有価証券報告書-第76期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(以下「当期」という。)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当期におけるわが国経済は、緩やかな景気回復基調が継続し、1月には戦後最長の景気拡大局面となりました。また、世界経済も米国がけん引して拡大基調を続けました。しかし、当期後半は国内外とも経済成長の鈍化が目立ち、景気の先行きに不透明感が出て来ております。
米国株式市場は、10月には戻り相場が下げに転じ、12月は中短金利の逆転を機に景気後退懸念が高まり急落しました。その後はFRBの金融政策変更や貿易摩擦による景気への過度な懸念が後退したことで値を戻しました。
わが国の株式市場は、米中貿易摩擦や中国の景気鈍化など、主に海外情勢の影響を受けて変動しました。上半期は上値の重い展開が続いた後に、貿易交渉を巡る緊張の緩和を受けて上伸しました。下半期は、世界的な景気減速懸念から年末にかけて急落しましたが、その後は値を戻し、当期末の日経平均株価は21,205円となりました。
また、日本の10年国債利回りは、日銀のイールドカーブコントロール政策の変更を受けて10月に0.135%まで上昇しましたが、その後は景気減速への警戒感から下げに転じ、当期末は△0.095%となりました。外国為替市場は、日米金利差の拡大などにより上半期は円安ドル高歩調が続きましたが、11月以降はリスクオフの円買いで急騰する場面もありました。その後、当期末にかけて再び円安ドル高となり、110円99銭で終えました。
こうした環境の中、当社は、お客さまの多様なニーズにお応えするため、「特色ある旬の商品」の提供に努めました。また、株主資本の効率的運用の観点から、積極的な財務運営も行ってまいりましたが、当期の業績につきましては、営業収益64億85百万円(前期比78.2%)、純営業収益64億19百万円(同78.2%)、経常利益16億85百万円(同47.2%)、親会社株主に帰属する当期純利益16億80百万円(同54.8%)となりました。
当期における収益等の内訳は次のとおりであります。
受入手数料
受入手数料は、18億82百万円(前期比64.4%)となりました。内訳は以下のようになっております。
(委託手数料)
株券委託手数料は、10億6百万円(同68.0%)を計上し、これに受益証券委託手数料等を加えた「委託手数料」は、10億71百万円(同70.2%)となりました。
(引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料)
「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、21百万円(同60.6%)となりました。
(募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料)
「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、受益証券の取扱いの減少により、4億85百万円(同49.5%)となりました。
(その他の受入手数料)
主に投資信託の代行手数料からなる「その他の受入手数料」は、3億4百万円(同79.9%)となりました。
トレーディング損益
株券等トレーディング損益は、28百万円の利益(前期比72.2%)、債券等トレーディング損益は、29億99百万円の利益(同107.7%)、為替のデリバティブ取引を中心としたその他のトレーディング損益は、3億47百万円の損失(前期は2億13百万円の利益)となりました。以上の結果、「トレーディング損益」は、26億79百万円の利益(前期比88.2%)となりました。
営業投資有価証券損益
連結子会社(株式会社FEインベスト)の「営業投資有価証券損益」は、4百万円の利益(前期は0百万円の利益)となりました。
金融収支
金融収益16億69百万円(前期比113.7%)から金融費用66百万円(同85.1%)を差し引いた「金融収支」は、16億3百万円(同115.3%)となりました。
その他の営業収入
「その他の営業収入」は、連結子会社における特定金外信託収入や不動産賃貸収入を中心に、2億48百万円(前期比29.0%)となりました。
販売費・一般管理費
「販売費・一般管理費」は、49億72百万円(前期比97.2%)となりました。
営業外損益
営業外収益は、受取配当金等合計で3億89百万円(前期比75.9%)を計上いたしました。一方、営業外費用は、貸倒損失等合計で1億51百万円(同349.6%)を計上し、営業外収益から営業外費用を差し引いた「営業外損益」は、2億38百万円の利益(同50.7%)となりました。
特別損益
特別利益は、関係会社株式売却益等合計で12億26百万円(前期比100.9%)を計上いたしました。一方、特別損失は、投資有価証券評価損等合計で6億10百万円(同161.7%)を計上し、特別利益から特別損失を差し引いた「特別損益」は、6億15百万円の利益(同73.5%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当期における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ51億62百万円増加し、当期末には144億40百万円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動から得られる受入手数料やトレーディング損益が前期に比べ減少した一方で、トレーディング商品残高の減少、信用取引に係る顧客向け融資残高の減少及び連結子会社において特定金外信託の解約を行ったことなどから、営業活動の結果得られた資金は、105億66百万円(前期は6億5百万円の獲得)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
連結子会社株式の売却に伴う収入が発生したものの、安定的なキャッシュフローを確保する目的で投資有価証券を積極的に取得したことから、投資活動の結果使用した資金は、30億80百万円(前期は3億64百万円の使用)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
株式による資金調達は行われず、かつ、借入金の状況についても大きな変化がなかったため、配当金の支払いがキャッシュフローの変動の主な要因となり、財務活動の結果使用した資金は、22億43百万円(前期は32億68百万円の使用)となりました。
③トレーディング業務の状況
トレーディング商品:連結会計年度末のトレーディング商品の残高は以下のとおりです。
商品有価証券等(売買目的有価証券)
デリバティブ取引の契約額等及び時価
当社グループは、資金運用が拡大・多様化する中、リスク管理は経営上の最重要課題との認識に立ち、経営の健全性確保並びに経営資源の効率的活用を目的としたリスク管理体制の構築を図っており、重要事項については、取締役会にて審議決定することとしております。商品有価証券に係る市場リスクについては、取締役会が半期ごとにポジション・リスク限度額を各トレーディング部門に配分し、各トレーディング部門は、その範囲内で運用ルールを決定のうえ管理する体制となっております。また、「商品有価証券等に係る取扱基準」を定め、発行体ごとの限度額を設定するなど信用リスクの抑制・管理を行っております。リスク管理体制としては、各部門の業務・管理グループが、時価評価を行い、日々のポジション・リスク額・損益の状況をチェックのうえ、日々、社長及び担当取締役・執行役員に報告しております。さらに、総合的な牽制機能として、リスク管理部が、適正な自己資本規制比率維持の観点から、全社的なリスクの状況を把握し、日々、全取締役・執行役員並びに監査役に報告するほか、毎月末の自己資本規制比率並びにその詳細を取締役会に報告しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当期末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、有価証券の評価、固定資産の減損、繰延税金資産の計上、減価償却資産の償却、貸倒引当金、賞与引当金、退職給付等の会計処理については、会計関連諸法規をベースに、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる基準により見積り及び判断を行っております。会計処理については、真実性の原則は勿論のこと、特に健全性と継続性の原則に配慮しております。
②当期の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績の分析)
当期における経営成績は、営業収益64億85百万円(前期比78.2%、18億3百万円減)、純営業収益64億19百万円(同78.2%、17億91百万円減)、経常利益16億85百万円(同47.2%、18億81百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益16億80百万円(同54.8%、13億84百万円減)と、2018年3月期に比べ減収・減益となりました。これは、主として、株券委託手数料及び受益証券募集取扱手数料の減少により、受入手数料が減少したこと及び為替のデリバティブ取引を中心としたその他のトレーディング損失が発生した結果、トレーディング収益が減少したこと等によるものであります。内訳は以下のとおりであります。
営業収益
当期中の株式市場は、米国における金利上昇や中国における景気減速並びに米中貿易摩擦という不安材料が出たことから、市場全体に不透明感が広まり、売買も活発に行われませんでした。あわせて、投資信託の販売も低調となりました。したがいまして、当期の受入手数料につきましては、株券委託手数料は、10億6百万円(前期比68.0%、4億74百万円減)を計上し、これに受益証券委託手数料等を加えた委託手数料は、10億71百万円(同70.2%、4億54百万円減)、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、21百万円(同60.6%、14百万円減)となりました。募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は、4億85百万円(同49.5%、4億94百万円減)、主に投資信託の代行手数料からなるその他の受入手数料は、3億4百万円(同79.9%、76百万円減)となりました。以上の結果、受入手数料は、18億82百万円(同64.4%、10億39百万円減)となりました。
トレーディング損益につきましては、顧客向けの債券販売によって得られるトレーディング収益は堅調であったものの、自己売買目的で保有する債券の値下がりやヘッジ目的で行っている為替デリバティブ取引で損失が発生したことを背景に、株券等トレーディング損益は、28百万円の利益(前期比72.2%、10百万円減)、債券等トレーディング損益は、29億99百万円の利益(同107.7%、2億13百万円増)、為替のデリバティブ取引を中心としたその他のトレーディング損益は、3億47百万円の損失(前期は2億13百万円の利益)となりました。以上の結果、トレーディング損益は、26億79百万円の利益(前期比88.2%、3億58百万円減)となりました。
連結子会社(株式会社FEインベスト)の営業投資有価証券損益は、4百万円の利益(前期は0百万円の利益)となりました。
金融収益は、トレーディング商品として保有する債券等から得られる受取債券利子や収益分配金の増加等により、16億69百万円(前期比113.7%、2億円増)となりました。また、その他の営業収入につきましては、連結子会社における特定金外信託収入や不動産賃貸収入を中心に、2億48百万円(同29.0%、6億9百万円減)となっております。以上の結果、当期の営業収益は、64億85百万円(同78.2%、18億3百万円減)となりました。
金融費用
当期の金融費用は支払利息や信用取引支払利息の減少等により、66百万円(前期比85.1%、11百万円減)となりました。
純営業収益
営業収益から金融費用を差し引いた当期の純営業収益は、64億19百万円(前期比78.2%、17億91百万円減)となりました。
販売費・一般管理費
当期の販売費・一般管理費は、取引関係費や事務費等の減少により、49億72百万円(前期比97.2%、1億41百万円減)となりました。
営業利益
当期の純営業収益から販売費・一般管理費を控除した営業利益は、14億47百万円(前期比46.7%、16億50百万円減)となりました。
営業外損益
当期の営業外収益は、保有していた投資有価証券の売却により有価証券利息が減少したことから受取配当金等合計で3億89百万円(前期比75.9%、1億23百万円減)、一方、営業外費用は、貸倒損失等合計で1億51百万円(同349.6%、1億7百万円増)となり、営業外収益から営業外費用を差し引いた営業外損益は、2億38百万円の利益(同50.7%、2億31百万円減)となりました。
経常利益
営業利益に営業外損益の利益を加算した当期の経常利益は、16億85百万円(前期比47.2%、18億81百万円減)となりました。
特別損益
当期の特別利益は、関係会社株式売却益等合計で12億26百万円(前期比100.9%、10百万円増)、一方、特別損失は、投資有価証券評価損等合計で6億10百万円(同161.7%、2億32百万円増)となり、特別利益から特別損失を差し引いた特別損益は、6億15百万円の利益(同73.5%、2億22百万円減)となりました。
税金等調整前当期純利益
経常利益に特別損益の利益を加算した当期の税金等調整前当期純利益は、23億1百万円(前期比52.2%、21億4百万円減)となりました。
法人税等合計
当期の法人税等合計は、6億3百万円(前期比46.5%、6億93百万円減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、当期の親会社株主に帰属する当期純利益は、16億80百万円(前期比54.8%、13億84百万円減)となりました。
(経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し)
当社の連結営業収益は、証券市場に係る受入手数料及びトレーディング損益を柱としており、その大半が株式市場及び債券市場を源泉としております。株式・債券市場の好・不調による業績への影響を緩和するため、収益源の多様化を通じて収益の安定性確保に努めておりますが、それでもなお、業績が証券市場の動向に左右され、大きく変動する可能性があります。また、国内外の金融商品市場の急激な変動により、当社が保有している金融商品の評価損益が多額になる可能性もあります。
一般的に、証券市場や外国為替市場は、内外の政治・経済情勢、金利、企業収益等、様々な要因を反映して変動しますので、当社の連結経営成績についても、証券市場を通じて、それらの要因・情報からの影響を受ける度合いが高いと言えます。
したがいまして、このような環境が当社の連結経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
以上のような状況を踏まえ、当社グループといたしましては、前述のとおり、創立以来の「信は萬事の基と為す」の基本理念のもと、①Face to Faceのビジネスモデルの追求、②収益力の向上と収益源の多様化、③コンプライアンス及びリスク管理体制の強化、④企業の社会的責任及びガバナンスを中長期の基本戦略として、持続可能な事業活動を行うことで、安定的な収益基盤を構築する所存であります。
(連結会計年度の財政状態の分析)
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当期の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前期末の数値で比較を行っております。
当期末の資産総額は、678億98百万円、負債総額は、220億93百万円、純資産額は、458億5百万円となりました。内訳は以下のとおりとなっております。
流動資産
当期末における流動資産は、545億57百万円となり、前期末に比べ52億4百万円減少いたしました。これは主に現金・預金が51億62百万円増加した一方で、信用取引に係る顧客向け融資である信用取引資産が30億57百万円、トレーディング商品が29億75百万円、連結子会社における金銭の信託が25億71百万円、預託金が12億29百万円減少したことによるものであります。
固定資産
当期末における固定資産は、133億41百万円となり、前期末に比べ1億30百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が36億8百万円減少した一方で、投資有価証券が40億63百万円増加したことによるものであります。
流動負債
当期末における流動負債は、199億34百万円となり、前期末に比べ38億54百万円減少いたしました。これは主に短期借入金が24億75百万円、預り金が7億75百万円、未払法人税等が5億30百万円減少したことによるものであります。
固定負債
当期末における固定負債は、21億39百万円となり、前期末に比べ3億13百万円増加いたしました。これは主に長期借入金が5億円増加したことによるものであります。
純資産
当期末における純資産合計は、458億5百万円となり、前期末に比べ15億32百万円減少いたしました。これは非支配株主持分が8億35百万円、利益剰余金が5億52百万円、その他有価証券評価差額金が1億44百万円減少したことによるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
キャッシュ・フロー
当期のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
財務政策
当社グループの運転資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。借入による資金調達に関しましては、短期借入金及び長期借入金で調達しております。
2019年3月31日現在、長期借入金の残高は15億円であります。また、当社は運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行を含む合計10行との間で、総額50億円のシンジケート方式によるコミットメントライン契約を締結しております。この契約に基づく当期末の借入実行残高は20億円であります。
(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。
当連結会計年度(以下「当期」という。)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当期におけるわが国経済は、緩やかな景気回復基調が継続し、1月には戦後最長の景気拡大局面となりました。また、世界経済も米国がけん引して拡大基調を続けました。しかし、当期後半は国内外とも経済成長の鈍化が目立ち、景気の先行きに不透明感が出て来ております。
米国株式市場は、10月には戻り相場が下げに転じ、12月は中短金利の逆転を機に景気後退懸念が高まり急落しました。その後はFRBの金融政策変更や貿易摩擦による景気への過度な懸念が後退したことで値を戻しました。
わが国の株式市場は、米中貿易摩擦や中国の景気鈍化など、主に海外情勢の影響を受けて変動しました。上半期は上値の重い展開が続いた後に、貿易交渉を巡る緊張の緩和を受けて上伸しました。下半期は、世界的な景気減速懸念から年末にかけて急落しましたが、その後は値を戻し、当期末の日経平均株価は21,205円となりました。
また、日本の10年国債利回りは、日銀のイールドカーブコントロール政策の変更を受けて10月に0.135%まで上昇しましたが、その後は景気減速への警戒感から下げに転じ、当期末は△0.095%となりました。外国為替市場は、日米金利差の拡大などにより上半期は円安ドル高歩調が続きましたが、11月以降はリスクオフの円買いで急騰する場面もありました。その後、当期末にかけて再び円安ドル高となり、110円99銭で終えました。
こうした環境の中、当社は、お客さまの多様なニーズにお応えするため、「特色ある旬の商品」の提供に努めました。また、株主資本の効率的運用の観点から、積極的な財務運営も行ってまいりましたが、当期の業績につきましては、営業収益64億85百万円(前期比78.2%)、純営業収益64億19百万円(同78.2%)、経常利益16億85百万円(同47.2%)、親会社株主に帰属する当期純利益16億80百万円(同54.8%)となりました。
当期における収益等の内訳は次のとおりであります。
受入手数料
受入手数料は、18億82百万円(前期比64.4%)となりました。内訳は以下のようになっております。
(委託手数料)
株券委託手数料は、10億6百万円(同68.0%)を計上し、これに受益証券委託手数料等を加えた「委託手数料」は、10億71百万円(同70.2%)となりました。
(引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料)
「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、21百万円(同60.6%)となりました。
(募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料)
「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、受益証券の取扱いの減少により、4億85百万円(同49.5%)となりました。
(その他の受入手数料)
主に投資信託の代行手数料からなる「その他の受入手数料」は、3億4百万円(同79.9%)となりました。
トレーディング損益
株券等トレーディング損益は、28百万円の利益(前期比72.2%)、債券等トレーディング損益は、29億99百万円の利益(同107.7%)、為替のデリバティブ取引を中心としたその他のトレーディング損益は、3億47百万円の損失(前期は2億13百万円の利益)となりました。以上の結果、「トレーディング損益」は、26億79百万円の利益(前期比88.2%)となりました。
営業投資有価証券損益
連結子会社(株式会社FEインベスト)の「営業投資有価証券損益」は、4百万円の利益(前期は0百万円の利益)となりました。
金融収支
金融収益16億69百万円(前期比113.7%)から金融費用66百万円(同85.1%)を差し引いた「金融収支」は、16億3百万円(同115.3%)となりました。
その他の営業収入
「その他の営業収入」は、連結子会社における特定金外信託収入や不動産賃貸収入を中心に、2億48百万円(前期比29.0%)となりました。
販売費・一般管理費
「販売費・一般管理費」は、49億72百万円(前期比97.2%)となりました。
営業外損益
営業外収益は、受取配当金等合計で3億89百万円(前期比75.9%)を計上いたしました。一方、営業外費用は、貸倒損失等合計で1億51百万円(同349.6%)を計上し、営業外収益から営業外費用を差し引いた「営業外損益」は、2億38百万円の利益(同50.7%)となりました。
特別損益
特別利益は、関係会社株式売却益等合計で12億26百万円(前期比100.9%)を計上いたしました。一方、特別損失は、投資有価証券評価損等合計で6億10百万円(同161.7%)を計上し、特別利益から特別損失を差し引いた「特別損益」は、6億15百万円の利益(同73.5%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当期における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ51億62百万円増加し、当期末には144億40百万円となりました。
当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動から得られる受入手数料やトレーディング損益が前期に比べ減少した一方で、トレーディング商品残高の減少、信用取引に係る顧客向け融資残高の減少及び連結子会社において特定金外信託の解約を行ったことなどから、営業活動の結果得られた資金は、105億66百万円(前期は6億5百万円の獲得)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
連結子会社株式の売却に伴う収入が発生したものの、安定的なキャッシュフローを確保する目的で投資有価証券を積極的に取得したことから、投資活動の結果使用した資金は、30億80百万円(前期は3億64百万円の使用)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
株式による資金調達は行われず、かつ、借入金の状況についても大きな変化がなかったため、配当金の支払いがキャッシュフローの変動の主な要因となり、財務活動の結果使用した資金は、22億43百万円(前期は32億68百万円の使用)となりました。
③トレーディング業務の状況
トレーディング商品:連結会計年度末のトレーディング商品の残高は以下のとおりです。
商品有価証券等(売買目的有価証券)
種類 | 2018年3月31日現在 | 2019年3月31日現在 | ||
資産(百万円) | 負債(百万円) | 資産(百万円) | 負債(百万円) | |
株式・ワラント | - | - | 18 | - |
債券 | 28,360 | - | 26,356 | - |
CP及びCD | - | - | - | - |
受益証券等 | 1,648 | - | 784 | - |
その他 | - | - | - | - |
デリバティブ取引の契約額等及び時価
種類 | 2018年3月31日現在 | 2019年3月31日現在 | ||||||
契約額 (百万円) | 契約額の うち1年超 (百万円) | 時価 (百万円) | 評価損益 (百万円) | 契約額 (百万円) | 契約額の うち1年超 (百万円) | 時価 (百万円) | 評価損益 (百万円) | |
為替予約取引 | ||||||||
売建 | 4,303 | - | 125 | 125 | 7,437 | - | △3 | △3 |
買建 | - | - | - | - | 524 | - | △3 | △3 |
当社グループは、資金運用が拡大・多様化する中、リスク管理は経営上の最重要課題との認識に立ち、経営の健全性確保並びに経営資源の効率的活用を目的としたリスク管理体制の構築を図っており、重要事項については、取締役会にて審議決定することとしております。商品有価証券に係る市場リスクについては、取締役会が半期ごとにポジション・リスク限度額を各トレーディング部門に配分し、各トレーディング部門は、その範囲内で運用ルールを決定のうえ管理する体制となっております。また、「商品有価証券等に係る取扱基準」を定め、発行体ごとの限度額を設定するなど信用リスクの抑制・管理を行っております。リスク管理体制としては、各部門の業務・管理グループが、時価評価を行い、日々のポジション・リスク額・損益の状況をチェックのうえ、日々、社長及び担当取締役・執行役員に報告しております。さらに、総合的な牽制機能として、リスク管理部が、適正な自己資本規制比率維持の観点から、全社的なリスクの状況を把握し、日々、全取締役・執行役員並びに監査役に報告するほか、毎月末の自己資本規制比率並びにその詳細を取締役会に報告しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当期末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、有価証券の評価、固定資産の減損、繰延税金資産の計上、減価償却資産の償却、貸倒引当金、賞与引当金、退職給付等の会計処理については、会計関連諸法規をベースに、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる基準により見積り及び判断を行っております。会計処理については、真実性の原則は勿論のこと、特に健全性と継続性の原則に配慮しております。
②当期の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績の分析)
当期における経営成績は、営業収益64億85百万円(前期比78.2%、18億3百万円減)、純営業収益64億19百万円(同78.2%、17億91百万円減)、経常利益16億85百万円(同47.2%、18億81百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益16億80百万円(同54.8%、13億84百万円減)と、2018年3月期に比べ減収・減益となりました。これは、主として、株券委託手数料及び受益証券募集取扱手数料の減少により、受入手数料が減少したこと及び為替のデリバティブ取引を中心としたその他のトレーディング損失が発生した結果、トレーディング収益が減少したこと等によるものであります。内訳は以下のとおりであります。
営業収益
当期中の株式市場は、米国における金利上昇や中国における景気減速並びに米中貿易摩擦という不安材料が出たことから、市場全体に不透明感が広まり、売買も活発に行われませんでした。あわせて、投資信託の販売も低調となりました。したがいまして、当期の受入手数料につきましては、株券委託手数料は、10億6百万円(前期比68.0%、4億74百万円減)を計上し、これに受益証券委託手数料等を加えた委託手数料は、10億71百万円(同70.2%、4億54百万円減)、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、21百万円(同60.6%、14百万円減)となりました。募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は、4億85百万円(同49.5%、4億94百万円減)、主に投資信託の代行手数料からなるその他の受入手数料は、3億4百万円(同79.9%、76百万円減)となりました。以上の結果、受入手数料は、18億82百万円(同64.4%、10億39百万円減)となりました。
トレーディング損益につきましては、顧客向けの債券販売によって得られるトレーディング収益は堅調であったものの、自己売買目的で保有する債券の値下がりやヘッジ目的で行っている為替デリバティブ取引で損失が発生したことを背景に、株券等トレーディング損益は、28百万円の利益(前期比72.2%、10百万円減)、債券等トレーディング損益は、29億99百万円の利益(同107.7%、2億13百万円増)、為替のデリバティブ取引を中心としたその他のトレーディング損益は、3億47百万円の損失(前期は2億13百万円の利益)となりました。以上の結果、トレーディング損益は、26億79百万円の利益(前期比88.2%、3億58百万円減)となりました。
連結子会社(株式会社FEインベスト)の営業投資有価証券損益は、4百万円の利益(前期は0百万円の利益)となりました。
金融収益は、トレーディング商品として保有する債券等から得られる受取債券利子や収益分配金の増加等により、16億69百万円(前期比113.7%、2億円増)となりました。また、その他の営業収入につきましては、連結子会社における特定金外信託収入や不動産賃貸収入を中心に、2億48百万円(同29.0%、6億9百万円減)となっております。以上の結果、当期の営業収益は、64億85百万円(同78.2%、18億3百万円減)となりました。
金融費用
当期の金融費用は支払利息や信用取引支払利息の減少等により、66百万円(前期比85.1%、11百万円減)となりました。
純営業収益
営業収益から金融費用を差し引いた当期の純営業収益は、64億19百万円(前期比78.2%、17億91百万円減)となりました。
販売費・一般管理費
当期の販売費・一般管理費は、取引関係費や事務費等の減少により、49億72百万円(前期比97.2%、1億41百万円減)となりました。
営業利益
当期の純営業収益から販売費・一般管理費を控除した営業利益は、14億47百万円(前期比46.7%、16億50百万円減)となりました。
営業外損益
当期の営業外収益は、保有していた投資有価証券の売却により有価証券利息が減少したことから受取配当金等合計で3億89百万円(前期比75.9%、1億23百万円減)、一方、営業外費用は、貸倒損失等合計で1億51百万円(同349.6%、1億7百万円増)となり、営業外収益から営業外費用を差し引いた営業外損益は、2億38百万円の利益(同50.7%、2億31百万円減)となりました。
経常利益
営業利益に営業外損益の利益を加算した当期の経常利益は、16億85百万円(前期比47.2%、18億81百万円減)となりました。
特別損益
当期の特別利益は、関係会社株式売却益等合計で12億26百万円(前期比100.9%、10百万円増)、一方、特別損失は、投資有価証券評価損等合計で6億10百万円(同161.7%、2億32百万円増)となり、特別利益から特別損失を差し引いた特別損益は、6億15百万円の利益(同73.5%、2億22百万円減)となりました。
税金等調整前当期純利益
経常利益に特別損益の利益を加算した当期の税金等調整前当期純利益は、23億1百万円(前期比52.2%、21億4百万円減)となりました。
法人税等合計
当期の法人税等合計は、6億3百万円(前期比46.5%、6億93百万円減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、当期の親会社株主に帰属する当期純利益は、16億80百万円(前期比54.8%、13億84百万円減)となりました。
(経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し)
当社の連結営業収益は、証券市場に係る受入手数料及びトレーディング損益を柱としており、その大半が株式市場及び債券市場を源泉としております。株式・債券市場の好・不調による業績への影響を緩和するため、収益源の多様化を通じて収益の安定性確保に努めておりますが、それでもなお、業績が証券市場の動向に左右され、大きく変動する可能性があります。また、国内外の金融商品市場の急激な変動により、当社が保有している金融商品の評価損益が多額になる可能性もあります。
一般的に、証券市場や外国為替市場は、内外の政治・経済情勢、金利、企業収益等、様々な要因を反映して変動しますので、当社の連結経営成績についても、証券市場を通じて、それらの要因・情報からの影響を受ける度合いが高いと言えます。
したがいまして、このような環境が当社の連結経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
以上のような状況を踏まえ、当社グループといたしましては、前述のとおり、創立以来の「信は萬事の基と為す」の基本理念のもと、①Face to Faceのビジネスモデルの追求、②収益力の向上と収益源の多様化、③コンプライアンス及びリスク管理体制の強化、④企業の社会的責任及びガバナンスを中長期の基本戦略として、持続可能な事業活動を行うことで、安定的な収益基盤を構築する所存であります。
(連結会計年度の財政状態の分析)
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当期の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前期末の数値で比較を行っております。
当期末の資産総額は、678億98百万円、負債総額は、220億93百万円、純資産額は、458億5百万円となりました。内訳は以下のとおりとなっております。
流動資産
当期末における流動資産は、545億57百万円となり、前期末に比べ52億4百万円減少いたしました。これは主に現金・預金が51億62百万円増加した一方で、信用取引に係る顧客向け融資である信用取引資産が30億57百万円、トレーディング商品が29億75百万円、連結子会社における金銭の信託が25億71百万円、預託金が12億29百万円減少したことによるものであります。
固定資産
当期末における固定資産は、133億41百万円となり、前期末に比べ1億30百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が36億8百万円減少した一方で、投資有価証券が40億63百万円増加したことによるものであります。
流動負債
当期末における流動負債は、199億34百万円となり、前期末に比べ38億54百万円減少いたしました。これは主に短期借入金が24億75百万円、預り金が7億75百万円、未払法人税等が5億30百万円減少したことによるものであります。
固定負債
当期末における固定負債は、21億39百万円となり、前期末に比べ3億13百万円増加いたしました。これは主に長期借入金が5億円増加したことによるものであります。
純資産
当期末における純資産合計は、458億5百万円となり、前期末に比べ15億32百万円減少いたしました。これは非支配株主持分が8億35百万円、利益剰余金が5億52百万円、その他有価証券評価差額金が1億44百万円減少したことによるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
キャッシュ・フロー
当期のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
財務政策
当社グループの運転資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。借入による資金調達に関しましては、短期借入金及び長期借入金で調達しております。
2019年3月31日現在、長期借入金の残高は15億円であります。また、当社は運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行を含む合計10行との間で、総額50億円のシンジケート方式によるコミットメントライン契約を締結しております。この契約に基づく当期末の借入実行残高は20億円であります。
(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。