有価証券報告書-第73期(平成31年3月1日-令和2年2月29日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態および経営成績の状況
当社を取り巻くグローバルな経営環境は、国家間の経済摩擦の激化や英国のEU離脱問題の迷走、中東情勢の緊迫に加え、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、先行きの不透明感が急速に広がっています。
このような経営環境の変化に対応すべく、当社はグローバル事業構造改革として、欧米、アジア、国内の各マーケットで、不採算事業からの撤退や事業規模の縮小、不採算店舗の廃止を実施してきました。また、グローバル事業構造改革と並行して、デジタル、カスタマイズ、ライフスタイルの3つの領域を成長の柱とした成長戦略に取り組んできました。
以上の結果、連結売上高は2,482億33百万円(前年同期比3.2%増)、連結営業損失は30億61百万円(前年同期は営業利益44億61百万円)、連結経常損失は38億35百万円(前年同期は経常利益51億61百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は521億35百万円(前年同期は親会社に帰属する当期純利益49億48百万円)となりました。
セグメント別の状況は、次のとおりです。
[アパレル関連事業]
国内事業は、中核事業会社の株式会社オンワード樫山を中心にEコマースの販売が堅調に推移し、また、法人向けユニフォーム、セールスプロモーションクッズ等の企画販売を行うオンワード商事株式会社が増収増益となりました。一方で、消費税増税や豪雨・台風等の自然災害・暖冬等の天候不順の影響もあり、実店舗での販売が大きく苦戦し、国内事業全体では減収減益となりました。
海外事業は、アジア事業においてグローバル事業構造改革により、減収ながら増益となりましたが、欧米事業は構造改革効果の寄与が翌期以降となることから減収減益となり、海外事業全体としては減収減益となりました。
以上の結果、売上高は2,052億65百万円(前年同期比4.3%減)、営業損失は34億25百万円(前年同期は営業利益52億54百万円)となり、アパレル関連事業全体としては減収減益となりました。
[ライフスタイル関連事業]
当連結会計年度に株式を取得したギフトカタログ事業を行う株式会社大和をライフスタイル関連事業に加え、「ギフト」という新しい事業領域の拡大をはかっています。
また、チャコット株式会社における新規ブランドの展開による収益改善に加え、新規連結子会社の株式会社大和が全体に大きく寄与したことにより、売上高は429億68百万円(前年同期比64.7%増)、営業利益は15億53百万円(前年同期比0.7%増)となり、ライフスタイル関連事業としては増収増益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失、減損損失、たな卸資産の減少、仕入債務の減少等により80億3百万円の収入(前年同期は46億35百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、売場設備や事業用資産への投資および連結範囲の変更に伴う子会社株式の取得等により107億58百万円の支出(前年同期は103億5百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増減、配当金の支払および自己株式の取得が主なもので15億95百万円の支出(前年同期は115億42百万円の収入)となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べて24億56百万円減少し、287億80百万円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
なお、ライフスタイル関連事業セグメントについては、生産実績を定義することが困難なため、「生産実績」は記載していません。
(注) 1 金額は製造原価です。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
b.受注実績
当社グループは、ほとんどが受注生産ではなく見込生産を行っています。
また、受注生産につきましても、同一品目において受注生産と見込生産を行っており、区分して算出するのは困難なため、記載を省略しています。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。詳細については「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に記載しています。
②経営成績の分析
a.売上高および売上総利益
売上高は、前連結会計年度に比べ75億81百万円増加し、2,482億33百万円となりました。
売上総利益は、売上高総利益率が46.4%から45.4%に低下しましたが、売上高の増加に伴い、前連結会計年度に比べ10億49百万円増加し、1,126億83百万円となりました。
b.営業利益および経常利益
売上高に対する販管費及び一般管理費の比率が44.5%から46.6%に増加したことにより、営業利益は前連結会計年度に比べ75億22百万円減少し、30億61百万円の損失となりました。また、経常利益については、89億96百万円減少し、38億35百万円の損失となりました。
c.税金等調整前当期純利益および親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は、固定資産売却益および投資有価証券売却益が要因で29億88百万円となり、特別損失はグローバル事業構造改革に伴う減損損失および特別退職金が主な要因で367億32百万円となりました。税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ407億34百万円減少し、375億79百万円の損失となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ570億83百万円減少し、521億35百万円の損失となりました。
③財政状態の分析
a.資産
資産の部は、前連結会計年度末に比べ532億38百万円減少し、2,343億16百万円となりました。流動資産は、現金及び預金、たな卸資産の減少等により75億42百万円減少しました。固定資産は、グローバル事業構造改革による減損損失の計上等により456億95百万円減少しました。
b.負債
負債の部は、前連結会計年度末に比べ149億35百万円増加し、1,402億79百万円となりました。流動負債は、未払金の増加等により33億37百万円増加しました。固定負債は、長期借入金の増加等により115億97百万円増加しました。
c.純資産
純資産の部は、前連結会計年度末に比べ681億73百万円減少し、940億36百万円となりました。株主資本は、利益剰余金の減少、自己株式の取得等により624億5百万円減少しました。その他の包括利益累計額は、保有株式の時価低下に伴うその他有価証券評価差額金の減少および為替換算調整勘定の減少等により60億97百万円減少しました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりです。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(5) 経営者の問題意識と今後の方針について
①会社の経営の基本方針
当社グループは、「人々の生活に潤いと彩りを提供するおしゃれの世界」を事業領域に定め、「ファッション」を生活文化として提案することによって新しい価値やライフスタイルを創造し、人々の豊かな生活づくりへ貢献することを経営理念としています。そして、常に顧客満足向上に努めるとともに、すべてのステークホルダーからご満足いただける企業グループを目指しています。
②目標とする経営指標
当社グループは、成長性と収益性を高め、継続的・安定的に企業価値の向上を図ることが株主重視の経営と認識し、売上の拡大と効率的な経営をより推進して、中長期的には売上高や各利益率指標の更なる向上を目指すとともに、株主資本の投資効率を高め、ROE5%を早期に実現したうえで、将来的にROE8%の水準を目指します。
また、当社グループでは、新規事業の創出やM&A等を活用した事業基盤の強化・拡大による成長を加速していく中で、会計基準の差異にとらわれることなく企業比較を容易にすることを目的とし、EBITDA(営業利益+減価償却費およびのれん償却費)を経営指標としています。なお、当連結会計年度のEBITDAは50億79百万円(前年同期比61.7%減)となりました。
③中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、ファッションを基軸とした生活文化企業としてブランドを磨き上げ、その価値の極大化を目指す「ブランド軸経営」を基本戦略にし、衣料品を中心とした商品価値の向上やお客様の満足を高めるサービスの拡充を図る「提供価値の多様化」と、様々な場面で顧客との接点の拡大を図る「顧客基盤の拡大」を推進することにより、事業規模の拡大と経営基盤の強化を図り、企業価値すなわち株主価値の一層の向上を目指していきます。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態および経営成績の状況
当社を取り巻くグローバルな経営環境は、国家間の経済摩擦の激化や英国のEU離脱問題の迷走、中東情勢の緊迫に加え、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、先行きの不透明感が急速に広がっています。
このような経営環境の変化に対応すべく、当社はグローバル事業構造改革として、欧米、アジア、国内の各マーケットで、不採算事業からの撤退や事業規模の縮小、不採算店舗の廃止を実施してきました。また、グローバル事業構造改革と並行して、デジタル、カスタマイズ、ライフスタイルの3つの領域を成長の柱とした成長戦略に取り組んできました。
以上の結果、連結売上高は2,482億33百万円(前年同期比3.2%増)、連結営業損失は30億61百万円(前年同期は営業利益44億61百万円)、連結経常損失は38億35百万円(前年同期は経常利益51億61百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は521億35百万円(前年同期は親会社に帰属する当期純利益49億48百万円)となりました。
セグメント別の状況は、次のとおりです。
[アパレル関連事業]
国内事業は、中核事業会社の株式会社オンワード樫山を中心にEコマースの販売が堅調に推移し、また、法人向けユニフォーム、セールスプロモーションクッズ等の企画販売を行うオンワード商事株式会社が増収増益となりました。一方で、消費税増税や豪雨・台風等の自然災害・暖冬等の天候不順の影響もあり、実店舗での販売が大きく苦戦し、国内事業全体では減収減益となりました。
海外事業は、アジア事業においてグローバル事業構造改革により、減収ながら増益となりましたが、欧米事業は構造改革効果の寄与が翌期以降となることから減収減益となり、海外事業全体としては減収減益となりました。
以上の結果、売上高は2,052億65百万円(前年同期比4.3%減)、営業損失は34億25百万円(前年同期は営業利益52億54百万円)となり、アパレル関連事業全体としては減収減益となりました。
[ライフスタイル関連事業]
当連結会計年度に株式を取得したギフトカタログ事業を行う株式会社大和をライフスタイル関連事業に加え、「ギフト」という新しい事業領域の拡大をはかっています。
また、チャコット株式会社における新規ブランドの展開による収益改善に加え、新規連結子会社の株式会社大和が全体に大きく寄与したことにより、売上高は429億68百万円(前年同期比64.7%増)、営業利益は15億53百万円(前年同期比0.7%増)となり、ライフスタイル関連事業としては増収増益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失、減損損失、たな卸資産の減少、仕入債務の減少等により80億3百万円の収入(前年同期は46億35百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、売場設備や事業用資産への投資および連結範囲の変更に伴う子会社株式の取得等により107億58百万円の支出(前年同期は103億5百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増減、配当金の支払および自己株式の取得が主なもので15億95百万円の支出(前年同期は115億42百万円の収入)となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べて24億56百万円減少し、287億80百万円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
なお、ライフスタイル関連事業セグメントについては、生産実績を定義することが困難なため、「生産実績」は記載していません。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
アパレル関連事業 | 51,176 | 96.8 |
(注) 1 金額は製造原価です。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
b.受注実績
当社グループは、ほとんどが受注生産ではなく見込生産を行っています。
また、受注生産につきましても、同一品目において受注生産と見込生産を行っており、区分して算出するのは困難なため、記載を省略しています。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
アパレル 関連事業 | 国内 | 158,954 | 95.1 |
海外 | 46,310 | 97.5 | |
計 | 205,265 | 95.7 | |
ライフスタイル関連事業 | 42,968 | 164.7 | |
合計 | 248,233 | 103.2 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。詳細については「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に記載しています。
②経営成績の分析
a.売上高および売上総利益
売上高は、前連結会計年度に比べ75億81百万円増加し、2,482億33百万円となりました。
売上総利益は、売上高総利益率が46.4%から45.4%に低下しましたが、売上高の増加に伴い、前連結会計年度に比べ10億49百万円増加し、1,126億83百万円となりました。
b.営業利益および経常利益
売上高に対する販管費及び一般管理費の比率が44.5%から46.6%に増加したことにより、営業利益は前連結会計年度に比べ75億22百万円減少し、30億61百万円の損失となりました。また、経常利益については、89億96百万円減少し、38億35百万円の損失となりました。
c.税金等調整前当期純利益および親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は、固定資産売却益および投資有価証券売却益が要因で29億88百万円となり、特別損失はグローバル事業構造改革に伴う減損損失および特別退職金が主な要因で367億32百万円となりました。税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ407億34百万円減少し、375億79百万円の損失となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ570億83百万円減少し、521億35百万円の損失となりました。
③財政状態の分析
a.資産
資産の部は、前連結会計年度末に比べ532億38百万円減少し、2,343億16百万円となりました。流動資産は、現金及び預金、たな卸資産の減少等により75億42百万円減少しました。固定資産は、グローバル事業構造改革による減損損失の計上等により456億95百万円減少しました。
b.負債
負債の部は、前連結会計年度末に比べ149億35百万円増加し、1,402億79百万円となりました。流動負債は、未払金の増加等により33億37百万円増加しました。固定負債は、長期借入金の増加等により115億97百万円増加しました。
c.純資産
純資産の部は、前連結会計年度末に比べ681億73百万円減少し、940億36百万円となりました。株主資本は、利益剰余金の減少、自己株式の取得等により624億5百万円減少しました。その他の包括利益累計額は、保有株式の時価低下に伴うその他有価証券評価差額金の減少および為替換算調整勘定の減少等により60億97百万円減少しました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりです。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(5) 経営者の問題意識と今後の方針について
①会社の経営の基本方針
当社グループは、「人々の生活に潤いと彩りを提供するおしゃれの世界」を事業領域に定め、「ファッション」を生活文化として提案することによって新しい価値やライフスタイルを創造し、人々の豊かな生活づくりへ貢献することを経営理念としています。そして、常に顧客満足向上に努めるとともに、すべてのステークホルダーからご満足いただける企業グループを目指しています。
②目標とする経営指標
当社グループは、成長性と収益性を高め、継続的・安定的に企業価値の向上を図ることが株主重視の経営と認識し、売上の拡大と効率的な経営をより推進して、中長期的には売上高や各利益率指標の更なる向上を目指すとともに、株主資本の投資効率を高め、ROE5%を早期に実現したうえで、将来的にROE8%の水準を目指します。
また、当社グループでは、新規事業の創出やM&A等を活用した事業基盤の強化・拡大による成長を加速していく中で、会計基準の差異にとらわれることなく企業比較を容易にすることを目的とし、EBITDA(営業利益+減価償却費およびのれん償却費)を経営指標としています。なお、当連結会計年度のEBITDAは50億79百万円(前年同期比61.7%減)となりました。
③中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、ファッションを基軸とした生活文化企業としてブランドを磨き上げ、その価値の極大化を目指す「ブランド軸経営」を基本戦略にし、衣料品を中心とした商品価値の向上やお客様の満足を高めるサービスの拡充を図る「提供価値の多様化」と、様々な場面で顧客との接点の拡大を図る「顧客基盤の拡大」を推進することにより、事業規模の拡大と経営基盤の強化を図り、企業価値すなわち株主価値の一層の向上を目指していきます。