有価証券報告書-第203期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 15:19
【資料】
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【項目】
190項目
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは,社会とともに発展するよき企業市民であることを第一義とし「技術をもって社会の発展に貢献する」,「人材こそが最大かつ唯一の財産である」との経営理念のもと,21世紀の環境,エネルギー,産業・社会基盤における諸問題を,「ものづくり技術」を中核とするエンジニアリング力によって解決し,地球と人類に豊かさと安全・安心を提供するグローバルな企業グループを目指しています。
この基本方針を実現するため,当社グループ社員には,「グローバル」,「ものづくり技術・エンジニアリング力」,「世界に通用する業務品質」の観点から卓越した能力を持つプロフェッショナル集団となることを求めています。また,製品・サービスの高度化による社会の発展への貢献を通じて収益性を高め,資本市場から求められる資本効率や株主還元を実現し,持続的な企業価値の創造を図ることで,信頼される企業グループを目指しています。
(2)中長期的な会社の経営戦略及び経営指標
当社グループは,2019年度から,長期的視点に立った持続可能な社会の実現を目指した中期経営計画「グループ経営方針2019」をスタートしております。しかしながら,2020年1月以降の新型コロナウイルス感染症の影響は甚大なものとなり,当社グループを取り巻く現下の事業環境は大きく変化しました。今後の社会・経済は大きく変貌することが見込まれる中,社会や生活者の行動・価値観の変容や,市場動向を把握・予見しながら,「アフターコロナ」の新たな常態に対応する持続可能な企業の在り方を検討し,事業の方向性の見極めと構造改革及びポートフォリオマネジメントの推進に取り組んでまいります。また,検討を進める過程で経営戦略及び経営指標の見直しが必要になった場合には,中期経営計画につきましても必要な見直しを行なう予定です。
なお,現在取り組んでいる「グループ経営方針2019」については以下のとおりです。
①「グループ経営方針2019」長期視点の“目指す姿”
当社グループは,将来の持続可能な社会の実現に貢献すべく,これまでのハードウェア供給を中心とした事業や製品の在り方から,長期視点で社会とお客さまの課題に真正面から取り組み,新たな価値を創造する企業へ大きく変革していくことを目指します。
この“目指す姿”を実現するため,私たちは,お客さまと共に社会の課題を解決し,かつ当社グループの企業価値を高め,社会・お客さま・当社グループが共に持続的な成長を遂げる取り組みを実行しています。
②「グループ経営方針2019」3ヵ年の取り組み
長期視点での目指す姿の実現に向け,「グループ経営方針2019」のテーマを,『社会とお客さまの課題に真正面から取り組む / 事業変革の本格化』と定義しました。
「グループ経営方針2019」の3ヵ年は,「グループ経営方針2016」にて整備された収益基盤を土台として,環境変化や社会の要請に応じて事業の中身の組み替えを柔軟かつ的確に進め,社会とお客さまにとっての新たな価値を創造し,自らの価値も高める企業への変革を本格的に加速する3ヵ年と位置付け,以下3つの活動を柱とした変革に取り組んでいます。
・お客さまと共にライフサイクル視点でアフターマーケット事業展開を加速
事業活動のライフサイクル全体を視野に,ハードウェア供給で培った強みを更に追求・進化させ,お客さまのオペレーションに入り込んだアフターマーケット事業を着実に実行しています。
・リーン&フレキシブルな経営体質への変革
アフターマーケット事業の展開及び価値創造に向けたビジネスモデル変革等,集中すべき分野へのリソースの最適配分を本格化し,堅固な事業運営体制を構築しています。
・価値創造に向けたビジネスモデル変革の推進
持続可能な社会の実現に貢献する価値の創造に向け,将来への準備としてビジネスモデル変革を推進しています。
変革を実現する上で,最も強固な土台となるべきものが「安全と品質」そして「リスクマネジメント」です。「安全と品質」は決して変わることなく常に最優先で確保すべきものとして,また「リスクマネジメント」は収益性及び事業の安定性を担保するものとして,継続して徹底的に取り組んでいます。
加えて,環境変化に柔軟かつスピーディーに対応し事業変革を支える「人づくり」を推進し,人材育成に関わる投資を適時適切に実施していています。
③ 当社グループの各事業領域の目指す方向性
当社グループの目指す姿から,ハードウェア供給で培った技術力やノウハウを活かした各事業領域の目指す方向性を以下のとおり定義し,持続可能な社会に求められる新たな価値の創造に取り組んでいます。
<資源・エネルギー・環境>「地域・お客さまごとに最適な総合ソリューションを提供することにより“脱CO2・循環型社会”に貢献します。」
この事業領域では,必要とされるエネルギーの安定供給に向けた社会インフラへの対応,並びに脱CO2・循環型社会に向けた枯渇性資源の有効活用,再生エネルギー・分散エネルギーの利用促進,再生可能資源の利活用等を通じて,地域・お客さまごとに最適な総合ソリューションの提供に取り組んでいます。
<社会基盤・海洋>「橋梁・トンネルを軸に安全・安心な社会インフラの実現にグローバルかつライフサイクルにわたり貢献します。」
この事業領域では,橋梁・トンネルを軸に,計画・運営・保守・保全まで含めたライフサイクル型事業を,国内及びグローバルに展開・拡大し,強靭で持続可能な社会インフラシステムの提供に取り組んでいます。
<産業システム・汎用機械>「お客さまと共にオペレーションの最適化をライフサイクルで徹底追求することにより,産業インフラの発展に貢献します。」
この事業領域では,お客さまとともにオペレーション(事業運営)の最適化をライフサイクルで徹底追求することで,産業インフラの高度な発展を実現していきます。当社の持つ知見と実績を掛け合わせながら,変化に柔軟に対応した事業プロセスを土台に,お客さまの事業におけるリードタイム短縮,人手不足,ノウハウ・技術力の低下などの課題に対して,デジタルトランスフォーメーション等を活用した自動化・電動化,環境負荷低減に取り組んでいます。
<航空・宇宙・防衛>「先進技術により,航空輸送,防衛システム及び宇宙利用の未来を切り拓き,豊かで安全な社会の実現に貢献します。」
この事業領域では,安全・環境低負荷かつ経済的な航空輸送を可能にする航空エンジンの提供や社会のニーズに沿った宇宙開発事業の展開を通じて,地球環境の保全とともに人々が豊かで安全安心に暮らせる社会の実現に貢献すべく,技術革新への飽くなき挑戦を続け,独自技術・ものづくり力の高度化を推し進めています。
④ 経営目標
10年後の目指す目標を,「売上高2兆円規模,安定して営業利益率10%以上」とし,その実現に向けて,2021年度の経営目標を次のとおり定めます。投下資本収益性(ROIC)を高めるため,収益性(営業利益率)及びキャッシュ創出力(CCC)の一層の強化を目指してまいります。
なお,上記(2)に記載のとおり,新型コロナウイルス感染拡大に伴う中期経営計画の見直しを行なった場合には,以下の経営目標についても修正の可能性がありますのでご留意ください。
財務目標2021年度
ROIC(税引後)10%以上
営業利益率8%
CCC80日

(注)各指標の算出方法は次のとおりです。
・ROIC:(1-「法定実効税率」)×(「営業利益」+「受取利息」+「受取配当金」)
÷(「株主資本合計」+「その他の包括利益累計額合計」+有利子負債の金額)
・CCC :(売上債権+たな卸資産-仕入債務)÷売上高×365日
(参考)売上高水準:1兆5,000億円,投資水準(3年間):4,200億円
(3)会社の対処すべき課題
① 新型コロナウイルスの感染拡大の影響
当期末より影響が深刻化している新型コロナウイルスにつきましては,引き続き感染防止のための慎重な対応が求められており,世界経済が回復する道筋はまだ見いだせない状況にあります。当社グループでは,感染防止に留意しながら事業活動を継続し,製品・サービスの供給責任を果たしておりますが,2020年度以降は以下の影響が生じるものと考えております。
●民間航空機エンジン事業
世界的な旅客需要の急激な減少により,エアライン各社は運航の休止や減便を実施しており,機体及びエンジンメーカーでも操業調整や投資抑制などの対策が実施されております。当社においても,この影響により,民間用エンジン及びスペアパーツの販売減少が見込まれ,需要の変化に応じた生産体制の見直しなどを進めております。一方で,当社のエンジンを搭載した航空機は,燃費をはじめ運用コストの優位性から優先的に運用が再開されることが期待されます。需要回復期におけるお客さまの運航再開を支えるべく,アフターマーケット分野への対応強化を最優先に取り組んでまいります。
●車両過給機事業
中国に端を発した世界的な自動車産業への影響が,当期の車両過給機事業に影響を及ぼしました。世界的な自動車需要の減少が想定される中,当社の自動車関連の事業活動への影響を最小化し,需要回復期に向けた早期立ち上げの準備を進めています。
●その他の事業
新規設備に対する投資意欲の減退に伴う受注の減少などの影響が懸念されるものの,他方では,既存設備の長寿命化や効率向上などのアフターサービスに対するニーズが高まることが期待されることから,このような成長分野に機動的に人材リソースのシフトを進め,ライフサイクル事業の拡大に繋げてまいります。
② その他の諸課題への取り組み
●昨年発生した瑞穂工場における民間航空機エンジン整備事業の不適切な検査事案に対し,グループをあげて再発防止に取り組んでまいりました。品質保証及びコンプライアンスには一切の妥協を許さない企業風土をさらに強固なものとするため,今後とも品質とコンプライアンス重視を徹底してまいります。
●大型プロジェクトの下振れ防止への取り組みについては,見積り案件の選別とプロジェクトのモニタリングの徹底により,大型プロジェクトの下振れには歯止めがかかったものと評価しております。一方で,いくつかの中小型案件においては下振れが発生していることから,案件の規模にかかわらず取り組みを徹底しています。
●当社の持分法適用会社であるジャパン マリンユナイテッド株式会社は,2020年3月末に今治造船株式会社との資本業務提携及び合弁会社の設立に合意いたしました。この提携を通じて,同社が有する高い環境対応技術によって市場をリードするとともに,生産効率の抜本的な改革や最適な生産体制の構築を進めることにより,自立した経営が実現できるように支援してまいります。
③ 2020年度の重点課題
当社は,新型コロナウイルス感染による事業への影響が長期かつ広範に及ぶことを想定し,すでに役員報酬の一部を返上しているほか,設備投資や研究開発費の縮減,生産調整などのあらゆる対策を機動的に講じてまいります。
これらの対策を緊急的対応にとどめることなく,対策を要する既存事業の再生・再編の実行,成長分野・収益事業への大胆かつ機動的なリソースシフトを加速し,「アフターコロナ」の新しい事業構造を実現するための筋肉質かつ柔軟な経営体質への転換を進めてまいります。

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