有価証券報告書-第15期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
当連結会計年度の経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月26日)現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、トレーディング商品(デリバティブを含む)および投資についての評価、固定資産の減損、繰延税金資産についての回収可能性、退職給付費用および債務、貸付等債権に対する貸倒引当金、偶発事象や訴訟、その他資産・負債の報告数値や財務諸表の開示内容に影響を与える事項に対して、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる判断や見積りを行っております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、財政状態または経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積りおよび判断が必要となる項目は以下のとおりです。
① トレーディング商品
トレーディング商品(デリバティブを含む)は時価により評価され、評価損益はトレーディング損益に計上されております。時価については、市場で取引されているものについては、市場取引価格、業者間取引価格、またはこれらに準ずる価格等によっております。市場取引価格または業者間取引価格がない場合には、原金融資産の時間的価値とボラティリティ等を加味した時価評価モデル等によって算出されております。
なお、時価の算定に用いたインプットの観察可能性および重要性に応じて、以下の3つのレベルに分類しております。
レベル1の時価:同一の資産または負債の活発な市場における(無調整の)相場価格により算定した時価
レベル2の時価:レベル1のインプット以外の直接または間接的に観察可能なインプットを用いて算定した時価
レベル3の時価:重要な観察できないインプットを使用して算定した時価
特に、時価算定の基礎となる入力数値が市場で観察できず、その時価算定に与える影響が重要なデリバティブ(レベル3デリバティブ)の時価評価に係る見積りや仮定は、以下のことから複雑性、不確実性および主観的な判断の程度が高くなります。
イ.評価モデル
時価評価にはオプション価格計算モデル等(以下「評価モデル」といいます。)を採用していますが、モデルの決定に際して、複雑性および主観的な判断を伴うこと
ロ.入力数値
時価算定の基礎となる入力数値のうち、金利と為替レートの調整に係る相関係数等、当社グループから独立した情報源から入手した市場データに基づいて設定されないものは、その状況において入手可能な情報を最大限利用して市場参加者が時価の算定に考慮している事項を推測し、それらを見積りに反映させておりますが、当該見積りには不確実性および主観的な判断を伴うこと
ハ.出口価格への調整
評価モデルに入力数値を投入して算定される時価を、実際に資産の売却または負債の移転が行われると仮定した場合の取引価格(出口価格)に調整するために用いた仮定には、不確実性および主観的な判断を伴うこと
当社グループでは、デリバティブ取引の時価評価における主要な構成要素である評価モデル、入力数値および出口価格への調整の妥当性について、フロント部門から独立したミドル部門において以下の内部統制を整備運用し、適切であると考えております。
イ.フロント部門が決定する評価モデルに対する内部統制
ロ.フロント部門が決定する時価算定の基礎となる入力数値に対する内部統制
ハ.ミドル部門が自ら算定する出口価格への調整に関する内部統制
ただし、観察できないインプットは、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
トレーディング商品の時価に関連する内容については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)」に記載しております。
② トレーディング商品関連以外の有価証券
有価証券については「金融商品に関する会計基準」に基づき、トレーディング商品、満期保有目的債券、子会社株式・関連会社株式のいずれにも属さないものについて、その他有価証券として分類しております。
その他有価証券は原則として時価法、ただし市場価格のない株式等は移動平均法による原価法により行っております。また、時価のあるものについては時価、市場価格のない株式等についてはその実質価額が取得原価より著しく下落または低下し、かつ回復可能性がないと判断したものについては、社内の減損処理基準にしたがって時価または実質価額まで減損処理しております。回復可能性の判断は適切であると考えておりますが、回復可能性があると判断した有価証券についても、将来、時価の下落または発行会社の財政状態の悪化による実質価額の低下により、評価差額を損失として処理する可能性があります。
③ 有形固定資産・無形固定資産
主に建物、器具備品からなる有形固定資産および主にソフトウェアからなる無形固定資産は取得価額により計上し、有形固定資産については個々の耐用年数に基づき主として定額法により、ソフトウェアについては利用可能期間に基づく定額法により、それぞれ減価償却しております。
また、収益性が低下した資産について、回収可能価額まで減損処理しております。減損損失の認識と測定は、固定資産の減損に係る会計基準に従い実施しており、そこで用いる回収可能価額は通常、割引キャッシュ・フローにより算定し、見積将来キャッシュ・フローの時期およびその金額、企業に固有の事情を反映して見積もられる割引率等、多くの見積りおよび前提を使用します。これらの見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより将来キャッシュ・フローの減少等を引き起こし、減損損失が発生する可能性があります。
④ 繰延税金資産
税務上の繰越欠損金や会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額(一時差異の額)のうち、将来において税務上の損金となることで納税額を減額する効果が見込まれると判断される金額(将来減算一時差異等の解消見込額)について、将来の合理的な課税所得見積額の範囲内で繰延税金資産に計上しております。繰延税金資産の回収可能性の判断においては、適切な権限を有する機関の承認を得た将来計画に基づいて将来獲得し得る課税所得の時期およびその金額を見積り算定しております。これらの見積りは適切であると考えておりますが、将来の収益性等に係る判断は将来における市場の動向その他の要因により影響を受け、これらの状況に変化があり繰延税金資産の回収可能性を見込めない場合には、税金費用が追加計上され、損益に悪影響を与える可能性があります。
繰延税金資産の内訳等については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルスの影響は、広範囲に及び、その影響を定量的に見通すことは困難なことから、見積り算定の前提となる将来計画に不確実性があります。
当社グループの特性上、影響は主に対面・非対面営業の業務量やボラティリティ上昇等による収益機会などの増減として現れますが、当社は、見積り時点において、これらの状況を踏まえ、将来計画を変更しておりません。
また、③有形固定資産・無形固定資産および④繰延税金資産については、見積り時点において、将来計画を極端に引き下げない限り、連結財務諸表に重要な影響を与えるには至らないことを確認しております。
(2) 経営者の視点による経営成績の認識および分析・検討内容
当社グループでは、「経営ビジョン」に基づいてお客さまに最適なソリューションをご提供すると共に、リスク管理、コンプライアンス、情報管理の徹底により、「信頼度・クオリティNo.1」で、本邦証券グループの中で「お客さまから真っ先に選ばれる存在」としての地位の確立をめざしています。当社グループの財政状態、経営成績等は、証券・金融商品取引業の性格上、国内外の経済情勢・市場動向の影響を受けて変動し易い特性を持っており、当連結会計年度の経済情勢・市場動向は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経済情勢・市場動向」に記載のとおりですが、こうした中、当社グループは、MUFGグループの有する顧客基盤やネットワーク、および強固な財務基盤と、Morgan Stanleyが有する質の高い商品、サービス、ネットワークを有機的に結び付けることで、法人、個人のお客さまに質の高い証券サービスの提供に努めています。また、徹底した経費抑制施策の実行により利益水準の向上にも努力しております。
この結果、当連結会計年度の連結純営業収益は3,221億64百万円(前年度比102.8%)、販売費・一般管理費は2,935億86百万円(同102.0%)、連結経常利益は485億2百万円(同114.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益は211億42百万円(同84.1%)となりました。
当連結会計年度の主要な収益・費用の概況は以下のとおりです。
① 受入手数料
受入手数料の合計は1,432億91百万円で前年度比96.3%となりました。内訳は次のとおりです。
a.委託手数料
当連結会計年度の東証の1日平均売買高(内国普通株合計)は、株数で17億10百万株(前年度比92.5%)、金額で2兆7,835億円(同91.2%)となりました。このような状況の下、当社グループの株式委託手数料は260億53百万円(同85.0%)、債券委託手数料は3百万円(同37.6%)となり、委託手数料は合計で272億28百万円(同85.8%)となりました。
b.引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
国内株式発行市場は、大型の売出しが複数あったものの、年明け以降新型コロナウイルスの感染拡大による株価下落を受け新規公開案件の中止が多数みられたことに加え、転換社債発行額の減少も重なり、過去最大規模の新規公開案件があった前年度と比べ、発行額は大幅に減少しました。当社グループはこのような環境の下、複数の案件で主幹事をつとめました。
国内債券発行市場は、超低金利環境を背景に旺盛な起債需要が継続し、前年度と比べ、発行額は増加しました。また、大型の劣後債や超長期債のほか、ESG債の発行等も見られました。当社グループはこのような環境の下、多数の案件で主幹事をつとめました。
海外発行市場は、政治的な不透明感や米中貿易摩擦等を背景とした景気減速懸念がありながらも、各国中央銀行の金融緩和等を受けて底堅い相場を保ち、債券発行額は前年度を上回る水準となりました。当社グループの海外現地法人は、このような環境も追い風に、株式会社三菱UFJ銀行(以下「三菱UFJ銀行」といいます。)との緊密な協働・連携により、多数の主幹事案件を獲得しました。
以上の結果、当連結会計年度の引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は合計で285億60百万円(前年度比87.7%)となりました。
c.募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は、その大半を連結子会社の三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社(以下「MUMSS」といいます。)および三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券株式会社における投資信託の募集取扱手数料が占めています。当連結会計年度は、米国の株式に投資するとともに、投資環境局面に応じて先物取引を活用して実質株式組入比率を変更する「米国株式シグナルチェンジ戦略ファンド」等の新規募集を行いました。また、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」や「東京海上・円資産バランスファンド」等の新規取扱を開始したことに加え、「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド」や「モルガン・スタンレーグローバル・プレミアム株式オープン」等の継続募集にも注力しましたが、投資信託の販売額および募集取扱手数料はともに前年度比で減少しました。
MUMSSにおける当連結会計年度の投資信託の募集・売出し取扱高は3兆9,931億円(前年度比95.1%)となり、当連結会計年度末における投資信託の残存元本は、外国投資信託を含め5兆6,930億円(前年度末比95.4%)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は173億46百万円(前年度比92.2%)となりました。
d.その他の受入手数料
その他の受入手数料には、投資信託の代行手数料のほかに、M&A業務および財務アドバイザリー業務にかかる手数料、証券化・不動産ファイナンス業務などを含んでおります。投資信託の代行手数料は、純資産残高の減少により前年度比で減少しました。M&A業務では、MUFGとMorgan Stanleyが有する国内外ネットワークや、プロダクトに関する豊富な知見・経験の活用を通じ、国内/クロスボーダーを問わず多くの実績を積み重ね、お客さまの企業価値向上に貢献しました。
以上の結果、当連結会計年度のその他の受入手数料は701億56百万円(前年度比106.9%)となりました。
② トレーディング損益
国内株式市場では、上期は米中貿易摩擦激化や香港デモ等の不確実性の高い市場環境下、日経平均株価は20,000円~22,000円のレンジで一進一退の展開となりました。下期に入り、米中貿易協議や英国のEU離脱協議の進展もあり、年末年始には24,000円台に上昇しました。しかし、2月中旬以降、新型コロナウイルスの感染拡大や原油価格の急落を受け、世界の株式市場は下落し、日経平均株価も16,000円台まで下落しました。
日本国債市場では、10年物国債利回りは-0.08%で始まりましたが、米中貿易摩擦の長期化懸念や、FRBの利下げ観測により徐々に低下し、8月下旬に一時-0.20%台後半となりました。下期に入り、米中貿易協議の進展等、世界経済を巡る先行き不安の後退を背景に、12月末には-0.01%まで上昇しましたが、年明け以降は新型コロナウイルス感染拡大懸念から大幅に低下し、日中変動幅も比較的大きく推移しました。また、10年物米国債利回りはFRBの利下げや新型コロナウイルス感染拡大の影響等により、4月の2.50%台から3月には一時0.30%台まで下落しました。クレジット市場は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた企業のクレジットリスクの高まりから、3月に入りスプレッドが急拡大しました。
海外市場(1~12月)では、米中貿易摩擦のグローバル経済に及ぼす影響が懸念され、欧米中銀による利下げ等から、10年物米国債利回りは年初の2.60%台から低下し一時1.40%台まで下落しました。クレジット市場は、利下げや米国株価指数の史上最高値更新を受け、クレジットスプレッドが2007年以来の水準まで縮小しました。こうした中、当社グループの海外現地法人は、お客さまのニーズに合致した、比較的シンプルな米ドル建およびユーロ建金利商品およびクレジット商品を中心に取引を行いました。
以上の結果、当連結会計年度のトレーディング損益は、株券等によるものが595億10百万円(前年度は35億92百万円)、債券等・その他によるものが901億58百万円(前年度比77.7%)、合計では1,496億68百万円(同125.2%)となりました。
③ 金融収支
当連結会計年度の金融収益1,628億17百万円(前年度比157.9%)から金融費用1,336億16百万円(同230.0%)を差し引いた金融収支は、292億円の利益(同64.8%)となりました。
④ 販売費・一般管理費
抑制的な運営を継続しておりますが、海外現地法人の業績を反映した人件費の増加や、規制対応に伴うシステム投資による減価償却費の増加等により、当連結会計年度の販売費・一般管理費は2,935億86百万円(前年度比102.0%)となりました。
⑤ 特別損益
当連結会計年度の特別利益は17億2百万円(前年度は58億77百万円)、特別損失は24億70百万円(前年度は13億79百万円)となりました。特別利益のうち主なものは、投資有価証券売却益16億40百万円であります。特別損失のうち主なものは、事業構造改善費用12億51百万円、減損損失9億93百万円、投資有価証券評価損37百万円であります。
当連結会計年度のセグメントの業績は、次のとおりであります。
「証券業務(国内)」
国内では、インベストメントバンキング業務において、債券引受とM&Aで複数の大型案件等に関与し、好調に推移しました。またグローバルマーケッツ業務においても、金利変動局面における顧客取引の取り込みや、適切なポジション運営を行い、好調に推移しました。しかしながら、国内営業において、株式売買代金の低迷等を背景とした顧客の投資意欲減退を受け、リテール顧客向けの株式投信等の販売が低調だったことから、全体ではセグメント収益・セグメント利益ともに減少しました。
この結果、当連結会計年度における証券業務(国内)の純営業収益は2,567億93百万円(前年度比96.1%)、セグメント利益は170億51百万円(同90.4%)となりました。
なお、新型コロナウイルスの影響は、上記の主要な収益・費用の概況に記載した内容のほかにも広範囲に及び、その影響を定量的に示すことは困難ですが、主に対面・非対面営業の業務量やボラティリティ上昇等による収益機会などの増減として現れています。
「証券業務(欧州)」
欧州では、インベストメントバンキング業務において、債券引受が不調でした。一方、グローバルマーケッツ業務において、米中貿易協議や英国のEU離脱協議の進展による市況改善を背景に顧客取引が増加し、主に金利トレーディング収益が伸長したほか、対顧デリバティブ取引の大口案件獲得やレポビジネス拡大等により、全体ではセグメント収益・セグメント利益ともに増加しました。
この結果、当連結会計年度における証券業務(欧州)の純営業収益は581億95百万円(前年度比128.3%)、セグメント利益は96億41百万円(同185.3%)となりました。
なお、当連結会計年度における欧州の会計期間は2019年1月1日から2019年12月31日までのため、新型コロナウイルスの影響は現れておりません。
「証券業務(米州)」
米州では、インベストメントバンキング業務において、債券引受が不調でした。一方、グローバルマーケッツ業務において、市況改善を背景に顧客取引が増加し、レポビジネスが好調だったことから、全体ではセグメント収益・セグメント利益ともに増加しました。
この結果、当連結会計年度における証券業務(米州)の純営業収益は671億71百万円(前年度比117.9%)、セグメント利益は91億91百万円(同192.4%)となりました。
なお、当連結会計年度における米州の会計期間は2019年1月1日から2019年12月31日までのため、新型コロナウイルスの影響は現れておりません。
「その他」
持株会社において営業外収益で計上される子会社からの受取配当金の減少等により、セグメント利益は減少しました。
この結果、当連結会計年度におけるその他の純営業収益は336億94百万円(前年度比99.8%)、セグメント利益は282億91百万円(同70.0%)となりました。
なお、上記のセグメント別純営業収益には、セグメント間の内部純営業収益または振替高が含まれております。
(3) 財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は31兆8,661億51百万円(前年度末比7兆3,575億22百万円増)となりました。内訳は流動資産が31兆2,383億47百万円(同7兆2,813億39百万円増)であり、このうちトレーディング商品が12兆8,698億31百万円(同2兆2,618億98百万円増)、有価証券担保貸付金が13兆2,412億66百万円(同4兆2,601億45百万円増)となっております。固定資産は6,278億4百万円(同761億83百万円増)となっております。
負債合計は、30兆9,221億88百万円(同7兆3,623億2百万円増)となりました。内訳は流動負債が29兆1,280億86百万円(同7兆4,578億60百万円増)であり、このうちトレーディング商品が11兆7,652億56百万円(同2兆4,437億84百万円増)、有価証券担保借入金が10兆2,342億96百万円(同4兆606億84百万円増)となっております。固定負債は1兆7,898億32百万円(同955億63百万円減)となっております。
純資産合計は9,439億63百万円(同47億80百万円減)となりました。うち、利益剰余金は配当金支払いによる179億75百万円の減少および親会社株主に帰属する当期純利益による211億42百万円の増加の結果、1,911億65百万円(同28億56百万円増)となっております。また、為替換算調整勘定は△284億17百万円(同51億14百万円増)となっております。
(4) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、社債の償還による支出、長期借入金の返済による支出、約定見返勘定の差引残高の増加による支出および有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の差引残高の増加による支出等があったものの、短期借入金の増加による収入、社債の発行による収入、長期借入れによる収入および利息及び配当金の受取りによる収入等により、前年度末比2,105億38百万円の資金の増加となり、当連結会計年度末の資金残高は2兆1,832億32百万円(前年度末比110.7%)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は、4,413億88百万円(前年度比64.0%)となりました。これは主に、利息及び配当金の受取りによる収入1,886億34百万円があったものの、約定見返勘定の差引残高の増加による支出3,889億57百万円および有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の差引残高の増加による支出1,944億29百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、1,532億65百万円(前年度は274億88百万円の増加)となりました。これは主に、投資有価証券の売却及び償還による収入508億63百万円があったものの、投資有価証券の取得による支出1,421億70百万円、貸付金の増加による支出369億79百万円および無形固定資産の取得による支出245億74百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、8,039億64百万円(前年度比159.2%)となりました。これは主に、社債の償還による支出6,856億62百万円および長期借入金の返済による支出4,229億6百万円があったものの、短期借入金の増加による収入7,017億77百万円、社債の発行による収入6,277億39百万円、長期借入れによる収入4,976億49百万円およびコマーシャル・ペーパーの増加による収入1,265億56百万円があったこと等によるものであります。
(5) 資本の財源および資金の流動性に係る情報
① 資本の財源
当社グループは、MUFGグループの一員として、有価証券の売買および売買等の委託の媒介・取次ぎ・代理、有価証券の引受けおよび売出し、有価証券の募集・売出しの取扱いおよび私募の取扱い、各種デリバティブ取引、M&Aや資産の証券化等に係るアドバイス、投資顧問業、ウェルスマネジメント業務等の幅広い投資・金融サービスを展開しており、当該業務を営む上で充分な資本を確保する必要があります。
当社グループの財務計画・事業戦略の策定・実施に当たっては、業務運営上のリスクに見合った適正な資本水準の設定・維持に努めており、加えて新型コロナウイルスの影響等による市場の急激な変動によりもたらされ得る大きな損失にも耐えることができる必要充分な資本水準が維持されるかについても、定期的に確認しております。また、当社グループは、国内外で投資・金融サービス業務を行っており、各国・地域における法規制上必要な資本も維持しなければなりません。
② 資金調達の基本方針
当社グループは、主たる事業として投資・金融サービス業を営んでおり、事業を継続する上で必要な流動性を十分かつ効率的に確保することを資金調達の基本方針としております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から十分な資金を確保するよう努めております。また、新型コロナウイルスの影響等による資金流動性の危機事象発生を想定したストレステストを実施することで、そのような環境が一定期間以上継続した場合でも資金流動性が枯渇しないだけの資金量を確保しております。なお、資金流動性リスク管理の状況については、「2 事業等のリスク (2) 大幅な市場変動に伴うリスク ④ 流動性リスク」をあわせてご参照ください。
当社グループでは、グループ全体での拠点横断・統合的な資金流動性管理を行うため、グループ主要各社共通の基本方針を定め、各社が当該方針および各国・地域の規制等に則った管理を行うと共に、当社においてもグループ全体の資金繰り状況のモニタリングを行っております。また資金調達においては、主要各社自身による資金調達に加えて当社を中心とした資金調達・供給体制を整備することで、各社の資金繰り状況に応じた機動的な流動性供給を行っております。
③ 資金調達の方法および状況
当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、短期社債、コールマネー等の無担保調達および現先取引、レポ取引等の有担保調達があります。これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、仮に資金流動性の危機事象発生が発生した場合でも業務を継続するための十分な資金を確保しております。
④ 資金需要の動向
当社グループが投資・金融サービス業を営むうえでは、トレーディング業務等における商品在庫確保などのために資金需要が発生しますが、資金需要の総量はマーケット環境や顧客動向によって変動します。そのため、当社グループでは、グループ主要各社共通の基本方針に従い、発生する無担保資金需要の総額を、各社自身による調達可能額と当社からの資金供給可能額の合計の範囲内に抑えることを目的に、無担保資金需要の総量枠を各社にて設定しております。また、当社および各子会社にて資金需要の状況を日次でモニタリングし、資金需要の総量に見合った資金調達を行っております。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月26日)現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針および見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、トレーディング商品(デリバティブを含む)および投資についての評価、固定資産の減損、繰延税金資産についての回収可能性、退職給付費用および債務、貸付等債権に対する貸倒引当金、偶発事象や訴訟、その他資産・負債の報告数値や財務諸表の開示内容に影響を与える事項に対して、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる判断や見積りを行っております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、財政状態または経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積りおよび判断が必要となる項目は以下のとおりです。
① トレーディング商品
トレーディング商品(デリバティブを含む)は時価により評価され、評価損益はトレーディング損益に計上されております。時価については、市場で取引されているものについては、市場取引価格、業者間取引価格、またはこれらに準ずる価格等によっております。市場取引価格または業者間取引価格がない場合には、原金融資産の時間的価値とボラティリティ等を加味した時価評価モデル等によって算出されております。
なお、時価の算定に用いたインプットの観察可能性および重要性に応じて、以下の3つのレベルに分類しております。
レベル1の時価:同一の資産または負債の活発な市場における(無調整の)相場価格により算定した時価
レベル2の時価:レベル1のインプット以外の直接または間接的に観察可能なインプットを用いて算定した時価
レベル3の時価:重要な観察できないインプットを使用して算定した時価
特に、時価算定の基礎となる入力数値が市場で観察できず、その時価算定に与える影響が重要なデリバティブ(レベル3デリバティブ)の時価評価に係る見積りや仮定は、以下のことから複雑性、不確実性および主観的な判断の程度が高くなります。
イ.評価モデル
時価評価にはオプション価格計算モデル等(以下「評価モデル」といいます。)を採用していますが、モデルの決定に際して、複雑性および主観的な判断を伴うこと
ロ.入力数値
時価算定の基礎となる入力数値のうち、金利と為替レートの調整に係る相関係数等、当社グループから独立した情報源から入手した市場データに基づいて設定されないものは、その状況において入手可能な情報を最大限利用して市場参加者が時価の算定に考慮している事項を推測し、それらを見積りに反映させておりますが、当該見積りには不確実性および主観的な判断を伴うこと
ハ.出口価格への調整
評価モデルに入力数値を投入して算定される時価を、実際に資産の売却または負債の移転が行われると仮定した場合の取引価格(出口価格)に調整するために用いた仮定には、不確実性および主観的な判断を伴うこと
当社グループでは、デリバティブ取引の時価評価における主要な構成要素である評価モデル、入力数値および出口価格への調整の妥当性について、フロント部門から独立したミドル部門において以下の内部統制を整備運用し、適切であると考えております。
イ.フロント部門が決定する評価モデルに対する内部統制
ロ.フロント部門が決定する時価算定の基礎となる入力数値に対する内部統制
ハ.ミドル部門が自ら算定する出口価格への調整に関する内部統制
ただし、観察できないインプットは、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
トレーディング商品の時価に関連する内容については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)」に記載しております。
② トレーディング商品関連以外の有価証券
有価証券については「金融商品に関する会計基準」に基づき、トレーディング商品、満期保有目的債券、子会社株式・関連会社株式のいずれにも属さないものについて、その他有価証券として分類しております。
その他有価証券は原則として時価法、ただし市場価格のない株式等は移動平均法による原価法により行っております。また、時価のあるものについては時価、市場価格のない株式等についてはその実質価額が取得原価より著しく下落または低下し、かつ回復可能性がないと判断したものについては、社内の減損処理基準にしたがって時価または実質価額まで減損処理しております。回復可能性の判断は適切であると考えておりますが、回復可能性があると判断した有価証券についても、将来、時価の下落または発行会社の財政状態の悪化による実質価額の低下により、評価差額を損失として処理する可能性があります。
③ 有形固定資産・無形固定資産
主に建物、器具備品からなる有形固定資産および主にソフトウェアからなる無形固定資産は取得価額により計上し、有形固定資産については個々の耐用年数に基づき主として定額法により、ソフトウェアについては利用可能期間に基づく定額法により、それぞれ減価償却しております。
また、収益性が低下した資産について、回収可能価額まで減損処理しております。減損損失の認識と測定は、固定資産の減損に係る会計基準に従い実施しており、そこで用いる回収可能価額は通常、割引キャッシュ・フローにより算定し、見積将来キャッシュ・フローの時期およびその金額、企業に固有の事情を反映して見積もられる割引率等、多くの見積りおよび前提を使用します。これらの見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより将来キャッシュ・フローの減少等を引き起こし、減損損失が発生する可能性があります。
④ 繰延税金資産
税務上の繰越欠損金や会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額(一時差異の額)のうち、将来において税務上の損金となることで納税額を減額する効果が見込まれると判断される金額(将来減算一時差異等の解消見込額)について、将来の合理的な課税所得見積額の範囲内で繰延税金資産に計上しております。繰延税金資産の回収可能性の判断においては、適切な権限を有する機関の承認を得た将来計画に基づいて将来獲得し得る課税所得の時期およびその金額を見積り算定しております。これらの見積りは適切であると考えておりますが、将来の収益性等に係る判断は将来における市場の動向その他の要因により影響を受け、これらの状況に変化があり繰延税金資産の回収可能性を見込めない場合には、税金費用が追加計上され、損益に悪影響を与える可能性があります。
繰延税金資産の内訳等については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルスの影響は、広範囲に及び、その影響を定量的に見通すことは困難なことから、見積り算定の前提となる将来計画に不確実性があります。
当社グループの特性上、影響は主に対面・非対面営業の業務量やボラティリティ上昇等による収益機会などの増減として現れますが、当社は、見積り時点において、これらの状況を踏まえ、将来計画を変更しておりません。
また、③有形固定資産・無形固定資産および④繰延税金資産については、見積り時点において、将来計画を極端に引き下げない限り、連結財務諸表に重要な影響を与えるには至らないことを確認しております。
(2) 経営者の視点による経営成績の認識および分析・検討内容
当社グループでは、「経営ビジョン」に基づいてお客さまに最適なソリューションをご提供すると共に、リスク管理、コンプライアンス、情報管理の徹底により、「信頼度・クオリティNo.1」で、本邦証券グループの中で「お客さまから真っ先に選ばれる存在」としての地位の確立をめざしています。当社グループの財政状態、経営成績等は、証券・金融商品取引業の性格上、国内外の経済情勢・市場動向の影響を受けて変動し易い特性を持っており、当連結会計年度の経済情勢・市場動向は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経済情勢・市場動向」に記載のとおりですが、こうした中、当社グループは、MUFGグループの有する顧客基盤やネットワーク、および強固な財務基盤と、Morgan Stanleyが有する質の高い商品、サービス、ネットワークを有機的に結び付けることで、法人、個人のお客さまに質の高い証券サービスの提供に努めています。また、徹底した経費抑制施策の実行により利益水準の向上にも努力しております。
この結果、当連結会計年度の連結純営業収益は3,221億64百万円(前年度比102.8%)、販売費・一般管理費は2,935億86百万円(同102.0%)、連結経常利益は485億2百万円(同114.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益は211億42百万円(同84.1%)となりました。
当連結会計年度の主要な収益・費用の概況は以下のとおりです。
① 受入手数料
| 区 分 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) (百万円) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) (百万円) | 前年度比(%) | |
| 受入手数料 | 148,788 | 143,291 | 96.3 | |
| 委託手数料 | 31,744 | 27,228 | 85.8 | |
| 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料 | 32,568 | 28,560 | 87.7 | |
| 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料 | 18,819 | 17,346 | 92.2 | |
| その他の受入手数料 | 65,655 | 70,156 | 106.9 | |
受入手数料の合計は1,432億91百万円で前年度比96.3%となりました。内訳は次のとおりです。
a.委託手数料
当連結会計年度の東証の1日平均売買高(内国普通株合計)は、株数で17億10百万株(前年度比92.5%)、金額で2兆7,835億円(同91.2%)となりました。このような状況の下、当社グループの株式委託手数料は260億53百万円(同85.0%)、債券委託手数料は3百万円(同37.6%)となり、委託手数料は合計で272億28百万円(同85.8%)となりました。
b.引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
国内株式発行市場は、大型の売出しが複数あったものの、年明け以降新型コロナウイルスの感染拡大による株価下落を受け新規公開案件の中止が多数みられたことに加え、転換社債発行額の減少も重なり、過去最大規模の新規公開案件があった前年度と比べ、発行額は大幅に減少しました。当社グループはこのような環境の下、複数の案件で主幹事をつとめました。
国内債券発行市場は、超低金利環境を背景に旺盛な起債需要が継続し、前年度と比べ、発行額は増加しました。また、大型の劣後債や超長期債のほか、ESG債の発行等も見られました。当社グループはこのような環境の下、多数の案件で主幹事をつとめました。
海外発行市場は、政治的な不透明感や米中貿易摩擦等を背景とした景気減速懸念がありながらも、各国中央銀行の金融緩和等を受けて底堅い相場を保ち、債券発行額は前年度を上回る水準となりました。当社グループの海外現地法人は、このような環境も追い風に、株式会社三菱UFJ銀行(以下「三菱UFJ銀行」といいます。)との緊密な協働・連携により、多数の主幹事案件を獲得しました。
以上の結果、当連結会計年度の引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は合計で285億60百万円(前年度比87.7%)となりました。
c.募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は、その大半を連結子会社の三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社(以下「MUMSS」といいます。)および三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券株式会社における投資信託の募集取扱手数料が占めています。当連結会計年度は、米国の株式に投資するとともに、投資環境局面に応じて先物取引を活用して実質株式組入比率を変更する「米国株式シグナルチェンジ戦略ファンド」等の新規募集を行いました。また、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」や「東京海上・円資産バランスファンド」等の新規取扱を開始したことに加え、「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド」や「モルガン・スタンレーグローバル・プレミアム株式オープン」等の継続募集にも注力しましたが、投資信託の販売額および募集取扱手数料はともに前年度比で減少しました。
MUMSSにおける当連結会計年度の投資信託の募集・売出し取扱高は3兆9,931億円(前年度比95.1%)となり、当連結会計年度末における投資信託の残存元本は、外国投資信託を含め5兆6,930億円(前年度末比95.4%)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は173億46百万円(前年度比92.2%)となりました。
d.その他の受入手数料
その他の受入手数料には、投資信託の代行手数料のほかに、M&A業務および財務アドバイザリー業務にかかる手数料、証券化・不動産ファイナンス業務などを含んでおります。投資信託の代行手数料は、純資産残高の減少により前年度比で減少しました。M&A業務では、MUFGとMorgan Stanleyが有する国内外ネットワークや、プロダクトに関する豊富な知見・経験の活用を通じ、国内/クロスボーダーを問わず多くの実績を積み重ね、お客さまの企業価値向上に貢献しました。
以上の結果、当連結会計年度のその他の受入手数料は701億56百万円(前年度比106.9%)となりました。
② トレーディング損益
| 区 分 | 前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) (百万円) | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) (百万円) | 前年度比(%) | |
| トレーディング損益 | 119,559 | 149,668 | 125.2 | |
| 株券等トレーディング損益 | 3,592 | 59,510 | - | |
| 債券等・その他トレーディング損益 | 115,967 | 90,158 | 77.7 | |
国内株式市場では、上期は米中貿易摩擦激化や香港デモ等の不確実性の高い市場環境下、日経平均株価は20,000円~22,000円のレンジで一進一退の展開となりました。下期に入り、米中貿易協議や英国のEU離脱協議の進展もあり、年末年始には24,000円台に上昇しました。しかし、2月中旬以降、新型コロナウイルスの感染拡大や原油価格の急落を受け、世界の株式市場は下落し、日経平均株価も16,000円台まで下落しました。
日本国債市場では、10年物国債利回りは-0.08%で始まりましたが、米中貿易摩擦の長期化懸念や、FRBの利下げ観測により徐々に低下し、8月下旬に一時-0.20%台後半となりました。下期に入り、米中貿易協議の進展等、世界経済を巡る先行き不安の後退を背景に、12月末には-0.01%まで上昇しましたが、年明け以降は新型コロナウイルス感染拡大懸念から大幅に低下し、日中変動幅も比較的大きく推移しました。また、10年物米国債利回りはFRBの利下げや新型コロナウイルス感染拡大の影響等により、4月の2.50%台から3月には一時0.30%台まで下落しました。クレジット市場は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた企業のクレジットリスクの高まりから、3月に入りスプレッドが急拡大しました。
海外市場(1~12月)では、米中貿易摩擦のグローバル経済に及ぼす影響が懸念され、欧米中銀による利下げ等から、10年物米国債利回りは年初の2.60%台から低下し一時1.40%台まで下落しました。クレジット市場は、利下げや米国株価指数の史上最高値更新を受け、クレジットスプレッドが2007年以来の水準まで縮小しました。こうした中、当社グループの海外現地法人は、お客さまのニーズに合致した、比較的シンプルな米ドル建およびユーロ建金利商品およびクレジット商品を中心に取引を行いました。
以上の結果、当連結会計年度のトレーディング損益は、株券等によるものが595億10百万円(前年度は35億92百万円)、債券等・その他によるものが901億58百万円(前年度比77.7%)、合計では1,496億68百万円(同125.2%)となりました。
③ 金融収支
当連結会計年度の金融収益1,628億17百万円(前年度比157.9%)から金融費用1,336億16百万円(同230.0%)を差し引いた金融収支は、292億円の利益(同64.8%)となりました。
④ 販売費・一般管理費
抑制的な運営を継続しておりますが、海外現地法人の業績を反映した人件費の増加や、規制対応に伴うシステム投資による減価償却費の増加等により、当連結会計年度の販売費・一般管理費は2,935億86百万円(前年度比102.0%)となりました。
⑤ 特別損益
当連結会計年度の特別利益は17億2百万円(前年度は58億77百万円)、特別損失は24億70百万円(前年度は13億79百万円)となりました。特別利益のうち主なものは、投資有価証券売却益16億40百万円であります。特別損失のうち主なものは、事業構造改善費用12億51百万円、減損損失9億93百万円、投資有価証券評価損37百万円であります。
当連結会計年度のセグメントの業績は、次のとおりであります。
「証券業務(国内)」
国内では、インベストメントバンキング業務において、債券引受とM&Aで複数の大型案件等に関与し、好調に推移しました。またグローバルマーケッツ業務においても、金利変動局面における顧客取引の取り込みや、適切なポジション運営を行い、好調に推移しました。しかしながら、国内営業において、株式売買代金の低迷等を背景とした顧客の投資意欲減退を受け、リテール顧客向けの株式投信等の販売が低調だったことから、全体ではセグメント収益・セグメント利益ともに減少しました。
この結果、当連結会計年度における証券業務(国内)の純営業収益は2,567億93百万円(前年度比96.1%)、セグメント利益は170億51百万円(同90.4%)となりました。
なお、新型コロナウイルスの影響は、上記の主要な収益・費用の概況に記載した内容のほかにも広範囲に及び、その影響を定量的に示すことは困難ですが、主に対面・非対面営業の業務量やボラティリティ上昇等による収益機会などの増減として現れています。
「証券業務(欧州)」
欧州では、インベストメントバンキング業務において、債券引受が不調でした。一方、グローバルマーケッツ業務において、米中貿易協議や英国のEU離脱協議の進展による市況改善を背景に顧客取引が増加し、主に金利トレーディング収益が伸長したほか、対顧デリバティブ取引の大口案件獲得やレポビジネス拡大等により、全体ではセグメント収益・セグメント利益ともに増加しました。
この結果、当連結会計年度における証券業務(欧州)の純営業収益は581億95百万円(前年度比128.3%)、セグメント利益は96億41百万円(同185.3%)となりました。
なお、当連結会計年度における欧州の会計期間は2019年1月1日から2019年12月31日までのため、新型コロナウイルスの影響は現れておりません。
「証券業務(米州)」
米州では、インベストメントバンキング業務において、債券引受が不調でした。一方、グローバルマーケッツ業務において、市況改善を背景に顧客取引が増加し、レポビジネスが好調だったことから、全体ではセグメント収益・セグメント利益ともに増加しました。
この結果、当連結会計年度における証券業務(米州)の純営業収益は671億71百万円(前年度比117.9%)、セグメント利益は91億91百万円(同192.4%)となりました。
なお、当連結会計年度における米州の会計期間は2019年1月1日から2019年12月31日までのため、新型コロナウイルスの影響は現れておりません。
「その他」
持株会社において営業外収益で計上される子会社からの受取配当金の減少等により、セグメント利益は減少しました。
この結果、当連結会計年度におけるその他の純営業収益は336億94百万円(前年度比99.8%)、セグメント利益は282億91百万円(同70.0%)となりました。
なお、上記のセグメント別純営業収益には、セグメント間の内部純営業収益または振替高が含まれております。
(3) 財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は31兆8,661億51百万円(前年度末比7兆3,575億22百万円増)となりました。内訳は流動資産が31兆2,383億47百万円(同7兆2,813億39百万円増)であり、このうちトレーディング商品が12兆8,698億31百万円(同2兆2,618億98百万円増)、有価証券担保貸付金が13兆2,412億66百万円(同4兆2,601億45百万円増)となっております。固定資産は6,278億4百万円(同761億83百万円増)となっております。
負債合計は、30兆9,221億88百万円(同7兆3,623億2百万円増)となりました。内訳は流動負債が29兆1,280億86百万円(同7兆4,578億60百万円増)であり、このうちトレーディング商品が11兆7,652億56百万円(同2兆4,437億84百万円増)、有価証券担保借入金が10兆2,342億96百万円(同4兆606億84百万円増)となっております。固定負債は1兆7,898億32百万円(同955億63百万円減)となっております。
純資産合計は9,439億63百万円(同47億80百万円減)となりました。うち、利益剰余金は配当金支払いによる179億75百万円の減少および親会社株主に帰属する当期純利益による211億42百万円の増加の結果、1,911億65百万円(同28億56百万円増)となっております。また、為替換算調整勘定は△284億17百万円(同51億14百万円増)となっております。
(4) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、社債の償還による支出、長期借入金の返済による支出、約定見返勘定の差引残高の増加による支出および有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の差引残高の増加による支出等があったものの、短期借入金の増加による収入、社債の発行による収入、長期借入れによる収入および利息及び配当金の受取りによる収入等により、前年度末比2,105億38百万円の資金の増加となり、当連結会計年度末の資金残高は2兆1,832億32百万円(前年度末比110.7%)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は、4,413億88百万円(前年度比64.0%)となりました。これは主に、利息及び配当金の受取りによる収入1,886億34百万円があったものの、約定見返勘定の差引残高の増加による支出3,889億57百万円および有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の差引残高の増加による支出1,944億29百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、1,532億65百万円(前年度は274億88百万円の増加)となりました。これは主に、投資有価証券の売却及び償還による収入508億63百万円があったものの、投資有価証券の取得による支出1,421億70百万円、貸付金の増加による支出369億79百万円および無形固定資産の取得による支出245億74百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、8,039億64百万円(前年度比159.2%)となりました。これは主に、社債の償還による支出6,856億62百万円および長期借入金の返済による支出4,229億6百万円があったものの、短期借入金の増加による収入7,017億77百万円、社債の発行による収入6,277億39百万円、長期借入れによる収入4,976億49百万円およびコマーシャル・ペーパーの増加による収入1,265億56百万円があったこと等によるものであります。
(5) 資本の財源および資金の流動性に係る情報
① 資本の財源
当社グループは、MUFGグループの一員として、有価証券の売買および売買等の委託の媒介・取次ぎ・代理、有価証券の引受けおよび売出し、有価証券の募集・売出しの取扱いおよび私募の取扱い、各種デリバティブ取引、M&Aや資産の証券化等に係るアドバイス、投資顧問業、ウェルスマネジメント業務等の幅広い投資・金融サービスを展開しており、当該業務を営む上で充分な資本を確保する必要があります。
当社グループの財務計画・事業戦略の策定・実施に当たっては、業務運営上のリスクに見合った適正な資本水準の設定・維持に努めており、加えて新型コロナウイルスの影響等による市場の急激な変動によりもたらされ得る大きな損失にも耐えることができる必要充分な資本水準が維持されるかについても、定期的に確認しております。また、当社グループは、国内外で投資・金融サービス業務を行っており、各国・地域における法規制上必要な資本も維持しなければなりません。
② 資金調達の基本方針
当社グループは、主たる事業として投資・金融サービス業を営んでおり、事業を継続する上で必要な流動性を十分かつ効率的に確保することを資金調達の基本方針としております。
財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から十分な資金を確保するよう努めております。また、新型コロナウイルスの影響等による資金流動性の危機事象発生を想定したストレステストを実施することで、そのような環境が一定期間以上継続した場合でも資金流動性が枯渇しないだけの資金量を確保しております。なお、資金流動性リスク管理の状況については、「2 事業等のリスク (2) 大幅な市場変動に伴うリスク ④ 流動性リスク」をあわせてご参照ください。
当社グループでは、グループ全体での拠点横断・統合的な資金流動性管理を行うため、グループ主要各社共通の基本方針を定め、各社が当該方針および各国・地域の規制等に則った管理を行うと共に、当社においてもグループ全体の資金繰り状況のモニタリングを行っております。また資金調達においては、主要各社自身による資金調達に加えて当社を中心とした資金調達・供給体制を整備することで、各社の資金繰り状況に応じた機動的な流動性供給を行っております。
③ 資金調達の方法および状況
当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、短期社債、コールマネー等の無担保調達および現先取引、レポ取引等の有担保調達があります。これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、仮に資金流動性の危機事象発生が発生した場合でも業務を継続するための十分な資金を確保しております。
④ 資金需要の動向
当社グループが投資・金融サービス業を営むうえでは、トレーディング業務等における商品在庫確保などのために資金需要が発生しますが、資金需要の総量はマーケット環境や顧客動向によって変動します。そのため、当社グループでは、グループ主要各社共通の基本方針に従い、発生する無担保資金需要の総額を、各社自身による調達可能額と当社からの資金供給可能額の合計の範囲内に抑えることを目的に、無担保資金需要の総量枠を各社にて設定しております。また、当社および各子会社にて資金需要の状況を日次でモニタリングし、資金需要の総量に見合った資金調達を行っております。