四半期報告書-第97期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(2018年4月1日~2018年12月31日)における世界経済は、米中貿易摩擦の激化、欧米の政治的な混乱等により、先行きが不透明な状況であるものの、総じて堅調に推移しました。一方、わが国経済においては、引き続き堅調な企業収益や雇用情勢により緩やかな景気回復が続いております。
当第3四半期連結累計期間における当社グループの売上高につきましては、国内および中国の建設機械市場における需要増加等により、3,069億円と前第3四半期連結累計期間に比べ178億円の増収となりましたが、製品保証引当金繰入額258億円、独占禁止法関連損失44億円等をその他の費用として計上したことにより、営業損失は177億69百万円となり、親会社の所有者に帰属する四半期損失につきましては、157億56百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間におけるセグメント別の業績は以下のとおりです。
なお、第2四半期連結累計期間より、報告セグメントの区分を変更し、以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しています。詳細につきましては、「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおりであります。
また、以下の説明におけるセグメント別の売上高は、外部顧客に対するものであり、セグメント別のセグメント利益はセグメント間取引消去前のものであります。
① AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業セグメント
当セグメントは、四輪車用油圧緩衝器、二輪車用油圧緩衝器、四輪車用油圧機器とその他製品から構成されております。
当セグメントの売上高は1,859億円と前第3四半期連結累計期間に比べ3.0%の増収となりましたが、セグメント利益は67億98百万円と前第3四半期連結累計期間に比べ8億45百万円の減益となりました。
② HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業セグメント
当セグメントは、産業用油圧機器とその他製品から構成されております。
当セグメントの売上高は1,037億円と前第3四半期連結累計期間に比べ15.5%の増収となり、セグメント利益は87億80百万円と前第3四半期連結累計期間に比べ6億5百万円の増益となりました。
③ システム製品
当セグメントは、舞台機構、艦艇機器、免制震装置等から構成されております。
当セグメントの売上高は47億円と前第3四半期連結累計期間に比べ14.8%の減収となり、セグメント損失は98百万円と前第3四半期連結累計期間に比べ1億76百万円の減益となりました。
④ 特装車両事業、航空機器事業、電子機器等
当セグメントは、特装車両、航空機器、電子機器等から構成されております。
当セグメントの売上高は126億円と前第3四半期連結累計期間に比べ5.4%の減収となり、セグメント損失は1億99百万円と前第3四半期連結累計期間に比べ5億85百万円の減益となりました。
財政状態につきましては、総資産が4,139億円と前連結会計年度末に比べ14億円の増加となりました。流動資産は、現金及び現金同等物が減少したものの、棚卸資産が増加したこと等により、4億円増加の2,119億円となりました。非流動資産は、その他の金融資産が減少したものの、繰延税金資産や持分法で会計処理されている投資が増加したこと等により、10億円増加の2,020億円となりました。
負債は、製品保証引当金の増加等により、239億円増加の2,498億円となりました。
資本は、親会社の所有者に帰属する四半期損失による利益剰余金の減少等により、225億円減少の1,641億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は375億円となり、前連結会計年度末に比べ52億円の減少となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は152億円(前第3四半期連結累計期間比43億円の収入減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は175億円(前第3四半期連結累計期間比71億円の支出増加)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は21億円となりました。主な流出は、長期借入金の返済による支出138億円、配当金の支払額20億円であり、主な流入は長期借入金による収入176億円です。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題は、次のとおりであります。
(建築物用免震・制振用オイルダンパーの検査工程等における不適切行為の影響について)
当社及び当社の子会社であるカヤバシステムマシナリー株式会社は、建築物用の免震・制振部材としてオイルダンパーを製造・販売してまいりましたが、今般、出荷していた免震・制振用オイルダンパーの一部について、性能検査記録データの書き換え行為により、大臣認定の性能評価基準に適合していない、または、お客様の基準値を外れた製品(以下、「不適合品」といいます。)を建築物(以下、不適合品が取り付けられていた建築物を「対象物件」といいます。)に取り付けていた事実(以下、「本件」といいます。)が判明し、国土交通省に報告を行うとともに、対応状況について、2018年10月16日に公表いたしました。
また、2018年11月15日には、本件に関する追加の調査、事実確認を行うべき事項があることが判明し、2018年12月19日に、係数補正による性能検査記録データの書き換え行為以外にも、減衰力の中央値を原点へ移動させることで値の調整(原点調整)を行い検査記録として提出していた事実およびその調査結果を公表いたしました。
当社グループは、国土交通省の指示に基づき、不適合品の中でも特に基準値からの乖離が大きいオイルダンパーが使用されている7物件を選定し、第三者による安全性の検証(構造計算)を実施し、選定した7物件全て震度6強から震度7程度の最大級の地震に対しても十分に耐え得る結果を確認しております。
当社の基本方針としては、大臣認定不適合品および不適切行為の有無が不明な製品についても早急に適合化を進めてまいります。また、大臣認定不適合ではないものの、お客様基準に適合しないものについては、所有者様、居住者様など関係者様の意向を踏まえ、適切な対応を行ってまいります。ご不安・ご心配を払拭することを当社経営の最優先事項とし、所有者様をはじめとする関係者の皆様に丁寧にご説明してまいります。
当社は本件の重大性に鑑み、独立性・専門性を有する外部調査委員会(委員長:森・濱田松本法律事務所弁護士 難波孝一元東京高等裁判所部総括判事)を設置し、本件の事実関係の調査、原因分析及び再発防止策の提言等を依頼しており、2019年2月4日には、当該調査委員会から調査結果報告書を受領し、調査結果の報告及び再発防止策の提言を受けております。当社は、かかる提言等を踏まえ、然るべき対応を実施し、コーポレート・ガバナンスや内部統制システムをより一層強化し、再発防止策の徹底を図るとともに、信頼回復に向けて努めてまいります。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容
上場会社である当社の株式は株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社の株式に対する大規模買付提案又はこれに類似する行為があった場合においても、一概に否定するものではなく、最終的には株主の皆様の自由な意思により判断されるべきであると考えます。
しかしながら、わが国の資本市場においては、対象となる企業の経営陣の賛同を得ずに、一方的に大規模買付提案又はこれに類似する行為を強行する動きが過去にみられたところであり、今後、当社に対しそのような行為が強行される可能性も否定できません。
当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方としては、当社の企業理念、企業価値の様々な源泉、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考えております。従いまして、企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模買付提案又はこれに類似する行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み
ⅰ) 「中期経営計画」による企業価値向上への取組み
当社の2017年度からの中期方針では、モノづくり、技術、製品に挑戦し、イノベーションを起こすことによってKYBの新しい価値を創造し、業界NO.1、企業価値の向上、持続的成長という次なるステージへの前進を目指します。
その基本方針は以下のとおりです。
(a) AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業
お客様のグローバル化に追従するとともに、生産・販売拠点の再構築
お客様の要求を満足する新製品・新技術確立体制整備の実施
小事業部制移行による意思決定、戦略実行のスピード向上を図る
(b) HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業
量に頼らない収益基盤の確立・競争力の強化
建設機械以外の油圧製品について営業/開発体制の強化
(c) 人財育成
グローバルな視点・思考で行動できる人財の育成・確保・多様性を活かした人財活用
(d) 技術・商品開発
「新製品・新技術の創造」「設計・生産技術における品質向上」「機能安全対応の展開及び設計・評価技術の強化」
(e) モノづくり
リードタイム・スペースの半減・生産性2倍を目指した革新的生産ラインへの取り組み
(f) マネジメント
昨年度、海外拠点における重大労災事故発生、リコールに発展する品質問題の発生から、「安全第一」の徹底のため、安全・環境機能をCSR安全本部に移管しグローバル安全推進委員会の発足、また「品質経営」を宣言、異常が発生したら何でも迅速に報告する「Bad News 1st」を強力に実践しています。内部統制システムの実効性を高めるため、グローバルでの法令遵守・内部通報制度の定着と適正な運用、コーポレートガバナンスコードへの対応強化に取り組んでまいります。
ⅱ) コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、持続的な成長と企業価値向上の実現を通してステークホルダーの期待に応えるとともに、社会に貢献するという企業の社会的責任を果たすため、取締役会を中心に迅速かつ効率的な経営体制の構築並びに公正性かつ透明性の高い経営監督機能の確立を追求し、以下の経営理念及び基本方針に基づき、コーポレート・ガバナンスの強化及び充実に取り組むことを基本的な考え方としております。
<経営理念>「人々の暮らしを安全・快適にする技術や製品を提供し、社会に貢献するKYBグループ」
1.高い目標に挑戦し、より活気あふれる企業風土を築きます。
2.優しさと誠実さを保ち、自然を愛し環境を大切にします。
3.常に独創性を追い求め、お客様・株主様・お取引先・社会の発展に貢献します。
<基本方針>1.当社は、株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
2.当社は、株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、それらステークホルダーとの適切な協働に努める。
3.当社は、法令に基づく開示はもとより、ステークホルダーにとって重要又は有用な情報についても主体的に開示する。
4.当社の取締役会は、株主受託者責任及び説明責任を認識し、持続的かつ安定的な成長及び企業価値の向上並びに収益力及び資本効率の改善のために、その役割及び責務を適切に果たす。
5.当社は、株主との建設的な対話を促進し、当社の経営方針などに対する理解を得るとともに、当社への意見を経営の改善に繋げるなど適切な対応に努める。
さらに、当社では以下の事項についても取り組んでおります。
(ⅰ)役員と従業員が企業活動を遂行する上で遵守しなければならないルールとして「企業行動指針」を整備し、法令遵守と企業倫理の確立に努めております。当社および全グループ企業を対象に、企業リスクを迅速に把握する制度として、即報規則や目安箱による経営層への情報伝達手段を整備しております。さらに、公益通報者保護法の施行を受け、内部通報制度として専用の窓口を設置しております。
(ⅱ)当社は監査役会設置会社制度を採用しております。当社取締役会は原則として1ヶ月に1回開催(監査役も毎回出席)し、取締役会規則に定められた詳細な付議事項について積極的な議論を行っております。また、監査役会は、監査役のうち2名を社外監査役とし、監査の透明性、公平性を確保しております。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
企業価値ひいては株主共同の利益の中長期的な向上又は確保を目指す当社の経営にあたっては、幅広いノウハウと豊富な経験、並びに顧客、従業員及び取引先等のステークホルダーとの間に築かれた関係等への十分な理解が不可欠です。これら当社の事業特性に関する十分な理解がなくては、株主の皆様が将来実現することのできる株主価値を適切に判断することはできません。突然大規模な買付行為がなされたときに、大規模な買付を行う者の提示する当社株式の取得対価が当社の企業価値ひいては株主共同の利益と比べて妥当か否かを、株主の皆様が短期間の内に適切に判断するためには、大規模な買付を行う者及び当社取締役会の双方から必要かつ十分な情報が提供されることが不可欠であり、当社株式をそのまま継続保有することを考える株主の皆様にとっても、大規模な買付を行う者が考える当社の経営に参画したときの経営方針や事業計画の内容等は、その継続保有を検討するうえで重要な判断材料であります。同様に、当社取締役会が当該大規模な買付行為についてどのような意見を有しているのかも、株主の皆様にとっては重要な判断材料となると考えます。
これらを考慮し、「当社株式の大規模買付行為への対応策(買収防衛策)」を2016年6月24日開催の第94期定時株主総会において株主の皆様のご承認を賜り継続しております。これにより、大規模な買付行為に際しては、大規模な買付を行う者から事前に情報が提供され、当社取締役会は、かかる情報が提供された後、大規模な買付行為に対する当社取締役会としての意見を、必要に応じて独立した外部専門家(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家)の助言を受けながら慎重に検討したうえで公表いたします。さらに、当社取締役会は、必要と認めれば、大規模買付提案の条件の改善交渉や株主の皆様に対する代替案の提示も行います。かかるプロセスを経ることにより、株主の皆様は当社取締役会の意見を参考にしつつ、大規模な買付を行う者の提案と当社取締役会から代替案が提示された場合にはその代替案を検討することが可能となり、最終的な判断を決定するために必要な情報と機会を与えられることとなります。当社は、この買収防衛策の詳細を2016年5月17日付で「当社株式の大規模買付行為への対応策(買収防衛策)の継続について」として公表いたしました。この適時開示文書の全文はインターネット上の当社ウェブサイト(アドレスhttps://www.kyb.co.jp)に掲載しております。
④ 上記②③の取組みについての取締役会の判断及びその判断に係る理由
上記②の取組みは、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして実施しております。これは、上記①の基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
また、上記③の取組みにつきましても、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして実施しております。これは、以下の諸点に照らして、上記①の基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致するものであって、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
(a) 買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
当社買収防衛策は、経済産業省及び法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足しています。
また、経済産業省に設置された企業価値研究会が2008年6月30日に発表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」及び東京証券取引所が2015年6月1日に公表した「コーポレートガバナンス・コード」の「原則1-5いわゆる買収防衛策」の内容も踏まえたものとなっております。
(b) 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
当社買収防衛策は、当社株式に対する大規模な買付行為がなされた際に、当該大規模な買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保し、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。
(c) 独立性の高い社外役員の判断の重視と情報開示
当社買収防衛策における対抗措置の発動等の運用に際しての実質的な判断は、独立性の高い、社外取締役及び社外監査役のみから構成される独立委員会へ諮問し、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされており、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に適うように当社買収防衛策の透明な運営が行われる仕組みが確保されています。
(d) 株主意思を重視するものであること
当社買収防衛策は、2016年6月24日開催の第94期定時株主総会でのご承認により継続したものであり、株主の皆様のご意向が反映されております。
また、当社買収防衛策は、有効期間の満了前であっても、株主総会において、当社買収防衛策の変更又は廃止の決議がなされた場合には、その時点で変更又は廃止されることになり、株主の合理的意思に依拠したものとなっております。
(e) デッドハンド型買収防衛策やスローハンド型買収防衛策ではないこと
当社買収防衛策は、当社の株主総会で選任された取締役で構成される当社取締役会により廃止することができるものとされており、当社の株式を大量に買付けた者が、当社株主総会で取締役を指名し、かかる取締役で構成される当社取締役会により、当社買収防衛策を廃止することが可能です。従って、当社買収防衛策は、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社は期差任期制を採用していないため、当社買収防衛策はスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、52億20百万円であります。報告セグメントごとの内訳は、AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業で35億16百万円、HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業で13億16百万円、システム製品で93百万円となります。
なお、当第3四半期連結累計期間において記載すべき重要な事項はありません。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(2018年4月1日~2018年12月31日)における世界経済は、米中貿易摩擦の激化、欧米の政治的な混乱等により、先行きが不透明な状況であるものの、総じて堅調に推移しました。一方、わが国経済においては、引き続き堅調な企業収益や雇用情勢により緩やかな景気回復が続いております。
当第3四半期連結累計期間における当社グループの売上高につきましては、国内および中国の建設機械市場における需要増加等により、3,069億円と前第3四半期連結累計期間に比べ178億円の増収となりましたが、製品保証引当金繰入額258億円、独占禁止法関連損失44億円等をその他の費用として計上したことにより、営業損失は177億69百万円となり、親会社の所有者に帰属する四半期損失につきましては、157億56百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間におけるセグメント別の業績は以下のとおりです。
なお、第2四半期連結累計期間より、報告セグメントの区分を変更し、以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しています。詳細につきましては、「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおりであります。
また、以下の説明におけるセグメント別の売上高は、外部顧客に対するものであり、セグメント別のセグメント利益はセグメント間取引消去前のものであります。
① AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業セグメント
当セグメントは、四輪車用油圧緩衝器、二輪車用油圧緩衝器、四輪車用油圧機器とその他製品から構成されております。
当セグメントの売上高は1,859億円と前第3四半期連結累計期間に比べ3.0%の増収となりましたが、セグメント利益は67億98百万円と前第3四半期連結累計期間に比べ8億45百万円の減益となりました。
② HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業セグメント
当セグメントは、産業用油圧機器とその他製品から構成されております。
当セグメントの売上高は1,037億円と前第3四半期連結累計期間に比べ15.5%の増収となり、セグメント利益は87億80百万円と前第3四半期連結累計期間に比べ6億5百万円の増益となりました。
③ システム製品
当セグメントは、舞台機構、艦艇機器、免制震装置等から構成されております。
当セグメントの売上高は47億円と前第3四半期連結累計期間に比べ14.8%の減収となり、セグメント損失は98百万円と前第3四半期連結累計期間に比べ1億76百万円の減益となりました。
④ 特装車両事業、航空機器事業、電子機器等
当セグメントは、特装車両、航空機器、電子機器等から構成されております。
当セグメントの売上高は126億円と前第3四半期連結累計期間に比べ5.4%の減収となり、セグメント損失は1億99百万円と前第3四半期連結累計期間に比べ5億85百万円の減益となりました。
財政状態につきましては、総資産が4,139億円と前連結会計年度末に比べ14億円の増加となりました。流動資産は、現金及び現金同等物が減少したものの、棚卸資産が増加したこと等により、4億円増加の2,119億円となりました。非流動資産は、その他の金融資産が減少したものの、繰延税金資産や持分法で会計処理されている投資が増加したこと等により、10億円増加の2,020億円となりました。
負債は、製品保証引当金の増加等により、239億円増加の2,498億円となりました。
資本は、親会社の所有者に帰属する四半期損失による利益剰余金の減少等により、225億円減少の1,641億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は375億円となり、前連結会計年度末に比べ52億円の減少となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は152億円(前第3四半期連結累計期間比43億円の収入減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は175億円(前第3四半期連結累計期間比71億円の支出増加)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は21億円となりました。主な流出は、長期借入金の返済による支出138億円、配当金の支払額20億円であり、主な流入は長期借入金による収入176億円です。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題は、次のとおりであります。
(建築物用免震・制振用オイルダンパーの検査工程等における不適切行為の影響について)
当社及び当社の子会社であるカヤバシステムマシナリー株式会社は、建築物用の免震・制振部材としてオイルダンパーを製造・販売してまいりましたが、今般、出荷していた免震・制振用オイルダンパーの一部について、性能検査記録データの書き換え行為により、大臣認定の性能評価基準に適合していない、または、お客様の基準値を外れた製品(以下、「不適合品」といいます。)を建築物(以下、不適合品が取り付けられていた建築物を「対象物件」といいます。)に取り付けていた事実(以下、「本件」といいます。)が判明し、国土交通省に報告を行うとともに、対応状況について、2018年10月16日に公表いたしました。
また、2018年11月15日には、本件に関する追加の調査、事実確認を行うべき事項があることが判明し、2018年12月19日に、係数補正による性能検査記録データの書き換え行為以外にも、減衰力の中央値を原点へ移動させることで値の調整(原点調整)を行い検査記録として提出していた事実およびその調査結果を公表いたしました。
当社グループは、国土交通省の指示に基づき、不適合品の中でも特に基準値からの乖離が大きいオイルダンパーが使用されている7物件を選定し、第三者による安全性の検証(構造計算)を実施し、選定した7物件全て震度6強から震度7程度の最大級の地震に対しても十分に耐え得る結果を確認しております。
当社の基本方針としては、大臣認定不適合品および不適切行為の有無が不明な製品についても早急に適合化を進めてまいります。また、大臣認定不適合ではないものの、お客様基準に適合しないものについては、所有者様、居住者様など関係者様の意向を踏まえ、適切な対応を行ってまいります。ご不安・ご心配を払拭することを当社経営の最優先事項とし、所有者様をはじめとする関係者の皆様に丁寧にご説明してまいります。
当社は本件の重大性に鑑み、独立性・専門性を有する外部調査委員会(委員長:森・濱田松本法律事務所弁護士 難波孝一元東京高等裁判所部総括判事)を設置し、本件の事実関係の調査、原因分析及び再発防止策の提言等を依頼しており、2019年2月4日には、当該調査委員会から調査結果報告書を受領し、調査結果の報告及び再発防止策の提言を受けております。当社は、かかる提言等を踏まえ、然るべき対応を実施し、コーポレート・ガバナンスや内部統制システムをより一層強化し、再発防止策の徹底を図るとともに、信頼回復に向けて努めてまいります。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容
上場会社である当社の株式は株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社の株式に対する大規模買付提案又はこれに類似する行為があった場合においても、一概に否定するものではなく、最終的には株主の皆様の自由な意思により判断されるべきであると考えます。
しかしながら、わが国の資本市場においては、対象となる企業の経営陣の賛同を得ずに、一方的に大規模買付提案又はこれに類似する行為を強行する動きが過去にみられたところであり、今後、当社に対しそのような行為が強行される可能性も否定できません。
当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方としては、当社の企業理念、企業価値の様々な源泉、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考えております。従いまして、企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模買付提案又はこれに類似する行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み
ⅰ) 「中期経営計画」による企業価値向上への取組み
当社の2017年度からの中期方針では、モノづくり、技術、製品に挑戦し、イノベーションを起こすことによってKYBの新しい価値を創造し、業界NO.1、企業価値の向上、持続的成長という次なるステージへの前進を目指します。
その基本方針は以下のとおりです。
(a) AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業
お客様のグローバル化に追従するとともに、生産・販売拠点の再構築
お客様の要求を満足する新製品・新技術確立体制整備の実施
小事業部制移行による意思決定、戦略実行のスピード向上を図る
(b) HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業
量に頼らない収益基盤の確立・競争力の強化
建設機械以外の油圧製品について営業/開発体制の強化
(c) 人財育成
グローバルな視点・思考で行動できる人財の育成・確保・多様性を活かした人財活用
(d) 技術・商品開発
「新製品・新技術の創造」「設計・生産技術における品質向上」「機能安全対応の展開及び設計・評価技術の強化」
(e) モノづくり
リードタイム・スペースの半減・生産性2倍を目指した革新的生産ラインへの取り組み
(f) マネジメント
昨年度、海外拠点における重大労災事故発生、リコールに発展する品質問題の発生から、「安全第一」の徹底のため、安全・環境機能をCSR安全本部に移管しグローバル安全推進委員会の発足、また「品質経営」を宣言、異常が発生したら何でも迅速に報告する「Bad News 1st」を強力に実践しています。内部統制システムの実効性を高めるため、グローバルでの法令遵守・内部通報制度の定着と適正な運用、コーポレートガバナンスコードへの対応強化に取り組んでまいります。
ⅱ) コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、持続的な成長と企業価値向上の実現を通してステークホルダーの期待に応えるとともに、社会に貢献するという企業の社会的責任を果たすため、取締役会を中心に迅速かつ効率的な経営体制の構築並びに公正性かつ透明性の高い経営監督機能の確立を追求し、以下の経営理念及び基本方針に基づき、コーポレート・ガバナンスの強化及び充実に取り組むことを基本的な考え方としております。
<経営理念>「人々の暮らしを安全・快適にする技術や製品を提供し、社会に貢献するKYBグループ」
1.高い目標に挑戦し、より活気あふれる企業風土を築きます。
2.優しさと誠実さを保ち、自然を愛し環境を大切にします。
3.常に独創性を追い求め、お客様・株主様・お取引先・社会の発展に貢献します。
<基本方針>1.当社は、株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
2.当社は、株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、それらステークホルダーとの適切な協働に努める。
3.当社は、法令に基づく開示はもとより、ステークホルダーにとって重要又は有用な情報についても主体的に開示する。
4.当社の取締役会は、株主受託者責任及び説明責任を認識し、持続的かつ安定的な成長及び企業価値の向上並びに収益力及び資本効率の改善のために、その役割及び責務を適切に果たす。
5.当社は、株主との建設的な対話を促進し、当社の経営方針などに対する理解を得るとともに、当社への意見を経営の改善に繋げるなど適切な対応に努める。
さらに、当社では以下の事項についても取り組んでおります。
(ⅰ)役員と従業員が企業活動を遂行する上で遵守しなければならないルールとして「企業行動指針」を整備し、法令遵守と企業倫理の確立に努めております。当社および全グループ企業を対象に、企業リスクを迅速に把握する制度として、即報規則や目安箱による経営層への情報伝達手段を整備しております。さらに、公益通報者保護法の施行を受け、内部通報制度として専用の窓口を設置しております。
(ⅱ)当社は監査役会設置会社制度を採用しております。当社取締役会は原則として1ヶ月に1回開催(監査役も毎回出席)し、取締役会規則に定められた詳細な付議事項について積極的な議論を行っております。また、監査役会は、監査役のうち2名を社外監査役とし、監査の透明性、公平性を確保しております。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
企業価値ひいては株主共同の利益の中長期的な向上又は確保を目指す当社の経営にあたっては、幅広いノウハウと豊富な経験、並びに顧客、従業員及び取引先等のステークホルダーとの間に築かれた関係等への十分な理解が不可欠です。これら当社の事業特性に関する十分な理解がなくては、株主の皆様が将来実現することのできる株主価値を適切に判断することはできません。突然大規模な買付行為がなされたときに、大規模な買付を行う者の提示する当社株式の取得対価が当社の企業価値ひいては株主共同の利益と比べて妥当か否かを、株主の皆様が短期間の内に適切に判断するためには、大規模な買付を行う者及び当社取締役会の双方から必要かつ十分な情報が提供されることが不可欠であり、当社株式をそのまま継続保有することを考える株主の皆様にとっても、大規模な買付を行う者が考える当社の経営に参画したときの経営方針や事業計画の内容等は、その継続保有を検討するうえで重要な判断材料であります。同様に、当社取締役会が当該大規模な買付行為についてどのような意見を有しているのかも、株主の皆様にとっては重要な判断材料となると考えます。
これらを考慮し、「当社株式の大規模買付行為への対応策(買収防衛策)」を2016年6月24日開催の第94期定時株主総会において株主の皆様のご承認を賜り継続しております。これにより、大規模な買付行為に際しては、大規模な買付を行う者から事前に情報が提供され、当社取締役会は、かかる情報が提供された後、大規模な買付行為に対する当社取締役会としての意見を、必要に応じて独立した外部専門家(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家)の助言を受けながら慎重に検討したうえで公表いたします。さらに、当社取締役会は、必要と認めれば、大規模買付提案の条件の改善交渉や株主の皆様に対する代替案の提示も行います。かかるプロセスを経ることにより、株主の皆様は当社取締役会の意見を参考にしつつ、大規模な買付を行う者の提案と当社取締役会から代替案が提示された場合にはその代替案を検討することが可能となり、最終的な判断を決定するために必要な情報と機会を与えられることとなります。当社は、この買収防衛策の詳細を2016年5月17日付で「当社株式の大規模買付行為への対応策(買収防衛策)の継続について」として公表いたしました。この適時開示文書の全文はインターネット上の当社ウェブサイト(アドレスhttps://www.kyb.co.jp)に掲載しております。
④ 上記②③の取組みについての取締役会の判断及びその判断に係る理由
上記②の取組みは、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして実施しております。これは、上記①の基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
また、上記③の取組みにつきましても、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして実施しております。これは、以下の諸点に照らして、上記①の基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致するものであって、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
(a) 買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
当社買収防衛策は、経済産業省及び法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足しています。
また、経済産業省に設置された企業価値研究会が2008年6月30日に発表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」及び東京証券取引所が2015年6月1日に公表した「コーポレートガバナンス・コード」の「原則1-5いわゆる買収防衛策」の内容も踏まえたものとなっております。
(b) 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
当社買収防衛策は、当社株式に対する大規模な買付行為がなされた際に、当該大規模な買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保し、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。
(c) 独立性の高い社外役員の判断の重視と情報開示
当社買収防衛策における対抗措置の発動等の運用に際しての実質的な判断は、独立性の高い、社外取締役及び社外監査役のみから構成される独立委員会へ諮問し、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされており、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に適うように当社買収防衛策の透明な運営が行われる仕組みが確保されています。
(d) 株主意思を重視するものであること
当社買収防衛策は、2016年6月24日開催の第94期定時株主総会でのご承認により継続したものであり、株主の皆様のご意向が反映されております。
また、当社買収防衛策は、有効期間の満了前であっても、株主総会において、当社買収防衛策の変更又は廃止の決議がなされた場合には、その時点で変更又は廃止されることになり、株主の合理的意思に依拠したものとなっております。
(e) デッドハンド型買収防衛策やスローハンド型買収防衛策ではないこと
当社買収防衛策は、当社の株主総会で選任された取締役で構成される当社取締役会により廃止することができるものとされており、当社の株式を大量に買付けた者が、当社株主総会で取締役を指名し、かかる取締役で構成される当社取締役会により、当社買収防衛策を廃止することが可能です。従って、当社買収防衛策は、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社は期差任期制を採用していないため、当社買収防衛策はスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、52億20百万円であります。報告セグメントごとの内訳は、AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業で35億16百万円、HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業で13億16百万円、システム製品で93百万円となります。
なお、当第3四半期連結累計期間において記載すべき重要な事項はありません。