四半期報告書-第82期第1四半期(令和3年4月1日-令和3年6月30日)

【提出】
2021/08/10 9:52
【資料】
PDFをみる
【項目】
44項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当第1四半期連結累計期間の世界経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)拡大の影響による移動制限などから依然として厳しい状況が続いていますが、感染症のワクチン接種が進み一部の国では持ち直しの動きがありました。又、ドル円為替相場は対米ドル円レート107円台から111円台で推移しました。
航空輸送業界では、感染症のワクチン接種が進んだことから国内線需要は回復してきているものの、国際線需要については引き続き厳しい状況が続いています。各エアラインは経費削減策を継続しつつも、一部のエアラインでは航空需要回復を見据えた機体発注や増員などの動きが見られます。又、航空機メーカーにおいては、国内線を中心に少しずつ航空需要の回復がみられることから、一部機種では受注が増加しています。
このように、依然として感染症拡大の収束時期が不透明な状況下、当社グループでは、当面は厳しい経営環境が続くものと想定し、将来の航空需要回復に備え、全社レベルで業務プロセスの改革、生産体制の効率化を推進し、品質と収益力の向上を目指すと共に、経費の削減、投資抑制、在庫削減等の経営の効率化を行いました。又、感染防止対策を徹底すると共に、在宅勤務、シフト勤務、職場における作業エリアの分散など接触率の低減に努め、仕事量減少については一時帰休やグループ外出向などにより臨機応変に対処しました。
航空機内装品等製造関連・航空機シート等製造関連においては、生産体制の効率化及び原価低減策の強化を進めました。又、航空機内装品等製造関連においては、お客様が航空機に搭乗する際に抱く不安を少しでも解消できるように、清潔で衛生的なキャビン作りのための製品開発にも取り組み、航空機シート等製造関連においては、収益力の高いビジネスクラス・シート「Venture」の他機種展開に注力し、受注拡大を目指しました。
受注高は、感染症拡大の影響で航空需要の急激な落ち込みから低迷していましたが、ワクチン接種の効果が確認され、エアラインから感染症拡大の収束を見込んだ受注が増加したことから、前年同四半期に比較して増加しました。
航空機器等製造関連においては、生産性改善の取組みを行うと共に、熱可塑CFRPを活用した航空機用軽量機体部材の開発を進めました。
航空機整備等関連においては、飛行安全の確保と品質向上の取組みを継続すると共に、エアライン、官公庁向け整備の受注に努め、安定した収益を上げることのできる事業基盤の構築を目指しました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上高 10,542百万円(前年同四半期比 1,933百万円減)、営業損失 113百万円(前年同四半期は、営業損失 2,099百万円)、経常損失 223百万円(前年同四半期は、経常損失 2,433百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失 1百万円(前年同四半期は、親会社株主に帰属する四半期純損失 1,831百万円)となりました。
なお、当第1四半期連結累計期間末に第2四半期連結会計期間以降の完成工事に対する工事損失引当金を 4,586百万円計上しています。この工事損失引当金による期間損益への影響は、当第1四半期連結累計期間において売上原価 990百万円の増加(2021年度期首の工事損失引当金は 3,596百万円)となりました。
グループ全体の販売費及び一般管理費、営業外損益、特別損益の状況は次のとおりです。
販売費及び一般管理費は、試験研究費がビジネスクラス・シート「Venture」の他機種向け製品開発などにより増加しましたが、人件費、保証工事費、販売手数料の減少などにより 1,765百万円(前年同四半期比 27百万円減)となりました。
営業外損益は、前連結会計年度末よりも為替相場が円安で推移し為替差益が増加しましたが、支払補償費の増加などにより 110百万円の損(前年同四半期は、333百万円の損)となりました。
特別損益は、製造拠点整理に伴う原状回復費用等を事業整理損として 99百万円計上しました。又、感染症関連においては、一時帰休による固定費等の操業費用を新型コロナウイルス感染症関連損失として 157百万円を計上しましたが、一時帰休による雇用調整助成金等の助成金収入として 286百万円を計上したことなどにより、12百万円の益(前年同四半期は、315百万円の損)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりです。
[航空機内装品等製造関連]
当事業では、感染症拡大による影響で航空機メーカーは更なる減産や生産スケジュール変更を余儀なくされたことから、ギャレー及びラバトリーの出荷が減少したことなどにより、前年同四半期に比べ売上高は減少しました。一方 、経常損益については、原価低減策の効果や一部プログラムにおいて顧客仕様変更に伴う追加売上などの影響により経常利益となりました。
この結果、航空機内装品等製造関連は、売上高 7,784百万円(前年同四半期比 849百万円減)、経常利益 479百万円(前年同四半期は、経常損失 1,367百万円)となりました。
[航空機シート等製造関連]
当事業では、感染症拡大による影響で顧客による納期変更などにより、前年同四半期に比べ売上高は減少しました。又、経常損益については、売上高の減少などにより経常損失となりましたが、原価低減策の効果や採算性の悪い特注品の出荷が減少したことから経常損失の改善に繋がりました。
この結果、航空機シート等製造関連は、売上高 564百万円(前年同四半期比 1,346百万円減)、経常損失 721百万円(前年同四半期は、経常損失 927百万円)となりました。
[航空機器等製造関連]
当事業では、防衛関連を中心とした熱交換器等装備品の出荷が第2四半期連結会計期間以降に繰り延べられたことなどから、前年同四半期に比べ売上高は減少しました。又、経常損益については、売上高減少などにより経常損失となりました。
この結果、航空機器等製造関連は、売上高 759百万円(前年同四半期比 65百万円減)、経常損失 106百万円(前年同四半期は、経常損失 68百万円)となりました。
[航空機整備等関連]
当事業では、機体整備において一部プログラムの完成工事が増加し、前年同四半期に比べ売上高は増加しました。又、経常損益については、売上高増加などにより経常利益となりました。
この結果、航空機整備等関連は、売上高 1,433百万円(前年同四半期比 328百万円増)、経常利益 135百万円(前年同四半期は、経常損失 69百万円)となりました。
[その他]
その他の区分には、連結子会社の株式会社オレンジジャムコの事業を含んでおり、航空機内装品等製造関連の補助作業等セグメント間の内部取引が中心ですが、立川製造拠点を廃止したことで作業量が減少したことなどから経常損失となりました。
この結果、その他の区分では、売上高 0百万円(前年同四半期は、0百万円)、経常損失 10百万円(前年同四半期は、経常損失 0百万円)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は 95,460百万円となり、前連結会計年度末に比べ 5,776百万円減少しました。内、流動資産については、現金及び預金の増加(前期末比 1,228百万円増)等がありましたが、仕掛品の減少(前期末比 5,871百万円減)、原材料及び貯蔵品の減少(前期末比 1,175百万円減)等により流動資産合計で前連結会計年度末に比べ 5,582百万円減少しました。又、固定資産については、当第1四半期連結会計期間の投資案件が比較的少なかったことから有形固定資産の減少(前期末比 110百万円減)、無形固定資産の減少(前期末比 141百万円減)等により固定資産合計で前連結会計年度末に比べ 194百万円減少しました。負債合計は 80,559百万円となり、前連結会計年度末に比べ 4,159百万円減少しました。主な要因は、短期借入金の減少(前期末比 2,113百万円減)、前受金の減少(前期末比 1,218百万円減)、電子記録債務の減少(前期末比 1,182百万円減)等によるものです。
純資産合計は 14,900百万円となり、前連結会計年度末に比べ 1,617百万円減少しました。主な要因は、収益認識会計基準等の適用による利益剰余金の減少等によるものです。この結果、自己資本比率は15.3%となりました。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更及び新たに生じた課題はありません。新型コロナウイルス感染症拡大による業績への影響に対し、引き続き迅速な対策を講じております。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費の総額は 277百万円(前年同四半期は 58百万円)となりました。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動に重要な変更はありません。