有価証券報告書-第32期(2023/06/01-2024/05/31)
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループでは、事業セグメントを「IoT関連事業」「環境エネルギー事業」「インダストリー4.0推進事業」に分けて活動を行っており、各事業セグメントの事業環境は下記のとおりであります。
IoT関連事業セグメントでは、イメージセンサの生産工程における品質検査で使用する検査用光源装置及び瞳モジュールを、主にハイエンドなイメージセンサを生産しているメーカー向けに製造・販売しております。
現在、イメージセンサ市場におけるイメージセンサメーカーは十数社程であり、その内日本と韓国のメーカーが6割以上のシェアを占めております。各イメージセンサメーカーの動向から、今後もイメージセンサ市場は引き続き拡大していくものと予測しております。
また、現状ではイメージセンサ市場(金額ベース)においてスマートフォン向けセンサのシェアが約6割~7割を占めていることから、イメージセンサの市況はスマートフォンの製造、販売状況に左右される傾向があります。現在、スマートフォンの市況については、一部地域における経済低迷や買い替えサイクルの鈍化等に伴い発生していた需要停滞の状況は復調傾向にあり、スマートフォンの出荷数量は段階的に増加していくと想定しております。
近年では、スマートフォン1台に搭載されるイメージセンサ(カメラ)の数が増加しており、その様な複数個のイメージセンサ(カメラ)を搭載したスマートフォンが普及していること等から、イメージセンサメーカーによる設備投資は今後も必要になると予測しております。また、スマートフォンに搭載されるイメージセンサ(カメラ)の高付加価値化が進んでおり、大判化等のハイエンドなイメージセンサが使用される割合も増加傾向にあります。それに伴い、技術トレンドに合わせた新たな検査用光源装置及び瞳モジュールの需要も発生しております。
現在、イメージセンサの短期的な需要は写真や動画を撮影するために可視光を捉える従来型のイメージング向けデバイスがメインとなっております。
中期的な需要としては、イメージングからセンシングにトレンドが変わると予測しており、特に自動車の自動運転に不可欠な3次元情報測定用の車載向けイメージセンサ等の需要が高まっていくと予測しております。
具体的なデバイスとしては、物体との距離等の3次元情報を取得することを目的としたToF(Time of Flight)センサやLiDAR(Light Detection And Ranging)センサ用イメージセンサを想定しております。これらのデバイスは、スマートフォンへの採用も本格化しており、今後様々なアプリケーションが開発されることで需要が更に増加すると予測しております。
長期的には、イメージセンサの技術向上やセンシング分野の発展及び5G関連のインフラ構築等に伴い更なる用途の拡大を想定しており、産業分野(マシンビジョン、監視カメラ、ドローン等)への応用や、イメージセンサが搭載されたIoTデバイスの普及等によって、従来とは異なる新たな需要が発生すると推測しております。
環境エネルギー事業セグメントでは、大量印刷を行うための輪転機(業務用印刷機)と一緒に使用する乾燥脱臭装置や、工場向けの排ガス処理装置を製造・販売しております。
印刷機業界は、ITの普及により新規の設備投資は縮小しているものの、輪転機の経年劣化による買換えが毎年一定数発生するほか、定期的なメンテナンス需要が存在しております。また、競合他社がほぼ存在しないため、当社グループではこれらの需要を安定的に取込んでおります。現在、新規案件及び大型案件における顧客の設備投資意欲は、顧客側での「省エネルギー投資に係る補助金」の活用等によって堅調に推移しております。
インダストリー4.0推進事業セグメントでは、主にディスプレイの生産工程で支障となる振動を取り除くための除振装置を、ディスプレイメーカー向けに製造・販売しているほか、歯車が設計図どおりの形状となっているかを検査する歯車試験機を、歯車メーカー向けに製造・販売しております。その他、当社グループの新規事業として、振動ソリューション関連事業、AI画像処理装置事業、レーザ加工機関連事業についても積極的に活動を行っております。
精密除振装置の市況について、現在フラットパネル・有機ELディスプレイ業界では、主に海外顧客における大型投資計画に伴い、設備投資需要は堅調に推移すると想定しております。
精密除振装置分野における新規事業への取り組みについては、振動を見える化できる振動モニタリングアプリを開発し、製品化しております。また、除振だけではなく顧客の振動環境を精密に再現する加振装置についても製品化しており、除振・加振による振動のトータルソリューションによって顧客へ新たな価値を提供してまいります。
また、歯車試験機の市況については基本的に工作機械市場の状況に準じており、景気変動に左右される傾向があります。中国全体における不況等の影響により市況は停滞傾向にあったものの、ロボット産業、自動車産業等を中心に事業環境は回復基調へ向かっております。
新規事業として取り組んでいるAI画像処理装置事業については、様々な製品の製造工程において生じた細かな傷等を画像に撮り、その画像を元に自動で不良品を判別する装置を開発・製品化し、拡販活動を推進しております。目視検査の完全自動化に向けて、AI機能の強化や測定物を検査装置までピックアップするロボットの導入も実施し、システムとして提供することで顧客から高い評価をいただいております。今後は、従来の一品一用の開発から脱却し、製品のプラットホーム化を推進することで、事業のスケール化を目指してまいります。
その他の新規事業であるレーザ加工機関連事業については、レーザを用いた微細加工の分野において、半導体の製造工程に関する様々な加工への応用を視野に入れ研究開発活動を継続しております。近年では、電力損失が発生しにくく、かつ高電圧で高速制御が可能なSiC(シリコンカーバイド)等の素材を用いた次世代パワー半導体が注目を集めている一方、EV(電気自動車)市場の成長鈍化によってパワー半導体の需要が停滞傾向にある等、今後の市場環境が不透明な状況であるため、動向を注視する必要があると考えております。(なお、当該レーザ加工機関連事業は、持分法を適用していない非連結子会社である株式会社ラステックを中心に推進しております。)
1)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,043百万円増加し、13,653百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ131百万円増加し、2,609百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ911百万円増加し、11,044百万円となりました。
詳細につきましては、「(2) ① 2)財政状態」に記載のとおりであります。
2)経営成績
当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高は7,754百万円(前期の売上高6,856百万円に比し、13.1%の増加)、売上総利益は3,306百万円(前期の売上総利益3,326百万円に比し、0.6%の減少)となりました。また、営業利益は1,577百万円(前期の営業利益1,448百万円に比し、8.9%の増加)、経常利益は1,637百万円(前期の経常利益1,503百万円に比し、8.9%の増加)、法人税等を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は1,132百万円(前期の親会社株主に帰属する当期純利益981百万円に比し、15.4%の増加)となりました。
セグメント別の概況は以下のとおりであります。
(IoT関連事業)
通期における当セグメントの外部顧客に対する売上高は4,897百万円(前期の売上高4,300百万円に比し、13.9%の増加)、セグメント利益は2,401百万円(前期のセグメント利益2,167百万円に比し、10.8%の増加)となりました。これは、前期と比較して瞳モジュールの販売が好調に推移したことと、国内顧客向け検査用光源装置において、収益性の低い既存モデルから新規モデルに移行したことにより、従来よりも収益性が改善したためであります。
また、前期と比較して海外顧客向け製品の販売が減少したことに伴い販売費が減少したことも要因であります。
(環境エネルギー事業)
通期における当セグメントの外部顧客に対する売上高は1,052百万円(前期の売上高760百万円に比し、38.4%の増加)、セグメント利益は39百万円(前期のセグメント損失は17百万円)となりました。これは、前期と比較して乾燥脱臭装置分野において装置本体の販売が好調に推移したことと、排ガス処理装置分野において装置本体及び収益性の高いメンテナンス案件の販売が好調に推移したためであります。
(インダストリー4.0推進事業)
通期における当セグメントの外部顧客に対する売上高は1,804百万円(前期の売上高1,796百万円に比し、0.5%の増加)、セグメント利益は16百万円(前期のセグメント利益135百万円に比し、87.5%の減少)となりました。これは、精密除振装置の販売が好調に推移したものの、歯車試験機の販売が低調に推移したためであります。
また、セグメント利益の減少については第3四半期に引き続き、AI画像処理装置やレーザ事業等の新規事業に係る研究開発費等が発生していることも要因であります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末残高に比べ540百万円減少し、6,312百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは8百万円の収入(前期は438百万円の収入)となりました。これは、売上債権の増加1,924百万円や法人税等の支払額526百万円があったものの、税金等調整前当期純利益1,637百万円や減価償却費147百万円の計上及びその他の資産・負債の増減額425百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは154百万円の支出(前期は140百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出133百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは469百万円の支出(前期は234百万円の支出)とな
りました。これは、配当金の支払額383百万円があったこと等によるものであります。③生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度において、IoT関連事業及びインダストリー4.0推進事業セグメントを中心として、受注高は前
期と比較して大幅に増加し、受注残高は増加しました。
IoT関連事業については、前期において当社の顧客であるイメージセンサメーカーの設備投資需要が低調であ
ったことと、当期において主に国内顧客の設備投資需要が好調に推移した事が要因であります。
インダストリー4.0推進事業については、前期と比較して、歯車試験機分野において受注高が大幅に増加して
おり、精密除振装置分野において受注残高が大幅に増加しております。
なお、受注高の増加等に伴い、IoT関連事業セグメントを中心として生産実績も大幅に増加しました。
1)生産実績
(注)1.上記の金額は、販売金額によっております。
2.生産実績には、外注仕入実績を含んでおります。
2)受注実績
(注)上記の金額には、見込み生産を行っている事業は含まれておりません。
3)販売実績
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
なお、販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先については「-」表記にしております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)経営成績
当連結会計年度における当社グループの業績は、前連結会計年度比で増収増益となりました。
売上高が増加した理由は、全セグメントにおいて製品の販売が好調に推移したためであります。
営業利益が増加した理由は、主にIoT関連事業セグメントにおいて、収益性の高い製品の販売が好調に推移したことと、販売費が減少したためであります。
また、当社グループではROE(自己資本利益率)の向上を重要な指標の一つとしておりますが、当連結会計年度では10.7%(前期ROE10.1%)となり、前期より0.6ポイント増加いたしました。ROEが増加した主な要因として、前述のIoT関連事業セグメントの増収増益により、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益が増加したためであると分析しております。結果として、ES(エクイティスプレッド:ROE-株主資本コスト)は5.8%(前期ES4.1%)となりました。
来期は、IoT関連事業及び環境エネルギー事業において製品の販売が低調に推移する見通しであることと、インダストリー4.0推進事業セグメントにおいて新規事業に係る研究開発費等が発生する見通しであるため、減収減益を見込んでおります。引き続き優先的に対処すべき課題としても挙げている技術開発体制の強化、クライアントニーズへの迅速な対応、原価低減と生産効率の向上等に努め、自己資本の活用を進めてまいります。また、株主資本コストの低下に資する活動(適切な情報開示や積極的な対話等)を通して、ESの向上に努めてまいります。
2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,043百万円増加し、13,653百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,011百万円増加し、12,307百万円となりました。これは、現金及び預金が538百万円、仕掛品が211百万円それぞれ減少したものの、売掛金が281百万円、電子記録債権が1,622百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ32百万円増加し、1,345百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ131百万円増加し、2,609百万円となりました。これは、未払消費税等(流動負債「その他」)が201百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ911百万円増加し、11,044百万円となりました。これは、前事業年度の期末配当金274百万円及び当期中間配当金110百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益1,132百万円を計上したこと及び自己株式が126百万円減少したこと等によるものであります。
②資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金及び設備資金につきましては、内部資金、銀行借入又は社債発行により資金調達しております。このうち、運転資金については短期借入金で、設備又は企業買収等の長期資金については長期借入金・社債等で調達しております。
2024年5月31日現在の有利子負債残高は、短期借入金440百万円、1年内を含む長期借入金366百万円となっております。
その他、積極的な事業展開に必要な資金需要に対して、安定的かつ機動的な資金調達体制を構築するため、複数の金融機関との間で合計5,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております(借入未実行残高5,000百万円)。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたり、資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループでは、事業セグメントを「IoT関連事業」「環境エネルギー事業」「インダストリー4.0推進事業」に分けて活動を行っており、各事業セグメントの事業環境は下記のとおりであります。
IoT関連事業セグメントでは、イメージセンサの生産工程における品質検査で使用する検査用光源装置及び瞳モジュールを、主にハイエンドなイメージセンサを生産しているメーカー向けに製造・販売しております。
現在、イメージセンサ市場におけるイメージセンサメーカーは十数社程であり、その内日本と韓国のメーカーが6割以上のシェアを占めております。各イメージセンサメーカーの動向から、今後もイメージセンサ市場は引き続き拡大していくものと予測しております。
また、現状ではイメージセンサ市場(金額ベース)においてスマートフォン向けセンサのシェアが約6割~7割を占めていることから、イメージセンサの市況はスマートフォンの製造、販売状況に左右される傾向があります。現在、スマートフォンの市況については、一部地域における経済低迷や買い替えサイクルの鈍化等に伴い発生していた需要停滞の状況は復調傾向にあり、スマートフォンの出荷数量は段階的に増加していくと想定しております。
近年では、スマートフォン1台に搭載されるイメージセンサ(カメラ)の数が増加しており、その様な複数個のイメージセンサ(カメラ)を搭載したスマートフォンが普及していること等から、イメージセンサメーカーによる設備投資は今後も必要になると予測しております。また、スマートフォンに搭載されるイメージセンサ(カメラ)の高付加価値化が進んでおり、大判化等のハイエンドなイメージセンサが使用される割合も増加傾向にあります。それに伴い、技術トレンドに合わせた新たな検査用光源装置及び瞳モジュールの需要も発生しております。
現在、イメージセンサの短期的な需要は写真や動画を撮影するために可視光を捉える従来型のイメージング向けデバイスがメインとなっております。
中期的な需要としては、イメージングからセンシングにトレンドが変わると予測しており、特に自動車の自動運転に不可欠な3次元情報測定用の車載向けイメージセンサ等の需要が高まっていくと予測しております。
具体的なデバイスとしては、物体との距離等の3次元情報を取得することを目的としたToF(Time of Flight)センサやLiDAR(Light Detection And Ranging)センサ用イメージセンサを想定しております。これらのデバイスは、スマートフォンへの採用も本格化しており、今後様々なアプリケーションが開発されることで需要が更に増加すると予測しております。
長期的には、イメージセンサの技術向上やセンシング分野の発展及び5G関連のインフラ構築等に伴い更なる用途の拡大を想定しており、産業分野(マシンビジョン、監視カメラ、ドローン等)への応用や、イメージセンサが搭載されたIoTデバイスの普及等によって、従来とは異なる新たな需要が発生すると推測しております。
環境エネルギー事業セグメントでは、大量印刷を行うための輪転機(業務用印刷機)と一緒に使用する乾燥脱臭装置や、工場向けの排ガス処理装置を製造・販売しております。
印刷機業界は、ITの普及により新規の設備投資は縮小しているものの、輪転機の経年劣化による買換えが毎年一定数発生するほか、定期的なメンテナンス需要が存在しております。また、競合他社がほぼ存在しないため、当社グループではこれらの需要を安定的に取込んでおります。現在、新規案件及び大型案件における顧客の設備投資意欲は、顧客側での「省エネルギー投資に係る補助金」の活用等によって堅調に推移しております。
インダストリー4.0推進事業セグメントでは、主にディスプレイの生産工程で支障となる振動を取り除くための除振装置を、ディスプレイメーカー向けに製造・販売しているほか、歯車が設計図どおりの形状となっているかを検査する歯車試験機を、歯車メーカー向けに製造・販売しております。その他、当社グループの新規事業として、振動ソリューション関連事業、AI画像処理装置事業、レーザ加工機関連事業についても積極的に活動を行っております。
精密除振装置の市況について、現在フラットパネル・有機ELディスプレイ業界では、主に海外顧客における大型投資計画に伴い、設備投資需要は堅調に推移すると想定しております。
精密除振装置分野における新規事業への取り組みについては、振動を見える化できる振動モニタリングアプリを開発し、製品化しております。また、除振だけではなく顧客の振動環境を精密に再現する加振装置についても製品化しており、除振・加振による振動のトータルソリューションによって顧客へ新たな価値を提供してまいります。
また、歯車試験機の市況については基本的に工作機械市場の状況に準じており、景気変動に左右される傾向があります。中国全体における不況等の影響により市況は停滞傾向にあったものの、ロボット産業、自動車産業等を中心に事業環境は回復基調へ向かっております。
新規事業として取り組んでいるAI画像処理装置事業については、様々な製品の製造工程において生じた細かな傷等を画像に撮り、その画像を元に自動で不良品を判別する装置を開発・製品化し、拡販活動を推進しております。目視検査の完全自動化に向けて、AI機能の強化や測定物を検査装置までピックアップするロボットの導入も実施し、システムとして提供することで顧客から高い評価をいただいております。今後は、従来の一品一用の開発から脱却し、製品のプラットホーム化を推進することで、事業のスケール化を目指してまいります。
その他の新規事業であるレーザ加工機関連事業については、レーザを用いた微細加工の分野において、半導体の製造工程に関する様々な加工への応用を視野に入れ研究開発活動を継続しております。近年では、電力損失が発生しにくく、かつ高電圧で高速制御が可能なSiC(シリコンカーバイド)等の素材を用いた次世代パワー半導体が注目を集めている一方、EV(電気自動車)市場の成長鈍化によってパワー半導体の需要が停滞傾向にある等、今後の市場環境が不透明な状況であるため、動向を注視する必要があると考えております。(なお、当該レーザ加工機関連事業は、持分法を適用していない非連結子会社である株式会社ラステックを中心に推進しております。)
1)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,043百万円増加し、13,653百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ131百万円増加し、2,609百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ911百万円増加し、11,044百万円となりました。
詳細につきましては、「(2) ① 2)財政状態」に記載のとおりであります。
2)経営成績
当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高は7,754百万円(前期の売上高6,856百万円に比し、13.1%の増加)、売上総利益は3,306百万円(前期の売上総利益3,326百万円に比し、0.6%の減少)となりました。また、営業利益は1,577百万円(前期の営業利益1,448百万円に比し、8.9%の増加)、経常利益は1,637百万円(前期の経常利益1,503百万円に比し、8.9%の増加)、法人税等を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は1,132百万円(前期の親会社株主に帰属する当期純利益981百万円に比し、15.4%の増加)となりました。
セグメント別の概況は以下のとおりであります。
(IoT関連事業)
通期における当セグメントの外部顧客に対する売上高は4,897百万円(前期の売上高4,300百万円に比し、13.9%の増加)、セグメント利益は2,401百万円(前期のセグメント利益2,167百万円に比し、10.8%の増加)となりました。これは、前期と比較して瞳モジュールの販売が好調に推移したことと、国内顧客向け検査用光源装置において、収益性の低い既存モデルから新規モデルに移行したことにより、従来よりも収益性が改善したためであります。
また、前期と比較して海外顧客向け製品の販売が減少したことに伴い販売費が減少したことも要因であります。
(環境エネルギー事業)
通期における当セグメントの外部顧客に対する売上高は1,052百万円(前期の売上高760百万円に比し、38.4%の増加)、セグメント利益は39百万円(前期のセグメント損失は17百万円)となりました。これは、前期と比較して乾燥脱臭装置分野において装置本体の販売が好調に推移したことと、排ガス処理装置分野において装置本体及び収益性の高いメンテナンス案件の販売が好調に推移したためであります。
(インダストリー4.0推進事業)
通期における当セグメントの外部顧客に対する売上高は1,804百万円(前期の売上高1,796百万円に比し、0.5%の増加)、セグメント利益は16百万円(前期のセグメント利益135百万円に比し、87.5%の減少)となりました。これは、精密除振装置の販売が好調に推移したものの、歯車試験機の販売が低調に推移したためであります。
また、セグメント利益の減少については第3四半期に引き続き、AI画像処理装置やレーザ事業等の新規事業に係る研究開発費等が発生していることも要因であります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末残高に比べ540百万円減少し、6,312百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは8百万円の収入(前期は438百万円の収入)となりました。これは、売上債権の増加1,924百万円や法人税等の支払額526百万円があったものの、税金等調整前当期純利益1,637百万円や減価償却費147百万円の計上及びその他の資産・負債の増減額425百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは154百万円の支出(前期は140百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出133百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは469百万円の支出(前期は234百万円の支出)とな
りました。これは、配当金の支払額383百万円があったこと等によるものであります。③生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度において、IoT関連事業及びインダストリー4.0推進事業セグメントを中心として、受注高は前
期と比較して大幅に増加し、受注残高は増加しました。
IoT関連事業については、前期において当社の顧客であるイメージセンサメーカーの設備投資需要が低調であ
ったことと、当期において主に国内顧客の設備投資需要が好調に推移した事が要因であります。
インダストリー4.0推進事業については、前期と比較して、歯車試験機分野において受注高が大幅に増加して
おり、精密除振装置分野において受注残高が大幅に増加しております。
なお、受注高の増加等に伴い、IoT関連事業セグメントを中心として生産実績も大幅に増加しました。
1)生産実績
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2022年6月1日 至 2023年5月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年6月1日 至 2024年5月31日) | 増減 | |
| 金額(千円) | 金額(千円) | 金額(千円) | 増減率(%) | |
| IoT関連事業 | 3,470,801 | 5,524,752 | 2,053,951 | 59.2 |
| 環境エネルギー事業 | 805,981 | 973,855 | 167,873 | 20.8 |
| インダストリー4.0推進事業 | 1,829,015 | 1,751,176 | △77,838 | △4.3 |
| 合計 | 6,105,798 | 8,249,784 | 2,143,986 | 35.1 |
(注)1.上記の金額は、販売金額によっております。
2.生産実績には、外注仕入実績を含んでおります。
2)受注実績
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2022年6月1日 至 2023年5月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年6月1日 至 2024年5月31日) | 増減 | |||
| 受注高 (千円) | 受注残高 (千円) | 受注高 (千円) | 受注残高 (千円) | 受注高 (千円) | 受注残高 (千円) | |
| IoT関連事業 | 2,537,213 | 1,635,670 | 5,541,220 | 2,288,999 | 3,004,007 | 653,329 |
| 環境エネルギー事業 | 849,213 | 774,113 | 746,621 | 527,393 | △102,591 | △246,719 |
| インダストリー4.0推進事業 | 1,355,783 | 236,058 | 1,555,641 | 262,054 | 199,858 | 25,995 |
| 合計 | 4,742,209 | 2,645,842 | 7,843,484 | 3,078,447 | 3,101,274 | 432,605 |
(注)上記の金額には、見込み生産を行っている事業は含まれておりません。
3)販売実績
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 2022年6月1日 至 2023年5月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年6月1日 至 2024年5月31日) | 増減 | |
| 金額(千円) | 金額(千円) | 金額(千円) | 増減率(%) | |
| IoT関連事業 | 4,300,755 | 4,897,752 | 596,996 | 13.9 |
| 環境エネルギー事業 | 760,109 | 1,052,023 | 291,913 | 38.4 |
| インダストリー4.0推進事業 | 1,796,123 | 1,804,956 | 8,833 | 0.5 |
| 合計 | 6,856,988 | 7,754,732 | 897,743 | 13.1 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
なお、販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先については「-」表記にしております。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2022年6月1日 至 2023年5月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年6月1日 至 2024年5月31日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社 | 1,249,857 | 18.2 | 3,865,720 | 49.8 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)経営成績
当連結会計年度における当社グループの業績は、前連結会計年度比で増収増益となりました。
売上高が増加した理由は、全セグメントにおいて製品の販売が好調に推移したためであります。
営業利益が増加した理由は、主にIoT関連事業セグメントにおいて、収益性の高い製品の販売が好調に推移したことと、販売費が減少したためであります。
また、当社グループではROE(自己資本利益率)の向上を重要な指標の一つとしておりますが、当連結会計年度では10.7%(前期ROE10.1%)となり、前期より0.6ポイント増加いたしました。ROEが増加した主な要因として、前述のIoT関連事業セグメントの増収増益により、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益が増加したためであると分析しております。結果として、ES(エクイティスプレッド:ROE-株主資本コスト)は5.8%(前期ES4.1%)となりました。
来期は、IoT関連事業及び環境エネルギー事業において製品の販売が低調に推移する見通しであることと、インダストリー4.0推進事業セグメントにおいて新規事業に係る研究開発費等が発生する見通しであるため、減収減益を見込んでおります。引き続き優先的に対処すべき課題としても挙げている技術開発体制の強化、クライアントニーズへの迅速な対応、原価低減と生産効率の向上等に努め、自己資本の活用を進めてまいります。また、株主資本コストの低下に資する活動(適切な情報開示や積極的な対話等)を通して、ESの向上に努めてまいります。
2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,043百万円増加し、13,653百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,011百万円増加し、12,307百万円となりました。これは、現金及び預金が538百万円、仕掛品が211百万円それぞれ減少したものの、売掛金が281百万円、電子記録債権が1,622百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ32百万円増加し、1,345百万円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ131百万円増加し、2,609百万円となりました。これは、未払消費税等(流動負債「その他」)が201百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ911百万円増加し、11,044百万円となりました。これは、前事業年度の期末配当金274百万円及び当期中間配当金110百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益1,132百万円を計上したこと及び自己株式が126百万円減少したこと等によるものであります。
②資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金及び設備資金につきましては、内部資金、銀行借入又は社債発行により資金調達しております。このうち、運転資金については短期借入金で、設備又は企業買収等の長期資金については長期借入金・社債等で調達しております。
2024年5月31日現在の有利子負債残高は、短期借入金440百万円、1年内を含む長期借入金366百万円となっております。
その他、積極的な事業展開に必要な資金需要に対して、安定的かつ機動的な資金調達体制を構築するため、複数の金融機関との間で合計5,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております(借入未実行残高5,000百万円)。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたり、資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。