有価証券報告書-第113期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/23 16:04
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67項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度の経済状況を概観しますと、世界経済については、米国において雇用・所得環境の改善などを背景とした個人消費の増加に支えられ景気回復が続き、欧州では緩やかな回復が続く一方、新興国の一部で弱さがみられました。日本経済については、雇用・所得環境が改善し、緩やかな回復基調が続きました。
自動車業界においては、市場は先進国で安定的に推移し、中国で減税効果により拡大した一方、資源国で落ち込みがみられました。また、自動運転技術やコネクティッドカー、燃料電池自動車・電気自動車などの環境技術、カーシェア・ライドシェアなどの分野で、業種を越えた取り組みが活発化しました。
このような経営環境の中、トヨタは、お客様の期待を超える「もっといいクルマ」づくりに取り組んできました。クルマづくりの構造改革であるTNGA (トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー) の第2弾モデルとしてデザインと走りに徹底的にこだわった「C-HR」や、ミニバンの魅力をコンパクトカーに凝縮した「ルーミー」ならびに「タンク」を新たに発売しました。また、「プリウスPHV」をフルモデルチェンジし、充電電力使用時の走行距離の大幅な拡大や力強くスムーズな走りを実現しました。さらに、優れた安全性と快適な室内空間を取り入れ、24年ぶりに「コースター」を一新しました。レクサスブランドでは、新開発のプラットフォームによって、より鋭く、より優雅な走りと独創的なデザインを実現したラグジュアリークーペ「LC500/LC500h」を新発売しました。
2016年4月より製品群ごとのカンパニー体制に移行しました。電気自動車の開発を担う社内ベンチャーや、完全子会社化したダイハツ工業㈱とともに発足した新興国小型車カンパニーとあわせて、仕事の進め方改革に取り組んでいきます。
また、スズキ㈱と業務提携に向けた覚書を締結し、互いが抱える課題を解決するための協業の検討を開始することについて合意しました。引き続き他社との協力関係構築やグループ内でのさらなる基盤強化に努め、持続的成長に資する真の競争力強化をはかります。
当連結会計年度における日本、海外を合わせた自動車の連結販売台数は、897万1千台と、前連結会計年度に比べて29万台 (3.3%) の増加となりました。日本での販売台数については、新商品の積極的な投入や全国販売店の努力により、227万4千台と、前連結会計年度に比べて21万5千台 (10.4%) 増加し、軽自動車を除くトヨタ・レクサスブランドの販売シェアは47.8%、軽自動車を含む販売シェア (ダイハツおよび日野ブランドを含む) は過去最高の45.0%と、前連結会計年度に引き続き高いレベルで推移しました。海外においても、中近東において販売台数が減少したものの、アジアや欧州などの地域で販売台数が増加したことにより、669万7千台と、前連結会計年度に比べて7万5千台 (1.1%) の増加となりました。
当連結会計年度の業績については、次のとおりです。
売上高27兆5,971億円(前期比増減△ 8,059億円(△ 2.8%))
営業利益1兆9,943億円(前期比増減△ 8,595億円(△30.1%))
税金等調整前
当期純利益
2兆1,938億円(前期比増減△ 7,895億円(△26.5%))
当社株主に帰属する
当期純利益
1兆8,311億円(前期比増減△ 4,815億円(△20.8%))

なお、営業利益の主な増減要因は、次のとおりです。
営業面の努力2,100億円
為替変動の影響△ 9,400億円
原価改善の努力4,400億円
諸経費の増加ほか△ 5,300億円
その他△ 395億円

(注) 当連結会計年度より、「為替変動の影響」に、海外子会社の営業利益換算差や外貨建引当の期末換算差等を含めています。
事業別セグメントの業績は、次のとおりです。
①自動車事業
売上高は25兆818億円と、前連結会計年度に比べて8,955億円 (3.4%) の減収となり、営業利益は1兆6,929億円と、前連結会計年度に比べて7,560億円 (30.9%) の減益となりました。営業利益の減益は、為替変動の影響および諸経費の増加ほかなどによるものです。
②金融事業
売上高は1兆8,236億円と、前連結会計年度に比べて726億円 (3.8%) の減収となり、営業利益は2,224億円と、前連結会計年度に比べて1,167億円 (34.4%) の減益となりました。営業利益の減益は、販売金融子会社において、貸倒関連費用および残価損失関連費用が増加したことなどによるものです。
③その他の事業
売上高は1兆3,210億円と、前連結会計年度に比べて1,436億円 (12.2%) の増収となり、営業利益は813億円と、前連結会計年度に比べて148億円 (22.3%) の増益となりました。
所在地別の業績は、次のとおりです。
①日本
売上高は14兆8,308億円と、前連結会計年度に比べて713億円 (0.5%) の増収となりましたが、営業利益は1兆2,022億円と、前連結会計年度に比べて4,752億円 (28.3%) の減益となりました。営業利益の減益は、為替変動の影響および諸経費の増加ほかなどによるものです。
②北米
売上高は10兆2,390億円と、前連結会計年度に比べて8,128億円 (7.4%) の減収となり、営業利益は3,111億円と、前連結会計年度に比べて2,176億円 (41.2%) の減益となりました。営業利益の減益は、諸経費の増加ほかおよび、販売金融子会社において、貸倒関連費用および残価損失関連費用が増加したことならびに金利スワップ取引などの時価評価による評価損が計上されたことなどによるものです。
③欧州
売上高は2兆6,810億円と、前連結会計年度に比べて197億円 (0.7%) の増収となりましたが、営業利益は前連結会計年度に比べて846億円減少し、122億円の損失となりました。営業利益の減少は、諸経費の増加ほかなどによるものです。
④アジア
売上高は4兆8,198億円と、前連結会計年度に比べて1,840億円 (3.7%) の減収となり、営業利益は4,351億円と、前連結会計年度に比べて140億円 (3.1%) の減益となりました。営業利益の減益は、為替変動の影響などによるものです。
⑤その他の地域 (中南米、オセアニア、アフリカ、中近東)
売上高は2兆1,610億円と、前連結会計年度に比べて491億円 (2.2%) の減収となり、営業利益は586億円と、前連結会計年度に比べて502億円 (46.1%) の減益となりました。営業利益の減益は、諸経費の増加ほかなどによるものです。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2兆9,950億円と、前連結会計年度末に比べて556億円 (1.9%) の増加となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況と、前連結会計年度に対するキャッシュ・フローの増減は、次のとおりです。
営業活動からのキャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動からのキャッシュ・フローは、3兆4,142億円の資金の増加となり、前連結会計年度が4兆4,608億円の増加であったことに比べて、1兆466億円の減少となりました。
投資活動からのキャッシュ・フロー
当連結会計年度の投資活動からのキャッシュ・フローは、2兆9,699億円の資金の減少となり、前連結会計年度が3兆1,825億円の減少であったことに比べて、2,126億円の減少幅の縮小となりました。
財務活動からのキャッシュ・フロー
当連結会計年度の財務活動からのキャッシュ・フローは、3,751億円の資金の減少となり、前連結会計年度が4,235億円の減少であったことに比べて、484億円の減少幅の縮小となりました。