四半期報告書-第68期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/02/13 9:09
【資料】
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【項目】
37項目
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①財政状態
当第3四半期連結会計期間末の財政状態は下記のとおりであります。
資産の部につきましては、前連結会計年度末に比べて8,998百万円減少いたしました。その主なものは、受取手形及び売掛金が3,658百万円増加し、現金及び預金が3,909百万円、商品及び製品が6,942百万円、原材料及び貯蔵品が1,381百万円減少したことなどによるものであります。
負債の部につきましては、前連結会計年度末に比べて7,192百万円減少いたしました。その主なものは、支払手形及び買掛金が6,916百万円減少したことなどによるものであります。
純資産の部につきましては、前連結会計年度末に比べて1,805百万円減少いたしました。その主なものは、利益剰余金が1,580百万円、為替換算調整勘定が159百万円減少したことなどによるものであります。
②経営成績
当社グループの主要市場である米国におきましては、2019年に実施された3回の政策金利の引き下げ等の金融政策の効果もあり景気拡大が11年目に入っております。健全な労働市場、賃金の上昇、堅調な消費マインドに支えられ家計支出は引き続き強い状況であります。一方、海外経済の低成長と中国との関税交渉等が重石となり、設備投資や輸出は弱含んだままとなっております。しかし、経済全体としては緩やかな成長が続いており、2019年末の連邦準備理事会では4回目の利下げは見送られました。中国におきましては、政策による下支えにより景気は底這い基調にあります。2019年末に米中両政府が貿易協議の第1段階で合意したことは、今後の米中両国の景気動向にプラスに働くとみられております。
わが国におきましては、経済は比較的堅調を維持しておりますが、2019年10月の消費税増税や台風の影響で個人消費や生産面で落ち込みがみられます。2019年末の米中貿易協議の一部合意により貿易摩擦が緩和することが予測され海外経済は一部回復傾向がみられるものの、緊迫が続く中東情勢などを起因とする不確実性の増大に伴うリスクが懸念されます。
一方、中国で2019年末に発生し世界的な流行が懸念されている新型肺炎は中国国内需要の押し下げにとどまらず日本を含め全世界の景気に影響を及ぼす可能性があります。更に、中国国内の当社取引先の生産活動にも影響が及ぶことが懸念されており、当社としてはその影響を最小限にとどめるべく、今後の状況を注視している段階であります。
このような状況下、当社グループの当第3四半期連結累計期間の売上高は、70,241百万円(前年同四半期比13.3%減)となりました。これは第1四半期から第2四半期前半において、米国トランプ政権の関税強化措置(第4弾)の対象製品となった中国製液晶テレビが米国市場に前倒しで輸出されたことや中国市場における液晶テレビの需要が減少し対米輸出が増加したことに加え、中国パネルメーカーによる高水準の液晶パネル供給に液晶テレビの需要が追い付かず液晶パネルの価格が下落し、製品の市場価格を押し下げたことなどから、当社の液晶テレビ新規売上が減少いたしました。当第3四半期は概ね計画通りの売上となり、第2四半期までの減収分を挽回することができませんでした。損益につきましては、前述のとおり売上高減少及び販売単価の下落と、過剰な流通在庫に対応する販売促進費用等の経費が増加したことなどから、営業損失は1,889百万円(前年同四半期は484百万円の営業損失)となりました。経常損失は1,478百万円(前年同四半期は96百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は1,579百万円(前年同四半期は702百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益)となりました。
所在地別セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(日本)
薄型テレビやBDレコーダーなどの「FUNAIブランド」製品は、当連結会計年度においてハイエンド製品である有機ELテレビを含む製品ラインアップを刷新し更なる拡売を図るとともに、2019年6月1日から新規商材であるネイルアートプリンター「CureNel」の市場投入を開始し、年末商戦も堅調に推移いたしました。しかし、液晶テレビ等の単価下落の影響もあり、売上高は26,002百万円(前年同四半期比5.1%減)となりました。セグメント損失(営業損失)は2,446百万円(前年同四半期は68百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。
(米州)
第1四半期から第2四半期前半において、中国製の液晶テレビなどが関税引上げの対象製品となっていたことを背景に対米輸出が大幅に前倒しされたことに加えて、中国市場における液晶テレビ需要の減少によって中国から米国への液晶テレビの輸出が急増いたしました。また、中国パネルメーカーによる液晶パネルの供給過剰に液晶テレビの需要が追いつかず、液晶パネル価格が下落し、製品の市場価格も更に下落が進みました。当第3四半期は、液晶テレビの製品価格が下げ止まり、在庫水準も概ね通常の水準に回復し、ブラックフライデーなど年末商戦が堅調に推移いたしました。この結果、売上高は43,251百万円(前年同四半期比18.1%減)となり、セグメント利益(営業利益)は269百万円(前年同四半期比244.9%増)となりました。
(アジア)
部品関連の販売が減収となりましたが、液晶テレビが増収となり、売上高は989百万円(前年同四半期比23.2%増)、セグメント利益(営業利益)は141百万円(前年同四半期比76.6%減)となりました。
(その他)
欧州においては、インクカートリッジの販売が終了したことから計上すべき売上はありません。セグメント利益(営業利益)は98百万円(前年同四半期は18百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。なお、前連結会計年度まで欧州としておりましたが、重要性が乏しくなったため、第1四半期連結会計期間より報告セグメントから除外し、その他としております。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、3,879百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 継続企業の前提に関する重要な事象を解消するための対応策
当社グループは、「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」に記載のとおり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
現状の当社グループの現金及び預金の残高にて、当面の間の運転資金が十分に賄える状況であることから、重要な資金繰りの懸念はありません。
また、当社グループは前連結会計年度に策定した中期経営方針に基づいて、以下の事業別方針に沿って対応策を段階的に実行していることから、当該事象の解消が実現できるものと考えております。
① ディスプレイ事業(薄型テレビ等)
・更なる新規量販店でのマーケット・シェア拡充と品質・コストなどトータルでの競争力強化
・北米クリスマス商戦等への取り組み強化と内外サービス業務プロセス改善による返品・廃棄の削減
・日本市場では高度BS対応テレビ販売、メキシコ市場にてビジネスモデル再構築によるシェア回復
② デジタルメディア事業(DVD・BD関連機器)
・北米市場において他社が撤退したBDプレイヤーでニッチ戦略を展開しマーケット・シェア奪取
・日本市場におけるFUNAIブランド製品のラインナップ強化とOEM先との連携強化
③ プリンティングソリューション事業(プリンター関連機器)
・ネイルアートプリンターのOEM並びに自社ブランドの販売拡充による収益率の向上
・大容量インクジェットプリンター及びラベルプリンターの販売拡大
・マイクロフルイディクス(微量流体制御技術)を活かした派生製品の市場投入による売上拡大
④ 新規事業
・車載用バックライト(エッジタイプとダイレクトタイプ)等の車載関連の拡充による販売拡大
・歯科用CTに加えて医療、ヘルスケア関連モジュール製品の販売拡大と収益基盤確保
・EV事業を通じたアライアンス戦略強化と業務用ディスプレイに関する新製品の量産・販売開始