有価証券報告書-第38期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や設備投資、雇用環境の改善傾向が続き、個人消費にも持ち直しの動きが見られるなど、景気は緩やかな回復基調で推移しました。
一方、世界経済は、北朝鮮情勢や新興国経済の先行き及び欧米の政治動向への懸念など、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響が懸念され、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような環境のもと、当社グループは、平成29年5月12日付「再成長計画(ReGrowth2017)の実施について」で公表したとおり、新たな収益事業の早期育成を目指し、事業構造改革を進め、当社の企業価値再成長に向けて「経営体制の強化」と「新成長ドライバーの確立」に引き続き取り組みました。
再成長計画に基づき検討を進め、今後成長が見込まれる市場での新たな事業化を目的として、平成29年5月29日付「株式会社グローバルサーチが運営する不動産総合比較サイト「イエカレ」の事業譲受けに関する契約締結のお知らせ」で公表したとおり、事業譲受けによりWEBビジネス事業へ参入しました。
また、インダストリアルソリューション事業で注力してきました画像認識技術を活かした外観検査装置ビジネスにつきましては、早期の収益化の実現は困難であると判断し、平成29年5月29日を以って撤退しました。
なお、平成29年7月20日付「中国子会社設立に関するお知らせ」及び平成29年10月2日付「(開示事項の経過)中国子会社設立に関するお知らせ」で公表したとおり、中国市場でのカップ式自動販売機のオペレーション事業に参入するため、中国上海市に当社100%資本の子会社(愛飲(上海)貿易有限公司)を平成29年9月25日に設立しました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高35億41百万円(前年同期比13.4%増)、営業損失60百万円(前年同期は営業利益30百万円)、経常損失97百万円(前年同期は経常利益33百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失3億2百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益60百万円)となりました。
各セグメントの業績は次のとおりであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、事業譲受けにより新たなセグメントとして「WEBビジネス事業」を新設しております。また、第3四半期連結会計期間より、中国市場でのカップ式自動販売機のオペレーション事業を開始することに伴い、「その他事業」を新設しております。
アーカイブ事業
当事業は、重要な情報を長期に亘って保存及び利用するための長期保存用光ドライブと長期保存用光ディスクの販売を行う「アーカイブ」と、産業用及びAV機器用光ドライブの開発・製造・販売を行う「ストレージソリューション」が含まれます。
アーカイブは、企業活動によって得られた過去の蓄積データの長期保存と、保管コスト削減を目的とした需要に対し、長期保存用光ドライブ及び長期保存用光ディスクを起点としたソリューション提案を行いました。販売体制の強化のため、ECサイトの活用に加え、国内販売網の再構築を行い、新規顧客として医薬品メーカーに加え、宮内庁公文書館などの文化施設への販売を開始しました。更に、第1四半期連結会計期間より拡充した新規商材であるプロフェッショナルディスクの拡販を行い、放送局等への販売を開始しました。
ストレージソリューションは、産業機器用光ドライブ搭載率の低下スピードは鈍化傾向にあり、特に国内は半導体需要の増加を背景に設備投資が積極的となったことから、堅調に推移しました。海外顧客については、第3四半期連結会計期間以降、需要が弱まりました。
以上により、アーカイブ事業の売上高は14億53百万円(前年同期比8.0%減)となりました。
断熱材事業
当事業は、連結子会社・阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司において、電子部品用副資材、耐火材料及び関連製品の開発・製造・販売を行っております。また、当社でも同社製品を中心とした輸入販売を行っております。
国内では、耐火材料及び関連製品の需要増に伴い受注件数が増加し、特に高温断熱材の販売が大きく計画を上回りました。九州事業所では、産業炉加熱プラントの設計施工案件の受注拡大を図りました。
阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司は、主力製品や異形成形品等の受注が引き続き堅調に推移し、また、前連結会計年度から販売を開始した窯道具が伸長しました。更に太陽光発電用炉材の原材料供給の問題も改善し、売上は前年同期を上回りました。
以上により、断熱材事業の売上高は15億24百万円(前年同期比19.3%増)となりました。
インダストリアルソリューション事業
当事業は、オーディオ・ビデオ機器やコンピュータ周辺機器等の規準及び調整用テストディスク等の開発・製造・販売を行う「テストメディア」と、画像認識技術を活かした検査装置等の開発・販売及び検査業務等を行う「検査機」、及び各種ディスクの特性テスト受託等を行う「テスティング」が含まれます。
テストメディアは、中国の日系自動車需要が第1四半期連結会計期間から好調を維持しておりましたが、第3四半期連結会計期間以降、カーオーディオ・カーナビ等の車載機器向けの販売は、米国の自動車の買い替え需要の一巡などや、テストメディア使用量の減少などの影響により、計画を下回りました。また、AV機器市場及びPC市場においても、光ディスク以外の媒体への移行が進んでいることから、需要は減少しました。
外観検査装置は、製品の改良や機能追加等の開発費用がかさみ、技術サポート体制の整備に時間がかかることから、早期の収益化は困難であると判断し、平成29年5月29日を以って撤退しました。
テスティングは、光ディスクの市場縮小により受託件数が低下したため、売上は前年同期を下回りました。
以上により、インダストリアルソリューション事業の売上高は1億72百万円(前年同期比34.6%減)となりました。
WEBビジネス事業
当事業は、売却や投資等を検討している不動産オーナーと不動産企業をマッチングする不動産総合比較サイト「イエカレ」の運営・管理を行っております。
事業譲受けにより、平成29年6月1日から活動を開始しております。売上拡大のため、営業スタッフの構成比率を高め、「イエカレ」の新たな参画企業を獲得する活動に注力しました。不動産市場は1月から3月が活況期となるため、「イエカレ」への流入数を増やすべく、新しいサイト「不動産活用の神様」を立ち上げるなどの様々な施策を実行しました。しかしながら、業務の本格立ち上げの遅延が影響したことや、運営費が想定を上回り、業界が競争激化したため、売上は計画を下回りました。
以上により、WEBビジネス事業の売上高は3億90百万円となりました。
その他事業
当事業は、連結子会社・愛飲(上海)貿易有限公司において、中国市場でのカップ式自動販売機のオペレーションを行う事業です。
当事業を開始するには、中国の法規制に伴う各種許認可の取得が必要となります。カップ式自動販売機飲料は、中国では新しい産業であるため、様々な資料を要求されており、取得には当初の想定以上の時間を要しております。中国での販売活動は、各種許認可の取得後本格的に開始します。
以上により、その他事業の売上高は0百万円となりました。
当連結会計年度末における財政状態については、以下のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べて0.4%減少し、27億91百万円となりました。これは、主として商品及び製品が減少したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べて35.4%増加し、13億73百万円となりました。これは、主として機械装置及び運搬具並びに、のれんが増加したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べて25.8%増加し、10億46百万円となりました。これは、主として買掛金及び短期借入金が増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは50百万円(前連結会計年度は△58百万円)となりました。これは主にたな卸資産の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは△5億27百万円(前連結会計年度は△1億6百万円)となりました。これは主に事業譲受けによる支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは4億88百万円(前連結会計年度は35百万円)となりました。これは主に借入金の増加によるものであります。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は10億92百万円(前連結会計年度は10億71百万円)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結会計年度末における資産・負債及び連結会計年度の収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因に基づき判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高35億41百万円(前年同期比13.4%増)、営業損失60百万円(前年同期は営業利益30百万円)、経常損失97百万円(前年同期は経常利益33百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失3億2百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益60百万円)となりました。
当社グループにおいては、平成29年5月12日付「再成長計画(ReGrowth2017)の実施について」を公表し、本計画に基づき、「(1)「経営体制の強化」を実現させるため、「事業の選択と集中」と「構造改革」を引き続き進め、会社の再成長を加速させる。(2)「新成長ドライバーの確立」のため、新たな事業の柱の育成を進め、収益事業化する。」を主な柱とする施策を実施することで、「経営体制の強化」を図りました。
その結果、断熱材事業については、順調に業績が拡大し、売上高が前期比19%増加しました。しかしながら、アーカイブ事業、インダストリアルソリューション事業は低調に推移し、またWEBビジネス事業は、事業の立ち上がりが遅れ収益を圧迫しました。その他中国でのカップ式自動販売機オペレーション事業は、各種許認可の取得に時間を要し営業開始が遅延したことにより、業績を上げるには至らず、当初の計画を大きく下回りました。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、以下のようなものがあります。
アーカイブ事業は、重要情報デジタル化の動き、産業機器及びAV機器の需要に大きく影響を受けるため、需要が減少した場合は、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
断熱材事業は、産業炉業界の設備投資需要に大きく影響を受けるため、景気動向により経営成績は重要な影響を受ける可能性があります。
インダストリアルソリューション事業は、AV機器やコンピュータ周辺機器の規準及び調整用テストメディアの開発・製造・販売を行っており、主要な取引先はAV機器やコンピュータ周辺機器等の情報家電メーカーであるため、これらの情報家電業界の動向により当社グループの経営成績は重要な影響を受ける可能性があります。
情報家電業界は、世界的なデジタル放送化の動きに合わせた地上デジタル放送対応の薄型テレビ市場が拡大を続け、先進国を中心にBDの主要な媒体になりつつあります。とりわけ光ディスク関連市場においては、中期的には需要が急激に縮小することはないと考えていますが、長期的には光ディスクに替わる半導体メディア等や音楽または映像のネット配信の市場が拡大した場合、または、BDの普及が進まず、情報家電メーカー各社の生産動向が大きな影響を受けた場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
WEBビジネス事業は、不動産総合比較サイト「イエカレ」の運営・管理を行っており、不動産市場及びインターネット広告市場に深く関連しているため、これらの市場動向により、業績に重要な影響を受ける可能性があります。
その他事業として活動しているカップ式自動販売機のオペレーション事業については、中国消費者の嗜好を的確に捉えられず、対応することが出来ない場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。
当社グループは、財務基盤の強化については、収益力及び資産効率の向上によることを基本としております。当連結会計年度の運転資金及び設備投資資金等につきましては、内部資金及び銀行等からの借入による間接金融並びに新株予約権の発行による直接金融の手段により調達しております。
資金の流動性については、事業規模に応じた現金及び現金同等物の適正額を維持することとしており、当社においては、資金の流動性の確保を目的として、主要取引銀行とコミットメントライン契約等を締結しております。
当社のキャッシュ・フロー関連指標は、次のとおりとなっております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレストカバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
当連結会計年度におけるセグメントごとの、当社グループが置かれている市場環境及び売上高等の変動要因に対する具体的な説明については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりとなります。
上記の結果を受け、当社グループは、この状況から早期に脱するために、直近の経済状況及び事業環境の変化に対応するべく中期経営計画(2019年3月期(第39期)から2021年3月期(第41期))を策定し、「中期経営計画2018(Fly for the bright future)」として以下の施策を実施しすることにより、会社の利益確保及び再成長を加速させるべく邁進していく所存であります。
アーカイブ事業
運営の効率化や高付加価値製品の拡販などを行い、利益の最大化を図る。
断熱材事業
「材料メーカー」から「高付加価値商品・サービスを提供する総合断熱材企業」へ転換を図る。
① 断熱材の販売は、高級高温耐火材料の付加価値製品に重点をおき、断熱材だけでなく、築炉・工業炉 の拡販に取り組み、また鉄鋼メーカーの定修工事・材料の受注拡大を目指す。
② 中国子会社(阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司)で、設備投資を行い、生産能力・製品品質の向上を目指し、また新製品の拡販を行う。
インダストリアルソリューション事業
市場規模に対応した効率的な事業運営を進め、高付加価ディスクの拡販(特注品・BD等)にシフトすることにより、利益最大化に注力する。
WEBビジネス事業
WEBビジネスのコア技術を早期に取得し、新しいサービスを展開しながら成長を加速する。
その他事業
新たな事業領域として、光学式ターンテーブル、歩行アシスト機、物忘れ改善システムなどの新しい商材の販売を開始し、早期の収益拡大を目指す。
財政状態の状況に関しましては、たな卸資産の削減、固定資産の効率化及び営業債権の早期回収が各セグメントに共通する課題であると認識しており、資産効率の改善に向け、注力してまいります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や設備投資、雇用環境の改善傾向が続き、個人消費にも持ち直しの動きが見られるなど、景気は緩やかな回復基調で推移しました。
一方、世界経済は、北朝鮮情勢や新興国経済の先行き及び欧米の政治動向への懸念など、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響が懸念され、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような環境のもと、当社グループは、平成29年5月12日付「再成長計画(ReGrowth2017)の実施について」で公表したとおり、新たな収益事業の早期育成を目指し、事業構造改革を進め、当社の企業価値再成長に向けて「経営体制の強化」と「新成長ドライバーの確立」に引き続き取り組みました。
再成長計画に基づき検討を進め、今後成長が見込まれる市場での新たな事業化を目的として、平成29年5月29日付「株式会社グローバルサーチが運営する不動産総合比較サイト「イエカレ」の事業譲受けに関する契約締結のお知らせ」で公表したとおり、事業譲受けによりWEBビジネス事業へ参入しました。
また、インダストリアルソリューション事業で注力してきました画像認識技術を活かした外観検査装置ビジネスにつきましては、早期の収益化の実現は困難であると判断し、平成29年5月29日を以って撤退しました。
なお、平成29年7月20日付「中国子会社設立に関するお知らせ」及び平成29年10月2日付「(開示事項の経過)中国子会社設立に関するお知らせ」で公表したとおり、中国市場でのカップ式自動販売機のオペレーション事業に参入するため、中国上海市に当社100%資本の子会社(愛飲(上海)貿易有限公司)を平成29年9月25日に設立しました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高35億41百万円(前年同期比13.4%増)、営業損失60百万円(前年同期は営業利益30百万円)、経常損失97百万円(前年同期は経常利益33百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失3億2百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益60百万円)となりました。
各セグメントの業績は次のとおりであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、事業譲受けにより新たなセグメントとして「WEBビジネス事業」を新設しております。また、第3四半期連結会計期間より、中国市場でのカップ式自動販売機のオペレーション事業を開始することに伴い、「その他事業」を新設しております。
アーカイブ事業
当事業は、重要な情報を長期に亘って保存及び利用するための長期保存用光ドライブと長期保存用光ディスクの販売を行う「アーカイブ」と、産業用及びAV機器用光ドライブの開発・製造・販売を行う「ストレージソリューション」が含まれます。
アーカイブは、企業活動によって得られた過去の蓄積データの長期保存と、保管コスト削減を目的とした需要に対し、長期保存用光ドライブ及び長期保存用光ディスクを起点としたソリューション提案を行いました。販売体制の強化のため、ECサイトの活用に加え、国内販売網の再構築を行い、新規顧客として医薬品メーカーに加え、宮内庁公文書館などの文化施設への販売を開始しました。更に、第1四半期連結会計期間より拡充した新規商材であるプロフェッショナルディスクの拡販を行い、放送局等への販売を開始しました。
ストレージソリューションは、産業機器用光ドライブ搭載率の低下スピードは鈍化傾向にあり、特に国内は半導体需要の増加を背景に設備投資が積極的となったことから、堅調に推移しました。海外顧客については、第3四半期連結会計期間以降、需要が弱まりました。
以上により、アーカイブ事業の売上高は14億53百万円(前年同期比8.0%減)となりました。
断熱材事業
当事業は、連結子会社・阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司において、電子部品用副資材、耐火材料及び関連製品の開発・製造・販売を行っております。また、当社でも同社製品を中心とした輸入販売を行っております。
国内では、耐火材料及び関連製品の需要増に伴い受注件数が増加し、特に高温断熱材の販売が大きく計画を上回りました。九州事業所では、産業炉加熱プラントの設計施工案件の受注拡大を図りました。
阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司は、主力製品や異形成形品等の受注が引き続き堅調に推移し、また、前連結会計年度から販売を開始した窯道具が伸長しました。更に太陽光発電用炉材の原材料供給の問題も改善し、売上は前年同期を上回りました。
以上により、断熱材事業の売上高は15億24百万円(前年同期比19.3%増)となりました。
インダストリアルソリューション事業
当事業は、オーディオ・ビデオ機器やコンピュータ周辺機器等の規準及び調整用テストディスク等の開発・製造・販売を行う「テストメディア」と、画像認識技術を活かした検査装置等の開発・販売及び検査業務等を行う「検査機」、及び各種ディスクの特性テスト受託等を行う「テスティング」が含まれます。
テストメディアは、中国の日系自動車需要が第1四半期連結会計期間から好調を維持しておりましたが、第3四半期連結会計期間以降、カーオーディオ・カーナビ等の車載機器向けの販売は、米国の自動車の買い替え需要の一巡などや、テストメディア使用量の減少などの影響により、計画を下回りました。また、AV機器市場及びPC市場においても、光ディスク以外の媒体への移行が進んでいることから、需要は減少しました。
外観検査装置は、製品の改良や機能追加等の開発費用がかさみ、技術サポート体制の整備に時間がかかることから、早期の収益化は困難であると判断し、平成29年5月29日を以って撤退しました。
テスティングは、光ディスクの市場縮小により受託件数が低下したため、売上は前年同期を下回りました。
以上により、インダストリアルソリューション事業の売上高は1億72百万円(前年同期比34.6%減)となりました。
WEBビジネス事業
当事業は、売却や投資等を検討している不動産オーナーと不動産企業をマッチングする不動産総合比較サイト「イエカレ」の運営・管理を行っております。
事業譲受けにより、平成29年6月1日から活動を開始しております。売上拡大のため、営業スタッフの構成比率を高め、「イエカレ」の新たな参画企業を獲得する活動に注力しました。不動産市場は1月から3月が活況期となるため、「イエカレ」への流入数を増やすべく、新しいサイト「不動産活用の神様」を立ち上げるなどの様々な施策を実行しました。しかしながら、業務の本格立ち上げの遅延が影響したことや、運営費が想定を上回り、業界が競争激化したため、売上は計画を下回りました。
以上により、WEBビジネス事業の売上高は3億90百万円となりました。
その他事業
当事業は、連結子会社・愛飲(上海)貿易有限公司において、中国市場でのカップ式自動販売機のオペレーションを行う事業です。
当事業を開始するには、中国の法規制に伴う各種許認可の取得が必要となります。カップ式自動販売機飲料は、中国では新しい産業であるため、様々な資料を要求されており、取得には当初の想定以上の時間を要しております。中国での販売活動は、各種許認可の取得後本格的に開始します。
以上により、その他事業の売上高は0百万円となりました。
当連結会計年度末における財政状態については、以下のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べて0.4%減少し、27億91百万円となりました。これは、主として商品及び製品が減少したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べて35.4%増加し、13億73百万円となりました。これは、主として機械装置及び運搬具並びに、のれんが増加したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べて25.8%増加し、10億46百万円となりました。これは、主として買掛金及び短期借入金が増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは50百万円(前連結会計年度は△58百万円)となりました。これは主にたな卸資産の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは△5億27百万円(前連結会計年度は△1億6百万円)となりました。これは主に事業譲受けによる支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは4億88百万円(前連結会計年度は35百万円)となりました。これは主に借入金の増加によるものであります。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は10億92百万円(前連結会計年度は10億71百万円)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(千円) | 前年同期比(%) |
アーカイブ事業 | ― | ― |
断熱材事業 | 1,416,174 | 129.3 |
インダストリアルソリューション事業 | 55,810 | 21.4 |
WEBビジネス事業 | ― | ― |
その他事業 | ― | ― |
合計 | 1,471,985 | 103.5 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
アーカイブ事業 | 1,496,402 | 94.8 | 43,119 | 12,323.4 |
断熱材事業 | 1,606,523 | 126.7 | 216,583 | 177.8 |
インダストリアルソリューション事業 | 171,846 | 65.9 | 3,026 | 83.1 |
WEBビジネス事業 | 390,443 | ― | ― | ― |
その他事業 | 151 | ― | ― | ― |
合計 | 3,665,366 | 118.0 | 262,729 | 208.9 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
アーカイブ事業 | 1,453,633 | 92.0 |
断熱材事業 | 1,524,907 | 119.3 |
インダストリアルソリューション事業 | 172,463 | 65.4 |
WEBビジネス事業 | 390,443 | ― |
その他事業 | 151 | ― |
合計 | 3,541,599 | 113.4 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
TEAC AMERICA, INC. | 550,935 | 17.6 | 450,652 | 12.7 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結会計年度末における資産・負債及び連結会計年度の収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因に基づき判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高35億41百万円(前年同期比13.4%増)、営業損失60百万円(前年同期は営業利益30百万円)、経常損失97百万円(前年同期は経常利益33百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失3億2百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益60百万円)となりました。
当社グループにおいては、平成29年5月12日付「再成長計画(ReGrowth2017)の実施について」を公表し、本計画に基づき、「(1)「経営体制の強化」を実現させるため、「事業の選択と集中」と「構造改革」を引き続き進め、会社の再成長を加速させる。(2)「新成長ドライバーの確立」のため、新たな事業の柱の育成を進め、収益事業化する。」を主な柱とする施策を実施することで、「経営体制の強化」を図りました。
その結果、断熱材事業については、順調に業績が拡大し、売上高が前期比19%増加しました。しかしながら、アーカイブ事業、インダストリアルソリューション事業は低調に推移し、またWEBビジネス事業は、事業の立ち上がりが遅れ収益を圧迫しました。その他中国でのカップ式自動販売機オペレーション事業は、各種許認可の取得に時間を要し営業開始が遅延したことにより、業績を上げるには至らず、当初の計画を大きく下回りました。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、以下のようなものがあります。
アーカイブ事業は、重要情報デジタル化の動き、産業機器及びAV機器の需要に大きく影響を受けるため、需要が減少した場合は、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
断熱材事業は、産業炉業界の設備投資需要に大きく影響を受けるため、景気動向により経営成績は重要な影響を受ける可能性があります。
インダストリアルソリューション事業は、AV機器やコンピュータ周辺機器の規準及び調整用テストメディアの開発・製造・販売を行っており、主要な取引先はAV機器やコンピュータ周辺機器等の情報家電メーカーであるため、これらの情報家電業界の動向により当社グループの経営成績は重要な影響を受ける可能性があります。
情報家電業界は、世界的なデジタル放送化の動きに合わせた地上デジタル放送対応の薄型テレビ市場が拡大を続け、先進国を中心にBDの主要な媒体になりつつあります。とりわけ光ディスク関連市場においては、中期的には需要が急激に縮小することはないと考えていますが、長期的には光ディスクに替わる半導体メディア等や音楽または映像のネット配信の市場が拡大した場合、または、BDの普及が進まず、情報家電メーカー各社の生産動向が大きな影響を受けた場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
WEBビジネス事業は、不動産総合比較サイト「イエカレ」の運営・管理を行っており、不動産市場及びインターネット広告市場に深く関連しているため、これらの市場動向により、業績に重要な影響を受ける可能性があります。
その他事業として活動しているカップ式自動販売機のオペレーション事業については、中国消費者の嗜好を的確に捉えられず、対応することが出来ない場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。
当社グループは、財務基盤の強化については、収益力及び資産効率の向上によることを基本としております。当連結会計年度の運転資金及び設備投資資金等につきましては、内部資金及び銀行等からの借入による間接金融並びに新株予約権の発行による直接金融の手段により調達しております。
資金の流動性については、事業規模に応じた現金及び現金同等物の適正額を維持することとしており、当社においては、資金の流動性の確保を目的として、主要取引銀行とコミットメントライン契約等を締結しております。
当社のキャッシュ・フロー関連指標は、次のとおりとなっております。
平成26年3月期 | 平成27年3月期 | 平成28年3月期 | 平成29年3月期 | 平成30年3月期 | |
自己資本比率 | 80.5 | 66.7 | 71.0 | 70.5 | 58.0 |
時価ベースの自己資本比率 | 30.0 | 45.8 | 32.4 | 35.7 | 42.3 |
キャッシュ・フロー対有利子 負債比率 | △11.2 | △181.8 | 204.8 | △929.5 | 2,050.4 |
インタレスト・カバレッジ・ レシオ | △254.2 | △83.7 | 30.0 | △6.8 | 5.4 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレストカバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
当連結会計年度におけるセグメントごとの、当社グループが置かれている市場環境及び売上高等の変動要因に対する具体的な説明については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりとなります。
上記の結果を受け、当社グループは、この状況から早期に脱するために、直近の経済状況及び事業環境の変化に対応するべく中期経営計画(2019年3月期(第39期)から2021年3月期(第41期))を策定し、「中期経営計画2018(Fly for the bright future)」として以下の施策を実施しすることにより、会社の利益確保及び再成長を加速させるべく邁進していく所存であります。
アーカイブ事業
運営の効率化や高付加価値製品の拡販などを行い、利益の最大化を図る。
断熱材事業
「材料メーカー」から「高付加価値商品・サービスを提供する総合断熱材企業」へ転換を図る。
① 断熱材の販売は、高級高温耐火材料の付加価値製品に重点をおき、断熱材だけでなく、築炉・工業炉 の拡販に取り組み、また鉄鋼メーカーの定修工事・材料の受注拡大を目指す。
② 中国子会社(阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司)で、設備投資を行い、生産能力・製品品質の向上を目指し、また新製品の拡販を行う。
インダストリアルソリューション事業
市場規模に対応した効率的な事業運営を進め、高付加価ディスクの拡販(特注品・BD等)にシフトすることにより、利益最大化に注力する。
WEBビジネス事業
WEBビジネスのコア技術を早期に取得し、新しいサービスを展開しながら成長を加速する。
その他事業
新たな事業領域として、光学式ターンテーブル、歩行アシスト機、物忘れ改善システムなどの新しい商材の販売を開始し、早期の収益拡大を目指す。
財政状態の状況に関しましては、たな卸資産の削減、固定資産の効率化及び営業債権の早期回収が各セグメントに共通する課題であると認識しており、資産効率の改善に向け、注力してまいります。