有価証券報告書-第83期(2025/04/01-2026/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当期における当社グループの経営成績等の状況の概要は以下のとおりであります。
① 経営成績の状況
当期の国内外の経済は、米国による相互関税の影響が一部にありましたが、緩やかな回復基調をたどりました。一方で、2026年2月末に米国とイスラエルがイランを軍事攻撃したことにより、中東の地政学的リスクが急激に高まりました。こうした中、日本銀行は国内の物価上昇に対応し2025年12月に政策金利の引上げを実施しましたが、2026年3月の金融政策決定会合では据え置きました。他方、米国連邦準備制度理事会(FRB)は、米国雇用情勢の悪化やインフレ率の鈍化を受けて利下げを再開し、2025年後半に3度の利下げを実施しましたが、2026年に入り政策金利を据え置きました。欧州中央銀行(ECB)は2025年4月と6月に2度の追加利下げを実施しましたが、景気の持直しにより、その後は政策金利を据え置きました。
株式市場では、2025年4月に相互関税の影響を懸念し株価は世界的に急落しましたが、相互関税率が引き下げられたことなどにより回復しました。2026年に入っても主要各国の株価指数は史上最高値を更新するなど順調に推移しました。日経平均株価は高市政権の積極財政政策への期待や堅調な企業業績を背景に5万円の大台を突破し、2026年2月には59,332円の最高値をつけました。その後、イランによるホルムズ海峡の閉鎖など中東情勢が更に悪化したことで急落しましたが、それまでの大幅な株価上昇もあり、当期末の日経平均株価は51,063円と前連結会計年度(以下「前期」という。)末比で43%上昇しました。
米国株式市場でも、NYダウ平均株価は、関税交渉進展や堅調な企業業績及びFRBの利下げを受けて2026年2月まで順調に上昇し、史上最高値を更新しました。その後、イラン戦争を受けて2026年3月に下落しましたが、当期末は46,341ドルと前期末比10%の上昇となりました。
債券市場では、日本の10年国債利回りは2025年4月に1.1%台まで低下しましたが、関税交渉進展などを経て上昇に転じました。国内の物価上昇継続や、高市政権の積極財政による財政悪化懸念及び日本銀行の利上げなどを背景に2%の大台を超え、当期末の10年国債利回りは2.345%と前期末比で0.86%の上昇となりました。米国の10年国債利回りは、2025年4月に4%割れまで低下した後に上昇しましたが、上昇は長期化せず再度低下傾向となりました。2026年2月に再び4%を割り込んだ後は原油価格の高騰によるインフレ懸念で利回りは上昇し、当期末は4.323%と前期末比で0.115%の上昇となりました。
外国為替市場では、2025年4月に1ドル=140円割れまで円高ドル安になった後は円安歩調となりました。高市政権の積極財政によるインフレ懸念で更に円安が進行し、2026年3月には1ドル=160.46円をつけましたが、当期末は1ドル=158.75円と前期末比8.82円の円安となりました。ユーロ円については2025年後半にECBが利下げを停止したことに加えて円安が進行したことから、当期末は1ユーロ=183.43円と前期末比21.21円の円安となりました。
こうした環境の中、当社及び連結子会社は、お客さまの多様なニーズにお応えするため、「特色ある旬の商品」の提供に努めました。また、株主資本の効率的運用の観点から、積極的な財務運営も行ってまいりました。
当期の業績につきましては、営業収益83億17百万円(前期比4.1%増)、純営業収益81億93百万円(前期比3.6%増)、営業利益30億39百万円(前期比12.9%増)、経常利益40億6百万円(前期比16.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益47億90百万円(前期比7.7%増)となりました。
② 財政状態の状況
当期末の資産合計は、信用取引貸付金や現金・預金の増加等により、806億円と前期末に比べ20億2百万円増加いたしました。
当期末の負債合計は、短期借入金や預り金の増加等により、280億90百万円と前期末に比べ11億2百万円増加いたしました。
当期末の純資産合計は、利益剰余金やその他有価証券評価差額金の増加等により、525億9百万円と前期末に比べ9億円増加いたしました。
③ キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」に記載しております。
④ トレーディング業務の状況
トレーディング商品:連結会計年度末のトレーディング商品の残高は以下のとおりです。
商品有価証券等(売買目的有価証券)
デリバティブ取引の契約額等及び時価
市場リスクについては、取締役会が半期ごとにポジション・リスク限度額を各トレーディング部門に配分し、各トレーディング部門は、その範囲内で運用することとしております。リスク管理体制としては、各部門が、日々のポジション・リスク額及び損益の状況をチェックのうえ、経営陣に報告しております。更に、総合的な牽制機能として、リスク管理部が、適正な自己資本規制比率維持の観点から、全社的なリスクの状況を把握し、日々、取締役、執行役員及び監査役に報告するほか、毎月末の自己資本規制比率及びその詳細を取締役会に報告しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当期末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績の分析)
当社グループの収益の中心は、証券市場における仲介業者として得られる手数料収入等でありますが、これらは市場環境の変化の影響を大きく受けやすいものとなっております。そのため、当社グループは、健全な財務基盤のもと自己資本による積極的な投資も行うことで、持続的な成長を図ることを目指しております。
当期における経営成績は、お客さま向け外国債券販売が伸び悩んだことや自己保有債券の時価が下落したことなどから債券トレーディング損益が減少した一方で、株式市場における売買高が増加したことや投資信託の販売が好調であったことから受入手数料が増加しました。これらの結果、前期に比べ増収となりました。それらの内訳及び要因は、以下のとおりであります。
営業収益
当期の株式市場では、2025年4月に相互関税の影響を懸念し株価は世界的に急落しましたが、相互関税率が引き下げられたことなどにより回復しました。2026年に入っても主要各国の株価指数は史上最高値を更新するなど順調に推移しました。日経平均株価は高市政権の積極財政政策への期待や堅調な企業業績を背景に5万円の大台を突破し、2026年2月には59,332円の最高値をつけました。その後、イランによるホルムズ海峡の閉鎖など中東情勢が更に悪化したことで急落しましたが、それまでの大幅な株価上昇もあり、当期末の日経平均株価は51,063円と前期末比で43%上昇しました。これらに伴い、株式市場における売買取引も活況となりました。また、投資信託の顧客販売については年間を通じて好調でありました。その結果、「受入手数料」は、41億55百万円(前期比35.0%増、10億77百万円増加)となりました。その内訳は以下のとおりであります。
「株券委託手数料」は、18億16百万円(前期比55.7%増、6億49百万円増加)となり、「受益証券(上場投資信託)委託手数料」を加えた「委託手数料」は、18億50百万円(前期比55.1%増、6億57百万円増加)となりました。
主にアンダーライティング(引受)業務に係る手数料で構成される「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、当社が参入したIPO件数が減少したことから、14百万円(前期比20.1%減、3百万円減少)となりました。
投資信託受益証券の募集・売出しの取扱手数料などによって構成される「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、受益証券(投資信託)の販売の増加により、14億12百万円(前期比15.9%増、1億93百万円増加)となりました。
「その他の受入手数料」は、主に受益証券(投資信託)の信託報酬の増加により、8億78百万円(前期比35.4%増、2億29百万円増加)となりました。
「トレーディング損益」につきましては、「債券等トレーディング損益」が減少したことから、23億6百万円の利益(前期比29.0%減、9億42百万円減少)となりました。内訳は以下のとおりであります。
「株券等トレーディング損益」は、株式先物取引を中心に88百万円の損失(前期は92百万円の損失)となりました。
「債券等トレーディング損益」は、「多様な商品によるマーケット変化を捉えた機動的な運用提案」を行うことで、お客さまからの信頼を獲得するとともに、お客さまの投資パフォーマンスの向上を目指しましたが、お客さま向け外国債券販売が伸び悩んだことなどから、25億45百万円の利益(前期比27.2%減、9億50百万円減少)となりました。
外貨建債券の為替ヘッジ目的で行っている為替デリバティブ取引を中心とした「その他のトレーディング損益」は1億50百万円の損失(前期は1億53百万円の損失)となりました。
「金融収益」につきましては、主にトレーディング商品として保有する債券等から得られる受取債券利子や収益分配金で構成されます。「金融収益」は18億36百万円(前期比10.3%増、1億71百万円増加)となりました。
「その他の営業収入」は、17百万円の利益(前期は4百万円の損失)となりました。
以上の結果、「営業収益」は、83億17百万円(前期比4.1%増、3億27百万円増加)となりました。
純営業収益
「金融費用」は支払利息が増加したことにより、1億23百万円(前期比53.0%増、42百万円増加)となりました。「営業収益」からこの「金融費用」を差し引いた「純営業収益」は81億93百万円(前期比3.6%増、2億85百万円増加)となりました。
営業損益
「販売費・一般管理費」は、主に取引関係費、人件費、不動産関係費、租税公課の減少により、51億54百万円(前期比1.2%減、62百万円減少)となりました。
「純営業収益」から「販売費・一般管理費」を控除した「営業損益」は、30億39百万円の利益(前期比12.9%増、3億47百万円増加)となりました。
経常損益
「営業外収益」は、受取配当金等合計で10億38百万円(前期比4.8%増、47百万円増加)、「営業外費用」は、70百万円(前期比69.2%減、1億57百万円減少)を計上いたしました。
この結果、「営業外損益」は、9億67百万円の利益(前期比26.9%増、2億5百万円増加)となりました。
「営業利益」に当該利益を加味した「経常損益」は、40億6百万円の利益(前期比16.0%増、5億53百万円増加)となりました。
税金等調整前当期純損益
「特別利益」は、投資有価証券売却益で31億28百万円(前期比13.3%減、4億80百万円減少)、「特別損失」は、投資有価証券売却損等合計で61百万円(前期比89.2%減、5億2百万円減少)を計上いたしました。
この結果、「特別損益」は、30億67百万円の利益(前期比0.7%増、22百万円増加)となりました。
「経常利益」に当該利益を加味した「税金等調整前当期純損益」は、70億74百万円の利益(前期比8.8%増、5億75百万円増加)となりました。
親会社株主に帰属する当期純損益
「法人税等合計」は、法人税、住民税及び事業税は減少しましたが、法人税等調整額の増加により、22億84百万円(前期比11.3%増、2億31百万円増加)となりました。
この結果、「親会社株主に帰属する当期純損益」は、47億90百万円の利益(前期比7.7%増、3億43百万円増加)となりました。
(財政状態の分析)
当期末の財政状態は、前期末に比べ資産、負債及び純資産が増加いたしました。これらの内訳及び要因は、以下のとおりであります。
資産
「流動資産」は、509億23百万円となり、前期末に比べ46億28百万円増加いたしました。これは主に、信用取引貸付金が25億59百万円増加(当期末47億40百万円)、現金・預金が9億23百万円増加(当期末116億91百万円)、顧客預り金の分別保管を主な目的とする預託金が4億47百万円増加(当期末100億21百万円)したことによるものであります。
「固定資産」は、296億76百万円となり、前期末に比べ26億25百万円減少いたしました。これは主に、長期純投資のために保有する投資有価証券が27億14百万円減少(当期末261億88百万円)したことによるものであります。
この結果、「資産合計」は、806億円となり、前期末に比べ20億2百万円増加いたしました。
負債
「流動負債」は、256億97百万円となり、前期末に比べ11億55百万円増加いたしました。これは主に、約定見返勘定が4億94百万円減少(当期末-百万円)、未払金が4億48百万円減少(当期末1億92百万円)、未払法人税等が3億99百万円減少(当期末8億91百万円)した一方で、短期借入金が19億円増加(当期末129億円)、お客さまからの現金の預りを中心とした預り金が7億91百万円増加(当期末108億70百万円)したことによるものであります。
「固定負債」は、23億66百万円となり、前期末に比べ58百万円減少いたしました。これは主に、繰延税金負債が4億34百万円増加(当期末13億26百万円)した一方で、長期借入金が5億円減少(当期末5億円)したことによるものであります。
この結果、「負債合計」は、280億90百万円となり、前期末に比べ11億2百万円増加いたしました。
純資産
「純資産」は、主に、自己株式の買い付けにより7億19百万円減少(当期末△15億83百万円)した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、「利益剰余金」が12億80百万円増加(当期末418億56百万円)、投資有価証券の時価の上昇により、「その他有価証券評価差額金」が3億39百万円増加(当期末22億13百万円)いたしました。
この結果、「純資産合計」は、525億9百万円となり、前期末に比べ9億円増加いたしました。
(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境及び中期事業計画、対処すべき課題 ②経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況)
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、23億62百万円の使用(前期は40億98百万円の使用)となりました。これは主に、信用取引貸付金を中心とした信用取引資産及び信用取引負債の増減額(26億69百万円の使用)等によるものであります。
当期における投資活動によるキャッシュ・フローは、60億13百万円の獲得(前期は46億87百万円の獲得)となりました。これは主に、純投資目的で保有している投資有価証券の売買等に伴う増加(57億25百万円の獲得)等によるものであります。
当期における財務活動によるキャッシュ・フローは、28億27百万円の使用(前期は22億24百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払い(35億7百万円の使用)等によるものであります。
これらの結果、当期末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ10億62百万円増加し、115億31百万円となりました。
(財務戦略の基本的な考え方)
当社グループの財務戦略の基本的な考え方は、自己資本を充実させることにより強固な財務基盤を構築するとともに、自己資本を効率的に運用することによって収益性を高め、企業価値の向上を目指すものであります。
金融商品取引業者は、その業務の性格上、自己勘定に基づいて有価証券等の保有や売買取引を行う場合があります。それら保有有価証券の価格変動リスクなどの各種リスクを十分にカバーできる「固定化されていない自己資本の額」を維持し、財務の健全性を表す「自己資本規制比率」を一定の水準以上に維持することが法令等により義務付けられております。当社は、「自己資本規制比率」を高水準に維持することを経営の基本方針といたしますが、上記のとおり、自己資本を効率的に活用して、収益性を高めるために一定のリスク(主に市場リスク)をとる必要もあると考えております。このため、これらリスク額及び自己資本規制比率につきましては、適切なリスク管理体制の下で監視しております。
当社は、財務体質や収益性を測る指標として「信用格付け」を取得しております。当社グループとして、近い将来に新株式や債券の発行による資金調達を行うことは想定しておりませんが、運転資金の安定的な調達を可能とするため、「信用格付け」の水準を安定的に維持することに努めることといたします。
(手許流動性)
当社は、半期ごとに実施する流動性コンティンジェンシープランの検証過程において、緊急事態発生時に、借入金等の返済やお客さまへの預り金の返還などを円滑に行うために当初必要と考えられる手許現預金の水準を決定しております。また、その後必要となる現金需要を賄うために、短期間で現金化が可能となる市場性のある有価証券の保有に努めております。
また、当社グループはお客さま向け販売や自己勘定での取引を目的として、外貨建て有価証券を取り扱っております。これら外貨建て有価証券取引の清算決済においては、期限までに当該外貨を遅滞なく支払う必要があります。しかしながら、外国為替市場の動向によっては決済のための外貨調達が困難になることも想定されます。このような外貨調達リスクを避けるため、市場の状況や取引高を勘案しながら、必要と思われる外貨の種別及び金額をその都度検証し、十分な金額を手許に維持するよう心がけております。
(成長分野への投資活動)
上記目的で必要とされる手許流動性の水準を超える現預金については成長分野や有望市場への投資活動に振り向けることが可能な資金と位置付け、積極的に投資活動を行ってまいります。これによって、新たな収益源の開拓や収益性が向上し、企業価値向上につながると考えております。
(株主還元-利益配分に関する基本方針及び当期の配当)
当社は、株主価値向上の一環として、株主の皆さまに対し積極的な利益還元を図ることを経営の重要な政策の一つとしております。配当金額は、連結配当性向70%及び連結純資産配当率(DOE)2%の両基準で算出した数値のいずれか高い金額を基準とし、当社の自己資本の水準及び中長期的な業績動向並びに株価等を総合的に判断し、決定する旨を基本方針としております。
当期の期末配当につきましては、上記の連結配当性向基準で算出した金額に基づき総合的に判断し、1株当たり60円の普通配当(年間110円)を支払うことといたしました。なお、配当原資は利益剰余金であります。
配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
(資金需要と資金調達)
当社グループの資金需要につきまして、営業活動に係る資金利用といたしましては、お客さま向け販売商品等のトレーディング商品の買付け、信用取引に係るお客さま向けの融資、証券取引サービスを提供するためのインフラ維持に係る費用、人件費などがあります。また、投資活動に係る資金利用といたしましては、投資有価証券の買付け、お客さま向けサービスの向上と取引の安全性を確保するために必要なシステム投資、金融商品取引業者として法令遵守のために必要な制度整備やシステム投資などがあります。
一方、当社グループの運転資金につきましては、自己資金の利用又は借入による資金調達によって賄っております。自己勘定によるトレーディング商品や投資有価証券の買付けにつきましては、原則として自己資金を利用することとしております。借入による資金調達に関しましては、短期借入金及び長期借入金で調達しております。短期借入金については、銀行借入に加えて、コールマネーの調達も行っております。また、当社は運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行を含む合計7行との間で、総額46億円のシンジケート方式によるコミットメントライン契約を締結しております。この契約に基づく当期末の借入実行残高は25億円であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、有価証券の評価、固定資産の減損、繰延税金資産の計上、減価償却資産の償却、貸倒引当金、賞与引当金、退職給付等の会計処理については、会計関連諸法規をベースに、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる基準により見積り及び判断を行っております。会計処理については、真実性の原則は勿論のこと、特に健全性と継続性の原則に配慮しております。しかしながら、実際の結果は、見積り作成時点での不確実性があることから、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の連結営業収益は、証券市場に係る受入手数料及びトレーディング損益を柱としており、その大半が株式市場及び債券市場を源泉としております。株式・債券市場の好・不調による業績への影響を緩和するため、収益源の多様化を通じて収益の安定性確保に努めておりますが、それでもなお、業績が証券市場の動向に左右され、大きく変動する可能性があります。また、国内外の金融商品市場の急激な変動により、当社が保有している金融商品の評価損益が多額になる可能性もあります。
一般的に、証券市場や外国為替市場は、内外の政治・経済情勢、金利、企業収益等、様々な要因を反映して変動します。したがって、当社グループの連結経営成績についても、証券市場に係るこれらの要因が多大な影響を及ぼす可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当期における当社グループの経営成績等の状況の概要は以下のとおりであります。
① 経営成績の状況
当期の国内外の経済は、米国による相互関税の影響が一部にありましたが、緩やかな回復基調をたどりました。一方で、2026年2月末に米国とイスラエルがイランを軍事攻撃したことにより、中東の地政学的リスクが急激に高まりました。こうした中、日本銀行は国内の物価上昇に対応し2025年12月に政策金利の引上げを実施しましたが、2026年3月の金融政策決定会合では据え置きました。他方、米国連邦準備制度理事会(FRB)は、米国雇用情勢の悪化やインフレ率の鈍化を受けて利下げを再開し、2025年後半に3度の利下げを実施しましたが、2026年に入り政策金利を据え置きました。欧州中央銀行(ECB)は2025年4月と6月に2度の追加利下げを実施しましたが、景気の持直しにより、その後は政策金利を据え置きました。
株式市場では、2025年4月に相互関税の影響を懸念し株価は世界的に急落しましたが、相互関税率が引き下げられたことなどにより回復しました。2026年に入っても主要各国の株価指数は史上最高値を更新するなど順調に推移しました。日経平均株価は高市政権の積極財政政策への期待や堅調な企業業績を背景に5万円の大台を突破し、2026年2月には59,332円の最高値をつけました。その後、イランによるホルムズ海峡の閉鎖など中東情勢が更に悪化したことで急落しましたが、それまでの大幅な株価上昇もあり、当期末の日経平均株価は51,063円と前連結会計年度(以下「前期」という。)末比で43%上昇しました。
米国株式市場でも、NYダウ平均株価は、関税交渉進展や堅調な企業業績及びFRBの利下げを受けて2026年2月まで順調に上昇し、史上最高値を更新しました。その後、イラン戦争を受けて2026年3月に下落しましたが、当期末は46,341ドルと前期末比10%の上昇となりました。
債券市場では、日本の10年国債利回りは2025年4月に1.1%台まで低下しましたが、関税交渉進展などを経て上昇に転じました。国内の物価上昇継続や、高市政権の積極財政による財政悪化懸念及び日本銀行の利上げなどを背景に2%の大台を超え、当期末の10年国債利回りは2.345%と前期末比で0.86%の上昇となりました。米国の10年国債利回りは、2025年4月に4%割れまで低下した後に上昇しましたが、上昇は長期化せず再度低下傾向となりました。2026年2月に再び4%を割り込んだ後は原油価格の高騰によるインフレ懸念で利回りは上昇し、当期末は4.323%と前期末比で0.115%の上昇となりました。
外国為替市場では、2025年4月に1ドル=140円割れまで円高ドル安になった後は円安歩調となりました。高市政権の積極財政によるインフレ懸念で更に円安が進行し、2026年3月には1ドル=160.46円をつけましたが、当期末は1ドル=158.75円と前期末比8.82円の円安となりました。ユーロ円については2025年後半にECBが利下げを停止したことに加えて円安が進行したことから、当期末は1ユーロ=183.43円と前期末比21.21円の円安となりました。
こうした環境の中、当社及び連結子会社は、お客さまの多様なニーズにお応えするため、「特色ある旬の商品」の提供に努めました。また、株主資本の効率的運用の観点から、積極的な財務運営も行ってまいりました。
当期の業績につきましては、営業収益83億17百万円(前期比4.1%増)、純営業収益81億93百万円(前期比3.6%増)、営業利益30億39百万円(前期比12.9%増)、経常利益40億6百万円(前期比16.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益47億90百万円(前期比7.7%増)となりました。
② 財政状態の状況
当期末の資産合計は、信用取引貸付金や現金・預金の増加等により、806億円と前期末に比べ20億2百万円増加いたしました。
当期末の負債合計は、短期借入金や預り金の増加等により、280億90百万円と前期末に比べ11億2百万円増加いたしました。
当期末の純資産合計は、利益剰余金やその他有価証券評価差額金の増加等により、525億9百万円と前期末に比べ9億円増加いたしました。
③ キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」に記載しております。
④ トレーディング業務の状況
トレーディング商品:連結会計年度末のトレーディング商品の残高は以下のとおりです。
商品有価証券等(売買目的有価証券)
| 種類 | 2025年3月31日現在 | 2026年3月31日現在 | ||
| 資産(百万円) | 負債(百万円) | 資産(百万円) | 負債(百万円) | |
| 株式 | 569 | - | 93 | - |
| 債券 | 20,986 | - | 21,667 | - |
| 受益証券 | 1,229 | - | 1,233 | - |
| その他 | - | - | - | - |
デリバティブ取引の契約額等及び時価
| 種類 | 2025年3月31日現在 | 2026年3月31日現在 | ||||||
| 契約額 (百万円) | 契約額の うち1年超 (百万円) | 時価 (百万円) | 評価損益 (百万円) | 契約額 (百万円) | 契約額の うち1年超 (百万円) | 時価 (百万円) | 評価損益 (百万円) | |
| 株価指数先物取引 | ||||||||
| 売建 | - | - | - | - | - | - | - | - |
| 買建 | - | - | - | - | - | - | - | - |
| 為替予約取引 | ||||||||
| 売建 | 752 | - | 6 | 6 | 2,062 | - | 0 | 0 |
| 買建 | - | - | - | - | - | - | - | - |
市場リスクについては、取締役会が半期ごとにポジション・リスク限度額を各トレーディング部門に配分し、各トレーディング部門は、その範囲内で運用することとしております。リスク管理体制としては、各部門が、日々のポジション・リスク額及び損益の状況をチェックのうえ、経営陣に報告しております。更に、総合的な牽制機能として、リスク管理部が、適正な自己資本規制比率維持の観点から、全社的なリスクの状況を把握し、日々、取締役、執行役員及び監査役に報告するほか、毎月末の自己資本規制比率及びその詳細を取締役会に報告しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当期末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績の分析)
当社グループの収益の中心は、証券市場における仲介業者として得られる手数料収入等でありますが、これらは市場環境の変化の影響を大きく受けやすいものとなっております。そのため、当社グループは、健全な財務基盤のもと自己資本による積極的な投資も行うことで、持続的な成長を図ることを目指しております。
当期における経営成績は、お客さま向け外国債券販売が伸び悩んだことや自己保有債券の時価が下落したことなどから債券トレーディング損益が減少した一方で、株式市場における売買高が増加したことや投資信託の販売が好調であったことから受入手数料が増加しました。これらの結果、前期に比べ増収となりました。それらの内訳及び要因は、以下のとおりであります。
営業収益
当期の株式市場では、2025年4月に相互関税の影響を懸念し株価は世界的に急落しましたが、相互関税率が引き下げられたことなどにより回復しました。2026年に入っても主要各国の株価指数は史上最高値を更新するなど順調に推移しました。日経平均株価は高市政権の積極財政政策への期待や堅調な企業業績を背景に5万円の大台を突破し、2026年2月には59,332円の最高値をつけました。その後、イランによるホルムズ海峡の閉鎖など中東情勢が更に悪化したことで急落しましたが、それまでの大幅な株価上昇もあり、当期末の日経平均株価は51,063円と前期末比で43%上昇しました。これらに伴い、株式市場における売買取引も活況となりました。また、投資信託の顧客販売については年間を通じて好調でありました。その結果、「受入手数料」は、41億55百万円(前期比35.0%増、10億77百万円増加)となりました。その内訳は以下のとおりであります。
「株券委託手数料」は、18億16百万円(前期比55.7%増、6億49百万円増加)となり、「受益証券(上場投資信託)委託手数料」を加えた「委託手数料」は、18億50百万円(前期比55.1%増、6億57百万円増加)となりました。
主にアンダーライティング(引受)業務に係る手数料で構成される「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、当社が参入したIPO件数が減少したことから、14百万円(前期比20.1%減、3百万円減少)となりました。
投資信託受益証券の募集・売出しの取扱手数料などによって構成される「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、受益証券(投資信託)の販売の増加により、14億12百万円(前期比15.9%増、1億93百万円増加)となりました。
「その他の受入手数料」は、主に受益証券(投資信託)の信託報酬の増加により、8億78百万円(前期比35.4%増、2億29百万円増加)となりました。
「トレーディング損益」につきましては、「債券等トレーディング損益」が減少したことから、23億6百万円の利益(前期比29.0%減、9億42百万円減少)となりました。内訳は以下のとおりであります。
「株券等トレーディング損益」は、株式先物取引を中心に88百万円の損失(前期は92百万円の損失)となりました。
「債券等トレーディング損益」は、「多様な商品によるマーケット変化を捉えた機動的な運用提案」を行うことで、お客さまからの信頼を獲得するとともに、お客さまの投資パフォーマンスの向上を目指しましたが、お客さま向け外国債券販売が伸び悩んだことなどから、25億45百万円の利益(前期比27.2%減、9億50百万円減少)となりました。
外貨建債券の為替ヘッジ目的で行っている為替デリバティブ取引を中心とした「その他のトレーディング損益」は1億50百万円の損失(前期は1億53百万円の損失)となりました。
「金融収益」につきましては、主にトレーディング商品として保有する債券等から得られる受取債券利子や収益分配金で構成されます。「金融収益」は18億36百万円(前期比10.3%増、1億71百万円増加)となりました。
「その他の営業収入」は、17百万円の利益(前期は4百万円の損失)となりました。
以上の結果、「営業収益」は、83億17百万円(前期比4.1%増、3億27百万円増加)となりました。
純営業収益
「金融費用」は支払利息が増加したことにより、1億23百万円(前期比53.0%増、42百万円増加)となりました。「営業収益」からこの「金融費用」を差し引いた「純営業収益」は81億93百万円(前期比3.6%増、2億85百万円増加)となりました。
営業損益
「販売費・一般管理費」は、主に取引関係費、人件費、不動産関係費、租税公課の減少により、51億54百万円(前期比1.2%減、62百万円減少)となりました。
「純営業収益」から「販売費・一般管理費」を控除した「営業損益」は、30億39百万円の利益(前期比12.9%増、3億47百万円増加)となりました。
経常損益
「営業外収益」は、受取配当金等合計で10億38百万円(前期比4.8%増、47百万円増加)、「営業外費用」は、70百万円(前期比69.2%減、1億57百万円減少)を計上いたしました。
この結果、「営業外損益」は、9億67百万円の利益(前期比26.9%増、2億5百万円増加)となりました。
「営業利益」に当該利益を加味した「経常損益」は、40億6百万円の利益(前期比16.0%増、5億53百万円増加)となりました。
税金等調整前当期純損益
「特別利益」は、投資有価証券売却益で31億28百万円(前期比13.3%減、4億80百万円減少)、「特別損失」は、投資有価証券売却損等合計で61百万円(前期比89.2%減、5億2百万円減少)を計上いたしました。
この結果、「特別損益」は、30億67百万円の利益(前期比0.7%増、22百万円増加)となりました。
「経常利益」に当該利益を加味した「税金等調整前当期純損益」は、70億74百万円の利益(前期比8.8%増、5億75百万円増加)となりました。
親会社株主に帰属する当期純損益
「法人税等合計」は、法人税、住民税及び事業税は減少しましたが、法人税等調整額の増加により、22億84百万円(前期比11.3%増、2億31百万円増加)となりました。
この結果、「親会社株主に帰属する当期純損益」は、47億90百万円の利益(前期比7.7%増、3億43百万円増加)となりました。
(財政状態の分析)
当期末の財政状態は、前期末に比べ資産、負債及び純資産が増加いたしました。これらの内訳及び要因は、以下のとおりであります。
資産
「流動資産」は、509億23百万円となり、前期末に比べ46億28百万円増加いたしました。これは主に、信用取引貸付金が25億59百万円増加(当期末47億40百万円)、現金・預金が9億23百万円増加(当期末116億91百万円)、顧客預り金の分別保管を主な目的とする預託金が4億47百万円増加(当期末100億21百万円)したことによるものであります。
「固定資産」は、296億76百万円となり、前期末に比べ26億25百万円減少いたしました。これは主に、長期純投資のために保有する投資有価証券が27億14百万円減少(当期末261億88百万円)したことによるものであります。
この結果、「資産合計」は、806億円となり、前期末に比べ20億2百万円増加いたしました。
負債
「流動負債」は、256億97百万円となり、前期末に比べ11億55百万円増加いたしました。これは主に、約定見返勘定が4億94百万円減少(当期末-百万円)、未払金が4億48百万円減少(当期末1億92百万円)、未払法人税等が3億99百万円減少(当期末8億91百万円)した一方で、短期借入金が19億円増加(当期末129億円)、お客さまからの現金の預りを中心とした預り金が7億91百万円増加(当期末108億70百万円)したことによるものであります。
「固定負債」は、23億66百万円となり、前期末に比べ58百万円減少いたしました。これは主に、繰延税金負債が4億34百万円増加(当期末13億26百万円)した一方で、長期借入金が5億円減少(当期末5億円)したことによるものであります。
この結果、「負債合計」は、280億90百万円となり、前期末に比べ11億2百万円増加いたしました。
純資産
「純資産」は、主に、自己株式の買い付けにより7億19百万円減少(当期末△15億83百万円)した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、「利益剰余金」が12億80百万円増加(当期末418億56百万円)、投資有価証券の時価の上昇により、「その他有価証券評価差額金」が3億39百万円増加(当期末22億13百万円)いたしました。
この結果、「純資産合計」は、525億9百万円となり、前期末に比べ9億円増加いたしました。
(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境及び中期事業計画、対処すべき課題 ②経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況)
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、23億62百万円の使用(前期は40億98百万円の使用)となりました。これは主に、信用取引貸付金を中心とした信用取引資産及び信用取引負債の増減額(26億69百万円の使用)等によるものであります。
当期における投資活動によるキャッシュ・フローは、60億13百万円の獲得(前期は46億87百万円の獲得)となりました。これは主に、純投資目的で保有している投資有価証券の売買等に伴う増加(57億25百万円の獲得)等によるものであります。
当期における財務活動によるキャッシュ・フローは、28億27百万円の使用(前期は22億24百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払い(35億7百万円の使用)等によるものであります。
これらの結果、当期末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ10億62百万円増加し、115億31百万円となりました。
(財務戦略の基本的な考え方)
当社グループの財務戦略の基本的な考え方は、自己資本を充実させることにより強固な財務基盤を構築するとともに、自己資本を効率的に運用することによって収益性を高め、企業価値の向上を目指すものであります。
金融商品取引業者は、その業務の性格上、自己勘定に基づいて有価証券等の保有や売買取引を行う場合があります。それら保有有価証券の価格変動リスクなどの各種リスクを十分にカバーできる「固定化されていない自己資本の額」を維持し、財務の健全性を表す「自己資本規制比率」を一定の水準以上に維持することが法令等により義務付けられております。当社は、「自己資本規制比率」を高水準に維持することを経営の基本方針といたしますが、上記のとおり、自己資本を効率的に活用して、収益性を高めるために一定のリスク(主に市場リスク)をとる必要もあると考えております。このため、これらリスク額及び自己資本規制比率につきましては、適切なリスク管理体制の下で監視しております。
当社は、財務体質や収益性を測る指標として「信用格付け」を取得しております。当社グループとして、近い将来に新株式や債券の発行による資金調達を行うことは想定しておりませんが、運転資金の安定的な調達を可能とするため、「信用格付け」の水準を安定的に維持することに努めることといたします。
(手許流動性)
当社は、半期ごとに実施する流動性コンティンジェンシープランの検証過程において、緊急事態発生時に、借入金等の返済やお客さまへの預り金の返還などを円滑に行うために当初必要と考えられる手許現預金の水準を決定しております。また、その後必要となる現金需要を賄うために、短期間で現金化が可能となる市場性のある有価証券の保有に努めております。
また、当社グループはお客さま向け販売や自己勘定での取引を目的として、外貨建て有価証券を取り扱っております。これら外貨建て有価証券取引の清算決済においては、期限までに当該外貨を遅滞なく支払う必要があります。しかしながら、外国為替市場の動向によっては決済のための外貨調達が困難になることも想定されます。このような外貨調達リスクを避けるため、市場の状況や取引高を勘案しながら、必要と思われる外貨の種別及び金額をその都度検証し、十分な金額を手許に維持するよう心がけております。
(成長分野への投資活動)
上記目的で必要とされる手許流動性の水準を超える現預金については成長分野や有望市場への投資活動に振り向けることが可能な資金と位置付け、積極的に投資活動を行ってまいります。これによって、新たな収益源の開拓や収益性が向上し、企業価値向上につながると考えております。
(株主還元-利益配分に関する基本方針及び当期の配当)
当社は、株主価値向上の一環として、株主の皆さまに対し積極的な利益還元を図ることを経営の重要な政策の一つとしております。配当金額は、連結配当性向70%及び連結純資産配当率(DOE)2%の両基準で算出した数値のいずれか高い金額を基準とし、当社の自己資本の水準及び中長期的な業績動向並びに株価等を総合的に判断し、決定する旨を基本方針としております。
当期の期末配当につきましては、上記の連結配当性向基準で算出した金額に基づき総合的に判断し、1株当たり60円の普通配当(年間110円)を支払うことといたしました。なお、配当原資は利益剰余金であります。
配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
(資金需要と資金調達)
当社グループの資金需要につきまして、営業活動に係る資金利用といたしましては、お客さま向け販売商品等のトレーディング商品の買付け、信用取引に係るお客さま向けの融資、証券取引サービスを提供するためのインフラ維持に係る費用、人件費などがあります。また、投資活動に係る資金利用といたしましては、投資有価証券の買付け、お客さま向けサービスの向上と取引の安全性を確保するために必要なシステム投資、金融商品取引業者として法令遵守のために必要な制度整備やシステム投資などがあります。
一方、当社グループの運転資金につきましては、自己資金の利用又は借入による資金調達によって賄っております。自己勘定によるトレーディング商品や投資有価証券の買付けにつきましては、原則として自己資金を利用することとしております。借入による資金調達に関しましては、短期借入金及び長期借入金で調達しております。短期借入金については、銀行借入に加えて、コールマネーの調達も行っております。また、当社は運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行を含む合計7行との間で、総額46億円のシンジケート方式によるコミットメントライン契約を締結しております。この契約に基づく当期末の借入実行残高は25億円であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、有価証券の評価、固定資産の減損、繰延税金資産の計上、減価償却資産の償却、貸倒引当金、賞与引当金、退職給付等の会計処理については、会計関連諸法規をベースに、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる基準により見積り及び判断を行っております。会計処理については、真実性の原則は勿論のこと、特に健全性と継続性の原則に配慮しております。しかしながら、実際の結果は、見積り作成時点での不確実性があることから、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の連結営業収益は、証券市場に係る受入手数料及びトレーディング損益を柱としており、その大半が株式市場及び債券市場を源泉としております。株式・債券市場の好・不調による業績への影響を緩和するため、収益源の多様化を通じて収益の安定性確保に努めておりますが、それでもなお、業績が証券市場の動向に左右され、大きく変動する可能性があります。また、国内外の金融商品市場の急激な変動により、当社が保有している金融商品の評価損益が多額になる可能性もあります。
一般的に、証券市場や外国為替市場は、内外の政治・経済情勢、金利、企業収益等、様々な要因を反映して変動します。したがって、当社グループの連結経営成績についても、証券市場に係るこれらの要因が多大な影響を及ぼす可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。