷{(期首の親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)
+期末の親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本))÷2}
(ご参考)期中平均レート
| 前年度 (自 2015年4月 1日 至 2016年3月31日) | 当年度 (自 2016年4月 1日 至 2017年3月31日) | 前年度比 | ||
| 米国ドル/円 | 120円 | 108円 | △12円 | |
| ユーロ/円 | 133円 | 119円 | △14円 | |
| 英国ポンド/円 | 181円 | 142円 | △39円 | |
| ユーロ/米国ドル | 1.11ドル | 1.10ドル | △0.01ドル |
① 売上収益
当年度の売上収益は4兆5,096億円と、前年度比4.8%の減収となりました。米国ドル、ユーロ及び英国ポンドに対して円高が進行した影響を除くとほぼ前年度並みとなりました。国内はほぼ前年度並みです。サービスがシステムインテグレーション、インフラサービスともに堅調に推移したほか、法人向けパソコンやオーディオ・ナビゲーション機器が増収となりましたが、スマートフォン市場の買替サイクルの長期化影響により携帯電話の出荷台数が減少したほか、スマートフォン向けのLSIの所要が減少した影響がありました。海外は13.2%の減収となりました。為替影響を除くと3%の減収です。前年度の公共系大型商談の売上に対する反動減を埋めることができず欧州を中心にインフラサービスが減収となったほか、北米において新機種投入の切り替え時期であった光伝送システムが減収となりました。
当年度の米国ドル、ユーロ及び英国ポンドの平均為替レートはそれぞれ108円、119円、142円と、前年度に比べて米国ドルが12円、ユーロが14円、英国ポンドが39円の円高となりました。米国ドルとの為替レートの変動により約680億円、ユーロとの変動により約510億円、また英国ポンドとの変動で約850億円売上収益が前年度比で減少しております。この結果、当年度は為替レートの変動により前年度比で約2,000億円の売上収益の減少影響があり、海外売上比率は36.5%と、前年度比3.5ポイント減少しました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費、その他の損益並びに営業利益
当年度の売上原価は3兆2,926億円で、売上総利益は1兆2,170億円、売上総利益率は前年度から0.6ポイント上昇し、27.0%になりました。
販売費及び一般管理費は1兆515億円と、前年度比で356億円減少しました。円高による為替影響を除くと、ほぼ前年度並みです。販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費については1,739億円と、前年度比で59億円減少しました。スマートフォン市場の成長鈍化に伴い、ハイエンド機種の投入サイクルを年2回から冬モデルのみの1回に絞り込んだ影響やネットワークプロダクトの開発体制の効率化を進めた影響がありました。研究開発費の売上収益に対する比率は3.9%となりました。
その他の損益は366億円の損失と、前年度比で71億円改善しました。有形固定資産などの減損損失が減少したほか、有形固定資産の売却益などが増加しました。
この結果、営業利益は1,288億円と、前年度比で82億円の増益となりました。前年度に計上したビジネスモデル変革費用の反動による415億円の増益要因がある一方、当年度に計上したビジネスモデル変革費用447億円、上半期を中心に米国ドルに対し円高、ユーロ高が進行したことによる為替影響30億円の減益要因がありました。これらを除いた通常ベースでは144億円の増益となりました。スマートフォン向けLSIの所要が減少した影響はありましたが、パソコン、携帯電話及びオーディオ・ナビゲーション機器がコストダウン、費用効率化及び増収効果などにより増益となりました。なお、当年度に計上したビジネスモデル変革費用447億円の主な内訳は、海外サービスビジネスのデジタル化へのシフトと効率化に向けた費用が340億円、国内のデータセンター再編費用(最新鋭のデータセンターの高集積化を加速させるために、老朽化、低採算化したデータセンターの閉鎖を決定し、固定資産の減損損失や閉鎖に必要な費用を計上)が39億円、電子部品事業など国内外の生産拠点の再編費用が66億円であります。
営業利益率は2.9%と、前年度から0.4ポイント上昇しました。
当社グループの重要な経営課題の一つは海外ビジネスの収益性を高めることであります。前年度は、開発・製造・物流拠点の効率化などプロダクトオペレーションの強化とともに、サービスへのビジネスモデルシフトに向けたサービス提供機能の統合などを実施しておりますが、当年度は、従来型のITサービスの競争力強化と同時にデジタルサービス分野を立上げ成長させていくことを目的に、サービスビジネスのデジタルトランスフォーメーションを進めてまいりました。当年度に計上した海外サービスビジネスのデジタル化へのシフトと効率化に向けたビジネスモデル変革費用340億円には、英国、ドイツ、北欧、スペインを中心とした約3,200名の人員対策費用が含まれており、サービスデリバリ、営業、マーケティング機能において自動化促進などの効率化を進めるための費用も含まれております。今後、デジタルサービス分野に対応した体制構築を目的に、約1,200名の人員強化を実施するとともに、新分野に対する人材育成投資を行います。
当年度は、為替レートの変動により前年度比で約30億円営業利益が減少しました。国内拠点での円貨に対する米国ドル、ユーロ及び英国ポンドの影響は前年度比で約20億円と軽微でした。円高によりLSIや電子部品は米国ドル建の輸出売上が減少しましたが、パソコンや携帯電話などのプロダクト製品は米国ドル建部材の調達コストが下落し、ほぼ相殺されました。当年度の為替レートが1円変動した場合の営業利益への影響額は、米国ドルが約0.5億円、ユーロが約0.3億円、英国ポンドが約0.1億円となりました。また、一部の欧州拠点では、米国ドルに対しユーロ安が進行した場合、米国ドル建の部材調達コストが上昇し営業利益が悪化する影響がありましたが、当年度の営業利益の減少影響は前年度比で約10億円と軽微でした。当年度のユーロ/米国ドルの為替レートが0.01変動した場合の営業利益への影響額は約12億円となりました。当社グループは引き続き、コストダウンや販売価格への転嫁などに加えて、欧州の製造・物流拠点の効率化など、為替変動による損益影響を極力低減すべく努めてまいります。
③ 金融損益、持分法による投資利益及び税引前利益
金融収益と金融費用をあわせた金融損益は6億円の損失と、前年度比で65億円の改善となりました。前年度は期末の急速な米国ドルに対する円高進行に伴い為替差損59億円を計上しておりましたが、当年度の為替差損は12億円となりました。持分法による投資利益は69億円と、前年度比で115億円の減益となりました。前年度には中国の深圳証券取引所に上場している関連会社の公募増資に伴う持分変動利益があったほか、当年度において国内関連会社で発生する可能性のある損失に備え引当金を計上したことによります。
税引前利益は1,351億円と、営業利益の増加などにより前年度比で33億円の増益となりました。
④ 法人所得税費用、当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益
当期利益は953億円と、前年度比で48億円の増益となりました。当期利益のうち、親会社の所有者に帰属する当期利益は884億円、非支配持分に帰属する金額は68億円と、前年度比でそれぞれ17億円の増益、31億円の増加となりました。法人所得税費用は398億円と、前年度比で15億円減少しました。当社及び国内完全子会社は連結納税制度を適用しており、法人税(地方法人税を含む)に係る繰延税金資産については、連結納税主体を一体として回収可能性を判断したうえで繰延税金資産を計上しております。一方、単体納税制度である住民税及び事業税に係る繰延税金資産については、前年度まで当社個別については繰延税金資産を計上しておりませんでしたが、当年度は次年度の回収可能見積額については繰延税金資産を計上しております。2016年11月にデジタルビジネスへの対応力とグローバルなデリバリー能力の強化を目的として国内大手SE子会社3社を当社に吸収合併したことを踏まえ、将来の回収可能性を見直したことによります。
当社グループは、収益性や事業における投下資本の運用効率を経営上の重要な指針としております。親会社の所有者に帰属する当期利益を親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)で除して算定したROEは10.6%となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は前年度より増加しましたが、従業員の確定給付制度に係る積立不足が改善したことなどにより自己資本が増加したため、前年度比0.4ポイントの低下となりました。
⑤ 税引後その他の包括利益及び当期包括利益
税引後その他の包括利益は417億円となりました。株価上昇により年金資産運用が好転したことなどにより、確定給付制度の再測定額が399億円のプラスとなりました。また、株価上昇により売却可能金融資産が185億円のプラスとなりましたが、英国ポンドや米国ドルに対して円高が進行したことにより在外営業活動体の換算差額が155億円のマイナスとなりました。
当期利益と税引後その他の包括利益をあわせた当期包括利益は1,370億円となりました。当期包括利益のうち、親会社の所有者に帰属する当期包括利益は1,291億円、非支配持分に帰属する当期包括利益は78億円となりました。
⑥ セグメント情報
当社グループは、経営組織の形態、製品・サービスの特性及び販売市場の類似性に基づき、複数の事業セグメントを集約した上で、「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューション」の3つを報告セグメントとしております。また、報告セグメントに含まれない事業セグメントとして、次世代スーパーコンピュータ事業、次世代クラウド事業、当社グループ会社向け情報システム開発・ファシリティサービス事業及び当社グループ従業員向け福利厚生事業等を「その他」の区分に含めて表示しております。
当年度のセグメント別の売上収益(セグメント間の内部売上収益を含む)及び営業利益は以下のとおりであります。
(億円)
| 前年度 (自 2015年4月 1日 至 2016年3月31日) | 当年度 (自 2016年4月 1日 至 2017年3月31日) | 前年度比 | 増減率 (%) | |||
| テクノロジーソリューション | ||||||
| 売上収益 | 32,833 | 31,266 | △1,567 | △4.8 | ||
| 営業利益 | 1,862 | 1,907 | 45 | 2.4 | ||
| (営業利益率) | ( 5.7%) | ( 6.1%) | ( 0.4%) | |||
| ユビキタスソリューション | ||||||
| 売上収益 | 10,409 | 10,257 | △151 | △1.5 | ||
| 営業利益 | △76 | 287 | 364 | - | ||
| (営業利益率) | (△0.7%) | ( 2.8%) | ( 3.5%) | |||
| デバイスソリューション | ||||||
| 売上収益 | 6,039 | 5,443 | △595 | △9.9 | ||
| 営業利益 | 303 | 42 | △261 | △86.0 | ||
| (営業利益率) | ( 5.0%) | ( 0.8%) | (△4.2%) | |||
| その他及び消去又は全社 | ||||||
| 売上収益 | △1,888 | △1,871 | 17 | - | ||
| 営業利益 | △883 | △949 | △65 | - | ||
| 連結 | ||||||
| 売上収益 | 47,392 | 45,096 | △2,296 | △4.8 | ||
| 営業利益 | 1,206 | 1,288 | 82 | 6.8 | ||
| (営業利益率) | ( 2.5%) | ( 2.9%) | ( 0.4%) | |||
a テクノロジーソリューション
「テクノロジーソリューション」は、プロダクト・ソフトウェア・サービスが一体となった総合的なサービスをお客様に最適な形で提供しております。ITシステムのコンサルティング、構築などを行うソリューション/SI、アウトソーシング(情報システムの一括運用管理)などを中心とするインフラサービス、ICTの基盤となるサーバやストレージシステムなどのシステムプロダクトと携帯電話基地局や光伝送システムなどの通信インフラを提供するネットワークプロダクトにより構成されております。
売上収益は3兆1,266億円と、前年度比4.8%の減収となりました。国内は3.0%の増収となりました。システムインテグレーションは金融分野の大規模プロジェクトや公共分野のマイナンバー商談の開発ピークアウトなどによる減収要因がありましたが、製造業やサービス業に加えて、通信キャリア向けなど幅広い分野で伸長し増収となりました。システムインテグレーションの売上収益は、前年度に初めて1兆円を上回り、当年度は1兆241億円とさらに増収となりました。インフラサービスもアウトソーシングを中心に堅調に推移したほか、IAサーバや携帯電話基地局も増収となりました。
一方、海外は17.7%の減収となりました。円高が進行した影響を大きく受けたほか、インフラサービスが前年度の公共系大型商談の売上に対する反動減を埋めることができず欧州を中心に減収となり、北米においても新機種投入の切り替え時期であった光伝送システムが減収となりました。
営業利益は1,907億円と、前年度比で45億円の増益となりました。海外サービスの減収影響はあるものの、国内サービスの増収効果や、システムプロダクトで円高影響により米国ドル建の部材調達コストが低下したことなどにより増益となりました。当年度に計上したビジネスモデル変革費用は362億円と、ほぼ前年度並みとなりました。サービスビジネスのビジネスモデル変革費用は336億円と、前年度比で144億円増加し、システムプロダクトやネットワークプロダクトは26億円と、前年度比で140億円減少しました。前年度はプロダクトオペレーションの強化や海外ビジネス全体のサービス化に向けた構造改革費用を計上しましたが、当年度は海外サービスビジネスのデジタル化へのシフトや効率化に向けた構造改革費用や老朽化、低採算化した国内のデータセンター再編費用などを計上しております。
2016年7月に、当社北米子会社Fujitsu Network Communications Inc.(本社:米国テキサス州、以下、FNC)は全米でネットワークインフラの設計及び敷設を手掛けるリーディング企業TrueNet Communications, Inc.(本社:米国フロリダ州、以下、TrueNet)を買収しております。この買収により、FNCは、同社が得意とする通信キャリアのコアネットワークやデータセンターなどの局内ネットワーク構築と、TrueNetが得意とするブロードバンドやワイヤレスネットワークなどの屋外ネットワーク構築を組み合わせて、インフラの企画・設計から施工、運用・保守まで、あらゆるサービスをワンストップで提供することが可能となります。
b ユビキタスソリューション
「ユビキタスソリューション」は、当社グループが実現を目指す「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」(テクノロジーの力で実現される、より安全で、豊かな、持続可能な社会)において、人や組織の行動パターンから生み出される様々な情報や知識を収集・活用するユビキタス端末あるいはセンサーとして、パソコン/携帯電話のほか、オーディオ・ナビゲーション機器や移動通信機器、自動車用電子機器により構成されております。
売上収益は1兆257億円と、前年度比1.5%の減収となりました。国内は1.8%の増収となりました。法人向けパソコンやオーディオ・ナビゲーション機器が伸長しました。一方、携帯電話はスマートフォン市場の成長鈍化に伴い、ハイエンド機種の投入サイクルを年2回から冬モデルのみの1回に絞り込んだ影響により、出荷台数が減少しました。海外は7.6%の減収となりました。米国ドルならびにユーロに対して円高が進行した影響がありました。
営業利益は287億円と、前年度比で364億円の改善となりました。パソコン/携帯電話は大きく改善し黒字転換しました。パソコン/携帯電話での部材調達価格の引下げ効果、円高による米国ドル建の部材調達コストの低下や費用効率化があったほか、国内法人向けパソコン、オーディオ・ナビゲーション機器の増収効果がありました。当年度に計上したビジネスモデル変革費用は43億円と、前年度比で12億円減少しました。海外の生産拠点の再編費用を中心に計上しております。
c デバイスソリューション
「デバイスソリューション」は、最先端テクノロジーとして携帯電話やデジタル家電、自動車、サーバなどに搭載されるLSIのほか、半導体パッケージ、電池をはじめとする電子部品により構成されております。
売上収益は5,443億円と、前年度比9.9%の減収となりました。国内は14.6%の減収となりました。スマートフォン向けLSIの所要が低迷した影響がありました。海外は5.5%の減収となりました。電子部品、LSIともに円高進行により米国ドル建の輸出売上が減少しました。
営業利益は42億円と、前年度比で261億円の減益となりました。円高進行により米国ドル建の輸出売上が減少した影響で約200億円の減益要因があったほか、LSIの減収影響がありました。当年度に計上したビジネスモデル変革費用は40億円と、前年度比で40億円増加しました。電子部品事業に係る国内外の生産拠点の再編費用を計上しております。
d その他及び消去又は全社
「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、次世代スーパーコンピュータ事業、次世代クラウド事業、当社グループ会社向け情報システム開発・ファシリティサービス事業及び当社グループ従業員向け福利厚生事業等が含まれております。
また、事業セグメントとして識別されないものは、基礎的試験研究やIT戦略投資などの戦略費用及び親会社におけるグループ経営に係る共通費用であります。
営業利益は949億円の損失と、前年度比で65億円の悪化となりました。次世代クラウドや次世代スーパーコンピュータ、基礎的試験研究費用などの先行戦略投資やIT戦略投資に700億円超と、引き続き高水準の投資を継続しております。前年度からは、IoT(Internet of Things)の活用基盤としての次世代クラウド向けの戦略投資が拡大しております。
⑦ 所在地別の損益情報
当社グループは、成長市場である海外における売上収益の拡大と収益力向上を経営上の重要な課題の1つであると考えております。所在地別の損益情報は当社グループの事業管理において重要な項目であるとともに、株主、投資家の皆様に当社グループの損益概況をご理解頂くための有益な情報であると考えております。
(億円)
| 前年度 (自 2015年4月 1日 至 2016年3月31日) | 当年度 (自 2016年4月 1日 至 2017年3月31日) | 前年度比 | 増減率 (%) | |||
| 日本 | ||||||
| 売上収益 | 33,665 | 33,587 | △77 | △0.2 | ||
| 営業利益 | 2,028 | 2,258 | 229 | 11.3 | ||
| (営業利益率) | ( 6.0%) | ( 6.7%) | ( 0.7%) | |||
| EMEIA(欧州・中近東・インド・アフリカ) | ||||||
| 売上収益 | 9,635 | 7,915 | △1,720 | △17.9 | ||
| 営業利益 | △15 | △93 | △78 | - | ||
| (営業利益率) | (△0.2%) | (△1.2%) | (△1.0%) | |||
| アメリカ | ||||||
| 売上収益 | 4,219 | 3,828 | △390 | △9.2 | ||
| 営業利益 | △13 | 46 | 59 | - | ||
| (営業利益率) | (△0.3%) | ( 1.2%) | ( 1.5%) | |||
| アジア | ||||||
| 売上収益 | 4,663 | 3,987 | △675 | △14.5 | ||
| 営業利益 | 95 | 16 | △78 | △82.3 | ||
| (営業利益率) | ( 2.0%) | ( 0.4%) | (△1.6%) | |||
| オセアニア | ||||||
| 売上収益 | 1,039 | 967 | △71 | △6.8 | ||
| 営業利益 | 26 | 35 | 8 | 33.2 | ||
| (営業利益率) | ( 2.5%) | ( 3.6%) | ( 1.1%) | |||
| 消去又は全社 | ||||||
| 売上収益 | △5,830 | △5,191 | 639 | - | ||
| 営業利益 | △915 | △974 | △59 | - | ||
| 連結 | ||||||
| 売上収益 | 47,392 | 45,096 | △2,296 | △4.8 | ||
| 営業利益 | 1,206 | 1,288 | 82 | 6.8 | ||
| (営業利益率) | ( 2.5%) | ( 2.9%) | ( 0.4%) | |||
a 日本
売上収益は3兆3,587億円と、ほぼ前年度並みになりました。LSIはスマートフォン向けの所要低迷により大幅減収となりましたが、インフラサービスがアウトソーシングを中心に堅調に推移したほか、オーディオ・ナビゲーション機器が増収となりました。また、システムインテグレーションは金融分野の大規模プロジェクトや公共分野のマイナンバー商談の開発ピークアウトなどによる減収要因がありましたが、製造業やサービス業に加えて通信キャリア向けなど幅広い分野で伸長し増収となりました。営業利益は2,258億円と、前年度比で229億円の増益となりました。パソコン/携帯電話事業での部材調達価格の引下げ効果、円高による米国ドル建の部材調達コストの低下や費用効率化があったほか、インフラサービスやシステムインテグレーション、オーディオ・ナビゲーション機器の増収効果がありました。
b EMEIA(欧州・中近東・インド・アフリカ)
売上収益は7,915億円と、前年度比17.9%の減収となりました。英国ポンド及びユーロに対して円高が進行した影響を大きく受けました。パソコンなどプロダクト関連ビジネスが減収となったほか、インフラサービスも前年度の公共系大型商談の売上に対する反動減を埋めることができず減収となりました。営業利益は93億円の損失と、前年度比で78億円の悪化となりました。前年度に実施した開発拠点の閉鎖や製造・物流拠点の効率化などの固定費削減効果はあったものの、当年度も引き続きビジネスモデル変革費用を計上した影響や減収影響がありました。当年度のビジネスモデル変革費用は322億円と、前年度比で105億円増加しました。前年度はプロダクトオペレーションを強化するとともに、サービスへのビジネスモデルシフトに向けてEMEIA(欧州・中近東・インド・アフリカ)全体でサービス提供機能を統合しておりますが、当年度は従来型のITサービスの競争力強化と同時にデジタルサービス分野を立上げ成長させていくことを目的に、サービスビジネスのデジタルトランスフォーメーションを進めております。
c アメリカ
売上収益は3,828億円と、前年度比9.2%の減収となりました。米国ドルに対して円高が進行した影響を受けたほか、新機種投入の切り替え時期であった光伝送システムが減収となりました。営業利益は46億円と、前年度比で59億円の改善となりました。インフラサービスの利益率が改善したほか、前年度にはインフラサービス関連設備の減損損失などのビジネスモデル変革費用を計上していたことによります。インフラサービス事業においては、データセンターに顧客IT資産を引き受ける従来型のマネージドサービスから、当社が開発・提供する新しいクラウド基盤とコンサルティングサービスを一体運営したクラウドサービスの比重を高めるなどビジネスモデルの変革を進めており、変革効果が着実に現れております。
d アジア
売上収益は3,987億円と、前年度比14.5%の減収となりました。オーディオ・ナビゲーション機器が生産移管により減収となったほか、メカコンポーネントやLSIも減収となりました。営業利益は16億円と、前年度比で78億円の減益となりました。減収影響があったほか、電子部品事業やオーディオ・ナビゲーション事業において生産拠点再編に伴うビジネスモデル変革費用を計上しております。
e オセアニア
売上収益は 967億円と、前年度比6.8%の減収となりました。豪ドルに対して円高が進行した影響を受けており、為替影響を除いたベースでは前年度並みとなりました。営業利益は35億円と、前年度比で8億円の増益となりました。プロダクト関連ビジネスの売上が減少し、マネージド・インフラサービスの売上が増加した結果、利益率が改善しました。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資産、負債及び資本の状況
<要約連結財政状態計算書>(億円)
| 前年度末 (2016年3月31日) | 当年度末 (2017年3月31日) | 前年度末比 | ||
| 資産 | ||||
| 流動資産 | 18,438 | 18,424 | △14 | |
| 非流動資産 | 13,824 | 13,490 | △333 | |
| 資産合計 | 32,263 | 31,914 | △348 | |
| 負債 | ||||
| 流動負債 | 14,470 | 14,319 | △150 | |
| 非流動負債 | 8,530 | 7,403 | △1,127 | |
| 負債合計 | 23,000 | 21,722 | △1,277 | |
| 資本 | ||||
| 親会社の所有者に帰属する持分 合計(自己資本) | 7,827 | 8,812 | 985 | |
| 利益剰余金 | 1,559 | 2,658 | 1,099 | |
| その他の資本の構成要素 | 689 | 716 | 26 | |
| 資本合計 | 9,262 | 10,192 | 929 | |
| 負債及び資本合計 | 32,263 | 31,914 | △348 |
| 現金及び現金同等物 | 3,808 | 3,806 | △1 | |
| 有利子負債 | 5,349 | 4,867 | △481 | |
| ネット有利子負債 | 1,541 | 1,060 | △480 |
(注)有利子負債 :社債、借入金及びリース債務等
ネット有利子負債 :有利子負債-現金及び現金同等物
(ご参考)財務指標
| 前年度末 (2016年3月31日) | 当年度末 (2017年3月31日) | 前年度末比 | ||
| 親会社所有者帰属持分比率 | ||||
| (自己資本比率) | 24.3% | 27.6% | 3.3% | |
| D/Eレシオ | 0.68倍 | 0.55倍 | △0.13倍 | |
| ネットD/Eレシオ | 0.20倍 | 0.12倍 | △0.08倍 |
(注)自己資本比率 :親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)÷資産合計
D/Eレシオ :有利子負債÷親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)
ネットD/Eレシオ :(有利子負債-現金及び現金同等物)÷親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)
(ご参考)確定給付型退職給付制度の状況 (億円)
| 前年度末 (2016年3月31日) | 当年度末 (2017年3月31日) | 前年度末比 | ||
| a.確定給付制度債務 | △24,342 | △24,389 | △46 | |
| b.年金資産 | 20,745 | 21,509 | 763 | |
| c.積立状況 (a)+(b) | △3,596 | △2,880 | 716 | |
| (内、国内制度) | (△2,796) | (△2,079) | (716) | |
| (内、海外制度) | (△800) | (△800) | (-) |
| (確定給付制度債務の計算に用いた割引率) | |||||
| 国内制度 | 0.30% | 0.59% | 0.29% | ||
| 海外制度 | 主に3.35% | 主に2.45% | △0.90% | ||
当年度末の資産合計は3兆1,914億円と、前年度末から348億円減少しました。流動資産は1兆8,424億円と、前年度末から14億円減少しました。棚卸資産は2,931億円と、前年度末から56億円減少し、資産効率を示す月当たり回転数は1.15回と、携帯電話やパソコンを中心に前年度末から0.03ポイント改善しました。非流動資産は1兆3,490億円と、前年度末から333億円減少しました。株価上昇により年金資産運用が好転し確定給付型の退職給付制度の積立状況(未積立債務)が改善した結果などにより、繰延税金資産が302億円減少しました。また、その他投資が、株価上昇により政策保有株式の評価額が上昇したことなどにより前年度末から269億円増加した一方、有形固定資産及び無形資産は為替影響や稼働が低下した共有資産の売却を進めたことなどにより、それぞれ前年度末から198億円、103億円減少しました。
負債合計は2兆1,722億円と、前年度末から1,277億円減少しました。流動負債は1兆4,319億円と、前年度末から150億円減少しました。社債、借入金及びリース債務が前年度末から138億円減少しました。非流動負債は7,403億円と、前年度末から1,127億円減少しました。社債、借入金及びリース債務が前年度末から335億円減少したほか、確定給付型の退職給付制度に係る積立状況(未積立債務)が改善した結果、退職給付に係る負債が749億円減少しました。流動負債及び非流動負債の社債、借入金及びリース債務をあわせた有利子負債は4,867億円と、普通社債を一部償還したことなどにより前年度末から481億円減少しました。D/Eレシオは0.55倍と、前年度末より0.13ポイント減少し、ネットD/Eレシオは0.12倍と、前年度末より0.08ポイント減少しました。
資本合計は1兆192億円と、前年度末から929億円増加しました。利益剰余金は2,658億円と、前年度末から1,099億円増加しました。親会社の所有者に帰属する当期利益884億円の計上に加え、確定給付型の退職給付制度の積立状況改善による増加影響が380億円ありました。その他の資本の構成要素は716億円と前年度末から26億円増加しました。英国ポンドに対し円高が進行したことにより在外営業活動体の換算差額が減少した一方で、株価上昇により売却可能金融資産の利得が増加しました。また、自己株式は125億円のマイナスと、前年度末から118億円保有額が増加しました。当社と富士電機株式会社は相互に発行済株式(自己株式を除く)の10%超の株式を持ち合っていましたが、両社は資本効率や株主利益の観点から株式持合いを見直すことを決定しました。2017年2月に、富士電機株式会社が当社株式を売却したことにより、当社は既存株主への影響を軽減する観点から自己株式を118億円取得しております。これらの結果、親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)は8,812億円となりました。親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は27.6%と、前年度末から3.3ポイント上昇しました。
当社グループは、経営目標として自己資本比率40%を掲げております。当年度末は従業員の退職給付に係る積立不足額について税効果を調整した上で自己資本から3,118億円控除していることにより、自己資本が低い水準に留まっておりますが、ビジネスモデルの変革により収益性を高め自己資本を充実させることにより、財務の健全性を高めてまいります。
連結財政状態計算書に計上されないオフバランスの負債は、IAS第17号(リース)に規定される解約不能オペレーティング・リース取引に係る将来の最低リース料総額が1,030億円、IAS第16号(有形固定資産)及びIAS第38号(無形資産)に規定される資産の取得に関する契約上のコミットメントが150億円であります。
従業員の確定給付型退職給付制度の退職給付債務は2兆4,389億円と、前年度末から46億円増加し、年金資産は2兆1,509億円と、前年度末から763億円増加しました。この結果、確定給付型退職給付制度の積立状況(退職給付債務から年金資産を控除した金額)は2,880億円の不足と、前年度末から716億円改善しました。国内制度の積立状況は、株価上昇により年金資産運用が好転したほか、退職給付債務が割引率上昇に伴い減少したことなどにより、前年度末から716億円改善しました。海外制度の積立状況は前年度末並みとなりました。海外の主要な確定給付型制度である英国制度においては、退職給付債務とマッチングした年金資産運用を行うため債券を中心としたポートフォリオとし、退職給付債務に対し積立比率が低下するリスクをヘッジしております。なお、確定給付型の退職給付制度の積立状況は、再測定した時点で税効果を調整した上でその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素から直ちに利益剰余金に振り替えておりますが、当年度末の利益剰余金からの控除額は前年度末から380億円減少しました。
② キャッシュ・フローの状況
<要約連結キャッシュ・フロー計算書>(億円)
| 前年度 (自 2015年4月 1日 至 2016年3月31日) | 当年度 (自 2016年4月 1日 至 2017年3月31日) | 前年度比 | ||
| Ⅰ営業活動によるキャッシュ・フロー | 2,530 | 2,503 | △27 | |
| Ⅱ投資活動によるキャッシュ・フロー | △1,643 | △1,454 | 188 | |
| Ⅰ+Ⅱフリー・キャッシュ・フロー | 887 | 1,048 | 160 | |
| Ⅲ財務活動によるキャッシュ・フロー | △677 | △988 | △311 | |
| Ⅳ現金及び現金同等物の期末残高 | 3,808 | 3,839 | 31 |
(ご参考)財務指標
| 前年度 (自 2015年4月 1日 至 2016年3月31日) | 当年度 (自 2016年4月 1日 至 2017年3月31日) | 前年度比 | ||
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率 | 2.1年 | 1.9年 | △0.2年 | |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ | 48.3倍 | 54.2倍 | 5.9倍 |
(注)キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業活動によるキャッシュ・フロー÷支払利息
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2,503億円のプラスと、前年度からは27億円の収入減となりました。税引前利益は改善しましたが、前年度に実施したビジネスモデル変革に伴う人員対策費用の支払などがありました。
投資活動によるキャッシュ・フローは1,454億円のマイナスとなりました。データセンター関連設備を中心とした有形固定資産の取得やソフトウェアを中心とした無形資産の取得で1,984億円を支出しております。当社子会社ニフティ株式会社のISPを中心とするコンシューマ向け事業の売却収入250億円があったことなどにより、前年度からは188億円の支出減となりました。(譲渡対価入金日:2017年3月31日(金) 株式譲渡日:2017年4月1日(土))
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは1,048億円のプラスと、前年度からは160億円の収入増となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは988億円のマイナスとなりました。社債の償還が600億円あったほか、上場子会社ニフティ株式会社の完全子会社化を目的とした公開買付けに伴う支払が113億円、自己株式の取得に伴う支払が118億円ありました。前年度からは311億円の支出増となりました。
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は前年度末から31億円増加し、3,839億円となりました。
当社グループは、資金需要に応じた効率的な資金調達を確保するため、手許流動性を適切な水準に維持することを財務活動上の重要な指針としております。手許流動性は、現金及び現金同等物と、複数の金融機関との間で締結したコミットメントライン契約に基づく融資枠のうち未使用枠残高の合計額であります。当年度末の手許流動性は5,583億円で、現金及び現金同等物を3,839億円、コミットメントライン未使用枠を1,744億円保有しております。
当社は、グローバルに資本市場から資金調達するため、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(以下、ムーディーズ)、スタンダード&プアーズ(以下、S&P)及び株式会社格付投資情報センター(以下、R&I)から債券格付けを取得しております。当年度末現在における格付け(長期/短期)は前年度末から変更なく、ムーディーズ:A3(長期)、S&P:BBB+(長期)、R&I :A(長期)/a-1(短期)であります。
③ 設備投資(有形固定資産)
当年度の設備投資額は1,285億円(前年度比17.6%減)になりました。テクノロジーソリューションでは、国内外のデータセンターやクラウドサービス設備などを中心に626億円(前年度比22.4%減)を投資しております。前年度にはIoT(Internet of Things)やクラウドサービスを加速させる中核拠点である館林システムセンター(群馬県館林市)の新棟建設があったことなどにより、前年度からは181億円減少しました。ユビキタスソリューションでは、126億円(前年度比32.7%増)を投資しております。パソコン/携帯電話事業の製造及び設計開発設備のほか、オーディオ・ナビゲーション機器の製造設備に79億円を投資しております。デバイスソリューションでは、LSIの製造設備のほか、電子部品のうち半導体パッケージの製造設備などに438億円(前年度比21.1%減)を投資しております。また、上記セグメント以外では93億円の設備投資を行っております。