有価証券報告書-第120期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/25 15:00
【資料】
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【項目】
144項目
(4)【役員の報酬等】
①役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する内容及び決定方法
a.決定の方針および決定プロセス
当社は、「トヨタフィロソフィー」を基盤に、「商品と地域を軸にした経営」を実践し、将来に亘る持続的成長に向けた意思決定への貢献や、電動化、知能化、多様化への対応や仲間づくりなどモビリティカンパニーへの変革と、気候変動問題などの社会課題の解決に貢献できることが、役員には必要と考えています。役員の報酬等は、様々な取り組みを促す重要な手段であり、以下の方針(以下「全体方針」という。)に沿って決定します。
・中長期的な企業価値向上に向けた取り組みを促すものであること
・優秀な人材の確保・維持できる報酬水準であること
・経営者としてより一層強い責任感を持ち、株主と同じ目線に立った経営の推進を動機付けるものであること
当社取締役の個人別の報酬等の決定方針は取締役会にて決議します。会社業績との連動性を確保し、職責や成果を反映した報酬体系としており、支給額の水準および支給方法を定めています。
また、社外取締役および監査役の報酬については、固定報酬のみとします。会社業績に左右されない報酬体系とすることで、経営に対する独立性を担保しています。
当社取締役の報酬等は、2019年6月13日開催の第115回定時株主総会により、現金報酬枠を年額30億円以内(うち社外取締役3億円以内)、株式報酬枠を年額40億円以内と定められています。第115回定時株主総会の定めに係る取締役の員数は、9名(うち社外取締役3名)です。
当社の監査役報酬額は、2008年6月24日開催の第104回定時株主総会により、月額30百万円以内と定められています。第104回定時株主総会の定めに係る監査役の員数は、7名です。
当社取締役の個人別の報酬等の額またはその制度については、その決定の独立性を担保するため、取締役会および社外取締役が過半数を占める「報酬案策定会議」で決定します。「報酬案策定会議」は、取締役副会長 早川 茂(議長)、取締役 宮崎 洋一、社外取締役 菅原 郁郎、社外取締役 Sir Philip Craven、社外取締役 大島 眞彦および社外取締役 大薗 恵美で構成されます。
(注)1 2023年6月14日付で報酬案策定会議委員を社外取締役 工藤 禎子から社外取締役 大島 眞彦および社外取締役 大薗 恵美に交代しています。なお、社外取締役 工藤 禎子は2023年6月14日開催の定時株主総会をもって退任しています。
2 社外取締役の個人別報酬額は2023年6月、社内取締役の個人別報酬額は2024年4月に開催した「報酬案策定会議」において、決定しています。
取締役会は、取締役の個人別の報酬等の決定方針および役員報酬制度の決議、当事業年度の報酬総額の決議、ならびに個人別報酬額の決定を「報酬案策定会議」に一任することを決議します。「報酬案策定会議」は、取締役会に諮問する役員報酬制度の検討および取締役会で定められた取締役の個人別の報酬等の決定方針に基づいて、会社業績や取締役の職責、成果等を踏まえて個人別報酬額を決定しています。取締役会は、当該決定内容は取締役の個人別の報酬等の決定方針に沿うものであると判断しています。
監査役の報酬については、株主総会の決議によって定められた報酬枠の範囲内において、監査役の協議によって決定しています。
当社の当事業年度における報酬等の額の決定等については、2023年6月、9月、10月、12月、2024年2月、3月、4月に開催した「報酬案策定会議」にて議論しました。
また、社外取締役のみで構成される事前検討ミーティングを2023年7月、2024年1月、2月、4月に開催し、「報酬案策定会議」に向けた議論をしました。取締役の報酬は、報酬案策定会議メンバー全員の同意を得た上で、決定しました。
<報酬案策定会議で議論された主な内容>・役職・職責ごとの報酬水準の見直し
・役職・職責ごとの報酬構成の見直し
・2023年度の指標項目の見直しおよび実績評価
・個人別報酬額の決定
「報酬案策定会議」での議論の結果、当社取締役の個人別の報酬等の決定方針について、「全体方針」の趣旨をより実践できるよう、前事業年度の内容を一部変更しています。ただし、2023年6月14日開催の定時株主総会をもって退任した取締役(以下、「退任取締役」という。)に対しては、変更前の決定方針を適用して個人別の報酬等の額を決定しています。
b.業績連動報酬(賞与・株式報酬)の決定方法
1)日本籍の取締役(社外取締役を除く)
当社では、各人の役割の大きさ等に応じて、日本企業に加えて、グローバル企業もベンチマークとした役員報酬水準を参考に、役員一人ひとりが1年間に受け取る報酬の総額(以下、「年間総報酬」という。)の水準を、役職・職責に応じて適切に決定しています。
年間総報酬の20%前後をSTI(Short Term Incentive)、50%前後をLTI(Long Term Incentive)とし、合わせて総報酬の70%前後を業績連動報酬としています。STIは「連結営業利益」および「当社時価総額*の変動率」に基づき設定する現金報酬、LTIは「複数の財務指標」、「非財務指標」および「個人別査定」に基づき設定する株式報酬としています。
*東京証券取引所における当社の普通株式の終値と、自己株式控除後の発行済株式数を乗じて算出
<報酬構成>
報酬の種類総報酬に
占める割合
支給方法考え方
固定報酬30%前後現金報酬役割・職責が大きいほど、総報酬に占めるLTI比率を大きくする
STI(Short Term Incentive)20%前後現金報酬
LTI(Long Term Incentive)50%前後株式報酬


<業績評価指標の考え方>
STI財務指標①連結営業利益(単年)当社の取り組みを短期の業績で評価する指標
②当社時価総額の変動率当社の取り組みを株主・投資家が評価する企業価値指標
LTI財務指標③連結営業利益(複数年)当社の中長期的な取り組みを業績で評価する指標
④株主総利回り当社の中長期的な取り組みを株主・投資家が評価する企業価値指標
⑤自己資本利益率
非財務指標⑥サステナビリティ課題への取り組み状況当社の中長期的な取り組みを企業価値向上度合いで評価する指標
個人別査定役員一人ひとりの成果を定性的に評価

<各業績評価指標の評価方法と基準、当事業年度の評価結果>
STI評価
ウェイト
評価方法基準当事業年度の
評価結果
①連結営業利益
(単年)
70%当社直近10事業年度の連結営業利益の平均値を参照し、基準となる利益水準を設定(2023年設定)。その基準に照らし、当事業年度の連結営業利益の達成度を評価2.5兆円191%
②当社時価総額の
変動率
30%当社時価総額とTOPIXの前事業年度(1-3月平均)を基準とし、当事業年度(1-3月平均)までの時価総額変動率を相対評価当社:25.5兆円
TOPIX:1,990.68

LTI評価
ウェイト
評価方法基準当事業年度の
評価結果
③連結営業利益
(複数年)
35%当社直近10事業年度の連結営業利益の平均値を参照し、基準となる利益水準を設定(2023年設定)。その基準に対し、当事業年度を含む直近3事業年度の連結営業利益の達成度を評価2.5兆円139%
④株主総利回り17.5%当事業年度末日の当社株価に、当事業年度の4事業年度前から当事業年度までの1株当たり配当額の累計額を加え、当事業年度の5事業年度前の末日の株価で割った変動率と、同様の計算式による配当込みTOPIXの変動率との相対比較TOPIX:196.2%
⑤自己資本利益率17.5%「伊藤レポート」にて提言された水準を基準とし、当事業年度の自己資本利益率を相対比較8%
⑥サステナビリティ課題への取り組み状況30%6つのマテリアリティ*に沿って、当事業年度の事業活動の寄与度合いを評価6つのマテリアリティ

*当社「統合報告書2023」13ページをご参照ください。
<個人別査定の考え方>年間総報酬のうち、LTI基準額に対して「個人別査定」による調整を行います。「個人別査定」は、「トヨタフィロソフィー」を基盤にした取り組み(ESGの観点を含む)や、中長期的な企業価値向上に向けた取り組みに加え、周囲からの信頼、人材育成の推進などの観点で実施します。LTI基準額の40%の±50%の範囲内で役職・職責に応じて変動幅を設定しており、査定結果に基づいて役員一人ひとりのLTIの額を算定します。
<「退任取締役」の業績連動報酬(賞与・株式報酬)の決定方法>「連結営業利益」、「当社時価総額*の変動率」および「個人別査定」に基づいて年間総報酬を設定しています。年間総報酬から固定報酬である月額報酬を差し引いた残額を、業績連動報酬としています。
各人の役割の大きさ等に応じて、日本企業に加えて、グローバル企業もベンチマークとした役員報酬水準を参考に、役職・職責に応じた適切な年間総報酬水準を決定しています。
*東京証券取引所における当社の普通株式の終値と、自己株式控除後の発行済株式数を乗じて算出
<「退任取締役」の業績連動報酬における各項目の考え方>
連結営業利益当社の取り組みを業績で評価する指標
当社時価総額の
変動率
当社の取り組みを株主・投資家が評価する企業価値指標
個人別査定役員一人ひとりの成果を定性的に評価

<「退任取締役」の業績連動報酬における指標の評価方法と基準、当事業年度の評価結果>
評価
ウェイト
評価方法基準当事業年度の
評価結果
連結営業利益70%当社の持続的成長に向けた必要利益(2011年設定)を基準とし、当事業年度の連結営業利益の達成度を評価1兆円330%
当社時価総額の
変動率
30%当社時価総額とTOPIXの前事業年度(1-3月平均)を基準とし、当事業年度(1-3月平均)までの時価総額変動率を相対評価当社:25.5兆円
TOPIX:1,990.68

<「退任取締役」の年間総報酬の設定方法>年間総報酬の設定は、役員報酬のベンチマーク結果を踏まえた理論式に基づきます。「連結営業利益」と「当社時価総額の変動率」に基づいて設定した年間総報酬に、「個人別査定」による調整を行います。「個人別査定」は、「トヨタフィロソフィー」を基盤にした取り組み(ESGの観点を含む)に加え、周囲からの信頼、人材育成の推進などの観点で実施します。年間総報酬の±50%の範囲内で役職・職責に応じて変動幅を設定しており、査定結果に基づいて年間総報酬を算定します。
2)外国籍の取締役(社外取締役を除く)
人材を確保・維持できる報酬水準・構成で、固定報酬と業績連動報酬を設定しています。年間総報酬水準および総報酬に占める固定報酬、業績連動報酬の各比率は、職責や出身事業体等の報酬水準(個別に適用を判断)を踏まえて設定しています。また、業績連動報酬は、日本籍の取締役(社外取締役を除く)と同様にSTIおよびLTIによって構成し、それらの金額は、日本籍の取締役(社外取締役を除く)のSTIおよびLTIに設定された各業績評価指標および個人別査定の結果を反映することで、同様に変動します。なお、出身国との税率差を考慮し、税金補填をする場合があります。
<外国籍の「退任取締役」の業績連動報酬の内容と設定方法>業績連動報酬は職責や出身国の報酬水準(個別に適用を判断)を踏まえ、「連結営業利益」、「当社時価総額の変動率」および「個人別査定」に基づいて設定し、各項目の考え方は日本籍の退任取締役(社外取締役を除く)と同じです。また、出身国との税率差を考慮し、税金補填をする場合があります。
c.株式報酬制度
2019年6月13日開催の第115回定時株主総会および2022年6月15日開催の第118回定時株主総会で定められた株式報酬枠(年額40億円以内(割り当てる当社普通株式の総数は当社の取締役(社外取締役を除く)に対して合計で年400万株以内))を用いて、取締役会で株式報酬を決議します。主な内容は以下のとおりです。
対象者当社の取締役(社外取締役を除く)
株式報酬枠年額40億円以内
各取締役に対する株式報酬額会社業績や職責、成果等を踏まえて、業績連動報酬の一部として毎年設定
割り当てる株式の種類および割り当ての方法普通株式(割当契約において譲渡制限を付したもの)を発行または処分
割り当てる株式の総数対象取締役に対して合計で年400万株以内
(ただし、2022年6月15日以降、当社の普通株式の株式分割(当社の普通株式の無償割当てを含む)又は株式併合が行われた場合その他譲渡制限付株式報酬として発行又は処分をされる当社の普通株式の総数の調整が必要な事由が生じた場合には、当該総数を、合理的な範囲で調整する)
払込金額各取締役会決議の日の前営業日における東京証券取引所における当社の普通株式の終値を基礎として、対象取締役に有利とならない金額で当社取締役会が決定
譲渡制限期間割当日より3年から50年の間で当社取締役会が予め定める期間
譲渡制限の解除条件譲渡制限期間の満了をもって制限を解除
ただし、任期満了、死亡その他正当な理由により退任した場合、譲渡制限を解除
当社による無償取得譲渡制限期間中に、法令違反その他当社取締役会が定める事由に該当する場合、割当株式をすべて当社が無償取得することができる

d.クローバック規則
法令に基づく財務報告要件に関し、当社の過去の財務諸表の修正再表示を行う必要が生じた場合、その結果として超過支給となる業績連動報酬部分を、その支給を受けた取締役または退任した取締役から当社が強制的に回収することができる「クローバック規則」を2023年11月より導入しています。なお、導入以前に退任した取締役には「クローバック規則」は適用されません。
回収対象となる報酬は、修正再表示前の財務情報に基づいて支給された株式報酬を含む業績連動報酬の全部または一部とし、対象期間は、財務諸表の修正再表示が必要になった日の直近に終了した3事業年度としています。回収対象、対象期間、対象者の特定等、本規則の管理・運用は「報酬案策定会議」が行います。
②役員区分ごとの報酬等の額、報酬等の種類別の額及び対象となる役員の員数
役員区分対象となる
役員の員数
(名)
報酬等の種類別の額(百万円)報酬等の額
(百万円)
固定報酬業績連動報酬
賞与株式報酬
取締役158449851,8623,692
(518千株)
(うち社外取締役)(5)(178)(178)
監査役8263263
(うち社外監査役)(4)(57)(57)

(注)1 現金報酬は、月額報酬と賞与で構成されています。
2 業績連動報酬は、2024年5月8日開催の取締役会決議に基づいており、株式報酬については記載の株式数に割当決議の前日の終値を乗じた金額が付与されます。
3 上記報酬等の額のほか、退任取締役 James Kuffnerに対して2022年3月期にかかる業績連動報酬として68百万円を支給しています。
③連結報酬等の総額が1億円以上である者の連結報酬等の総額等
氏名
(役員区分)
会社区分連結報酬等の種類別の額(百万円)連結報酬等
の総額
(百万円)
固定報酬業績連動報酬退職慰労金
賞与株式報酬
豊 田 章 男
(取締役)
提出会社2893241,0091,622
(280千株)
早 川 茂
(取締役)
提出会社77133179389
( 50千株)
佐 藤 恒 治*1
(取締役)
提出会社87187349623
( 97千株)
中 嶋 裕 樹*1
(取締役)
提出会社48110137295
( 38千株)
宮 崎 洋 一*1
(取締役)
提出会社50110137297
( 38千株)
Simon Humphries*1
(取締役)
提出会社365551143
( 14千株)
James Kuffner*2
(取締役)
提出会社27101531
連結子会社
ウーブン・バイ・トヨタ㈱
133271

*1 2023年6月14日開催の定時株主総会をもって取締役に就任した取締役社長 佐藤 恒治、取締役 中嶋 裕樹、取締役 宮崎 洋一および取締役 Simon Humphriesは、9ヶ月間の報酬額を記載しています。
*2 2023年6月14日開催の定時株主総会をもって取締役を退任した取締役 James Kuffnerは、3ヶ月間の報酬額を記載しています。
連結子会社ウーブン・バイ・トヨタ㈱が取締役 James Kuffnerに支給する固定報酬には、3ヶ月ごとおよび12ヶ月ごとに支給される固定報酬が含まれます。また、上記固定報酬の他に、当社および連結子会社ウーブン・バイ・トヨタ㈱が取締役 James Kuffnerに対して出身国との税率差を考慮した税金補填(44百万円)を支給しています。
当社が取締役 James Kuffnerに対して支給する業績連動報酬には、2022年3月期にかかる業績連動報酬(68百万円)が含まれます。