有価証券報告書-第39期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や設備投資、雇用環境は底堅く、個人消費も天候不順の影響などで一時的に弱さが見られたものの持ち直しの動きが続き、景気は緩やかな回復基調で推移しました。
一方、世界経済は、緩やかな回復基調で推移しているものの、米国の利上げや保護主義的な通商政策、中国経済の成長鈍化、英国のEU離脱問題及び中東並びに北朝鮮情勢など、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響が懸念され、景気の先行きは依然として不透明な状況が続きました。
このような環境のもと、当社グループは、2018年5月14日付「中期経営計画2018(Fly for the bright future)の実施について」を公表し、引き続き経営体制の強化及び新成長ドライバーの確立に取り組んでまいりました。断熱材事業については、国内において当社の業界認知度が継続的に高まってきているものの、当該断熱材事業全体で、売上高が前年同期比2.7%の減少という結果となりました。また、WEBビジネス事業の中核であった不動産総合比較サイト「イエカレ」の業績の低迷が続いたため、当該WEBビジネス事業を2018年9月30日付けでイクス株式会社に対して譲渡しました。さらに、その他事業としての中国でのカップ式自動販売機オペレーション事業において、愛飲(上海)貿易有限公司が各種許認可の取得に時間を要し、営業開始が遅延し、収益を圧迫していたこともあり、当社中国子会社の再編を決定しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、3,109百万円(前年同期比12.2%減)となりました。利益面は、営業損失62百万円(前年同期は営業損失60百万円)、円安の進行による為替差益(11百万円)を計上し、経常損失50百万円(前年同期は経常損失97百万円)、減損損失(224百万円)及び事業譲渡損(142百万円)を計上し、親会社株主に帰属する当期純損失506百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失302百万円)となりました。
各セグメントの業績は次のとおりであります。
アーカイブ事業
当事業は、重要な情報を長期に亘って保存及び利用するための長期保存用光ドライブと長期保存用光ディスクの販売を行う「アーカイブ」と、産業用及びAV機器用光ドライブの開発・製造・販売を行う「ストレージソリューション」が含まれます。
アーカイブは、企業活動によって得られた過去の蓄積データの長期保存と、保管コスト削減を目的とした需要に対し、長期保存用光ドライブ及び長期保存用光ディスクを起点としたソリューション提案を行い、売上の拡大を図りました。その結果、長期保存用光ドライブの受注が堅調に推移した他、プロフェッショナルディスクについても放送局からの受注が増加しました。
ストレージソリューションは、産業機器用光ドライブ搭載率の低下スピードは鈍化傾向にありますが、国内需要が伸び悩み、売上は前年同期を下回りました。
以上により、アーカイブ事業の売上高は1,330百万円(前年同期比8.4%減)となりました。
断熱材事業
当事業は、連結子会社・阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司において、電子部品用副資材、耐火材料及び関連製品の開発・製造・販売を行っております。また、当社でも同社製品を中心とした輸入販売を行っております。
国内では、耐火材料及び関連製品の受注案件の規模縮小や炉の定期修理の延期等により、売上は前年同期を下回りました。九州事業所では、産業炉加熱プラントの設計施工案件の受注拡大を図りました。
阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司は、主力製品や異形成形品・電気炉等の受注が引き続き堅調に推移しました。
以上により、断熱材事業の売上高は1,483百万円(前年同期比2.7%減)となりました。
インダストリアルソリューション事業
当事業は、オーディオ・ビデオ機器やコンピュータ周辺機器等の規準及び調整用テストディスク等の開発・製造・販売を行う「テストメディア」と、各種ディスクの特性テスト受託等を行う「テスティング」が含まれます。
テストメディアは、主要顧客であるカーオーディオ・カーナビ等の車載機器向けの販売が、テストメディア使用量の減少等の影響により、計画を下回りました。また、AV機器市場及びPC市場においても、光ディスク以外の媒体への移行が引き続き進んでいることから、需要は減少しました。
テスティングは、光ディスクの市場縮小により受託件数が低下し、売上は前年同期を下回りました。
以上により、インダストリアルソリューション事業の売上高は131百万円(前年同期比24.0%減)となりました。
WEBビジネス事業
当事業は、売却や投資等を検討している不動産オーナーと不動産企業をマッチングする不動産総合比較サイト「イエカレ」の運営・管理を行っております。
売上拡大のため、「イエカレ」への新たな参画企業を獲得する活動に注力しました。また、収益力向上のため、広告の運用改善等様々な施策を実行しましたが、業界の競争が激化しており、売上は計画を下回りました。
以上により、WEBビジネス事業の売上高は162百万円(前年同期比58.3%減)となりました。
なお、WEBビジネス事業の事業譲受において2017年6月30日をみなし取得日としているため、業績の連結損益計算書への反映は前第2四半期連結会計期間以降からとなります。
また、2018年9月30日付けでWEBビジネス事業を譲渡しております。
その他事業
当事業は、連結子会社・愛飲(上海)貿易有限公司において、中国市場でのカップ式自動販売機のオペレーション事業を行っております。
当事業を開始するには、中国の法規制に伴う各種許認可の取得が必要となりますが、カップ式自動販売機飲料は、中国では新しい産業であるため取得に時間を要し、営業開始が遅延し収益を圧迫しております。
その結果、当連結会計年度末においても、上海市での販売活動開始まで至っておりません。
以上により、その他事業の売上は0百万円(前年同期比110.2%増)となりました。
当連結会計年度末における財政状態については、以下のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べて0.2%増加し、2,798百万円となりました。これは、主として受取手形及び売掛金が増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べて25.8%減少し、1,019百万円となりました。これは、主として土地及び、建物及び構築物並びに、のれんが減少したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べて35.4%増加し、1,405百万円となりました。これは、主として短期借入金が増加したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べて71.1%減少し、202百万円となりました。これは、主として長期借入金が減少したことによるものであります。
(純 資 産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べて9.0%減少し、2,209百万円となりました。これは、主として新株予約権の行使による株式の発行による資本金及び資本剰余金の増加、並びに親会社株主に帰属する当期純損失の計上に伴う利益剰余金の減少によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは△105百万円(前連結会計年度は50百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失の計上及び売掛債権の増加等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは△228百万円(前連結会計年度は△527百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得及び事業譲受の条件付取得対価の支払による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは311百万円(前連結会計年度は488百万円)となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行による収入によるものであります。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は1,079百万円(前連結会計年度は1,092百万円)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結会計年度末における資産・負債及び連結会計年度の収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因に基づき判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高3,109百万円(前年同期比12.2%減)、利益面は、営業損失62百万円(前年同期は営業損失60百万円)、円安の進行による為替差益(11百万円)を計上し、経常損失50百万円(前年同期は経常損失97百万円)、減損損失(224百万円)及び事業譲渡損(142百万円)を計上し、親会社株主に帰属する当期純損失506百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失302百万円)となりました。
当社グループは、「中期経営計画2018(Fly for the bright future)」を策定し、本計画に基づき、「経営体制の強化」「新成長ドライバーの確立」を図りました。
その結果、断熱材事業については、国内においても継続的に認知度が高まってきているものの受注延期等により、売上高が前年同期比2.7%減少しました。アーカイブ事業、インダストリアルソリューション事業は低調に推移し、またWEBビジネス事業は、広告の運用改善等様々な施策を実行しましたが、業界の競争が激化し収益を圧迫していることから、2018年9月30日付けで事業譲渡しております。その他中国でのカップ式自動販売機オペレーション事業は、各種許認可の取得に時間を要し営業開始が遅延したことにより、業績を上げるには至らず、計画数値を大きく下回りました。本事業につきましては、中国子会社の再編により中国における事業の一元化を図ることが決定しています。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、以下のようなものがあります。
アーカイブ事業は、重要情報デジタル化の動き、産業機器及びAV機器の需要に大きく影響を受けるため、需要が減少した場合は、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、米国の保護主義的な通商政策が、世界経済に大きな悪影響を及ぼす場合は、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
断熱材事業は、産業炉業界の設備投資需要に大きく影響を受けるため、景気動向により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、中国経済の成長鈍化が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
インダストリアルソリューション事業は、AV機器やコンピュータ周辺機器の規準及び調整用テストメディアの開発・製造・販売を行っており、主要な取引先はAV機器やコンピュータ周辺機器等の情報家電メーカーであるため、これらの情報家電業界の動向により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
情報家電業界は、世界的なデジタル放送化の動きに合わせた地上デジタル放送対応の薄型テレビ市場が拡大を続け、先進国を中心にBDの主要な媒体になりつつあります。とりわけ光ディスク関連市場においては、中期的には需要が急激に縮小することはないと考えていますが、長期的には光ディスクに替わる半導体メディア等や音楽または映像のネット配信の市場が拡大した場合、または、BDの普及が進まず、情報家電メーカー各社の生産動向が大きな影響を受けた場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。
当社グループは、財務基盤の強化については、収益力及び資産効率の向上によることを基本としております。当連結会計年度の運転資金及び設備投資資金等につきましては、内部資金及び銀行等からの借入による間接金融並びに新株予約権の発行による直接金融の手段により調達しております。
資金の流動性については、事業規模に応じた現金及び現金同等物の適正額を維持することとしており、当社においては、資金の流動性の確保を目的として、主要取引銀行とコミットメントライン契約等を締結しております。
当社のキャッシュ・フロー関連指標は、次のとおりとなっております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレストカバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
当連結会計年度におけるセグメントごとの、当社グループが置かれている市場環境及び売上高等の変動要因に対する具体的な説明については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりとなります。
この結果を受け、当社グループは、この状況から早期に脱するために、直近の経済状況及び事業環境の変化に対応するべく「中期経営計画2018(Fly for the bright future)」をローリングし、「中期経営計画2019(Fly for the bright future)」として以下の施策を実施することにより、会社の利益確保及び経営基盤の安定化に資する取り組みを邁進していく所存であります。
アーカイブ事業
運営の効率化やリソースの再配置を行い、利益の最大化を図ります。
断熱材事業
「材料メーカー」から「高付加価値商品・サービスを提供する総合断熱材企業」へ転換を図ります。
① 断熱材の販売は、高級高温耐火材料の付加価値製品に重点をおき、断熱材だけでなく、築炉・工業炉の拡販に取り組み、また鉄鋼メーカーの定修工事・材料の受注拡大を目指します。
② 中国子会社(阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司)で、設備投資・研究開発を行い、生産能力・製品品質の向上を目指し、また新製品の拡販を行います。
インダストリアルソリューション事業
市場規模に対応した効率的な事業運営を進め、高付加価ディスクの拡販(特注品・BD等)にシフトすることにより、利益最大化に注力します。
ナノマテリアル事業
ナノマテリアルの研究開発・製造及び販売を行います。顧客要望に合わせた製品展開も行い、早期の収益拡大を目指します。
その他事業(新規事業)
ナノマテリアルから派生する事業及び、新たな事業領域での研究開発を推進します。
財政状態の状況に関しましては、たな卸資産の削減、固定資産の効率化及び営業債権の早期回収が各セグメントに共通する課題であると認識しており、資産効率の改善に向け、注力してまいります。
また、当社は、2017年3月期から2019年3月期までの個別業績において、3期連続の営業損失を計上し、2019年3月期の当社グループの連結キャッシュ・フロー計算書における営業活動によるキャッシュ・フローもマイナスとなっております。
これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しており、「2 事業等のリスク」において、重要事象等が存在する旨及びその内容を記載しております。
しかしながら、当面の十分な自己資金も確保しており、当該重要事象等を改善するための対応策として、2019年5月14日付で公表しました「中期経営計画2019(Fly for the bright future)の実施について」を策定し、これを実行することにより、継続企業の前提に関する重要事象等を解消できるものと考えております。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や設備投資、雇用環境は底堅く、個人消費も天候不順の影響などで一時的に弱さが見られたものの持ち直しの動きが続き、景気は緩やかな回復基調で推移しました。
一方、世界経済は、緩やかな回復基調で推移しているものの、米国の利上げや保護主義的な通商政策、中国経済の成長鈍化、英国のEU離脱問題及び中東並びに北朝鮮情勢など、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響が懸念され、景気の先行きは依然として不透明な状況が続きました。
このような環境のもと、当社グループは、2018年5月14日付「中期経営計画2018(Fly for the bright future)の実施について」を公表し、引き続き経営体制の強化及び新成長ドライバーの確立に取り組んでまいりました。断熱材事業については、国内において当社の業界認知度が継続的に高まってきているものの、当該断熱材事業全体で、売上高が前年同期比2.7%の減少という結果となりました。また、WEBビジネス事業の中核であった不動産総合比較サイト「イエカレ」の業績の低迷が続いたため、当該WEBビジネス事業を2018年9月30日付けでイクス株式会社に対して譲渡しました。さらに、その他事業としての中国でのカップ式自動販売機オペレーション事業において、愛飲(上海)貿易有限公司が各種許認可の取得に時間を要し、営業開始が遅延し、収益を圧迫していたこともあり、当社中国子会社の再編を決定しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、3,109百万円(前年同期比12.2%減)となりました。利益面は、営業損失62百万円(前年同期は営業損失60百万円)、円安の進行による為替差益(11百万円)を計上し、経常損失50百万円(前年同期は経常損失97百万円)、減損損失(224百万円)及び事業譲渡損(142百万円)を計上し、親会社株主に帰属する当期純損失506百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失302百万円)となりました。
各セグメントの業績は次のとおりであります。
アーカイブ事業
当事業は、重要な情報を長期に亘って保存及び利用するための長期保存用光ドライブと長期保存用光ディスクの販売を行う「アーカイブ」と、産業用及びAV機器用光ドライブの開発・製造・販売を行う「ストレージソリューション」が含まれます。
アーカイブは、企業活動によって得られた過去の蓄積データの長期保存と、保管コスト削減を目的とした需要に対し、長期保存用光ドライブ及び長期保存用光ディスクを起点としたソリューション提案を行い、売上の拡大を図りました。その結果、長期保存用光ドライブの受注が堅調に推移した他、プロフェッショナルディスクについても放送局からの受注が増加しました。
ストレージソリューションは、産業機器用光ドライブ搭載率の低下スピードは鈍化傾向にありますが、国内需要が伸び悩み、売上は前年同期を下回りました。
以上により、アーカイブ事業の売上高は1,330百万円(前年同期比8.4%減)となりました。
断熱材事業
当事業は、連結子会社・阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司において、電子部品用副資材、耐火材料及び関連製品の開発・製造・販売を行っております。また、当社でも同社製品を中心とした輸入販売を行っております。
国内では、耐火材料及び関連製品の受注案件の規模縮小や炉の定期修理の延期等により、売上は前年同期を下回りました。九州事業所では、産業炉加熱プラントの設計施工案件の受注拡大を図りました。
阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司は、主力製品や異形成形品・電気炉等の受注が引き続き堅調に推移しました。
以上により、断熱材事業の売上高は1,483百万円(前年同期比2.7%減)となりました。
インダストリアルソリューション事業
当事業は、オーディオ・ビデオ機器やコンピュータ周辺機器等の規準及び調整用テストディスク等の開発・製造・販売を行う「テストメディア」と、各種ディスクの特性テスト受託等を行う「テスティング」が含まれます。
テストメディアは、主要顧客であるカーオーディオ・カーナビ等の車載機器向けの販売が、テストメディア使用量の減少等の影響により、計画を下回りました。また、AV機器市場及びPC市場においても、光ディスク以外の媒体への移行が引き続き進んでいることから、需要は減少しました。
テスティングは、光ディスクの市場縮小により受託件数が低下し、売上は前年同期を下回りました。
以上により、インダストリアルソリューション事業の売上高は131百万円(前年同期比24.0%減)となりました。
WEBビジネス事業
当事業は、売却や投資等を検討している不動産オーナーと不動産企業をマッチングする不動産総合比較サイト「イエカレ」の運営・管理を行っております。
売上拡大のため、「イエカレ」への新たな参画企業を獲得する活動に注力しました。また、収益力向上のため、広告の運用改善等様々な施策を実行しましたが、業界の競争が激化しており、売上は計画を下回りました。
以上により、WEBビジネス事業の売上高は162百万円(前年同期比58.3%減)となりました。
なお、WEBビジネス事業の事業譲受において2017年6月30日をみなし取得日としているため、業績の連結損益計算書への反映は前第2四半期連結会計期間以降からとなります。
また、2018年9月30日付けでWEBビジネス事業を譲渡しております。
その他事業
当事業は、連結子会社・愛飲(上海)貿易有限公司において、中国市場でのカップ式自動販売機のオペレーション事業を行っております。
当事業を開始するには、中国の法規制に伴う各種許認可の取得が必要となりますが、カップ式自動販売機飲料は、中国では新しい産業であるため取得に時間を要し、営業開始が遅延し収益を圧迫しております。
その結果、当連結会計年度末においても、上海市での販売活動開始まで至っておりません。
以上により、その他事業の売上は0百万円(前年同期比110.2%増)となりました。
当連結会計年度末における財政状態については、以下のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べて0.2%増加し、2,798百万円となりました。これは、主として受取手形及び売掛金が増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べて25.8%減少し、1,019百万円となりました。これは、主として土地及び、建物及び構築物並びに、のれんが減少したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べて35.4%増加し、1,405百万円となりました。これは、主として短期借入金が増加したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べて71.1%減少し、202百万円となりました。これは、主として長期借入金が減少したことによるものであります。
(純 資 産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べて9.0%減少し、2,209百万円となりました。これは、主として新株予約権の行使による株式の発行による資本金及び資本剰余金の増加、並びに親会社株主に帰属する当期純損失の計上に伴う利益剰余金の減少によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは△105百万円(前連結会計年度は50百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失の計上及び売掛債権の増加等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは△228百万円(前連結会計年度は△527百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得及び事業譲受の条件付取得対価の支払による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは311百万円(前連結会計年度は488百万円)となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行による収入によるものであります。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は1,079百万円(前連結会計年度は1,092百万円)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(千円) | 前年同期比(%) |
アーカイブ事業 | ― | ― |
断熱材事業 | 1,488,020 | 105.1 |
インダストリアルソリューション事業 | 36,230 | 64.9 |
WEBビジネス事業 | ― | ― |
その他事業 | ― | ― |
合計 | 1,524,250 | 103.6 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
アーカイブ事業 | 1,403,765 | 93.8 | 115,919 | 268.8 |
断熱材事業 | 1,683,576 | 104.8 | 416,267 | 192.2 |
インダストリアルソリューション事業 | 128,074 | 74.5 | 63 | 2.1 |
WEBビジネス事業 | 162,826 | 41.7 | ― | ― |
その他事業 | 319 | 210.2 | ― | ― |
合計 | 3,378,561 | 92.2 | 532,249 | 202.6 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
アーカイブ事業 | 1,330,965 | 91.6 |
断熱材事業 | 1,483,892 | 97.3 |
インダストリアルソリューション事業 | 131,037 | 76.0 |
WEBビジネス事業 | 162,826 | 41.7 |
その他事業 | 319 | 210.2 |
合計 | 3,109,040 | 87.8 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
TEAC AMERICA, INC. | 450,652 | 12.7 | 447,803 | 14.4 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結会計年度末における資産・負債及び連結会計年度の収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因に基づき判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高3,109百万円(前年同期比12.2%減)、利益面は、営業損失62百万円(前年同期は営業損失60百万円)、円安の進行による為替差益(11百万円)を計上し、経常損失50百万円(前年同期は経常損失97百万円)、減損損失(224百万円)及び事業譲渡損(142百万円)を計上し、親会社株主に帰属する当期純損失506百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失302百万円)となりました。
当社グループは、「中期経営計画2018(Fly for the bright future)」を策定し、本計画に基づき、「経営体制の強化」「新成長ドライバーの確立」を図りました。
その結果、断熱材事業については、国内においても継続的に認知度が高まってきているものの受注延期等により、売上高が前年同期比2.7%減少しました。アーカイブ事業、インダストリアルソリューション事業は低調に推移し、またWEBビジネス事業は、広告の運用改善等様々な施策を実行しましたが、業界の競争が激化し収益を圧迫していることから、2018年9月30日付けで事業譲渡しております。その他中国でのカップ式自動販売機オペレーション事業は、各種許認可の取得に時間を要し営業開始が遅延したことにより、業績を上げるには至らず、計画数値を大きく下回りました。本事業につきましては、中国子会社の再編により中国における事業の一元化を図ることが決定しています。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、以下のようなものがあります。
アーカイブ事業は、重要情報デジタル化の動き、産業機器及びAV機器の需要に大きく影響を受けるため、需要が減少した場合は、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、米国の保護主義的な通商政策が、世界経済に大きな悪影響を及ぼす場合は、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
断熱材事業は、産業炉業界の設備投資需要に大きく影響を受けるため、景気動向により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、中国経済の成長鈍化が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
インダストリアルソリューション事業は、AV機器やコンピュータ周辺機器の規準及び調整用テストメディアの開発・製造・販売を行っており、主要な取引先はAV機器やコンピュータ周辺機器等の情報家電メーカーであるため、これらの情報家電業界の動向により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
情報家電業界は、世界的なデジタル放送化の動きに合わせた地上デジタル放送対応の薄型テレビ市場が拡大を続け、先進国を中心にBDの主要な媒体になりつつあります。とりわけ光ディスク関連市場においては、中期的には需要が急激に縮小することはないと考えていますが、長期的には光ディスクに替わる半導体メディア等や音楽または映像のネット配信の市場が拡大した場合、または、BDの普及が進まず、情報家電メーカー各社の生産動向が大きな影響を受けた場合には、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。
当社グループは、財務基盤の強化については、収益力及び資産効率の向上によることを基本としております。当連結会計年度の運転資金及び設備投資資金等につきましては、内部資金及び銀行等からの借入による間接金融並びに新株予約権の発行による直接金融の手段により調達しております。
資金の流動性については、事業規模に応じた現金及び現金同等物の適正額を維持することとしており、当社においては、資金の流動性の確保を目的として、主要取引銀行とコミットメントライン契約等を締結しております。
当社のキャッシュ・フロー関連指標は、次のとおりとなっております。
2015年3月期 | 2016年3月期 | 2017年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | |
自己資本比率 | 66.7 | 71.0 | 70.5 | 58.0 | 57.8 |
時価ベースの自己資本比率 | 45.8 | 32.4 | 35.7 | 42.3 | 53.4 |
キャッシュ・フロー対有利子 負債比率 | △181.8 | 204.8 | △929.5 | 2,050.4 | △950.1 |
インタレスト・カバレッジ・ レシオ | △83.7 | 30.0 | △6.8 | 5.4 | △13.3 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレストカバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
当連結会計年度におけるセグメントごとの、当社グループが置かれている市場環境及び売上高等の変動要因に対する具体的な説明については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりとなります。
この結果を受け、当社グループは、この状況から早期に脱するために、直近の経済状況及び事業環境の変化に対応するべく「中期経営計画2018(Fly for the bright future)」をローリングし、「中期経営計画2019(Fly for the bright future)」として以下の施策を実施することにより、会社の利益確保及び経営基盤の安定化に資する取り組みを邁進していく所存であります。
アーカイブ事業
運営の効率化やリソースの再配置を行い、利益の最大化を図ります。
断熱材事業
「材料メーカー」から「高付加価値商品・サービスを提供する総合断熱材企業」へ転換を図ります。
① 断熱材の販売は、高級高温耐火材料の付加価値製品に重点をおき、断熱材だけでなく、築炉・工業炉の拡販に取り組み、また鉄鋼メーカーの定修工事・材料の受注拡大を目指します。
② 中国子会社(阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司)で、設備投資・研究開発を行い、生産能力・製品品質の向上を目指し、また新製品の拡販を行います。
インダストリアルソリューション事業
市場規模に対応した効率的な事業運営を進め、高付加価ディスクの拡販(特注品・BD等)にシフトすることにより、利益最大化に注力します。
ナノマテリアル事業
ナノマテリアルの研究開発・製造及び販売を行います。顧客要望に合わせた製品展開も行い、早期の収益拡大を目指します。
その他事業(新規事業)
ナノマテリアルから派生する事業及び、新たな事業領域での研究開発を推進します。
財政状態の状況に関しましては、たな卸資産の削減、固定資産の効率化及び営業債権の早期回収が各セグメントに共通する課題であると認識しており、資産効率の改善に向け、注力してまいります。
また、当社は、2017年3月期から2019年3月期までの個別業績において、3期連続の営業損失を計上し、2019年3月期の当社グループの連結キャッシュ・フロー計算書における営業活動によるキャッシュ・フローもマイナスとなっております。
これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しており、「2 事業等のリスク」において、重要事象等が存在する旨及びその内容を記載しております。
しかしながら、当面の十分な自己資金も確保しており、当該重要事象等を改善するための対応策として、2019年5月14日付で公表しました「中期経営計画2019(Fly for the bright future)の実施について」を策定し、これを実行することにより、継続企業の前提に関する重要事象等を解消できるものと考えております。