有価証券報告書-第196期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/26 15:54
【資料】
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【項目】
177項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、設備の状況、経理の状況のうち、当社グループの経営成績、株価及び財務状況等、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、記載事項のうち将来に関する事項は当連結会計年度末(2019年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、グローバルかつ持続的な事業運営を可能とする全社的リスク管理の取組みに必要な体制を整え、当社グループにおける重要リスクを以下のとおり認識した上で、リスク発生の回避及びリスクが顕在化した時の影響の極小化に努めています。
(1) 政治・経済情勢
当社グループは、日本国内はもとより米州・アジア・欧州をはじめ世界各地で事業展開をしています。このため、それぞれの地域における政治・経済の動向が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 為替レートの変動
当連結会計年度における当社グループの連結売上高に占める海外向け売上高は57%であり、米ドル、ユーロ等の外貨建取引が多く存在します。外貨建取引については、総原価に占める外貨建コストの比率を高める等の為替変動リスクの軽減を図るとともに、為替動向を考慮しながら計画的に為替予約等のヘッジを行っていますが、製造拠点の多くが日本国内に立地しているため、海外取引に関わるリスクを負っています。
(3) カントリーリスク
当社グループは、海外市場における事業の拡大を図っており、製品・サービスの輸出に加えて、海外での現地生産やプラント等の建設工事、販売・調達等の活動をグローバルに展開しています。製品仕向地や生産・工事・販売・調達等を行う国や地域での紛争・政情不安・デフォルト、貿易制裁、宗教・文化の相違、特殊な労使関係等により、円滑な業務遂行が妨げられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 個別プロジェクト管理
当社グループは、お客様との個別契約に基づき受注する案件が多く、請負金額が大きい工事等の重要な案件については、応札時や受注契約時をはじめ、プロジェクト開始後も本社と事業部門でリスク分析やリスクへの対応等の十分な検討を行っています。しかし、当初想定できなかった政治・経済情勢の変動等による資材費や労務費の高騰、設計変更や工程の混乱等によって、当初見積り以上にコストが膨らみ、当該案件の損益悪化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 大規模災害
当社グループは、台風、地震、洪水、パンデミック等の各種大規模災害に対して発生時の損失を最小限に抑えるため、事業継続計画(BCP)の策定、緊急連絡体制の整備、定期的な点検や訓練の実施等を進めています。しかし、このような災害による人的・物的被害の発生や資材・物流の停滞等が、当社グループの事業活動(特に工場での生産活動)に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、災害による損害が損害保険等で十分にカバーされる保証はありません。
(6) 情報セキュリティ
当社グループは、業務を通じて入手した取引先の機密情報や個人情報、また設計・技術・営業等の事業活動に係る機密情報を多数保有しています。これらの情報を保護するため、ITシステムを含む情報管理の体制を構築し保全システムの整備・更新、従業員への教育等を行い、情報漏えい防止に努めています。しかし、サイバー攻撃などによるコンピュータウィルスの感染、不正アクセスや盗難、その他不測の事態により機密情報が消失、もしくは社外に漏えいした場合、当社グループの業績や信用・評判等に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 人財の確保・育成
当社グループの各職場で長年培ってきた技術・技能を有する優秀な人財の多くが退職時期を迎え、我が国の少子化の進行とも相まって当社グループの事業活動や競争力に悪影響を及ぼす可能性があります。その中で、積極的な採用活動を行い優秀な人財の確保に努めるとともに、技術・技能の伝承や人財の育成を進めていますが、労働市場の動向などによっては計画どおり人財の確保ができない場合や、変化速度の速い必要スキルと育成達成のアンバランスなどが当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 資金調達
当社グループは、将来見通しを含めた金利動向等を勘案して資金調達を実施し、低金利・安定資金の確保に努めていますが、金利の変動をはじめとする金融市場の動向は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) アライアンス
当社グループは、国内外の幅広い事業分野において、他社と業務提携、合弁事業等のアライアンス関係を築いています。これらの実施にあたっては、事前に収益性や投資回収の可能性について様々な観点から十分に検討を行っていますが、市場環境の変化、事業競争力の低下、相互の経営戦略の見直し等を理由として、アライアンス等が解消又は変更された場合、あるいは目論見どおりの効果を実現できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 法令・規制
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、国内外各地で関連する法令・規制の適用を受けます。このため、その遵守はもちろんのこと、川崎重工グループ行動規範を制定し適時内容の整備・見直しを行うとともに、その研修・啓蒙などによりコンプライアンスの強化を図っています。しかし、万一個人的な不正行為を含む重大な法令違反等のコンプライアンスリスクが発生した場合には、多額の過料・課徴金による損失や業務停止命令による受注機会損失の可能性があるほか、これに伴う社会的評価の低下が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 環境規制
当社グループは、国内外に製造設備を多数保有しており、各種環境規制の対象となる有害物質を使用している事業所やグループ会社があります。これらの有害物質は、法令を順守し適正に管理(排出基準・保管基準・取扱作業基準等)しています。また、万一、規制を超える排出等を行った場合の緊急事態を想定し、健康被害や、環境影響を最小限に抑制するための各種対策を講じています。ただし、天変地異などの想定外の事態により環境への悪影響が発生した場合には、社会的評価の低下を招くとともに工場の操業停止や損害賠償責任等が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 品質管理
当社グループは、品質や安全に関する法令・規則の遵守に努めるとともに、製品の品質確保や製品安全、機械安全のリスクアセスメントを通じて、常に信頼性の向上に努めています。しかし、外注先のグローバル化や複数化による品質リスクの高まり、人的リソース不足や外注依存による技術・技能の空洞化等から、製品の品質に起因する事故、あるいはクレームやリコールにより、損害賠償や訴訟費用等の多額のコストが発生することで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが支払う損害賠償額が製造物責任賠償保険でカバーされる保証はありません。
(13) 労働安全衛生
当社グループは、各事業所及び建設工事現場等における労働安全衛生管理には様々な対策を講じていますが、不測の事故、職場環境の不備・欠陥等により重大な労働災害や健康被害が発生した場合には、生産活動等に支障をきたすとともに社会的評価の低下を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 資材調達
当社グループは、原材料・部品・機器等を国内外の多くの取引先から調達しており、安定した調達を行うため原材料や部品等の市場動向を注視するとともに、取引先の品質管理を徹底しながら特定の取引先への過度の集中を避け複数化を図っています。しかし、取引先が限定される特殊性のある原材料や部品の調達が滞ることで当社グループの生産活動に支障をきたしたり、原材料・部品等の価格が高騰した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 研究開発
当社グループの研究開発活動に係る情報は、「第2 事業の状況 5 研究開発活動」に記載しています。これらの研究開発は、多額の費用と研究期間を要するため、研究開発が計画どおり進まず実用化の機会を喪失した場合や、市場ニーズとの不整合が生じ実用化に至らなかった場合、実用化しても十分な成果が得られなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 知的財産
当社グループは、保有する特許権や実用新案権等の知的財産の適切な管理・保全に努めています。しかし、保有する知的財産が多岐にわたるため、第三者による侵害を完全に防止できない可能性があります。また、当社グループの製品や技術が他社等の知的財産を侵害し、損害賠償等を請求され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 関係会社
当社グループは、多数の関係会社を有しています。これらの関係会社は当社と相互に密接な協力体制を築く一方、独立会社として自主的な経営を行っているため、その事業の動向や結果が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。