有価証券報告書-第70期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/21 14:22
【資料】
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【項目】
109項目
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境は、国内では好調な企業収益や雇用環境が改善し、海外では米国や欧州経済も緩やかな回復が持続しておりますが、米中間の貿易摩擦の影響が今後懸念されるなど、依然として世界経済全体での先行きは不透明な情勢が続いています。
このような環境の下、企業価値である「Smiles for the Public ――人々が笑顔になれる社会をつくる――」を実現するため、社会の安全・安心に役立てる製品やサービスの創造に注力しております。国内では「音の報せる力」を核に、減災・防災市場での販売の強化を継続しており、セキュリティ分野においては、高画質の新型アナログカメラシステム(AHDカメラシステム)を市場へ投入し、市場シェアの拡大に向けた活動を強化しています。また、世界5地域での開発・生産・販売の推進をさらに加速させ、成長市場への新商品の投入と販売網拡大による事業拡大を進めております。
これらの結果、当期の売上高は44,180百万円(前年同期比+1,676百万円、3.9%増)となりました。営業利益は3,510百万円(前年同期比+575百万円、19.6%増)となりました。経常利益は3,561百万円(前年同期比+520百万円、17.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,138百万円(前年同期比+387百万円、22.2%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(日本)
売上高は27,299百万円(前年同期比△139百万円、0.5%減)、セグメント利益(営業利益)は5,384百万円(前年同期比+417百万円、8.4%増)となりました。
防災用スリムスピーカーの販売や、商業施設向けの放送設備の販売が伸長した一方、鉄道車両向けの販売が減少したことなどにより、売上高は減少しましたが、原価率が改善したことや販売費及び一般管理費が減少したことでセグメント利益は増加しました。
(アメリカ)
売上高は3,856百万円(前年同期比+715百万円、22.8%増)、セグメント利益(営業利益)は158百万円(前年同期比+174百万円)となりました。
アメリカで商業施設向けの放送設備や鉄道車両向けの販売が増加し、またカナダで教育市場での販売が堅調に推移したことなどにより、売上高、セグメント利益が増加しました。
(欧州・中東・アフリカ)
売上高は4,796百万円(前年同期比+419百万円、9.6%増)、セグメント利益(営業利益)は425百万円(前年同期比+80百万円、23.3%増)となりました。
欧州で非常放送規格に対応した非常用業務用放送システムの販売が引き続き好調に推移し、売上高、セグメント利益は増加しました。
(アジア・パシフィック)
売上高は6,725百万円(前年同期比+682百万円、11.3%増)、セグメント利益(営業利益)は858百万円(前年同期比+119百万円、16.2%増)となりました。
インドネシアやタイ、ベトナムでの放送設備の販売が堅調に推移しました。インドネシアでの大型スポーツ施設向けの販売や、ベトナムで官公庁向けの販売、各国での交通インフラ案件など、大口案件の受注が進み、売上高、セグメント利益は増加しました。
(中国・東アジア)
売上高は1,502百万円(前年同期比△0百万円、0.1%減)、セグメント利益(営業利益)は216百万円(前年同期比△83百万円、27.8%減)となりました。
中国においてネットワーク型放送設備の納入を進めましたが、香港での販売が減少したことなどにより、売上高、セグメント利益は減少しました。

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
日本13,517+1.1
アメリカ1,368+51.5
欧州・中東・アフリカ403+29.8
アジア・パシフィック6,332+6.6
中国・東アジア3,641+1.5
合計25,262+4.8

(注) 金額は製造原価ベース(消費税等別)によって記載しております。
②受注状況
当社は製品の性質上、原則として見込生産を行っております。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
日本27,299△0.5
アメリカ3,856+22.8
欧州・中東・アフリカ4,796+9.6
アジア・パシフィック6,725+11.3
中国・東アジア1,502△0.1
合計44,180+3.9

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
3 総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(2) 財政状態
当連結会計年度末における総資産は58,217百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,922百万円の増加となりました。資産の部における増加の要因は、投資有価証券の評価替えによる増加などによります。負債及び純資産の部における増加の要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上によって利益剰余金が増加したことなどによります。
当社及び子会社における資金需要は、製品の製造販売に関わる部材購入費や営業費用などの運転資金、設備投資資金、研究開発費が主なものであり、内部資金のほか、間接調達により十分な資金枠を確保しております。また、当社は複数の金融機関とコミットメントライン(特定融資枠契約)を締結しております。これらは、大きく変動する市場環境のなかで、事業成長のための資金需要に迅速に対応するためのものであります。なお、重要な資本的支出として、研究開発拠点の再開発を計画しております。こちらは、自己資金より支出される予定であります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は19,670百万円となり、前連結会計年度末に比べ508百万円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益による増加額3,561百万円、減価償却費917百万円、売上債権の増加額△751百万円、たな卸資産の増加額△144百万円、仕入債務の減少額△23百万円、法人税等の支払額△1,052百万円などにより、営業活動による資金の増加は2,760百万円となりました。
前連結会計年度との比較では、売上債権の増加による資金の減少が521百万円多かったことに加え、仕入債務の減少による資金の減少が391百万円多かったこと、法人税等の支払額が238百万円多かったことなどにより、280百万円の収入の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
生産設備や本社設備の取得による資金の減少1,196百万円などにより、投資活動による資金の減少は1,158百万円となりました。
前連結会計年度との比較では、有形固定資産の取得による支出が437百万円多かったこと、無形固定資産の取得による支出が121百万円多かったことなどにより、515百万円の支出の増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払743百万円などにより、財務活動による資金の減少は1,393百万円となりました。
前連結会計年度との比較では、短期借入金の返済による支出額が618百万円多かったことなどにより、597百万円の支出の増加となりました。