有価証券報告書-第66期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/27 14:33
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117項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ。)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループの主要市場である米国におきましては、堅調な企業業況による良好な雇用情勢が続いているものの、賃金は緩やかな伸びにとどまり、今年に入り個人消費の減速がみられるなど、景気拡大ペースは緩やかな減速となりましたが、引き続き底堅い景況観が継続すると思われます。欧州では設備並びに人手の不足に加え、生産、輸出、消費が総じて冴えず、景気拡大ペースが鈍化いたしました。中国におきましては、消費はやや減速感がみられますが、雇用情勢が改善するなど景気は底堅く推移しております。
わが国におきましては、輸出や企業の生産活動の落ち込みがみられましたが、雇用及び所得情勢が堅調に推移したことから、緩やかな景気回復の動きを維持しております。
このような状況下、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は67,779百万円(前連結会計年度末85,503百万円)となり、17,724百万円減少いたしました。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は12,491百万円(前連結会計年度末23,181百万円)となり、10,690百万円減少いたしました。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は26,842百万円(前連結会計年度末29,575百万円)となり、2,732百万円減少いたしました。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は2,711百万円(前連結会計年度末2,453百万円)となり、257百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は50,717百万円(前連結会計年度末76,656百万円)となり、25,939百万円減少いたしました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高130,130百万円(前期比2.8%減)、営業損失10,885百万円(前期は6,775百万円の営業損失)、経常損失11,909百万円(前期は7,726百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失24,709百万円(前期は6,745百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
所在地別セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(日本)
日本は、売上高36,199百万円(前期比16.0%増)、セグメント損失(営業損失)5,634百万円(前期は8,219百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
(米州)
米州は、売上高92,949百万円(前期比8.7%減)、セグメント損失(営業損失)965百万円(前期は131百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
(アジア)
アジアは、売上高853百万円(前期比211.5%増)、セグメント損失(営業損失)3,948百万円(前期は630百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
(欧州)
欧州は、売上高127百万円(前期比79.3%減)、セグメント損失(営業損失)83百万円(前期は45百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、売上債権の減少及び未払金の増加等があったものの、税金等調整前当期純損失の計上及び仕入債務の減少等により、前連結会計年度末に比べ8,320百万円(21.4%)減少し、当連結会計年度末には30,650百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果使用した資金は5,369百万円であり、前連結会計年度に比べ7,960百万円(59.7%)減少となりました。これは主に売上債権の減少及び未払金の増加があったものの、税金等調整前当期純損失の計上及び仕入債務が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は2,174百万円(前年同期は13,266百万円の獲得)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入及び貸付金の回収による収入があったものの、定期預金の預入による支出及び有形固定資産の取得による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は584百万円であり、前連結会計年度に比べ10,565百万円(94.8%)減少となりました。これは主に配当金の支払によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
日本(百万円)6,72680.5
米州(百万円)1,844-
アジア(百万円)94,581115.2
欧州(百万円)--
合計(百万円)103,151114.0

(注)1.金額は製造価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループが販売している自己ブランド製品は需要予測による見込生産を行っております。従いまして、受注実績は記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
日本(百万円)36,199116.0
米州(百万円)92,94991.3
アジア(百万円)853311.5
欧州(百万円)12720.7
合計(百万円)130,13097.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。なお、金額には消費税等は含まれておりません。
相手先前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
金額
(百万円)
割合(%)金額
(百万円)
割合(%)
WAL-MART STORES,INC.78,53058.777,97959.9
株式会社ヤマダ電機9970.717,11513.2

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されており、その作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告数値及び収益、費用の報告数値について影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は過去の実績や状況に応じた合理的な見積り、判断及び仮定により継続的に検証し意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は67,779百万円(前連結会計年度末85,503百万円)となり、17,724百万円減少いたしました。
現金及び預金の減少(40,136百万円から32,390百万円へ7,745百万円減)、受取手形及び売掛金の減少(15,571百万円から9,953百万円へ5,617百万円減)、商品及び製品の減少(15,459百万円から13,251百万円へ2,208百万円減)が大きく、その原因の主なものは、売上が減少したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は12,491百万円(前連結会計年度末23,181百万円)となり、10,690百万円減少いたしました。
有形固定資産の減少(12,963百万円から8,193百万円へ4,770百万円減)、特許権の減少(2,576百万円減)及び投資その他の資産のその他に含まれている長期前払費用の減少(2,620百万円から502百万円へ2,117百万円減)が大きく、その原因の主なものは、固定資産の減損損失を計上したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は26,842百万円(前連結会計年度末29,575百万円)となり、2,732百万円減少いたしました。
支払手形及び買掛金の減少(18,603百万円から11,808百万円へ6,794百万円減)、未払金の増加(7,280百万円から10,372百万円へ3,091百万円増)が大きく、支払手形及び買掛金の減少の原因の主なものは、原材料等の仕入が減少したことによるものであります。また、未払金の増加の原因の主なものは、特許権使用料に係る未払金の増加によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は2,711百万円(前連結会計年度末2,453百万円)となり、257百万円増加いたしました。
長期未払金の増加(281百万円から744百万円へ463百万円増)が大きく、その原因の主なものは、特許権使用料に係る未払金の増加によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は50,717百万円(前連結会計年度末76,656百万円)となり、25,939百万円減少いたしました。
その原因の主なものは、為替換算調整勘定の減少(△11,206百万円から△12,305百万円へ1,099百万円減)及び利益剰余金の減少(47,020百万円から21,970百万円へ25,050百万円減)によるものであります。
2)経営成績
(売上高)
当社グループの主力であるディスプレイ事業におきまして、国内市場ではFUNAIブランドの販売開始により増収となりました。一方、主要市場である北米では、液晶テレビの需要が前年比で減少傾向となるなか、液晶テレビ市場へ中国メーカーが大型モデルを中心に大量に出荷したことなどにより、製品供給が過剰となった結果、競合相手とのさらなる価格競争の激化により販売台数が下振れした影響を受け、同製品の売上高が当初計画を大幅に下回る結果となりました。また、DVD関連製品につきましては、市場規模の縮小に伴い前期比で売上高が減少いたしました。さらに前連結会計年度において連結子会社であったDXアンテナ株式会社の当社保有全株式をエレコム株式会社に譲渡し、連結の範囲から除外したため、同社が販売していた受信関連用電子機器の売上がなくなり減収となりました。これらの影響により、売上高は前期比2.8%減の130,130百万円となりました。
(営業損失)
液晶テレビの販売台数の減少に加え、年末商戦向けに価格が下落する前に調達した液晶パネル並びにそのパネルを使用して生産した液晶テレビを在庫として抱えることになり販売促進費の負担が増加したこと、液晶パネルの価格下落局面で価格競争力のある製品をタイムリーに供給できなかったこと、メモリなどの部材価格が高止まりしていることなどから、営業損失は10,885百万円(前期は6,775百万円の営業損失)となりました。
(経常損失)
米ドルに対する円高による為替差損が発生したことから、経常損失は11,909百万円(前期は7,726百万円の経常損失)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
減損損失を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純損失は24,709百万円(前期は6,745百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
当社グループは前連結会計年度に中期経営方針を策定し、当連結会計年度においては売上高160,000百万円、営業利益600百万円を目標として経営を進めてまいりましたが、当該目標をいずれも下回る結果となりました。このため当連結会計年度の経営成績の下振れ要因を詳細に分析・検討し、以下の基本戦略を柱とする経営方針への見直しを当連結会計年度に実施いたしました。今後、この新たな経営方針に基づいて経営成績の改善を図ってまいります。
基本戦略① 北米市場におけるマーケット・シェアの拡大
・ウォルマートに続く大手量販店との取引拡充
・AIテレビなどの高付加価値製品の市場投入
基本戦略② 日本市場におけるFUNAIブランド浸透
・有機ELテレビの市場投入をはじめとするFUNAIブランド製品のラインナップ強化
・広告宣伝強化と顧客満足度向上によるブランドの浸透
基本戦略③ 新規ビジネスの展開
・オフィスソリューション事業で培った研究開発の成果から新たな製品を展開
・マイクロフルイディクス(微量流体制御技術)応用製品、ヘルスケア・メディカル機器、車載用機器、及び業務用映像機器などの新規事業を積極的に展開
・アライアンス企業との提携により、電気自動車(EV)関連事業の幅広い分野への算入
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、主要製品である液晶テレビの需要動向及び競争環境、並びに部材価格動向などがあります。当連結会計年度におきましては、当社グループの主要市場である北米において、液晶テレビの需要が前年比で減少傾向となるなか、液晶テレビ市場への製品供給が過剰となった結果、競合相手とのさらなる価格競争の激化により販売台数が下振れした影響を受け、同製品の売上高が当初計画を大幅に下回る結果となりました。また、液晶テレビの販売台数の減少に加え、年末商戦向けに価格が下落する前に調達した液晶パネル並びにそのパネルを使用して生産した液晶テレビを在庫として抱えることになり販売促進費の負担が増加したこと、メモリなどの部材価格が高止まりしていることなどから営業損失を計上することとなりました。このため、今後はAIテレビなどの高付加価値製品の投入、顧客別セグメンテーションの最適化を通じた戦略的な製品展開によって価格競争の影響を軽減すること及び市場の動向に迅速かつ柔軟に対応すべくサプライチェーンマネジメントの徹底を図ることなどを通じて、液晶テレビの市場動向及び部材価格の動向が経営に及ぼす影響を軽減してまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
資金需要
当社グループの資金需要は主に大きく分けて運転資金需要及び設備資金需要があります。
運転資金需要のうち主なものは製品の仕入、製造子会社では製品を製造するための材料仕入、製造費、共通するものとして販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要といたしましては、主に機械装置並びに工具、器具及び備品等の固定資産購入によるものであります。
財務政策
当社グループは現在、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金より充当し、不足が生じた場合は銀行からの借入金で調達を行っております。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、本業における利益率を高めることが全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、売上高営業利益率を最も重要な指標として位置付けております。
前連結会計年度に中期経営方針を策定し、当連結会計年度におきましては売上高160,000百万円、営業利益600百万円を目標として経営を進めてまいりましたが、実績といたしましては売上高130,130百万円、営業損失10,885百万円となり、売上高営業利益率はマイナス8.4%(前年同期比3.3ポイント低下)となりました。営業損益につきましては、赤字が継続しており、厳しい収益状況が続いていることから、赤字からの脱却が急務かつ最優先課題であると認識しております。このため、当連結会計年度におきまして中期経営方針を見直し、持続的な成長に向けて収益構造改革を実現する「2018年度経営方針」を策定し、新たな3か年の経営成績目標を以下のとおりとしております。今後はこの経営成績目標の着実な達成並びに売上高営業利益率の改善に向けて取り組んでまいります。
中期経営成績目標
平成31年3月期平成32年3月期平成33年3月期
売上高103,000百万円113,000百万円130,000百万円
営業利益
(売上高営業利益率)
400百万円
(0.4%)
700百万円
(0.6%)
1,100百万円
(0.8%)

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(日本)
前連結会計年度において連結子会社であったDXアンテナ株式会社の当社保有全株式をエレコム株式会社に譲渡し、連結の範囲から除外したため、同社が販売していた受信関連用電子機器の売上がなくなり減収となりましたが、液晶テレビやBDレコーダーは販売が好調に推移したことにより増収となり、売上高は36,199百万円(前期比16.0%増)となりました。しかしながら、損益につきましては、本社において研究開発費を負担していることなどにより、セグメント損失(営業損失)5,634百万円(前期は8,219百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
(米州)
液晶テレビ、DVD関連製品やインクカートリッジが減収となり、売上高は92,949百万円(前期比8.7%減)となりました。また、液晶テレビ市場の規模縮小によって製品供給が過剰となったことから価格競争が激化し、多くの販売協力金を計上したことなどにより、セグメント損失(営業損失)は965百万円(前期は131百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
(アジア)
液晶テレビやその他部品が増収となり、売上高は853百万円(前期比211.5%増)となりました。液晶パネルやメモリを含む半導体関連部品の価格高騰などにより、セグメント損失(営業損失)は3,948百万円(前期は630百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
(欧州)
インクジェットプリンターやインクカートリッジが減収となりました。この結果、売上高は127百万円(前期比79.3%減)、セグメント損失(営業損失)は83百万円(前期は45百万円のセグメント利益(営業利益))となりました。