有価証券報告書

【提出】
2015/06/26 15:04
【資料】
PDFをみる
【項目】
140項目

対処すべき課題

(1) 経営環境
今後の世界経済は、米国金融政策の影響や、欧州におけるデフレ懸念、資源価格下落に伴うロシア等資源国の経済悪化など、不安要因はあるものの、米国における雇用・所得環境の改善を背景とした着実な景気回復や、中国・ASEANなどアジア地域における、安定した成長の継続が期待されており、全体として、緩やかに回復することが見込まれている。我が国経済は、円安を背景とした企業収益の改善や、これに伴う設備投資などにより、雇用や所得環境の改善傾向が続き、原油価格の下落の影響及び成長戦略をはじめとする各種政策の効果もあり、引き続き回復基調を維持するものと見込まれている。
しかしながら、当社グループの事業が関係する市場の多くにおいては、国内外の巨大企業との熾烈な競争が今後も展開されると予想されることから、当社グループを取り巻く経営環境は依然として厳しい状況で推移すると認識している。
(2) 今後に向けた取組み(2015事業計画)
このような認識の下、当社グループが目指すべき企業像を、「たゆみない技術力の強化と研鑽、経営の革新及び変化と多様性への適応により、世界の発展に貢献し、共に成長を続ける企業」と捉え、平成27年度を初年度とする中期経営計画「2015事業計画」をスタートさせた。本計画では、「2012事業計画」における取組みを継承・発展させ、当社グループが求めるべき企業像に向けての基本方針として、「事業拡大加速によるグローバル競争力強化」、「財務基盤の更なる強化と高収益性追求」、「企業統治と経営プロセスのグローバル適合推進」を設定し、各種戦略と施策を着実に推進していく。
ア. 事業拡大加速によるグローバル競争力強化
当社グループがグローバル競争に耐え得る事業規模を実現するため、各ドメインの役割と目標を明確化し、これらの達成に向けた戦略を推進していく。
エネルギー・環境及び機械・設備システムの事業領域では、三菱日立パワーシステムズ株式会社及びプライメタルズ・テクノロジーズ・リミテッドにおいて、事業統合による融合を加速し、更なるシナジー効果を創出していくとともに、比較優位性があるガスタービン等について技術の強化に努めていく。また、エンジニアリング力の強化を図るとともに、4つのドメインを横断する組織の設置等を通じて、その活用を他の事業領域へ拡大していく。さらに、市場規模が大きくかつ伸長が見込めるオイル&ガスの分野においても、事業拡大に向けて、ドメイン横断組織を設置し、ドメイン間でのシナジー創出を通じて、積極的な事業展開に取り組んでいく。
交通・輸送の事業領域では、現在当社グループの総力を挙げて取り組んでいるリージョナルジェット機MRJの事業を着実に遂行し、将来の成長事業と位置づけている民間航空機事業を拡大していく。
また、当社グループの製品を支える技術基盤については、注力すべき技術開発分野への経営資源の集中投入、グローバルリソース活用による研究開発体制の構築やマーケティング能力の強化を図っていくとともに、当社グループの基本であるものづくり力の強化のための体制構築にも取り組んでいく。
イ. 財務基盤の更なる強化と高収益性追求
当社グループがグローバル市場で事業規模を拡大し成長していくためには、その過程で直面する多様なリスクに対し、適時適切な対応を可能とする強靭な財務基盤の確立が必要である。これに向け、戦略的事業評価制度等に基づく成長性と収益性の高い事業ポートフォリオの構築と、最適なプロダクトミックスの早期実現に加え、当社グループ全体におけるリスク対応力を高めていくことで、より一層の高収益性を実現し、財務基盤の強化につなげ、事業拡大を実現していく。また、当社グループ全体としての資産有効活用や、事業運転資金の削減活動を通じたキャッシュ・フローの改善などを継続的に推進し、財務基盤の更なる強化を図っていく。さらに、会社を支える基盤であるコーポレート部門についても、業務プロセスの更なる高度化と効率化に向けて、事業のグローバル化に適応できる人材を戦略的に育成すると同時に、標準的な定型処理業務を対象として、アウトソーシングを拡大することなどにより、当社グループ全体における共通費用の最適化を図っていく。
ウ. 企業統治と経営プロセスのグローバル適合推進
効率的なグローバル経営体制の整備のために、経営基盤の整備を推進していく。グローバル企業にふさわしいコーポレート・ガバナンスの確立に向け、取締役、チーフオフィサー、執行役員の責務の明確化、意思決定プロセスや判断基準の整備・高度化といった、経営手法の継続的革新に引き続き取り組んでいく。
当社グループは、今後もコンプライアンスやCSR(企業の社会的責任)を経営の最優先課題と捉え、多様性と調和を両立した効率的なグローバル経営体制を整備することにより、グローバル競争に勝ち残っていくとともに、「ものづくり」を通じて、我々が直面する課題に対し積極的に取り組み、社会の持続的発展に貢献していく。