有価証券報告書-第97期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

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2014/06/20 14:58
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対処すべき課題

今後につきましては、中国経済が減速感を伴いつつも緩やかな成長を続け、米国経済は個人消費・住宅投資の堅調さから成長ペースを加速させて行くことが見込まれます。また、欧州では景気持ち直しの動きからプラス成長が期待されております。これらのことから、世界経済は総じて回復の傾向を強めながら推移して行くものと想定されます。日本経済は、消費税率引き上げの影響から一時的な落ち込みが予想されますが、海外景気回復と公的需要が下支えとなって、景気後退には至らないものと考えられます。当社グループが属するエレクトロニクス業界では、今後も省エネや新エネルギー関連の市場拡大が続くことが想定されます。特に、自動車の燃費低減、安全性向上に寄与する電装化や海外の省エネ規制強化を背景とする白物家電のインバータ化進展などは、今後も更に加速し、関連電子部品に対する需要増が見込まれます。
こうした状況下、当社グループでは、売上規模拡大と海外展開加速を基本方針に、エコ・省エネ、グリーンエネルギーの領域で、「海外市場」、「汎用品市場」への取組みを強化し、2012年度中期経営計画の最終年度である2014年度の計画を達成してまいりたいと考えております。当社グループが得意とする車載品や白物家電の電子部品に対する需要は、今後も継続して増加する見通しです。この需要を確実に販売に結び付けるため、国内・海外の半導体生産拠点において積極的な増産投資を実施してまいります。また、新規顧客獲得・顧客密着のための技術センターを新設するほか、高い品質が要求される車載品の販売増に対応するため、更に品質管理体制を強化して行くなど、収益拡大・品質強化に向けた施策にも取組んでまいります。技術開発面では、引き続き次世代半導体の早期開発に努めるとともに、デジタル制御の高機能半導体の開発にも注力して行くことで、技術革新を進め、新製品創出力を高めてまいります。加えて、固定費抑制などの利益構造改善策も継続して実施することで、利益の向上にも努めてまいります。当社グループでは、こうした取組みを通じ、計画達成に向け邁進してまいる所存です。
当社では、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を次の通り定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次の通りです。
(1) 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
上場会社である当社の株式については、株主及び投資家の皆様による自由な取引が認められているため、当社取締役会としては、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方は、最終的には株主の意思により決定されるべきであり、当社株式に対する大規模な買付行為に応じて当社株式を売却するかどうかの判断も、最終的には当該株式を保有する株主の皆様の自由な意思によるべきものと考えます。
しかしながら、当社及び当社グループの経営にあたっては、独自のウエーハプロセスや半導体デバイスの製造技術、また回路技術を駆使した電源システムとオプティカルデバイスの組み合わせなど、幅広いノウハウと豊富な経験が必要になります。更に、お客様・取引先及び従業員等のステークホルダーとの間に築かれた関係等への十分な理解が不可欠であり、それなくしては将来実現することのできる株主価値を適正に判断することはできません。
当社は、当社株式の適正な価値を株主及び投資家の皆様にご理解いただくようIR活動に努めておりますものの、突然大規模な買付行為がなされたときに、買付者の提示する当社株式の取得対価が妥当か否かを株主の皆様が短期間の内に適切に判断するためには、買付者及び当社取締役会の双方から適切かつ十分な情報が提供されることが不可欠です。更に、当社株式の継続保有をお考えの株主の皆様にとっても、かかる買付行為が当社に与える影響や、買付者が考える当社の経営に参画したときの経営方針、事業計画の内容、当該買付行為に対する当社取締役会の意見等の情報は、当社株式の継続保有を検討するうえで重要な判断材料になると考えます。
以上を考慮した結果、当社としましては、大規模な買付行為を行う買付者において、株主の皆様の判断のために、当社が設定し事前に開示する一定の合理的なルールに従って、買付行為に関する必要かつ十分な情報を当社取締役会に事前に提供し、一定の評価期間が経過した後にのみ当該買付行為を開始する必要があると考えております。
また、大規模な買付行為の中には、当社に回復し難い損害をもたらすなど、当社株主共同の利益を著しく損なうものもないとはいえません。当社は、かかる買付行為に対して、当社取締役会が、当社が設定し事前に開示する一定の合理的なルールに従って適切と考える方策をとることも、当社株主共同の利益を守るために必要であると考えております(以上の当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する考え方について、以下「本基本方針」といいます。)。
(2) 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の当社の本基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
当社では、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社株主共同の利益に資するための取組みとして、以下の取組みを実施しております。
① 会社の経営の基本方針
当社は、当社グループが目指すべき方向性を明確にするため、平成15年4月に経営理念を制定しております。この理念に則り、半導体をコアビジネスに技術力と創造力の革新に努め、独自技術によるグローバルな事業展開を進めるとともに、企業に対する社会的要請や環境との調和に対する着実な対応を通じて、会社の価値を最大限に高めるべく、確固たる経営基盤の確保に邁進しております。
② 中長期的な会社の経営戦略
当社グループでは、平成24年4月から平成27年3月までの3ヶ年に亘る中期経営計画(以下「本計画」といいます。)を策定しております。
本計画では、基本方針として次の事項を定めております。
1) 真のグローバル企業への転換による企業体質の変革
2) エコ・省エネ、グリーンエネルギー市場を核とした成長戦略の実現
3) 技術マーケティングの確立と効率的な開発マネジメントによる新製品開発の促進
4) 革新的ものづくりの追求と販売・FAE機能の拡充による競争力の向上
5) グループリソースの最大活用と財務体質の強化
本計画では、事業ドメインを「Power Electronics」と定めております。当社グループでは、この分野におきましてエコ・省エネ技術(Eco-Solutions)を武器に、グローバルに市場を拡大(Expansion)し、開発・生産・販売・人材の各要素を進化(Evolution)させ、一段上の企業像(Next Stage)を目指すべく、スローガンを「Power Electronics for Next“E”Stage」と定めております。
③ コーポレート・ガバナンス強化
当社は、経営の効率化、透明性の向上及び健全性の維持を図るべく、取締役会の迅速かつ適確な意思決定と業務執行の監督機能を強化させる一方、執行役員制度の採用により機動的な業務執行体制の構築、マネジメント機能の強化を推し進めております。更に、CSR室及びIRグループの活動を通じて、コーポレート・ガバナンス体制の強化に努めております。また、経営環境の変化に迅速に対応できる経営体制の実現と、事業年度における取締役の経営責任の明確化を図るため、取締役の任期を2年から1年に短縮しております。
(3) 本基本方針の実現に資する特別な取組みに関する当社取締役会の考え方
当社取締役会は、上記(2)の取組みは、当社の企業価値を向上させ、当社株主共同の利益を著しく損なうような大規模買付行為の可能性を低減させるものであることから、本基本方針の内容に沿うものであり、かつ、当社株主共同の利益を損なうものではないと考えております。また、経営に係る基本方針、戦略及び体制強化を定め、これに対する取締役の経営責任の明確化を図っていることから、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
(4) 本基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み(当社株式の大規模買付行為への対応方針(買収防衛策))の概要
当社は、平成20年5月9日開催の当社取締役会において、平成20年6月27日開催の当社第91回定時株主総会の承認をもって、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為(市場取引、公開買付け等の具体的な買付方法の如何を問いません。また、公開買付けについては、公開買付開始公告をもって買付行為といたします。但し、あらかじめ当社取締役会が同意した買付行為は、本対応方針の適用対象からは除外いたします。)を適用対象とする大規模買付ルールを設定し、大規模買付者がこれを遵守した場合と遵守しなかった場合の対応方針(以下、「旧対応方針」といいます。)の採用を決定いたしました。なお、旧対応方針については、その有効期間が平成23年6月30日までに開催される第94回定時株主総会の終結の時までとされていたため、当社は、平成23年5月10日開催の当社取締役会において、第94回定時株主総会における株主の皆様のご承認をもって、旧対応方針を一部改定したうえで、「当社株式の大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)」(以下、「本対応方針」といいます。)として継続することを決定しました。改定後の内容は、平成23年5月10日付プレスリリース「会社の支配に関する基本方針及び当社株式の大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)の継続に関するお知らせ」を当社ウェブサイトにて公表しておりますので、そちらをご参照下さい。
(5) 本対応方針が本基本方針に沿うものであること、当社株主共同の利益を損なうものではないこと、及び当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないこと、並びにその理由
① 本対応方針が本基本方針に沿うものであること
本対応方針は、大規模買付ルールの内容、大規模買付行為が為された場合の対応方針、独立委員会の設置、株主及び投資家の皆様に与える影響等を規定するものです。本対応方針は、大規模買付者が大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報を当社取締役会に事前に提供すること、及び一定の評価期間が経過した後にのみ当該大規模買付行為を開始することを求め、これを遵守しない大規模買付者に対して当社取締役会が対抗措置を講じることがあることを明記しています。また、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、大規模買付者の大規模買付行為が当社株主共同の利益を著しく損なうものと当社取締役会が判断した場合には、かかる大規模買付者に対して当社取締役会は当社株主共同の利益を守るために適切と考える対抗措置を講じることがあることを明記しています。この様に本対応方針は、本基本方針の考え方に沿って設計されたものであるといえます。
② 本対応方針が当社株主共同の利益を損なうものではないこと
上記(1)で述べた通り、本基本方針は、当社株主共同の利益を尊重することを前提としています。本対応方針は、本基本方針の考え方に沿って設計され、当社株主の皆様が大規模買付行為に応じるか否かを判断するために必要な情報や当社取締役会の意見の提供、代替案の提示を受ける機会の提供を保障することを目的としております。本対応方針によって、当社株主及び投資家の皆様は適切な投資判断を行うことができますので、本対応方針が当社株主共同の利益を損なうものではなく、むしろその利益に資するものであると考えます。更に、本対応方針の発効・延長が当社株主の皆様の承認を条件としており、当社株主が望めば本対応方針の廃止も可能であることは、本対応方針が当社株主の共同の利益を損なわないことを担保していると考えられます。
なお、本対応方針は、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に公表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則を充足しています。
③ 本対応方針が当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと
本対応方針は、大規模買付行為を受け入れるか否かが最終的には当社株主の皆様の判断に委ねられるべきことを大原則としつつ、当社株主共同の利益を守るために必要な範囲で大規模買付ルールの遵守の要請や対抗措置の発動を行うものです。本対応方針は当社取締役会が対抗措置を発動する場合を事前かつ詳細に開示しており、当社取締役会による対抗措置の発動はかかる本対応方針の規定に従って行われます。当社取締役会は単独で本対応方針の発効・延長を行うことはできず、当社株主の皆様の承認を要します。また、大規模買付行為に関して当社取締役会が対抗措置をとる場合など、本対応方針に係る重要な判断に際しては、必要に応じて外部専門家等の助言を得るとともに、当社の業務執行を行う経営陣から独立している委員で構成される独立委員会へ諮問し、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされています。この様に、本対応方針には、当社取締役会による適正な運用を担保するための手続きも盛り込まれています。更に、本対応方針は、当社の株主総会で選任される取締役で構成される取締役会によりいつでも廃止することが可能です。したがって、本対応方針は、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社取締役の任期は1年であり、期差任期制は採用しておりませんので、本対応方針はスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交代を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。
以上から、本対応方針が当社役員の地位の維持を目的とするものでないことは明らかであると考えております。
(6) 本対応方針の非継続について
当社では、本対応方針が平成26年6月20日開催の当社第97回定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)終結の時をもって有効期限を迎えるに当たり、本対応方針の取扱いにつきまして、慎重に検討を重ねてまいりました。
その結果、当社は中期経営計画など経営施策への取組みを通じ、利益創出と株主還元の着実な実施に努め、併せて、社外取締役の選任など、コーポレート・ガバナンス体制の更なる強化にも努めて行くことが、経営方針へのご理解と企業価値への適正な評価に繋がるものであり、現時点で当社が優先して取組むべき事項であるとの考えに至りました。こうした取組みが、本対応方針を維持するよりも、企業価値及び株主共同の利益を著しく損なう大規模買付行為の可能性の低減に繋がるものと考えております。加えて、本対応方針導入後の会社法制の変化やこれまでに示された判例等も考慮いたしますと、本対応方針を継続する意義は相対的に低下しているものと考えております。
上記により、当社は、平成26年5月9日開催の取締役会におきまして、本定時株主総会終結の時をもって本対応方針を継続せず、廃止することを決定いたしました。
なお、当社は本対応方針を廃止した後も、当社株式の大規模買付行為が発生した場合には、当該大規模買付行為の是非に関し、株主の皆様に適切にご判断いただくため、大規模買付行為を行おうとする者に対し、必要かつ十分な情報提供を求めるとともに、適切な情報開示や株主の皆様が検討に必要な時間確保にも努め、また、金融商品取引法、会社法その他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。