有価証券報告書-第68期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/26 15:41
【資料】
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【項目】
104項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
(経営理念)
一、人命の根源たる食品の流通を通して社会に奉仕し、衆知を結集して価値ある流通機能の創造に努めよう。
一、会社は、社会の公器であり、社員の福祉向上を願う開かれた広場である。私心を捨てて、真に生きがいの
場としよう。
(中長期で目指す姿)
当社グループは、10年後を見据えた長期構想を「『いただきますの笑顔』のために日本の食品流通を変革する
会社 ~機能でも、規模でも全国トップクラスを目指す~」と定めております。
(2)経営戦略等
当社グループは2019年度を目標年度とする中期経営計画「変革2019 ~日本の中のマルイチを目指して~」を策定し、目指す姿として「価値ある食品流通機能の創造に向け、変化に挑戦し続けている全員活躍企業」を掲げました。
目指す姿の実現に向けまして、資源の有効利用を重視しながら価値ある商品を全国に供給するメーカー型卸機能の推進と、地域のお客様から選ばれる問屋機能のさらなる強化を進めてまいります。また、今後の事業拡大に必要な経営人材の育成と、一人ひとりがそれぞれの持ち場で活躍し、組織力が最大限に発揮されている企業の実現に取り組んでまいります。
<中期経営計画「変革2019 ~日本の中のマルイチを目指して~」の基本方針および事業戦略>(目指す姿)
「価値ある食品流通機能の創造に向け、変化に挑戦し続けている全員活躍企業」
1.価値ある食品流通機能
・資源の有効利用を重視しながら価値ある商品を全国に供給するメーカー型卸機能
・地域のお客様から選ばれる問屋機能
2.変化に挑戦/全員活躍企業
・飽くなき挑戦により、今後の事業拡大に必要な経営人材が育成されている
・一人ひとりがそれぞれの持ち場で活躍し、組織力が最大限に発揮されている
(基本戦略)
<成長戦略>①メーカー型卸事業の加速
・当社グループの原料調達力と末端到達力を梃子に好循環を生み出し、規模の拡大を目指します。
②業務提携事業の拡大
・提携先との協業による全国販売と、新規提携事業による調達力と販売力の強化に取り組みます。
<経営基盤の再整備>③経営品質向上のための標準業務の確立
・適切な役割分担、基本動作の徹底、タイムリーな見える化により経営品質の向上を図ります。
④全員活躍企業を実現する制度/働き方改革
・3年後の姿「変化に挑戦し続けている全員活躍企業」に向け、制度・風土改革に取り組みます。
<共通戦略>⑤グループ企業におけるシナジー創出
・各グループ企業が連携してシナジーを創出し、持続的成長を目指します。
(具体的な取組状況等)
中期経営計画の2年目であります平成31年3月期は、成長戦略と事業構造改革を着実に実行し、成果作りに全社を挙げて取り組んでまいります。
水産事業セグメントにおきましては、水産部門では天然魚の減少と相場高に対し、原魚調達から製品化までを当社グループが一元的に行うことで、素材から惣菜化という市場ニーズに対応した商品の開発と販売を推進いたします。また、業務提携先との協業を軸とした販売エリアの拡大に取り組みます。生産性向上に向けましては、水産流通の近代化を目指したIT活用による調達・情報ネットワークの構築など、事業構造改革に取り組んでまいります。デイリー食品部門では、自社開発商品の販路拡大と、顧客の差別化ニーズに応える商品の共同開発などメーカー型卸の推進により売上拡大を図ります。フードサービス事業部では、各事業の原料調達力を活かした業務用マーケット向けの商品開発を推進し、自社開発商品を様々な業種・業態へ販売してまいります。
一般食品事業セグメントにおきましては、㈱丸水長野県水の食品事業統合による生産性向上を活かした長野県内での安定基盤の確立と、長野県外エリアへの販売拡大に向けた事業基盤の強化を図ります。また、オリジナル商品の開発を加速し、ネット通販など販路を広げながら売上拡大を目指します。コスト競争力の強化に向けましては、経営体質のスリム化を目指し、事務機能の集約に取り組んでまいります。
畜産事業セグメントにおきましては、調達面では新たなブランドの立ち上げや国産鶏肉の調達強化等による商品供給基盤の拡大に取り組み、販売面では商品調達力と配荷力に企画力を加えた提案型営業を推進し、関東・東海・北陸エリアへの販売拡大を目指します。事業基盤の拡大に向けましては、顧客からのアウトパック等の要望に対応すべく、メーカー型卸として当社グループ内の流通加工機能の強化を図ります。
丸水長野県水グループセグメントにおきましては、経営の自主性・独自性を維持しつつ、当社グループ内で経営資源を共有することでシナジーを創出しながら、生鮮部門の強化とフルライン卸売事業の拡大に取り組みながら持続的成長を目指してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2019年度を目標年度とする中期経営計画における目標は以下のとおりです。
・売上高:2,600億円
・経常利益: 26億円以上
・親会社株式に帰属する当期純利益:14億円以上
(4)当社グループの現状の認識について
当社グループを取り巻く環境は、雇用・所得環境の改善が続くなど、景気は緩やかな回復基調の継続が期待されるものの、海外経済の不確実性や米国の通商政策の動向などから、依然として先行き不透明な状況が想定されます。食品流通業界におきましては、生活者の根強い生活防衛・節約志向により個人消費の大きな改善は期待できず、ネット通販の拡大に伴う業種・業態の垣根を越えた競争の激化もあり、引き続き厳しい経営環境が続くと予想されます。
生産・調達面では、水産物の世界的な需要増加や水産資源の減少、畜産物における生産農家の減少などの問題に対し、安定的な商品調達ルートの確保が安全・安心な商品流通体制の整備とともに、引き続き最重要の経営課題となっております。
販売面では、高齢化の伸展や単身世帯および働く女性の増加といった社会構造の変化を背景に生活者の食に対するニーズは多様化・高度化しており、これらに応えてゆくための機能や付加価値提案力が求められております。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
①水産における市場外流通への対応と流通経路の短縮化への対応
②生鮮全般における生産者との連携と加工・流通機能との一元化によるSCM(サプライ・チェーン・
マネジメント)の構築
③小売店支援機能の強化による安定した販売営業基盤の確立
④リテールサポート、ロジスティクス、受発注システム等の卸機能の強化と効率化
⑤これらを推進するための人材育成とIT化
⑥継続した業務改善力