四半期報告書-第200期第2四半期(平成28年7月1日-平成28年9月30日)
有報資料
文中の将来に関する事項は,当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1)業績の状況
当第2四半期連結累計期間のわが国経済は,為替の円高や設備投資及び企業収益の伸び悩みなどにより不透明な状況が広がりました。また世界経済は,米国景気が堅調だったものの,中国やアジア新興国において景気の減速感が顕著となり,さらに地政学的リスクの高まりや英国のEU離脱問題などにより,不透明感が増しています。
このような事業環境下での,当社グループの当第2四半期連結累計期間の受注高は前年同期比9.5%減の6,402億円となりました。また,売上高は前年同期比0.5%増の6,917億円となりました。損益面では,営業利益は,前年同期に社会基盤・海洋において大幅な採算悪化があった影響で,前年同期に比べ116億円の増益となり,119億円となりました。経常損益は,為替差損益の悪化などにより,前年同期に比べ91億円の増益の50億円にとどまりました。一方,親会社株主に帰属する四半期純損益については,繰延税金資産の回収可能性の見直しなどに伴って税金費用が増加したことにより,前年同期に比べ13億円悪化の52億円の損失となりました。
当第2四半期連結累計期間の報告セグメント別の状況は以下のとおりです。
(単位:億円)
⦅資源・エネルギー・環境⦆
受注高は,ボイラにおいて前年同期に大型案件の受注があったことの反動や,原油安の影響によって陸舶用原動機の受注が低迷していることで,減少しました。
売上高は,ボイラにおいて大型工事の進捗に伴う増収はあったものの,プロセスプラントにおいて,前年同期に進捗していた国内及びアジアでのLNG貯蔵設備の大型工事が工程終盤を迎えた影響や,陸舶用原動機の販売減少により,減収となりました。
営業損益は,上記の減収の影響や一部ボイラ工事の採算悪化の影響などにより,赤字となりました。
⦅社会基盤・海洋⦆
受注高は,橋梁・水門が増加したものの,交通システムやシールド掘進機の減少により,前年同期に比べほぼ横ばいとなりました。
売上高は,橋梁・水門において,本年6月30日に開通式が催されたトルコ イズミット湾横断橋建設工事が減収となったものの,F-LNG(フローティングLNG貯蔵設備,海洋構造物)の工事進捗に伴う増収により,前年同期に比べほぼ横ばいとなりました。
営業損失は,橋梁・水門の採算改善や,前年同期にF-LNGで大幅な採算悪化があった影響で赤字幅が縮小していますが,当期においてもさらなる採算悪化(※)となりました。
⦅産業システム・汎用機械⦆
受注高は,車両過給機やパーキングの増加はあったものの,運搬機械及び建機の減少により,前年同期に比べ減少しました。
売上高は,物流・産業システムにおける大型工事の進捗や,車両過給機及び回転機械の増収により,前年同期に比べ増収となりました。
営業利益は,上記の増収効果や,物流・産業システム,回転機械及びパーキングの採算改善により,前年同期に比べ増益となりました。
⦅航空・宇宙・防衛⦆
受注高は,民間向け航空エンジンの減少により,前年同期に比べ減少しました。
売上高は,為替円高の影響などにより民間向け航空エンジンが減少したことや,前年同期に防衛機器システムにおいて艦艇用ガスタービンの引渡しがあったことにより,減収となりました。
営業利益は,為替円高の影響があったものの,次世代大型機用航空エンジンGE9Xが量産準備のステージに移行し,研究開発費が減少したことで,前年同期に比べほぼ横ばいとなりました。
(※)当期におけるF-LNG事業の採算悪化について
F-LNG事業における以下の3プロジェクトのさらなる採算悪化が顕在化しました。
① シンガポール向けドリルシップ船体建造工事
② ノルウェー向け洋上浮体式石油生産貯蔵積出設備(FPSO)船体建造工事
③ 国内向けLNG船用SPBタンク建造工事(4タンク×4隻)
これらのプロジェクトは,いずれも昨年度来当社グループの業績予想下方修正の主要因となってきた案件であり,当社グループを挙げてのサポート体制を敷き,工事の遂行に全力で当たってきました。しかし,誠に遺憾ながら,本年7月29日の業績予想発表以降,プロジェクトごとに下記の事象が新たに発現・認識されたため,それに対応する追加コストを見込みました。
① シンガポール向けドリルシップ船体建造工事
⦅工程現況⦆
ドリルシップ船体の組立て完了後,本年4月に当社愛知工場のドックから岸壁へ船体を移し,工程の終盤となる船内でのケーブル敷設(電装工事)・装置類の取付け(艤装工事)を進めております。
⦅新たに認識された課題⦆
本年7月以降,船内での電装工事が進捗し,お客さまの検査を順次受ける段階となり,電装設計不適合に関するお客さまからの厳しいコメントが増加しました。これを受け,設計内容を再度精査した結果,ケーブル(電線)の再敷設やケーブルトレー(電線の受け皿)の追加・再設置が必要になり,電装工事で大きな遅れが生じる見通しとなりました。電装工事の遅れが,塗装・試運転等の後続工程の遅延につながり,その遅れをキャッチアップするためのリソースの投入も必要になりました。こうした事情により,本年内の引渡し予定を平成29年3月に変更せざるを得なくなり,大きな追加コストの計上が必要になりました。
なお,お客さまと当社共同で課題を検証し,これ以上のコストと工程に影響を与える事象がないことを確認しました。
② ノルウェー向け洋上浮体式石油生産貯蔵積出設備(FPSO)船体建造工事
⦅工程現況⦆
当社愛知工場を含む国内外で製作した船体ブロックをシンガポールの下請先造船所へ輸送し,そこで本年8月に船体の一体化を完了しました。現在は,同造船所の岸壁に接岸された状態で,艤装・電装工事を進めています。
⦅新たに認識された課題⦆
詳細設計(ヤードプラン)の図面改訂作業を本年9月にようやく完了しました。最終確認段階にて配管間の干渉を回避するための設計の見直しも実施しました。結果として,艤装(配管),電装(ケーブル)工程での大幅な物量増加や,敷設済みの部分についても後戻り作業の必要性が明らかになりました。この状況を踏まえ,今後の作業量について下請先造船所とすり合わせを行った結果,引渡し予定は2か月遅れて平成29年7月の見通しとなり,見積コストも大きく増加することになりました。また,シンガポールの下請先造船所における工事進捗の管理強化のため,設計,施工,品質管理の派遣エンジニア増員と滞在期間延長のコストを計上しました。
③ 国内向けLNG船用SPBタンク建造工事(4タンク×4隻)
⦅工程現況⦆
建造する計16タンク(4タンク×4隻)の内,第1船の最初の2タンクの船体搭載が本年8月,10月にそれぞれ完了しました。本年12月に予定している第1船の引き渡しに向け,残る2タンクを順次搭載する予定です。
⦅新たに認識された課題⦆
タンクの船体搭載とは,上部と下部,2つの巨大ブロックをそれぞれ組み立てた後,これらを船内に搭載して一体化する工程で,難度の高い精度管理と溶接品質を必要とするアルミSPBタンク建造における後半工程となります。この船体搭載の工程には,熟練技能者を集中的に投入して対応してきましたが,作業難度が想定を超え,後戻り作業が頻発して計画の作業効率を実現できず,また連続建造による習熟効果も得られていないことが判明しました。この結果,工程の遅れが顕著となり,キャッチアップのための対策が必要となりました。
このような状況のもと,工程遅れキャッチアップのための最終ブロック組立用の作業エリアを増設することとし,また習熟効果を一切見込まずに第1船の2タンクの実績をベースに,後続のタンク建造の作業量を見直しました。この結果,見積コストは大幅に増加し,完成予定も1~2か月遅れて最終4番船の引き渡しが平成29年12月となる見込みです。
今後,溶接技能者の配員計画の適正化などの対策により改善に努めてまいります。
現在仕掛中の上記3プロジェクトについては,当社グループの総力を挙げて工事を完遂する所存です。
(2)財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末における総資産は1兆5,937億円となり,前連結会計年度末と比較して1,212億円減少しました。主な減少項目は受取手形・売掛金で1,075億円,現金・預金で261億円,主な増加項目は仕掛品で360億円です。
負債は1兆2,817億円となり,前連結会計年度末と比較して999億円減少しました。主な減少項目は未払費用で421億円,短期借入金で339億円,支払手形・買掛金で247億円,主な増加項目は,前受金で173億円です。
純資産は3,120億円となり,前連結会計年度末と比較して212億円減少しました。これには親会社株主に帰属する四半期純損失の計上52億円,為替換算調整勘定の減少129億円が含まれています。
以上の結果,自己資本は減少しましたが,総資産の大幅な圧縮により,自己資本比率は前連結会計年度末の18.6%から18.7%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下,「資金」という)の残高は,前連結会計年度末と比較して263億円減少し,772億円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は423億円(前年同期は240億円の使用)となりました。主な資金の増加項目は,売上債権の減少が980億円,減価償却費の計上が280億円,前受金の増加が234億円,一方で主な資金の減少項目は,たな卸資産の増加が453億円,未払費用の減少が393億円,仕入債務の減少が190億円などです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用された資金は304億円(前年同期は283億円の使用)となりました。これは主に有形及び無形固定資産の取得による支出239億円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用された資金は303億円(前年同期は460億円の獲得)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出385億円などによるものです。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金・設備資金については,借入金や社債,自己資金により充当しています。当第2四半期連結会計期間末の有利子負債残高はリース債務を含めて3,424億円であり,前連結会計年度末と比較して321億円減少しています。これは主に事業活動により前受金が増加し,また売上債権の回収が進んだためです。
当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は772億円であり,主要銀行とのコミットメントライン契約や当座貸越枠,コマーシャル・ペーパーなど多様な調達手段とあわせて,十分な流動性を確保しています。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における,グループ全体の研究開発活動の金額は146億円です。なお,当第2四半期連結累計期間において,当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)経営戦略の現状と見通し
当社グループは,平成28年度を初年度とする3か年の中期経営計画「グループ経営方針2016」をスタートさせています。同方針でメインテーマとして掲げている「収益基盤の強化」を実現するため,① 品質を含めたものづくり力を強化する,② 事業戦略の実行力を高める,③ 工事利益を安定的に確保できる体制を整備する,④ お客さまの価値創造に向けたソリューションを提供し,また製品・サービスを高度化する,という4つの方針に基づく各種施策を実施しています。経営目標の実現に向けた取り組みを着実に展開していくことを通じて,ステークホルダーの皆様の「信頼回復」に傾注してまいります。
新たなポートフォリオマネジメントによる集中と選択の取組みとして,トンネル用シールド掘進機事業では,当社の連結子会社であるジャパントンネルシステムズ株式会社と三菱重工メカトロシステムズ株式会社のトンネルシールド掘進機事業を統合し,本年10月1日に新事業会社JIMテクノロジー株式会社が発足しました。また,建機事業では,本年10月25日に,ミニショベル,クレーン,クローラキャリア等の建設機械の製造・販売を行なう当社の連結子会社であるIHI建機株式会社の全株式を譲渡する契約を株式会社加藤製作所との間で締結しました。
なお,昨年度来当社グループの業績予想下方修正の主要因となってきた3プロジェクトを含むF-LNG事業については,これまでの開示資料でお知らせしたとおり,昨年度からの度重なる損益悪化を受け,すでにF-LNGの新規受注を停止しています。一方,アルミSPBタンクを軸とした事業構造への変革を検討してきましたが,オフショア市場の見通しを踏まえ,抜本的な対策の必要性についても合わせて検討し,今年度末を目途に結論を出します。
(注)数値表記について,億円表示は切捨て,その他は四捨五入で表示しています。
(1)業績の状況
当第2四半期連結累計期間のわが国経済は,為替の円高や設備投資及び企業収益の伸び悩みなどにより不透明な状況が広がりました。また世界経済は,米国景気が堅調だったものの,中国やアジア新興国において景気の減速感が顕著となり,さらに地政学的リスクの高まりや英国のEU離脱問題などにより,不透明感が増しています。
このような事業環境下での,当社グループの当第2四半期連結累計期間の受注高は前年同期比9.5%減の6,402億円となりました。また,売上高は前年同期比0.5%増の6,917億円となりました。損益面では,営業利益は,前年同期に社会基盤・海洋において大幅な採算悪化があった影響で,前年同期に比べ116億円の増益となり,119億円となりました。経常損益は,為替差損益の悪化などにより,前年同期に比べ91億円の増益の50億円にとどまりました。一方,親会社株主に帰属する四半期純損益については,繰延税金資産の回収可能性の見直しなどに伴って税金費用が増加したことにより,前年同期に比べ13億円悪化の52億円の損失となりました。
当第2四半期連結累計期間の報告セグメント別の状況は以下のとおりです。
(単位:億円)
| 報告セグメント | 受注高 | 前第2四半期 | 当第2四半期 | 前年同期比 増減率 | |||||
| 前第2 四半期 連結 累計期間 | 当第2 四半期 連結 累計期間 | 前年 同期比 増減率 (%) | 連結累計期間 | 連結累計期間 | |||||
| (27.4~27.9) | (28.4~28.9) | (%) | |||||||
| 売上高 | 営業 損益 | 売上高 | 営業 損益 | 売上高 | 営業 損益 | ||||
| 資源・ エネルギー・ 環境 | 2,217 | 1,763 | △20.5 | 2,099 | 52 | 2,085 | △68 | △0.7 | - |
| 社会基盤・海洋 | 747 | 736 | △1.5 | 664 | △345 | 666 | △199 | 0.2 | - |
| 産業システム・ 汎用機械 | 2,203 | 2,114 | △4.0 | 1,902 | 39 | 2,029 | 79 | 6.7 | 101.1 |
| 航空・宇宙・防衛 | 1,822 | 1,671 | △8.3 | 2,165 | 310 | 2,059 | 315 | △4.9 | 1.6 |
| 報告セグメント 計 | 6,991 | 6,285 | △10.1 | 6,833 | 56 | 6,841 | 126 | 0.1 | 124.8 |
| その他 | 326 | 342 | 4.7 | 257 | △1 | 322 | 4 | 25.2 | - |
| 調整額 | △241 | △225 | - | △207 | △52 | △245 | △11 | - | - |
| 合計 | 7,077 | 6,402 | △9.5 | 6,882 | 2 | 6,917 | 119 | 0.5 | - |
⦅資源・エネルギー・環境⦆
受注高は,ボイラにおいて前年同期に大型案件の受注があったことの反動や,原油安の影響によって陸舶用原動機の受注が低迷していることで,減少しました。
売上高は,ボイラにおいて大型工事の進捗に伴う増収はあったものの,プロセスプラントにおいて,前年同期に進捗していた国内及びアジアでのLNG貯蔵設備の大型工事が工程終盤を迎えた影響や,陸舶用原動機の販売減少により,減収となりました。
営業損益は,上記の減収の影響や一部ボイラ工事の採算悪化の影響などにより,赤字となりました。
⦅社会基盤・海洋⦆
受注高は,橋梁・水門が増加したものの,交通システムやシールド掘進機の減少により,前年同期に比べほぼ横ばいとなりました。
売上高は,橋梁・水門において,本年6月30日に開通式が催されたトルコ イズミット湾横断橋建設工事が減収となったものの,F-LNG(フローティングLNG貯蔵設備,海洋構造物)の工事進捗に伴う増収により,前年同期に比べほぼ横ばいとなりました。
営業損失は,橋梁・水門の採算改善や,前年同期にF-LNGで大幅な採算悪化があった影響で赤字幅が縮小していますが,当期においてもさらなる採算悪化(※)となりました。
⦅産業システム・汎用機械⦆
受注高は,車両過給機やパーキングの増加はあったものの,運搬機械及び建機の減少により,前年同期に比べ減少しました。
売上高は,物流・産業システムにおける大型工事の進捗や,車両過給機及び回転機械の増収により,前年同期に比べ増収となりました。
営業利益は,上記の増収効果や,物流・産業システム,回転機械及びパーキングの採算改善により,前年同期に比べ増益となりました。
⦅航空・宇宙・防衛⦆
受注高は,民間向け航空エンジンの減少により,前年同期に比べ減少しました。
売上高は,為替円高の影響などにより民間向け航空エンジンが減少したことや,前年同期に防衛機器システムにおいて艦艇用ガスタービンの引渡しがあったことにより,減収となりました。
営業利益は,為替円高の影響があったものの,次世代大型機用航空エンジンGE9Xが量産準備のステージに移行し,研究開発費が減少したことで,前年同期に比べほぼ横ばいとなりました。
(※)当期におけるF-LNG事業の採算悪化について
F-LNG事業における以下の3プロジェクトのさらなる採算悪化が顕在化しました。
① シンガポール向けドリルシップ船体建造工事
② ノルウェー向け洋上浮体式石油生産貯蔵積出設備(FPSO)船体建造工事
③ 国内向けLNG船用SPBタンク建造工事(4タンク×4隻)
これらのプロジェクトは,いずれも昨年度来当社グループの業績予想下方修正の主要因となってきた案件であり,当社グループを挙げてのサポート体制を敷き,工事の遂行に全力で当たってきました。しかし,誠に遺憾ながら,本年7月29日の業績予想発表以降,プロジェクトごとに下記の事象が新たに発現・認識されたため,それに対応する追加コストを見込みました。
① シンガポール向けドリルシップ船体建造工事
⦅工程現況⦆
ドリルシップ船体の組立て完了後,本年4月に当社愛知工場のドックから岸壁へ船体を移し,工程の終盤となる船内でのケーブル敷設(電装工事)・装置類の取付け(艤装工事)を進めております。
⦅新たに認識された課題⦆
本年7月以降,船内での電装工事が進捗し,お客さまの検査を順次受ける段階となり,電装設計不適合に関するお客さまからの厳しいコメントが増加しました。これを受け,設計内容を再度精査した結果,ケーブル(電線)の再敷設やケーブルトレー(電線の受け皿)の追加・再設置が必要になり,電装工事で大きな遅れが生じる見通しとなりました。電装工事の遅れが,塗装・試運転等の後続工程の遅延につながり,その遅れをキャッチアップするためのリソースの投入も必要になりました。こうした事情により,本年内の引渡し予定を平成29年3月に変更せざるを得なくなり,大きな追加コストの計上が必要になりました。
なお,お客さまと当社共同で課題を検証し,これ以上のコストと工程に影響を与える事象がないことを確認しました。
② ノルウェー向け洋上浮体式石油生産貯蔵積出設備(FPSO)船体建造工事
⦅工程現況⦆
当社愛知工場を含む国内外で製作した船体ブロックをシンガポールの下請先造船所へ輸送し,そこで本年8月に船体の一体化を完了しました。現在は,同造船所の岸壁に接岸された状態で,艤装・電装工事を進めています。
⦅新たに認識された課題⦆
詳細設計(ヤードプラン)の図面改訂作業を本年9月にようやく完了しました。最終確認段階にて配管間の干渉を回避するための設計の見直しも実施しました。結果として,艤装(配管),電装(ケーブル)工程での大幅な物量増加や,敷設済みの部分についても後戻り作業の必要性が明らかになりました。この状況を踏まえ,今後の作業量について下請先造船所とすり合わせを行った結果,引渡し予定は2か月遅れて平成29年7月の見通しとなり,見積コストも大きく増加することになりました。また,シンガポールの下請先造船所における工事進捗の管理強化のため,設計,施工,品質管理の派遣エンジニア増員と滞在期間延長のコストを計上しました。
③ 国内向けLNG船用SPBタンク建造工事(4タンク×4隻)
⦅工程現況⦆
建造する計16タンク(4タンク×4隻)の内,第1船の最初の2タンクの船体搭載が本年8月,10月にそれぞれ完了しました。本年12月に予定している第1船の引き渡しに向け,残る2タンクを順次搭載する予定です。
⦅新たに認識された課題⦆
タンクの船体搭載とは,上部と下部,2つの巨大ブロックをそれぞれ組み立てた後,これらを船内に搭載して一体化する工程で,難度の高い精度管理と溶接品質を必要とするアルミSPBタンク建造における後半工程となります。この船体搭載の工程には,熟練技能者を集中的に投入して対応してきましたが,作業難度が想定を超え,後戻り作業が頻発して計画の作業効率を実現できず,また連続建造による習熟効果も得られていないことが判明しました。この結果,工程の遅れが顕著となり,キャッチアップのための対策が必要となりました。
このような状況のもと,工程遅れキャッチアップのための最終ブロック組立用の作業エリアを増設することとし,また習熟効果を一切見込まずに第1船の2タンクの実績をベースに,後続のタンク建造の作業量を見直しました。この結果,見積コストは大幅に増加し,完成予定も1~2か月遅れて最終4番船の引き渡しが平成29年12月となる見込みです。
今後,溶接技能者の配員計画の適正化などの対策により改善に努めてまいります。
現在仕掛中の上記3プロジェクトについては,当社グループの総力を挙げて工事を完遂する所存です。
(2)財政状態の分析
当第2四半期連結会計期間末における総資産は1兆5,937億円となり,前連結会計年度末と比較して1,212億円減少しました。主な減少項目は受取手形・売掛金で1,075億円,現金・預金で261億円,主な増加項目は仕掛品で360億円です。
負債は1兆2,817億円となり,前連結会計年度末と比較して999億円減少しました。主な減少項目は未払費用で421億円,短期借入金で339億円,支払手形・買掛金で247億円,主な増加項目は,前受金で173億円です。
純資産は3,120億円となり,前連結会計年度末と比較して212億円減少しました。これには親会社株主に帰属する四半期純損失の計上52億円,為替換算調整勘定の減少129億円が含まれています。
以上の結果,自己資本は減少しましたが,総資産の大幅な圧縮により,自己資本比率は前連結会計年度末の18.6%から18.7%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下,「資金」という)の残高は,前連結会計年度末と比較して263億円減少し,772億円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は423億円(前年同期は240億円の使用)となりました。主な資金の増加項目は,売上債権の減少が980億円,減価償却費の計上が280億円,前受金の増加が234億円,一方で主な資金の減少項目は,たな卸資産の増加が453億円,未払費用の減少が393億円,仕入債務の減少が190億円などです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用された資金は304億円(前年同期は283億円の使用)となりました。これは主に有形及び無形固定資産の取得による支出239億円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用された資金は303億円(前年同期は460億円の獲得)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出385億円などによるものです。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金・設備資金については,借入金や社債,自己資金により充当しています。当第2四半期連結会計期間末の有利子負債残高はリース債務を含めて3,424億円であり,前連結会計年度末と比較して321億円減少しています。これは主に事業活動により前受金が増加し,また売上債権の回収が進んだためです。
当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は772億円であり,主要銀行とのコミットメントライン契約や当座貸越枠,コマーシャル・ペーパーなど多様な調達手段とあわせて,十分な流動性を確保しています。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における,グループ全体の研究開発活動の金額は146億円です。なお,当第2四半期連結累計期間において,当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)経営戦略の現状と見通し
当社グループは,平成28年度を初年度とする3か年の中期経営計画「グループ経営方針2016」をスタートさせています。同方針でメインテーマとして掲げている「収益基盤の強化」を実現するため,① 品質を含めたものづくり力を強化する,② 事業戦略の実行力を高める,③ 工事利益を安定的に確保できる体制を整備する,④ お客さまの価値創造に向けたソリューションを提供し,また製品・サービスを高度化する,という4つの方針に基づく各種施策を実施しています。経営目標の実現に向けた取り組みを着実に展開していくことを通じて,ステークホルダーの皆様の「信頼回復」に傾注してまいります。
新たなポートフォリオマネジメントによる集中と選択の取組みとして,トンネル用シールド掘進機事業では,当社の連結子会社であるジャパントンネルシステムズ株式会社と三菱重工メカトロシステムズ株式会社のトンネルシールド掘進機事業を統合し,本年10月1日に新事業会社JIMテクノロジー株式会社が発足しました。また,建機事業では,本年10月25日に,ミニショベル,クレーン,クローラキャリア等の建設機械の製造・販売を行なう当社の連結子会社であるIHI建機株式会社の全株式を譲渡する契約を株式会社加藤製作所との間で締結しました。
なお,昨年度来当社グループの業績予想下方修正の主要因となってきた3プロジェクトを含むF-LNG事業については,これまでの開示資料でお知らせしたとおり,昨年度からの度重なる損益悪化を受け,すでにF-LNGの新規受注を停止しています。一方,アルミSPBタンクを軸とした事業構造への変革を検討してきましたが,オフショア市場の見通しを踏まえ,抜本的な対策の必要性についても合わせて検討し,今年度末を目途に結論を出します。
(注)数値表記について,億円表示は切捨て,その他は四捨五入で表示しています。