有価証券報告書-第74期(令和2年3月1日-令和3年2月28日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大による国内における2度の緊急事態宣言発令、各国での外出自粛令、海外渡航の禁止等による経済活動への影響から、先行きの不透明な状況が続いています。
当社はこのような厳しい経営環境の中、仕入の抑制や固定費の削減に努める一方で、前連結会計年度より実施しているグローバル事業構造改革の一環として、不採算事業であったイタリア事業などからの撤退、不採算ブランドの廃止、国内外の不採算店舗の撤退等を着実に遂行しました。
中核事業会社である株式会社オンワード樫山の直営オンラインストア「オンワード・クローゼット」を中心にEコマースでの売上高が前年比26%増と大きく伸長し、ライフスタイル関連事業も堅調に推移したものの、都心を中心に立地する百貨店・ショッピングセンター等のリアル店舗の大幅な売上高減少、海外における外出自粛令による営業休止等が連結業績に大きく影響しました。
以上の結果、連結売上高は1,743億23百万円(前年同期比29.8%減)、連結営業損失は212億30百万円(前年同期は営業損失30億61百万円)、連結経常損失は201億74百万円(前年同期は経常損失38億35百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は231億81百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失521億35百万円)となりました。
セグメント別の状況は、次のとおりです。
[アパレル関連事業]
国内事業は、BtoBのユニフォーム事業を営むオンワード商事株式会社、Eコマースを主力販路とするティアクラッセ株式会社等で増益となりました。直営オンラインストア「オンワード・クローゼット」をはじめとしたEコマースへの販路シフトは進んでいるものの、新型コロナウイルス感染症の影響によってリアル販路の売上高が減少し、株式会社オンワード樫山等で減収減益となり、国内事業としては減収減益となりました。
海外事業は、前連結会計年度より実施しているグローバル事業構造改革によるコスト削減効果があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響が欧州・米国で継続し、海外事業としては減収減益となりました。
以上の結果、売上高は1,394億22百万円(前年同期比32.1%減)、営業損失は201億65百万円(前年同期は営業損失34億25百万円)となり、アパレル関連事業全体では減収減益となりました。
[ライフスタイル関連事業]
ライフスタイル関連事業は、カタログギフト事業を営む株式会社大和において増収増益となりましたが、リゾート事業を営むオンワードビーチリゾートグアムINC.等において、第2四半期連結会計期間よりグアム島で外出自粛令が続いていることにより減収となりました。
以上の結果、売上高は349億1百万円(前年同期比18.8%減)、営業利益は1億47百万円(前年同期比90.5%減)となり、ライフスタイル関連事業では営業利益を確保したものの減収減益となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失、減損損失、売上債権の減少、仕入債務の減少等により196億14百万円の支出(前年同期は80億3百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却および連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却等により60億91百万円の収入(前年同期は107億58百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増減、および配当金の支払いが主なもので58億60百万円の収入(前年同期は15億95百万円の支出)となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べて75億9百万円減少し、212億70百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
なお、ライフスタイル関連事業セグメントについては、生産実績を定義することが困難なため、「生産実績」は記載していません。
(注)1 金額は製造原価です。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
b. 受注実績
当社グループは、ほとんどが受注生産ではなく見込生産を行っています。
また、受注生産につきましても、同一品目において受注生産と見込生産を行っており、区分して算出するのは困難なため、記載を省略しています。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 経営成績の分析
a. 売上高および売上総利益
売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大による影響を大きく受け、前連結会計年度に比べ739億10百万円減少し、1,743億23百万円となりました。
売上総利益は、売上高の減少および期末在庫評価損の増加によって、売上総利益率が45.4%から40.0%に低下したことにより、前連結会計年度に比べ429億61百万円減少し、697億21百万円となりました。
b. 営業損失および経常損失
販売費及び一般管理費は、固定費の削減やグローバル事業構造改革の効果により前連結会計年度より21.4%減少しましたが、売上総利益の減少幅が大きく、営業損失は前連結会計年度に比べ181億69百万円増加し、212億30百万円となり、経常損失は前連結会計年度に比べ163億39百万円増加し、201億74百万円となりました。
c. 税金等調整前当期純損失および親会社株主に帰属する当期純損失
特別利益は、固定資産売却益および新型コロナウイルス感染症にかかる雇用調整助成金等の支給申請の受給等により105億13百万円となりました。特別損失は、グローバル事業構造改革による関係会社株式売却損や減損損失に加え、緊急事態宣言下の休業期間中に発生した固定費を「臨時休業等による損失」として特別損失に計上したことにより158億99百万円となりました。税金等調整前当期純損失は、前連結会計年度に比べ120億18百万円減少し、255億60百万円となり、親会社株主に帰属する当期純損失は、前連結会計年度に比べ289億53百万円減少し、231億81百万円となりました。
② 財政状態の分析
a. 資産
資産の部は、前連結会計年度末に比べ382億64百万円減少し、1,960億52百万円となりました。流動資産は、現金及び預金、受取手形及び売掛金、たな卸資産の減少等により263億21百万円減少しました。固定資産は、固定資産の売却等により119億42百万円減少しました。
b. 負債
負債の部は、前連結会計年度末に比べ37億36百万円減少し、1,365億43百万円となりました。流動負債は、支払手形及び買掛金、電子記録債務の減少等により91億93百万円減少し、固定負債は、IFRS第16号「リース」の適用によるリース債務の増加等により54億57百万円増加しました。
c. 純資産
純資産の部は、前連結会計年度末に比べ345億27百万円減少し、595億9百万円となりました。株主資本は、親会社株主に帰属する当期純損失、IFRS第16号「リース」の適用による累積的影響から利益剰余金が減少したことにより、360億97百万円減少しました。その他の包括利益累計額は、土地再評価差額金の取崩し等により30億8百万円増加しました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりです。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、主に新規出店および既存店舗の改装等の設備投資や、システム投資によるものです。
これらの運転資金や投資資金は、基本的に自己資金により充当していますが、必要に応じて資金調達を行っています。
また、当社グループの資金の状況については、「3 経営者による財政状態 経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(5) 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しています。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、特に重要と考えられるものは以下のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 追加情報」に記載しています。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、将来の課税所得の見積り額が減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損損失の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が固定資産の帳簿価額を下回る場合に、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。減損損失の兆候の把握、認識および測定にあたっては慎重に検討していますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(6) 経営者の問題意識と今後の方針について
① 会社の経営の基本方針
当社グループは、「人々の生活に潤いと彩りを与えるおしゃれの世界」を事業領域に定め、「ファッション」を生活文化として提案することによって新しい価値やライフスタイルを創造し、人々の豊かな生活づくりへ貢献することを経営理念としてきました。
また、2021年4月に策定した当社グループの中期経営ビジョン「ONWARD VISION 2030」の中で、今までの経営理念の上に、地球環境の潤いと彩りを大切にするサステナブル経営の理念を重ね合わせた、「ヒトと地球(ほし)に潤いと彩りを」という新しいミッションステートメントを定めました。
当社グループを取り巻く経営環境が構造的に大きく変化する中、「社員の多様な個性を生かしたお客さま中心の経営」を日々実践し、「お客さまにとっての価値をお客さま自身と共創できる企業」へと進化するために、グループ社員一丸となって努力を続けていきます。
② 目標とする経営指標
当社グループは、成長性と収益性を高め、継続的・安定的に企業価値の向上をはかることが株主重視の経営と認識し、売上の拡大と効率的な経営をより推進して、中長期的には売上高や各利益率指標の更なる向上をめざすとともに、株本の投資効率を高め、ROE8%を早期に実現したうえで、将来的にROE10%以上の水準をめざします。
また、当社グループでは、新規事業の創出やM&A等を活用した事業基盤の強化・拡大による成長を加速していく中で、会計基準の差異にとらわれることなく企業比較を容易にすることを目的とし、EBITDA(営業利益+減価償却費およびのれん償却費)を経営指標としています。
なお、当連結会計年度のEBITDAは△153億43百万円(前年同期は50億79百万円)となりました。
③ 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、「社員の多様な個性を生かしたお客さま中心の経営」への進化をめざし、「アパレルセグメントのビジネスモデル改革」「ライフスタイルセグメントの成長の加速」「法人ビジネスの強化」「多様で個性的な人財が活躍できる企業への進化」「地球と共生するサステナブル経営の推進」を2030年度に向けた5つの戦略とし、事業規模の拡大と経営基盤を強化し、企業価値の一層の向上をはかっていきます。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大による国内における2度の緊急事態宣言発令、各国での外出自粛令、海外渡航の禁止等による経済活動への影響から、先行きの不透明な状況が続いています。
当社はこのような厳しい経営環境の中、仕入の抑制や固定費の削減に努める一方で、前連結会計年度より実施しているグローバル事業構造改革の一環として、不採算事業であったイタリア事業などからの撤退、不採算ブランドの廃止、国内外の不採算店舗の撤退等を着実に遂行しました。
中核事業会社である株式会社オンワード樫山の直営オンラインストア「オンワード・クローゼット」を中心にEコマースでの売上高が前年比26%増と大きく伸長し、ライフスタイル関連事業も堅調に推移したものの、都心を中心に立地する百貨店・ショッピングセンター等のリアル店舗の大幅な売上高減少、海外における外出自粛令による営業休止等が連結業績に大きく影響しました。
以上の結果、連結売上高は1,743億23百万円(前年同期比29.8%減)、連結営業損失は212億30百万円(前年同期は営業損失30億61百万円)、連結経常損失は201億74百万円(前年同期は経常損失38億35百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は231億81百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失521億35百万円)となりました。
セグメント別の状況は、次のとおりです。
[アパレル関連事業]
国内事業は、BtoBのユニフォーム事業を営むオンワード商事株式会社、Eコマースを主力販路とするティアクラッセ株式会社等で増益となりました。直営オンラインストア「オンワード・クローゼット」をはじめとしたEコマースへの販路シフトは進んでいるものの、新型コロナウイルス感染症の影響によってリアル販路の売上高が減少し、株式会社オンワード樫山等で減収減益となり、国内事業としては減収減益となりました。
海外事業は、前連結会計年度より実施しているグローバル事業構造改革によるコスト削減効果があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響が欧州・米国で継続し、海外事業としては減収減益となりました。
以上の結果、売上高は1,394億22百万円(前年同期比32.1%減)、営業損失は201億65百万円(前年同期は営業損失34億25百万円)となり、アパレル関連事業全体では減収減益となりました。
[ライフスタイル関連事業]
ライフスタイル関連事業は、カタログギフト事業を営む株式会社大和において増収増益となりましたが、リゾート事業を営むオンワードビーチリゾートグアムINC.等において、第2四半期連結会計期間よりグアム島で外出自粛令が続いていることにより減収となりました。
以上の結果、売上高は349億1百万円(前年同期比18.8%減)、営業利益は1億47百万円(前年同期比90.5%減)となり、ライフスタイル関連事業では営業利益を確保したものの減収減益となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失、減損損失、売上債権の減少、仕入債務の減少等により196億14百万円の支出(前年同期は80億3百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却および連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却等により60億91百万円の収入(前年同期は107億58百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増減、および配当金の支払いが主なもので58億60百万円の収入(前年同期は15億95百万円の支出)となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べて75億9百万円減少し、212億70百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
なお、ライフスタイル関連事業セグメントについては、生産実績を定義することが困難なため、「生産実績」は記載していません。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) |
アパレル関連事業 | 38,755 | 75.7 |
(注)1 金額は製造原価です。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
b. 受注実績
当社グループは、ほとんどが受注生産ではなく見込生産を行っています。
また、受注生産につきましても、同一品目において受注生産と見込生産を行っており、区分して算出するのは困難なため、記載を省略しています。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
アパレル関連事業 | 国 内 | 103,648 | 65.2 |
海 外 | 35,774 | 77.2 | |
計 | 139,422 | 67.9 | |
ライフスタイル関連事業 | 34,901 | 81.2 | |
合 計 | 174,323 | 70.2 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 経営成績の分析
a. 売上高および売上総利益
売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大による影響を大きく受け、前連結会計年度に比べ739億10百万円減少し、1,743億23百万円となりました。
売上総利益は、売上高の減少および期末在庫評価損の増加によって、売上総利益率が45.4%から40.0%に低下したことにより、前連結会計年度に比べ429億61百万円減少し、697億21百万円となりました。
b. 営業損失および経常損失
販売費及び一般管理費は、固定費の削減やグローバル事業構造改革の効果により前連結会計年度より21.4%減少しましたが、売上総利益の減少幅が大きく、営業損失は前連結会計年度に比べ181億69百万円増加し、212億30百万円となり、経常損失は前連結会計年度に比べ163億39百万円増加し、201億74百万円となりました。
c. 税金等調整前当期純損失および親会社株主に帰属する当期純損失
特別利益は、固定資産売却益および新型コロナウイルス感染症にかかる雇用調整助成金等の支給申請の受給等により105億13百万円となりました。特別損失は、グローバル事業構造改革による関係会社株式売却損や減損損失に加え、緊急事態宣言下の休業期間中に発生した固定費を「臨時休業等による損失」として特別損失に計上したことにより158億99百万円となりました。税金等調整前当期純損失は、前連結会計年度に比べ120億18百万円減少し、255億60百万円となり、親会社株主に帰属する当期純損失は、前連結会計年度に比べ289億53百万円減少し、231億81百万円となりました。
② 財政状態の分析
a. 資産
資産の部は、前連結会計年度末に比べ382億64百万円減少し、1,960億52百万円となりました。流動資産は、現金及び預金、受取手形及び売掛金、たな卸資産の減少等により263億21百万円減少しました。固定資産は、固定資産の売却等により119億42百万円減少しました。
b. 負債
負債の部は、前連結会計年度末に比べ37億36百万円減少し、1,365億43百万円となりました。流動負債は、支払手形及び買掛金、電子記録債務の減少等により91億93百万円減少し、固定負債は、IFRS第16号「リース」の適用によるリース債務の増加等により54億57百万円増加しました。
c. 純資産
純資産の部は、前連結会計年度末に比べ345億27百万円減少し、595億9百万円となりました。株主資本は、親会社株主に帰属する当期純損失、IFRS第16号「リース」の適用による累積的影響から利益剰余金が減少したことにより、360億97百万円減少しました。その他の包括利益累計額は、土地再評価差額金の取崩し等により30億8百万円増加しました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりです。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、主に新規出店および既存店舗の改装等の設備投資や、システム投資によるものです。
これらの運転資金や投資資金は、基本的に自己資金により充当していますが、必要に応じて資金調達を行っています。
また、当社グループの資金の状況については、「3 経営者による財政状態 経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(5) 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しています。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、特に重要と考えられるものは以下のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 追加情報」に記載しています。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、将来の課税所得の見積り額が減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損損失の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が固定資産の帳簿価額を下回る場合に、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。減損損失の兆候の把握、認識および測定にあたっては慎重に検討していますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(6) 経営者の問題意識と今後の方針について
① 会社の経営の基本方針
当社グループは、「人々の生活に潤いと彩りを与えるおしゃれの世界」を事業領域に定め、「ファッション」を生活文化として提案することによって新しい価値やライフスタイルを創造し、人々の豊かな生活づくりへ貢献することを経営理念としてきました。
また、2021年4月に策定した当社グループの中期経営ビジョン「ONWARD VISION 2030」の中で、今までの経営理念の上に、地球環境の潤いと彩りを大切にするサステナブル経営の理念を重ね合わせた、「ヒトと地球(ほし)に潤いと彩りを」という新しいミッションステートメントを定めました。
当社グループを取り巻く経営環境が構造的に大きく変化する中、「社員の多様な個性を生かしたお客さま中心の経営」を日々実践し、「お客さまにとっての価値をお客さま自身と共創できる企業」へと進化するために、グループ社員一丸となって努力を続けていきます。
② 目標とする経営指標
当社グループは、成長性と収益性を高め、継続的・安定的に企業価値の向上をはかることが株主重視の経営と認識し、売上の拡大と効率的な経営をより推進して、中長期的には売上高や各利益率指標の更なる向上をめざすとともに、株本の投資効率を高め、ROE8%を早期に実現したうえで、将来的にROE10%以上の水準をめざします。
また、当社グループでは、新規事業の創出やM&A等を活用した事業基盤の強化・拡大による成長を加速していく中で、会計基準の差異にとらわれることなく企業比較を容易にすることを目的とし、EBITDA(営業利益+減価償却費およびのれん償却費)を経営指標としています。
なお、当連結会計年度のEBITDAは△153億43百万円(前年同期は50億79百万円)となりました。
③ 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、「社員の多様な個性を生かしたお客さま中心の経営」への進化をめざし、「アパレルセグメントのビジネスモデル改革」「ライフスタイルセグメントの成長の加速」「法人ビジネスの強化」「多様で個性的な人財が活躍できる企業への進化」「地球と共生するサステナブル経営の推進」を2030年度に向けた5つの戦略とし、事業規模の拡大と経営基盤を強化し、企業価値の一層の向上をはかっていきます。