有価証券報告書-第47期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/28 11:16
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度におけるわが国経済は、景気が緩やかな回復基調をたどりながらも足許では弱さも見え、また海外でも中国での景気減速や、米国での金融政策の正常化、原油価格の下落など、世界経済の下振れリスクが影響を及ぼす懸念もあり、先行き不透明な状況が続いております。
当業界に関わりの強い個人消費は、先行き不安感からの節約志向が見られ、消費マインドは力強さを欠き、市場環境はやや弱含みで推移しております。
当社グループにおきましては、多面的な営業活動により国内での売上を確保し、海外では中国での経済成長減速に影響された宝飾市場の販売減少や、香港での小売市場の縮小などからやや苦戦を強いられましたが、新規販路の開拓などにより売上高を伸ばしました。
一方利益面では、当期での貴金属地金の相場下落により、地金製品の販売差損や在庫の期末評価損等が発生し、売上総利益の低下を余儀なくされました。また当期ではタイ製造拠点の増床工事を実施し、中国では広州に新工場を設立し、製造体制を強化しましたが、準備経費の先行発生から当期での利益貢献には至りませんでした。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は384億93百万円(前年同期比3.7%増)となりましたが、上記の利益の低下から、営業利益は10億54百万円(前年同期比25.7%減)となり、経常利益は為替差損の発生により8億25百万円(前年同期比45.3%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は5億12百万円(前年同期比45.4%減)となりました。
(2)財政状態に関する分析
資産、負債及び純資産の状況
資産
流動資産は、前連結会計年度末に比べ10.9%増加し、195億84百万円となりました。これは、主として商品及び製品が10億33百万円増加、仕掛品が10億34百万円増加したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ5.1%減少し、118億61百万円となりました。これは、主として投資その他の資産に含まれる差入保証金が8億81百万円減少したことなどによります。この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて4.2%増加し314億45百万円となりました。
負債
流動負債は、前連結会計年度末に比べて1.4%増加し、104億17百万円となりました。これは、主として短期借入金が5億49百万円増加、支払手形及び買掛金が1億24百万円減少したことなどによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて24.3%増加し、53億61百万円となりました。これは、主として長期借入金が11億80百万円増加したことなどによります。この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて8.2%増加し、157億78百万円となりました。
純資産
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて、0.6%増加し156億67百万円となりました。これは、主として利益剰余金が3億31百万円増加したことなどによります。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績は以下の事業環境の変化に影響を受ける場合があります。当社製品のうちマシンチェーン等の貴金属地金を主体とする製品は、地金相場に連動した販売価格を採用し相場の影響を排除しておりますが、地金相場の変動に相関して販売価格が変動し、売上高に影響を与える場合があります。また製品に使用される材料地金以外に、鋳造・切削・研磨等の製造過程で必要となる工程用地金を在庫保有するため、貴金属相場の変動により在庫保有地金との価格乖離が生じ、損益に影響を及ぼす場合があります。
また当社グループは海外営業において米ドルを中心とした取引決済を行い、海外子会社では材料仕入、経費支払、本社との取引に外貨決済が発生するため、為替相場の変動により為替差損益が生じる場合があります。
また宝飾品業界の特性として、ファッションジュエリー市場でのクリスマス等の季節変動要因、ブライダル市場での婚姻組数など人口動態変化が取引先の発注時期、発注数量に反映され当社グループの業績に影響を及ぼす場合があります。
(4)経営戦略の現状と見通し
当社グループを取り巻く今後の事業環境は、景気回復が期待される一方個人消費の回復の遅れや海外景気の下振れリスクもあり、予断を許さない状況が続くと認識しております。
また宝飾品市場においても、個人消費はやや弱含みで推移すると見られ、市場競争激化による利益率低下が生じる懸念があります。一方素材面では、ダイヤモンドの国際相場の変動による影響やトレーサビリティ明確化に対応するコスト増などにも留意する必要があります。
当社グループでは、こうした状況のもとで中期的な安定成長を確保するために、引き続き製造能力の増強と製造技術の高度化による製品競争力の強化に取り組み、併せて営業方針としてクオリティ・ファーストを掲げ、企画力や営業力の強化にも努め、製品品質の信頼度に加えて総合的な企業活動の品質を高めて、ジュエリー製造国内トップシェアの地位を盤石とする所存です。また、前年度において貴金属地金の相場変動や為替変動の影響から海外製造拠点との取引で利益損失を生じた問題への対策から、現在、海外製造拠点との取引を委託加工取引に転換するシステム準備を進めており、当期中盤より実施を予定しております。これらの課題に対処しつつ、在庫の効率化にも引き続き取り組み、与信管理も徹底してまいります。またグループ事業拡大に対応して、国内外に展開するグループ会社間での緊密な連携でグローバルな視点から経営資源の活用を図り事業の発展に努めてまいります。
(5)資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループの資金状況については、当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前連結会計年度末に比べ44百万円の減少となりましたが、それぞれの活動におきましては下記の通りです。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益8億44百万円、減価償
却費4億8百万円、売上債権の減少2億51百万円などに対し、たな卸資産の増加23億53百万円などにより14億29百万円の減少となりました。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、差入保証金の差入による支出9億8百万円、有形固定資産の取得による支出4億93百万円、事業譲受による支出3億37百万円などに対し、差入保証金の回収による収入17億89百万円などにより1億48百万円の減少となりました。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増5億49百万円、長期借入れによる収入26億50百万円、長期借入金の返済による支出13億71百万円などがあり16億6百万円の増加となりました。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。
人々の『心と夢を、輝きでむすぶ』…このスローガンで表した当社の企業理念に基づき、私達は価値ある商品づくりを通して人々の心に潤いを与え、豊かな未来と社会の発展に貢献してまいります。この企業理念を実現する為に下記の経営行動指針を掲げております。
① お客様にご満足いただける商品を提供する為に、ダイナミズムと木目細かさを常に大切にし、優れた生産技術の向上に努め、創造性豊かな商品企画を提案してまいります。
② 『掌の経営』…攻守のバランスのとれた等身大の経営、管理されたリスクテイク経営に徹し、株主、顧客、債権者、従業員、社会、環境等、会社を取り巻く関係人等に満足していただく事を目標とします。
③ 簡素な組織を志向し、公正な評価と貢献度に応じた報酬体系に拠る人事制度に基づき、皆が情熱と創意工夫を持って働ける組織風土を培う事により、効率の良い高収益体質の企業を目指します。
なお、当社グループは経営行動指針に基づき安定的な経営基盤確保のため、内部留保に重点を置くとともに、株主に対する利益還元を経営の重点課題と認識しております。
内部留保資金の使途に関しましては、技術開発及び製品、商品開発、システム投資、営業体制強化、海外も含めた生産拠点の充実化など将来の企業価値増大のために長期的な視点で考えてまいります。