有価証券報告書-第71期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次にとおりであります。
①経営成績及び財政状態の状況
当社グループの売上高は、冷凍水産物の取扱高が減少したことにより、76,808百万円(前年同期売上高78,801百万円)と減収となりました。損益面では前述の減収による影響に加え、移転費用の計上や貸倒引当金の積み増し等があったため、営業損失は120百万円(前年同期営業損失235百万円)となり、経常損益は40百万円の経常損失(前年同期38百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損益は64百万円の損失(前年同期385百万円の利益)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(水産物卸売業)
売上高は75,920百万円(前年同期は78,230百万円)、セグメント損失310百万円(前年同期は364百万円のセグメント損失)となりました。
生鮮水産物は、キハダマグロ、サンマ、ブリなどが潤沢に入荷しましたが、カツオ等の取扱減少により、売上高は減少しました。
冷凍水産物は、冷エビや冷ホタテ等の取扱は増加しましたが、冷印度マグロ、冷本マグロ等の入荷減少を取り戻すまでには至らず、売上高は前年と比較して減少しました。
加工水産物は、シラス干等の取扱が増加しましたが、煮ダコ及び蒲焼ウナギの取扱いが減少し、売上高は減少しました。
(冷蔵倉庫業)
築地場内にあった冷蔵庫は、築地市場閉場とともにその役目を終えましたが、閉鎖に向けての取扱量の絞り込みと新市場冷蔵庫への移送費用も掛かり、第2四半期まではセグメント損失を計上しましたが、豊洲市場開場後は、新設した豊洲東市冷蔵庫が収益改善に寄与し、売上高は732百万円(前年同期は415百万円)、セグメント利益は100百万円(前年同期は36百万円のセグメント利益)となりました。
(不動産賃貸業)
売上高、セグメント利益ともに前年並みに推移しました。
当連結会計年度末の当社グループの財政状態は次のとおりであります。
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
(資産)
当連結会計年度末の総資産は17,479百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,524百万円減少しました。流動資産は7,945百万円となり、1,472百万円減少しました。これは主に借入金を返済したことによる現金及び預金が減少したことによるものです。固定資産は9,409百万円となり、62百万円減少しました。これは主に減価償却費による有形固定資産の減少によるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債は11,573百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,314百万円減少しました。流動負債は4,909百万円となり、1,354百万円減少しました。これは主に短期借入金を返済したことによるものです。固定負債は6,663百万円となり、40百万円増加しました。これは主に長期預り保証金の増加によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、その他有価証券評価差額金の縮小により、5,905百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の32.2%から33.8%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は1,626百万円減少し722百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローについては、たな卸資産は増加しましたが、売上債権の減少、仕入債務の増加等により949百万円の収入(前連結会計年度は151百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローについては、投資有価証券、有形及び無形固定資産の取得による支出等で480百万円の支出(前連結会計年度は407百万円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローについては、短期借入金の減少により2,095百万円の支出(前連結会計年度は379百万円の収入)となりました。
(キャッシュ・フローの指標)
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※いずれも連結ベースの財政数値により計算しております。
③仕入及び販売の実績
(a)仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.冷蔵倉庫業、不動産賃貸業に関しては、仕入高に該当するものはありません。
(b)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.上記は、セグメント間取引消去後の金額で記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、連結会計年度末日における資産・負債の計上、ならびに報告期間における収益・費用の計上および開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的・保守的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5経理の状況 1.連結財務諸表等」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
『当社グループの当連結会計年度の経営成績等』は、次のとおりです。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ2.5%減の76,808百万円、営業損益は120百万円の営業損失(前年同期235百万円の営業損失)、経常損益は40百万円の経常損失(前年同期38百万円の経常利益)、親会社株主の帰属する当期純損益は64百万円の損失(前年同期385百万円の利益)となりました。
『当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因』は次のとおりです。
(漁業資源の減少)
我が国の漁業・養殖業生産量は、1984年をピーク(1,282万トン)に1995年にかけて急速に減少し、その後も漸減傾向を辿り2017年の生産量は431万トンにまで減少しています。一時期低迷していたマイワシの漁獲量は増加傾向にあるものの、サンマ・スルメイカの漁獲量の減少が顕著です。その結果、平均産地価格は、2005年に275円/キロ程度であったものが2017年には366円/キロにまで上昇しています。
(世界の水産物消費の増大)
我が国では、「魚離れ」が長らく水産業にとっての課題となっていますが、世界では輸送技術等の発達による流通機能の近代化、生活水準の向上、健康志向の高まり等により、新興国を中心に魚の消費量が増加し続けています。その結果、世界の水産物貿易量の増大には顕著なものがあり、国際的な需要の高まりを受けて、取引価格は上昇基調にあります。また、経済開発協力機構(OECD)は、今後10年間の水産物の国際取引価格について、総じて高値で推移すると予測しています。
(海洋資源保護の動き)
2015年、国連において「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されて以降、IUU漁業(違法・無報告・無規制で行われる漁業)を抑制する観点からの議論が活発化し、各地域漁業管理機関では漁獲量規制、技術的規制等の実効性のある資源管理の議論が行なわれています。特に、カツオ・マグロ類は、世界のすべての海域で、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)等による資源管理が行なわれており、カツオ・マグロ類以外のサンマ・サバ等の水産資源についても、保存と持続的利用を目的とした関係国間の調整が活発化しています。
(水産物消費量の減退)
国内の食用魚介類の1人当たりの消費量は、40代以下世代の若年層の肉類の消費増大、高齢化の進行、消費形態の変化に伴い加工品へ需要がシフトしていることにより、2001年の40.2㎏/年をピークに2017年には24.4㎏/年まで減少し、これに伴って国内流通量も減少しています。また、漁業者・産地出荷業者と小売業者等との産地直送取引や、インターネットを通じた消費者への直販等、市場外流通が増えています。この結果、近年、消費地市場の経由率は年々低下してきています。
(卸売市場法の改正)
卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部の改正が2018年6月15日に可決成立しました。卸売市場法改正については公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日、食品流通構造改善促進法改正(「食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律」に題名を改正)については公布の日から起算して6ヶ月を超えない範囲内において政令で定める日に施行される見込みです。
改正法は、差別的取扱いの禁止等の基本取引ルールに変更はありませんが、卸売市場を許可制から共通の取引ルールを順守する認定制に移行し、原則禁止から原則自由への転換が図られ、卸売市場ごとに、仲卸業者による直荷引き、卸売業者による第三者販売等の取引ルールを設定することが可能になる見込みです。
(卸売市場移転による影響)
東京都中央卸売市場築地市場は、2016年11月7日に豊洲新市場へ移転する予定でしたが、同年8月31日に東京都知事によって豊洲新市場の安全性への懸念などから、移転延期が発表されました。その後、2017年6月20日、都知事は専門家委員会等の検討結果を踏まえ市場移転の基本方針を表明し、さらに同年12月20日、都知事は新市場のさらなる安全性の向上を図るための追加対策工事を実施し、2018年10月11日、豊洲新市場は2年遅れではありますが無事に開場しました。この市場移転の約2年の延期で、『CHALLENGE-2020』の『“フェーズⅡ”=移転後の機能拡充期間(2年間)』を時間軸とおりに推進することは困難となり、前述の『CHALLENGE-2020』の最終目標の修正を余儀なくされました。
移転後の豊洲市場での業務については、新設した冷蔵庫運営を含め、開場当初は多少の混乱があったものの、今後は当社が新規設備投資した、市場特有の多機能型冷蔵庫並びに併設した加工場を有機的に活用することによって、当社グループの機能拡充が図れるものと確信しています。
(当社の役割)
卸売市場には、集荷・分荷機能、価格形成機能、決済機能、情報受発信機能を果たす重要な役割がありますが、豊洲新市場はそれら機能に加え、適切な温度管理と品質、衛生管理を強化した閉鎖型施設で、効率的な物流動線と多様なニーズに対応する加工設備を装備した、より安心・安全に配慮した卸売市場として誕生しました。
当社グループは、新市場の装備を如何なく活用し、生産者・出荷者に対し消費者・実需者のニーズを、これまで以上に迅速・的確にフィードバックしタイムリーな集荷と販売に努め、新設した多機能型冷蔵庫の活用や消費地加工能力の増強などを通じて、卸売会社としての機能拡充を目指して参ります。
また、当社は、海洋資源の保護と持続可能な漁業普及の一環として、2016年に国際的な天然水産物向けエコラベル「MSC」、その養殖版「ASC」の各流通認証を取得、さらに2017年には国内漁業主体の水産認証「MEL」、続いて2018年「AEL」の各流通認証も取得して、日本における4大水産認証をすべて揃えました。さらに、当社子会社の北海道にある㈱キタショク及び豊洲場内の共同水産㈱においても、MSC,ASCのCOC(流通加工管理)認証を取得し、当社グループは原料入手から、加工、販売まで一貫した体制を構築致しております。また、2019年4月、グループ会社を横断する形で物流委員会を設置、グループ会社資産のすべてを有機的に活用することで、生鮮冷凍物流通網を構築していくことを目指していきます。
今後も豊かな海を守り、持続性ある水産業を応援し、さらに出荷者や買受人に信頼されるサプライチェーンを構築していくことで、当社グループは社会に貢献していきます。
なお、卸売市場法の改正の動きにつきましては、今後の動向を見定めて適時適確に対応してまいります。
『当社グループの資本の財源および資金の流動性』については、次のとおりです。
当社グループは、豊洲新市場が開設予定であった2016年11月までに、豊洲新市場において冷蔵庫や活魚漕、加工設備などを建設し、約6,000百万円の設備投資を実施いたしました。このうち、新設冷蔵庫の資金約5,300百万円については、2017年3月期までに、移転に伴い東京都が実施した大規模事業者融資制度(3年返済据置、12年の元金均等返済条件)を利用して調達、残り約700百万円は自己資金で賄っています。
従って、当連結会計年度末のネット借入金(長・短借入金から現預金を控除したもの)は5,167百万円となっていますが、2014年度から開始した『CHALLENGE-2020』期間中の過去5年間の営業キャッシュ・フローは合計約3,292百万円となり、当連結会計年度末のネットDEレシオ(ネット借入金と純資産との倍率)は1倍以下(0.9倍)で、財務内容は引続き健全と判断しています。
また、豊洲新設冷蔵庫に係る借入金の返済につきましては、新市場移転の延期に伴って、2020年からとなり、新設冷蔵庫が生み出すキャッシュ・フローによって充分返済が可能と判断しています。
なお、上述のとおり必要な設備投資は一段落しましたので、当面、財政状態に大きな影響を与える重要な新規設備投資の計画はありません。
『経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等』については、次のとおりです。
2019年3月期の連結ベースの実績は、売上高76,808百万円、経常損失40百万円、親会社株主に帰属する当期純損失64百万円、純資産5,905百万円、自己資本比率33.8%となっており、『CHALLENGE-2020』は“フェーズⅢ”の2か年を残すものの、2年間の市場移転の延期によって、新設冷蔵庫の稼働利益の喪失と、築地場内冷蔵庫の低稼働による損失に加え、予定していた新規取引も流動的となるなど、当初事業計画の推進の遅れによる影響は甚だ大きいものがありました。
したがいまして、『CHALLENGE-2020』の連結ベースの最終目標(2021年3月期)を、市場移転が遅延したこと、また2019年3月期の実績及び今後の事業環境を勘案し、目標数値の修正をしております。
上記修正目標数値を目指し、新設冷蔵庫を含めた、グループ資産の有効活用、リスクマネジメントの徹底、営業利益の黒字安定化、財務基盤の強化、そして安定配当を維持していきます。
『セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容』は、次のとおりです。
(水産物卸売業)
水産物卸売業のセグメントは、売上高は前年同期比3.0%減の75,920百万円、セグメント損失310百万円(前年同期364百万円の損失)となっており、本セグメントの収益力の回復を図ることが重要課題と考えています。
しかしながら、供給サイドでは国内生産量が天候不順・資源保護問題や漁業従事者の高齢化等を要因として、魚種別にバラツキはあるものの、関係者の懸命な努力にもかかわらず減少傾向を辿り、また、冷凍水産物の輸入も、国際的な価格競争の激化により減少しています。一方、需要サイドでは消費者の「魚離れ」や「高齢化」等により需要が減退し、市場規模の縮小から同業間の競争が激化しており、消費者ニーズの多様化もあって厳しい業界環境が継続しています。
従って、当社グループは、中央市場の荷受会社として生鮮流通に強みを持っており、その優位性を活かしたビジネスチャンスの拡大を志向すると同時に、子会社共同水産㈱(加工販売業)や築地市川水産㈱(大手仲卸業)の機能拡充を図り、豊洲新市場に新設した多機能型冷蔵庫を梃子にした商流拡大に取り組んでまいります。
また、天然魚の漁獲が不安定かつ減少傾向にあることから、安定した出荷が見込める養殖魚の取扱拡充が不可欠と考えており、養殖魚出荷業者との連携を強化してまいります。
水産物取引は市況変動リスクを避けては通れませんが、タイムリーな集荷と在庫リスクの軽減に努め、与信管理を強化するなど、引続き、リスクマネジメントにも意を用いて、収益力のあるセグメントへの転換に向け努力を傾注していきます。
(冷蔵倉庫業)
冷蔵倉庫業のセグメント売上高は、732百万円、セグメント利益は100百万円(前年同期は36百万円のセグメント利益)となっています。
豊洲新市場に新設した冷蔵庫は、鮮魚荷捌き場、C(+5℃)~F(-25℃)~SF(-60℃)の各温度帯の保管設備、水産加工場、製氷機、事務所等を装備した、市場特有の多機能型冷蔵庫となっており、仲卸業者等からのスペースの引き合いも強く安定収益が見込めることから、当社の新市場での強力な武器になるものと判断しています。
子会社豊海東市冷蔵㈱は、使用する冷蔵庫が建設後45年経過し、設備老朽化によるリニューアルが必要な時期が到来しています。同冷蔵庫は豊洲新市場にも近接立地していることから、新市場の補完機能として活用することも含め、再整備、改修、転用等を今後検討してまいります。
(不動産賃貸業)
不動産賃貸業のセグメント売上高は、前年並みの155百万円、セグメント利益は89百万円(前年同期が92百万円のセグメント利益)となっています。なお、当面、新規に資産を取得する計画はありません。
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次にとおりであります。
①経営成績及び財政状態の状況
当社グループの売上高は、冷凍水産物の取扱高が減少したことにより、76,808百万円(前年同期売上高78,801百万円)と減収となりました。損益面では前述の減収による影響に加え、移転費用の計上や貸倒引当金の積み増し等があったため、営業損失は120百万円(前年同期営業損失235百万円)となり、経常損益は40百万円の経常損失(前年同期38百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損益は64百万円の損失(前年同期385百万円の利益)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(水産物卸売業)
売上高は75,920百万円(前年同期は78,230百万円)、セグメント損失310百万円(前年同期は364百万円のセグメント損失)となりました。
生鮮水産物は、キハダマグロ、サンマ、ブリなどが潤沢に入荷しましたが、カツオ等の取扱減少により、売上高は減少しました。
冷凍水産物は、冷エビや冷ホタテ等の取扱は増加しましたが、冷印度マグロ、冷本マグロ等の入荷減少を取り戻すまでには至らず、売上高は前年と比較して減少しました。
加工水産物は、シラス干等の取扱が増加しましたが、煮ダコ及び蒲焼ウナギの取扱いが減少し、売上高は減少しました。
(冷蔵倉庫業)
築地場内にあった冷蔵庫は、築地市場閉場とともにその役目を終えましたが、閉鎖に向けての取扱量の絞り込みと新市場冷蔵庫への移送費用も掛かり、第2四半期まではセグメント損失を計上しましたが、豊洲市場開場後は、新設した豊洲東市冷蔵庫が収益改善に寄与し、売上高は732百万円(前年同期は415百万円)、セグメント利益は100百万円(前年同期は36百万円のセグメント利益)となりました。
(不動産賃貸業)
売上高、セグメント利益ともに前年並みに推移しました。
当連結会計年度末の当社グループの財政状態は次のとおりであります。
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
(資産)
当連結会計年度末の総資産は17,479百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,524百万円減少しました。流動資産は7,945百万円となり、1,472百万円減少しました。これは主に借入金を返済したことによる現金及び預金が減少したことによるものです。固定資産は9,409百万円となり、62百万円減少しました。これは主に減価償却費による有形固定資産の減少によるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債は11,573百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,314百万円減少しました。流動負債は4,909百万円となり、1,354百万円減少しました。これは主に短期借入金を返済したことによるものです。固定負債は6,663百万円となり、40百万円増加しました。これは主に長期預り保証金の増加によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、その他有価証券評価差額金の縮小により、5,905百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の32.2%から33.8%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は1,626百万円減少し722百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローについては、たな卸資産は増加しましたが、売上債権の減少、仕入債務の増加等により949百万円の収入(前連結会計年度は151百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローについては、投資有価証券、有形及び無形固定資産の取得による支出等で480百万円の支出(前連結会計年度は407百万円の支出)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローについては、短期借入金の減少により2,095百万円の支出(前連結会計年度は379百万円の収入)となりました。
(キャッシュ・フローの指標)
| 2015年3月期 | 2016年3月期 | 2017年3月期 | 2018年3月期 | 2019年3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 35.9 | 43.1 | 31.8 | 32.2 | 33.8 |
| 時価ベースの株主資本比率(%) | 24.3 | 21.3 | 14.3 | 13.9 | 12.8 |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 3.5 | 3.6 | 430.4 | 52.0 | 6.2 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 24.9 | 24.3 | 1.92 | 31.2 | 51.1 |
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※いずれも連結ベースの財政数値により計算しております。
③仕入及び販売の実績
(a)仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | |
| 金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
| 水産物卸売業 | 72,999 | 97.1 |
| 冷蔵倉庫業 | - | - |
| 不動産賃貸業 | - | - |
| 合計 | 72,999 | 97.1 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.冷蔵倉庫業、不動産賃貸業に関しては、仕入高に該当するものはありません。
(b)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | |
| 金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
| 水産物卸売業 | 75,920 | 97.0 |
| 冷蔵倉庫業 | 732 | 176.2 |
| 不動産賃貸業 | 155 | 99.8 |
| 合計 | 76,808 | 97.5 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.上記は、セグメント間取引消去後の金額で記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、連結会計年度末日における資産・負債の計上、ならびに報告期間における収益・費用の計上および開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的・保守的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5経理の状況 1.連結財務諸表等」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
『当社グループの当連結会計年度の経営成績等』は、次のとおりです。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ2.5%減の76,808百万円、営業損益は120百万円の営業損失(前年同期235百万円の営業損失)、経常損益は40百万円の経常損失(前年同期38百万円の経常利益)、親会社株主の帰属する当期純損益は64百万円の損失(前年同期385百万円の利益)となりました。
『当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因』は次のとおりです。
(漁業資源の減少)
我が国の漁業・養殖業生産量は、1984年をピーク(1,282万トン)に1995年にかけて急速に減少し、その後も漸減傾向を辿り2017年の生産量は431万トンにまで減少しています。一時期低迷していたマイワシの漁獲量は増加傾向にあるものの、サンマ・スルメイカの漁獲量の減少が顕著です。その結果、平均産地価格は、2005年に275円/キロ程度であったものが2017年には366円/キロにまで上昇しています。
(世界の水産物消費の増大)
我が国では、「魚離れ」が長らく水産業にとっての課題となっていますが、世界では輸送技術等の発達による流通機能の近代化、生活水準の向上、健康志向の高まり等により、新興国を中心に魚の消費量が増加し続けています。その結果、世界の水産物貿易量の増大には顕著なものがあり、国際的な需要の高まりを受けて、取引価格は上昇基調にあります。また、経済開発協力機構(OECD)は、今後10年間の水産物の国際取引価格について、総じて高値で推移すると予測しています。
(海洋資源保護の動き)
2015年、国連において「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されて以降、IUU漁業(違法・無報告・無規制で行われる漁業)を抑制する観点からの議論が活発化し、各地域漁業管理機関では漁獲量規制、技術的規制等の実効性のある資源管理の議論が行なわれています。特に、カツオ・マグロ類は、世界のすべての海域で、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)等による資源管理が行なわれており、カツオ・マグロ類以外のサンマ・サバ等の水産資源についても、保存と持続的利用を目的とした関係国間の調整が活発化しています。
(水産物消費量の減退)
国内の食用魚介類の1人当たりの消費量は、40代以下世代の若年層の肉類の消費増大、高齢化の進行、消費形態の変化に伴い加工品へ需要がシフトしていることにより、2001年の40.2㎏/年をピークに2017年には24.4㎏/年まで減少し、これに伴って国内流通量も減少しています。また、漁業者・産地出荷業者と小売業者等との産地直送取引や、インターネットを通じた消費者への直販等、市場外流通が増えています。この結果、近年、消費地市場の経由率は年々低下してきています。
(卸売市場法の改正)
卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部の改正が2018年6月15日に可決成立しました。卸売市場法改正については公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日、食品流通構造改善促進法改正(「食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律」に題名を改正)については公布の日から起算して6ヶ月を超えない範囲内において政令で定める日に施行される見込みです。
改正法は、差別的取扱いの禁止等の基本取引ルールに変更はありませんが、卸売市場を許可制から共通の取引ルールを順守する認定制に移行し、原則禁止から原則自由への転換が図られ、卸売市場ごとに、仲卸業者による直荷引き、卸売業者による第三者販売等の取引ルールを設定することが可能になる見込みです。
(卸売市場移転による影響)
東京都中央卸売市場築地市場は、2016年11月7日に豊洲新市場へ移転する予定でしたが、同年8月31日に東京都知事によって豊洲新市場の安全性への懸念などから、移転延期が発表されました。その後、2017年6月20日、都知事は専門家委員会等の検討結果を踏まえ市場移転の基本方針を表明し、さらに同年12月20日、都知事は新市場のさらなる安全性の向上を図るための追加対策工事を実施し、2018年10月11日、豊洲新市場は2年遅れではありますが無事に開場しました。この市場移転の約2年の延期で、『CHALLENGE-2020』の『“フェーズⅡ”=移転後の機能拡充期間(2年間)』を時間軸とおりに推進することは困難となり、前述の『CHALLENGE-2020』の最終目標の修正を余儀なくされました。
移転後の豊洲市場での業務については、新設した冷蔵庫運営を含め、開場当初は多少の混乱があったものの、今後は当社が新規設備投資した、市場特有の多機能型冷蔵庫並びに併設した加工場を有機的に活用することによって、当社グループの機能拡充が図れるものと確信しています。
(当社の役割)
卸売市場には、集荷・分荷機能、価格形成機能、決済機能、情報受発信機能を果たす重要な役割がありますが、豊洲新市場はそれら機能に加え、適切な温度管理と品質、衛生管理を強化した閉鎖型施設で、効率的な物流動線と多様なニーズに対応する加工設備を装備した、より安心・安全に配慮した卸売市場として誕生しました。
当社グループは、新市場の装備を如何なく活用し、生産者・出荷者に対し消費者・実需者のニーズを、これまで以上に迅速・的確にフィードバックしタイムリーな集荷と販売に努め、新設した多機能型冷蔵庫の活用や消費地加工能力の増強などを通じて、卸売会社としての機能拡充を目指して参ります。
また、当社は、海洋資源の保護と持続可能な漁業普及の一環として、2016年に国際的な天然水産物向けエコラベル「MSC」、その養殖版「ASC」の各流通認証を取得、さらに2017年には国内漁業主体の水産認証「MEL」、続いて2018年「AEL」の各流通認証も取得して、日本における4大水産認証をすべて揃えました。さらに、当社子会社の北海道にある㈱キタショク及び豊洲場内の共同水産㈱においても、MSC,ASCのCOC(流通加工管理)認証を取得し、当社グループは原料入手から、加工、販売まで一貫した体制を構築致しております。また、2019年4月、グループ会社を横断する形で物流委員会を設置、グループ会社資産のすべてを有機的に活用することで、生鮮冷凍物流通網を構築していくことを目指していきます。
今後も豊かな海を守り、持続性ある水産業を応援し、さらに出荷者や買受人に信頼されるサプライチェーンを構築していくことで、当社グループは社会に貢献していきます。
なお、卸売市場法の改正の動きにつきましては、今後の動向を見定めて適時適確に対応してまいります。
『当社グループの資本の財源および資金の流動性』については、次のとおりです。
当社グループは、豊洲新市場が開設予定であった2016年11月までに、豊洲新市場において冷蔵庫や活魚漕、加工設備などを建設し、約6,000百万円の設備投資を実施いたしました。このうち、新設冷蔵庫の資金約5,300百万円については、2017年3月期までに、移転に伴い東京都が実施した大規模事業者融資制度(3年返済据置、12年の元金均等返済条件)を利用して調達、残り約700百万円は自己資金で賄っています。
従って、当連結会計年度末のネット借入金(長・短借入金から現預金を控除したもの)は5,167百万円となっていますが、2014年度から開始した『CHALLENGE-2020』期間中の過去5年間の営業キャッシュ・フローは合計約3,292百万円となり、当連結会計年度末のネットDEレシオ(ネット借入金と純資産との倍率)は1倍以下(0.9倍)で、財務内容は引続き健全と判断しています。
また、豊洲新設冷蔵庫に係る借入金の返済につきましては、新市場移転の延期に伴って、2020年からとなり、新設冷蔵庫が生み出すキャッシュ・フローによって充分返済が可能と判断しています。
なお、上述のとおり必要な設備投資は一段落しましたので、当面、財政状態に大きな影響を与える重要な新規設備投資の計画はありません。
『経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等』については、次のとおりです。
2019年3月期の連結ベースの実績は、売上高76,808百万円、経常損失40百万円、親会社株主に帰属する当期純損失64百万円、純資産5,905百万円、自己資本比率33.8%となっており、『CHALLENGE-2020』は“フェーズⅢ”の2か年を残すものの、2年間の市場移転の延期によって、新設冷蔵庫の稼働利益の喪失と、築地場内冷蔵庫の低稼働による損失に加え、予定していた新規取引も流動的となるなど、当初事業計画の推進の遅れによる影響は甚だ大きいものがありました。
したがいまして、『CHALLENGE-2020』の連結ベースの最終目標(2021年3月期)を、市場移転が遅延したこと、また2019年3月期の実績及び今後の事業環境を勘案し、目標数値の修正をしております。
| 『CHALLENGE-2020』 (連結ベース) | 修正目標数値 2021年3月期 | 当年度実績 2019年3月期 |
| 売上高 | 77,000百万円 | 76,808百万円 |
| 経常利益 | 250百万円 | △40百万円 |
| 当期純利益 | 200百万円 | △64百万円 |
| 総資産 | 17,500百万円 | 17,479百万円 |
| 純資産 | 6,200百万円 | 5,905百万円 |
| 自己資本比率 | 35.0% | 33.8% |
上記修正目標数値を目指し、新設冷蔵庫を含めた、グループ資産の有効活用、リスクマネジメントの徹底、営業利益の黒字安定化、財務基盤の強化、そして安定配当を維持していきます。
『セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容』は、次のとおりです。
(水産物卸売業)
水産物卸売業のセグメントは、売上高は前年同期比3.0%減の75,920百万円、セグメント損失310百万円(前年同期364百万円の損失)となっており、本セグメントの収益力の回復を図ることが重要課題と考えています。
しかしながら、供給サイドでは国内生産量が天候不順・資源保護問題や漁業従事者の高齢化等を要因として、魚種別にバラツキはあるものの、関係者の懸命な努力にもかかわらず減少傾向を辿り、また、冷凍水産物の輸入も、国際的な価格競争の激化により減少しています。一方、需要サイドでは消費者の「魚離れ」や「高齢化」等により需要が減退し、市場規模の縮小から同業間の競争が激化しており、消費者ニーズの多様化もあって厳しい業界環境が継続しています。
従って、当社グループは、中央市場の荷受会社として生鮮流通に強みを持っており、その優位性を活かしたビジネスチャンスの拡大を志向すると同時に、子会社共同水産㈱(加工販売業)や築地市川水産㈱(大手仲卸業)の機能拡充を図り、豊洲新市場に新設した多機能型冷蔵庫を梃子にした商流拡大に取り組んでまいります。
また、天然魚の漁獲が不安定かつ減少傾向にあることから、安定した出荷が見込める養殖魚の取扱拡充が不可欠と考えており、養殖魚出荷業者との連携を強化してまいります。
水産物取引は市況変動リスクを避けては通れませんが、タイムリーな集荷と在庫リスクの軽減に努め、与信管理を強化するなど、引続き、リスクマネジメントにも意を用いて、収益力のあるセグメントへの転換に向け努力を傾注していきます。
(冷蔵倉庫業)
冷蔵倉庫業のセグメント売上高は、732百万円、セグメント利益は100百万円(前年同期は36百万円のセグメント利益)となっています。
豊洲新市場に新設した冷蔵庫は、鮮魚荷捌き場、C(+5℃)~F(-25℃)~SF(-60℃)の各温度帯の保管設備、水産加工場、製氷機、事務所等を装備した、市場特有の多機能型冷蔵庫となっており、仲卸業者等からのスペースの引き合いも強く安定収益が見込めることから、当社の新市場での強力な武器になるものと判断しています。
子会社豊海東市冷蔵㈱は、使用する冷蔵庫が建設後45年経過し、設備老朽化によるリニューアルが必要な時期が到来しています。同冷蔵庫は豊洲新市場にも近接立地していることから、新市場の補完機能として活用することも含め、再整備、改修、転用等を今後検討してまいります。
(不動産賃貸業)
不動産賃貸業のセグメント売上高は、前年並みの155百万円、セグメント利益は89百万円(前年同期が92百万円のセグメント利益)となっています。なお、当面、新規に資産を取得する計画はありません。