有価証券報告書-第56期(平成25年7月1日-平成26年6月30日)

【提出】
2014/09/26 9:15
【資料】
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【項目】
117項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において、当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、会社の財産及び損益の状況を正しく示しております。
(2) 財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は123億97百万円となり、前期と比較して12億67百万円増加しました。この増加の主な要因は連結会計年度末にかけて取引が増加したため受取手形及び売掛金が14億5百万円増加したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は74億43百万円となり、前期と比較して2億93百万円増加しました。この増加の主な要因は名古屋市や静岡市で土地を取得したこと等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は113億72百万円となり、前期と比較して12億32百万円増加しました。この増加の主な要因は連結会計年度末にかけて取引が増加したため支払手形及び買掛金が15億92百万円増加したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は6億92百万円となり、前期と比較して21百万円減少しました。この減少の主な要因は長期借入金が29百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は77億76百万円となり、前期と比較して3億49百万円増加しました。この増加の主な要因は自己株式が取得等により86百万円増加しその分純資産が減少しましたが、当期純利益から配当金を減算した利益剰余金の増加が3億55百万円あったこと、その他有価証券評価差額金の増加が65百万円あったこと等によるものであります。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは税金等調整前当期純利益が8億17百万円あり法人税等の支払額3億78百万円を上回ったこと等から6億65百万円の収入となり、投資活動によるキャッシュ・フローは名古屋営業所(名古屋市名東区)土地・建物の新規取得と本社隣接用地(静岡市駿河区)を取得したこと等により2億60百万円の支出となり、さらに財務活動によるキャッシュ・フローは短期借入金の減少等により5億53百万円の支出となりました。
(4) 当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループは、技術進歩に伴いインテリジェントFAビジネス環境が目まぐるしく変化していくこと及び中長期的に国内マーケットが縮小していくことが予想される状況下、さらに一層企業価値を高めていくためには、利益率の向上と新規事業分野や成長地域への投資を含めた成長分野への選択投資が最も重要なポイントと考えております。
従って最も重視している経営指標としては利益率向上のモノサシとして連結売上高経常利益率、成長分野への選択投資のモノサシとして連結ROEであり、連結売上高経常利益率は5%、連結ROEは10%を当面の目標としておりますが、当連結会計年度はそれぞれ、2.8%、6.5%で終わりました。
(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、顧客である製造業の設備投資意欲、とりわけ当社が得意とするIT技術とFA技術の融合分野であるインテリジェントFAシステムに対する購買意欲であり、さらにこの購買意欲に影響を与える最大の要因としては景気変動による設備投資動向の変化、当社製品が最先端のIT技術を駆使したFAシステムを常に提供できる体制を整え、顧客ニーズの変化を的確に捉えているかということが考えられます。これに加えて近年、製造業各社がその生産基地を海外に移す動きが加速しており、これに伴って新たに発生する海外での需要を的確にフォローし、当社グループの海外ビジネス推進体制を整備して海外ビジネスの強化・拡大にどこまで取り組めるかということも重要な要素と考えております。
(6) 経営戦略の現状と見通し
当社グループを取り巻く現状の経営環境は、平成26年4月の消費税引き上げ前の駆け込み需要に対する反動で一時的な落ち込みが見られますが、景気全般としては緩やかな回復が続いており、この傾向は当面継続するものと思われます。その一方で過剰な円高が修正されたにも拘わらず、輸出が停滞しているという事実は、製造業の海外への生産移転がある特定の業種、企業規模にとどまらず、ほぼ全面的な広がりを見せた上で、海外生産が軌道に乗り定着しつつあることを物語っていると考えております。このため、従来国内で取引のあった顧客とは海外でもその取引ルートを急いで構築しており、その成果も出てきておりますが、さらに見方を変えれば、今まで取引のなかった顧客ともその海外での需要、ニーズを的確に捉えられれば新たなビジネスルートを開拓するチャンスでもある訳で、そのためには当社グループの海外拠点網の整備及び各拠点の質的向上と規模の拡大が極めて重要な経営戦略のポイントと考えております。具体的には従来から海外ビジネスの柱であった半導体基板検査装置ビジネスを拡大・拡充するのに加えて、エンジニアリングサービスを伴った組立型製造業や装置産業向けシステムビジネスにも一層注力し、当社グループにおける海外ビジネスの核としてさらに一層強力に拡大・拡充していく所存であります。
一方国内では電源ソースの多様化や省エネ・省電力型の環境にやさしい社会への取り組み等、社会情勢の変化による新規の需要も創出されています。当社グループとしましては当社が得意としているインテリジェントFAシステムのさらなる拡販、浸透を図るため、常に最新のIT技術を駆使し、顧客ニーズを的確に捉えたソフトウェア、制御システム、検査装置の開発と製品の提供を心掛ける所存であります。その中でもスマートグリッド技術に当社グループのインテリジェントFAシステム技術を融合させ、空調に要する電気量や照明の明るさ等を外気温や自然光の状況等に合わせた最適な使用状態に電力線通信を通じて制御する「Grid・Green」は発売以来大きな反響があり、また画像処理されたデータをクラウドコンピューターにて保存することにより、録画映像と計測データの提供を容易にした「KDLinX」は安全・安心に関心のある多方面に販売を伸ばしており、これらの社会的ニーズを先取りした新製品の開発を今後も積極的に推し進めていく所存であります。また半導体基板検査装置システム分野においても、従来からの接触型インサーキットテスター、計測技術を駆使したファンクションテスター、高精度カメラ内臓のワンショット画像検査機に加え、これらを組み合わせたコンビネーション型テスター及び昨年からはX線自動検査装置「V810」(ViTrox社製)と最先端ICT「i1000」(Agilent社製)も市場に投入し、さらにこのサポート体制も充実させたことにより、全ての検査方式を有する世界唯一の検査機メーカーとなった強みを活かして、強力にビジネス展開を図っていく所存であります。
(7) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。現在足元の世界経済の状況は、米国経済は順調に拡大していますが、欧州経済はウクライナ問題に端を発したロシアとの経済制裁合戦が経済へのマイナスの影響を強めており、さらに完全解決には至らない銀行債務問題も加わって停滞感を強めております。アジア経済におきましては総じて経済成長率は先進諸国よりも高いものの、中国経済の成長スピードが鈍化していることがASEAN諸国の輸出の停滞に繋がっており、一部の国ではこのことが自国の通貨安、さらには輸入品価格の上昇からインフレ率が高まり政策金利の引上げを余儀なく実施したことが成長率の鈍化を引き起こしており、現状の世界経済は米国を除きその牽引役が不在の状況になっております。一方国内経済に目を向ければ、平成26年4月消費税引き上げ直前の駆け込み需要の反動が出ているものの、これが鎮静化すれば安定した回復基調に戻るものと考えております。しかしながら国内設備投資には力強さが欠ける上、燃料費の高騰や人手不足による人件費の上昇等収益環境にはネガティブなファクターも出てきており、高い成長率を期待できる環境ではないと認識しております。そうした中で国内製造業は生産コストが安く、且つ今後大きな需要拡大が見込めるASEAN諸国を中心とした海外への生産移管を進めており、海外ビジネスで新たなチャンスが生まれているのとともに、国内では社会構造の変化により従来とは異なる新たな需要も生まれてきており、これらの動きを当社グループの活動の中にいかにして取り込むかが当社グループの今後の成長の鍵を握る重要課題と認識しております。
当社グループとしましてはこれらの現状認識に立ち、海外8カ国11現法の陣容を強化してカバーする地域とビジネス領域を拡大し、さらに我が国拠点との連携を強化して国内で構築されている顧客とのビジネス関係をそのまま海外でも継承、拡大できるインフラ整備に注力して当社グループの得意とするシステムビジネスを始めとするインテリジェントFAビジネスを海外で一層強化する一方、従来からの海外ビジネスの主力であった半導体基板検査装置ビジネスにおいても、従来型の検査装置から最新鋭の機種まで取り揃えた当社グループの強みをフルに活かして取引拡大に邁進する所存であります。さらに国内におきましては、環境・省エネ・高齢化対策といったことをキーワードに社会的ニーズの高い産業に対して重点的に政策投資が取られて産業構造が転換していく一方、スマホに代表されるような新製品、新技術が今後も継続的に出現することにより、新たな需要の創造が継続されるものと思われます。こうした中、当社グループとしましては、新製品の開発、ソフトウェアの開発とこれに伴うIT技術を駆使したFAシステムの構築、これらを全て包含したアフターサービス機能の充実といった、当社グループの総合力を発揮した競争力のあるビジネスを今後とも強く推し進めるとともに、省エネ・省電力社会の実現に貢献する前述の「Grid・Green」や、少ないコストで安全な社会の実現を目指す「KDLinX」等の新製品を開発し販売を伸ばしており、今後とも社会状況の変化や技術進歩等により創出される新たな需要や国内での成長分野をターゲットとした製品開発を強力に推進する必要があると認識しております。また、市場での主導的地位を確立している半導体基板検査装置ビジネスにおきましては、客先ニーズを的確に捉えた新製品の開発を強力に推し進め、技術的には最先端であると同時に価格的にも競争力のある製品の開発に注力する一方、スマホに代表される検査対象の小型化・精密化に対応した検査機種をも取り揃え、世界で唯一の全ての検査方式を有するメーカーとしての強みを活かしたビジネス戦略を展開していく所存であります。
当社グループとしましては、業績を伸張し、かつその企業価値を高めるべく、顧客ニーズを満たす新製品の開発、事業領域の拡大、海外展開を経営の最重点項目としております。また、善良なる地球市民として地球環境問題に取り組むとともに、株主を始め会社に利害関係を持つ全てのステークホルダー及び社員とその家族の全ての方に幸福と喜びを与えることができるようCSRを重視し、今後の経営に邁進する所存であります。