訂正有価証券報告書-第116期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)
有報資料
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2016年3月31日)現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)当社グループの課題及び取り組み
① 中期目標
当社グループはICT(Information and Communication Technology)分野で、各種サービスを提供するとともに、これらを支える最先端、高性能かつ高品質のハードウェア・ソフトウェア製品の開発、製造、販売から保守運用までを総合的に提供するトータルソリューションビジネスを提供しております。
当社グループを取り巻く事業環境は、国内を中心とした堅調なICT市場を背景に安定的な成長が見込めるとともにデジタルテクノロジーの広まりにより大きなビジネスチャンスが生まれる一方で、欧米や新たに台頭した新興国のグローバル・プレーヤーとの競争激化が避けられない状況にあります。
これまで当社グループは、3つの事業セグメント(注1)「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューション」を軸に垂直統合型のビジネスを展開してきましたが、IoT(注2)が進化する市場でグローバルに競争力を高めることを目的に、2015年10月に新たな経営方針を発表し、当社グループが優位性を持つ「テクノロジーソリューション」に経営資源を集中させることにしました。
当社グループは、(ⅰ)システムインテグレーション/アウトソーシング/保守サービスによって蓄積されたノウハウや、(ⅱ)クラウド/ミドルウェアなどの豊富なソフトウェア、(ⅲ)ソフトウェア化(注3)されたサーバ/ストレージ/ネットワークといったコアハード、を統合したワンストップサービスである「つながるサービス」へのシフトを進めながら、ICTがもたらす「デジタル・イノベーション」と、これらをグローバルに拡大する「グローバル・プレゼンス」のそれぞれの分野における成長を経営課題と位置付け、持続的成長に向けた「ビジネスモデル変革」に取り組んでおります。お客様への深化と持続的成長に必要となる高度なIoT技術を当社で醸成しつつ、「ユビキタスソリューション」、「デバイスソリューション」のように、より機動性が求められる事業については、グループ会社として独立させ、単独でも競争に勝ち抜ける製品開発とビジネス展開を追求できる体制へと変革を進めております。
(注1)「テクノロジーソリューション」は、プロダクト・ソフトウェア・サービスが一体となった総合的なサービスを主として法人のお客様に最適な形で提供しております。情報通信システム構築などを行うソリューション/SI、アウトソーシングや保守サービスを中心とするインフラサービス、ICTの基盤となるサーバやストレージなどのシステムプロダクトと携帯電話基地局や光伝送システムなどの通信インフラを提供するネットワークプロダクトにより構成されております。
「ユビキタスソリューション」は、スマートフォン連携や省電力、高速起動などの機能強化を図ったパソコン、「arrows」、「STYLISTIC」ブランドで展開するスマートフォン・タブレット端末に加え従来のフィーチャーフォンを含む携帯電話のほか、オーディオ・ナビゲーション機器や移動通信機器、自動車用電子機器により構成されております。
「デバイスソリューション」は、最先端テクノロジーとして、携帯電話やデジタル家電、自動車、サーバなどに搭載されるLSIのほか、半導体パッケージ、電池をはじめとする電子部品により構成されております。
(注2) Internet of Thingsの略。パソコンやサーバなどに留まらず、様々な物がインターネットに接続され、情報交換するしくみ。
(注3) ハードウェアの構成や機能をソフトウェアで制御・提供することでサービスやシステムが環境の変化に応じて、より迅速で柔軟に対応することが可能になります。
2015年10月に、当社グループは経営目標として(ⅰ)営業利益率10%以上、(ⅱ)フリー・キャッシュ・フロー1,500億円以上、(ⅲ)自己資本比率40%以上、(ⅳ)海外売上比率50%以上を設定しました。「ビジネスモデル変革」を通じて、当社グループの形と質を転換し真のサービス企業に変質することにより、さらなる成長を確実に進めてまいります。
② 当年度の取り組み
当年度は「ビジネスモデル変革」の実行及びグローバルでのビジネス拡大に向けて事業体制の再編・強化を進めました。また、「ビジネスモデル変革」の一環として、EMEIA(欧州・中近東・インド・アフリカ)や北米ビジネスなどの海外事業のほか、ネットワーク事業、パソコン・携帯電話事業を中心にフォーメーションを見直しました。
[事業体制の再編・強化]
2015年10月に、日本の強いデリバリー能力を活用してアジアビジネスの成長を加速させるため、日本とアジアの営業体制を一体化した「One Asia」体制をスタートさせました。また、2014年にスタートさせたグローバルマトリクス体制をさらに進化させるため、グローバルデリバリーセンター(GDC)の拡充を進めております。各リージョンがGDCのリソースを柔軟に活用できるようにし、大幅なコスト効率化を図るため、GDCの要員を現在の5,000人から2017年度までに18,000人規模に増員いたします。
2016年4月には、新たな成長領域であるデジタル・イノベーションのビジネス拡大に向け、コアテクノロジー分野であるIoT/クラウド/モバイル/ビッグデータ関連事業部を集約したデジタルサービス部門を設立しました。また、サービスビジネスにおける最大の資産である日本のIP/サービス資産をグローバルに最大限に活用するため、インテグレーションサービス部門とグローバルデリバリー部門を統合再編したグローバルサービスインテグレーション部門を設立しました。
[海外事業]
当社グループの海外ビジネスの中核となるEMEIAビジネスについては、サービスを基軸としたビジネスモデルに変革することにより、さらなる利益成長を目指しております。ビジネス全体のサービス化を進めるとともに、プロダクトオペレーションにおいても体質強化を図っております。
サービスへのビジネスモデルシフトに向けて、EMEIA全体でサービス提供機能を統合しました。EMEIAは4つの地域的なサブリージョン、「UK&I」、「Central Europe」、「Nordic」、「Western Europe、Middle East、India and Africa」に分けていましたが、それらを統合して、営業軸及びサービス軸、プラットフォーム軸に再編しました。また、あわせてデジタル化に向けたサービス専門営業の増強やEMEIA共通部門の効率化も進めております。
EMEIAにおけるプロダクトビジネスについては、米国ドル高/ユーロ安の進行・常態化に伴い、米国ドル建て部材を中心に為替影響を大きく受けましたが、為替影響を極小化するためには、ビジネス構造の転換が必要だと考えております。また、PCサーバ市場等はクラウド化の進展に伴い、新しい競合が台頭するなど競争が激化しているため、よりグローバルな効率・一貫性を重視した開発体制にシフトすることが急務となっておりました。コスト競争力を強化し利益率を向上させるため、日本に中核開発拠点を集約する一環として欧州開発拠点の閉鎖を進めるとともに、固定費削減の観点から製造・物流拠点の効率化を進めました。
[ネットワーク事業]
ネットワーク事業においては安定的に利益を計上しておりますが、通信キャリアの投資がよりサービスへシフトし、ネットワーク自動化(ソフトウェア化)が加速するなど、事業環境が大きく変化しております。このような環境下、機能集中によるコスト競争力強化、ネットワーク仮想化へのさらなる展開、IoT時代に向けたネットワーク利用者の多種多様なニーズに対応する新しいサービスの創出などを加速していくために、従来の製品毎の事業体制から機能別の事業体制に再編を進めております。
2015年10月に、ネットワーク基盤に関する先進技術を活用した製品開発力と付加価値の高いネットワークソリューションの提供を一層強化するため、分散していたネットワーク事業の営業、開発機能を当社に統合しました。また、生産性及び投資効率のさらなる向上を図るため製造機能を統合し、小山工場(栃木県小山市)をマザー工場とする製造体制としました。
[パソコン・携帯電話事業]
独立した事業とすることで経営責任を明確化にして経営判断の迅速化と徹底した効率化を追求するため、2016年2月に、パソコン及び携帯電話に関する事業をそれぞれ独立事業として分社化しました。年々コモディティ化が進み商品の差別化が困難となる中、台頭するグローバルベンダーとの競争が激化しているユビキタスビジネスの体質強化を図ります。また分社化にあわせ、今後、市場拡大が期待できるIoT関連事業を強化するため、テレマティクスなどのMobility IoTやセンシングなどのユビキタスIoTなどのIoT関連テクノロジーや人材を新設したデジタルサービス部門に集約いたしました。
[国内インフラサービス事業]
上場子会社ニフティ株式会社(本社:東京都新宿区、以下、ニフティ)を完全子会社化するため、同社株式に対する公開買付けを2016年5月から6月の期間で実施しました。スマートデバイスやブロードバンドサービスの普及により、お客様のニーズが場所を選ばないインターネット利用へ移行するとともに、サービスのコモディティ化が進展するなどニフティを取り巻く事業環境が厳しくなっているため、事業の枠組みを早急に整理し、組織体制や経営戦略の再構築を迅速に実行してまいります。
完全子会社化後に、クラウド事業やデジタルサービス事業を中心とするエンタープライズ向け事業体と、ISP(Internet Services Provider)事業を中心とするコンシューマー向け事業体を別個に独立した会社とすることで、各事業体の特性にあった迅速な戦略を進めてまいります。エンタープライズ向け事業においては、当社との緊密な連携により更なる事業基盤の拡大を目指し、コンシューマー向け事業においては、当社及びニフティの経営資源を相互に有効活用しつつ、当該事業に対する知見を有する外部パートナーとの連携・アライアンスを含めた抜本的施策の実施により、収益性の追求とサービスの向上を目指します。
(2)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、国際会計基準(以下、IFRS)に準拠して作成しております。当社の連結財務諸表に適用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」をご参照下さい。
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営陣は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用に影響を与える判断、見積り及び仮定を必要としておりますが、実際の結果と異なる場合があります。また、見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した連結会計期間及び影響を受ける将来の連結会計期間において認識されます。現在の状況と将来の展望に関する仮定は、当社グループにとって制御不能な市場の変化又は状況により変化する可能性があります。こうした仮定の変更は、それが起きた時点で反映しております。経営陣は、以下の会計方針の適用における仮定及び見積りが、連結財務諸表に重要な影響を与えると考えております。
① 有形固定資産
有形固定資産の減価償却費は、事業ごとの実態に応じた回収期間を反映した見積耐用年数に基づき、主として定額法で算定しております。将来、技術革新等による設備の陳腐化や用途変更が発生した場合には、現在の見積耐用年数を短縮させる必要性が生じ、連結会計期間あたりの償却負担が増加する可能性があります。また、事業環境の急激な変化に伴う生産設備の遊休化や稼働率低下のほか、事業再編などにより、保有資産から得られる将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合には、減損損失が発生する可能性があります。
② のれん
のれんは、年次で、また、減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを行っております。のれんが配分された資金生成単位(Cash Generating Unit、以下、CGU)の回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、減損損失を認識しております。回収可能価額は主に使用価値により算定しております。使用価値は、割引キャッシュ・フロー・モデルにより算定しており、事業計画を基礎とした将来キャッシュ・フローのほか、成長率、各CGUが属するグループ企業の加重平均資本コストを基礎とした割引率等の仮定を使用しております。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、事業環境の変化等により見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。
③ 無形資産
ソフトウェアの減価償却について、市場販売目的のソフトウェアについては、見込有効期間における見込販売数量に基づいて償却しております。自社利用ソフトウェアやその他の無形資産のうち耐用年数を確定できるものは、利用可能期間に基づく定額法により償却しております。事業環境の変化等により、販売数量が当初販売計画を下回る場合や利用可能期間の見直しの結果、耐用年数を短縮させる場合には、連結会計期間あたりの償却負担が増加する可能性があります。
④ 繰延税金資産
法人所得税の算定に際しては、当社グループが事業活動を行う各国の税法規定の解釈や税法の改正、将来課税所得の金額及び時期など、様々な要因について合理的な見積り及び判断が必要になります。繰延税金資産は、未使用の税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産は連結会計期間末に見直し、一部又は全部の繰延税金資産の便益を実現させるだけの十分な課税所得を稼得する可能性が高くない場合は、繰延税金資産の計上額を減額しております。課税所得が生じる時期及び金額は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があります。また、税制改正により実効税率が変更された場合には、繰延税金資産の残高が増減する可能性があります。
⑤ 確定給付型退職給付制度
当社グループは、確定給付型もしくは確定拠出型の退職給付制度を設けております。確定給付型の退職給付制度の積立状況(確定給付制度債務から制度資産の公正価値を控除した金額)の変動額については、再測定した時点で、税効果を調整した上でその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素から直ちに利益剰余金に振り替えております。運用収益の悪化により制度資産の公正価値が減少した場合や、制度債務算出にあたっての種々の前提条件(割引率、退職率、死亡率等)が変更され制度債務が増加した場合には、積立状況が悪化し、資本が減少する可能性があります。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
文中において、当連結会計年度は当年度、前連結会計年度は前年度と、省略して記載しております。
<要約連結損益計算書>(億円)
(ご参考)財務指標 (億円)
(注1)EMEIA:欧州・中近東・インド・アフリカ
(注2)ROE :親会社の所有者に帰属する当期利益÷{(期首の親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)
+期末の親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本))÷2}
(ご参考)期中平均レート
① 売上収益
当年度の売上収益は4兆7,392億円と、ほぼ前年度並みとなりました。国内のシステムインテグレーションが伸長しましたが、ネットワークプロダクトやパソコンが国内外で減収になりました。国内のシステムインテグレ―ションは、メガバンクやクレジットリース向けを中心に金融分野が伸長したほか、マイナンバー商談の活性化により公共分野が伸長しました。このほか、産業やヘルスケア分野も堅調に推移しました。一方、ネットワークプロダクトでは、国内外で通信キャリア向けビジネスの厳しさが続いており、パソコンも法人のリプレース需要が低調で国内外ともに減収となり、出荷台数は前年度から約15%減の400万台に留まりました。
当年度の米国ドル、ユーロ及び英国ポンドの平均為替レートはそれぞれ120円、133円、181円と、前年度に比べて米国ドルが10円、英国ポンドが4円の円安、一方でユーロが6円の円高となりました。米国ドルとの為替レートの変動により約630億円、英国ポンドとの変動で約80億円売上収益が前年度比で各々増加し、一方ユーロとの為替レートの変動で約260億円売上収益が減少しております。この結果、当年度は為替レートの変動により前年度比で約450億円の売上収益の増加影響がありました。海外売上比率は40.0%と、前年度比0.4ポイント増加しました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費、その他の損益並びに営業利益
当年度の売上原価は3兆4,878億円で、売上総利益は1兆2,514億円、売上総利益率は前年度から0.6ポイント低下し、26.4%になりました。
販売費及び一般管理費は1兆871億円と、前年度比143億円減少しました。研究開発費については1,798億円と、前年度比228億円減少しました。ネットワークプロダクトやサーバ関連の次世代機種の開発がピークアウトしたほか、携帯電話の開発機種を絞り込んだ影響やシステムLSI(SoC:System on a Chip)の設計・開発事業を関連会社の株式会社ソシオネクスト(本社:神奈川県横浜市)に移管した影響がありました。研究開発費の売上収益に対する比率は3.8%となりました。
その他の損益は437億円の損失と、前年度比423億円悪化しました。当年度にEMEIA(欧州・中近東・インド・アフリカ)、北米など海外ビジネスやネットワークプロダクトの再編関連などのビジネスモデル変革費用を計上したことによります。
この結果、営業利益は1,206億円と、前年度比580億円の減益になりました。システムLSI(SoC:System on a Chip)の設計・開発事業を関連会社に移管した影響が△100億円、ビジネスモデル変革費用が△415億円、米国ドルに対するユーロ安の進行などによる為替影響が△200億円ありました。これら特殊要因や為替影響を除いたベースでは前年度比135億円の増益となりました。ネットワークプロダクトの下振れはありましたが、システムインテグレーションの増収効果や採算性改善に加えて、パソコン、携帯電話のコストダウンなどにより、全体としては前年度から改善しました。
営業利益率は2.5%と、前年度から1.3ポイント低下しました。
当年度は、為替レートの変動により前年度比で約200億円の営業利益の減少影響がありました。国内拠点での円貨に対する米国ドル及びユーロ、英国ポンドの営業利益への影響は軽微でした。円安によりパソコンや携帯電話などのプロダクト製品は米国ドル建部材の調達コストが上昇しましたが、LSIや電子部品は米国ドル建の輸出売上が増加して、ほぼ相殺されるため全体としての影響は軽微でした。当年度の為替レートが1円変動した場合の営業利益への影響額は、米国ドルが約1億円、ユーロが約1億円、英国ポンドが約1億円となりました。一方、一部の欧州拠点では、米国ドルに対しユーロ安が進行した場合、米国ドル建の部材調達コストが上昇し、営業利益が悪化する影響がありました。当年度のユーロ/米ドルの為替レートが0.01変動した場合の営業利益への影響額は約15億円となりました。当社グループは引き続き、コストダウンや販売価格への転嫁などに加えて、欧州の製造・物流拠点の効率化など、為替変動による損益影響を極力低減すべく努めてまいります。
③ 金融損益、持分法による投資利益及び税引前利益
金融収益と金融費用をあわせた金融損益は72億円の損失と、前年度比189億円の悪化となりました。期末の急速な米国ドルに対する円高進行に伴い為替差損が発生したことなどによります。一方、持分法による投資利益は184億円と、前年度比99億円の増益になりました。システムLSI(SoC:System on a Chip)の設計・開発事業を関連会社へ移管した影響があったほか、中国の深圳証券取引所に上場している関連会社の公募増資に伴い持分変動利益を計上したことによります。
税引前利益は1,318億円と、営業利益の減少などにより前年度比670億円の減益となりました。
④ 法人所得税費用、当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益
当期利益は904億円と、前年度比545億円の減益となりました。当期利益のうち、親会社の所有者に帰属する当期利益は867億円と、前年度比532億円の減益となりました。一方、法人所得税費用は414億円と、前年度比124億円減少しました。また、当期利益のうち非支配持分に帰属する金額は36億円と、前年度比13億円減少しました。
当社グループは、収益性や事業における投下資本の運用効率を経営上の重要な指針としております。親会社の所有者に帰属する当期利益を親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)で除して算定したROEは11.0%となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益が前年度より大きく減少しましたが、従業員の確定給付制度に係る積立不足額について税効果を調整した上で自己資本から3,498億円を控除していることにより自己資本が低い水準に留まっていることもあり、ROEが10%を超える水準となっております。
⑤ 税引後その他の包括利益及び当期包括利益
税引後その他の包括利益は848億円のマイナスとなりました。金利低下に伴う割引率の引下げにより確定給付型の退職給付債務が増加した影響を受け、確定給付制度の再測定額が489億円のマイナスとなったほか、英国ポンドや米国ドルに対して円高が進行したことにより在外営業活動体の換算差額が187億円のマイナス、株価下落により売却可能金融資産が135億円のマイナスとなりました。
当期利益と税引後その他の包括利益をあわせた当期包括利益は55億円となりました。当期包括利益のうち、親会社の所有者に帰属する当期包括利益は88億円、非支配持分に帰属する当期包括利益は33億円のマイナスとなりました。
⑥ セグメント情報
当社グループは、経営組織の形態、製品・サービスの特性及び販売市場の類似性に基づき、複数の事業セグメントを集約した上で、「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューション」の3つを報告セグメントとしております。また、報告セグメントに含まれない事業セグメントとして、次世代スーパーコンピュータ事業、次世代クラウド事業、当社グループ会社向け情報システム開発・ファシリティサービス事業及び当社グループ従業員向け福利厚生事業等を「その他」の区分に含めて表示しております。
当年度のセグメント別の売上収益(セグメント間の内部売上収益を含む)及び営業利益は以下のとおりであります。
(億円)
a テクノロジーソリューション
「テクノロジーソリューション」は、プロダクト・ソフトウェア・サービスが一体となった総合的なサービスをお客様に最適な形で提供しております。情報通信システム構築などを行うソリューション/SI、クラウドサービスやアウトソーシング、保守サービスを中心とするインフラサービス、ICTの基盤となる、サーバやストレージシステムなどのシステムプロダクトと携帯電話基地局や光伝送システムなどの通信インフラを提供するネットワークプロダクトにより構成されております。
売上収益は3兆2,833億円と、前年度比0.6%の減収になりました。国内はほぼ前年度並みとなりました。システムインテグレーションが金融や公共分野向けを中心に顧客の投資拡大により増収となり、インフラサービスもアウトソーシングを中心に増収となりましたが、ネットワークプロダクトが通信キャリアの投資抑制の継続により携帯電話基地局、光伝送システムともに減収となりました。またサーバ関連もPCサーバは伸長したものの、大型システム商談の減少によりメインフレーム関連を中心に減収となりました。海外は1.9%の減収になりました。欧州向けのPCサーバが伸長したものの、北米向け光伝送システムが、通信キャリアの当社関連セグメントに対する投資抑制が続いたことにより減収になりました。また、英国のインフラサービスが大型商談の端境期にあったほか、米国のインフラサービスも低調に推移しました。
営業利益は1,862億円と、前年度比362億円の減益になりました。ビジネスモデル変革費用359億円(うち、EMEIA(欧州・中近東・インド・アフリカ)、北米など海外ビジネス関連307億円、ネットワーク再編関連51億円)を計上したほか、米国ドルに対するユーロ安の進行により欧州拠点を中心にサーバなどで部材コストが上昇した影響が100億円ありました。ビジネスモデル変革費用及び為替影響を除いたベースでは、前年度比約100億円の増益になりました。ネットワークプロダクトの減収影響はありましたが、システムインテグレーションの増収効果や採算性改善がありました。
当社と富士通エフ・アイ・ピー株式会社(本社:東京都江東区、以下、FIP)は、データセンターサービス事業の効率化と運用品質の向上を目指し、2015年4月に組織統合・再編を実施しました。当社及びFIPがそれぞれ行っていたサービスデリバリー機能やサービスとツール開発機能をFIPに統合し、ファシリティの計画と管理機能を当社に統合しました。最適なリソース配置やコストダウンを図りながら、従来、当社とFIPが各々で行っていたデータセンター事業を、ファシリティ及びネットワーク、ICT機器、インフラ運用を一つのプラットフォームとして提供するビジネスモデルに転換しました。
b ユビキタスソリューション
「ユビキタスソリューション」は、当社グループが実現を目指す「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」(テクノロジーの力で実現される、より安全で、豊かな、持続可能な社会)において、人や組織の行動パターンから生み出される様々な情報や知識を収集・活用するユビキタス端末あるいはセンサーとして、パソコン/携帯電話のほか、オーディオ・ナビゲーション機器や移動通信機器、自動車用電子機器により構成されております。
売上収益は1兆409億円と、前年度比2.1%の減収になりました。国内は3.8%の減収となりました。パソコンは法人のリプレース需要が低調で減収となりました。携帯電話の出荷台数は、スマートフォンを中心に台数ベースでは前年度から増加しましたが、製品ミックスの変動などで金額ベースではほぼ前年度並みになりました。海外は1.4%の増収になりました。パソコンは国内同様、法人需要が低調で減収となりましたが、モバイルウェアが欧州、北米向けで増収になりました。
営業利益は76億円の損失と、前年度比164億円の悪化となりました。パソコンは減収影響に加え、米国ドルに対するユーロ安の進行により欧州拠点を中心に部材調達コストが上昇した影響があり、前年度比で大幅に悪化しました。携帯電話は、上半期に一部機種で発生した不具合の対策費用の負担や部材調達コストの上昇影響に対し開発効率化やコストダウンを進めましたが、吸収しきれず若干の赤字が残りました。また、パソコン・携帯電話事業に係るビジネスモデル変革費用56億円を計上しました。
c デバイスソリューション
「デバイスソリューション」は、最先端テクノロジーとして携帯電話やデジタル家電、自動車、サーバなどに搭載されるLSIのほか、半導体パッケージ、電池をはじめとする電子部品により構成されております。
売上収益は6,039億円と、前年度比1.4%の増収になりました。システムLSI(SoC:System on a Chip)の設計・開発事業を関連会社に移管した影響やスマートフォン、パソコン向けで所要が低迷した影響がありましたが、LSI、電子部品ともに上半期を中心に米国ドルに対する円安進行によりドル建て売上が増加しました。
営業利益は303億円と、前年度比65億円の減益になりました。システムLSIの設計・開発事業を関連会社に移管した影響がありました。
2015年12月にファウンドリ専業会社の三重富士通セミコンダクター株式会社に台湾ユナイテッド・マイクロエレクトロニクス・コーポレーション(UMC)が当初計画通り、追加出資を行いました。当該出資によりUMCの持分比率は15.9%となりました。今後とも、戦略パートナーである同社との関係を深めてコスト競争力を高め安定化を図ってまいります。
d その他及び消去又は全社
「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、次世代スーパーコンピュータ事業、次世代クラウド事業、当社グループ会社向け情報システム開発・ファシリティサービス事業及び当社グループ従業員向け福利厚生事業等が含まれております。
また、事業セグメントとして識別されないものは、基礎的試験研究等の戦略費用及び親会社におけるグループ経営に係る共通費用であります。
営業利益は883億円の損失と、前年度比11億円の改善となりました。IoT(Internet of Things)の活用基盤としての次世代クラウドを中心に戦略投資を拡大しましたが、経費の効率化を進めたほか、係争案件の和解による見積費用の一時的な減少影響がありました。
⑦ 所在地別の損益情報
当社グループは、成長市場である海外における売上収益の拡大と収益力向上を経営上の重要な課題の1つであると考えております。所在地別の損益情報は当社グループの事業管理において重要な項目であるとともに、株主、投資家の皆様に当社グループの損益概況をご理解頂くための有益な情報であると考えております。
(億円)
a 日本
売上収益は3兆3,665億円と、ほぼ前年度並みになりました。システムインテグレーションが金融や公共分野を中心に顧客の投資拡大による増収となり、インフラサービスも増収となりましたが、ネットワークプロダクトが通信キャリアの投資抑制の継続により減収となったほか、パソコンや携帯電話が減収となりました。営業利益は2,028億円と、前年度比321億円の減益になりました。システムインテグレーションの増収効果や利益率改善はありましたが、ネットワークプロダクトやパソコンの減収影響があったほか、ネットワーク、パソコン・携帯電話事業でビジネスモデル変革費用を計上したことなどによります。
b EMEIA(欧州・中近東・インド・アフリカ)
売上収益は9,635億円と、前年度比2.6%の減収になりました。英国のインフラサービスが大型商談の端境期にあり減収となったほか、欧州拠点でのパソコンの販売台数が減少しました。営業利益は15億円の損失と、前年度比259億円の悪化となりました。EMEIA全体の営業・デリバリー体制をサービス化に対応した体制に変更するとともにプロダクトビジネスのコスト競争力を強化するためのビジネスモデル変革費用を217億円計上したほか、パソコンを中心に、ユーロ安に伴う米国ドル建ての部材調達コストが上昇した影響を受けました。
c アメリカ
売上収益は4,219億円と、前年度比4.2%の増収になりました。光伝送システムが顧客の投資抑制の影響を受けましたが、オーディオ・ナビゲーション機器が伸長したほか、為替影響もあり増収となりました。営業利益は13億円のマイナスと、前年度比62億円の悪化となりました。マネージド・インフラサービス関連設備の減損損失などビジネスモデル変革費用96億円を計上したことなどによります。北米のマネージド・インフラサービス事業については、成長性や効率性を高めるため、データセンターに顧客IT資産を引き受ける従来型のマネージドサービスから、当社が開発・提供する新しいクラウド基盤とコンサルティングサービスを一体運営したクラウドサービスの比重を高めるなどビジネスモデルの変革を進めております。
d アジア
売上収益は4,663億円と、前年度比8.6%の増収になりました。インフラサービスを中心に増収となりました。営業利益は95億円と、前年度比20億円の増益になりました。増収効果などによります。
e オセアニア
売上収益は 1,039億円と、前年度比8.3%の減収になりました。インフラサービスを中心に減収となりました。営業利益は26億円と、前年度比4億円の減益になりました。減収影響などによります。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資産、負債及び資本の状況
<要約連結財政状態計算書>(億円)
(注)有利子負債 :社債、借入金及びリース債務
ネット有利子負債 :有利子負債-現金及び現金同等物
(ご参考)財務指標 (億円)
(注)自己資本比率 :親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)÷資産合計
D/Eレシオ :有利子負債÷親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)
ネットD/Eレシオ :(有利子負債-現金及び現金同等物)÷親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)
(ご参考)確定給付型退職給付制度の状況 (億円)
当年度末の資産合計は3兆2,263億円と、前年度末から448億円減少しました。流動資産は1兆8,438億円と、前年度末から438億円減少しました。第4四半期の売上収益が前年同期より減少したことにより、売上債権が減少しました。棚卸資産は2,988億円と、前年度末から150億円減少しました。パソコンや携帯電話、海外インフラサービス事業を中心に減少しました。非流動資産は1兆3,824億円と、前年度末から10億円減少しました。金利低下に伴う割引率引下げにより国内従業員に係る確定給付型の退職給付債務が増加し積立状況(未積立債務)が悪化した結果、未積立債務に係る繰延税金資産が増加した一方、ビジネスモデル変革の一環として北米のマネージド・インフラサービス関連設備などで減損損失96億円を計上したことなどにより有形固定資産が減少しました。
負債合計は2兆3,000億円と、前年度末から366億円減少しました。流動負債は1兆4,470億円と、前年度末から762億円減少しました。仕入債務が減少したほか、当社グループ内での欧州地域から北米地域への資金融通により北米子会社で短期借入金の返済を進めた影響がありました。非流動負債は8,530億円と、前年度末から396億円増加しました。金利低下に伴う割引率引下げにより国内従業員に係る確定給付型退職給付制度債務が増加し、積立状況が悪化したことにより退職給付に係る負債が増加しました。社債、借入金及びリース債務をあわせた有利子負債は5,349億円と、前年度末から435億円減少しました。普通社債700億円を償還した一方、社債償還資金の一部に充当するため普通社債300億円を発行しました。D/Eレシオは0.68倍と、前年度末より0.05ポイント減少し、ネットD/Eレシオは0.20倍と前年度末より0.07ポイント減少しました。
資本合計は9,262億円と、前年度末から81億円減少しました。利益剰余金は1,559億円と、前年度末から251億円増加しました。当期利益867億円の計上により増加しましたが、確定給付制度の積立状況が悪化したことによる減少影響が450億円ありました。また、その他の資本の構成要素は689億円と前年度末から328億円減少しました。英国ポンドや米国ドルに対し円高が進行したことにより在外営業活動体の換算差額が減少したほか、株価下落により売却可能金融資産の利得が減少したことによります。親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)は7,827億円となりました。親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は24.3%と、前年度末から0.1ポイント増加しました。当社グループは、財務の健全性を示す自己資本比率を経営上の重要な指針としております。従業員の退職給付に係る積立不足額について税効果を調整した上で自己資本から3,498億円控除していることにより、自己資本が低い水準に留まっております。
当社グループは、中期目標として自己資本比率40%を掲げております。ビジネスモデルの変革により収益性を高め自己資本を充実させることにより、財務の健全性を高めてまいります。
従業員の確定給付型退職給付制度の退職給付債務は2兆4,342億円と、前年度末から501億円減少しました。国内制度に係る退職給付債務が割引率引下げに伴い増加しましたが、国内の一部グループ会社が確定拠出型(DC)制度へ移行した影響があったほか、英国制度に係る退職給付債務が円に対してポンド安が進行した影響を受け減少しました。年金資産は2兆745億円と前年度末からは1,062億円減少しました。英国制度に係る年金資産が円に対してポンド安が進行した影響を受けて減少したほか、国内制度に係る年金資産の運用が悪化した影響がありました。この結果、確定給付型退職給付制度の積立状況(退職給付債務から年金資産を控除した金額)は3,596億円の不足と、前年度末から561億円悪化しました。また、確定給付型の退職給付制度の積立状況は、再測定した時点で税効果を調整した上でその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素から直ちに利益剰余金に振り替えておりますが、当年度末の利益剰余金からの控除額は前年度末から450億円増加しました。
② キャッシュ・フローの状況
<要約連結キャッシュ・フロー計算書>(億円)
(ご参考)財務指標
(注)キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業活動によるキャッシュ・フロー÷支払利息
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2,530億円のプラスと、前年度からは270億円の収入減となりました。運転資本は改善しましたが、税引前利益の悪化や前年度には国内子会社からの配当金に係る源泉所得税の還付が約260億円あったことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは1,643億円のマイナスとなりました。データセンター関連設備を中心とした有形固定資産の取得やソフトウェアを中心とした無形資産の取得で1,897億円支出しました。資金運用目的の定期預金の満期による収入や、資産の一部売却があったことなどにより、前年度からは361億円の支出減となりました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは887億円のプラスと、前年度からは91億円の収入増となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは677億円のマイナスとなりました。社債700億円を償還した一方、社債償還資金の一部に充当するため普通社債300億円を発行しました。また、当社株主への配当金の支払165億円のほか、リース債務の支払156億円がありました。前年度からは社債の償還などにより504億円の支出増となりました。
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は前年度末から187億円増加し、3,808億円となりました。
当社グループは、資金需要に応じた効率的な資金調達を確保するため、手許流動性を適切な水準に維持することを財務活動上の重要な指針としております。手許流動性は、現金及び現金同等物と、複数の金融機関との間で締結したコミットメントライン契約に基づく融資枠のうち未使用枠残高の合計額であります。当年度末の手許流動性は5,790億円で、現金及び現金同等物を3,808億円、コミットメントライン未使用枠を1,982億円保有しております。
当社は、グローバルに資本市場から資金調達するため、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(以下、ムーディーズ)、スタンダード&プアーズ(以下、S&P)及び株式会社格付投資情報センター(以下、R&I)から債券格付けを取得しております。当年度末現在における格付け(長期/短期)は前年度末から変更なく、ムーディーズ:A3(長期)、S&P:BBB+(長期)、R&I :A(長期)/a-1(短期)であります。
③ 設備投資(有形固定資産)
当年度の設備投資額は、前年度から153億円増の1,560億円になりました。テクノロジーソリューションでは、IoT(Internet of Things)やクラウドサービスを加速させる中核拠点である館林システムセンター(群馬県館林市)の新棟建設などを中心に808億円(前年度比19.6%増)を投資しました。ユビキタスソリューションでは、モバイルウェアの製造及び設計開発設備の増強などに95億円(前年度比20.3%減)を投資しました。デバイスソリューションでは、LSIの製造設備のほか、電子部品のうち半導体パッケージの製造設備などに556億円(前年度0.3%減)を投資しました。上記セグメント以外では100億円の設備投資を行いました。
(1)当社グループの課題及び取り組み
① 中期目標
当社グループはICT(Information and Communication Technology)分野で、各種サービスを提供するとともに、これらを支える最先端、高性能かつ高品質のハードウェア・ソフトウェア製品の開発、製造、販売から保守運用までを総合的に提供するトータルソリューションビジネスを提供しております。
当社グループを取り巻く事業環境は、国内を中心とした堅調なICT市場を背景に安定的な成長が見込めるとともにデジタルテクノロジーの広まりにより大きなビジネスチャンスが生まれる一方で、欧米や新たに台頭した新興国のグローバル・プレーヤーとの競争激化が避けられない状況にあります。
これまで当社グループは、3つの事業セグメント(注1)「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューション」を軸に垂直統合型のビジネスを展開してきましたが、IoT(注2)が進化する市場でグローバルに競争力を高めることを目的に、2015年10月に新たな経営方針を発表し、当社グループが優位性を持つ「テクノロジーソリューション」に経営資源を集中させることにしました。
当社グループは、(ⅰ)システムインテグレーション/アウトソーシング/保守サービスによって蓄積されたノウハウや、(ⅱ)クラウド/ミドルウェアなどの豊富なソフトウェア、(ⅲ)ソフトウェア化(注3)されたサーバ/ストレージ/ネットワークといったコアハード、を統合したワンストップサービスである「つながるサービス」へのシフトを進めながら、ICTがもたらす「デジタル・イノベーション」と、これらをグローバルに拡大する「グローバル・プレゼンス」のそれぞれの分野における成長を経営課題と位置付け、持続的成長に向けた「ビジネスモデル変革」に取り組んでおります。お客様への深化と持続的成長に必要となる高度なIoT技術を当社で醸成しつつ、「ユビキタスソリューション」、「デバイスソリューション」のように、より機動性が求められる事業については、グループ会社として独立させ、単独でも競争に勝ち抜ける製品開発とビジネス展開を追求できる体制へと変革を進めております。
(注1)「テクノロジーソリューション」は、プロダクト・ソフトウェア・サービスが一体となった総合的なサービスを主として法人のお客様に最適な形で提供しております。情報通信システム構築などを行うソリューション/SI、アウトソーシングや保守サービスを中心とするインフラサービス、ICTの基盤となるサーバやストレージなどのシステムプロダクトと携帯電話基地局や光伝送システムなどの通信インフラを提供するネットワークプロダクトにより構成されております。
「ユビキタスソリューション」は、スマートフォン連携や省電力、高速起動などの機能強化を図ったパソコン、「arrows」、「STYLISTIC」ブランドで展開するスマートフォン・タブレット端末に加え従来のフィーチャーフォンを含む携帯電話のほか、オーディオ・ナビゲーション機器や移動通信機器、自動車用電子機器により構成されております。
「デバイスソリューション」は、最先端テクノロジーとして、携帯電話やデジタル家電、自動車、サーバなどに搭載されるLSIのほか、半導体パッケージ、電池をはじめとする電子部品により構成されております。
(注2) Internet of Thingsの略。パソコンやサーバなどに留まらず、様々な物がインターネットに接続され、情報交換するしくみ。
(注3) ハードウェアの構成や機能をソフトウェアで制御・提供することでサービスやシステムが環境の変化に応じて、より迅速で柔軟に対応することが可能になります。
2015年10月に、当社グループは経営目標として(ⅰ)営業利益率10%以上、(ⅱ)フリー・キャッシュ・フロー1,500億円以上、(ⅲ)自己資本比率40%以上、(ⅳ)海外売上比率50%以上を設定しました。「ビジネスモデル変革」を通じて、当社グループの形と質を転換し真のサービス企業に変質することにより、さらなる成長を確実に進めてまいります。
② 当年度の取り組み
当年度は「ビジネスモデル変革」の実行及びグローバルでのビジネス拡大に向けて事業体制の再編・強化を進めました。また、「ビジネスモデル変革」の一環として、EMEIA(欧州・中近東・インド・アフリカ)や北米ビジネスなどの海外事業のほか、ネットワーク事業、パソコン・携帯電話事業を中心にフォーメーションを見直しました。
[事業体制の再編・強化]
2015年10月に、日本の強いデリバリー能力を活用してアジアビジネスの成長を加速させるため、日本とアジアの営業体制を一体化した「One Asia」体制をスタートさせました。また、2014年にスタートさせたグローバルマトリクス体制をさらに進化させるため、グローバルデリバリーセンター(GDC)の拡充を進めております。各リージョンがGDCのリソースを柔軟に活用できるようにし、大幅なコスト効率化を図るため、GDCの要員を現在の5,000人から2017年度までに18,000人規模に増員いたします。
2016年4月には、新たな成長領域であるデジタル・イノベーションのビジネス拡大に向け、コアテクノロジー分野であるIoT/クラウド/モバイル/ビッグデータ関連事業部を集約したデジタルサービス部門を設立しました。また、サービスビジネスにおける最大の資産である日本のIP/サービス資産をグローバルに最大限に活用するため、インテグレーションサービス部門とグローバルデリバリー部門を統合再編したグローバルサービスインテグレーション部門を設立しました。
[海外事業]
当社グループの海外ビジネスの中核となるEMEIAビジネスについては、サービスを基軸としたビジネスモデルに変革することにより、さらなる利益成長を目指しております。ビジネス全体のサービス化を進めるとともに、プロダクトオペレーションにおいても体質強化を図っております。
サービスへのビジネスモデルシフトに向けて、EMEIA全体でサービス提供機能を統合しました。EMEIAは4つの地域的なサブリージョン、「UK&I」、「Central Europe」、「Nordic」、「Western Europe、Middle East、India and Africa」に分けていましたが、それらを統合して、営業軸及びサービス軸、プラットフォーム軸に再編しました。また、あわせてデジタル化に向けたサービス専門営業の増強やEMEIA共通部門の効率化も進めております。
EMEIAにおけるプロダクトビジネスについては、米国ドル高/ユーロ安の進行・常態化に伴い、米国ドル建て部材を中心に為替影響を大きく受けましたが、為替影響を極小化するためには、ビジネス構造の転換が必要だと考えております。また、PCサーバ市場等はクラウド化の進展に伴い、新しい競合が台頭するなど競争が激化しているため、よりグローバルな効率・一貫性を重視した開発体制にシフトすることが急務となっておりました。コスト競争力を強化し利益率を向上させるため、日本に中核開発拠点を集約する一環として欧州開発拠点の閉鎖を進めるとともに、固定費削減の観点から製造・物流拠点の効率化を進めました。
[ネットワーク事業]
ネットワーク事業においては安定的に利益を計上しておりますが、通信キャリアの投資がよりサービスへシフトし、ネットワーク自動化(ソフトウェア化)が加速するなど、事業環境が大きく変化しております。このような環境下、機能集中によるコスト競争力強化、ネットワーク仮想化へのさらなる展開、IoT時代に向けたネットワーク利用者の多種多様なニーズに対応する新しいサービスの創出などを加速していくために、従来の製品毎の事業体制から機能別の事業体制に再編を進めております。
2015年10月に、ネットワーク基盤に関する先進技術を活用した製品開発力と付加価値の高いネットワークソリューションの提供を一層強化するため、分散していたネットワーク事業の営業、開発機能を当社に統合しました。また、生産性及び投資効率のさらなる向上を図るため製造機能を統合し、小山工場(栃木県小山市)をマザー工場とする製造体制としました。
[パソコン・携帯電話事業]
独立した事業とすることで経営責任を明確化にして経営判断の迅速化と徹底した効率化を追求するため、2016年2月に、パソコン及び携帯電話に関する事業をそれぞれ独立事業として分社化しました。年々コモディティ化が進み商品の差別化が困難となる中、台頭するグローバルベンダーとの競争が激化しているユビキタスビジネスの体質強化を図ります。また分社化にあわせ、今後、市場拡大が期待できるIoT関連事業を強化するため、テレマティクスなどのMobility IoTやセンシングなどのユビキタスIoTなどのIoT関連テクノロジーや人材を新設したデジタルサービス部門に集約いたしました。
[国内インフラサービス事業]
上場子会社ニフティ株式会社(本社:東京都新宿区、以下、ニフティ)を完全子会社化するため、同社株式に対する公開買付けを2016年5月から6月の期間で実施しました。スマートデバイスやブロードバンドサービスの普及により、お客様のニーズが場所を選ばないインターネット利用へ移行するとともに、サービスのコモディティ化が進展するなどニフティを取り巻く事業環境が厳しくなっているため、事業の枠組みを早急に整理し、組織体制や経営戦略の再構築を迅速に実行してまいります。
完全子会社化後に、クラウド事業やデジタルサービス事業を中心とするエンタープライズ向け事業体と、ISP(Internet Services Provider)事業を中心とするコンシューマー向け事業体を別個に独立した会社とすることで、各事業体の特性にあった迅速な戦略を進めてまいります。エンタープライズ向け事業においては、当社との緊密な連携により更なる事業基盤の拡大を目指し、コンシューマー向け事業においては、当社及びニフティの経営資源を相互に有効活用しつつ、当該事業に対する知見を有する外部パートナーとの連携・アライアンスを含めた抜本的施策の実施により、収益性の追求とサービスの向上を目指します。
(2)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、国際会計基準(以下、IFRS)に準拠して作成しております。当社の連結財務諸表に適用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」をご参照下さい。
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営陣は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用に影響を与える判断、見積り及び仮定を必要としておりますが、実際の結果と異なる場合があります。また、見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されます。会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した連結会計期間及び影響を受ける将来の連結会計期間において認識されます。現在の状況と将来の展望に関する仮定は、当社グループにとって制御不能な市場の変化又は状況により変化する可能性があります。こうした仮定の変更は、それが起きた時点で反映しております。経営陣は、以下の会計方針の適用における仮定及び見積りが、連結財務諸表に重要な影響を与えると考えております。
① 有形固定資産
有形固定資産の減価償却費は、事業ごとの実態に応じた回収期間を反映した見積耐用年数に基づき、主として定額法で算定しております。将来、技術革新等による設備の陳腐化や用途変更が発生した場合には、現在の見積耐用年数を短縮させる必要性が生じ、連結会計期間あたりの償却負担が増加する可能性があります。また、事業環境の急激な変化に伴う生産設備の遊休化や稼働率低下のほか、事業再編などにより、保有資産から得られる将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合には、減損損失が発生する可能性があります。
② のれん
のれんは、年次で、また、減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを行っております。のれんが配分された資金生成単位(Cash Generating Unit、以下、CGU)の回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、減損損失を認識しております。回収可能価額は主に使用価値により算定しております。使用価値は、割引キャッシュ・フロー・モデルにより算定しており、事業計画を基礎とした将来キャッシュ・フローのほか、成長率、各CGUが属するグループ企業の加重平均資本コストを基礎とした割引率等の仮定を使用しております。これらの仮定は、経営者の最善の見積りと判断により決定しておりますが、事業環境の変化等により見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。
③ 無形資産
ソフトウェアの減価償却について、市場販売目的のソフトウェアについては、見込有効期間における見込販売数量に基づいて償却しております。自社利用ソフトウェアやその他の無形資産のうち耐用年数を確定できるものは、利用可能期間に基づく定額法により償却しております。事業環境の変化等により、販売数量が当初販売計画を下回る場合や利用可能期間の見直しの結果、耐用年数を短縮させる場合には、連結会計期間あたりの償却負担が増加する可能性があります。
④ 繰延税金資産
法人所得税の算定に際しては、当社グループが事業活動を行う各国の税法規定の解釈や税法の改正、将来課税所得の金額及び時期など、様々な要因について合理的な見積り及び判断が必要になります。繰延税金資産は、未使用の税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産は連結会計期間末に見直し、一部又は全部の繰延税金資産の便益を実現させるだけの十分な課税所得を稼得する可能性が高くない場合は、繰延税金資産の計上額を減額しております。課税所得が生じる時期及び金額は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があります。また、税制改正により実効税率が変更された場合には、繰延税金資産の残高が増減する可能性があります。
⑤ 確定給付型退職給付制度
当社グループは、確定給付型もしくは確定拠出型の退職給付制度を設けております。確定給付型の退職給付制度の積立状況(確定給付制度債務から制度資産の公正価値を控除した金額)の変動額については、再測定した時点で、税効果を調整した上でその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素から直ちに利益剰余金に振り替えております。運用収益の悪化により制度資産の公正価値が減少した場合や、制度債務算出にあたっての種々の前提条件(割引率、退職率、死亡率等)が変更され制度債務が増加した場合には、積立状況が悪化し、資本が減少する可能性があります。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
文中において、当連結会計年度は当年度、前連結会計年度は前年度と、省略して記載しております。
<要約連結損益計算書>(億円)
| 前年度 (自 2014年4月 1日 至 2015年3月31日) | 当年度 (自 2015年4月 1日 至 2016年3月31日) | 前年度比 | 増減率 (%) | ||
| 売上収益 | 47,532 | 47,392 | △139 | △0.3 | |
| 売上原価 | △34,717 | △34,878 | △161 | 0.5 | |
| 売上総利益 | 12,814 | 12,514 | △300 | △2.3 | |
| 販売費及び一般管理費 | △11,014 | △10,871 | 143 | △1.3 | |
| その他の損益 | △13 | △437 | △423 | - | |
| 営業利益 | 1,786 | 1,206 | △580 | △32.5 | |
| 金融損益 | 117 | △72 | △189 | - | |
| 持分法による投資利益 | 84 | 184 | 99 | 117.3 | |
| 税引前利益 | 1,988 | 1,318 | △670 | △33.7 | |
| 法人所得税費用 | △538 | △414 | 124 | △23.1 | |
| 当期利益 | 1,450 | 904 | △545 | △37.6 | |
| [当期利益の帰属] | |||||
| 親会社の所有者 | 1,400 | 867 | △532 | △38.0 | |
| 非支配持分 | 49 | 36 | △13 | △26.6 |
(ご参考)財務指標 (億円)
| 前年度 (自 2014年4月 1日 至 2015年3月31日) | 当年度 (自 2015年4月 1日 至 2016年3月31日) | 前年度比 | ||
| 海外売上比率 | 39.6% | 40.0% | 0.4% | |
| EMEIA(注1) | 9,906 | 9,520 | △386 | |
| アメリカ | 3,920 | 4,204 | 283 | |
| アジア | 3,871 | 4,210 | 339 | |
| オセアニア | 1,100 | 1,006 | △94 | |
| 顧客所在地別海外売上収益 | 18,799 | 18,942 | 142 | |
| 売上総利益率 | 27.0% | 26.4% | △0.6% | |
| 営業利益率 | 3.8% | 2.5% | △1.3% | |
| ROE(注2) | 20.6% | 11.0% | △9.6% |
(注1)EMEIA:欧州・中近東・インド・アフリカ
(注2)ROE :親会社の所有者に帰属する当期利益÷{(期首の親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)
+期末の親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本))÷2}
(ご参考)期中平均レート
| 前年度 (自 2014年4月 1日 至 2015年3月31日) | 当年度 (自 2015年4月 1日 至 2016年3月31日) | 前年度比 | ||
| 米国ドル/円 | 110円 | 120円 | 10円 | |
| ユーロ/円 | 139円 | 133円 | △6円 | |
| 英国ポンド/円 | 177円 | 181円 | 4円 | |
| ユーロ/米国ドル | 1.28ドル | 1.11ドル | △0.17ドル |
① 売上収益
当年度の売上収益は4兆7,392億円と、ほぼ前年度並みとなりました。国内のシステムインテグレーションが伸長しましたが、ネットワークプロダクトやパソコンが国内外で減収になりました。国内のシステムインテグレ―ションは、メガバンクやクレジットリース向けを中心に金融分野が伸長したほか、マイナンバー商談の活性化により公共分野が伸長しました。このほか、産業やヘルスケア分野も堅調に推移しました。一方、ネットワークプロダクトでは、国内外で通信キャリア向けビジネスの厳しさが続いており、パソコンも法人のリプレース需要が低調で国内外ともに減収となり、出荷台数は前年度から約15%減の400万台に留まりました。
当年度の米国ドル、ユーロ及び英国ポンドの平均為替レートはそれぞれ120円、133円、181円と、前年度に比べて米国ドルが10円、英国ポンドが4円の円安、一方でユーロが6円の円高となりました。米国ドルとの為替レートの変動により約630億円、英国ポンドとの変動で約80億円売上収益が前年度比で各々増加し、一方ユーロとの為替レートの変動で約260億円売上収益が減少しております。この結果、当年度は為替レートの変動により前年度比で約450億円の売上収益の増加影響がありました。海外売上比率は40.0%と、前年度比0.4ポイント増加しました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費、その他の損益並びに営業利益
当年度の売上原価は3兆4,878億円で、売上総利益は1兆2,514億円、売上総利益率は前年度から0.6ポイント低下し、26.4%になりました。
販売費及び一般管理費は1兆871億円と、前年度比143億円減少しました。研究開発費については1,798億円と、前年度比228億円減少しました。ネットワークプロダクトやサーバ関連の次世代機種の開発がピークアウトしたほか、携帯電話の開発機種を絞り込んだ影響やシステムLSI(SoC:System on a Chip)の設計・開発事業を関連会社の株式会社ソシオネクスト(本社:神奈川県横浜市)に移管した影響がありました。研究開発費の売上収益に対する比率は3.8%となりました。
その他の損益は437億円の損失と、前年度比423億円悪化しました。当年度にEMEIA(欧州・中近東・インド・アフリカ)、北米など海外ビジネスやネットワークプロダクトの再編関連などのビジネスモデル変革費用を計上したことによります。
この結果、営業利益は1,206億円と、前年度比580億円の減益になりました。システムLSI(SoC:System on a Chip)の設計・開発事業を関連会社に移管した影響が△100億円、ビジネスモデル変革費用が△415億円、米国ドルに対するユーロ安の進行などによる為替影響が△200億円ありました。これら特殊要因や為替影響を除いたベースでは前年度比135億円の増益となりました。ネットワークプロダクトの下振れはありましたが、システムインテグレーションの増収効果や採算性改善に加えて、パソコン、携帯電話のコストダウンなどにより、全体としては前年度から改善しました。
営業利益率は2.5%と、前年度から1.3ポイント低下しました。
当年度は、為替レートの変動により前年度比で約200億円の営業利益の減少影響がありました。国内拠点での円貨に対する米国ドル及びユーロ、英国ポンドの営業利益への影響は軽微でした。円安によりパソコンや携帯電話などのプロダクト製品は米国ドル建部材の調達コストが上昇しましたが、LSIや電子部品は米国ドル建の輸出売上が増加して、ほぼ相殺されるため全体としての影響は軽微でした。当年度の為替レートが1円変動した場合の営業利益への影響額は、米国ドルが約1億円、ユーロが約1億円、英国ポンドが約1億円となりました。一方、一部の欧州拠点では、米国ドルに対しユーロ安が進行した場合、米国ドル建の部材調達コストが上昇し、営業利益が悪化する影響がありました。当年度のユーロ/米ドルの為替レートが0.01変動した場合の営業利益への影響額は約15億円となりました。当社グループは引き続き、コストダウンや販売価格への転嫁などに加えて、欧州の製造・物流拠点の効率化など、為替変動による損益影響を極力低減すべく努めてまいります。
③ 金融損益、持分法による投資利益及び税引前利益
金融収益と金融費用をあわせた金融損益は72億円の損失と、前年度比189億円の悪化となりました。期末の急速な米国ドルに対する円高進行に伴い為替差損が発生したことなどによります。一方、持分法による投資利益は184億円と、前年度比99億円の増益になりました。システムLSI(SoC:System on a Chip)の設計・開発事業を関連会社へ移管した影響があったほか、中国の深圳証券取引所に上場している関連会社の公募増資に伴い持分変動利益を計上したことによります。
税引前利益は1,318億円と、営業利益の減少などにより前年度比670億円の減益となりました。
④ 法人所得税費用、当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益
当期利益は904億円と、前年度比545億円の減益となりました。当期利益のうち、親会社の所有者に帰属する当期利益は867億円と、前年度比532億円の減益となりました。一方、法人所得税費用は414億円と、前年度比124億円減少しました。また、当期利益のうち非支配持分に帰属する金額は36億円と、前年度比13億円減少しました。
当社グループは、収益性や事業における投下資本の運用効率を経営上の重要な指針としております。親会社の所有者に帰属する当期利益を親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)で除して算定したROEは11.0%となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益が前年度より大きく減少しましたが、従業員の確定給付制度に係る積立不足額について税効果を調整した上で自己資本から3,498億円を控除していることにより自己資本が低い水準に留まっていることもあり、ROEが10%を超える水準となっております。
⑤ 税引後その他の包括利益及び当期包括利益
税引後その他の包括利益は848億円のマイナスとなりました。金利低下に伴う割引率の引下げにより確定給付型の退職給付債務が増加した影響を受け、確定給付制度の再測定額が489億円のマイナスとなったほか、英国ポンドや米国ドルに対して円高が進行したことにより在外営業活動体の換算差額が187億円のマイナス、株価下落により売却可能金融資産が135億円のマイナスとなりました。
当期利益と税引後その他の包括利益をあわせた当期包括利益は55億円となりました。当期包括利益のうち、親会社の所有者に帰属する当期包括利益は88億円、非支配持分に帰属する当期包括利益は33億円のマイナスとなりました。
⑥ セグメント情報
当社グループは、経営組織の形態、製品・サービスの特性及び販売市場の類似性に基づき、複数の事業セグメントを集約した上で、「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューション」の3つを報告セグメントとしております。また、報告セグメントに含まれない事業セグメントとして、次世代スーパーコンピュータ事業、次世代クラウド事業、当社グループ会社向け情報システム開発・ファシリティサービス事業及び当社グループ従業員向け福利厚生事業等を「その他」の区分に含めて表示しております。
当年度のセグメント別の売上収益(セグメント間の内部売上収益を含む)及び営業利益は以下のとおりであります。
(億円)
| 前年度 (自 2014年4月 1日 至 2015年3月31日) | 当年度 (自 2015年4月 1日 至 2016年3月31日) | 前年度比 | (内訳) ビジネスモデル変革費用/再編分社 | 為替 影響 | 特殊要因 /為替 影響除く | |||
| テクノロジーソリューション | ||||||||
| 売上収益 | 33,028 | 32,833 | △194 | - | 130 | △324 | ||
| 営業利益 | 2,224 | 1,862 | △362 | △359 | △100 | 97 | ||
| (営業利益率) | ( 6.7%) | ( 5.7%) | (△1.0%) | |||||
| ユビキタスソリューション | ||||||||
| 売上収益 | 10,628 | 10,409 | △219 | - | 40 | △259 | ||
| 営業利益 | 87 | △76 | △164 | △56 | △270 | 162 | ||
| (営業利益率) | ( 0.8%) | (△0.7%) | (△1.5%) | |||||
| デバイスソリューション | ||||||||
| 売上収益 | 5,956 | 6,039 | 83 | - | 280 | △197 | ||
| 営業利益 | 369 | 303 | △65 | △100 | 170 | △135 | ||
| (営業利益率) | ( 6.2%) | ( 5.0%) | (△1.2%) | |||||
| その他及び消去又は全社 | ||||||||
| 売上収益 | △2,080 | △1,888 | 191 | - | - | 191 | ||
| 営業利益 | △895 | △883 | 11 | - | - | 11 | ||
| 連結 | ||||||||
| 売上収益 | 47,532 | 47,392 | △139 | - | 450 | △589 | ||
| 営業利益 | 1,786 | 1,206 | △580 | △515 | △200 | 135 | ||
| (営業利益率) | ( 3.8%) | ( 2.5%) | (△1.3%) | |||||
a テクノロジーソリューション
「テクノロジーソリューション」は、プロダクト・ソフトウェア・サービスが一体となった総合的なサービスをお客様に最適な形で提供しております。情報通信システム構築などを行うソリューション/SI、クラウドサービスやアウトソーシング、保守サービスを中心とするインフラサービス、ICTの基盤となる、サーバやストレージシステムなどのシステムプロダクトと携帯電話基地局や光伝送システムなどの通信インフラを提供するネットワークプロダクトにより構成されております。
売上収益は3兆2,833億円と、前年度比0.6%の減収になりました。国内はほぼ前年度並みとなりました。システムインテグレーションが金融や公共分野向けを中心に顧客の投資拡大により増収となり、インフラサービスもアウトソーシングを中心に増収となりましたが、ネットワークプロダクトが通信キャリアの投資抑制の継続により携帯電話基地局、光伝送システムともに減収となりました。またサーバ関連もPCサーバは伸長したものの、大型システム商談の減少によりメインフレーム関連を中心に減収となりました。海外は1.9%の減収になりました。欧州向けのPCサーバが伸長したものの、北米向け光伝送システムが、通信キャリアの当社関連セグメントに対する投資抑制が続いたことにより減収になりました。また、英国のインフラサービスが大型商談の端境期にあったほか、米国のインフラサービスも低調に推移しました。
営業利益は1,862億円と、前年度比362億円の減益になりました。ビジネスモデル変革費用359億円(うち、EMEIA(欧州・中近東・インド・アフリカ)、北米など海外ビジネス関連307億円、ネットワーク再編関連51億円)を計上したほか、米国ドルに対するユーロ安の進行により欧州拠点を中心にサーバなどで部材コストが上昇した影響が100億円ありました。ビジネスモデル変革費用及び為替影響を除いたベースでは、前年度比約100億円の増益になりました。ネットワークプロダクトの減収影響はありましたが、システムインテグレーションの増収効果や採算性改善がありました。
当社と富士通エフ・アイ・ピー株式会社(本社:東京都江東区、以下、FIP)は、データセンターサービス事業の効率化と運用品質の向上を目指し、2015年4月に組織統合・再編を実施しました。当社及びFIPがそれぞれ行っていたサービスデリバリー機能やサービスとツール開発機能をFIPに統合し、ファシリティの計画と管理機能を当社に統合しました。最適なリソース配置やコストダウンを図りながら、従来、当社とFIPが各々で行っていたデータセンター事業を、ファシリティ及びネットワーク、ICT機器、インフラ運用を一つのプラットフォームとして提供するビジネスモデルに転換しました。
b ユビキタスソリューション
「ユビキタスソリューション」は、当社グループが実現を目指す「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」(テクノロジーの力で実現される、より安全で、豊かな、持続可能な社会)において、人や組織の行動パターンから生み出される様々な情報や知識を収集・活用するユビキタス端末あるいはセンサーとして、パソコン/携帯電話のほか、オーディオ・ナビゲーション機器や移動通信機器、自動車用電子機器により構成されております。
売上収益は1兆409億円と、前年度比2.1%の減収になりました。国内は3.8%の減収となりました。パソコンは法人のリプレース需要が低調で減収となりました。携帯電話の出荷台数は、スマートフォンを中心に台数ベースでは前年度から増加しましたが、製品ミックスの変動などで金額ベースではほぼ前年度並みになりました。海外は1.4%の増収になりました。パソコンは国内同様、法人需要が低調で減収となりましたが、モバイルウェアが欧州、北米向けで増収になりました。
営業利益は76億円の損失と、前年度比164億円の悪化となりました。パソコンは減収影響に加え、米国ドルに対するユーロ安の進行により欧州拠点を中心に部材調達コストが上昇した影響があり、前年度比で大幅に悪化しました。携帯電話は、上半期に一部機種で発生した不具合の対策費用の負担や部材調達コストの上昇影響に対し開発効率化やコストダウンを進めましたが、吸収しきれず若干の赤字が残りました。また、パソコン・携帯電話事業に係るビジネスモデル変革費用56億円を計上しました。
c デバイスソリューション
「デバイスソリューション」は、最先端テクノロジーとして携帯電話やデジタル家電、自動車、サーバなどに搭載されるLSIのほか、半導体パッケージ、電池をはじめとする電子部品により構成されております。
売上収益は6,039億円と、前年度比1.4%の増収になりました。システムLSI(SoC:System on a Chip)の設計・開発事業を関連会社に移管した影響やスマートフォン、パソコン向けで所要が低迷した影響がありましたが、LSI、電子部品ともに上半期を中心に米国ドルに対する円安進行によりドル建て売上が増加しました。
営業利益は303億円と、前年度比65億円の減益になりました。システムLSIの設計・開発事業を関連会社に移管した影響がありました。
2015年12月にファウンドリ専業会社の三重富士通セミコンダクター株式会社に台湾ユナイテッド・マイクロエレクトロニクス・コーポレーション(UMC)が当初計画通り、追加出資を行いました。当該出資によりUMCの持分比率は15.9%となりました。今後とも、戦略パートナーである同社との関係を深めてコスト競争力を高め安定化を図ってまいります。
d その他及び消去又は全社
「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、次世代スーパーコンピュータ事業、次世代クラウド事業、当社グループ会社向け情報システム開発・ファシリティサービス事業及び当社グループ従業員向け福利厚生事業等が含まれております。
また、事業セグメントとして識別されないものは、基礎的試験研究等の戦略費用及び親会社におけるグループ経営に係る共通費用であります。
営業利益は883億円の損失と、前年度比11億円の改善となりました。IoT(Internet of Things)の活用基盤としての次世代クラウドを中心に戦略投資を拡大しましたが、経費の効率化を進めたほか、係争案件の和解による見積費用の一時的な減少影響がありました。
⑦ 所在地別の損益情報
当社グループは、成長市場である海外における売上収益の拡大と収益力向上を経営上の重要な課題の1つであると考えております。所在地別の損益情報は当社グループの事業管理において重要な項目であるとともに、株主、投資家の皆様に当社グループの損益概況をご理解頂くための有益な情報であると考えております。
(億円)
| 前年度 (自 2014年4月 1日 至 2015年3月31日) | 当年度 (自 2015年4月 1日 至 2016年3月31日) | 前年度比 | 増減率 (%) | |||
| 日本 | ||||||
| 売上収益 | 33,704 | 33,665 | △38 | △0.1 | ||
| 営業利益 | 2,350 | 2,028 | △321 | △13.7 | ||
| (営業利益率) | ( 7.0%) | ( 6.0%) | (△1.0%) | |||
| EMEIA(欧州・中近東・インド・アフリカ) | ||||||
| 売上収益 | 9,892 | 9,635 | △256 | △2.6 | ||
| 営業利益 | 244 | △15 | △259 | - | ||
| (営業利益率) | ( 2.5%) | (△0.2%) | (△2.7%) | |||
| アメリカ | ||||||
| 売上収益 | 4,047 | 4,219 | 171 | 4.2 | ||
| 営業利益 | 48 | △13 | △62 | - | ||
| (営業利益率) | ( 1.2%) | (△0.3%) | (△1.5%) | |||
| アジア | ||||||
| 売上収益 | 4,294 | 4,663 | 368 | 8.6 | ||
| 営業利益 | 74 | 95 | 20 | 27.7 | ||
| (営業利益率) | ( 1.7%) | ( 2.0%) | ( 0.3%) | |||
| オセアニア | ||||||
| 売上収益 | 1,133 | 1,039 | △94 | △8.3 | ||
| 営業利益 | 30 | 26 | △4 | △13.5 | ||
| (営業利益率) | ( 2.7%) | ( 2.5%) | (△0.2%) | |||
| 消去又は全社 | ||||||
| 売上収益 | △5,540 | △5,830 | △289 | - | ||
| 営業利益 | △961 | △915 | 46 | - | ||
| 連結 | ||||||
| 売上収益 | 47,532 | 47,392 | △139 | △0.3 | ||
| 営業利益 | 1,786 | 1,206 | △580 | △32.5 | ||
| (営業利益率) | ( 3.8%) | ( 2.5%) | (△1.3%) | |||
a 日本
売上収益は3兆3,665億円と、ほぼ前年度並みになりました。システムインテグレーションが金融や公共分野を中心に顧客の投資拡大による増収となり、インフラサービスも増収となりましたが、ネットワークプロダクトが通信キャリアの投資抑制の継続により減収となったほか、パソコンや携帯電話が減収となりました。営業利益は2,028億円と、前年度比321億円の減益になりました。システムインテグレーションの増収効果や利益率改善はありましたが、ネットワークプロダクトやパソコンの減収影響があったほか、ネットワーク、パソコン・携帯電話事業でビジネスモデル変革費用を計上したことなどによります。
b EMEIA(欧州・中近東・インド・アフリカ)
売上収益は9,635億円と、前年度比2.6%の減収になりました。英国のインフラサービスが大型商談の端境期にあり減収となったほか、欧州拠点でのパソコンの販売台数が減少しました。営業利益は15億円の損失と、前年度比259億円の悪化となりました。EMEIA全体の営業・デリバリー体制をサービス化に対応した体制に変更するとともにプロダクトビジネスのコスト競争力を強化するためのビジネスモデル変革費用を217億円計上したほか、パソコンを中心に、ユーロ安に伴う米国ドル建ての部材調達コストが上昇した影響を受けました。
c アメリカ
売上収益は4,219億円と、前年度比4.2%の増収になりました。光伝送システムが顧客の投資抑制の影響を受けましたが、オーディオ・ナビゲーション機器が伸長したほか、為替影響もあり増収となりました。営業利益は13億円のマイナスと、前年度比62億円の悪化となりました。マネージド・インフラサービス関連設備の減損損失などビジネスモデル変革費用96億円を計上したことなどによります。北米のマネージド・インフラサービス事業については、成長性や効率性を高めるため、データセンターに顧客IT資産を引き受ける従来型のマネージドサービスから、当社が開発・提供する新しいクラウド基盤とコンサルティングサービスを一体運営したクラウドサービスの比重を高めるなどビジネスモデルの変革を進めております。
d アジア
売上収益は4,663億円と、前年度比8.6%の増収になりました。インフラサービスを中心に増収となりました。営業利益は95億円と、前年度比20億円の増益になりました。増収効果などによります。
e オセアニア
売上収益は 1,039億円と、前年度比8.3%の減収になりました。インフラサービスを中心に減収となりました。営業利益は26億円と、前年度比4億円の減益になりました。減収影響などによります。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資産、負債及び資本の状況
<要約連結財政状態計算書>(億円)
| 前年度末 (2015年3月31日) | 当年度末 (2016年3月31日) | 前年度末比 | ||
| 資産 | ||||
| 流動資産 | 18,876 | 18,438 | △438 | |
| 非流動資産 | 13,834 | 13,824 | △10 | |
| 資産合計 | 32,711 | 32,263 | △448 | |
| 負債 | ||||
| 流動負債 | 15,233 | 14,470 | △762 | |
| 非流動負債 | 8,133 | 8,530 | 396 | |
| 負債合計 | 23,367 | 23,000 | △366 | |
| 資本 | ||||
| 親会社の所有者に帰属する持分 合計(自己資本) | 7,900 | 7,827 | △73 | |
| 利益剰余金 | 1,307 | 1,559 | 251 | |
| その他の資本の構成要素 | 1,018 | 689 | △328 | |
| 資本合計 | 9,343 | 9,262 | △81 | |
| 負債及び資本合計 | 32,711 | 32,263 | △448 |
| 現金及び現金同等物 | 3,620 | 3,808 | 187 | |
| 有利子負債 | 5,784 | 5,349 | △435 | |
| ネット有利子負債 | 2,164 | 1,541 | △623 |
(注)有利子負債 :社債、借入金及びリース債務
ネット有利子負債 :有利子負債-現金及び現金同等物
(ご参考)財務指標 (億円)
| 前年度末 (2015年3月31日) | 当年度末 (2016年3月31日) | 前年度末比 | ||
| 親会社所有者帰属持分比率 | ||||
| (自己資本比率) | 24.2% | 24.3% | 0.1% | |
| D/Eレシオ | 0.73倍 | 0.68倍 | △0.05倍 | |
| ネットD/Eレシオ | 0.27倍 | 0.20倍 | △0.07倍 |
(注)自己資本比率 :親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)÷資産合計
D/Eレシオ :有利子負債÷親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)
ネットD/Eレシオ :(有利子負債-現金及び現金同等物)÷親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)
(ご参考)確定給付型退職給付制度の状況 (億円)
| 前年度末 (2015年3月31日) | 当年度末 (2016年3月31日) | 前年度末比 | ||
| a.確定給付制度債務 | △24,843 | △24,342 | 501 | |
| b.年金資産 | 21,808 | 20,745 | △1,062 | |
| c.積立状況 (a)+(b) | △3,035 | △3,596 | △561 | |
| (内、国内制度) | (△1,984) | (△2,796) | (△811) | |
| (内、海外制度) | (△1,051) | (△800) | (250) |
| (確定給付制度債務の計算に用いた割引率) | |||||
| 国内制度 | 0.7% | 0.3% | △0.4% | ||
| 海外制度 | 主に3.4% | 主に3.4% | - | ||
当年度末の資産合計は3兆2,263億円と、前年度末から448億円減少しました。流動資産は1兆8,438億円と、前年度末から438億円減少しました。第4四半期の売上収益が前年同期より減少したことにより、売上債権が減少しました。棚卸資産は2,988億円と、前年度末から150億円減少しました。パソコンや携帯電話、海外インフラサービス事業を中心に減少しました。非流動資産は1兆3,824億円と、前年度末から10億円減少しました。金利低下に伴う割引率引下げにより国内従業員に係る確定給付型の退職給付債務が増加し積立状況(未積立債務)が悪化した結果、未積立債務に係る繰延税金資産が増加した一方、ビジネスモデル変革の一環として北米のマネージド・インフラサービス関連設備などで減損損失96億円を計上したことなどにより有形固定資産が減少しました。
負債合計は2兆3,000億円と、前年度末から366億円減少しました。流動負債は1兆4,470億円と、前年度末から762億円減少しました。仕入債務が減少したほか、当社グループ内での欧州地域から北米地域への資金融通により北米子会社で短期借入金の返済を進めた影響がありました。非流動負債は8,530億円と、前年度末から396億円増加しました。金利低下に伴う割引率引下げにより国内従業員に係る確定給付型退職給付制度債務が増加し、積立状況が悪化したことにより退職給付に係る負債が増加しました。社債、借入金及びリース債務をあわせた有利子負債は5,349億円と、前年度末から435億円減少しました。普通社債700億円を償還した一方、社債償還資金の一部に充当するため普通社債300億円を発行しました。D/Eレシオは0.68倍と、前年度末より0.05ポイント減少し、ネットD/Eレシオは0.20倍と前年度末より0.07ポイント減少しました。
資本合計は9,262億円と、前年度末から81億円減少しました。利益剰余金は1,559億円と、前年度末から251億円増加しました。当期利益867億円の計上により増加しましたが、確定給付制度の積立状況が悪化したことによる減少影響が450億円ありました。また、その他の資本の構成要素は689億円と前年度末から328億円減少しました。英国ポンドや米国ドルに対し円高が進行したことにより在外営業活動体の換算差額が減少したほか、株価下落により売却可能金融資産の利得が減少したことによります。親会社の所有者に帰属する持分合計(自己資本)は7,827億円となりました。親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は24.3%と、前年度末から0.1ポイント増加しました。当社グループは、財務の健全性を示す自己資本比率を経営上の重要な指針としております。従業員の退職給付に係る積立不足額について税効果を調整した上で自己資本から3,498億円控除していることにより、自己資本が低い水準に留まっております。
当社グループは、中期目標として自己資本比率40%を掲げております。ビジネスモデルの変革により収益性を高め自己資本を充実させることにより、財務の健全性を高めてまいります。
従業員の確定給付型退職給付制度の退職給付債務は2兆4,342億円と、前年度末から501億円減少しました。国内制度に係る退職給付債務が割引率引下げに伴い増加しましたが、国内の一部グループ会社が確定拠出型(DC)制度へ移行した影響があったほか、英国制度に係る退職給付債務が円に対してポンド安が進行した影響を受け減少しました。年金資産は2兆745億円と前年度末からは1,062億円減少しました。英国制度に係る年金資産が円に対してポンド安が進行した影響を受けて減少したほか、国内制度に係る年金資産の運用が悪化した影響がありました。この結果、確定給付型退職給付制度の積立状況(退職給付債務から年金資産を控除した金額)は3,596億円の不足と、前年度末から561億円悪化しました。また、確定給付型の退職給付制度の積立状況は、再測定した時点で税効果を調整した上でその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素から直ちに利益剰余金に振り替えておりますが、当年度末の利益剰余金からの控除額は前年度末から450億円増加しました。
② キャッシュ・フローの状況
<要約連結キャッシュ・フロー計算書>(億円)
| 前年度 (自 2014年4月 1日 至 2015年3月31日) | 当年度 (自 2015年4月 1日 至 2016年3月31日) | 前年度比 | ||
| Ⅰ営業活動によるキャッシュ・フロー | 2,801 | 2,530 | △270 | |
| Ⅱ投資活動によるキャッシュ・フロー | △2,005 | △1,643 | 361 | |
| Ⅰ+Ⅱフリー・キャッシュ・フロー | 796 | 887 | 91 | |
| Ⅲ財務活動によるキャッシュ・フロー | △173 | △677 | △504 | |
| Ⅳ現金及び現金同等物の期末残高 | 3,620 | 3,808 | 187 |
(ご参考)財務指標
| 前年度 (自 2014年4月 1日 至 2015年3月31日) | 当年度 (自 2015年4月 1日 至 2016年3月31日) | 前年度比 | ||
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率 | 2.1年 | 2.1年 | - | |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ | 46.9倍 | 48.3倍 | 1.4倍 |
(注)キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業活動によるキャッシュ・フロー÷支払利息
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは2,530億円のプラスと、前年度からは270億円の収入減となりました。運転資本は改善しましたが、税引前利益の悪化や前年度には国内子会社からの配当金に係る源泉所得税の還付が約260億円あったことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは1,643億円のマイナスとなりました。データセンター関連設備を中心とした有形固定資産の取得やソフトウェアを中心とした無形資産の取得で1,897億円支出しました。資金運用目的の定期預金の満期による収入や、資産の一部売却があったことなどにより、前年度からは361億円の支出減となりました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは887億円のプラスと、前年度からは91億円の収入増となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは677億円のマイナスとなりました。社債700億円を償還した一方、社債償還資金の一部に充当するため普通社債300億円を発行しました。また、当社株主への配当金の支払165億円のほか、リース債務の支払156億円がありました。前年度からは社債の償還などにより504億円の支出増となりました。
この結果、現金及び現金同等物の期末残高は前年度末から187億円増加し、3,808億円となりました。
当社グループは、資金需要に応じた効率的な資金調達を確保するため、手許流動性を適切な水準に維持することを財務活動上の重要な指針としております。手許流動性は、現金及び現金同等物と、複数の金融機関との間で締結したコミットメントライン契約に基づく融資枠のうち未使用枠残高の合計額であります。当年度末の手許流動性は5,790億円で、現金及び現金同等物を3,808億円、コミットメントライン未使用枠を1,982億円保有しております。
当社は、グローバルに資本市場から資金調達するため、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(以下、ムーディーズ)、スタンダード&プアーズ(以下、S&P)及び株式会社格付投資情報センター(以下、R&I)から債券格付けを取得しております。当年度末現在における格付け(長期/短期)は前年度末から変更なく、ムーディーズ:A3(長期)、S&P:BBB+(長期)、R&I :A(長期)/a-1(短期)であります。
③ 設備投資(有形固定資産)
当年度の設備投資額は、前年度から153億円増の1,560億円になりました。テクノロジーソリューションでは、IoT(Internet of Things)やクラウドサービスを加速させる中核拠点である館林システムセンター(群馬県館林市)の新棟建設などを中心に808億円(前年度比19.6%増)を投資しました。ユビキタスソリューションでは、モバイルウェアの製造及び設計開発設備の増強などに95億円(前年度比20.3%減)を投資しました。デバイスソリューションでは、LSIの製造設備のほか、電子部品のうち半導体パッケージの製造設備などに556億円(前年度0.3%減)を投資しました。上記セグメント以外では100億円の設備投資を行いました。