四半期報告書-第98期第1四半期(平成31年4月1日-令和1年6月30日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2019年4月1日~2019年6月30日)における世界経済は、欧米の景気は回復基調で推移したものの、米中貿易摩擦に伴い中国の経済成長が鈍化するなど、景気の先行きが不透明な状況が続きました。一方、わが国経済においては、引き続き個人消費や雇用情勢の改善により、緩やかな景気回復が続いております。
当第1四半期連結累計期間における当社グループの売上高につきましては、1,016億円と前第1四半期連結累計期間に比べ5億円の減収となりましたが、建設機械向け油圧機器の需要が引き続き堅調に推移しております。
営業利益につきましては36億8百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益につきましては、17億82百万円となりました。
(建築物用免震・制振用オイルダンパーの検査工程等における不適切行為の影響について)
前連結会計年度(2019年3月期)において、当社及び当社の子会社であるカヤバシステムマシナリー株式会社にて、製造・販売してきた免震・制振用オイルダンパーの一部について、性能検査記録データの書き換え行為により、大臣認定の性能評価基準(※)に適合していない、または、お客様の基準値を外れた製品を建築物に取り付けていた事実が判明いたしました。(※)制振用オイルダンパーについては、大臣認定制度はありません。
当第1四半期連結累計期間において、状況が進捗したことから前連結会計年度にて計上した免震・制振用オイルダンパーの製作費用並びに免震用オイルダンパーの交換工事に要する費用、構造再計算費用等の製品保証引当金について繰入及び取崩を行った影響額、及び対応本部の人件費等の諸費用をその他の費用に計上しております。
なお、当第1四半期連結会計期間においては、2019年6月30日時点で交換が未完了の不適合品及び不明の対象製品全数(免震用オイルダンパー7,052本、制振用オイルダンパー3,860本の合計10,912本)、並びに、台湾輸出品のうち交換が未完了の不適合品及び不明の対象製品全数を製品保証引当金の対象としております。
本件に係る製品保証引当金の当第1四半期連結会計期間の残高は、335億29百万円であります。
当第1四半期連結累計期間におけるセグメント別の業績は以下のとおりです。
なお、前連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更し、以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しています。詳細につきましては、「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおりであります。
また、以下の説明におけるセグメント別の売上高は、外部顧客に対するものであり、セグメント別のセグメント利益はセグメント間取引消去前のものであります。
① AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業セグメント
当セグメントは、四輪車用油圧緩衝器、二輪車用油圧緩衝器、四輪車用油圧機器とその他製品から構成されております。
当セグメントの売上高は614億円と前第1四半期連結累計期間に比べ2.3%の減収となりましたが、セグメント利益は42億7百万円と前第1四半期連結累計期間に比べ11億5百万円の増益となりました。
② HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業セグメント
当セグメントは、産業用油圧機器とその他製品から構成されております。
当セグメントの売上高は348億円と前第1四半期連結累計期間に比べ3.2%の増収となり、セグメント利益は26億65百万円と前第1四半期連結累計期間に比べ3億35百万円の減益となりました。
③ システム製品
当セグメントは、舞台機構、艦艇機器、免制振装置等から構成されております。
当セグメントの売上高は17億円と前第1四半期連結累計期間に比べ43.2%の増収となり、セグメント利益は2億31百万円と前第1四半期連結累計期間に比べ4億27百万円の増益となりました。
④ 航空機器事業
当セグメントは、航空機器用離着陸装置、同操舵装置等から構成されております。
航空機器事業は、売上高は11億円と前第1四半期連結累計期間に比べ25.6%の減収となり、セグメント損失は5億23百万円と前第1四半期連結累計期間に比べ6百万円の増益となりました。
⑤ 特装車両事業及び電子機器等
当セグメントは、特装車両及び電子機器等から構成されております。
当セグメントの売上高は26億円と前第1四半期連結累計期間に比べ9.8%の減収となり、セグメント利益は2億77百万円と前第1四半期連結累計期間に比べ1億6百万円の増益となりました。
財政状態につきましては、総資産が4,580億円と前連結会計年度末に比べ169億円の増加となりました。流動資産は、現金及び現金同等物が減少したことにより、29億円減少の2,322億円となりました。非流動資産は、有形固定資産が増加したこと等により、198億円増加の2,258億円となりました。
負債は、その他の金融負債が増加したこと等により、179億円増加の3,033億円となりました。
資本は、その他の資本の構成要素の減少により、10億円減少の1,546億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は515億円となり、前連結会計年度末に比べ46億円の減少となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は23億円(前第1四半期連結累計期間比20億円の収入減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は57億円(前第1四半期連結累計期間比10億円の支出増加)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は8億円となりました。主な流出は、長期借入金の返済による支出24億円であり、主な流入は短期借入金の純増減額21億円です。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容
当社は、2018年10月16日以降公表いたしましたとおり、出荷していた免震用・制振用オイルダンパーの一部について、性能検査記録データの書き換え行為などが行われ、大臣認定の性能評価基準に適合していない、または、お客様の基準値を外れた製品を建築物に取り付けていた事実(本不適切行為)が判明いたしました。
本不適切行為を受け、当社は、2018年9月26日、難波孝一弁護士を委員長とする外部調査委員会に対し、本不適切行為に関する事実関係の調査のみならず、類似した不適切行為の有無に関する事実関係の調査、原因分析及び再発防止策の提言について依頼いたしました。その後、当社は、同調査委員会より調査報告書を受領し(最終版の受領は2019年2月4日)、記載内容の精査、確認を行うとともに、当社独自の事実関係の調査、検証等を基に、問題の根底に内在していた諸要因の分析をしました。また、同調査委員会より指摘、提言された内容を真摯に受け止め、策定した再発防止策を同年2月5日及び同年2月13日に開催した取締役会において審議の上、決議し、当社の再発防止策を同調査委員会の調査報告書とともに国土交通省に提出いたしました。
さらに、2019年1月29日付にて公表いたしましたとおり、防衛装備品に関わる不適切な工数計上による請求行為(本不適切工数計上行為)の判明を受け、2019年1月28日に防衛省に対して自発的に報告を行っております。
関係者の皆様に多大なるご迷惑をおかけいたしましたことを衷心よりお詫び申し上げます。
このような状況下において、当社が買収防衛策(当社買収防衛策)を継続する理由につき、以下のとおりご説明申し上げます。
上場会社である当社の株式は株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社の株式に対する大規模買付提案またはこれに類似する行為があった場合においても、一概に否定するものではなく、最終的には株主の皆様の自由な意思により判断されるべきであると考えます。
しかしながら、わが国の資本市場においては、対象となる企業の経営陣の賛同を得ずに、一方的に大規模買付提案またはこれに類似する行為を強行する動きが過去にみられたところであり、今後、当社に対しそのような行為が強行される可能性も否定できません。特に、本不適切行為の公表以降、当社の株価は大幅に下落し、その後も低迷状況が継続しており、当社は、大規模買付提案またはこれに類似する行為を受けやすい状況となっております。
当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方としては、当社の企業理念、企業価値の様々な源泉、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考えております。最近の当社グループの状況に照らしてみますと、本不適切行為に関しましては、関係者の皆様と相談しながら、適切な対応を行っていく必要があり、本不適切工数計上行為に関しましては、防衛省による特別調査に全面的に協力を行う必要があります。そのためには、当社グループ役職員の信任を得て、強力なリーダーシップを発揮し、当社グループの力を結集して対応することができる者でなければなりません。従いまして、企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模買付提案またはこれに類似する行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み
当社では、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させるための取組みとして、以下の施策を実施しております。これらの取組みは、上記①の会社の支配に関する基本方針の実現に資するものと考えております。
(a) 「中期重点方策」による企業価値向上への取組み
2019年度は、2017年度~2019年度中期計画の最終年にあたります。「A GLOBAL KYB – CHALLENGE & INNOVATION –」をスローガンに掲げ各重点方策を展開してまいりましたが、2018年度は、本不適切行為および本不適切工数計上行為が判明し、創立以来培ってきた信頼を失う事態となりました。2019年度は「KYB再生元年」と位置付け、再発防止とコンプライアンス遵守を基盤とする以下の方策を迅速、強力に推進、信頼回復に努めてまいります。
(1)本不適切行為の原因究明および再発防止策
1)本不適切行為の原因
本不適切行為に関する事実関係の確認、類似した不適切行為の有無に関する事実関係の調査、原因分析および再発防止策の提言について依頼した外部調査委員会が作成した報告書記載内容の精査・確認および当社独自の調査・検証にて、本不適切行為の原因および背景として以下のような要因が問題の根底にあったと認識しております。
企業風土として、①規範意識の欠如、②真実と向き合わない企業風土、事業運営体制として、①受注ありきの工場経営、②情報共有体制の不全、③重要業務の独占、④事業化の問題点、品質検査体制として、①検査の不備、②検査機の不正防止の欠如、内部監査体制として、①品質監査における不備、②品質に係る不正類似事案を受けた監査の不備が挙げられました。これらは規範の問題に直面したときに規範を遵守する意識が弱かったこと、事業性の脆弱さの問題に正面から取り組まなかったこと、不正防止のための有効な手立てがなされておらず、更に不正を発見する活動が弱かったことが、複合的に絡みあったためと認識しています。
2)再発防止策
同外部調査委員会による再発防止策の提言を真摯に受け止め、以下のような再発防止策を策定しました。
(1)厳格な規範意識の醸成及び企業風土の改革として、①コンプライアンス経営の定着化、②役職員一人ひとりの意識改革を、(2)事業性の評価、事業運営体制及び情報共有体制等の見直しとして①バランスのとれた事業運営体制、②人事ローテーションの徹底、③情報吸い上げ・フィードバック体制の整備を、(3)検査体制・方法の改善として、①検査体制の改善、②検査機の不正防止措置を、(4)内部監査・統制体制の強化として、①内部品質監査体制の強化、②子会社管理体制の強化について、実行を徹底し、継続してまいります。
*本不適切行為に関する外部調査委員会による調査報告、当社による原因究明および当社が策定した再発防止策の詳細につきましては、2019年2月13日付で当社が公表した「当社及び当社の子会社が製造した建築物用免震・制振用オイルダンパーにおける不適切行為に関する外部調査委員会の調査報告について」および、「当社及び当社の子会社が製造した建築物用免震・制振用オイルダンパーにおける不適切行為に関する原因究明・再発防止策について」 をご参照ください。
外部調査委員会調査報告
https://www.kyb.co.jp/company/progress/progress_20190213_02.pdf
原因究明・再発防止策
https://www.kyb.co.jp/company/progress/progress_20190213_01.pdf
(2)マネジメント
「安全第一」「品質経営」「コンプライアンス遵守」「再発防止策の徹底実施」「免震・制振用オイルダンパーの早期適合化」「不採算事業・拠点の再編とコア事業への特化」
当社は、持続的な成長と企業価値向上の実現を通じて、ステークホルダーの期待に応えるとともに、社会に貢献するという企業の社会的責任を果たす一方、コーポレートガバナンスの強化に取り組んでまいりました。しかしながら、本不適切行為を受け、その迅速、丁寧な対応を図るため免制振対応本部を新設、また、内部統制室を拡大し、グループガバナンスの総合企画・調整を担う内部統制部を設置しました。
更に、中立的組織として、社外取締役を委員長とする不正リスク特別監査委員会を設置し、監督を強化してまいります。
また、お客様要求に応えられるBCP(事業継続計画)およびBCM(事業継続マネジメント)の整備を行い、危機管理体制の実効性を高めてまいります。
あわせて社会支援/貢献活動(非事業性)にも積極的に取り組み、社会の健全な発展に貢献してまいります。
(3)オートモーティブコンポーネンツ事業
「Scrap & Build, Mind Reset & Reborn」
これまでKYBグループは、お客様のグローバル化に合わせたかたちで海外での生産販売を拡大してまいりました。世界の自動車販売動向は、アジア・インドを中心に引き続き堅調に推移することが予想されます。拡大してきた海外拠点の収益基盤を、市場・お客様と事業戦略に合せた堅実な路線への再構築を更に進めてまいります。また、お客様の技術要求を100%満足する新製品・新技術の確立と体制整備により、付加価値製品の受注を目指していきます。今中期より定着した小事業部制により、管理レベルと機動性をより高めてまいります。
(4)ハイドロリックコンポーネンツ事業
「量に頼らない収益基盤の確立」「お客様に頼られる存在へ」
建設機械市場は2017年より中国を中心に需要が急回復、2019年も引き続き伸長が見込まれていましたが中型ショベルについては中国・アジアは成長が鈍化する様相となりました。ミニショベル・その他建設機械市場需要は引き続き堅調に推移、最高水準を維持する見込です。当社の生産能力は需要に追い付いていない状態が続いており、中国および国内の再編効果を高めると同時に、ショベル以外の製品についての受注活動を強化することで、変動する需要に対し、量に頼らない収益基盤の確立・競争力の強化を図ってまいります。魅力ある製品の開発により、お客様に信頼されるサプライヤーを目指します。
(5)システム製品
「免震・制振用オイルダンパーの早期適合化」
システム製品事業は、2020年9月までに交換用オイルダンパーの生産を完了させ、一日も早い適合化と再発防止を図ります。
(6)航空機器事業
「防衛装備品に関わる不適切な工数計上による請求問題の早期解決」
航空機器事業は、早急に原因究明を図り再発防止策に向けた活動を進めるとともに、現在の生産混乱を解消し、お客様からの信頼回復を図ります。
(7)特装車両事業
「需要変動に即応する体制・アフターサービス力強化」
特装車両事業は、国内においては需要変動に速やかに対応できる体制の確立、アフターサービスの強化を、またインドを始め海外市場での収益基盤の最適化を図ってまいります。
(8)技術・商品開発
「未来を想像し、技術部門の成果を収益向上につなげる」
「品質経営」の具現化に向けたお客様目線での設計・生産技術の品質向上を目指し、世界5極(日本、欧州、中国、ASEAN、北米)での環境インフラ整備、CAE技術、機能安全対応、技術標準のグローバル化推進と品質問題の抑制、また、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)技術のグループ全体での醸成と推進を図ってまいります。
新製品・新技術の創造においては、長期的な製品・技術戦略(ロードマップ)に基づき、事業との連携による効率的な技術・商品開発や欧州テクニカルセンターを活用した技術動向の把握により、市場ニーズを取り込んだお客様へのタイムリーな製品提供を行い受注拡大に結び付けてまいります。また、コア技術の深耕と育成を図り、ビジネス展開を志向した研究開発により、油圧の先端技術と脱油圧技術の追求、変化するニーズに対応できるスピードと技術開発に取り組んでまいります。
(9)人財育成
「グローバルな視点・思考で行動できる人財の育成・確保」「多様性を活かした人財活用」「信頼回復に向けた人事施策の実施」
グローバルな視点・思考で行動できるプロフェッショナル人財の育成、社会構造の変化に対応した人事改革など多様な人財が活躍できる環境整備を推進してまいりましたが、本不適切行為を受け、信頼回復に向けた規範意識のレベルアップ、心身ともに健康で働き甲斐のある職場づくりを、コンプライアンス遵守のもと進めてまいります。
(10)モノづくり
「革新的生産ラインへの取り組み」
独自性の高い生産技術・工法・設備の開発とともにIoT・AIを活用した設計品質・生産革新活動を通じた自動化を積極的に進め、リードタイム・スペースの半減と生産性2倍を目指した革新ラインを構築し、グローバルなモノづくりに取り組んでまいります。
KYBグループは、これらの重点方策活動を着実に実施し信頼回復を図る一方、筋肉質で強靭な企業体質への改革に取り組んでまいります。
(b) コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、次に定める経営理念に基づき、ステークホルダーの発展を含めた社会への貢献を当社の使命とし、持続的かつ安定的な成長と企業価値の向上を目指しております。
<経営理念>「人々の暮らしを安全・快適にする技術や製品を提供し、社会に貢献するKYBグループ」
1.高い目標に挑戦し、より活気あふれる企業風土を築きます。
2.優しさと誠実さを保ち、自然を愛し環境を大切にします。
3.常に独創性を追い求め、お客様・株主様・お取引先様・社会の発展に貢献します。
持続的な成長と企業価値向上の実現を通してステークホルダーの期待に応えるとともに、社会に貢献するという企業の社会的責任を果たすため、取締役会を中心に迅速かつ効率的な経営体制の構築ならびに公正性かつ透明性の高い経営監督機能の確立を追求し、次の基本方針に基づきコーポレートガバナンスの強化および充実に取り組むことを基本的な考え方としております。
<基本方針>1.当社は、株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
2.当社は、株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、それらステークホルダーとの適切な協働に努める。
3.当社は、法令に基づく開示はもとより、ステークホルダーにとって重要または有用な情報についても主体的に開示する。
4.当社の取締役会は、株主受託者責任および説明責任を認識し、持続的かつ安定的な成長および企業価値の向上ならびに収益力および資本効率の改善のために、その役割および責務を適切に果たす。
5.当社は、株主との建設的な対話を促進し、当社の経営方針などに対する理解を得るとともに、当社への意見を経営の改善に繋げるなど適切な対応に努める。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
企業価値ひいては株主共同の利益の中長期的な向上または確保を目指す当社の経営にあたっては、幅広いノウハウと豊富な経験、ならびに顧客、従業員および取引先等のステークホルダーとの間に築かれた関係等への十分な理解が不可欠です。これら当社の事業特性に関する十分な理解がなくては、株主の皆様が将来実現することのできる株主価値を適切に判断することはできません。突然大規模な買付行為がなされたときに、大規模な買付を行う者の提示する当社株式の取得対価が当社の企業価値ひいては株主共同の利益と比べて妥当か否か、を株主の皆様が短期間の内に適切に判断するためには、大規模な買付を行う者および当社取締役会の双方から必要かつ十分な情報が提供されることが不可欠であり、当社株式をそのまま継続保有することを考える株主の皆様にとっても、大規模な買付を行う者が考える当社の経営に参画したときの経営方針や事業計画の内容等は、その継続保有を検討するうえで重要な判断材料であります。同様に、当社取締役会が当該大規模な買付行為についてどのような意見を有しているのかも、株主の皆様にとっては重要な判断材料となると考えます。
これらを考慮し、当社買収防衛策を2019年6月25日開催の第97期定時株主総会において株主の皆様のご承認を賜り継続しております。これにより、大規模な買付行為に際しては、大規模な買付を行う者から事前に株主の皆様の判断の為に必要かつ十分な大規模な買付行為に関する情報が提供され、当社取締役会は、かかる情報が提供された後、大規模な買付行為に対する当社取締役会としての意見を、必要に応じて独立した外部専門家(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家)の助言を受けながら慎重に検討したうえで公表いたします。さらに、当社取締役会は、必要と認めれば、大規模買付提案の条件の改善交渉や株主の皆様に対する代替案の提示も行います。かかるプロセスを経ることにより、株主の皆様は当社取締役会の意見を参考にしつつ、大規模な買付を行う者の提案と当社取締役会から代替案が提示された場合にはその代替案を検討することが可能となり、最終的な判断を決定するために必要な情報と機会を与えられることとなります。当社は、当社買収防衛策の詳細を2019年5月20日付で「当社株式の大規模買付行為への対応策(買収防衛策)の継続について」として公表いたしました。この適時開示文書の全文はインターネット上の当社ウェブサイト(アドレスhttps://www.kyb.co.jp)に掲載しております。
④ 上記②③の取組みについての取締役会の判断及びその判断に係る理由
上記②の取組みは、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして実施しております。これは、上記①の基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
また、上記③の取組みにつきましても、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして実施しております。これは、以下の諸点に照らして、上記①の基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致するものであって、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
(a) 買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
当社買収防衛策は、経済産業省および法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保または向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足しています。
また、経済産業省に設置された企業価値研究会が2008年6月30日に発表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」および東京証券取引所が2015年6月1日に公表した「コーポレートガバナンス・コード」の「原則1-5いわゆる買収防衛策」の内容も踏まえたものとなっております。
(b) 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
当社買収防衛策は、当社株式に対する大規模買付行為がなされた際に、当該大規模買付行為等に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保し、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。
(c) 独立性の高い社外役員の判断の重視と情報開示
当社買収防衛策における対抗措置の発動等の運用に際しての実質的な判断は、独立性の高い、社外取締役および社外監査役のみから構成される独立委員会へ諮問し、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされており、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に適うように当社買収防衛策の透明な運営が行われる仕組みが確保されています。
(d) 株主意思を重視するものであること
当社買収防衛策は、2019年6月25日開催の第97期定時株主総会でのご承認により継続したものであり、株主の皆様のご意向が反映されております。
また、当社買収防衛策は、有効期間の満了前であっても、株主総会において、当社買収防衛策の変更又は廃止の決議がなされた場合には、その時点で変更又は廃止されることになり、株主の合理的意思に依拠したものとなっております。
(e) デッドハンド型買収防衛策やスローハンド型買収防衛策ではないこと
当社買収防衛策は、当社の株主総会で選任された取締役で構成される当社取締役会により廃止することができるものとされており、当社の株式を大量に買付けた者が、当社株主総会で取締役を指名し、かかる取締役で構成される当社取締役会により、当社買収防衛策を廃止することが可能です。従って、当社買収防衛策は、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社は期差任期制を採用していないため、当社買収防衛策はスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。
(4)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,563百万円であります。報告セグメントごとの内訳は、AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業で1,121百万円、HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業で367百万円、システム製品で7百万円、航空機器事業で35百万円となります。
なお、当第1四半期連結累計期間において記載すべき重要な事項はありません。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2019年4月1日~2019年6月30日)における世界経済は、欧米の景気は回復基調で推移したものの、米中貿易摩擦に伴い中国の経済成長が鈍化するなど、景気の先行きが不透明な状況が続きました。一方、わが国経済においては、引き続き個人消費や雇用情勢の改善により、緩やかな景気回復が続いております。
当第1四半期連結累計期間における当社グループの売上高につきましては、1,016億円と前第1四半期連結累計期間に比べ5億円の減収となりましたが、建設機械向け油圧機器の需要が引き続き堅調に推移しております。
営業利益につきましては36億8百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益につきましては、17億82百万円となりました。
(建築物用免震・制振用オイルダンパーの検査工程等における不適切行為の影響について)
前連結会計年度(2019年3月期)において、当社及び当社の子会社であるカヤバシステムマシナリー株式会社にて、製造・販売してきた免震・制振用オイルダンパーの一部について、性能検査記録データの書き換え行為により、大臣認定の性能評価基準(※)に適合していない、または、お客様の基準値を外れた製品を建築物に取り付けていた事実が判明いたしました。(※)制振用オイルダンパーについては、大臣認定制度はありません。
当第1四半期連結累計期間において、状況が進捗したことから前連結会計年度にて計上した免震・制振用オイルダンパーの製作費用並びに免震用オイルダンパーの交換工事に要する費用、構造再計算費用等の製品保証引当金について繰入及び取崩を行った影響額、及び対応本部の人件費等の諸費用をその他の費用に計上しております。
なお、当第1四半期連結会計期間においては、2019年6月30日時点で交換が未完了の不適合品及び不明の対象製品全数(免震用オイルダンパー7,052本、制振用オイルダンパー3,860本の合計10,912本)、並びに、台湾輸出品のうち交換が未完了の不適合品及び不明の対象製品全数を製品保証引当金の対象としております。
本件に係る製品保証引当金の当第1四半期連結会計期間の残高は、335億29百万円であります。
当第1四半期連結累計期間におけるセグメント別の業績は以下のとおりです。
なお、前連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更し、以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しています。詳細につきましては、「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおりであります。
また、以下の説明におけるセグメント別の売上高は、外部顧客に対するものであり、セグメント別のセグメント利益はセグメント間取引消去前のものであります。
① AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業セグメント
当セグメントは、四輪車用油圧緩衝器、二輪車用油圧緩衝器、四輪車用油圧機器とその他製品から構成されております。
当セグメントの売上高は614億円と前第1四半期連結累計期間に比べ2.3%の減収となりましたが、セグメント利益は42億7百万円と前第1四半期連結累計期間に比べ11億5百万円の増益となりました。
② HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業セグメント
当セグメントは、産業用油圧機器とその他製品から構成されております。
当セグメントの売上高は348億円と前第1四半期連結累計期間に比べ3.2%の増収となり、セグメント利益は26億65百万円と前第1四半期連結累計期間に比べ3億35百万円の減益となりました。
③ システム製品
当セグメントは、舞台機構、艦艇機器、免制振装置等から構成されております。
当セグメントの売上高は17億円と前第1四半期連結累計期間に比べ43.2%の増収となり、セグメント利益は2億31百万円と前第1四半期連結累計期間に比べ4億27百万円の増益となりました。
④ 航空機器事業
当セグメントは、航空機器用離着陸装置、同操舵装置等から構成されております。
航空機器事業は、売上高は11億円と前第1四半期連結累計期間に比べ25.6%の減収となり、セグメント損失は5億23百万円と前第1四半期連結累計期間に比べ6百万円の増益となりました。
⑤ 特装車両事業及び電子機器等
当セグメントは、特装車両及び電子機器等から構成されております。
当セグメントの売上高は26億円と前第1四半期連結累計期間に比べ9.8%の減収となり、セグメント利益は2億77百万円と前第1四半期連結累計期間に比べ1億6百万円の増益となりました。
財政状態につきましては、総資産が4,580億円と前連結会計年度末に比べ169億円の増加となりました。流動資産は、現金及び現金同等物が減少したことにより、29億円減少の2,322億円となりました。非流動資産は、有形固定資産が増加したこと等により、198億円増加の2,258億円となりました。
負債は、その他の金融負債が増加したこと等により、179億円増加の3,033億円となりました。
資本は、その他の資本の構成要素の減少により、10億円減少の1,546億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は515億円となり、前連結会計年度末に比べ46億円の減少となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は23億円(前第1四半期連結累計期間比20億円の収入減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は57億円(前第1四半期連結累計期間比10億円の支出増加)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は8億円となりました。主な流出は、長期借入金の返済による支出24億円であり、主な流入は短期借入金の純増減額21億円です。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
会社の支配に関する基本方針
① 基本方針の内容
当社は、2018年10月16日以降公表いたしましたとおり、出荷していた免震用・制振用オイルダンパーの一部について、性能検査記録データの書き換え行為などが行われ、大臣認定の性能評価基準に適合していない、または、お客様の基準値を外れた製品を建築物に取り付けていた事実(本不適切行為)が判明いたしました。
本不適切行為を受け、当社は、2018年9月26日、難波孝一弁護士を委員長とする外部調査委員会に対し、本不適切行為に関する事実関係の調査のみならず、類似した不適切行為の有無に関する事実関係の調査、原因分析及び再発防止策の提言について依頼いたしました。その後、当社は、同調査委員会より調査報告書を受領し(最終版の受領は2019年2月4日)、記載内容の精査、確認を行うとともに、当社独自の事実関係の調査、検証等を基に、問題の根底に内在していた諸要因の分析をしました。また、同調査委員会より指摘、提言された内容を真摯に受け止め、策定した再発防止策を同年2月5日及び同年2月13日に開催した取締役会において審議の上、決議し、当社の再発防止策を同調査委員会の調査報告書とともに国土交通省に提出いたしました。
さらに、2019年1月29日付にて公表いたしましたとおり、防衛装備品に関わる不適切な工数計上による請求行為(本不適切工数計上行為)の判明を受け、2019年1月28日に防衛省に対して自発的に報告を行っております。
関係者の皆様に多大なるご迷惑をおかけいたしましたことを衷心よりお詫び申し上げます。
このような状況下において、当社が買収防衛策(当社買収防衛策)を継続する理由につき、以下のとおりご説明申し上げます。
上場会社である当社の株式は株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社の株式に対する大規模買付提案またはこれに類似する行為があった場合においても、一概に否定するものではなく、最終的には株主の皆様の自由な意思により判断されるべきであると考えます。
しかしながら、わが国の資本市場においては、対象となる企業の経営陣の賛同を得ずに、一方的に大規模買付提案またはこれに類似する行為を強行する動きが過去にみられたところであり、今後、当社に対しそのような行為が強行される可能性も否定できません。特に、本不適切行為の公表以降、当社の株価は大幅に下落し、その後も低迷状況が継続しており、当社は、大規模買付提案またはこれに類似する行為を受けやすい状況となっております。
当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方としては、当社の企業理念、企業価値の様々な源泉、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考えております。最近の当社グループの状況に照らしてみますと、本不適切行為に関しましては、関係者の皆様と相談しながら、適切な対応を行っていく必要があり、本不適切工数計上行為に関しましては、防衛省による特別調査に全面的に協力を行う必要があります。そのためには、当社グループ役職員の信任を得て、強力なリーダーシップを発揮し、当社グループの力を結集して対応することができる者でなければなりません。従いまして、企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模買付提案またはこれに類似する行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み
当社では、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させるための取組みとして、以下の施策を実施しております。これらの取組みは、上記①の会社の支配に関する基本方針の実現に資するものと考えております。
(a) 「中期重点方策」による企業価値向上への取組み
2019年度は、2017年度~2019年度中期計画の最終年にあたります。「A GLOBAL KYB – CHALLENGE & INNOVATION –」をスローガンに掲げ各重点方策を展開してまいりましたが、2018年度は、本不適切行為および本不適切工数計上行為が判明し、創立以来培ってきた信頼を失う事態となりました。2019年度は「KYB再生元年」と位置付け、再発防止とコンプライアンス遵守を基盤とする以下の方策を迅速、強力に推進、信頼回復に努めてまいります。
(1)本不適切行為の原因究明および再発防止策
1)本不適切行為の原因
本不適切行為に関する事実関係の確認、類似した不適切行為の有無に関する事実関係の調査、原因分析および再発防止策の提言について依頼した外部調査委員会が作成した報告書記載内容の精査・確認および当社独自の調査・検証にて、本不適切行為の原因および背景として以下のような要因が問題の根底にあったと認識しております。
企業風土として、①規範意識の欠如、②真実と向き合わない企業風土、事業運営体制として、①受注ありきの工場経営、②情報共有体制の不全、③重要業務の独占、④事業化の問題点、品質検査体制として、①検査の不備、②検査機の不正防止の欠如、内部監査体制として、①品質監査における不備、②品質に係る不正類似事案を受けた監査の不備が挙げられました。これらは規範の問題に直面したときに規範を遵守する意識が弱かったこと、事業性の脆弱さの問題に正面から取り組まなかったこと、不正防止のための有効な手立てがなされておらず、更に不正を発見する活動が弱かったことが、複合的に絡みあったためと認識しています。
2)再発防止策
同外部調査委員会による再発防止策の提言を真摯に受け止め、以下のような再発防止策を策定しました。
(1)厳格な規範意識の醸成及び企業風土の改革として、①コンプライアンス経営の定着化、②役職員一人ひとりの意識改革を、(2)事業性の評価、事業運営体制及び情報共有体制等の見直しとして①バランスのとれた事業運営体制、②人事ローテーションの徹底、③情報吸い上げ・フィードバック体制の整備を、(3)検査体制・方法の改善として、①検査体制の改善、②検査機の不正防止措置を、(4)内部監査・統制体制の強化として、①内部品質監査体制の強化、②子会社管理体制の強化について、実行を徹底し、継続してまいります。
*本不適切行為に関する外部調査委員会による調査報告、当社による原因究明および当社が策定した再発防止策の詳細につきましては、2019年2月13日付で当社が公表した「当社及び当社の子会社が製造した建築物用免震・制振用オイルダンパーにおける不適切行為に関する外部調査委員会の調査報告について」および、「当社及び当社の子会社が製造した建築物用免震・制振用オイルダンパーにおける不適切行為に関する原因究明・再発防止策について」 をご参照ください。
外部調査委員会調査報告
https://www.kyb.co.jp/company/progress/progress_20190213_02.pdf
原因究明・再発防止策
https://www.kyb.co.jp/company/progress/progress_20190213_01.pdf
(2)マネジメント
「安全第一」「品質経営」「コンプライアンス遵守」「再発防止策の徹底実施」「免震・制振用オイルダンパーの早期適合化」「不採算事業・拠点の再編とコア事業への特化」
当社は、持続的な成長と企業価値向上の実現を通じて、ステークホルダーの期待に応えるとともに、社会に貢献するという企業の社会的責任を果たす一方、コーポレートガバナンスの強化に取り組んでまいりました。しかしながら、本不適切行為を受け、その迅速、丁寧な対応を図るため免制振対応本部を新設、また、内部統制室を拡大し、グループガバナンスの総合企画・調整を担う内部統制部を設置しました。
更に、中立的組織として、社外取締役を委員長とする不正リスク特別監査委員会を設置し、監督を強化してまいります。
また、お客様要求に応えられるBCP(事業継続計画)およびBCM(事業継続マネジメント)の整備を行い、危機管理体制の実効性を高めてまいります。
あわせて社会支援/貢献活動(非事業性)にも積極的に取り組み、社会の健全な発展に貢献してまいります。
(3)オートモーティブコンポーネンツ事業
「Scrap & Build, Mind Reset & Reborn」
これまでKYBグループは、お客様のグローバル化に合わせたかたちで海外での生産販売を拡大してまいりました。世界の自動車販売動向は、アジア・インドを中心に引き続き堅調に推移することが予想されます。拡大してきた海外拠点の収益基盤を、市場・お客様と事業戦略に合せた堅実な路線への再構築を更に進めてまいります。また、お客様の技術要求を100%満足する新製品・新技術の確立と体制整備により、付加価値製品の受注を目指していきます。今中期より定着した小事業部制により、管理レベルと機動性をより高めてまいります。
(4)ハイドロリックコンポーネンツ事業
「量に頼らない収益基盤の確立」「お客様に頼られる存在へ」
建設機械市場は2017年より中国を中心に需要が急回復、2019年も引き続き伸長が見込まれていましたが中型ショベルについては中国・アジアは成長が鈍化する様相となりました。ミニショベル・その他建設機械市場需要は引き続き堅調に推移、最高水準を維持する見込です。当社の生産能力は需要に追い付いていない状態が続いており、中国および国内の再編効果を高めると同時に、ショベル以外の製品についての受注活動を強化することで、変動する需要に対し、量に頼らない収益基盤の確立・競争力の強化を図ってまいります。魅力ある製品の開発により、お客様に信頼されるサプライヤーを目指します。
(5)システム製品
「免震・制振用オイルダンパーの早期適合化」
システム製品事業は、2020年9月までに交換用オイルダンパーの生産を完了させ、一日も早い適合化と再発防止を図ります。
(6)航空機器事業
「防衛装備品に関わる不適切な工数計上による請求問題の早期解決」
航空機器事業は、早急に原因究明を図り再発防止策に向けた活動を進めるとともに、現在の生産混乱を解消し、お客様からの信頼回復を図ります。
(7)特装車両事業
「需要変動に即応する体制・アフターサービス力強化」
特装車両事業は、国内においては需要変動に速やかに対応できる体制の確立、アフターサービスの強化を、またインドを始め海外市場での収益基盤の最適化を図ってまいります。
(8)技術・商品開発
「未来を想像し、技術部門の成果を収益向上につなげる」
「品質経営」の具現化に向けたお客様目線での設計・生産技術の品質向上を目指し、世界5極(日本、欧州、中国、ASEAN、北米)での環境インフラ整備、CAE技術、機能安全対応、技術標準のグローバル化推進と品質問題の抑制、また、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)技術のグループ全体での醸成と推進を図ってまいります。
新製品・新技術の創造においては、長期的な製品・技術戦略(ロードマップ)に基づき、事業との連携による効率的な技術・商品開発や欧州テクニカルセンターを活用した技術動向の把握により、市場ニーズを取り込んだお客様へのタイムリーな製品提供を行い受注拡大に結び付けてまいります。また、コア技術の深耕と育成を図り、ビジネス展開を志向した研究開発により、油圧の先端技術と脱油圧技術の追求、変化するニーズに対応できるスピードと技術開発に取り組んでまいります。
(9)人財育成
「グローバルな視点・思考で行動できる人財の育成・確保」「多様性を活かした人財活用」「信頼回復に向けた人事施策の実施」
グローバルな視点・思考で行動できるプロフェッショナル人財の育成、社会構造の変化に対応した人事改革など多様な人財が活躍できる環境整備を推進してまいりましたが、本不適切行為を受け、信頼回復に向けた規範意識のレベルアップ、心身ともに健康で働き甲斐のある職場づくりを、コンプライアンス遵守のもと進めてまいります。
(10)モノづくり
「革新的生産ラインへの取り組み」
独自性の高い生産技術・工法・設備の開発とともにIoT・AIを活用した設計品質・生産革新活動を通じた自動化を積極的に進め、リードタイム・スペースの半減と生産性2倍を目指した革新ラインを構築し、グローバルなモノづくりに取り組んでまいります。
KYBグループは、これらの重点方策活動を着実に実施し信頼回復を図る一方、筋肉質で強靭な企業体質への改革に取り組んでまいります。
(b) コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、次に定める経営理念に基づき、ステークホルダーの発展を含めた社会への貢献を当社の使命とし、持続的かつ安定的な成長と企業価値の向上を目指しております。
<経営理念>「人々の暮らしを安全・快適にする技術や製品を提供し、社会に貢献するKYBグループ」
1.高い目標に挑戦し、より活気あふれる企業風土を築きます。
2.優しさと誠実さを保ち、自然を愛し環境を大切にします。
3.常に独創性を追い求め、お客様・株主様・お取引先様・社会の発展に貢献します。
持続的な成長と企業価値向上の実現を通してステークホルダーの期待に応えるとともに、社会に貢献するという企業の社会的責任を果たすため、取締役会を中心に迅速かつ効率的な経営体制の構築ならびに公正性かつ透明性の高い経営監督機能の確立を追求し、次の基本方針に基づきコーポレートガバナンスの強化および充実に取り組むことを基本的な考え方としております。
<基本方針>1.当社は、株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
2.当社は、株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、それらステークホルダーとの適切な協働に努める。
3.当社は、法令に基づく開示はもとより、ステークホルダーにとって重要または有用な情報についても主体的に開示する。
4.当社の取締役会は、株主受託者責任および説明責任を認識し、持続的かつ安定的な成長および企業価値の向上ならびに収益力および資本効率の改善のために、その役割および責務を適切に果たす。
5.当社は、株主との建設的な対話を促進し、当社の経営方針などに対する理解を得るとともに、当社への意見を経営の改善に繋げるなど適切な対応に努める。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
企業価値ひいては株主共同の利益の中長期的な向上または確保を目指す当社の経営にあたっては、幅広いノウハウと豊富な経験、ならびに顧客、従業員および取引先等のステークホルダーとの間に築かれた関係等への十分な理解が不可欠です。これら当社の事業特性に関する十分な理解がなくては、株主の皆様が将来実現することのできる株主価値を適切に判断することはできません。突然大規模な買付行為がなされたときに、大規模な買付を行う者の提示する当社株式の取得対価が当社の企業価値ひいては株主共同の利益と比べて妥当か否か、を株主の皆様が短期間の内に適切に判断するためには、大規模な買付を行う者および当社取締役会の双方から必要かつ十分な情報が提供されることが不可欠であり、当社株式をそのまま継続保有することを考える株主の皆様にとっても、大規模な買付を行う者が考える当社の経営に参画したときの経営方針や事業計画の内容等は、その継続保有を検討するうえで重要な判断材料であります。同様に、当社取締役会が当該大規模な買付行為についてどのような意見を有しているのかも、株主の皆様にとっては重要な判断材料となると考えます。
これらを考慮し、当社買収防衛策を2019年6月25日開催の第97期定時株主総会において株主の皆様のご承認を賜り継続しております。これにより、大規模な買付行為に際しては、大規模な買付を行う者から事前に株主の皆様の判断の為に必要かつ十分な大規模な買付行為に関する情報が提供され、当社取締役会は、かかる情報が提供された後、大規模な買付行為に対する当社取締役会としての意見を、必要に応じて独立した外部専門家(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家)の助言を受けながら慎重に検討したうえで公表いたします。さらに、当社取締役会は、必要と認めれば、大規模買付提案の条件の改善交渉や株主の皆様に対する代替案の提示も行います。かかるプロセスを経ることにより、株主の皆様は当社取締役会の意見を参考にしつつ、大規模な買付を行う者の提案と当社取締役会から代替案が提示された場合にはその代替案を検討することが可能となり、最終的な判断を決定するために必要な情報と機会を与えられることとなります。当社は、当社買収防衛策の詳細を2019年5月20日付で「当社株式の大規模買付行為への対応策(買収防衛策)の継続について」として公表いたしました。この適時開示文書の全文はインターネット上の当社ウェブサイト(アドレスhttps://www.kyb.co.jp)に掲載しております。
④ 上記②③の取組みについての取締役会の判断及びその判断に係る理由
上記②の取組みは、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして実施しております。これは、上記①の基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
また、上記③の取組みにつきましても、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして実施しております。これは、以下の諸点に照らして、上記①の基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致するものであって、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
(a) 買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
当社買収防衛策は、経済産業省および法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保または向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足しています。
また、経済産業省に設置された企業価値研究会が2008年6月30日に発表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」および東京証券取引所が2015年6月1日に公表した「コーポレートガバナンス・コード」の「原則1-5いわゆる買収防衛策」の内容も踏まえたものとなっております。
(b) 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
当社買収防衛策は、当社株式に対する大規模買付行為がなされた際に、当該大規模買付行為等に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保し、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。
(c) 独立性の高い社外役員の判断の重視と情報開示
当社買収防衛策における対抗措置の発動等の運用に際しての実質的な判断は、独立性の高い、社外取締役および社外監査役のみから構成される独立委員会へ諮問し、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされており、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に適うように当社買収防衛策の透明な運営が行われる仕組みが確保されています。
(d) 株主意思を重視するものであること
当社買収防衛策は、2019年6月25日開催の第97期定時株主総会でのご承認により継続したものであり、株主の皆様のご意向が反映されております。
また、当社買収防衛策は、有効期間の満了前であっても、株主総会において、当社買収防衛策の変更又は廃止の決議がなされた場合には、その時点で変更又は廃止されることになり、株主の合理的意思に依拠したものとなっております。
(e) デッドハンド型買収防衛策やスローハンド型買収防衛策ではないこと
当社買収防衛策は、当社の株主総会で選任された取締役で構成される当社取締役会により廃止することができるものとされており、当社の株式を大量に買付けた者が、当社株主総会で取締役を指名し、かかる取締役で構成される当社取締役会により、当社買収防衛策を廃止することが可能です。従って、当社買収防衛策は、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社は期差任期制を採用していないため、当社買収防衛策はスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。
(4)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、1,563百万円であります。報告セグメントごとの内訳は、AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業で1,121百万円、HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業で367百万円、システム製品で7百万円、航空機器事業で35百万円となります。
なお、当第1四半期連結累計期間において記載すべき重要な事項はありません。