有価証券報告書-第74期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン普及などにより世界経済は緩やかな回復基調にあるものの、一部地域において変異ウイルスの拡大による移動制限など断続的な経済活動への影響が続いております。
また、原油、天然ガスや鋼材、半導体などの原材料価格の高騰や輸送コストの上昇などに加え、ウクライナ情勢をはじめとする地政学的リスクの高まりなど、世界経済の先行きについては引き続き注視が必要です。
このような環境の下、企業価値である「Smiles for the Public ――人々が笑顔になれる社会をつくる――」の実現に向け、新たに2030年を見据えた経営ビジョンとして、「Dr.Sound -社会の音を良くするプロフェッショナル集団- になる」を策定いたしました。お客さまに選ばれる良い音体験の継続的提供を通じ、音や映像を用いた社会課題の特定、解決、改善の一連のサイクルをお客さまと共に実現してゆく頼れるパートナーとして、人々の安心・信頼・感動の価値実現を目指してまいります。具体的には新たな価値の提供に向けて、さまざまなフィールドにおける実証実験など、これまで以上に産学官との共創や連携を深め、社会課題を解決する取組みを進めております。またデジタルマーケティングによる営業活動の強化、効率化をグループ全体で推進しております。
これらの結果、当期の売上高は40,864百万円(前年同期比+289百万円、0.7%増)となりました。利益については、売上高の増加はありましたが、原材料価格の高騰などによる原価率の上昇や販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は2,159百万円(前年同期比△133百万円、5.8%減)、経常利益は2,407百万円(前年同期比△150百万円、5.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,466百万円(前年同期比△130百万円、8.1%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(日本)
売上高は25,994百万円(前年同期比△1,567百万円、5.7%減)、セグメント利益(営業利益)は5,541百万円(前年同期比△597百万円、9.7%減)となりました。
教育市場向けの売上は伸長し、空港施設向けには大型案件の納入が進みました。また、街頭防犯需要の獲得などにより映像機器の売上高は増加しました。一方で、鉄道車両向けや需要の谷間にあった減災・防災市場向けの売上が減少しました。また、部品入手難による販売機会損失などにより音響機器の売上が減少し、セグメント全体での売上高は減少しました。売上高の減少に加え、原材料価格の高騰などによる原価率の上昇もあり、セグメント利益は減少しました。
(アジア・パシフィック)
売上高は6,418百万円(前年同期比+491百万円、8.3%増)、セグメント利益(営業利益)は1,133百万円(前年同期比+123百万円、12.2%増)となりました。
インドネシアやマレーシアにおいては、官公庁向けの大型案件の納入が進んだことや、宗教市場向け音響機器の販売が堅調に推移したことにより売上高は増加しました。タイやベトナムでは大型案件の納入が進みましたが、納期遅延の影響などを受け、売上高は減少しました。結果、セグメント全体での売上高は増加し、セグメント利益は増加しました。
(欧州・中東・アフリカ)
売上高は4,518百万円(前年同期比+623百万円、16.0%増)、セグメント利益(営業利益)は580百万円(前年同期比+267百万円、85.4%増)となりました。
中東やフランス、イギリス、南アフリカで大型案件の納入が進み、セグメント全体での販売も伸長しました。また、為替影響もあり、売上高は増加し、セグメント利益は増加しました。
(アメリカ)
売上高は2,081百万円(前年同期比+441百万円、26.9%増)、セグメント利益(営業利益)は127百万円(前年同期比+94百万円、277.6%増)となりました。
アメリカでは商業施設向けの大型案件の納入が進み、売上高は増加しました。またカナダでは、教育市場向けの販売が伸長し、売上高は増加し、セグメント利益は増加しました。
(中国・東アジア)
売上高は1,851百万円(前年同期比+301百万円、19.4%増)、セグメント利益(営業利益)は172百万円(前年同期比+6百万円、4.1%増)となりました。
台湾では大型スポーツ施設向けや工場市場向けの納入が進み、中国では教育市場向けなどに複数の大型案件の納入があり売上高は増加しました。香港での売上高は減少しましたが、セグメント全体の売上高は増加し、セグメント利益は増加しました。
当連結会計年度末における総資産は60,688百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,115百万円の増加となりました。資産の部は、棚卸資産の増加などにより増加しました。負債及び純資産の部は、仕入債務の増加や短期借入金の増加などにより増加しました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は17,264百万円となり、前連結会計年度末に比べ996百万円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
棚卸資産の増加額2,762百万円などがあったものの、税金等調整前当期純利益2,427百万円、減価償却費1,375百万円、仕入債務の増加額1,002百万円などにより、営業活動による資金の増加は1,632百万円となりました。
前連結会計年度との比較では、棚卸資産の増加による資金の減少が3,819百万円多かったことなどにより、3,658百万円の収入の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
情報インフラ基盤の取得による支出528百万円などにより、投資活動による資金の減少は752百万円となりました。
前連結会計年度との比較では、無形固定資産の取得による支出が319百万円多かった一方、ナレッジスクエアの開設が前連結会計年度において完了したことに伴い有形固定資産の取得による支出が1,774百万円少なかったことなどにより、1,319百万円の支出の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
短期借入金の純増減額による収入812百万円などがあったものの、配当金の支払649百万円やファイナンス・リース債務の返済による支出378百万円などにより、財務活動による資金の減少は458百万円となりました。
前連結会計年度との比較では、短期借入金の返済による純減額が1,405百万円少なかったこと、自己株式の取得による支出が1,004百万円少なかったことなどにより、2,597百万円の支出の減少となりました。
当社および子会社における資金需要は、製品の製造販売に関わる部材購入費や営業費用などの運転資金、設備投資資金、研究開発費が主なものであり、内部資金のほか、間接調達により十分な資金枠を確保しております。また、当社は複数の金融機関とコミットメントライン(特定融資枠契約)を締結しております。これらは、大きく変動する市場環境のなかで、事業成長のための資金需要に迅速に対応するためのものであります。
(3) 生産、受注及び販売の状況
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 金額は製造原価ベースによって記載しております。
②受注状況
当社グループは製品の性質上、原則として見込生産を行っております。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要となる事項の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン普及などにより世界経済は緩やかな回復基調にあるものの、一部地域において変異ウイルスの拡大による移動制限など断続的な経済活動への影響が続いております。
また、原油、天然ガスや鋼材、半導体などの原材料価格の高騰や輸送コストの上昇などに加え、ウクライナ情勢をはじめとする地政学的リスクの高まりなど、世界経済の先行きについては引き続き注視が必要です。
このような環境の下、企業価値である「Smiles for the Public ――人々が笑顔になれる社会をつくる――」の実現に向け、新たに2030年を見据えた経営ビジョンとして、「Dr.Sound -社会の音を良くするプロフェッショナル集団- になる」を策定いたしました。お客さまに選ばれる良い音体験の継続的提供を通じ、音や映像を用いた社会課題の特定、解決、改善の一連のサイクルをお客さまと共に実現してゆく頼れるパートナーとして、人々の安心・信頼・感動の価値実現を目指してまいります。具体的には新たな価値の提供に向けて、さまざまなフィールドにおける実証実験など、これまで以上に産学官との共創や連携を深め、社会課題を解決する取組みを進めております。またデジタルマーケティングによる営業活動の強化、効率化をグループ全体で推進しております。
これらの結果、当期の売上高は40,864百万円(前年同期比+289百万円、0.7%増)となりました。利益については、売上高の増加はありましたが、原材料価格の高騰などによる原価率の上昇や販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は2,159百万円(前年同期比△133百万円、5.8%減)、経常利益は2,407百万円(前年同期比△150百万円、5.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,466百万円(前年同期比△130百万円、8.1%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(日本)
売上高は25,994百万円(前年同期比△1,567百万円、5.7%減)、セグメント利益(営業利益)は5,541百万円(前年同期比△597百万円、9.7%減)となりました。
教育市場向けの売上は伸長し、空港施設向けには大型案件の納入が進みました。また、街頭防犯需要の獲得などにより映像機器の売上高は増加しました。一方で、鉄道車両向けや需要の谷間にあった減災・防災市場向けの売上が減少しました。また、部品入手難による販売機会損失などにより音響機器の売上が減少し、セグメント全体での売上高は減少しました。売上高の減少に加え、原材料価格の高騰などによる原価率の上昇もあり、セグメント利益は減少しました。
(アジア・パシフィック)
売上高は6,418百万円(前年同期比+491百万円、8.3%増)、セグメント利益(営業利益)は1,133百万円(前年同期比+123百万円、12.2%増)となりました。
インドネシアやマレーシアにおいては、官公庁向けの大型案件の納入が進んだことや、宗教市場向け音響機器の販売が堅調に推移したことにより売上高は増加しました。タイやベトナムでは大型案件の納入が進みましたが、納期遅延の影響などを受け、売上高は減少しました。結果、セグメント全体での売上高は増加し、セグメント利益は増加しました。
(欧州・中東・アフリカ)
売上高は4,518百万円(前年同期比+623百万円、16.0%増)、セグメント利益(営業利益)は580百万円(前年同期比+267百万円、85.4%増)となりました。
中東やフランス、イギリス、南アフリカで大型案件の納入が進み、セグメント全体での販売も伸長しました。また、為替影響もあり、売上高は増加し、セグメント利益は増加しました。
(アメリカ)
売上高は2,081百万円(前年同期比+441百万円、26.9%増)、セグメント利益(営業利益)は127百万円(前年同期比+94百万円、277.6%増)となりました。
アメリカでは商業施設向けの大型案件の納入が進み、売上高は増加しました。またカナダでは、教育市場向けの販売が伸長し、売上高は増加し、セグメント利益は増加しました。
(中国・東アジア)
売上高は1,851百万円(前年同期比+301百万円、19.4%増)、セグメント利益(営業利益)は172百万円(前年同期比+6百万円、4.1%増)となりました。
台湾では大型スポーツ施設向けや工場市場向けの納入が進み、中国では教育市場向けなどに複数の大型案件の納入があり売上高は増加しました。香港での売上高は減少しましたが、セグメント全体の売上高は増加し、セグメント利益は増加しました。
当連結会計年度末における総資産は60,688百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,115百万円の増加となりました。資産の部は、棚卸資産の増加などにより増加しました。負債及び純資産の部は、仕入債務の増加や短期借入金の増加などにより増加しました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は17,264百万円となり、前連結会計年度末に比べ996百万円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
棚卸資産の増加額2,762百万円などがあったものの、税金等調整前当期純利益2,427百万円、減価償却費1,375百万円、仕入債務の増加額1,002百万円などにより、営業活動による資金の増加は1,632百万円となりました。
前連結会計年度との比較では、棚卸資産の増加による資金の減少が3,819百万円多かったことなどにより、3,658百万円の収入の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
情報インフラ基盤の取得による支出528百万円などにより、投資活動による資金の減少は752百万円となりました。
前連結会計年度との比較では、無形固定資産の取得による支出が319百万円多かった一方、ナレッジスクエアの開設が前連結会計年度において完了したことに伴い有形固定資産の取得による支出が1,774百万円少なかったことなどにより、1,319百万円の支出の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
短期借入金の純増減額による収入812百万円などがあったものの、配当金の支払649百万円やファイナンス・リース債務の返済による支出378百万円などにより、財務活動による資金の減少は458百万円となりました。
前連結会計年度との比較では、短期借入金の返済による純減額が1,405百万円少なかったこと、自己株式の取得による支出が1,004百万円少なかったことなどにより、2,597百万円の支出の減少となりました。
当社および子会社における資金需要は、製品の製造販売に関わる部材購入費や営業費用などの運転資金、設備投資資金、研究開発費が主なものであり、内部資金のほか、間接調達により十分な資金枠を確保しております。また、当社は複数の金融機関とコミットメントライン(特定融資枠契約)を締結しております。これらは、大きく変動する市場環境のなかで、事業成長のための資金需要に迅速に対応するためのものであります。
(3) 生産、受注及び販売の状況
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
日本 | 22,127 | +4.6 |
アジア・パシフィック | 80 | +4.0 |
欧州・中東・アフリカ | 405 | +10.9 |
アメリカ | 47 | +361.0 |
中国・東アジア | 184 | +26.1 |
合計 | 22,845 | +5.0 |
(注) 金額は製造原価ベースによって記載しております。
②受注状況
当社グループは製品の性質上、原則として見込生産を行っております。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
日本 | 25,994 | △5.7 |
アジア・パシフィック | 6,418 | +8.3 |
欧州・中東・アフリカ | 4,518 | +16.0 |
アメリカ | 2,081 | +26.9 |
中国・東アジア | 1,851 | +19.4 |
合計 | 40,864 | +0.7 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要となる事項の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。