有価証券報告書-第47期(令和2年3月1日-令和3年2月28日)

【提出】
2021/05/20 15:07
【資料】
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【項目】
116項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
イ 財政状態
(資産)
流動資産は、前事業年度に比べ、76億85百万円増加し、202億39百万円となりました。これは主に、当事業年度末が金融機関の休業日にあたり、仕入債務等の支払50億98百万円が3月1日となったこと、並びに営業収入に伴う現金及び預金の増加によるものであります。
固定資産は、前事業年度に比べ、1億80百万円増加し、170億73百万円となりました。これは主に、店舗等の設備投資によるものであります。
この結果、総資産は、前事業年度に比べ、78億66百万円増加し、373億13百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前事業年度に比べ、61億17百万円増加し、137億9百万円となりました。これは主に、当事業年度末が金融機関の休業日にあたり、仕入債務等の支払50億98百万円が3月1日となったこと、及び未払法人税等の増加によるものであります。
固定負債は、前事業年度に比べ、63百万円減少し、19億10百万円となりました。
この結果、負債合計は、前事業年度に比べ、60億54百万円増加し、156億19百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前事業年度に比べ、18億12百万円増加し、216億93百万円となりました。
また、1株当たり純資産額は、前事業年度に比べ、285円99銭増加し、3,732円67銭となりました。なお、自己資本比率は、前事業年度に比べ、9.4ポイント減少いたしました。
ロ 経営成績
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴い、国内においても4月に政府が緊急事態宣言を発出、5月の解除後も断続して感染拡大が見られ、1月には2度目の緊急事態宣言が発出されるなど、社会経済活動は引き続き停滞し、非常に厳しい状況となりました。また、同感染症の影響が国内経済を下振れさせるリスク並びに海外経済の動向及び金融資本市場の変動に留意が必要など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当小売業界におきましても、同感染症とそれに伴う自粛の影響により、雇用情勢の悪化や個人所得の減少が消費者マインドへ与える影響が懸念され、今後も厳しい状況が続くものと思われます。さらに、当社を取り巻く経営環境は、食品の取扱比率を高めているドラッグストアや同業店舗間競争の激化、人件費の高騰や低価格志向などの生活防衛意識がこれまでにも増して強まることが予想され、引き続き厳しい状況が続くものと考えられます。
このような状況におきまして当社は、政府・自治体の指針に沿い、お客様及び従業員の安心・安全を最優先に、店内の混雑緩和や店舗における感染拡大防止対策に取り組み、営業活動を継続いたしました。また、第2四半期より、当社の購買データをメーカー等と共有し、販売促進活動に活用するなど、同感染症の影響下におきましても、積極的にマーチャンダイジングの最適化に努め、お客様の満足度向上に取り組みました。加えて、岡崎市及び名古屋市のプレミアム付き商品券事業において、対象地域21店舗にてデジタル商品券を取り扱うなどキャッシュレス決済について、運用ノウハウの蓄積に努めました。
業績面におきまして、上期は、小中学校等の休校や外出自粛の要請に伴う在宅時間の増加を受け、内食需要が高まった結果、売上高は前年を大きく上回りました。また、同感染症への対策費用は増加したものの、店内の混雑緩和の観点から、4月~5月の緊急事態宣言発令期間中に広告の配布等を自粛し販売費が減少した結果、利益面でも前年を大きく上回りました。下期は、引き続き同感染症への対策費用が増加した一方で、各種GoToキャンペーンをはじめとする政策や2度目の緊急事態宣言の発出など、取り巻く環境の変化は目まぐるしく、当社もお客様の購買行動の変化に対応すべく対策を講じましたが、「新しい生活様式」が浸透し、来店頻度が抑制されたことで客数が減少した結果、売上高は前年を下回りました。
店舗政策では、同感染症の影響により内食需要が高まっていた時期を避け、9月に加木屋店・10月に高浜店・11月に乙川店をリニューアルオープンいたしました。また、2月にはテナント区画を含め大規模なリニューアルを行った千代が丘店をオープンいたしました。
販売促進政策では、第1四半期より、生鮮食料品に強みを持つ食品スーパーである当社の特色を前面に打ち出し、月に一度、第2水曜日は鮮魚を中心とした「魚の日」、29日は精肉を中心とした「肉の日」として、旬の食材やお値打ち品を多数取り揃えた企画を実施いたしました。また、当社は本年6月に創業80年を迎えることから、お客様からの永年のご愛顧に感謝し、1月より創業80年を記念した特別セールを実施いたしました。
環境保全・社会貢献活動等の取り組みとしては、資源の節約と自然環境保護を目的とした7月からのレジ袋有料化に先立ち、6月に当社のオリジナルマイバッグを先着30万名様に配布し、レジ袋の削減に取り組みました。また、創業80年を迎えるにあたり、長年にわたり事業活動を行い、多くの従業員の生活拠点でもある地域への感謝の意を込めて、同感染症拡大防止に向けた取組みへの支援を目的に、2月に愛知県等の地方公共団体及び医療機関へ総額80百万円を寄附いたしました。
以上の結果、当事業年度は、営業収益1,061億94百万円(前年同期比2.7%増)、営業利益31億93百万円(前年同期比117.8%増)、経常利益32億63百万円(前年同期比110.2%増)、当期純利益20億51百万円(前年同期比196.4%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の期末残高は、181億35百万円(前年同期比74.2%増)となりました。これは主に、当事業年度末が金融機関の休業日にあたり、仕入債務等の支払50億98百万円が3月1日となったことにより、フリーキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差引いたもの)が、79億65百万円の増加となったこと、財務活動によるキャッシュ・フローが2億38百万円の減少となったことによるものであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、87億40百万円となりました(前事業年度は23億62百万円の資金の増加)。これは主に、営業収入によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、7億75百万円となりました(前事業年度は11億77百万円の資金の減少)。これは主に、店舗等の設備投資によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、2億38百万円となりました(前事業年度は2億95百万円の資金の減少)。これは主に、配当金の支払によるものであります。
(2) 販売及び仕入の状況
当社は、食料品を中心に生活関連用品等の販売を主な事業とする単一セグメントであります。
① 販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当事業年度
(自2020年3月1日~至2021年2月28日)
金額(百万円)前年同期比(%)
小売業106,194102.7
合計106,194102.7

(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。
② 仕入実績
当事業年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当事業年度
(自2020年3月1日~至2021年2月28日)
金額(百万円)前年同期比(%)
小売業83,743100.8
合計83,743100.8

(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。
(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 経営成績の分析
(営業収益)
営業収益は、前事業年度に比べ27億67百万円増加し、1,061億94百万円(前期比2.7%増)となりました。これは主に次の要因によるものであります。売上高の面では、上期において小中学校等の休校や外出自粛の要請に伴う在宅時間の増加を受け、内食需要が高まったこと、また、9月に加木屋店・10月に高浜店・11月に乙川店・2月に千代が丘店をリニューアルオープンしたことによるものであります。その他の営業収入の面では、総合物流センターの通過量及び通過金額の増加により、その他の収入が1億22百万円増加(前期比3.0%増)したことによるものであります。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ3億8百万円増加し、192億10百万円(前期比1.6%増)となりました。これは主に、給与手当及び賞与が3億46百万円増加(前期比4.7%増)したことによるものであります。また、売上高比では前事業年度に比べ0.2ポイント減少し、19.0%(前期19.2%)となりました。
(営業利益)
営業利益は、前事業年度に比べ17億27百万円増加し、31億93百万円(前期比117.8%増)となりました。これは、売上総利益率が1.5ポイント増加したことにより、営業総利益が20億35百万円増加(前期比10.0%増)となったことと、販売費及び一般管理費が3億8百万円増加(前期比1.6%増)したことによるものであります。
(営業外損益)
営業外損益は、前事業年度に比べ16百万円減少し、70百万円(前期比19.0%減)となりました。
(経常利益)
経常利益は、前事業年度に比べ17億11百万円増加し、32億63百万円(前期比110.2%増)となりました。これは、営業利益が増益になったことによるものであります。
(特別損益)
特別損益は、前事業年度に比べ3億61百万円増加し、△97百万円(前期は△4億58百万円)となりました。これは主に、前事業年度において減損損失4億1百万円を計上したことによるものであります。
(当期純利益)
当期純利益は、前事業年度に比べ13億59百万円増加し、20億51百万円(前期比196.4%増)となりました。
ロ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、売上総利益率と販売費及び一般管理費率を重要な経営指標とし、適正な利益確保に努めております。
売上総利益率は、計画に比べ0.5ポイント増加し17.1%(計画は16.6%)、販売費及び一般管理費率は、計画に比べ0.1ポイント減少し19.0%(計画は19.1%)と概ね計画の水準となりました。引き続き同業他社に勝る競争力を維持するため、重要な経営指標の進捗状況に注意を払い、今後も計画水準の維持に努めてまいります。
指標2021年2月期
計画(%)
2021年2月期
実績(%)
差異(ポイント)
売上総利益率16.617.10.5
販売費及び一般管理費率19.119.0△0.1

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
イ キャッシュ・フローの状況の分析・検討
営業活動によるキャッシュ・フローは、87億40百万円の収入となり、前事業年度と比較し、63億77百万円の収入の増加となりました。これは主に、当事業年度末が金融機関の休業日にあたり、仕入債務等の支払50億98百万円が3月1日となったこと、及び税引前当期純利益が、前事業年度と比較し、20億72百万円の増加となったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、7億75百万円の支出となり、前事業年度と比較し、4億2百万円の支出の減少となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が、前事業年度と比較し、4億7百万円の減少となったことによるものであります。
これらにより、フリーキャッシュ・フローは、79億65百万円の収入となり、前事業年度と比較し、67億79百万円の収入の増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、2億38百万円の支出となり、前事業年度と比較し、57百万円の支出の減少となりました。
ロ 資本の財源及び資金の流動性
当社の資金需要は、店舗展開における出店資金(店舗建設)や、店舗の改装(建替えを含む)資金で、主に設備投資に関するものであります。
当社は、引き続き財務の健全性を保ち、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出すことによって、当社の成長を維持するために手元流動性を確保し、将来必要な運転資金及び設備投資資金に充当することを基本としております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
イ 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。
見積り及び仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌事業年度以降の財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
ロ 退職給付債務の算定
当社は、確定給付制度及び確定拠出制度を採用しております。確定給付制度の退職給付費用及び債務は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率及び昇給率等の様々な計算基礎があります。
見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌事業年度以降の財務諸表において認識する退職給付費用及び債務の金額に重要な影響を与える可能性があります。
ハ 減損会計における将来キャッシュ・フロー
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、キャッシュ・フローを生み出す最小単位である店舗毎に、経営環境などの外部要因に関する情報や当社が用いている内部の情報に基づき仮定し見積っております。
見積り及び仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌事業年度以降の財務諸表において追加の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。