有価証券報告書-第98期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/22 14:20
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【項目】
128項目
連結会社に関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容です。
連結会社の連結財務諸表は、連結財務諸表規則第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たり必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。また、当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4) 重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しています。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において連結会社が判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、2020年初めより新型コロナウイルス感染症が拡大し、世界的に経済が大きく落ち込みました。日本の企業収益や業況感は、4月に発令された緊急事態宣言が段階的に解除されていくにつれ、4、5月を底として再び持ち直し始めたものの、新型コロナウイルス感染症による先行きの不確実性が高い状況が続きました。自動車の国内生産、輸出は5月を底としてその後回復基調となりましたが、新型コロナウイルス感染症の状況が不安定であったほか、半導体や素材不足などの影響により車両の生産は世界、日本ともに前年比マイナスとなりました。
連結会社は、「デンソーグループ2030年長期方針」を策定し、「地球に、社会に、すべての人に、笑顔広がる未来を届けたい」というスローガンを定めています。一方、新型コロナウイルスの影響や品質問題の発生などにより社会やお客さまへの新しい価値の提供と、経営・信頼の基盤である品質の立て直しが急務となりました。そのために「環境」「安心」分野での成長戦略の立案・実行と、環境変化に左右されない「引き締まった強靭な企業体質への転換」を同時に推進すべく、デンソー変革プラン「Reborn(リボーン)21」の取り組みを開始しました。デンソーは、「環境」「安心」分野で社会に確かな貢献をすることで「共感」いただける企業を目指し続けます。
① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
当連結会計年度の経営成績については、売上収益は、新型コロナウイルス感染症の拡大による市場減速の影響により、第1四半期に車両販売が大幅に減少し、その後回復に転じたものの、半導体や素材不足による売上減少などもあり4兆9,367億円(前年度比2,168億円減、4.2%減)と減収になりました。
営業利益は新型コロナウイルス感染症の影響による操業度差損や品質費用の引当があったものの、緊急の止血施策やソフト開発ツール導入による研究開発の効率化など体質変革の加速により、1,551億円(前年度比940億円増、153.9%増)、税引前利益は1,938億円(前年度比1,041億円増、116.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,251億円(前年度比570億円増、83.6%増)と増益になりました。
当連結会計年度の財政状態については、資産は、その他の金融資産の増加等により、6兆7,677億円(前年度末比1兆1,159億円増)となりました。
負債は、社債及び借入金の増加等により、2兆6,910億円(前年度末比5,981億円増)となりました。
資本は、投資有価証券の評価時価の上昇等により、4兆767億円(前年度末比5,178億円増)となりました。
セグメント別の業績については、日本は、トヨタ自動車株式会社向けを中心とする販売の増加等はあったものの、売上収益は、3兆1,770億円(前年度比865億円減、2.7%減)と微減となりました。営業利益は、品質費用の引当等があったものの226億円の営業利益(前年度は888億円の営業損失)となりました。資産は、その他の金融資産や有形固定資産の増加等により、4兆5,854億円(前年度末比8,587億円増)となりました。
北米地域は、売上収益は1兆262億円(前年度比1,501億円減、12.8%減)と減収、営業利益は、146億円(前年度比89億円減、37.7%減)と減益になりました。資産は、営業債権及びその他の金融資産や棚卸資産の増加等により、6,754億円(前年度末比502億円増)となりました。
欧州地域の売上収益は5,197億円(前年度比636億円減、10.9%減)と減収、営業利益は、31億円(前年度比112億円減、78.3%減)と減益になりました。資産は、営業債権及びその他の債権や棚卸資産の増加等により、4,164億円(前年度末比302億円増)となりました。
アジア地域は中国での売上が当連結会計年度を通じて牽引し、売上収益は1兆3,038億円(前年度比254億円増、2.0%増)と増収、営業利益は、1,114億円(前年度比81億円増、7.9%増)と増益になりました。資産は、現金及び現金同等物や営業債権及びその他の債権の増加等により、1兆2,620億円(前年度末比1,901億円増)となりました。
その他地域は、売上収益は404億円(前年度比203億円減、33.5%減)と減収、営業利益は70億円(前年度比28億円減、28.4%減)と減益になりました。資産は、棚卸資産や営業債権及びその他の債権の増加等により、427億円(前年度末比45億円増)となりました。
第1四半期ではアジアを除くすべての地域で営業損失となっておりましたが、当連結会計年度累計ではすべての地域で黒字となりました。
② 生産、受注及び販売の状況
ⅰ) 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
日本2,324,58899.4
北米1,012,97585.9
欧州479,32086.3
アジア1,143,050104.3
報告セグメント計4,959,93396.0
その他45,18373.9
合計5,005,11695.7

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
ⅱ) 受注実績
連結会社はトヨタ自動車株式会社を始めとして、各納入先より四半期ごとに生産計画の提示を受け、連結会社の生産能力を勘案して生産計画を立てる等、すべて見込生産を行っています。
ⅲ) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
日本2,280,65098.6
北米999,90187.3
欧州482,28288.0
アジア1,134,088104.3
報告セグメント計4,896,92196.1
その他39,80466.3
合計4,936,72595.8

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先前連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
トヨタ自動車㈱1,416,20227.51,474,40929.9

3.本表の金額には、消費税等は含まれていません。
(2) キャッシュ・フローの状況
① キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況については、現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、営業活動により4,372億円増加、投資活動により3,959億円減少、財務活動により2,387億円増加等の結果、当連結会計年度は前連結会計年度と比べ2,996億円増加し、8,974億円となりました。
営業活動により得られた資金は、前年度の5,953億円に対し、4,372億円となり、1,581億円減少しました。この減少は、売上債権の増減額が前年度と比べ、2,044億円増加したこと等によるものです。
投資活動により使用した資金は、前年度の4,474億円に対し、3,959億円となり、515億円減少しました。この減少は、資本性金融商品の取得による支出が492億円減少したこと等によるものです。
財務活動により得られた又は使用した資金は、前年度の2,409億円の資金の減少に対し、2,387億円の資金の増加となり、4,796億円増加しました。この増加は、借入金の調達額が8,880億円増加したこと等によるものです。
当連結会計年度における有形固定資産の取得額は、前連結会計年度の4,245億円から6.8%減少し、3,955億円となりました。この減少は、止血施策の一環として投資案件の精査を強化したことによるものです。
② 資本の財源及び資金の流動性について
資本の財源及び資金の流動性について、連結会社の運転資金及び設備投資資金は、主として自己資金により充当し、必要に応じて借入又は社債の発行等による資金調達を実施することを基本方針としています。
当連結会計年度は、連結会社の運転資金及び設備投資資金について、自己資金及び、借入・社債発行による資金を充当しました。
連結会社の資本的支出は、生産拡大対応、次期型化、新製品切替及び新製品開発のための研究開発投資を重点的に推進する予定であり、その財源は、上記基本方針に従ったものとする予定です。
連結会社は、その健全な財務状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力等により、連結会社の成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えています。