有価証券報告書-第96期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、中国でのインフラ投資や個人消費の増加により安定した経済成長となったほか、米国・欧州においても総じて堅調に推移しました。また、日本経済においても、個人消費の増加や企業収益の改善等、緩やかな回復基調で推移しました。
このような環境のもと、当社製品の主要な需要先である自動車市場は、米国では前年に比べ販売が減少したものの、中国や欧州において好調に推移しました。
また、建設機械市場は、中国では安定した成長が続き、欧米においても堅調に推移しております。
このような状況のもと、当社グループは、急速な環境変化に対して柔軟かつ耐性を持った経営基盤と収益基盤の構築に向けて、組織、製品、拠点などのあらゆる面における抜本的構造改革に取り組んでまいりました。
この結果、当社グループの売上高につきましては、3,924億円と前連結会計年度に比べ371億円の増収となりました。損益につきましては、営業利益は208億85百万円、税引前利益は208億81百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は、152億2百万円となりました。
セグメント別の業績は次のとおりです。
(a) AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業セグメント
当セグメントは、四輪車用油圧緩衝器、二輪車用油圧緩衝器、四輪車用油圧機器とその他製品から構成されております。
ⅰ)四輪車用油圧緩衝器
四輪車用油圧緩衝器は、米国では販売が減少したものの、中国や欧州、国内市場において総じて堅調に推移し、売上高は1,625億円と前連結会計年度に比べ7.6%の増収となりました。
ⅱ)二輪車用油圧緩衝器
二輪車用油圧緩衝器は、インド、中国等での販売が増加し、売上高は295億円と前連結会計年度に比べ3.5%の増収となりました。
ⅲ)四輪車用油圧機器
パワーステアリング製品を主とする四輪車用油圧機器は、CVT(無段変速機)用ベーンポンプの販売が堅調に推移したものの、電動パワーステアリングや油圧ポンプが減少し、売上高は457億円と前連結会計年度に比べ1.7%の減収となりました。
ⅳ)その他製品
ATV(全地形対応車)用機器を中心とするその他製品の売上高は49億円となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は2,426億円となり、営業利益は85億59百万円(営業利益率3.5%)となりました。
(b) HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業セグメント
当セグメントは、産業用油圧機器、その他製品から構成されております。
ⅰ)産業用油圧機器
建設機械向けを主とする産業用油圧機器は、中大型ショベルが中国市場を中心に安定した成長を続け、小型及びミニショベルが欧米市場で堅調に推移したため、売上高は1,141億円と前連結会計年度に比べ28.7%の大幅な増収となりました。
ⅱ)その他製品
鉄道用セミアクティブシステム及び緩衝器を主とするその他製品の売上高は85億円と前連結会計年度に比べ10.9%の増収となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,226億円となり、営業利益は111億63百万円(営業利益率9.1%)となりました。
(c) 特装車両事業、航空機器事業、システム製品および電子機器等
当セグメントは、特装車両、航空機器、システム製品および電子機器等から構成されております。
ⅰ)特装車両
コンクリートミキサ車を主とする特装車両は、インドでの販売が増加し、売上高は96億円と前連結会計年度に比べ11.8%の増収となりました。
ⅱ)航空機器
航空機器は、売上高は64億円と前連結会計年度に比べ17.8%の減収となりました。
ⅲ)システム製品および電子機器等
システム製品および電子機器等の売上高は113億円と前連結会計年度に比べ3.2%の減収となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は272億円となり、営業利益は8億44百万円(営業利益率3.1%)となりました。
当社グループの財政状態につきましては、以下のとおりです。
流動資産は、営業債権及びその他の債権、現金及び現金同等物が増加しました。また、非流動資産につきましては、有形固定資産が増加しました。この結果、総資産は312億円増加し、4,125億円となりました。
負債につきましては、営業債務及びその他の債務が増加しました。負債総額は143億円増加し、2,258億円となりました。
資本は、利益剰余金の増加等により、169億円増加して1,867億円となりました。
親会社所有者帰属持分比率は、資本が増加したことから43.7%と前連結会計年度末に比べ0.6ポイント好転しました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの差し引きが129億円の資金流入、また財務活動によるキャッシュ・フローは45億円の資金流出となり、加えて為替換算により3億円増加し、現金及び現金同等物は前連結会計年度末比87億円増加し、427億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度比6.1%減少の293億円となりました。これは主に税引前利益209億円、減価償却費及び償却費170億円、法人所得税の支払い49億円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、前連結会計年度比23.2%減少の164億円となりました。これは主に有形固定資産の取得144億円等の資金流出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、45億円となりました。主な流出は、長期借入金の返済による支出134億円、配当金の支払額36億円であり、主な流入は、長期借入金による収入94億円、短期借入金の純増減額34億円です。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(b) 受注実績
四輪車用・二輪車用油圧緩衝器およびパワーステアリング製品を主とするAC(オートモーティブコンポーネンツ)事業、建設機械向け産業用油圧機器を主とするHC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業は、見込み生産を行っております。
特装車両事業、航空機器事業、システム製品および電子機器等についても、特装車両が同様に見込み生産となっており、また、一部製品においても正式受注が納期間際であることから、その殆どが内示に基づく見込み生産となっております。
従って、受注高および受注残高を算出することは困難であることから、記載を省略しております。
(c) 販売実績
当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.主要な販売先(総販売実績に対する割合が 10%以上)に該当するものは、ありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針および見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高が昨年比10.4%増加の3,924億円、営業利益は昨年比8.5%増加の209億円を計上致しました。中国市場における当社製品の需要が非常に旺盛であったことに加え、為替環境の好転もあり増収増益となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、当社グループにおける主力市場の一つである北米市場では、新車向け製品においてSUV優勢の状況の中、当社受注車種はセダン中心であったことや、市販向け製品においても市場に冷え込みが見られたことから、当連結会計年度は厳しい環境となりました。来期は、新車向け製品では年度後半よりSUV車種への製品提供が開始することや、市販向け製品においても需要回復が見込まれることから好転する見込みであります。また、当連結会計年度において重要な影響を与えた中国市場や欧州市場の需要は、引き続き堅調に推移すると見込んでおります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、鋼材等の原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は94,641百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は42,702百万円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については次のとおりであります。2017年度期首に策定した中期経営計画において、売上高3,980億円・セグメント利益率6.5%・ROE10.0%を2019年度に達成することを目標としております。2017年度の各経営指標はそれぞれ売上高3,924億円・セグメント利益率5.5%・ROE8.8%となっております。建機市場の好調が追い風となり、売上高は2019年度目標に迫るものの、収益性については原材料値上がりによる原価率悪化や増産対応に伴う固定費の増加などの課題が残っております。2018年度は、建機市場の好調継続や四輪車用油圧緩衝器の北米市場での巻き返しを見込んでおり、売上高目標は前倒しで達成できると見込んでおります。また、セグメント利益率・ROEの目標を達成するため、AC事業では電動パワーステアリング事業や二輪車用油圧緩衝器事業の再編、HC事業ではコントロールバルブの生産移管等を推進してまいります。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は「第2 事業の状況 3 経営者により財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
なお、各セグメントごとの課題・リスクに対して、以下のような対応をしております。
AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業においては、サスペンション事業部・ステアリング事業部・モーターサイクル事業部の3事業部体制とし、各製品群の責任者及び利益責任を明確にするとともに、管理レベルの向上と意思決定、戦略実行のスピードアップを図っております。
HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業においては、市場変動に左右されない安定した売上高、利益の確保のために、量に頼らない収益基盤の確立・競争力の強化を図りながら、農業機械や鉄道向け製品など建設機械以外の油圧製品の営業・開発体制を強化しております。
特装車両事業については、東京オリンピック・パラリンピックや都市開発など国内需要の確実な取り込みにより売上とシェアを維持します。また、インフラ投資が旺盛で売上比率も高まっているインドでの体制整備も進めております。
航空機器事業については、KYBのDNAでもある航空機技術を活かしながら知見を広めお客様のニーズに応えています。
(3) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(開発費の資産計上)
日本基準では、費用処理しておりました一部の開発費用について、IFRSにおいては資産計上要件を満たすことから、無形資産に計上しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて無形資産が5,222百万円増加しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、中国でのインフラ投資や個人消費の増加により安定した経済成長となったほか、米国・欧州においても総じて堅調に推移しました。また、日本経済においても、個人消費の増加や企業収益の改善等、緩やかな回復基調で推移しました。
このような環境のもと、当社製品の主要な需要先である自動車市場は、米国では前年に比べ販売が減少したものの、中国や欧州において好調に推移しました。
また、建設機械市場は、中国では安定した成長が続き、欧米においても堅調に推移しております。
このような状況のもと、当社グループは、急速な環境変化に対して柔軟かつ耐性を持った経営基盤と収益基盤の構築に向けて、組織、製品、拠点などのあらゆる面における抜本的構造改革に取り組んでまいりました。
この結果、当社グループの売上高につきましては、3,924億円と前連結会計年度に比べ371億円の増収となりました。損益につきましては、営業利益は208億85百万円、税引前利益は208億81百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は、152億2百万円となりました。
セグメント別の業績は次のとおりです。
(a) AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業セグメント
当セグメントは、四輪車用油圧緩衝器、二輪車用油圧緩衝器、四輪車用油圧機器とその他製品から構成されております。
ⅰ)四輪車用油圧緩衝器
四輪車用油圧緩衝器は、米国では販売が減少したものの、中国や欧州、国内市場において総じて堅調に推移し、売上高は1,625億円と前連結会計年度に比べ7.6%の増収となりました。
ⅱ)二輪車用油圧緩衝器
二輪車用油圧緩衝器は、インド、中国等での販売が増加し、売上高は295億円と前連結会計年度に比べ3.5%の増収となりました。
ⅲ)四輪車用油圧機器
パワーステアリング製品を主とする四輪車用油圧機器は、CVT(無段変速機)用ベーンポンプの販売が堅調に推移したものの、電動パワーステアリングや油圧ポンプが減少し、売上高は457億円と前連結会計年度に比べ1.7%の減収となりました。
ⅳ)その他製品
ATV(全地形対応車)用機器を中心とするその他製品の売上高は49億円となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は2,426億円となり、営業利益は85億59百万円(営業利益率3.5%)となりました。
(b) HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業セグメント
当セグメントは、産業用油圧機器、その他製品から構成されております。
ⅰ)産業用油圧機器
建設機械向けを主とする産業用油圧機器は、中大型ショベルが中国市場を中心に安定した成長を続け、小型及びミニショベルが欧米市場で堅調に推移したため、売上高は1,141億円と前連結会計年度に比べ28.7%の大幅な増収となりました。
ⅱ)その他製品
鉄道用セミアクティブシステム及び緩衝器を主とするその他製品の売上高は85億円と前連結会計年度に比べ10.9%の増収となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は1,226億円となり、営業利益は111億63百万円(営業利益率9.1%)となりました。
(c) 特装車両事業、航空機器事業、システム製品および電子機器等
当セグメントは、特装車両、航空機器、システム製品および電子機器等から構成されております。
ⅰ)特装車両
コンクリートミキサ車を主とする特装車両は、インドでの販売が増加し、売上高は96億円と前連結会計年度に比べ11.8%の増収となりました。
ⅱ)航空機器
航空機器は、売上高は64億円と前連結会計年度に比べ17.8%の減収となりました。
ⅲ)システム製品および電子機器等
システム製品および電子機器等の売上高は113億円と前連結会計年度に比べ3.2%の減収となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は272億円となり、営業利益は8億44百万円(営業利益率3.1%)となりました。
当社グループの財政状態につきましては、以下のとおりです。
流動資産は、営業債権及びその他の債権、現金及び現金同等物が増加しました。また、非流動資産につきましては、有形固定資産が増加しました。この結果、総資産は312億円増加し、4,125億円となりました。
負債につきましては、営業債務及びその他の債務が増加しました。負債総額は143億円増加し、2,258億円となりました。
資本は、利益剰余金の増加等により、169億円増加して1,867億円となりました。
親会社所有者帰属持分比率は、資本が増加したことから43.7%と前連結会計年度末に比べ0.6ポイント好転しました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの差し引きが129億円の資金流入、また財務活動によるキャッシュ・フローは45億円の資金流出となり、加えて為替換算により3億円増加し、現金及び現金同等物は前連結会計年度末比87億円増加し、427億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度比6.1%減少の293億円となりました。これは主に税引前利益209億円、減価償却費及び償却費170億円、法人所得税の支払い49億円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、前連結会計年度比23.2%減少の164億円となりました。これは主に有形固定資産の取得144億円等の資金流出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、45億円となりました。主な流出は、長期借入金の返済による支出134億円、配当金の支払額36億円であり、主な流入は、長期借入金による収入94億円、短期借入金の純増減額34億円です。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 前年同期比(%) |
AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業 (百万円) | 244,367 | 5.9 |
HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業 (百万円) | 124,365 | 25.7 |
報告セグメント計(百万円) | 368,731 | 11.8 |
特装車両事業、航空機器事業、システム製品および電子機器等 (百万円) | 28,978 | 5.5 |
合計(百万円) | 397,710 | 11.4 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(b) 受注実績
四輪車用・二輪車用油圧緩衝器およびパワーステアリング製品を主とするAC(オートモーティブコンポーネンツ)事業、建設機械向け産業用油圧機器を主とするHC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業は、見込み生産を行っております。
特装車両事業、航空機器事業、システム製品および電子機器等についても、特装車両が同様に見込み生産となっており、また、一部製品においても正式受注が納期間際であることから、その殆どが内示に基づく見込み生産となっております。
従って、受注高および受注残高を算出することは困難であることから、記載を省略しております。
(c) 販売実績
当連結会計年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 前年同期比(%) |
AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業 (百万円) | 242,560 | 5.0 |
HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業 (百万円) | 122,603 | 27.3 |
報告セグメント計(百万円) | 365,163 | 11.6 |
特装車両事業、航空機器事業、システム製品および電子機器等 (百万円) | 27,231 | △2.6 |
合計(百万円) | 392,394 | 10.4 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.主要な販売先(総販売実績に対する割合が 10%以上)に該当するものは、ありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針および見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高が昨年比10.4%増加の3,924億円、営業利益は昨年比8.5%増加の209億円を計上致しました。中国市場における当社製品の需要が非常に旺盛であったことに加え、為替環境の好転もあり増収増益となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、当社グループにおける主力市場の一つである北米市場では、新車向け製品においてSUV優勢の状況の中、当社受注車種はセダン中心であったことや、市販向け製品においても市場に冷え込みが見られたことから、当連結会計年度は厳しい環境となりました。来期は、新車向け製品では年度後半よりSUV車種への製品提供が開始することや、市販向け製品においても需要回復が見込まれることから好転する見込みであります。また、当連結会計年度において重要な影響を与えた中国市場や欧州市場の需要は、引き続き堅調に推移すると見込んでおります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、鋼材等の原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は94,641百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は42,702百万円となっております。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については次のとおりであります。2017年度期首に策定した中期経営計画において、売上高3,980億円・セグメント利益率6.5%・ROE10.0%を2019年度に達成することを目標としております。2017年度の各経営指標はそれぞれ売上高3,924億円・セグメント利益率5.5%・ROE8.8%となっております。建機市場の好調が追い風となり、売上高は2019年度目標に迫るものの、収益性については原材料値上がりによる原価率悪化や増産対応に伴う固定費の増加などの課題が残っております。2018年度は、建機市場の好調継続や四輪車用油圧緩衝器の北米市場での巻き返しを見込んでおり、売上高目標は前倒しで達成できると見込んでおります。また、セグメント利益率・ROEの目標を達成するため、AC事業では電動パワーステアリング事業や二輪車用油圧緩衝器事業の再編、HC事業ではコントロールバルブの生産移管等を推進してまいります。
セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は「第2 事業の状況 3 経営者により財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
なお、各セグメントごとの課題・リスクに対して、以下のような対応をしております。
AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業においては、サスペンション事業部・ステアリング事業部・モーターサイクル事業部の3事業部体制とし、各製品群の責任者及び利益責任を明確にするとともに、管理レベルの向上と意思決定、戦略実行のスピードアップを図っております。
HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業においては、市場変動に左右されない安定した売上高、利益の確保のために、量に頼らない収益基盤の確立・競争力の強化を図りながら、農業機械や鉄道向け製品など建設機械以外の油圧製品の営業・開発体制を強化しております。
特装車両事業については、東京オリンピック・パラリンピックや都市開発など国内需要の確実な取り込みにより売上とシェアを維持します。また、インフラ投資が旺盛で売上比率も高まっているインドでの体制整備も進めております。
航空機器事業については、KYBのDNAでもある航空機技術を活かしながら知見を広めお客様のニーズに応えています。
(3) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(開発費の資産計上)
日本基準では、費用処理しておりました一部の開発費用について、IFRSにおいては資産計上要件を満たすことから、無形資産に計上しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて無形資産が5,222百万円増加しております。