有価証券報告書-第97期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/19 14:20
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90項目
連結会社に関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容です。
連結会社の連結財務諸表は、連結財務諸表規則第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たり必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。また、当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4) 重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しています。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において連結会社が判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、米中貿易摩擦等、保護主義の拡大が世界貿易に影響し、経済が減速局面入りしたところ、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が加わり、全世界の経済がさらに悪化しました。日本経済は、消費税の増税影響等により、成長が鈍化しました。自動車市場は、米中は貿易摩擦、インドは金融不安、ASEANではローン規制強化等の影響により縮小し、日本でも消費税の増税影響等により縮小しました。加えて、新型コロナウイルス感染症拡大の影響も2020年2月以降に顕在化し、各市場とも、前年度比でマイナスに転じました。
連結会社は、「デンソーグループ2030年長期方針」を策定し、「地球に、社会に、すべての人に、笑顔広がる未来を届けたい」というスローガンを定めました。また、この長期方針を実現するための道筋として、「デンソーグループ2025年長期構想」を策定し、「電動化」、「先進安全・自動運転」、「コネクティッド」、「非車載事業(FA※/農業)」を注力分野に定め、事業活動を通じて、笑顔広がる社会づくりに貢献していきます。
※FA:ファクトリー・オートメーション(生産ラインの機械化による自動化)
① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
当連結会計年度の経営成績については、売上収益は、物量ベースで第3四半期までは前年度比で横ばいを維持していたものの、為替や第4四半期の新型コロナウイルス感染症拡大による大幅な市場減速の影響により、5兆1,535億円(前年度比2,093億円減、3.9%減)と減収になりました。
営業利益は下半期に発生した品質費用の引当や、売上減少に伴う操業度差損等により、611億円(前年度比2,551億円減、80.7%減)、税引前利益は896億円(前年度比2,664億円減、74.8%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は681億円(前年度比1,864億円減、73.2%減)と減益になりました。
当連結会計年度の財政状態については、資産は、営業債権及びその他の債権の減少等により、5兆6,518億円(前年度末比1,406億円減)となりました。
負債は、引当金の増加等により、2兆929億円(前年度末比709億円増)となりました。
資本は、投資有価証券の評価時価の下落等により、3兆5,589億円(前年度末比2,115億円減)となりました。
セグメント別の業績については、日本は、トヨタ自動車株式会社向けを中心とする販売の増加等はあったものの、消費税の増税影響や輸出の減少により、売上収益は、3兆2,635億円(前年度比25億円減、0.1%減)と微減となりました。営業利益は、品質費用の引当等により888億円の営業損失(前年度は1,260億円の営業利益)となりました。資産は、現金及び現金同等物や繰延税金資産の増加等により、3兆7,267億円(前年度末比1,953億円増)となりました。
北米地域は、市場の減速や為替の影響により、売上収益は1兆1,763億円(前年度比361億円減、3.0%減)減収、営業利益は、合理化努力があったものの、操業度差損や生産能力増強のための投資等により235億円(前年度比61億円減、20.6%減)と減益になりました。資産は、その他の金融資産や棚卸資産の増加等により、6,252億円(前年度末比103億円増)となりました。
欧州地域は、市場の減速により、売上収益は5,833億円(前年度比692億円減、10.6%減)と減収、営業利益は、操業度差損や労務費の増加により、144億円(前年度比85億円減、37.1%減)と減益になりました。資産は、営業債権及びその他の債権や有形固定資産の減少等により、3,862億円(前年度比237億円減)となりました。
アジア地域も、市場の減速により、売上収益は1兆2,785億円(前年度比1,379億円減、9.7%減)と減収、営業利益は、操業度差損等により、1,033億円(前年度比251億円減、19.6%減)と減益になりました。資産は、営業債権及びその他の債権や現金及び現金同等物の減少等により、1兆719億円(前年度末比322億円減)となりました。
その他地域は、売上収益は607億円(前年度比120億円減、16.5%減)と減収、営業利益は98億円(前年度比5億円減、5.2%減)と減益になりました。資産は、営業債権及びその他の債権や有形固定資産の減少等により、382億円(前年度末比87億円減)となりました。
② 生産、受注及び販売の状況
ⅰ) 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
日本2,338,673100.2
北米1,178,80998.3
欧州555,36190.6
アジア1,096,20389.7
報告セグメント計5,169,04696.3
その他61,17382.0
合計5,230,21996.1

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
ⅱ) 受注実績
連結会社はトヨタ自動車株式会社を始めとして、各納入先より四半期ごとに生産計画の提示を受け、連結会社の生産能力を勘案して生産計画を立てる等、すべて見込生産を行っています。
ⅲ) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
(百万円)
前年同期比(%)
日本2,313,046101.3
北米1,145,23096.9
欧州548,30190.0
アジア1,086,86289.4
報告セグメント計5,093,43996.3
その他60,03783.3
合計5,153,47696.1

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先前連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
トヨタ自動車㈱1,321,90124.61,416,20227.5

3.本表の金額には、消費税等は含まれていません。
(2) キャッシュ・フローの状況
① キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況について、現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、営業活動により5,953億円増加、投資活動により4,474億円減少、財務活動により2,409億円減少等の結果、当連結会計年度は前連結会計年度と比べ1,138億円減少し、5,978億円となりました。
当連結会計年度における営業活動から得た資金は、前連結会計年度の5,335億円に対し、5,953億円となり、618億円増加しました。この増加は、資金流出を伴わない項目である引当金の増減額が1,697億円増加したことや、売上債権の回収額が1,146億円増加したことによるものですが、税引前利益が2,664億円減少したことにより、一部相殺されています。
当連結会計年度における投資活動に使用した資金は、前連結会計年度の5,147億円に対し、4,474億円となり、673億円減少しました。この減少は、定期預金の預入額が821億円減少したことによるものです。
当連結会計年度における財務活動に使用した資金は、前連結会計年度の922億円に対し、2,409億円となり、1,487億円増加しました。この増加は、借入金の調達額が1,259億円減少したことや、社債の発行額が900億円減少したことによるものですが、自己株式の取得額が284億円減少したことにより、一部相殺されています。
当連結会計年度における有形固定資産の取得額は、前連結会計年度の4,102億円から3.5%増加し、4,245億円となりました。この増加は、次期型化や拡販等の事業成長に向けた投資に加え、電動化投資をグローバルに加速したことによるものです。
② 資本の財源及び資金の流動性について
資本の財源及び資金の流動性について、連結会社の運転資金及び設備投資資金は、主として自己資金により充当し、必要に応じて借入又は社債の発行等による資金調達を実施することを基本方針としています。
当連結会計年度は、連結会社の設備投資資金について、主として自己資金により充当しました。
連結会社の資本的支出は、生産拡大対応、次期型化、新製品切替及び新製品開発のための研究開発投資を重点的に推進する予定であり、その財源は、上記基本方針に従ったものとする予定です。
連結会社は、その健全な財務状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力等により、連結会社の成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えています。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による資金繰りへの影響について、連結会社は即時実行可能な銀行融資枠を十分に確保しているため、当面の資金繰りに懸念はありません。