有価証券報告書-第63期(平成30年3月21日-平成31年3月20日)

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2019/06/12 15:02
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善により緩やかな回復基調で推移いたしました。しかし、海外では米中貿易摩擦の問題や世界的な経済減速への懸念もあり、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループが関連する業界におきましては、オート機器の分野では、引き続き設備投資が活発で堅調でありましたが、一部で政府支援事業がなくなるなど一服感が出てきております。情報機器及び生活機器の分野では、市場の伸び悩みや激しい価格競争により厳しい環境が続いております。一方、住設機器の分野では、オリンピック需要もあり業界全体に活況を呈してきております。
こうした状況のもと当社グループは、モノづくりとサービスを通じた顧客価値の追求を目指して、顧客視点に立った商品開発とサービス品質の向上に取り組んでまいりました。また、当社グループの既存事業の深耕を図る一方で、M&A等を通じて隣接分野への事業拡大を図ってまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は233億9千6百万円(前期比14.2%増)、経常利益は11億7千万円(前期比35.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7億6千3百万円(前期比59.9%増)となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
(オート機器事業)
主力の門型洗車機は、カーディーラーの設備投資意欲に支えられ堅調に推移しましたが、SS(サービス・ステーション)では政府支援事業の対象外となった影響もあり伸び悩みました。オイル機器については、政府補助金制度もあり灯油配送ローリーが好調に推移し、レンタル会社向けの建機用洗浄機やエアコンガスクリーニング機が伸長しました。また、石油元売会社統合によるSSのリニューアル需要により、サービス部門においても売上増となりました。この結果、オート機器事業の売上高は、134億8千1百万円(前期比3.1%増)となりました。
(情報機器事業)
情報機器としては主にLED表示装置を製造・販売しています。一般店舗向け小型表示機は、需要が振るわず前期実績を若干下回る結果となり、大型フルカラー表示機は案件数が減少し低調でした。一方、SS向け価格看板及び道路工事用表示板は、顧客ニーズにマッチし好調に推移しました。官需分野においては、大規模物件の受注があり売上増に貢献しました。この結果、情報機器事業の売上高は、18億7千7百万円(前期比17.9%増)となりました。
(生活機器事業)
農家向け商材は、主力製品の低温貯蔵庫及び保冷米びつが伸び悩み、前期の売上げを下回りました。一方、一般家庭向け商材は、電子レンジ置き台の需要が振るわず低調に推移したものの、新発売の小型保冷米びつ及び黒にんにくメーカーが好調で、売上げに貢献しました。また、ワイヤレステレビスピーカーなどの音響関連商品が売上げを伸ばし、新たに事業拡大を図った撹拌機や食品加工機のビジネスも堅調に推移しました。この結果、生活機器事業の売上高は、55億5千万円(前期比48.3%増)となりました。
(住設機器事業)
住設機器としては、主に木・アルミ複合断熱建具、消音装置、鋼製防火扉等を製造・販売しています。主力の木・アルミ複合断熱建具については、地球温暖化やCO2削減が叫ばれる時代を背景に、木材利用を活発化する動きがあり好調に受注を伸ばしました。また、新たに事業拡大を図った鋼製防火扉のビジネスも堅調に推移しました。この結果、住設機器事業の売上高は、23億1千9百万円(前期比22.4%増)となりました。
(その他の事業)
保険代理業、不動産管理・賃貸業及び長野リンデンプラザホテルの運営に係るホテル業が主体となります。ホテル業については、長野市内での競合が激化し厳しい状況が続いております。この結果、その他の事業の売上高は1億6千8百万円(前期比4.1%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ10億2千万円増加し、13億7千4百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、11億1千5百万円(前年同期比6億1千7百万円の増加)となりました。主な要因は、法人税等の支払額3億9千7百万円や、売上債権の増加額3億5千7百万円等により資金が減少した一方、税金等調整前当期純利益13億3千3百万円、減価償却費5億2千9百万円を計上したことにより資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、23億8千万円(前年同期比19億6千2百万円の増加)となりました。主な要因は、定期預金の払戻による収入20億9千2百万円により資金が増加した一方、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出23億3千5百万円と有形固定資産の取得による支出1億8千9百万円により資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、22億8千7百万円(前年同期は3億1千6百万円の使用)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出12億2千7百万円により資金が減少した一方、短期借入金の純増額6億5千6百万円、長期借入れによる収入31億2千万円により資金が増加したことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年3月21日
至 2019年3月20日)
前年同期比(%)
オート機器事業(千円)10,725,88098.6
情報機器事業(千円)1,924,772116.7
生活機器事業(千円)5,990,188151.8
住設機器事業(千円)2,415,465115.4
合計(千円)21,056,306113.4

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
住設機器事業1,786,53493.31,544,69193.4

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年3月21日
至 2019年3月20日)
前年同期比(%)
オート機器事業(千円)13,481,110103.1
情報機器事業(千円)1,877,977117.9
生活機器事業(千円)5,550,034148.3
住設機器事業(千円)2,319,341122.4
その他の事業(千円)168,03695.9
合計(千円)23,396,500114.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2017年3月21日
至 2018年3月20日)
当連結会計年度
(自 2018年3月21日
至 2019年3月20日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社イヤサカ2,344,80511.42,385,57410.2

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成に当たり採用しております重要な会計基準は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているとおりですが、決算における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、賞与引当金、貸倒引当金、製品補償対策引当金、退職給付に係る負債及び法人税等があり、これらは継続的な評価を行っております。
なお、損益又は資産の状況に影響を与える見積り、判断・評価は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる要因に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)経営成績
(売上高及び営業利益)
売上高につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
販売費及び一般管理費は、人件費、のれん償却額が増加したことから、前連結会計年度に比べ5億3千1百万円増加の65億4千2百万円となりましたが、営業利益は売上高増加による売上総利益増加の影響により、前連結会計年度比2億3千万円増の10億7千9百万円となりました。
(経常利益)
営業外損益は、営業外収益が前連結会計年度に比べ7千9百万円増加の1億9千2百万円、営業外費用は前連結会計年度に比べ3百万円増加の1億円となりました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ3億6百万円増加の11億7千万円となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は、負ののれん発生益1億8千6百万円を計上したことから、前連結会計年度に比べ2億1百万円増加の2億1百万円となり、特別損失は前連結会計年度に比べ3千3百万円増加の3千7百万円となりました。この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ4億7千4百万円増加の13億3千3百万円となり、法人税等合計額5億7千万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ2億8千5百万円増加の7億6千3百万円となりました。
2)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ41億2千3百万円増加し249億7千9百万円となりました。流動資産は24億6千5百万円増の133億9千5百万円、固定資産は16億5千7百万円増の115億8千4百万円となりました。これは主に現金及び預金が12億8千2百万円増加したことと、のれんが9億5千7百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債の合計は、前連結会計年度末に比べ35億9千5百万円増加し136億8千2百万円となりました。流動負債は12億4千万円増の91億3千9百万円、固定負債は23億5千5百万円増の45億4千2百万円となりました。これは主に短期借入金が12億2千5百万円増加したこと、1年内返済予定の長期借入金が3億1千9百万円減少したこと、長期借入金が22億3千4百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の合計は、前連結会計年度末に比べ5億2千7百万円増加し、112億9千7百万円となりました。これは主に当期純利益の計上等に伴い利益剰余金が6億4千7百万円増加したことによるものであります。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
自己資本及びキャッシュ・フロー関連の指標については以下のとおりであります。
2017年3月期2018年3月期2019年3月期
自己資本比率53.0%51.6%45.2%
時価ベースの自己資本比率32.3%31.3%21.8%
キャッシュ・フロー対有利子
負債比率
4.2年7.7年4.8年
インタレスト・カバレッジ・
レシオ
21.3倍8.0倍16.7倍

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
※株式時価総額は自己株式を除く発行済株式をベースに計算しております。
※キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを利用しています。
※有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
4)資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業の運営に必要な資金を自己資金及び借入金によって調達しており、設備投資や事業環境の変化による投資に備えた健全な財務の構築とキャッシュ・フローの改善を基本方針としております。
なお、当社グループの設備及び研究開発への投資につきましては、「第3 設備の状況」及び「第2 事業の状況 5 研究開発活動」に記載しております。
5)経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、競合他社との競争の激化、新商品開発力等様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
特に為替につきましては輸入ウエイトが高く、円安による仕入れコストの増大や原油価格の高騰に伴う関連部材の値上がりによる原価アップが懸念されます。
経営資源の重点配分など状況変化への柔軟な対応とともに、合理化等による収益改善には不断の企業努力を重ねてまいる所存であります。
6)経営方針・経営戦略・経営上の目標を達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、グループとしての全体最適を図る中での収益力向上を重点課題としており、また財務とのバランスに注視しております。したがって、経常利益及び自己資本の充実を重要な要素と捉え、経営指標としては、売上高経常利益率5%、自己資本比率50%を目標としておりますが、当連結会計年度における売上高経常利益率は5.0%(前期比0.8ポイント増加)となり、自己資本比率は45.2%(前期比6.4ポイント低下)となりました。
当連結会計年度の状況を認識した上で、引き続きこれらの指標の目標達成に向けて取り組んでまいります。
7)経営者の問題意識と今後の方針
当社グループは、モノづくりとサービスを通じて顧客価値を追求する企業集団です。常に顧客価値を意識し、全国ネットワーク網及びグループ会社の更なる全体最適を図るとともに、新たなモノづくりとサービスへの挑戦が必要であると考えています。このため、事業開発、商品開発、調達体制、生産体制、海外展開、当社とグループ会社の連携、経営インフラ整備など、全方位の改善が必要であると覚悟を新たにしています。
当社グループは、新年度より「美・食・住」を軸として事業再編することといたしました。具体的には、従来のオート機器事業と情報機器事業を統合して「モビリティ&サービス事業」とし、主にコスト競争力、商品開発力などを強化し、モビリティ社会を「美」の側面から支える事業を目指します。また、従来の生活機器事業は一部グループ会社の事業を取り込んで「ライフ&サポート事業」と改称し、調理家電から業務用の食品加工機までを視野に、人々の「食」を支える事業を目指します。そして、もう一つの「住設機器事業」の更なる強化を通じて我が国の「住」を支える事業を目指します。当社グループは、こうした事業を確実に成長させるために、営業拠点、海外拠点、生産設備、人材採用など、グループ全体での強化と最適化を図ってまいります。