有価証券報告書-第97期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
当連結会計年度より、連結損益計算書の「その他の収益」に計上していた「ロイヤルティ収益」及び「金型補償に関する収益」を、「売上高」に含めて計上することに変更しております。当該表示方法の変更の内容を反映させた組替後の数値で、前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦の激化、欧米の政治的な混乱等により、先行きが不透明な状況であるものの、総じて堅調に推移しました。また、わが国経済においては、引き続き堅調な企業収益や雇用情勢により、緩やかながら拡大基調で推移しております。
このような環境のもと、当社製品の主要な需要先である自動車市場は、欧州において好調に推移しました。また、建設機械市場は、中国では安定した成長が続き、欧米においても堅調に推移しております。
当社グループの売上高につきましては、4,122億円と前連結会計年度に比べ185億円の増収となり、過去最高の売上高となりました。増収となった主な要因は、中国における建設機械向け製品の需要が増加したことによります。
損益につきましては、営業損失は284億96百万円、税引前損失は295億10百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期損失は、247億57百万円となりました。
なお、当連結会計年度は免震・制振用オイルダンパーの不適切行為等につきまして、関係者の皆様には多大なるご心配とご迷惑をお掛けし、深くお詫び申し上げます。今後、このような事態を再び繰り返すことがないよう、安全と品質を最優先に、企業風土の改革と再発防止策を着実に遂行し、信頼回復に取り組んでまいります。
(建築物用免震・制振用オイルダンパーの検査工程等における不適切行為の影響について)
当社及び当社の子会社であるカヤバシステムマシナリー株式会社において、製造・販売してきた免震・制振用オイルダンパーの一部について、性能検査記録データの書き換え行為により、大臣認定の性能評価基準(※)に適合していない、または、お客様の基準値を外れた製品(以下、「不適合品」といいます。)を建築物に取り付けていた事実が判明したため、現時点において収集可能な情報、及びその情報が合理的な事実に基づくものであると判断された免震・制振用オイルダンパーの製作費用並びに免震用オイルダンパーの交換工事に要する費用、構造再計算費用及び対応本部諸費用等については、当連結会計年度においてその他の費用に計上しております。(※)制振用オイルダンパーについては、大臣認定制度はありません。
なお、当連結会計年度においては、2019年3月31日時点で交換が未完了の不適合品及び不明の対象製品全数(免震用オイルダンパー7,227本、制振用オイルダンパー4,485本の合計11,712本)、並びに、台湾輸出品のうち交換が未完了の不適合品及び不明の対象製品全数を製品保証引当金の対象としております。
本件に係る製品保証引当金の当連結会計年度末の残高は、351億46百万円であります。
(防衛省に対する不適切な工数計上の影響について)
当社は、防衛装備品に関わる防衛省との契約に関し、不適切な工数計上により請求していた事実の判明を受け、今後発生すると見込まれる返納金等76億18百万円をその他の費用に計上しております。また、2019年3月14日より、防衛省による特別調査が実施されており、当社は調査に全面的に協力を行っております。当該金額につきましては、現時点で合理的に算定できる範囲での見積りであり、今後の特別調査の進展によっては変動する可能性があります。
セグメント別の業績は次のとおりです。
(a) AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業セグメント
当セグメントは、四輪車用油圧緩衝器、二輪車用油圧緩衝器、四輪車用油圧機器とその他製品から構成されております。
ⅰ) 四輪車用油圧緩衝器
四輪車用油圧緩衝器は、欧州市場において堅調に推移したこと、第2四半期にブラジルの持分法適用会社を連結子会社としたこと等により、売上高は1,697億円と前連結会計年度に比べ4.0%の増収となりました。
ⅱ) 二輪車用油圧緩衝器
二輪車用油圧緩衝器は、中・大型二輪車用油圧緩衝器等の減少により、売上高は291億円と前連結会計年度に比べ3.2%の減収となりました。
ⅲ) 四輪車用油圧機器
パワーステアリング製品を主とする四輪車用油圧機器は、電動パワーステアリングや油圧ポンプ及びCVT(無段変速機)用ベーンポンプが減少したことにより、売上高は421億円と前連結会計年度に比べ8.0%の減収となりました。
ⅳ) その他製品
ATV(全地形対応車)用機器を中心とするその他製品の売上高は50億円となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は2,458億円となり、営業利益は43億85百万円(営業利益率1.8%)となりました。
(b) HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業セグメント
当セグメントは、産業用油圧機器、その他製品から構成されております。
ⅰ) 産業用油圧機器
建設機械向けを主とする産業用油圧機器は、中・大型ショベルが中国市場を中心に安定した成長を続け、小型及びミニショベルが欧米市場で堅調に推移したため、売上高は1,323億円と前連結会計年度に比べ15.8%の大幅な増収となりました。
ⅱ) その他製品
鉄道用セミアクティブシステム及び緩衝器を主とするその他製品の売上高は83億円と前連結会計年度に比べ2.4%の減収となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,406億円となり、営業利益は183億11百万円(営業利益率13.0%)となりました。
(c) システム製品
当セグメントは、舞台機構、艦艇機器、免制振装置等から構成されております。
当社及び当社の子会社であるカヤバシステムマシナリー株式会社において、製造・販売してきた免震・制振用オイルダンパーの一部について、性能検査記録データの書き換え行為により、大臣認定の性能評価基準に適合していない、または、お客様の基準値を外れた製品を建築物に取り付けていた事実が判明し、当該事象に係る見積費用を計上した結果、「その他」に含まれていたシステム製品事業について、質的な重要性が増したため、当連結会計年度より、「システム製品」を「その他」から区分し、開示しております。
システム製品は、売上高は85億円と前連結会計年度に比べ0.2%の増収となりましたが、免震・制振用オイルダンパーの不適切行為により、営業損失は429億85百万円となりました
(d) 航空機器事業
当セグメントは、航空機器用離着陸装置、同操舵装置等から構成されております。
当社は、防衛装備品に関わる防衛省との契約に関し、不適切な工数計上により請求していた事実の判明を受け、当該事象に係る見積費用を計上した結果、「その他」に含まれていた航空機器事業について、質的な重要性が増したため、当連結会計年度より、「航空機器事業」を「その他」から区分し、開示しております。
航空機器事業は、売上高は56億円と前連結会計年度に比べ11.5%の減収となり、防衛装備品関連損失引当金の計上等により、営業損失は93億22百万円となりました
(e) 特装車両事業及び電子機器等
当セグメントは、特装車両及び電子機器等から構成されております。
ⅰ) 特装車両
コンクリートミキサ車を主とする特装車両の売上高は91億円と前連結会計年度に比べ4.5%の減収となりました。
ⅱ) 電子機器等
電子機器等の売上高は25億円と前連結会計年度に比べ11.1%の減収となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は116億円となり、営業利益は9億5百万円(営業利益率7.8%)となりました。
当社グループの財政状態につきましては、以下のとおりです。
流動資産は、現金及び現金同等物、棚卸資産、営業債権及びその他の債権が増加しました。また、非流動資産につきましては、繰延税金資産が増加しました。この結果、総資産は286億円増加し、4,411億円となりました。
負債につきましては、製品保証引当金が増加しました。負債総額は596億円増加し、2,854億円となりました。
資本は、利益剰余金の減少等により、310億円減少して1,556億円となりました。
親会社所有者帰属持分比率は、資本が減少したことから33.9%と前連結会計年度末に比べ9.8%悪化しました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの差し引きが34億円の資金流入、また財務活動によるキャッシュ・フローは104億円の資金流入となり、為替換算により5億円減少し、現金及び現金同等物は前連結会計年度末比134億円増加し、561億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度比41.7%減少の170億円となりました。これは主に税引前損失295億円、製品保証引当金の増加及び防衛装備品関連損失引当金の増加430億円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、前連結会計年度比16.9%減少の136億円となりました。これは主に有形固定資産の取得204億円等の資金流出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は、104億円となりました。主な流出は、長期借入金の返済による支出162億円、配当金の支払額20億円であり、主な流入は、長期借入金による収入237億円です。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(b) 受注実績
四輪車用・二輪車用油圧緩衝器およびパワーステアリング製品を主とするAC(オートモーティブコンポーネンツ)事業、建設機械向け産業用油圧機器を主とするHC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業は、見込み生産を行っております。舞台機構、艦艇機器、免制振装置等を主とするシステム製品、航空機用の離着陸装置、操舵装置、制御装置等を主とする航空機器事業についても、一部製品においても正式受注が納期間際であることから、その殆どが内示に基づく見込み生産となっております。
特装車両事業および電子機器等についても、同様にその殆どが内示に基づく見込み生産となっております。
従って、受注高および受注残高を算出することは困難であることから、記載を省略しております。
(c) 販売実績
当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.主要な販売先(総販売実績に対する割合が10%以上)に該当するものは、ありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高が建設機械向け製品や四輪車用油圧緩衝器を中心とした数量増により前連結会計年度比4.7%増加の4,122億円、セグメント利益は220億円を計上しました。一方、免震・制振用オイルダンパーにかかる製品保証引当金繰入額等の費用を計上したことから、営業損失は285億円となりました。
当連結会計年度は、免震・制振用オイルダンパーの不適切行為等につきまして、関係者の皆様には多大なるご心配とご迷惑をお掛けし、深くお詫び申し上げます。今後、このような事態を再び繰り返すことがないよう、安全と品質を最優先に、企業風土の改革と再発防止策を着実に遂行し、信頼回復に取り組んでまいります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、鋼材等の原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は1,086億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は561億円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、次のとおりであります。2017年度期首に策定した中期経営計画において、売上高3,980億円・セグメント利益率6.5%・ROE10.0%を2019年度に達成することを目標としております。2018年度の各経営指標はそれぞれ売上高4,122億円・セグメント利益率5.3%となりましたが、ROEは免震・制振用オイルダンパーの不適切行為により、当期純損失のため△15.0%となっております。2019年度は、建設機械市場が好調継続や四輪車用油圧緩衝器の北米市場での巻き返しを見込んでおり、売上高目標は前倒しで達成できると見込んでおります。また、セグメント利益率・ROEの目標を達成するため、AC事業では電動パワーステアリング事業や二輪車用油圧緩衝器事業の再編、HC事業ではコントロールバルブの生産移管等を推進してまいります。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
なお、各セグメントごとの課題・リスクに対して、以下のような対応をしております。
AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業においては、サスペンション事業部・ステアリング事業部・モーターサイクル事業部の3事業部体制とし、各製品群の責任者及び利益責任を明確にするとともに、管理レベルの向上と意思決定、戦略実行のスピードアップを図っております。
HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業においては、市場変動に左右されない安定した売上高、利益の確保のために、量に頼らない収益基盤の確立・競争力の強化を図りながら、農業機械や鉄道向け製品など建設機械以外の油圧製品の営業・開発体制を強化しております。
特装車両事業については、公共事業や都市開発など国内需要の確実な取り込みにより売上とシェアを維持します。また、インフラ投資が旺盛で売上比率も高まっているインドでの体制整備も進めております。
航空機器事業については、KYBのDNAでもある航空機技術を活かしながら知見を広めお客様のニーズに応えています。
(3) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」といいます。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(開発費の資産計上)
日本基準では、費用処理しておりました一部の開発費用について、IFRSにおいては資産計上要件を満たすことから、無形資産に計上しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて無形資産が61億14百万円増加しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦の激化、欧米の政治的な混乱等により、先行きが不透明な状況であるものの、総じて堅調に推移しました。また、わが国経済においては、引き続き堅調な企業収益や雇用情勢により、緩やかながら拡大基調で推移しております。
このような環境のもと、当社製品の主要な需要先である自動車市場は、欧州において好調に推移しました。また、建設機械市場は、中国では安定した成長が続き、欧米においても堅調に推移しております。
当社グループの売上高につきましては、4,122億円と前連結会計年度に比べ185億円の増収となり、過去最高の売上高となりました。増収となった主な要因は、中国における建設機械向け製品の需要が増加したことによります。
損益につきましては、営業損失は284億96百万円、税引前損失は295億10百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期損失は、247億57百万円となりました。
なお、当連結会計年度は免震・制振用オイルダンパーの不適切行為等につきまして、関係者の皆様には多大なるご心配とご迷惑をお掛けし、深くお詫び申し上げます。今後、このような事態を再び繰り返すことがないよう、安全と品質を最優先に、企業風土の改革と再発防止策を着実に遂行し、信頼回復に取り組んでまいります。
(建築物用免震・制振用オイルダンパーの検査工程等における不適切行為の影響について)
当社及び当社の子会社であるカヤバシステムマシナリー株式会社において、製造・販売してきた免震・制振用オイルダンパーの一部について、性能検査記録データの書き換え行為により、大臣認定の性能評価基準(※)に適合していない、または、お客様の基準値を外れた製品(以下、「不適合品」といいます。)を建築物に取り付けていた事実が判明したため、現時点において収集可能な情報、及びその情報が合理的な事実に基づくものであると判断された免震・制振用オイルダンパーの製作費用並びに免震用オイルダンパーの交換工事に要する費用、構造再計算費用及び対応本部諸費用等については、当連結会計年度においてその他の費用に計上しております。(※)制振用オイルダンパーについては、大臣認定制度はありません。
なお、当連結会計年度においては、2019年3月31日時点で交換が未完了の不適合品及び不明の対象製品全数(免震用オイルダンパー7,227本、制振用オイルダンパー4,485本の合計11,712本)、並びに、台湾輸出品のうち交換が未完了の不適合品及び不明の対象製品全数を製品保証引当金の対象としております。
本件に係る製品保証引当金の当連結会計年度末の残高は、351億46百万円であります。
(防衛省に対する不適切な工数計上の影響について)
当社は、防衛装備品に関わる防衛省との契約に関し、不適切な工数計上により請求していた事実の判明を受け、今後発生すると見込まれる返納金等76億18百万円をその他の費用に計上しております。また、2019年3月14日より、防衛省による特別調査が実施されており、当社は調査に全面的に協力を行っております。当該金額につきましては、現時点で合理的に算定できる範囲での見積りであり、今後の特別調査の進展によっては変動する可能性があります。
セグメント別の業績は次のとおりです。
(a) AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業セグメント
当セグメントは、四輪車用油圧緩衝器、二輪車用油圧緩衝器、四輪車用油圧機器とその他製品から構成されております。
ⅰ) 四輪車用油圧緩衝器
四輪車用油圧緩衝器は、欧州市場において堅調に推移したこと、第2四半期にブラジルの持分法適用会社を連結子会社としたこと等により、売上高は1,697億円と前連結会計年度に比べ4.0%の増収となりました。
ⅱ) 二輪車用油圧緩衝器
二輪車用油圧緩衝器は、中・大型二輪車用油圧緩衝器等の減少により、売上高は291億円と前連結会計年度に比べ3.2%の減収となりました。
ⅲ) 四輪車用油圧機器
パワーステアリング製品を主とする四輪車用油圧機器は、電動パワーステアリングや油圧ポンプ及びCVT(無段変速機)用ベーンポンプが減少したことにより、売上高は421億円と前連結会計年度に比べ8.0%の減収となりました。
ⅳ) その他製品
ATV(全地形対応車)用機器を中心とするその他製品の売上高は50億円となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は2,458億円となり、営業利益は43億85百万円(営業利益率1.8%)となりました。
(b) HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業セグメント
当セグメントは、産業用油圧機器、その他製品から構成されております。
ⅰ) 産業用油圧機器
建設機械向けを主とする産業用油圧機器は、中・大型ショベルが中国市場を中心に安定した成長を続け、小型及びミニショベルが欧米市場で堅調に推移したため、売上高は1,323億円と前連結会計年度に比べ15.8%の大幅な増収となりました。
ⅱ) その他製品
鉄道用セミアクティブシステム及び緩衝器を主とするその他製品の売上高は83億円と前連結会計年度に比べ2.4%の減収となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,406億円となり、営業利益は183億11百万円(営業利益率13.0%)となりました。
(c) システム製品
当セグメントは、舞台機構、艦艇機器、免制振装置等から構成されております。
当社及び当社の子会社であるカヤバシステムマシナリー株式会社において、製造・販売してきた免震・制振用オイルダンパーの一部について、性能検査記録データの書き換え行為により、大臣認定の性能評価基準に適合していない、または、お客様の基準値を外れた製品を建築物に取り付けていた事実が判明し、当該事象に係る見積費用を計上した結果、「その他」に含まれていたシステム製品事業について、質的な重要性が増したため、当連結会計年度より、「システム製品」を「その他」から区分し、開示しております。
システム製品は、売上高は85億円と前連結会計年度に比べ0.2%の増収となりましたが、免震・制振用オイルダンパーの不適切行為により、営業損失は429億85百万円となりました
(d) 航空機器事業
当セグメントは、航空機器用離着陸装置、同操舵装置等から構成されております。
当社は、防衛装備品に関わる防衛省との契約に関し、不適切な工数計上により請求していた事実の判明を受け、当該事象に係る見積費用を計上した結果、「その他」に含まれていた航空機器事業について、質的な重要性が増したため、当連結会計年度より、「航空機器事業」を「その他」から区分し、開示しております。
航空機器事業は、売上高は56億円と前連結会計年度に比べ11.5%の減収となり、防衛装備品関連損失引当金の計上等により、営業損失は93億22百万円となりました
(e) 特装車両事業及び電子機器等
当セグメントは、特装車両及び電子機器等から構成されております。
ⅰ) 特装車両
コンクリートミキサ車を主とする特装車両の売上高は91億円と前連結会計年度に比べ4.5%の減収となりました。
ⅱ) 電子機器等
電子機器等の売上高は25億円と前連結会計年度に比べ11.1%の減収となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は116億円となり、営業利益は9億5百万円(営業利益率7.8%)となりました。
当社グループの財政状態につきましては、以下のとおりです。
流動資産は、現金及び現金同等物、棚卸資産、営業債権及びその他の債権が増加しました。また、非流動資産につきましては、繰延税金資産が増加しました。この結果、総資産は286億円増加し、4,411億円となりました。
負債につきましては、製品保証引当金が増加しました。負債総額は596億円増加し、2,854億円となりました。
資本は、利益剰余金の減少等により、310億円減少して1,556億円となりました。
親会社所有者帰属持分比率は、資本が減少したことから33.9%と前連結会計年度末に比べ9.8%悪化しました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの差し引きが34億円の資金流入、また財務活動によるキャッシュ・フローは104億円の資金流入となり、為替換算により5億円減少し、現金及び現金同等物は前連結会計年度末比134億円増加し、561億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度比41.7%減少の170億円となりました。これは主に税引前損失295億円、製品保証引当金の増加及び防衛装備品関連損失引当金の増加430億円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、前連結会計年度比16.9%減少の136億円となりました。これは主に有形固定資産の取得204億円等の資金流出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は、104億円となりました。主な流出は、長期借入金の返済による支出162億円、配当金の支払額20億円であり、主な流入は、長期借入金による収入237億円です。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年同期比(%) |
AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業(百万円) | 248,670 | 1.2 |
HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業(百万円) | 143,576 | 15.3 |
システム製品(百万円) | 8,817 | △1.6 |
航空機器事業(百万円) | 6,494 | △8.8 |
報告セグメント計(百万円) | 407,557 | 5.5 |
特装車両事業および電子機器等(百万円) | 11,035 | △14.7 |
合計(百万円) | 418,592 | 4.9 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(b) 受注実績
四輪車用・二輪車用油圧緩衝器およびパワーステアリング製品を主とするAC(オートモーティブコンポーネンツ)事業、建設機械向け産業用油圧機器を主とするHC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業は、見込み生産を行っております。舞台機構、艦艇機器、免制振装置等を主とするシステム製品、航空機用の離着陸装置、操舵装置、制御装置等を主とする航空機器事業についても、一部製品においても正式受注が納期間際であることから、その殆どが内示に基づく見込み生産となっております。
特装車両事業および電子機器等についても、同様にその殆どが内示に基づく見込み生産となっております。
従って、受注高および受注残高を算出することは困難であることから、記載を省略しております。
(c) 販売実績
当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年同期比(%) |
AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業(百万円) | 245,807 | 0.9 |
HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業(百万円) | 140,625 | 14.5 |
システム製品(百万円) | 8,530 | 0.2 |
航空機器事業(百万円) | 5,624 | △11.5 |
報告セグメント計(百万円) | 400,586 | 5.0 |
特装車両事業および電子機器等(百万円) | 11,628 | △6.0 |
合計(百万円) | 412,214 | 4.7 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.主要な販売先(総販売実績に対する割合が10%以上)に該当するものは、ありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高が建設機械向け製品や四輪車用油圧緩衝器を中心とした数量増により前連結会計年度比4.7%増加の4,122億円、セグメント利益は220億円を計上しました。一方、免震・制振用オイルダンパーにかかる製品保証引当金繰入額等の費用を計上したことから、営業損失は285億円となりました。
当連結会計年度は、免震・制振用オイルダンパーの不適切行為等につきまして、関係者の皆様には多大なるご心配とご迷惑をお掛けし、深くお詫び申し上げます。今後、このような事態を再び繰り返すことがないよう、安全と品質を最優先に、企業風土の改革と再発防止策を着実に遂行し、信頼回復に取り組んでまいります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、鋼材等の原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は1,086億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は561億円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、次のとおりであります。2017年度期首に策定した中期経営計画において、売上高3,980億円・セグメント利益率6.5%・ROE10.0%を2019年度に達成することを目標としております。2018年度の各経営指標はそれぞれ売上高4,122億円・セグメント利益率5.3%となりましたが、ROEは免震・制振用オイルダンパーの不適切行為により、当期純損失のため△15.0%となっております。2019年度は、建設機械市場が好調継続や四輪車用油圧緩衝器の北米市場での巻き返しを見込んでおり、売上高目標は前倒しで達成できると見込んでおります。また、セグメント利益率・ROEの目標を達成するため、AC事業では電動パワーステアリング事業や二輪車用油圧緩衝器事業の再編、HC事業ではコントロールバルブの生産移管等を推進してまいります。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
なお、各セグメントごとの課題・リスクに対して、以下のような対応をしております。
AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業においては、サスペンション事業部・ステアリング事業部・モーターサイクル事業部の3事業部体制とし、各製品群の責任者及び利益責任を明確にするとともに、管理レベルの向上と意思決定、戦略実行のスピードアップを図っております。
HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業においては、市場変動に左右されない安定した売上高、利益の確保のために、量に頼らない収益基盤の確立・競争力の強化を図りながら、農業機械や鉄道向け製品など建設機械以外の油圧製品の営業・開発体制を強化しております。
特装車両事業については、公共事業や都市開発など国内需要の確実な取り込みにより売上とシェアを維持します。また、インフラ投資が旺盛で売上比率も高まっているインドでの体制整備も進めております。
航空機器事業については、KYBのDNAでもある航空機技術を活かしながら知見を広めお客様のニーズに応えています。
(3) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」といいます。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(開発費の資産計上)
日本基準では、費用処理しておりました一部の開発費用について、IFRSにおいては資産計上要件を満たすことから、無形資産に計上しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて無形資産が61億14百万円増加しております。