有価証券報告書
8.客船事業関連損失引当金繰入額の内容は、次のとおりである。
| 前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
| 客船事業については、プロトタイプの客船建造の困難さが顕在化し、またホテルパート等の設計作業が膨大となり、更には大幅な設計変更により、設計作業の遅延が生じた。このことが設計費の増加のみならず、その後の資材調達や建造工程などに悪影響を及ぼし、コスト悪化に繋がり、多額の工事損失の発生が見込まれることとなったため、前連結会計年度末に、当連結会計年度以降に発生が見込まれる損失の合理的な見積額64,126百万円を特別損失に計上した。 客船建造に関しては、平成26年3月に新たなプロジェクトマネジメント体制を組成して工事遂行してきたが、当連結会計年度に入って、客先とともに本船の先進的な要求仕様を確認・追求していく中で、パブリックエリアやホテルパート等の総合配置や関連付帯設備において、設計の基礎に立ち戻る事象が発生し、これらの対応において設計作業のやり直しが大量に生じたことにより、設計作業が大幅に遅れることとなった。 設計リソースを追加投入するなど対策を推進してきたが、当連結会計年度の第2四半期に入り、出図完了が想定より遅延することが見込まれ、1番船の建造工程の見直しを余儀なくされた。また、1番船の設計作業の遅れが2番船の出図遅れにも繋がり、2番船の現場工程にも影響を与えることとなった。 これにより、設計費の悪化、後続の現場工程における後戻り作業や工程遅れを取り戻すためのラッシュワークに伴う現場コストの悪化、設計の仕様変更や物量増加に伴う調達コストの悪化が発生する見込みとなったことにより、当連結会計年度の第2四半期において、合理的に見積った追加損失予想額39,841百万円を特別損失に計上した。 こうした中、プロジェクト遂行体制の強化を更に進めるため、社内他部門からの部長クラスのトップマネージャーの投入、外国人エキスパートの採用、内外からの直接工の大量投入を進めた。また、客先との信頼関係、コミュニケーションの更なる向上に取り組み、現在は1番船の平成27年9月完工に向け、客先と一丸となって工事を進めている状況である。 一方、設計作業については、当連結会計年度の第2四半期決算時点での想定から遅れが生じた。具体的には、総合配置図の客先承認取得完了を平成26年12月末と見込んでいたが、狭隘な船内に膨大な物量の配管や電線を実装することの設計上の難しさから、総合配置に係る客先との仕様合意が平成27年3月までずれ込むこととなった。また、建造工程に入り、現場状況を踏まえた細部に至る設計変更等が生じた。 本船は、非常に高密度で相互に関連する複雑なシステムを兼ね備えた設計となっていることに加え、膨大な工事量に対応するため、狭隘な環境に4,000人弱の船内作業者を抱えている。このため、一度設計変更が生じると、それが全体工程に影響を及ぼし、大掛かりなやり直し工事や作業効率の低下を発生させるため、想定以上のコスト悪化が生じることになった。 また、これらの影響による工程遅延を取り戻すべく、追加でリソースを投入しラッシュワークを進めていることから、現場コストが追加発生する見込みとなった。 結果として、今後発生する損失額が、前連結会計年度末及び当連結会計年度の第2四半期において引当計上した金額を超過することが当連結会計年度の第4四半期において見込まれるに至ったため、当連結会計年度の第4四半期末時点で可能な範囲で合理的に見積った追加損失予想額29,693百万円を特別損失として計上している。 この結果、当連結会計年度において、客船事業関連損失として特別損失に計上した金額は69,534百万円となる。 なお、当社は客船事業に関し今後発生が見込まれる損失を、継続的な事業として発生する損失ではないものと位置付け、特別損失に計上している。 客船事業に関しては、当連結会計年度末でプロトタイプ船建造における設計上の課題・問題点は概ね解決しており、既発生の事実に基づく可能な範囲で合理的な損失の引当は完了していると考えているが、想定外の仕様変更等今後新たな事象が生じた場合、損失の発生額が引当計上した金額と異なる可能性がある。 | 客船事業については、プロトタイプの客船建造の困難さが顕在化したことなどにより、大幅なコスト悪化が発生し、平成25年度に64,126百万円、前連結会計年度に69,534百万円を客船事業関連損失引当金繰入額として特別損失に計上した。 1番船の建造に関しては、当連結会計年度に入り、更なる人員を投入し、客先と一丸となって工事を進めてきたが、工事終盤に至って生じた設計変更や最終工程を進めている中で判明した不具合への対応、また、内装工事の最終仕上げ段階において生じた手直しや客先との調整事項への対応等のため、引渡時期を延期することとなり、当連結会計年度の第2四半期に30,953百万円、第3四半期に22,108百万円を特別損失に計上した。 第4四半期に入り、引渡に向けた最終仕上げや本船全体における制御システム確立、また各種最終検査を進めてきたが、本船は最新鋭の設備を装備しており、これら作業に想定以上に時間を要したこと、また主機不具合の発生や、海上試運転で客先より指摘を受けた騒音対策に加え、火災事故も重なり、結果として引渡時期が3月中旬となった。 また、2番船の建造に関しても、1番船の納期遅延影響や1番船での手直しや客先要求事項の2番船へのフィードバックが生じたことなどにより、建造工程を大幅に見直すこととなった。 この結果、今後発生する損失額が、既に引当計上した金額を超過することが当第4四半期において見込まれるに至ったため、当第4四半期連結会計期間末時点で可能な範囲で合理的に見積った追加損失予想額50,850百万円を特別損失として計上しており、当連結会計年度において、客船事業関連損失引当金繰入額として特別損失に計上した金額は103,911百万円となる。 なお、当社は客船事業に関し今後発生する損失を、継続的な事業として発生する損失ではないものと位置付け、特別損失に計上している。 客船事業に関しては、既発生の事実に基づく可能な範囲で合理的な損失の引当は完了していると考えているが、2番船の建造に関して客先と工期について協議中であることなどから、今後発生する損失額は異なってくる可能性がある。 |