四半期報告書-第118期第1四半期(平成29年4月1日-平成29年6月30日)
有報資料
文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日(2017年6月30日)現在において当社及び連結子会社(以下、当社グループ)が判断したものであります。
以下の文中において、当第1四半期連結会計期間及び当第1四半期連結累計期間を当第1四半期、前年同四半期連結累計期間を前年同期、前連結会計年度を前年度と記載しております。また、文中に記載しております為替影響は、米国ドル、ユーロ及び英国ポンドを対象に前年同期の対円平均レートを当第1四半期の外貨建取引高に適用して試算しております。
非継続事業について
当社は、富士通テン株式会社(以下、富士通テン)の株式の一部譲渡について、2017年4月28日に株式会社デンソーと合意したことから、当第1四半期より富士通テンを非継続事業に分類しております。これにより、非継続事業からの利益又は損失は、「非継続事業からの四半期(当期)利益」として、継続事業と区分して表示しており、前年同期及び前年度についても同様に組み替えて表示しております。
(1)経営成績の分析(当第1四半期)
①損益の状況
売上収益は9,226億円と前年同期比226億円の増収となりました。国内は5.4%の増収です。ニフティ株式会社(以下、ニフティ)のコンシューマ向け事業が連結対象外となったことによる減収影響約130億円を除くとサービスは増収です。ネットワーク、パソコン、携帯電話及びLSIも増収となり、ニフティの再編影響を除くと、主要3セグメント全てで増収となりました。海外は、2.0%の減収です。円に対して英国ポンドが下落した影響によりサービスが減収になったことに加え、電子部品が減収となりました。海外売上比率は37.3%と前年同期比1.7ポイント低下しました。
営業利益は49億円と、前年同期比186億円の改善となりました。前年同期比に、二つの一時的な特殊事項の影響が含まれています。1点目はニフティのコンシューマ向け事業等の資産売却による約160億円の改善要因です。2点目は海外子会社における法的紛争の手続きの結果に伴う、約70億円の悪化要因です。これらの特殊事項を除いたベースでは、ネットワークの国内携帯電話基地局、パソコン、携帯電話及びLSIの増収効果に加えて、前年同期に実施したLSIの工場施設の法定点検による費用負担が無くなったことにより改善となりました。
継続事業からの税引前四半期利益は74億円と、前年同期比229億円の改善となりました。営業利益の改善に加えて、金融費用の負担が減少したことによります。前年同期には、急激な円高進行に伴う約50億円の為替差損の計上がありました。
非継続事業を含めた親会社の所有者に帰属する四半期利益は21億円。前年同期比162億円の改善となりました。
②セグメント情報
a テクノロジーソリューション
売上収益は、6,726億円と、ほぼ前年同期並みになりました。国内はほぼ前年同期並みです。サービスは、ニフティのコンシューマ向け事業が連結対象外となったことによる減収影響約130億円はありますが、システムインテグレーション、アウトソーシング共に、製造業、流通業、サービス業等の様々な分野で増収となり前年同期から若干の減収にとどまりました。一方システムプラットフォームは、PCサーバが前年の大口商談の反動による減はあるものの、メインフレーム商談の増加に加え、通信キャリア向け携帯電話基地局商談の増加でカバーし、前年同期から若干の増収となりました。海外もほぼ前年同期並みです。サービスは、円に対して英国ポンドが下落した影響を受け減収となりましたが、システムプラットフォームがネットワークプロダクト中心に増加しました。
営業利益は、52億円と、前年同期比18億円の減益になりました。前年同期比には、海外子会社における法的紛争手続きの結果に伴う、約70億円の減益要因が含まれています。この特殊事項を除いたベースでは、国内のネットワークプロダクトの増収効果及びニフティの影響を除いたベースでの国内サービスの増収効果により増益となりました。
b ユビキタスソリューション
売上収益は、1,540億円と、前年同期比16.2%の増収となりました。国内は前年同期から23.3%の増収です。パソコンが差別化した商品が市場に受入れられ、個人向けを中心に増収です。それに加え、携帯電話も、ミドルレンジ機種及びらくらくスマートフォンシリーズが前年同期から増収となりました。海外は、3.3%の減収です。欧州では、パソコンの競争環境が厳しく減収です。
営業利益は、55億円と、前年同期比34億円の増益となりました。購入部材の市況価格の上昇に加え、米国ドルに対し、ユーロ安及び円安が進行したことによる、欧州及び国内拠点での米国ドル建て部材調達価格上昇という、二つのコストアップの要因を吸収し、増収効果により増益です。
c デバイスソリューション
売上収益は、1,353億円と、前年同期比4.1%の増収となりました。
営業利益は、34億円と、前年同期比46億円の改善となりました。LSIが、スマートフォン向けを中心とした増収影響に加え、前年同期に実施した工場施設の法定点検による費用負担が無くなったことにより改善となりました。
d その他及び消去又は全社
営業利益は、92億円の損失。次世代クラウド等の先行投資を拡充したことによる費用増はあるものの、ニフティのコンシューマ向け事業等の資産売却影響による一時的な利益計上により、前年同期比124億円の改善となりました。
(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資産、負債及び資本の状況
当第1四半期末の資産合計は3兆413億円と、前年度末から1,501億円減少しました。前年度末に集中した売上に係る売掛金を回収したことにより売上債権が減少しました。
負債合計は2兆228億円と、前年度末から1,494億円減少しました。仕入債務は前年度末に集中した売上に対応する支払いにより減少したほか、その他の債務が賞与の支給により減少しました。
有利子負債は5,089億円と、運転資金の一部を短期借入金で調達したことなどにより222億円増加しました。
資本合計は1兆185億円と、ほぼ前年度末並みとなりました。配当金の支払いによる減少影響はありましたが、四半期利益の計上や、主に国内において確定給付制度の積立状況が改善したことなどによります。
なお、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は28.9%と前年度末から1.3ポイント増加しました。
②キャッシュ・フローの状況
当第1四半期の営業活動によるキャッシュ・フローは816億円のプラスと、税引前四半期利益の改善により前年同期からは196億円の収入増となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローはデータセンター設備などへの投資により314億円のマイナスとなりました。前年同期からは69億円の支出減となりました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは502億円のプラスと、前年同期からは266億円の収入増となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、運転資金の一部を短期借入金で調達したことなどにより96億円のプラスとなりました。前年同期からは171億円の収入減となりました。
この結果、現金及び現金同等物の四半期末残高は前年度末から607億円増加し、4,447億円となりました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
①対処すべき課題
当第1四半期において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
②財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、企業価値を向上させることが、結果として買収防衛にもつながるという基本的な考え方のもと、企業価値向上に注力しているところであり、現時点で特別な防衛策は導入しておりません。
当社に対して買収提案があった場合は、取締役会は、当社の支配権の所在を決定するのは株主であるとの認識のもと、適切な対応を行います。
(5)研究開発活動
当社グループの事業は、「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューション」の各セグメントにより構成されており、それぞれの分野ごとに研究開発活動を行っております。「テクノロジーソリューション」では、次世代のサービス、サーバ、ネットワーク等に関する研究開発を行っております。「ユビキタスソリューション」では、パソコン、携帯電話等のユビキタス社会に不可欠な製品及び技術に関する研究開発を行っております。「デバイスソリューション」では、LSI、電子部品(半導体パッケージ及び電池)等の各種デバイス製品及び関連技術に関する研究開発を行っております。
当社グループでは、ICTを活用することによってどのようにイノベーションを起こし、これまでとは違う未来を創り出していくかについての考えを「Fujitsu Technology and Service Vision」としてまとめています。研究開発からお客様へのアプローチ、そして製品・サービスの提供に至るすべての事業活動をこのビジョンにもとづいて実行しています。このビジョンの中心的な考えとして、Human Centric Innovationというコンセプトを2014年に発表しました。これは先進技術で人をエンパワーする(力を与える)ことによって、ビジネスや社会のイノベーションを生み出す新たなアプローチです。
イノベーションは、人々の創造性、情報から導かれるインテリジェンス、そしてモノやインフラのつながり、という3つの要素を組み合わせることによって実現することができます。それぞれの要素は、人、情報、インフラストラクチャーという3つの経営資源に対応しています。
当社グループの研究開発活動は、2017年度のテーマであるHuman Centric Innovation: Digital Co-creationのもと、この3つの要素に対応した、以下のアクションアイテムに沿って行われています。
①ヒューマン・エンパワーメント
デジタル技術を活用して人をエンパワーします。
②クリエイティブ・インテリジェンス
データ分析とアルゴリズムから引き出されるインテリジェンスを活用します。
③コネクテッド・インフラストラクチャー
ビジネスや社会のインフラやモノ、プロセスをつないで価値を創造します。
上記の各アクションアイテム等に関する、当第1四半期における主な研究開発活動の成果は、以下のとおりです。また、当第1四半期における研究開発費の総額は、420億円です。
①ヒューマン・エンパワーメント
・肺のCT画像からAIで立体的に類似症例を検索する技術を開発
医療の現場では大量のCT画像を用いて疾患を確認しています。今まで、初期肺がんなど異常個所が1か所に集中している場合には類似症例を検索する技術はありました。しかし、肺炎など異常陰影が立体的に広がる疾患では、医師が改めて多くのCT画像を確認するため、専門知識が必要で時間もかかります。
今回、過去に撮影されたCT画像のデータベースの中から、異常陰影の立体的な広がり方が似ている症例が検索できる技術を開発しました。境界が複雑な臓器内の領域を画像解析で自動分割し、異常陰影をAIで認識し、立体的な広がり方が似た症例を85%の正解率で検索できます。従来は、手作業で文献などから似たような症例を探していましたが、この技術によって、診断時間を最大約6分の1に短縮できる可能性があります。高齢化による患者の増加に向けて医師の診断を支援し、現場の業務効率化に貢献します。
②クリエイティブ・インテリジェンス
・法人番号とLOD形式の公開情報から企業情報分析アプリを開発し無償公開開始
政府や公的機関、大学などでオープンデータの公開が進み、Linked Open Data(LOD)と呼ばれるオープンデータのネットワークは、900以上のサイトで1万以上のデータセットが公開されています。
今回、LODを用いた検索サービス「LOD4ALL」をベースに、国税庁公開の法人番号とインターネットに分散しているLOD形式の企業公開情報を紐づけて、様々な視点で可視化する企業情報分析Webアプリを開発し、一般公開しました。複数のサイトにまたがる情報を表示し、同じ調査対象に関して複数の観点での分析を行い、用途に応じて切り替える複数観点表示機能を搭載しています。多様な切り口で企業や地域の情報を把握することができ、法人向けの企業調査業務などを効率化し営業活動を支援します。
③コネクテッド・インフラストラクチャー
・仮想デスクトップシステムのボトルネック箇所を見つける自動分析技術を開発
働き方改革が提唱され、場所にとらわれない働き方を実現する仮想デスクトップシステムは、重要なICTインフラとして普及が進み、更なる安定運用が求められています。
今回、仮想デスクトップシステムのネットワーク上のパケットを観測し、ストレージが原因となるボトルネックを分析する技術を業界で初めて開発しました。本技術と、開発済みの仮想ネットワーク分析技術を組合せることで、性能劣化の原因を自動で特定します。試作システムを仮想マシン300台規模で実証した結果、原因特定作業に、従来2日かかっていたものが2時間程度になり、約10分の1の時間で分析ができました。お客さまの仮想デスクトップ運用管理者の負担を削減し、安定運用により、多くの企業や個人などの利用を促進し、働き方改革の推進を強力に支援します。
・高度なAIの適用拡大につなげるディープラーニング向け回路技術を開発し電力効率向上に成功
ディープラーニングの学習プロセスでは学習データをもとに膨大な演算処理が必要です。サーバなどのハードウェアでは、電力量で処理性能の上限が決まるため、学習処理を高速化するには電力効率を上げることが課題でした。
今回、データのビット幅を削減した独自の数値表現と、データを解析しながら演算精度を保つように小数点の位置を自動的に制御する演算アルゴリズムにより、電力効率を向上させる回路技術を開発しました。本技術を実装したハードウェアでのシミュレーションでは、LeNet(ニューラルネットワーク)を用いた学習の例で、32ビットの演算器で行った場合と比較して、演算器やメモリの消費電力を約75%削減できることを確認しました。これにより様々な場所のサーバで大規模なディープラーニング処理による高度なAI技術の適用領域の拡大が可能になります。
・ブロックチェーンの応用による安心・安全なデータ流通ネットワークを実現するソフトウェアを開発
ブロックチェーンをネットワーク向けに拡張・応用することにより分散データへのアクセス制御を実現する「富士通VPXテクノロジー」を活用し、従来、セキュリティやプライバシーの観点から相互利活用が進まなかった、様々な組織や企業内に蓄積されているデータの安全な流通を実現するソフトウェアを開発しました。
本ソフトウェアにより、データ提供者は、ブロックチェーンの分散台帳に提供可能なデータの属性情報や所在と紐付けられたID情報を登録することができ、データ利用者は、分散台帳から取得したい情報を容易に検索・取得申請することが可能になります。また、データにはアクセス権限の設定もでき、申請から取得までのプロセスは、利用者がアクセス権限を有している場合のみ自動的に実行され、提供者から利用者へと暗号化して送信可能になります。
④その他共通な基盤等
・リチウム二次電池の低コストを可能にするレアメタルのコバルトフリーなリン酸鉄系正極材料を開発
電気自動車や蓄電池に使われている高容量・高電圧なリチウム二次電池の正極には、レアメタルであるコバルトが使われていますが、今後は材料が不足し、価格の高騰が懸念されています。そのため、豊富で安価な鉄系の材料が注目されていますが、電圧が足らず、置き換えることはできませんでした。今回、コバルト系材料に匹敵する電圧を持つ、新しいリン酸鉄系の材料であるピロリン酸鉄リチウム「Li5.33Fe5.33(P2O7)4」の合成に成功しました。結晶構造と電気化学特性との相関を分析して鉄系材料の電圧を向上させる新たな要因を発見し、独自の材料設計と、原料の配合や材料形成を精密に制御する技術により実現しました。安全な固体二次電池用の低コスト正極材料として適用が期待できます。
以下の文中において、当第1四半期連結会計期間及び当第1四半期連結累計期間を当第1四半期、前年同四半期連結累計期間を前年同期、前連結会計年度を前年度と記載しております。また、文中に記載しております為替影響は、米国ドル、ユーロ及び英国ポンドを対象に前年同期の対円平均レートを当第1四半期の外貨建取引高に適用して試算しております。
非継続事業について
当社は、富士通テン株式会社(以下、富士通テン)の株式の一部譲渡について、2017年4月28日に株式会社デンソーと合意したことから、当第1四半期より富士通テンを非継続事業に分類しております。これにより、非継続事業からの利益又は損失は、「非継続事業からの四半期(当期)利益」として、継続事業と区分して表示しており、前年同期及び前年度についても同様に組み替えて表示しております。
(1)経営成績の分析(当第1四半期)
①損益の状況
売上収益は9,226億円と前年同期比226億円の増収となりました。国内は5.4%の増収です。ニフティ株式会社(以下、ニフティ)のコンシューマ向け事業が連結対象外となったことによる減収影響約130億円を除くとサービスは増収です。ネットワーク、パソコン、携帯電話及びLSIも増収となり、ニフティの再編影響を除くと、主要3セグメント全てで増収となりました。海外は、2.0%の減収です。円に対して英国ポンドが下落した影響によりサービスが減収になったことに加え、電子部品が減収となりました。海外売上比率は37.3%と前年同期比1.7ポイント低下しました。
営業利益は49億円と、前年同期比186億円の改善となりました。前年同期比に、二つの一時的な特殊事項の影響が含まれています。1点目はニフティのコンシューマ向け事業等の資産売却による約160億円の改善要因です。2点目は海外子会社における法的紛争の手続きの結果に伴う、約70億円の悪化要因です。これらの特殊事項を除いたベースでは、ネットワークの国内携帯電話基地局、パソコン、携帯電話及びLSIの増収効果に加えて、前年同期に実施したLSIの工場施設の法定点検による費用負担が無くなったことにより改善となりました。
継続事業からの税引前四半期利益は74億円と、前年同期比229億円の改善となりました。営業利益の改善に加えて、金融費用の負担が減少したことによります。前年同期には、急激な円高進行に伴う約50億円の為替差損の計上がありました。
非継続事業を含めた親会社の所有者に帰属する四半期利益は21億円。前年同期比162億円の改善となりました。
②セグメント情報
a テクノロジーソリューション
売上収益は、6,726億円と、ほぼ前年同期並みになりました。国内はほぼ前年同期並みです。サービスは、ニフティのコンシューマ向け事業が連結対象外となったことによる減収影響約130億円はありますが、システムインテグレーション、アウトソーシング共に、製造業、流通業、サービス業等の様々な分野で増収となり前年同期から若干の減収にとどまりました。一方システムプラットフォームは、PCサーバが前年の大口商談の反動による減はあるものの、メインフレーム商談の増加に加え、通信キャリア向け携帯電話基地局商談の増加でカバーし、前年同期から若干の増収となりました。海外もほぼ前年同期並みです。サービスは、円に対して英国ポンドが下落した影響を受け減収となりましたが、システムプラットフォームがネットワークプロダクト中心に増加しました。
営業利益は、52億円と、前年同期比18億円の減益になりました。前年同期比には、海外子会社における法的紛争手続きの結果に伴う、約70億円の減益要因が含まれています。この特殊事項を除いたベースでは、国内のネットワークプロダクトの増収効果及びニフティの影響を除いたベースでの国内サービスの増収効果により増益となりました。
b ユビキタスソリューション
売上収益は、1,540億円と、前年同期比16.2%の増収となりました。国内は前年同期から23.3%の増収です。パソコンが差別化した商品が市場に受入れられ、個人向けを中心に増収です。それに加え、携帯電話も、ミドルレンジ機種及びらくらくスマートフォンシリーズが前年同期から増収となりました。海外は、3.3%の減収です。欧州では、パソコンの競争環境が厳しく減収です。
営業利益は、55億円と、前年同期比34億円の増益となりました。購入部材の市況価格の上昇に加え、米国ドルに対し、ユーロ安及び円安が進行したことによる、欧州及び国内拠点での米国ドル建て部材調達価格上昇という、二つのコストアップの要因を吸収し、増収効果により増益です。
c デバイスソリューション
売上収益は、1,353億円と、前年同期比4.1%の増収となりました。
営業利益は、34億円と、前年同期比46億円の改善となりました。LSIが、スマートフォン向けを中心とした増収影響に加え、前年同期に実施した工場施設の法定点検による費用負担が無くなったことにより改善となりました。
d その他及び消去又は全社
営業利益は、92億円の損失。次世代クラウド等の先行投資を拡充したことによる費用増はあるものの、ニフティのコンシューマ向け事業等の資産売却影響による一時的な利益計上により、前年同期比124億円の改善となりました。
(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資産、負債及び資本の状況
当第1四半期末の資産合計は3兆413億円と、前年度末から1,501億円減少しました。前年度末に集中した売上に係る売掛金を回収したことにより売上債権が減少しました。
負債合計は2兆228億円と、前年度末から1,494億円減少しました。仕入債務は前年度末に集中した売上に対応する支払いにより減少したほか、その他の債務が賞与の支給により減少しました。
有利子負債は5,089億円と、運転資金の一部を短期借入金で調達したことなどにより222億円増加しました。
資本合計は1兆185億円と、ほぼ前年度末並みとなりました。配当金の支払いによる減少影響はありましたが、四半期利益の計上や、主に国内において確定給付制度の積立状況が改善したことなどによります。
なお、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は28.9%と前年度末から1.3ポイント増加しました。
②キャッシュ・フローの状況
当第1四半期の営業活動によるキャッシュ・フローは816億円のプラスと、税引前四半期利益の改善により前年同期からは196億円の収入増となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローはデータセンター設備などへの投資により314億円のマイナスとなりました。前年同期からは69億円の支出減となりました。
営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合わせたフリー・キャッシュ・フローは502億円のプラスと、前年同期からは266億円の収入増となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、運転資金の一部を短期借入金で調達したことなどにより96億円のプラスとなりました。前年同期からは171億円の収入減となりました。
この結果、現金及び現金同等物の四半期末残高は前年度末から607億円増加し、4,447億円となりました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
①対処すべき課題
当第1四半期において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
②財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、企業価値を向上させることが、結果として買収防衛にもつながるという基本的な考え方のもと、企業価値向上に注力しているところであり、現時点で特別な防衛策は導入しておりません。
当社に対して買収提案があった場合は、取締役会は、当社の支配権の所在を決定するのは株主であるとの認識のもと、適切な対応を行います。
(5)研究開発活動
当社グループの事業は、「テクノロジーソリューション」、「ユビキタスソリューション」及び「デバイスソリューション」の各セグメントにより構成されており、それぞれの分野ごとに研究開発活動を行っております。「テクノロジーソリューション」では、次世代のサービス、サーバ、ネットワーク等に関する研究開発を行っております。「ユビキタスソリューション」では、パソコン、携帯電話等のユビキタス社会に不可欠な製品及び技術に関する研究開発を行っております。「デバイスソリューション」では、LSI、電子部品(半導体パッケージ及び電池)等の各種デバイス製品及び関連技術に関する研究開発を行っております。
当社グループでは、ICTを活用することによってどのようにイノベーションを起こし、これまでとは違う未来を創り出していくかについての考えを「Fujitsu Technology and Service Vision」としてまとめています。研究開発からお客様へのアプローチ、そして製品・サービスの提供に至るすべての事業活動をこのビジョンにもとづいて実行しています。このビジョンの中心的な考えとして、Human Centric Innovationというコンセプトを2014年に発表しました。これは先進技術で人をエンパワーする(力を与える)ことによって、ビジネスや社会のイノベーションを生み出す新たなアプローチです。
イノベーションは、人々の創造性、情報から導かれるインテリジェンス、そしてモノやインフラのつながり、という3つの要素を組み合わせることによって実現することができます。それぞれの要素は、人、情報、インフラストラクチャーという3つの経営資源に対応しています。
当社グループの研究開発活動は、2017年度のテーマであるHuman Centric Innovation: Digital Co-creationのもと、この3つの要素に対応した、以下のアクションアイテムに沿って行われています。
①ヒューマン・エンパワーメント
デジタル技術を活用して人をエンパワーします。
②クリエイティブ・インテリジェンス
データ分析とアルゴリズムから引き出されるインテリジェンスを活用します。
③コネクテッド・インフラストラクチャー
ビジネスや社会のインフラやモノ、プロセスをつないで価値を創造します。
上記の各アクションアイテム等に関する、当第1四半期における主な研究開発活動の成果は、以下のとおりです。また、当第1四半期における研究開発費の総額は、420億円です。
①ヒューマン・エンパワーメント
・肺のCT画像からAIで立体的に類似症例を検索する技術を開発
医療の現場では大量のCT画像を用いて疾患を確認しています。今まで、初期肺がんなど異常個所が1か所に集中している場合には類似症例を検索する技術はありました。しかし、肺炎など異常陰影が立体的に広がる疾患では、医師が改めて多くのCT画像を確認するため、専門知識が必要で時間もかかります。
今回、過去に撮影されたCT画像のデータベースの中から、異常陰影の立体的な広がり方が似ている症例が検索できる技術を開発しました。境界が複雑な臓器内の領域を画像解析で自動分割し、異常陰影をAIで認識し、立体的な広がり方が似た症例を85%の正解率で検索できます。従来は、手作業で文献などから似たような症例を探していましたが、この技術によって、診断時間を最大約6分の1に短縮できる可能性があります。高齢化による患者の増加に向けて医師の診断を支援し、現場の業務効率化に貢献します。
②クリエイティブ・インテリジェンス
・法人番号とLOD形式の公開情報から企業情報分析アプリを開発し無償公開開始
政府や公的機関、大学などでオープンデータの公開が進み、Linked Open Data(LOD)と呼ばれるオープンデータのネットワークは、900以上のサイトで1万以上のデータセットが公開されています。
今回、LODを用いた検索サービス「LOD4ALL」をベースに、国税庁公開の法人番号とインターネットに分散しているLOD形式の企業公開情報を紐づけて、様々な視点で可視化する企業情報分析Webアプリを開発し、一般公開しました。複数のサイトにまたがる情報を表示し、同じ調査対象に関して複数の観点での分析を行い、用途に応じて切り替える複数観点表示機能を搭載しています。多様な切り口で企業や地域の情報を把握することができ、法人向けの企業調査業務などを効率化し営業活動を支援します。
③コネクテッド・インフラストラクチャー
・仮想デスクトップシステムのボトルネック箇所を見つける自動分析技術を開発
働き方改革が提唱され、場所にとらわれない働き方を実現する仮想デスクトップシステムは、重要なICTインフラとして普及が進み、更なる安定運用が求められています。
今回、仮想デスクトップシステムのネットワーク上のパケットを観測し、ストレージが原因となるボトルネックを分析する技術を業界で初めて開発しました。本技術と、開発済みの仮想ネットワーク分析技術を組合せることで、性能劣化の原因を自動で特定します。試作システムを仮想マシン300台規模で実証した結果、原因特定作業に、従来2日かかっていたものが2時間程度になり、約10分の1の時間で分析ができました。お客さまの仮想デスクトップ運用管理者の負担を削減し、安定運用により、多くの企業や個人などの利用を促進し、働き方改革の推進を強力に支援します。
・高度なAIの適用拡大につなげるディープラーニング向け回路技術を開発し電力効率向上に成功
ディープラーニングの学習プロセスでは学習データをもとに膨大な演算処理が必要です。サーバなどのハードウェアでは、電力量で処理性能の上限が決まるため、学習処理を高速化するには電力効率を上げることが課題でした。
今回、データのビット幅を削減した独自の数値表現と、データを解析しながら演算精度を保つように小数点の位置を自動的に制御する演算アルゴリズムにより、電力効率を向上させる回路技術を開発しました。本技術を実装したハードウェアでのシミュレーションでは、LeNet(ニューラルネットワーク)を用いた学習の例で、32ビットの演算器で行った場合と比較して、演算器やメモリの消費電力を約75%削減できることを確認しました。これにより様々な場所のサーバで大規模なディープラーニング処理による高度なAI技術の適用領域の拡大が可能になります。
・ブロックチェーンの応用による安心・安全なデータ流通ネットワークを実現するソフトウェアを開発
ブロックチェーンをネットワーク向けに拡張・応用することにより分散データへのアクセス制御を実現する「富士通VPXテクノロジー」を活用し、従来、セキュリティやプライバシーの観点から相互利活用が進まなかった、様々な組織や企業内に蓄積されているデータの安全な流通を実現するソフトウェアを開発しました。
本ソフトウェアにより、データ提供者は、ブロックチェーンの分散台帳に提供可能なデータの属性情報や所在と紐付けられたID情報を登録することができ、データ利用者は、分散台帳から取得したい情報を容易に検索・取得申請することが可能になります。また、データにはアクセス権限の設定もでき、申請から取得までのプロセスは、利用者がアクセス権限を有している場合のみ自動的に実行され、提供者から利用者へと暗号化して送信可能になります。
④その他共通な基盤等
・リチウム二次電池の低コストを可能にするレアメタルのコバルトフリーなリン酸鉄系正極材料を開発
電気自動車や蓄電池に使われている高容量・高電圧なリチウム二次電池の正極には、レアメタルであるコバルトが使われていますが、今後は材料が不足し、価格の高騰が懸念されています。そのため、豊富で安価な鉄系の材料が注目されていますが、電圧が足らず、置き換えることはできませんでした。今回、コバルト系材料に匹敵する電圧を持つ、新しいリン酸鉄系の材料であるピロリン酸鉄リチウム「Li5.33Fe5.33(P2O7)4」の合成に成功しました。結晶構造と電気化学特性との相関を分析して鉄系材料の電圧を向上させる新たな要因を発見し、独自の材料設計と、原料の配合や材料形成を精密に制御する技術により実現しました。安全な固体二次電池用の低コスト正極材料として適用が期待できます。