有価証券報告書

【提出】
2024/06/21 14:59
【資料】
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【項目】
156項目
38. ジョイント・アレンジメント(共同支配の取決め)及び関連会社
(1) 企業の議決権の過半数を保有しているが支配していないと判断している企業
MI Berau B.V.(MI Berau社)
連結会社は、Tangguh LNGプロジェクトとよばれるインドネシアでのLNG事業に参画しているMI Berau社(オランダ企業)の株式を56%保有しており、株式会社INPEX(以下「インペックス社」)が株式を44%保有しています。インペックス社との合弁契約書において、MI Berau社の経営上の重要事項の決定に関しては連結会社に加えて、インペックス社の同意を必要とする旨が規定されています。合弁契約書にて付与された権利により、インペックス社はMI Berau社に対して、実質的な参加権を保有しており、連結会社は、単独での支配権を行使する立場にないため、ジョイント・ベンチャーとして、連結会社はMI Berau社に対して持分法を適用しています。
Sulawesi LNG Development Ltd.(Sulawesi LNG Development社)
連結会社は、Donggi Senoro LNGプロジェクトとよばれるインドネシアでのLNG事業に出資しているSulawesi LNG Development社(イギリス企業)の株式を75%保有しており、韓国ガス公社が株式を25%保有しています。韓国ガス公社との株主間協定書において、Sulawesi LNG Development社の経営上の重要事項の決定に関しては連結会社に加えて、韓国ガス公社の同意を必要とする旨が規定されています。株主間協定書にて付与された権利により、韓国ガス公社はSulawesi LNG Development社に対して、実質的な参加権を保有しており、連結会社は、単独での支配権を行使する立場にないため、ジョイント・ベンチャーとして、連結会社はSulawesi LNG Development社に対して持分法を適用しています。
ディーアールアイ・ジーピー2株式会社連結会社は、Grand Park Phase3とよばれるベトナムのホーチミン市郊外における都市開発事業に出資しているディーアールアイ・ジーピー2株式会社(日本企業)の株式を51%保有しており、野村不動産株式会社が株式を49%保有しています。野村不動産株式会社との株主間協定書において、ディーアールアイ・ジーピー2株式会社の経営上の重要事項の決定に関しては連結会社に加えて、野村不動産株式会社の同意を必要とする旨が規定されています。株主間協定書にて付与された権利により、野村不動産株式会社はディーアールアイ・ジーピー2株式会社に対して、実質的な参加権を保有しており、連結会社は、単独での支配権を行使する立場にないため、ジョイント・ベンチャーとして、連結会社はディーアールアイ・ジーピー2株式会社に対して持分法を適用しています。
Nexamp, Inc.(Nexamp社)
連結会社は、米国で分散型太陽光発電事業に取り組むNexamp社の株式を58.3%保有しています。株主間協定書において、Nexamp社の経営上の重要事項の決定に関しては、連結会社に加えて、Manulife Investment Management及びGenerate Capitalの同意を必要とする旨が規定されています。株主間協定書にて付与された権利により、Manulife Investment Management及びGenerate CapitalはNexamp社に対して、実質的な参加権を保有しており、連結会社は、単独での支配権を行使する立場にないため、ジョイント・ベンチャーとして、連結会社はNexamp社に対して持分法を適用しています。
(2) 議決権比率が20%未満であるが重要な影響力を有していると判断している企業
Olam Group Limited(Olam社)
連結会社は、在シンガポール農産物事業会社Olam社の株式を14.56%保有しています。2017年度に、Olam社(当時Olam International Limited)の発行する新株予約権付社債が行使されたことにより連結会社の持分が希釈化し、議決権比率が20%未満となりましたが、連結会社は派遣する取締役等を通じてOlam社の営業及び財務の方針に重要な影響力を有していることから、Olam社に対して持分法を適用しています。
三菱HCキャピタル株式会社
連結会社は、三菱HCキャピタル株式会社の株式を18.40%保有しています。連結会社が同社に対して保有する議決権比率は20%未満ですが、同社の株主構成が三菱UFJフィナンシャル・グループ及び連結会社を除き広く分散しており、その持分の相対的な重要性が高いことに加え、連結会社が同社に派遣する取締役やアセットファイナンス等の主要なビジネス領域の執行役員を通じて、同社に対する重要な影響力(営業及び財務の方針の決定に参加するパワー)を有していることから、同社に対して持分法を適用しています。
(3) 重要な共同支配の取り決め
BMA原料炭事業
連結会社は、100%出資子会社のMitsubishi Development Pty Ltd(以下「MDP社」)において、炭鉱開発(製鉄用の原料炭)に取り組んでおり、MDP社を通じ、豪州クイーンズランド州BMA原料炭事業の50%の権益を保有し、パートナーのBHP社(BHP Group Limited, 本社:豪州メルボルン)と共にジョイント・オペレーションを運営しています。現在では、BMAは世界最大規模の原料炭事業に成長しています。また、当連結会計年度末のMDP社の有形固定資産帳簿価額は962,746百万円となっています。
(4) ジョイント・ベンチャー及び関連会社に対する持分の変動額
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
当期純利益
ジョイント・ベンチャー260,500134,174
関連会社239,680310,211
小計500,180444,385
その他の包括利益187,14177,878
包括利益合計687,321522,263

持分法で会計処理される投資の減損損失
前連結会計年度において、連結会社は、20.4%出資するチリ国銅資源権益保有会社アングロ・アメリカン・スール社(Anglo American Sur S.A. 、本社:チリ国サンチャゴ、以下「アングロスール社」)宛ての投資について、事業計画の見直しに伴い鉱山の開発スケジュールの遅延が判明したことなどを背景に、37,095百万円の減損損失を「持分法による投資損益」を通じて計上しました。これらの損失は、金属資源セグメントの連結純利益に含まれています。この結果、前連結会計年度末のアングロスール社宛て投資の帳簿価額は144,863百万円となりました。
銅は、将来の脱炭素社会への移行に不可欠な資源であり、今後需要の拡大が期待される一方、供給は主に既存鉱山の生産量減少や、開発案件における開発難度の上昇及び操業中案件の品位低下等に起因し供給制約が高まる状況にあり、中長期的な需給はタイト化が見込まれます。
アングロスール社が保有する銅鉱山についても、将来的な銅資源量のポテンシャルは依然として高いと判断しているものの、2022年5月に開発に必要な環境許認可の申請が却下されたことを受け、事業計画への影響につき精査を行いました。その結果、一部の生産鉱区と未開発鉱区における開発スケジュールが遅延する見込みであること、環境対策などのために経済性確保の観点で未開発鉱区の開発難度が従来の想定より高まっていることなどが判明したため、同社保有の銅鉱山について評価前提を見直し、減損を認識しました。なお、環境許認可については、2022年6月に再審査をチリ国環境評価局(SEA)に要求しており、2023年4月に申請内容につき承認されました。減損損失の測定にあたっては当該申請内容を前提とした計画を使用しています。
前連結会計年度において、連結会社は、日本国内において発電所運営事業を行う共同支配企業宛ての投資について、同発電所の設備不具合対策工事に伴う稼働停止の状況を踏まえ、減損の兆候が存在すると判断しました。設備の安定稼働に向けた対策工事のための稼働停止期間を織り込んだ最新の事業計画に基づく減損テストを行った結果、主に工事期間中の売電契約収入減少などを背景に減損損失を、「持分法による投資損益」と「有価証券損益」にそれぞれ12,531百万円、8,338百万円計上しました。これらの損失は、電力ソリューションセグメントの連結純利益に含まれています。
減損テストに用いた回収可能価額は、将来キャッシュ・フローの割引現在価値を基に使用価値に基づいて見積られており、同社宛ての投資において認識した個別資産及び投資の帳簿価額と回収可能価額の差額を、それぞれ損失として認識しています。
当連結会計年度において、連結会社は、日本国内において発電所運営事業を行う共同支配企業宛ての投資について、技術的要因による発電量の低下、及びそれに伴うコストの増加を踏まえ、減損の兆候が存在すると判断しました。最新の事業計画に基づき減損テストを行った結果、売電契約収入の減少やコストの増加を背景に、減損損失を「持分法による投資損益」に8,140百万円計上しています。また、同社宛て貸付金に対する引当金計上に伴う損失2,535百万円を「販売費及び一般管理費」、対応する税効果592百万円(利益)を「法人所得税」として計上しています。これらの損失は、電力ソリューションセグメントの連結純利益に含まれています。
食品産業セグメントの関連会社の株式譲渡前連結会計年度において、連結会社は、食品産業セグメントの関連会社に関する株式全量を売却目的保有資産に分類していました。当連結会計年度において、当該投資に関する配当金の受領及び当該投資の売却に伴う、株式売却益39,660百万円、受取配当金11,849百万円及びこれらに係る法人所得税費用12,078百万円を、それぞれ「有価証券損益」、「金融収益」及び「法人所得税」として計上しており、食品産業セグメントの連結純利益に含まれています。
Mozal SA前連結会計年度において、連結会社は、100%出資子会社のMCA Metals Holding GmbHが25%出資するアルミ製錬事業会社Mozal SA宛ての投資について、2022年10月31日までに全量の売却を完了しました。前連結会計年度において、売却などに伴う利益を「有価証券損益」として12,258百万円計上しており、金属資源セグメントの連結純利益に含まれています。
GAC MITSUBISHI MOTORS
前連結会計年度において、連結会社は、20%出資する自動車製造販売事業会社GAC MITSUBISHI MOTORS宛ての投資について、中国市場での競争が激化する中、販売計画未達が継続しており、収益性が低下する見込みとなったことなどを背景として、18,555百万円の持分損失を「持分法による投資損益」として計上しました。この金額には、同社に30%出資する三菱自動車工業で生じた関連損失に対する連結会社の持分相当額も含まれています。また、同社宛て貸付金及び未実行のローンコミットメントに対する引当金計上に伴う損失7,674百万円を「販売費及び一般管理費」、対応する税効果1,919百万円(利益)を「法人所得税」として計上しました。これらの損失は、自動車・モビリティセグメントの連結純利益に含まれています。
英国電力・ガス小売事業会社
前連結会計年度において、連結会社は、20.54%の議決権を保有し持分法を適用する関連会社である英国電力・ガス小売事業会社について、1%の持分を売却しました。この売却により、連結会社が同社に対して保有する議決権比率が20%未満となり重要な影響力を喪失したため、持分法の適用を中止し、19.54%の残存持分について公正価値(レベル3)で測定するFVTPLの金融資産へと区分変更しました。これにより、1%持分の売却に伴う損益及び、持分法の適用を中止した日現在の残存持分の帳簿価額と、最新の事業計画に基づく将来キャッシュ・フローの現在価値を用いて測定した公正価値との差額の合計22,212百万円(利益)を「有価証券損益」として認識しました。
なお、当英国電力・ガス小売事業会社では電力・ガス調達契約の一部をIFRS第9号「金融商品」に基づく非金融商品項目の売買契約として、英国電力・ガス市場における市場価格に基づき公正価値で測定しています。連結会社は前連結会計年度における持分法の適用を中止するまでの期間において、市場取引価格下落に伴う公正価値評価損を含む損失21,117百万円を「持分法による投資損益」として計上しました。
これらの損益は、電力ソリューションセグメントの連結純利益に含まれています。
(5) 連結会社とジョイント・ベンチャー及び関連会社との間の物品及びサービスの授受
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
物品の販売/サービスの提供720,311707,498
物品の購入/サービスの受領1,457,0541,385,488

(6) 連結会社のジョイント・ベンチャー及び関連会社に対する資産及び負債の残高
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
(資産)
営業債権169,446167,904
貸付金等447,495584,118
(負債)
営業債務252,594250,594
借入金等267,909117,202

上記のほか、前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、ジョイント・ベンチャー及び関連会社に対して339,319百万円及び274,593百万円の信用保証を行っています。
また、ジョイント・ベンチャー及び関連会社に対して254,807百万円及び295,842百万円の販売契約残高、2,064,946百万円及び1,598,939百万円の買付契約残高があります。前連結会計年度末及び当連結会計年度末における買付契約残高には、主にMITSUBISHI CORPORATION RTM INTERNATIONAL PTE. LTD.とAnglo American Quellaveco S.A.との間のペルーケジャベコ銅鉱山から産出される銅精鉱の長期買付契約が含まれています。
キャメロンLNGプロジェクト米国ルイジアナ州のCameron LNG, LLC(以下「CLNG」)を事業主体とする天然ガス液化事業(キャメロンLNGプロジェクト)への投資に関し、連結会社はCLNGの2020年8月の商業生産開始後、20年間にわたる年間約400万トンの天然ガス液化能力を確保するに至り、同時にCLNGに対して天然ガス液化委託費用を支払う義務が生じています。なお、連結会社はCLNGから引き取る予定のLNGの大部分について、既に日本を中心とする需要家と長期の販売契約を締結しています。